Reader Store
ヴェニスの商人(新潮文庫)
ヴェニスの商人(新潮文庫)
ウィリアム・シェイクスピア、福田恆存/新潮社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

79件)
3.6
11
25
26
3
1
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    宗教、地理のことがわかって面白かった。 シャイロック様も、ランスロットも先を読む力があって賢かった。 小生が貿易の仕事をしているので、航海の安全性が担保されない時代に、アントーニオが一隻に大量の商品を積んでいることの危ないということを知って勉強になった。

    0
    投稿日: 2024.12.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     見方によっては、喜劇とも悲劇とも思える作品。また、読み方によって、資本主義(商人資本)の構造を読み取れる。シェイクスピアはおそらくユダヤ人と会ったことはないが、それでも、典型的なユダヤ人(本作のシャイロック)を巧みに書く想像力のすごさを、本書の解説で言及されている。

    0
    投稿日: 2024.02.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    巻末の解題と解説において、ユダヤ人であるシャイロックは単なる都合の良い悪役にすぎず、物語の枠を越えて評価すべきでない云々とされているが、少々その評価には疑問を感じざるを得ない。それは、あくまで文学研究者としてのポジショントークのように感じる。この『ヴェニスの商人』は、現代の娯楽小説や少年漫画のような単純に大衆受けを狙ったものではなく(当時のイギリスではそうだったのかもしれないが…)、もはやこの作品は「古典」である。この『ヴェニスの商人』をジャンプの王道漫画のように、娯楽として楽しむことができる人ならともかく、多くの人は古典として読む以上、時間的な距離と共に評価自体も距離を明けておく必要があるだろう。 その上で古典に何を求めるかはそれぞれ自由であるが、私としてはこの古典から今、そしてこの先の未来に何が活かせるかということである。私は法学徒であるため、この作品を法学的な観点から考えることにした。『ヴェニスの商人』を法学的な立場から考察したものにはイェーリングの『権力のための闘争(Der Kampf ums Recht)』があり、そこでも挙げられているが、裁判におけるシャイロックの主張に注目したい。シャイロックやポーシャや公爵は、契約の内容を守らせることは法治国家としての秩序を維持するために重要であるという認識を共有している。法治国家を守るためには、法を間違った方法で解釈してはいけないということも分かっている。アントーニオの肉を切り落とすことは確かに良くないかもしれないが、法を曲がった方法で解釈すれば、国家全体を揺るがしかねないと。 余談ではあるが、日本の現行民法である90条を持ち出して公序良俗違反により契約自体がそもそも無効であるということも主張可能であるようにも思える。だが、民法90条はそもそも日本の法律であり、この条文は一般条項として最終手段として用いられる非常に曖昧なものである。さらには、16世紀のイギリスと21世紀の日本の公序良俗という時間的にも空間的にも大きく離れたものを比べるのは、あまり実益がないように思えるため今回は省略とする。 ここで少し話が変わるが、最近「テロリストが人質をどこかに監禁している。テロリストは人質に爆弾を仕掛けていつでも爆発できる。警察は人質の場所が分からない。そこで、警察はテロリストを拷問して場所を聞き出すことは許されるか」という議論になった。この議論の一つの主張に「一度拷問をしても良いという前例ができれば、それを拡大解釈して時の為政者が自分の都合の良いように拷問を行いかねないため、前例を作らないためにも拷問も絶対に許してならない」というものがあった。 この話と『ヴェニスの商人』の裁判には繋がりがあるように思える。アントーニオを救うために法を曲がった解釈すれば法治国家が崩壊する。 そして、この論理はこの裁判に限ったことではない。ポーシャはバサーニオに婚約の際、指輪を渡し「これを決して手放してはならない」と言った。しかし、バサーニオは友人を救った裁判官(ポーシャ)に恩返しをするために、やってはならないと厳命された約束を破った。一見良いことのように思えるが、それは結果的にバサーニオとポーシャの婚姻自体を崩壊させるほどのものでもあるように思える。 また、ポーシャはあくまで冗談ではあるが、指輪を受け取った裁判官からその指輪を取り返すために体を許してしまったとバサーニオに告げるシーンもある。指輪を取り戻すためには浮気せざるを得なかったという言い訳もできるが、これもまた婚姻を崩壊させる理由には十分だろう。 この『ヴェニスの商人』を法学的観点から考えると得られる教訓は「良いことのために多少の悪いことをするのを許せば、それは結果的に巨悪を生み出してしまいかねない」ということであると私は考えた。 この考えは、シェイクスピアがこの『ヴェニスの商人』を書いたときに意識したものをかなり越えた解釈であるだろう。しかし、現代に生きる私たちは時間的隔たりのある古典をそのままに解釈するのではなく、現代という視点から新たな解釈を付け加えることが求められるのではないだろうか。

    0
    投稿日: 2024.01.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    空いた時間で久々に再読。 個人的にシェイクスピアが好きなので何を読んでも文句なしになってしまいますね。 いつか本場のオペラで観たいものです!

    5
    投稿日: 2023.07.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    出来事のシンプルさに対して本の長いこと。回りくどいと言ってしまえばそうだけど、会話を繰り返さない・飽きさせない技が散りばめられた物語と言えばそうという事にもなる。 いい場所に来ると楽隊の演奏も良く聴こえることを「烏の歌も雲雀に劣りはしないでしょう、背景のお膳立てを取り払ってしまえば。」とか 「火遊び好きの奥様では、旦那様は始終台所に籠って水仕事をさせられますもの。」とか 比喩的なダジャレ的なものが面白かったー

    1
    投稿日: 2023.07.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    後書きや解説にもあったが、終盤のロレンゾーとジェシカの掛け合いが軽妙で快い。 普遍的な面白さを地で行っている作品。

    0
    投稿日: 2023.06.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    解題、解説を読んでみると、この話のネタはすでに存在していたようだ。しかし、画家のピカソがパクりばかりしていたこと、面白いものは普遍的に面白いということを考えると、それも悪くないと思う。 私も実は、後からこの本の内容を叔母から聴いていた記憶が甦った。ポーシャが「血を流さずに」といったくだりは小気味よかった。 シェイクスピアは英国の人であるはずなのに、なぜイタリアの話を書くのかなと少し思った。

