
総合評価
(41件)| 11 | ||
| 13 | ||
| 9 | ||
| 0 | ||
| 0 |
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
やっと読破。一度在中国中に読もうとしたが、何かしらの理由で一度中断していたが、それから色々読み散らかしたおかげで少し彼の国の理解度が深まり、当時より深く読めた気はする。そしてまた今の世情を鑑みると、著者の指摘は色々当たっており、今に続く布石が色々あったのだなと思われる。著者の主張としては、中国は100年かけて覇権国となろうとしており、その背景には中国が歴史の中で培ってきた息の長い戦略があるということと、それを西側諸国はいかに理解できていなかったというもの。まあ果たしてそこまで深遠な戦略があるか?と思うと、割とない気もするが、結果的に何かそれっぽい理屈を当てはめているようにも見える。とはいえ、今後どうなっていくあ、ますます不透明感が増す中、共産党が目指す社会は一部の為政者には都合が良さそうだが、多くの人にはあまり都合がよくない気がするし、そこで大きな摩擦が生まれることが懸念される。 P.11 中国語を理解するのは、暗号を読み解くのに似ている。中国語には意味が曖昧で誤解を招きやすい概念があり、それを翻訳する際には、自分で意味を決めなければならない。 P.19 アメリカ人は傲慢にも、すべての国はアメリカのようになりたがっている、と考えがちだ。この見方は、近年では、イラクとアフガニスタンに対するアメリカの態度を支配していた。 P.23 中国政府は長い間、「平和的な発展」をするために支援を必要とする後進国を自称し、世界のリーダー湿布を握るつもりはないし、ましてアメリカに真っ向からぶつかるつもりなど毛頭ない、と言ってきた。実際に中華人民共和国憲法は、自国が覇権国となることを禁じている。中国の指導者は、「中国が覇権国になることはない」と繰り返し誓った。(中略)平和志向でナショナリズム的でない中国という味方は、西側の学問の世界、シンクタンク、金融機関、および政府の親中派によって認められてきた。 P.32 20世紀初頭、中国の作家や知識人は、チャールズ・ダーウィンとトマス・ハクスリーの著作に魅了された。特にダーウィンの生存競争と適者生存という概念は、中国が西洋諸国に味わされた屈辱に報復する方法として共感を呼んだ。翻訳家にして学者、改革者でもあった厳復は、ハクスリーの『進化と倫理』を最初に中国語に翻訳した人と考えられている。しかし、彼は重大な間違いを犯した。「自然選択」を「排除」と訳したのだ。それがダーウィンの思想についての中国人の考え方を支配するようになった。つまり、生存競争で負けたほうは弱者として見なされるだけでなく、自然界であれ政治的世界であれ「排除」される、と彼らは考えたのだ。「弱者は強者に飲み込まれ、愚か者は賢人の奴隷になり、結局生き残るのは(中略)時代と場所と社会環境に最も適した者だ」と厳復は書いている。また彼は、「西洋は、劣等な民族はすべて、よりすぐれた民族に滅ぼされるべきだと考えている」とさえ書いている。1911年に辛亥革命を起こし、「近代中国の父」と称される孫文は、民族の存続を基礎に置いた。それは列強との闘争を、白色人種による「人種の絶滅」の脅威、つまり黄色人種を従属させ、抹殺さえしようとする動きに対する抵抗と考えたからだった。 P.54 アメリカの無知、広くは西側の無知は、少なくとも二つの要因がもたらしたものだ。第一の要因は、17世紀から現代にいたるまで、中国を訪れ研究した学者、宣教師、調査員たちは、捏造された中国の歴史を教え込まれてきたということだ。中国の資料は、中国文化の平和主義的な一面である儒教を強調し、ちまなぐさい戦国時代については、ほとんどかまったく無視している。