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これで駄目なら
これで駄目なら
カート・ヴォネガット、円城塔/飛鳥新社
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総合評価

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    カートヴォネガットのタイタンの妖女が好きで、彼が学生にどんな言葉を語ったのか知りたくて読みました。彼らしい、皮肉のこもった例えやジョーク。でも、愛と親しみと知性が彼にはある。 いくつかの演説で繰り返し投げかけるのは、自分の世界を広げて、未来の可能性を感じ、生きる指針を与えてくれた先生はいるか(個人的意訳です)?ということ。手を上げさせて、その先生の名前と、何を教わったかを伝えるように話す。それがいかに貴重な体験なのかを教えてくれる。 それから叔父さんの話で、何でもない日に木陰でレモネードを飲みながら、これでダメならどうしろと?と言う。それは、何気ない幸せを感じ取ることの大切さを表している。普通の日々に感謝する。ガンジーの映画を見た後だから、余計にこの言葉が刺さる。そう、特別なことがなくたって、普通の毎日があることが幸せなんだ。

    1
    投稿日: 2023.02.27
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    #英語 タイトルは If This Isn't Nice, What Is?: Advice to the Young, The graduation speeches 日本語訳者は円城塔。 「これで駄目なら、どうしろって?」はヴォネガットの叔父のエピソードから。 なんでもない一日の愛おしさを知るものこそ、豊かな人なのだと思った。

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    投稿日: 2022.05.12
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    ヴォネガットの大学卒業生にむけた講演集。 そこまで面白い内容ではありませんが、有名作家が卒業式に来て、これからの人生への励ましの言葉を述べてくれたら、やっぱり印象深いでしょうね。そんな場面でシニカルなことばかり言っておられないので、ヴォネガットの言葉も、基本、前向きで暖かいです。

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    投稿日: 2020.07.12
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    アメリカの文化なりキリスト教についての知識なりがないため、ニュアンスがわからないところもありつつ、糸井重里氏の「目と心にしみる」と解説の円城塔氏の「声」の概念は読んで腑に落ちる感じがした。 読む人によって心に残るところは違うだろうが、自分は「私も生まれたばかりだ」という考え方、「これで駄目なら、どうしろって」と物事がうまくいっている時に声に出してみること、の2つ。 後者は英語のニュアンスを完全には理解できてないが、日本語でこれはこういうことだと書くのも違う気がする。 ヴォネガットの「声」によってなんとなくわかる気がしていればいいのだと思う。

    0
    投稿日: 2020.04.12
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    副題どおりカート・ヴォネガットの卒業式講演集。ユーモアがあったり優しさにあふれていたりで、読んでいて優しい気持ちになる。コミュニティの大切さと日常への感謝をよく説いていたのは、はじめて知った。また読み返す。

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    投稿日: 2019.03.18
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    綺麗事でもなく、卑下するでもなくまともな先人の声という感じだろうか、適度な期待を含む激励のようなもの。卒業式に行われた講演らしい内容といえる。これからの人にも、なにか区切りを向かえる人にも響く内容だと思う。

    0
    投稿日: 2017.12.18
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    彼は「芸術家の社会的機能は、人々が以前にも増して人生を好きになるようにすることだ」と書いている。たとえばと訊かれて、「ビートルズがやったことだね」と答えた。 ミルクよりクリームが高価なわけを知っているかね?  聴衆:いいえ。  牛はちっちゃいボトルにまたがるのが嫌だからさ。 本を読むことをやめてはいけない。本はいいものだ──ちょうどいい感じの重さがある。指先でやさしくページをめくるときのためらい。わたしたちの脳の大部分は手が触れているものが自分にとっていいものなのか悪いものなのかを見定めるのに使われている。どんなちっちゃな脳でも、本はいいものだとわかるんだ。 彼は他にもおそらく正しいことを語った。ブルースは抑鬱を家から掃き出してくれるんじゃなく、部屋の隅に追いやってくれる。

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    投稿日: 2017.09.30
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    カート・ヴォネガットの講演を収録した本。 人生に悩める読み手が今必要としている言葉を見事に発することのできる歌声の持ち主だった。 だからこそスローターハウスは、いや全著作はアメリカの若者のバイブルとなった。