    1
    投稿日: 2023.06.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    大筋はスカッとなんとかみたいな印象。 ただし舞台はジャパンではないので、現代の倫理観やらコンプラやらを取っ払った状態で読んだ場合に限る。 プロポーズのくだりが好き。

    0
    投稿日: 2023.06.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初めて読んだシェークスピア先生の作品。 かの有名なシェークスピア先生の作品なので、 少し構えて読みはじめたのもの、難しすぎてわからないなどあまりなかった。 普通に現代人の道徳感ではいかがなものかと思う場面が多々あるが、執筆された年代ではどうだったのだろうか? 喜劇にも悲劇にもなり得る作品だと思いました。

    0
    投稿日: 2023.06.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    まっさらな気持ちで読んだ感想が「古典BL?」だった。けどまだ腐ってないはず。 既にお金を貸しに貸してる友人が、返すどころか「金持ちの女性に恋をして、プロポーズに行きたいから金を貸してくれ。うまくいったら返す」と言ってきた時点で私だったら友情を切ってると思います…。 どれだけマゾなのか、いやむしろ友情の度合いもおかしい…まさか!? (だって別の友人も、あの献身ぶりはヤバい的なことをつぶやいてるし…) という発想が浮かんでからは、正直、女主人への求婚時のウィットに富んだやりとりや、後半のどんでん返しも、シャイロックの抗弁もあまり身に入らなかった。。。 主人公はその後、友情を大事に胸に生きるのか、やさぐれるのか…。

    5
    投稿日: 2023.03.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

     ユダヤ人高利貸しのシャイロックを悪役とした勧善懲悪ものの喜劇。  大きな筋としてはバサーニオとポーシャの結婚と裁判の二つであるが、他にも細かな話の筋がいくつも挟まれ、それらがテンポ良く展開していく。本筋に絡んでくる人物が、話の長さの割にたくさんいる印象があったが、読んでいて混乱することはなかったことに驚いた。  随所に皮肉が効いており、アントーニオが命を賭けて借りたお金が貧乏人のバサーニオには大金なのにポーシャには端金であったり、裁判で白熱して目の前に変装した妻がいるにも関わらずアントーニオを助けるためには妻の命を差し出してもいいとバサーニオが言ってしまったり、シャイロックがアントーニオを責めたのと同じ論理で負かされたりと、クスッと笑える場面が多かった。  箱選びの時に、他の人が選ばないような箱をバサーニオが選んだことに、アントーニオからお金を借りていることが理由付けになっているのかなと思った。また、これは穿ち過ぎかもしれないが、ジェシカが駆け落ちする時の男装が裁判の男装の伏線になっているのかもしれないとも思った。  ただ脚本だから仕方ない部分もあるが、裁判の時に助けてくれた人が実はポーシャとネリサの男装だったというどんでん返しが、台詞の役者名がそのままで上手く働いていなかった。これは実際の舞台ではどうなっているのか見たくなった。  ヴェニスの商人と言えばしばしばシャイロックの扱いについて議論されることがあるが、私はこれは差別ではなく時代背景も相まって芝居の中でそういう悪役の役割だったというだけだと思う。アンパンマンのバイキンマンに同情する人が少ないのと同じで様式美ではないが、物語上そういう役回りの人が必要で、その時代では丁度良かったというだけだと思う。シェイクスピアはユダヤ人を見たことがなかったという話もあるし。まぁ私がユダヤ人だったらあまりいい気はしないのは確かだろうが。

    6
    投稿日: 2023.02.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    視点をどちらに置くかで、喜劇にも、悲劇にもなりうる。アントーニオの側から見れば勧善懲悪、痛快この上ない物語なのかもしれないけれど、時代背景を鑑みてもシャイロックに対して同情してしまう所は現代人の性なのかもしれません。

    0
    投稿日: 2022.03.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    【読み終わって感じたこと】 誰かの喜劇は、必ず誰かの悲劇によって成り立っている。その事実を改めて考えさせられる作品だった。この作品は、単なる喜劇ではない。シャイロックという1人の人間の悲劇でもあるということを、忘れてはならないと思う。 【印象に残ったセリフ】 「ユダヤ人は目なしだとでも言うのですかい?(中略)何もかもクリスト教徒とは違うとでも言うのかな?」 シャイロックの言葉。登場人物たちは、彼を「ユダヤ人」「異教徒」と何度も呼んでいた。人種で見て、シャイロックの中身をあまり見ようとしていない様子が窺えた。もちろんシャイロック自身の中身もあまり良いものとは言えないだろう。だけど、彼は「ユダヤ人」であることで余計に苦しい思いをしてきたんだろうなと感じられるセリフだった。 【好きなシーン】 アントーニオーが、自分の肉1ポンドが取られることが確定し、バサーニオーと抱き合うシーン。2人の熱い友情が見られる場面で、ものすごく素敵だなと思った。

    1
    投稿日: 2022.02.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日本で言う一休さん的な話。 そこに当時のユダヤ教とキリスト教の関係性も出てくるから勉強にもなる。 読んでから映像で観るのも◎

    2
    投稿日: 2022.01.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    一言で言うなら、アントーニオとその仲間たちの勧善懲悪サクセスストーリーといった感じ。 劇のプロットははじめて読みましたが、やはり話のつくりが演劇っぽいですね。 最終的にアントーニオたちにとってすべてが上手くいく結果になるが、それに向けて登場人物皆が悪役(シャイロック)など演じ分けて主人公たちを光らせていたなという印象を受けました。悪い意味ではなく、構成が上手くてわかりやすくておもしろい。 シャイロックからすると悲劇なのかも知れないが、これはやはり喜劇だと思う。なぜなら、そこまで人物像を恐らくあえて掘り下げてはいなくて、彼は記号的な悪役というか、皆喜劇の中でのそれぞれの役割を担っているだけだから。(上手く言えない。)

    1
    投稿日: 2022.01.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    何がいいのかわからなかった シャイロックがしてやられて痛快と言うほどシャイロックの悪さがなかったし、ただ単にユダヤ人だから差別されてると理解するのは自分には無理があった。時代背景を鑑みても。