加えて、毛沢東が指揮した「四旧打破、四新確立」運動では、文化大革命を進めるために、中国古来の習慣、文化、理念を破壊し、それらの記憶を消し去っていったが、それを見ていた西側の多くの人は、中国は共産党以前の過去と決別したと誤解した。 P.60 中国の指導者は、他の国はすべて中国を騙そうとする挑戦者であり、自らの二枚舌をもって他の国に対処しなければならない、と執拗に思い込んでいる。残酷な戦国時代には、人を信じやすくだまされやすい指導者は、戦いに負けるだけでなく、徹底的に打ちのめされた。 P.61(1970年当時、著者) わたしは、博士号を持つアメリカ人の中から、台湾国立大学で標準中国語の特訓を受ける候補者のひとりに選ばれた。わたしにとってそれは、中国の文化と歴史を体験する初めての機会となった。(中略)教科書は、一連の中国史の古典で、今でも中国の学生たちはそれを教科書として用いている。語学のテキストにしたらそれらの書物に記された諺や物語は、中国人の世界観の土台となったものであり、わたしにとっては、中国の思考、歴史、世界観を垣間見る窓を提供してくれた。だがその価値をわたしが十分に理解したのは、数十年も後のことだ。教師は、中国の伝統を二つの正反対のパターンに分けた。一方は、善意と誠実さからなる儒教的な世界であり、もう一方は、覇権をめぐって容赦無く争う戦国時代の世界である。わたしたちが暗記した中国の歴史を要約する有名な諺は「外儒内法(外では温厚に、内では情け容赦なく)」だった。 P.63 「鼎の軽重を問うな」という教えは、中国ではよく知られる。これはつまり、十分な力を備え、敵に対峙できるようになるまでは、自分が敵であることを悟られてはいけない、ということだ。(中略)『戦国策』は、頂点に支配者を持たない体制は一時的なものにすぎず、世界の自然な秩序は階層構造をなすと説く。それは今日、中国政府が公式に表明しているものとは、もちろん矛盾している。中国の指導者たちは、望ましいのはアメリカを代表とする強国が並ぶ多極世界だという。言い換えれば、中国の指導者たちは鼎の軽重を問うのを避けているにすぎない。 そして本音のところでは、多極世界は、中国をトップとする新たな階層が築かれるまでの中間段階にすぎない、と考えている。中国語でこの新たな秩序は「大同」と呼ばれる。西側の学者はそれを「commonwealth(連邦、共和国)」とか、「an era of harmony(調和の時代)」と訳しているが、それは間違いだ。むしろ、「an era of unipolar dominance(一極支配の時代)」と訳すべきだろう。2005年以来、中国の指導者は、国連などの公式の討論の場で、この「大同」という調和世界について語ってきた。 P.91 周は「アメリカhは『覇』である」と、キッシンジャーの通訳を務める中国外務省の外交官、冀朝鋳に語った。それは、毛沢東とその後継者である鄧小平が何度となく口にした言葉だ。 中国語を理解するアメリカの役人(少数ながら増えつつある集団)はかねてより、中国語には英語への翻訳が難しい単語が多いことを知っていた。それぞれの本当の意味は、通訳が状況に応じて適切な訳語を胃選ばなければならない。冀朝鋳はその言葉を、「アメリカはリーダーだ」と訳してキッシンジャーに伝えた。この説明に害はなく、冷戦という文脈では社交辞令にすぎないようにも思える。しかしそれは「覇」という単語が意味するところではなかったー少なくとも、その意味を十分に伝えていなかった。 「覇」には戦国時代からの歴史的な意味がある。「覇」は、その世界に軍事的秩序をもたらし、力をもってライバルを排除し、やがてそれ自身が力によって排除される。「tyrant(専制君主、圧政者)」と訳したほうがより正確だろう。 P.130 中国の過激なナショナリスト(タカ派)は、1980年代初期にはすでに、アメリカの生活様式や文化を、中国を破壊する「精神的汚染」と見なす思想集団を築いてきた。