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    投稿日: 2017.06.23
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    面白かった! カート・ヴォネガットの大学での講演集。 最初はちょっとわかりづらいな…と感じたのだけど、だんだん何を言わんとしているかがわかってきて、そうするとものすごく面白くてのめり込んでしまい、電車にカバンを忘れて下車…… という悲しい事件まで発生したいわくつきの本。 いろいろなことが語られているけど(別の大学で同じことが語られる)、日常のささやかなことを愛して生きるということに尽きるのかなと思った。 カートのある叔父は、男は戦争に行ってこそ一人前という考えだったが、ある叔父は人生がうまくいっているとき――木陰でレモネードを飲んでいるようなとき――、「これで駄目ならどうしろって?」と言うような人だった。 カートは、卒業生たちにもそう口に出して思い出すようにしよう、と語りかける。 これ以上幸せなことってある?(ないよね?)ってことだよねきっと。 音楽についてのくだりも面白かったな。これ(↓)。 わたしはシュトラウスとモーツァルトや何やかやが好きだ。だが、素晴らしく貴重な賜物について語るのを忘れるわけにはいかない。アフリカ系アメリカ人は奴隷の境遇に置かれていた頃から全世界にそれをもたらしてくれていた。ブルースのことだ。現在の全てのポップミュージック、ジャズ、スウィング、ビバップ、エルビス・プレスリー、ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、ロックンロール、ヒップホップなどなどがブルースに由来するのだ。 わたしがいつどこで、ブルースが世界への贈り物だと気づいたと思う? わたしがこれまで聞いた中で最良のリズムアンドブルース・バンドは、フィンランドからの男三人、女の子一人のバンドで、ポーランドのクラクフで演奏していた。 素晴らしい書き手の一人、アルバート・マレーは、色んなものと同様にジャズの歴史の専門家でもあって、この国に奴隷制があった頃――わたしたちが決して償いきれない暴虐だが――奴隷の持ち主の自殺率は、奴隷たち自身の自殺率よりも高かったと教えてくれた。アル・マレーはこれを、奴隷たちは、白人の主人たちは知らない、抑鬱とつきあう方法を持っていたからだと考えていると教えてくれた。ブルースがあったんだ。

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    投稿日: 2017.05.24
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    大学の卒業式からの帰り道、着慣れない袴でもうへとへとだったけど、どうしてもこの日読みたかったから本屋で購入。気合を入れて、帰りの電車でつり革に捕まりながら読んだ。教養が足りなくて、せっかくのユーモア表現はほとんど理解できない。それでも、誰かの役に立ちたいし、じぶんの幸せにはちゃんと気づきたいなって思った。わたしの心からすきなひとたちが、すきな作家だから、信頼してます。

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    投稿日: 2017.03.31
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    狂った社会に暮らす正気な人は、狂って見える。ということは、正気な社会に暮らす狂気な人は正気に見えるってことか

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    投稿日: 2017.03.30
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    スピーチをする側はもちろん、聞く側にも教養が求められる。スピーチ文化というのは話し手と聞き手の正のスパイラルで高め合っているのだなと分かる実例。

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    投稿日: 2017.01.21
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    コミュニティに属するかぁ。。。そういうのを鬱陶しいと思ってしまうが、確かに家族だけで閉じてしまうとガス抜きができなくてうまくいかない、という事もあるのかもしれないな、とは思った。 通り一辺倒ではない、ヴォネガットが本当に感じている事を若者にスピーチしているのが分かり、真心の人だな、と。

    0
    投稿日: 2016.12.27
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    カート・ヴォネガットの卒業式講演集。 若者の無気力を責める風潮に対して言う。 「瞳に輝きを宿し、キビキビ歩いていた世代の1人として、凧みたいに舞い上がっていられる方法をお教えしよう。憎悪だ。」(p.31) 「ヒトラーは、打ちのめされ、破産し、餓死しかけた国家を憎悪の力だけで復活させた。想像してみて欲しい。 だからわたしには、現代のアメリカ合衆国の若者たちは無気力に陥っているのではなく、憎悪から快楽を得ることに慣れている人々からはそう見えるのに過ぎないのではないかと思っている。卒業する君たちのクラスのみんなは、居眠りしているわけでも、無関心なわけでも、無気力なわけでもない。単に、憎悪なしでやってみようとしているだけだ。」 (p. 31) 円城塔の翻訳かと書店でふと手にとって開いたページで、この一節を目にした。1978年の講演だ。 ヴォネガットは講演をこう閉じる。 「君たちは、憎悪というものが長期的な視点からは青酸カリみたいなものだとわかってるんだ。君たちがやろうとしていることは素晴らしい。うまくいくことを祈っている。」(p. 32) 憎悪なしでやってみる 見た目は地味になるだろうけれど、なんと尊い挑戦だろうか。 28年後の今日、付け加えるなら、みんなは、強欲なしでやってみようとしている。 憎悪や強欲なしでやってみる 甘いと嘲る連中はおいておいて、やってみるのがいい。 「これで駄目なら、どうしろって?」

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    投稿日: 2016.09.18
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    誠実な人間として,ごく当たり前のことを勇気を持って語っている.本当にそうなんだと思うことだけど,声だかには言いにくいことだ.