    0
    投稿日: 2021.10.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金貸しのユダヤ人は人に酷いことされすぎて、自分の性格までひどくなってしまったのかなあ。 お金は自分に正直な人についてくるという事が分かるような話だった。

    0
    投稿日: 2021.09.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ユダヤ人だから、というのが理由になるのかどうかも含めて学びたい。なんとも痛快なストーリー。いつか劇として見たい。

    1
    投稿日: 2021.07.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     何度読んでも面白く構成も単純な痛快喜劇。日本で言うと一休さんのような話。ユダヤ人への差別自体はもちろんあってはならないが、当時の時代背景であり、シャイロックの悪役としての構成において重要な要素でもあると思うので、純粋に喜劇として楽しんだ。  それにしても友人のために借金を肩代わりした上、死んでもいいと思えるアントーニオーが聖人君子すぎて理解できない。

    0
    投稿日: 2021.07.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ユダヤ教が当時、悪者とされ平等とはされていなかった時代を学べる作品。 シャイロックというユダヤ人に感情移入してしまったので、かなり可哀想に感じた。その他の登場人物はなんと身勝手に考える人々か。自分たちの都合の良い事しか考えられない者にしか私には写らなかった。 公平であるはずの裁判ですらも部外者が身分を偽りトンチの効いた屁理屈、更にはシャイロックを更に追い討ちをかけ痛快な話としている。 なかなか胸糞の悪い作品で2度と読みたくは無い。

    0
    投稿日: 2021.07.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    当時のキリスト教徒とユダヤ教徒の関係性を如実に表している作品だと思う。この話はフィクションだが、そのような関係性はノンフィクションだと感じた。イエスを殺した憎きユダヤ人と思うキリスト教徒と、長年迫害され続けて卑屈な考え方をしてしまうユダヤ教徒。そのような対立が見て取れる作品だった。

    0
    投稿日: 2021.06.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    勧善懲悪の物語。 金銀鉛の三つの箱を選ばせる、という方法で結婚相手を決める古典的な流れが好き。 また、裁判での見事などんでん返し。 童話のような、シンプルにデフォルメされた物語が、洒落のきいたセリフで展開するのが、シェイクスピア作品の魅力。 シェイクスピアを読んでいると、ドラクエを思い出します。

    0
    投稿日: 2021.06.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ヴェニスの商人 (和書)2009年03月07日 17:43 1967 新潮社 シェイクスピア, 福田 恒存 シャイロックとアントーニオーの人肉裁判でのやりとりが福音書にあるイエスの裁判と重なりとても興味深かった。

    0
    投稿日: 2020.09.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ユダヤ人というのがどう見られていたのか、キリスト教徒との関係など、いろいろその時代の、そして今につながる宗教や民族の位置づけなどもヒントがあると思う。 シェイクスピアを読んだのは、オセロー、ハムレットに続いて3作目だが、一番気楽に娯楽として読めた。 裁判の様子など、頓智合戦で愉快。一方、法律をもって社会秩序を守ろうという市民の意識の高さがうかがい知れる。先人たちが築き上げてきた社会を、今の世界や日本は壊そうとしているのではないか。嘘をホントと言って押し通す。今の権力者の横暴さをシェイクスピアから感じる。これがこの本の読後感である。また再読したい。

    6
    投稿日: 2020.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    有名なシェイクスピアの作品。 18世紀のお話かな? 世界史を思い出せればもっと面白いと思う。 舞台でもみてみたい!

    0
    投稿日: 2020.06.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    シェイクスピアを読み始めて、マクベスに続いて二作品目。 【感想】 痛快な裁判がまるで一休さんのようで、楽しく読めました。 【この一文】 ただし、そのさい、クリスト教徒の血を一滴でも流したなら、お前の土地も財産も、ヴェニスの法律にしたがい、国庫に没収する。

    0
    投稿日: 2020.04.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    実家に置いてあったかなり古い本。 思ったより読みやすい本でした。 よくタイトルは聞きますが、初めて読みまして なかなか展開が気になって一気に読みました。 裁判のポーシャが、面白かったです^_^

    0
    投稿日: 2020.04.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    言葉が古いので難しく感じるところもありますが、逆にそういう表現が新鮮に感じたりもします。 やはり裁判のシーンが絶品です。

    2
    投稿日: 2020.03.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    シャイロックかわいそうすぎ。 「シェイクスピアはユダヤ人擁護だというのは暴論だ」というのは暴論に思える。 一見ユダヤ人をステレオタイプまんまに悪者に仕立てあげボコボコにするという市民の欲望を満たす体裁をとりつつ、暗にキリスト教の偽善をほのめかしているように感じられた。

    0
    投稿日: 2020.01.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    原書名:The Merchant of Venice 著者:ウィリアム・シェイクスピア(Shakespeare, William, 1564-1616、イングランド、劇作家) 訳者:福田恆存(1912-1994、文京区、評論家)

    0
    投稿日: 2019.01.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    シェイクスピア『ヴェニスの商人』新潮文庫 読了。シャイロックの悲劇。バサーニオーは、ポーシャへの恋を成就すべく、アントーニオーがシャイロックから肉1ポンドを担保にしてまで借金したのに、法廷で彼女の男装に気付かないとか実に滑稽w 複数の挿話がコンパクトに融合しながら展開されて見事。 2012/06/26

    0
    投稿日: 2018.11.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ビブリア古書堂最終巻で興味を持ち読む。法定に現れた男装した恋人をに何故気が付かないかなぁ、というツッコミは無粋でしょうね、何しろ喜劇ですから。 シェイクスピアの有名な戯曲で台本のような構成に戸惑いながらも慣れるとわかりやすいですね。しかしながら、表現が読みにくい。原文に注実だからか、二度読みすることしばしば。粋なセリフが多くきっと有名なセリフだんだろうと思いつつ知識がないのが残念。 シェイクスピア自身による創作ではなく4つの物語をパクって構成したお話であることが驚き。日本では関ヶ原以前、安土桃山時代の作品で歴史を感じさせる。

    0
    投稿日: 2018.10.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    子どもの頃読んだ感動はなかった。シェークスピアのどこがすごいのかがわからない。もう少し読んでみよう。2018.7.23