アメリカは世界的な消費文明を早出し、世界を支配しようとしていると、彼らは確信していた。(中略)鄧小平はこの過激な反米集団のメンバーではなかったが、こちらが考えていた以上に、彼らに共感していたようだ。北京や他の主要都市で学生たちが蜂起したことは、国のどこでも共産党は絶対的に正しい存在だと信じきっていた鄧と他のリーダーを驚愕させた。党内部では、あのような抗議行動が起きたのは、共産党妥当を目論むアメリカが、心理作戦を実行して導いたからだと説明されるようになった。本来、偏執的だった鄧は、この偽りの主張を信じ、アメリカが、「宣伝組織を活用して、中国のいわゆる民主活動家、いわゆる反体制派、実のところは国の屑を扇動し、けしかけ、その気にさせた」と書いている。(中略)多くのアメリカ人に衝撃を与えたのは、改革はの党の指導者、趙紫陽が終生の自宅軟禁に置かれたことだ。20年後、コロンビア大学の政治学者アンドリュー・ネイサンが、謎に包まれた方法で趙の回想録を入手し、出版した。その回想録には、当時のわたしたちは知らなかった圧倒的な不利な状況で、彼がいかにして強硬派に立ち向かい、真の改革を実現しようと苦闘していたかが綴られている。 ブッシュ政権内の中國支持者は、一連の成り行きを、できるかぎり肯定的に捉えようとした。わたしもそのひとりで、次のように思い込んでいた。 趙紫陽の軟禁は一時的な後退にすぎない。中国は以前として民主化の途上にある。この追放は過剰反応だ。わたしたちは鄧小平率いる「穏健な」派閥を保護しなければならない。鄧は米中が乗った船を正しい航路に戻すだろうし、船は今後も凪いだ海を穏やかに進んでいくだろう、と。 P.171(中国のアメリカ研究所にて) たたしは数冊の書籍と論文を渡された。中国を包囲し妨害しようとする、ジョージ・W・ブッシュとバラク・オバマの計画について概説するものだ。海洋資源の強奪、シーレーンの妨害、領土の分割、中国内部の反逆者の支援、暴動・内乱・テロの扇動、空母からの攻撃、といったことが述べられていた。中国の指導者が書き換えた過去の歴史と同様に、彼らが描く未来図の憂慮すべき点は、アメリカについて嘘八百を並べていることではなく、それを描いた人々が自らのプロパガンダを事実だと思い込んでいることである。 ジョン・タイラーからバラク・オバマにいたるアメリカの歴代大統領が中国の戦国時代の教えを学び、それに従って中国を支配しようとしているなどということは、到底あり得ないとわたしには思えた。しかしその後、多くの中国人が、そのような中国古代の教えを普遍的な真実と見なしていることをわたしは知った。 P.188 ウィリアムC・トリプレット2世は上院外交委員会の前顧問で、中国に関する2冊の本を共著し、アメリカの親中派を表す「レッド・チーム」という新しい言葉をつくった。実際のところ、レッド・チームの大半は、人民解放軍の共産党的本質を理解できていないか、あえてそれを無視しているかのどちらかだ。 P.196 中国を研究する学者たちはかねてより、中国に関して最も正しいことを述べているのは、中国への入国ビザ発行を阻まれている学者、記者、著者だと知っていた。ビザ発行を拒否されていないのは、意識的にであれ半ば無意識にであれ、中国との接触を保つために妥協している人々だ。 P.272 中国には、アメリカ人が考えるような個人の権利は存在しない。文学者のリディア・リウ(劉禾)によると、1860年代にマーティンという名のアメリカ人宣教師が、国際法の教科書を初めて中国語に翻訳しているときに、中国語には「right(権利)」に相当する言葉がないことに気づいたそうだ。そこでマーティンは「権(強制力の意)」と「利(利益の意)」を合わせて、「権利」という新語を作った。(中略)中国を広範にわたって研究しているふたりの国際ビジネス戦略家が言う。 「中国では、人間であることは、より大きな人間社会の一部であることなのです」 中国の憲法には、言論の自由、結社の自由、宗教の自由について多くのことが書かれているが、実際のところ、これらの権利はほとんど保護されていない。 