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    投稿日: 2016.06.21
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    カート・ヴォネガットの、卒業式での祝辞等の講演集。 円城塔の翻訳が意外にはまっている+思った以上にあたたかみのある祝辞が多くて驚く。 「これで駄目なら」はいつか言いたいセリフだ。

    1
    投稿日: 2016.06.18
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    ヴォネガットの卒業式の言葉  ぴりっとした贈る言葉が並んでいる。文化が異なるから、これがそのまま日本で受けるとは思わないけど、楽しい言葉集かな。愛されてるんだな、彼はアメリカで。

    0
    投稿日: 2016.04.09
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    ヴォネガットの大学卒業式での講演を九つまとめたものである。 新聞の書評にヴォネガットのことが書いてあり、少し気になっていた。 たまたま近くの本屋で見つけ、本の装丁もよく、本人の写真が表紙の幅の広い帯についていたのだがこれがなかなかいい写真で、その上、糸井重里のコピーも良かったので思わず購入した。 しかしながら、ちょっとがっかりだった。酔っ払いが講演しているように感じる部分もあった。 内容的には周りの人との関係を大事にしてコミュニティを大切にして生きてゆくことが重要だと言うことを説いているが、どうもピンとこなかった。 ヴォネガットはアメリカで最も人々に影響を与えた作家の一人であるようなのだが、残念ながら著作はおろか名前も知らなかった。 ヴォネガットの小説を読んでから、もう一度読んだ方が良いかもしれない。

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    投稿日: 2016.03.29
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    カート・ヴォネガットは、いろいろな学校で卒業の祝辞を述べていたようです。 その集大成。20世紀のホープだったヴォネガットの祝辞です。米国と日本の式典での祝辞の雰囲気は、きっとすごく違うんだろうなあ…?

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    投稿日: 2016.03.08
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    『人生の目的は、愛すべき人を愛すること。自分の人生をコントロール出来ていないと感じていてもだ。』 『素晴らしき地球ーーどうにかすることできたはずだ。でも僕らはケチで怠け者だった。』 地球の部分を自分の生命と置き換えて考えてしまいました。 自分に対してケチで怠け者な態度はいけないですね。 どうにか出来る時間はまだあるはずです。 さてこのこの本はカート・ヴォネガットのスピーチの記録です。 大学の卒業式や講演会などですね。何の気なしに読んだんですが、 ラスト131ページの言葉読んで涙腺崩壊!!! 糸井重里さんのコピーに同感。 『ヴォネガットは目とこころにしみる。』 目にしみすぎちゃて、しみすぎちゃって、まいります。 ラスト1ページだけでも

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    投稿日: 2016.02.22
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    小津安二郎の『東京物語』で笠智衆が東山千栄子にむかって「いまが一番いいときかもしれないよ」とつぶやくシーンがあったのをふと思い出した。 本書の原題 If it isn't fine, what is は、これがらだめだったらという仮定法な意味合いよりも、こんなにステキなことってあるかい?といういまを肯定するニュアンスの方がしっくりくる。

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    投稿日: 2016.02.21
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    正直、表紙の糸井さんの言葉がずるい。 「ヴォネガットは目と心にしみる」って言われたら読みたくなるよ笑 僕は知らなかった人なんだけど、小説やら劇やらを書いていた人で、いろいろなところでスピーチしていたらしい。 その人の思う人生について、書かれているので、メモメモ。 金を稼ぐコツは、一生懸命に働くこと。 愛を勝ち得る秘訣は、いい服を着て、微笑むこと。 夫婦喧嘩の種は、金かセックスか主導権の問題。そしてもう一つ、あなただけじゃ孤独は紛れず、十分じゃない時。 大切なものはお金じゃない。あれば良いけどね。本当に大切なものは、隣人からの助言。自分を見てくれているということ。自分は満たされていると認識すること。 愛すべき人を愛すること。 人が安心できるのは、大きな家族関係を形成した時。50人とか? 先生に感謝すること。 大人になるとは、ってことを繰り返し言っていた。そして、IF THIS ISN'T NICE,WHAT IS?

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    投稿日: 2016.02.01
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    こんなに簡単に人の心の重要な部分に入ってこられる人がいるのかという思い。 この人のいいおじさんはにっこり笑顔で手を振りながらやってきて、気が付けば誰もが肩を組んでいる。 こんなに明快に人生の道しるべを示す人をはじめて見たし、人生についての警句をこんなにすんなりと受け入れられたのもはじめてだった。

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    投稿日: 2016.01.26
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    「これで駄目なら、どうしろって?」 読み終えて最高の気分になる本。卒業式講演なんて字面だけで眠たくなるのに、こんなに愉快でジョークを飛ばす、そして熱い心を持ったおじさん(?)が喋るのならいくらでも聴いていられる。かもしれない。 世の中は暗いニュースで満ちていて、この先も明るくはなさそう。散々に苦渋をなめてきたヴォネガットがそれでも、人に親切にしなさい、幸せになることを諦めるな、と語ってくれる。その根拠はシンプル、それが大切なことだからだ。大切なことは大切にしなさい。何より自分を大切に。小細工のなさが心に響く。 これで駄目なら、ほんとうにどうしろって言うのか。

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    投稿日: 2016.01.25