    0
    投稿日: 2018.07.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    タイトルとあらすじだけは昔から知っていた。海上の船を担保に友人の結婚資金をユダヤ人商人から借金したが、不運にも船が沈み、胸の肉一ポンドを証文どおり取られそうになるも、血は一滴も流してはならないと判決が出て助かる話。 終わりに福田恆存の「解題」が付いていて、この劇を「悪役」シャイロックの悲劇と見るか、アントーニオー一行が勧善懲悪する喜劇と見るかで物語の印象が全然変わってしまうと言っている。古今東西の批評家はまずこの判断から二分されるらしい。『桃太郎』を桃太郎側から見るか、鬼の側から見るか。 自分はシャイロックというのは、糸井重里のゲーム『マザー2』に出てくるポーキーのような人物だと思う。理屈(法)だけが友達という人物の典型だ。シャイロックの言っていることは理屈から言えば正しい。娘は自分を差別するキリスト教徒と財産と供に駆け落ちしたし、自分はただ契約を履行しようとしているだけだ。ユダヤ人を常日頃から迫害するキリスト教徒に、今こそ天誅がくだるに違いないのだ。 シャイロックは狭い意味でも広い意味でも「被害者」とみなされる可能性がたしかにある。シャイロックの「悪役」ぶりは、この「被害者」意識が源泉になっている。しかし、鈍感なキリスト教徒たちはその「被害者」の部分は大いなる宗教的フィルターバブルで見えなくし、「悪役」の部分だけを見て驚き呆れる。 しかし、自分にとっての最後の砦である法を頼ろうとしたシャイロックは、法の適用の嫌がらせ的な(あるいは慈愛に満ちた)超厳格化によって割を食ってしまう。これはもう、シャイロックが神からも見捨てられている(差別されている)証左ではないか。権力ゲームで戦ったとき、結局日陰者は、「正義の味方たち」のさわやかな哄笑のもとに押しつぶされてしまう運命なのではないか。差別されるから被害者意識が募り、被害者意識が募るからまた差別されやすくなる。神はその連鎖に楔を打ち込むことすらしないのだろうか。

    1
    投稿日: 2017.10.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    「本当、私の小さな体には、この大きな世界が重たすぎるのだよ。」 後に、人肉裁判を仕切る博士のセリフとは思えない。女性らしい奔放さと、聡明さを兼ね合わせたポーシャはとても魅力的に感じた。ヒロインをポーシャとすれば、喜劇。

    0
    投稿日: 2016.05.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ページ数は少ないですが、ポーシャがあまりに嫌な女という印象で、先に読み進めるのに苦労しました。 よくもまあ、あんなに細かく求婚者の欠点を覚えていて、ベラベラ喋れるものかと。 そんな自分を才女ぶって認めているのにも鼻につきます。 その才女が何をしたかといえば、恣意的ないい加減な裁判の判決だけ。 あんな胸先三寸の判決がまかり通るなら、法廷に正義など一切期待できないでしょう。 学生時代に、ポーシャの判決を法学の視点から誤っている点を考えよという課題を出されましたが、全く良い教材になると思います。

    1
    投稿日: 2015.11.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    シャイロックは、ユダヤ人ということで差別され屈辱的な扱いをキリスト教徒から受けていた。 しかしひょんなことから自分を侮蔑していた貴族で貿易商人アントーニオに大金を貸すことになる。 この時、キリスト教徒は友人に金を貸すときは利子をとらないという教えに習い、シャイロックも利子を取らないことにする。 だたし期限までに返済できない場合は、アントーニオの肉1ポンドをいただくという条件で。 結局、アントーニオは期限を守れず、シャイロックに人肉裁判にかけられることになる。 差別、人肉裁判、ユダヤ人等の内容がでてくる。

    0
    投稿日: 2015.03.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    解説を読んで驚いたのが、このストーリーに原案があったこと。完全オリジナルと思い込んでいました… いずれにせよ、この作品が素晴らしいことに変わりはありません。硬質なのに曖昧でわかりにくい法律文章を解釈によって血の通ったものにするという裁きの真骨頂を思う存分味わえます。 シャイロックからの借金という主題のあらすじは多くの人が知っていると思いますが、ポーシャの夫探しやロレンゾーとジェシカの駆け落ちという脇道も面白いです。 シェイクスピアの魅力といえば、一番はそのセリフです。世の真理を孕んだ、まさに劇的な掛け合い。文章で読むと仰々しいけれど、きっと舞台では登場人物たちにいきいきと語られるんでしょうね。

    0
    投稿日: 2014.11.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今月の千年読書会の課題本となります。 子どもの頃に読んだ覚えがありますが、学生時代はどうだったかな。。 うろ覚えながらもイメージ的には、 勧善懲悪なカタルシスのある喜劇、との感じでした。 粗筋としては確かにその通りで、、 当時は16世紀、大航海時代を謳歌する海洋国家“ヴェネツィア”、 そこで海運業を営む一人の商人とその周辺の人々の物語となります。 その義侠心あふれるヴェニスの商人“アントーニオー”が、 手元不如意な友人“バサーニオー”の結婚資金?を用意するため、 ユダヤ人の金貸し“シャイロック”から借金をすることに。 その担保は、航海中の積荷と自分の“1ポンドの肉”。 あえなく難破し、シャイロックから担保を求められることに、、 実際に執行すればアントーニオーは死ぬしかない状態と、追い詰められます。 そんなアントーニオーを、バサーニオーが求婚しているポーシャが、 裁判官として変装し、法を曲げることなく法の解釈の厳格化で救います。 のみならず、シャイロックにカウンターの痛撃をくらわせて大団円、 となるのですが、、シャイロックというか“ユダヤ人”の扱いがなんとも酷い。 今の時代にこれを発表したら、人種差別として炎上するでしょう、、 それほどに、ユダヤ人に対する排他的・憎悪的な描写が色濃く。 喜劇のシナリオとして描かれていることからも、 これは、当時の時代の空気を投影している内容でもあるのでしょうが。 一応、当時のヴェネツィアは信教の自由はあったはずなのですが、うーむ。 シェイクスピアが執筆していたのは、イタリア・ルネサンスがまっただ中、 寛容と多様性に彩られた、古代ギリシャ・ローマの文化が戻りつつあり、 排他性に塗り込められた、暗黒と言われた中世から抜け出しつつあったはずですが、 それはあくまで“キリスト教”の中での復興でしかなかったのでしょうか。  “キリスト教徒は、非キリスト教徒に何をしても許される” そんな価値観が浮かび上がってくるなぁ、、とは穿ちすぎですかね。 当時のユダヤ人に対する、キリスト教徒の感情を読み取ることもできますが、 逆の立場であったならば、キリスト教徒はユダヤ人を“無条件”で助けるのだろうか、と。 最低でもキリスト教徒への改宗を強要するのではないかな、なんて、 シャイロックの娘の言動を見ながらも感じてしまいました。 ん、物語の筋としては王道で、一発逆転としてのカタルシスも心地よい、 そして、当時の空気をどこまで踏まえているのかはわかりませんが、、 ユダヤ人の蔑まれようを、シャイロックの引き絞るような“言葉”として、 さらりと描き出しているシェイクスピアはさすがだな、と。 個人的には、文中では“惻隠の情”なんてフレーズを訳語として使うのなら、 日本的な“三方一両損”的な結末の方が好みかなぁ、と徒然に。

    7
    投稿日: 2014.08.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    古典回帰!と思って本書を手にしたけれど… やっぱりシェイクスピアは敷居が高い…。 なぜシャイロックがあんなにも人肉にこだわるのかとか、文化的な意味合いがわからない。 箱選びや、変装したポーシャの行う裁判の部分は、思わず釣り込まれたけど。

    0
    投稿日: 2014.06.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    美人を見るがいい、知れたこと、美しさもまた脂粉の目方で売り買いでき、その目方ひとつで世にも不思議な奇蹟が起る。つまり、顔に塗るものに目方をかければかけるほど、尻はますます軽くなるというわけだ。

    0
    投稿日: 2014.04.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読書会の課題で、初めてシェイクスピアを読んだ。面白く読めたが、善人と悪人がこんなにはっきり分かれてていいのか?しかも悪人は一人ぼっちで結局みんなに懲らしめるという、そんなんでいいのか!?と思ってしまった。ギャグこそないが、吉本新喜劇の人情話のようでもある(喜劇だからそれでいいのだろうけど・笑) キリスト教ユダヤ教の対立という問題も孕んでいるのかもしれないが、その辺りの事情は僕には分からない。

    1
    投稿日: 2014.04.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    はじめて読んだシェイクスピア。 読んでからしばらくが経ったが、やはりユダヤ人シェイロックの描かれ方が印象強い。途中からシェイロックに同情してしまう。 この作品のユダヤ人に対する差別は時代の反映であろうけど、シェイロックを一方的な悪者でなく心のある人間として描いている点で、シェイクスピアは分かってたんだなと思う。

    0
    投稿日: 2013.10.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    福田恒存の解説によれば、この作品は1597年頃に初演されたらしい。そうすると、その頃既にヴェネツィアは有数の海運国としてだけではなく、統治においては、法が何よりも優先する国家として認知されていたことになる。この劇の根幹は、まさしくそこにこそあるからだ。また、この作品は喜劇ということになってはいるものの、ユダヤ商人シャイロックの立場に立てば、それは悲劇以外の何ものでもないだろう。当時の観客たちはシャイロックを笑ったのだろうか。現代の、例えばニューヨークでの演出だとどうなのだろうか。汲めども尽きぬ泉ではある。

    0
    投稿日: 2013.09.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    小学校のころの学校の教科書で読んだ内容の記憶は、「この証文には、胸の肉一ポンドを切り取ってもいいが、血は一滴もやるとは書いてない」という名台詞で借金の形として胸の肉一ポンドを担保としてお金を借りたベニスの商人の命が助かったというものであった。    しかし、今きちんと読んでみると面白いこと。知らなかったことがあった。  ベニスの商人の友人の妻が若い男性の法学者に変装して裁判し、その名台詞を言うというものなのだ。  その友人の妻はたいそうな金持ちでその女性と結婚したいためにベニスの商人にお金を融通して欲しいと頼んだことがベニスの商人が胸の肉一ポンドを担保に借金する発端となっていた。  その女性は父親から結婚相手は金、銀、鉛の箱からうまく選び当てたものと結婚するようにとの遺言を受け、結婚相手を自分の思い通りに選べないことを嘆き、自分が思いを寄せているベニスの商人の友人がうまく箱を選び当ててほしいと願っていた。  その女性の名はポーシャ、ポーシャに求婚していた数名の輩はどれも気に入らない人ばかり、もしうまく箱を選び当ててしまったらどうしようと困惑していたが、金、銀を選んだ輩はあえなく敗退した。  鉛の箱を選ぶ者こそ父や望む結婚相手であり、ポーシャが好意を寄せていた男性が鉛の箱を選ぶ真の心を持った男性であった。  そこは、金の斧、銀の斧の話しに似ていると思った。  その後、結婚した2人はベニスの商人が窮地に追いやられているのを知り、ポーシャは留守番をしているふりをして鋳とこの法学博士に命ぜられた有能な法学者のふりをして裁判に臨み機転を利かせてベニスの商人を救ったのであった。

    0
    投稿日: 2013.09.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    歴史背景が非常に気になる。 また、読むことでそれが感じられた。 シェイクスピアが読み継がれ、演じられる訳が理解できた。

    0
    投稿日: 2013.09.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    シェイクスピアの代表的喜劇。日本をはじめ、様々な国でかなりの数上演されている。 訳者の解題にもあるが、役のひとつひとつが「人生における役割」と同時に「作品における役割」も持っており、特に後者の役割が近代以降の劇と違いとても明確である。 この作品ではユダヤ人シャルロックの配置がとても重要となる。上演者の解釈ひとつでこの劇の性格はまるで変わってしまうからだ。 また、当時の世相から、ユダヤ人に悪者のキャラを与えているシェイクスピアだが、そのユダヤ人の口から発せられるキリスト教への批判が大変的を射ている。そして、四つの物語を一つの劇で並行的に実現している。ここから、シェイクスピアの持つ非凡な力がみてとれる。

    0
    投稿日: 2013.08.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    (1999.01.12読了)(1998.12.17購入) 内容紹介 amazon 胸の肉一ポンドを担保に、高利貸しシャイロックから友人のための借金をしたアントニオ。美しい水の都にくりひろげられる名作喜劇。 ☆関連図書(既読) 「ロミオとジュリエット」シェイクスピア著・中野好夫訳、新潮文庫、1951.11.05

    0
    投稿日: 2013.07.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「借金のカタに胸の肉1ポンドを切り取る」、という証文を実行しようとした際に、「証文に書いてないから、血を一滴も流してはならぬ」というポーシャの判決は後出しなのでフェアじゃないのでは?と疑問に思う。この作品が書かれた時代のユダヤ人に対する思いが、このような判決を受け入れる背景になったのだろう。

    0
    投稿日: 2013.04.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    個人的にベネチアブームなので読んでみた 実はシェイクスピア作品、読んだことなかったので 果たしてこの作品から入ってよかったかどうか・・・ 現代では決して通用しないだろうけど 逆に時代を映しているリアルさで秀逸だったのかなとオモウ いちいちめんどくさい感じに装飾されたセリフや 偏った道徳観にイライラや反発を覚えるけど 機会があれば=105円で売ってたら 違うのも読んでみようとオモウ 半日で読み終わったのと そんなに眠くならなかったってことで 星はギリギリ3つ

    0
    投稿日: 2013.04.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    バサーニオー アントーニオー、ぼくには妻がある、ぼくの命にひとしい貴重な存在だ。が、その命も、妻も、いや、この全世界も、今のぼくには、きみの命ほどに尊くはない。そのすべてを失ってもいい、そうとも、なにもかもこの悪魔にくれてやる、きみの命が救えるものなら ポーシャ 奥さんはあまりうれしくはないでしょうな、もしここにいらして、その話をお耳にされたとしたら。 グラシャーノー ぼくにも妻がいる、もちろん愛してもいる――でも、死んでもらいたい、それでもし天国へ行けて、神様にでも会って、この畜生の根性を変えるように頼めるものなら。 ネリサ そういうことは、奥さんのおいでにならぬときにおっしゃったほうがよろしい、さもないと一荒れまいりましょうからな。 2013/04/08-04/12

    0
    投稿日: 2013.04.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『ユダヤ人は目なしだとでも言うのですかい?手がないとでも?臓腑なし、五体なし、感覚、感情、情熱なし。なんにもないとでも言うのですかい?同じ物を食ってはいないと言うのかね、同じ刃物では傷がつかない、同じ病気にはかからない、同じ薬では癒らない、同じ寒さ暑さを感じない、何もかもクリスト教徒とは違うとでも言うのかな?毒を飲まされても死なない、だから、ひどいめに合わされても、仕かえしはするな、そうおっしゃるんですかい?』 このシャイロックの台詞は刺さった。ヴェニスの商人が一面では悲劇であると感じるのは、ひとえにこの台詞によるところが大きいだろう。これはあくまで喜劇として書かれたのだといくら言われても、やっぱり心の底では何かが引っかかっている、私。 なんかさ。 ユダヤ人を差別してる!酷い!シャイロックがかわいそう! っていうわけじゃないんだ。そう単純じゃない。 そもそも、時代も国も違う物語の中では現在の私自身から見て受け入れ難い価値観がまかり通っているっていうことは、珍しいことではない。ああそう、当時はそういうもんだったのね、と一歩引いて受け止めることはできる。ちょっとばかり不快ではあっても。だから、差別が存在するということ自体は、私が感じた悲劇性の直接の原因ではないのだ。それはいうなれば、そういう「設定」だから。 でも。 それでも、その「設定」の中で、シェイクスピアはシャイロックにこの台詞を吐かせたわけでしょ。その時点で、私にとってシャイロックはユダヤ人という単なる記号ではなくて、一人の人間になったの。だから、その人格を持った一個の人間がこんな風に扱われるのが悲しいと感じるようになったのね。この台詞を与えられてしまったら最後、『ヴェニスの商人』は単純な喜劇にはなりえないと思うんだ、やっぱり。

    7
    投稿日: 2012.08.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    たぶん初読。ずっと本棚に埋れていた。行間がないと、間の取り方を想像するしかなくて新鮮だった。ポーシャの慈悲論は綺麗な言葉で飾られていて、きっと舞台で聞くと心地よく響くのでしょう。最後のシャイロックの表情を見てみたい。やはり悔しさはあるのかな。 面白さは一級品。夢中になって読めた。

    0
    投稿日: 2012.07.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    数々の批評にもある通り、シャイロックの悪役振りは有名であり、感情移入してしまう名優である。人肉裁判まではBad Endの未来しか見えないのだが、最後のどんでん返し、オチはお見事。修飾的な文章も少なく、ページ数も少なく、読みやすい作品と言える。

    0
    投稿日: 2012.07.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     1600年前後の時代背景が良く分かる。金融を営むユダヤへの偏見は、キリスト教徒の道徳的罪という意識からだろうが、キリスト教徒自身がその金融に依存しなければならない自己嫌悪、それがシャイロックいじめを通して発露されている。  

    0
    投稿日: 2012.06.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    再読。 ひとつ前に読んだ『修道院の第二の殺人』でシェイクスピアが題材に取られていた影響で久々に手に取ってみた。 悲劇は喜劇であり、喜劇は悲劇。これを読んだときにたしかにそうだなと納得したことを思い出した。シャイロックの悪徳もあるにはあるが、宗教への差別も色濃い。利子なんて普通といえば普通だし。文化や時代の違いをやはり強く感じた。まあ、ポーシャのへりくつにはついにやにやしてしまうのだけれど。

    0
    投稿日: 2012.05.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    資本主義とのリンクがわからなかったから次は『ヴェニスの商人の資本論』を読んでみようと思う。 素直に読んでもおもしろい作品だと思う。

    0
    投稿日: 2012.05.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    シェイクスピアの名作喜劇。ストーリーは単純明快で、友情や愛情、ユーモアにあふれるハッピーエンディングストーリーだが、ユダヤ人に対する侮蔑的な描写が劇全体に通底しており萎える。何といってもシャイロックという個性豊かな悲劇的人物がミソ。屈折した人物ではあるが実は正論を吐いているところが面白い。

    0
    投稿日: 2012.04.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    裁判シーンでの逆転劇が有名なお話。 元ネタがあったっとは知らなかった・・・。 【余談+ネタバレではあるが】 シャイロックが少しかわいそう。ユダヤの人が公然と侮辱されてて、それで台本をかけて、それで笑える時代があったんだなぁと。 今もそういうことがあるんだろうけどモヤモヤしますね。 「ここに血を一滴もこぼさず肉を切り取るマシーンがあります」みたいな絶対的(?)正義を描いた異説・ヴェニスの商人とかどっかで上演されてねぇかな。

    0
    投稿日: 2012.02.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    中央大学の教授をなにした犯人が捕まつたさうです。良く分からぬが、教授に不満を抱いてゐたといふ話であります。逆恨みとは怪しからぬ。今後調べが進めば、より動機がはつきりするのでせう。 翻つて自分の学生時代、自らの怠惰な学習態度を思ひ起す時、担当教授に申し訳なかつたなあ、などと考へます。 ある時、フランス文学の先生が、「散文詩」についてのレポートを提出せよ、と我々に課題を出したことがあります。仏文学のレポートにもかかはらず、散文詩なら何でもいいだらうと私は沙翁の作品を論じたレポートを呈してしまひました。これはひどいですね。この時先生は何も言はなかつたが、その後2年ほど経過した頃に、突然この件を難詰されたものであります。当時いかにシェイクスピアを愛読してゐたかが分かります。 さて、ポーシャは法廷にて、男装の若い法学士として登場します。悪役シャイロックは、借金のカタに債権者の胸肉1ポンドを要求してゐますが、ポーシャは「それを許す」と認めます。シャイロックはポーシャを自分の味方と思ひ「名判官ダニエル様の再来だ」などと言つたりします。ところがポーシャは、「肉を切つても良いけど、血は一滴も流すなよ」と無茶なことを述べるのです。一休さんでも無理でせう。裁判員制度が開始されますが、一般市民でもさすがにかうは申すまい。 シャイロックは踏んだり蹴つたりの結末を迎へますが、その存在感から本作を「シャイロックが主役の悲劇作品」と論ずる人もゐるとか。それはちよつと...違ふよね。 http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-16.html

    0
    投稿日: 2011.12.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    シェイクスピアの喜劇とはどんなものか知らなかったが、 なかなかに痛快な作品だった。 読んでいると、人種等々絡んでくるところもあるが、 そのあたりは深く考えずにざっと目を通すだけで。 (もちろん、背景を知った上で読む方が良いという意見もあろうが) 余談ですが、福田恒存の訳本も初めて読んだけれど、 歴史的かな遣いは出版時に現代かなへ改められたのだろうか。

    0
    投稿日: 2011.10.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    佐藤よし子・著『エレガンス速修講座』で紹介。「輝くものは全て金ではない」、見かけの立派なものがすべてその内容も立派だとは限らない、という節の紹介。

    0
    投稿日: 2011.09.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今度劇団四季の芝居で見るので、復習兼予習と思い読みなおしました。内容、完全に忘れてました……。 さて、古典喜劇の代表とも言える本作ですが、同時にユダヤ人の悲劇でもあり、これをどう読み解くか、すなわちユダヤ人商人シャイロックを舞台上でどの様に演出するか、が一番のキモであることは間違いありません。四季の煽り文句では、まったく新しいシャイロックを演出する様で、かなり楽しみです。 ……ていうか、劇団四季を見に行くのは始めてかも。芝居好きなのに、いつもせいぜい中劇場でやるクラスの芝居しか見にいかないしね。 それにしても、ユダヤ教徒とキリスト教徒の確執は、現在の世界情勢だけを見ていると理解しがたいものがあるんだろうと思います。キリスト教圏の人はユダヤ人をバックアップしている様に見えますもんね。実際はそうではない歴史的事実、ってものを本作から感じるのもひとつの歴史理解かと思います。 我ながら、何を言いたいのか分からないレビューになりましたな。失敬。ちなみにmixiで芝居はレビューできないので、日記で書くしかないようですな。 (2004年読了)

    0
    投稿日: 2011.08.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    1594年から1597年の間に書かれたとされている、シェイクスピアの名著。 「期日までに借金を返済できなければ肉1ポンドを支払う」 という証書を軸に、物語が展開し、人間関係が集約される。 読めば明白ですが、ユダヤ人がものすごく悪者扱いで、 この部分については案の定、問題になったそうです。

    0
    投稿日: 2011.07.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    【粗筋・概要】 物語の舞台はヴェニス。バサーニオーは、美しき莫大な遺産の相続人ポーシャに求婚をしようと考えている。しかし、彼には先立つものがない。そこで彼の友人であり、貿易商を営むアントーニオーは、日頃から敵対し侮蔑しているユダヤ人の高利貸しシャイロックから、友人のために自分の肉1ポンドを担保に借金をする。バサーニオーはポーシャと結婚することになるが、アントーニオーは所有の商船が難破し無一文になってしまう。シャイロックは日頃の恨みを晴らすために、裁判に訴える。 【感想】 シェイクスピアの戯曲をいくつか読んではいるけれど、さほど面白いとは思えない。喜劇という割に最後にポーシャとその小間使いネリサが男装して法廷に現れるまでは、喜劇とは思えなかった。もっとも、最後の指輪騒動は微笑ましく楽しめた。 この戯曲ではもっとも有名なのは人肉裁判であろう。私は初めてこの戯曲を読んだので、男装したポーシャがどのようにどんでん返しをするのか知らなかったので、裁判の成り行きを興味深く読めた。法律は時として柔軟性に欠け、そのまま適用するとこの戯曲のように結論が不当になってしまうことがある。その不当な結論は、男装し法学博士に扮したポーシャの機転により覆される。法律家ではなく法律の素人によって妥当な結論が出されるというのは、皮肉である。当時のヴェニスと現代日本では裁判制度は異なるが、それでも結論の妥当性は市民感覚に裏打ちされるということは相通じている。なお、現代日本ではシャイロックの訴えは、金銭賃貸借契約自体が公序良俗違反により無効とされ棄却される。それを不問に付したとしても権利濫用で訴えは認められない。 訳者の解題を読むと、この戯曲を喜劇ではなく悲劇であると読む人がいるらしい。しかし、どこをどう読めば悲劇と読めるのだろうか。アントーニオーら債務者側は決して好ましい人物ではないものの、シャイロックとしても単なる強突張りな高利貸しに過ぎない。 2008年4月2日読了

    0
    投稿日: 2011.06.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    悲劇よりも読みやすい。 一休さんばりの機転で恩人の危機を救うばかりか指輪を使って旦那を尻に敷くなんてしたたかなお嬢様だ。一生頭が上がらないだろうな。

    0
    投稿日: 2011.05.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    シェイクスピア著書で最初に呼んだ本。 終わった時の感想はこんなものかっていう感じ。 オチはちょっと屁理屈とも取れるかな。 主人公が良い人すぎ。 昔の本はこんな感じか。

    0
    投稿日: 2011.05.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    AUN「ヴェニスの商人」観劇後、読了。 やっぱり戯曲は、字面追うのではなく、お芝居観た方がおもしろい、と実感。 シェイクスピア作品では喜劇に分類されているけど、かわいそうなのはシャイロックで。 「今まで足蹴にされていた」っていう台詞があるから、完全な悪人として捉えられなかった。 まぁ、ユダヤ人を完全な悪人に仕立て上げてしまったら、それはそれで問題になるからなのだと思うけれど。

    0
    投稿日: 2011.04.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    よく「この作品はユダヤ人差別をしている」と言われるけど、シャイロックのキリスト教徒に対する台詞を見る限り、シェークスピアはどっちも笑い飛ばしていたのではないかなぁ、と思う。 そういう意味でも"喜劇"なのかな、と感じた。

    0
    投稿日: 2011.02.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    シェイクスピアってこんな感じなのね。 みんなの名前が似過ぎてこんがらがるよ。 指輪は渡すもの?渡さないもの?

    0
    投稿日: 2010.09.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     現代の感覚では悪役として描かれているシャイロックに同情してしまう作品。この作品が書かれた当時は、ユダヤ人に対する差別は当然のものだったらしく、純粋な喜劇だったらしい。だが今の感覚では、ユダヤ人シャイロックの悲劇としても読むことができます。このように時代を経て多面的にみることができると云うのが、この作品が名作たる所以であると思います。  個人的に、戯曲を読むのは得意でない人には映画を見ることをお勧めします。割と最近の作品で、映像も美しく、アルパチーノの名演を見ることができるので。

    0
    投稿日: 2010.09.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    イタリア人と同じような背景で育っていないため、 ユダヤのシャイロックに同情してしまい、 とても喜劇には感じられなかった。 しかし、この感覚は、日本人にもあるのではないだろうか。 シャイロックを「金を稼ぎに来日し、風俗業や、ギャンブル、犯罪スレスレのグレーゾーンで日本人以上にもうけている移民」に置き換え、主人公をまじめに働いている日本人と考えたら、この物語の喜劇の意味がわかると感じた。 この感覚こそが差別意識というものだと 気付かなかっただけで、自分にも普通にあるものだと思った。 シャイロックは嫌だとしても、 ここで生きて行くしか道がないのだ。 職人になりたかろうと、キリスト教で卑しいとされる 金融業しか許されていないのだ。 シェイクスピアは単なる勧善懲悪ではなく、 シャイロック言い分をちゃんと書いている。 ユダヤ差別のために書かれた書なら、 ユダヤ民話の「肉を取る話」を使わないだろう。 物事には多面性があるが、 なかなかそれに至る過程が見えないので、 すぐには気付けないものだなあと思った。

    0
    投稿日: 2010.06.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    相手はユダヤ人だ。渚にたって、盛り上がる高潮に鎮まれと命じるようなものではないか。 オオカミに向ってなぜ子羊を食い殺して雌羊泣かせたと問うても仕方がない。

    0
    投稿日: 2009.10.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ヴェニスの商人。 実際この脚本が書かれた時代は、ヴェニスのユダヤ人たちは世界的に見ても結構良い生活を送っていたらしい・・・。 のに、この脚本では凄い扱いを受けているのでそこが変に引っかかる。 書いた人間がイギリス人だからだろうか、ユダヤ人への酷い扱いが目立つ気がする。 喜劇として読めばそれほど気にならないが、悲劇として取ると後味が悪く感じた。

    0
    投稿日: 2009.04.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    かわいそうと思ったらそれはこの本の読み方を誤ってるとどこかに書かれていて、確かに。と思いました!あくまで喜劇。

    0
    投稿日: 2009.02.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    喜劇。比較的最近映画化されてましたよね・・・? 悲劇だけれど「ハムレット」の方が好きです。 脚本だから、演技によって、だいぶ解釈も変わると思います。会話だけだから、登場人物たちの外見的な特徴も表情も分からないし、普通に小説を読むのより読みにくい。

    0
    投稿日: 2008.12.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    有名な物には悲劇が目立つのですが喜劇が私は好きです。 シェイクスピアをまだ読んだ事のない人はもしかしたら「難しい古典文学?」と思っている人もいるかも知れませんが、もともと劇の台本なので物語も短く、登場人物も限られていて、またストーリーも簡単です。 何せ演劇で表現出来る物しか含まれていないからです。 でも色々な要素をうまくまとめて、最終的には色々な事が同時に丸く治まるハッピーエンドはさすがだなと思いました。

    0
    投稿日: 2008.09.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    シェイクスピアには珍しい(?)喜劇で、終盤の展開もスカッ!とするどんでん返しがあって印象に残る作品でした。 劇で上演される回数が多いのもうなずけます。

    0
    投稿日: 2006.09.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    バサーニオー「…」〜ポーシャ「奥さんはあまりうれしくないでしょうな、もしここにいらして、その話をお耳にされたとしたら。」〜グラシャーノー「…」〜ネリサ「そういうことは、奥さんのおいでにならぬときにおっしゃったほうがよろしい、さもないと一荒れまいりましょうからな。」〜笑い転げた。あ、でもある人のレビューにあるように、自分のことをシャイロックのようだと言われたらかなりきついかもしれないと思う。

    0
    投稿日: 2006.08.04