何十年もの間、中国政府は国民の個人的権利を認めていなかった。そして国が強くなるにつれ、国外にいる中国人の権利にも干渉しはじめた。 P.292 国連と同様、世界貿易機関(WTO)も、今日的意味を失いつつある。WTOは、かつて自由貿易と自由市場を促進するルールを作るために生まれたが、今は新興市場のクモの巣にからめとられて動けなくなっている。とりわけ中国がWTO加盟時に約束したことをなかなか実行しようとせず、市場アクセスの自由化を進めようとしないことが、WTOの信用を損なっている。中国はこうした戦略をとりながら、依然として貿易交渉では先進国により多くの譲歩を求めている。(中略)もし中国が国連やWTOを弱体化させるのに成功すれば、古い秩序の威信を失墜させて、新たな秩序を築くという、その目標を達成したことになる。 P.314 日本の軍事情勢について中国が常に否定的な見方をしてきたわけではないということだ。1970年代、中国は日本に対して、防衛費をGNPの1パーセントから3パーセントに増やすように助言した。1978年、鄧小平は日本からの代表団に「日本の自衛隊の増強に賛成だ」と語った。当時の中国は、ソビエトに対抗するために、新しい同盟国を探していたのだ。しかし、10年後、勢は変わり、1988年、国家安全に関する鄧の助言者である宦郷は、日本を激しく避難した。 日本の民主主義はぐらつくのではないか、という疑念が中国には根づいている。多くの中国人学者は、現在では日本の右派の大半は「日本国憲法を修正し、古い天皇制を復活させたがっている」と考えている。中国人アナリストは、日本の政治家が靖国神社に参拝することを繰り返し批判する。(中略)アナリストたちは、参拝は「中国への侵略を勧める日本人の精神を一つにまとめる」目的で利用されている、と書く。 P.357 中国がアメリカの戦略を讃える記述には、アメリカは勢をうまく利用するとか、無為をなすとか、他国の力を借りる、と言うように、中国古来の戦略の概念が用いられることが多い。(中略)中国の戦略は、西洋の歴史的な成功と古代中国の皇帝の盛衰を学ぶことに基づいている。中国の戦略に、精密なロードマップや、タイムテーブル、詳細な青写真といったものはない。態勢を整えておいて、好機が訪れたらそれを逃さない、というのが本質だ。
0投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログ【中国、世界の頂点に向けて…?】 筆者はアメリカの元政府関係者でもあった外交戦略家。書かれたのは2015年、原書タイトルは中国の100年マラソン。 2049年は、共産党成立から100周年のとして、その年を目指した中国の長期的な世界の覇権獲得へ考え方、アプローチが書かれている。 中国のナショナリスト・タカ派の理論こそが、中国の外交アプローチを真に決定づけているものである、とし、中国の歴史を遡って戦国時代の思想家・戦略家の考え方を理解することで、現代中国の世界派遣に向けた長期戦アプローチが見えてくるとする。孫氏や三国志のエピソードが引用されている。 全力でアメリカの視点から書かれた本であること、また10年近く前に書かれた本であり、彼の打ち出した出版当時の新規性は、現在ではより普及しているように思う。だからこそ、彼の著作は的を得ていただけではなく、思考枠組みを提供し、議論をさらに活発化した意義のある著作であったのかと思う。 日本では、中国の王朝の歴史や、国語・漢文などでも習う言い伝えや思想、日本の文化にもある程度共通する部分もある考え方などは馴染みのあるものが多いけれど、アメリカとしては、まったく遠いものであったりするのかな、と読んでて感じた。 大学で中国の政治について学んだ時も、中国は過去の屈辱を根に持っていて、世界の覇権の復興のために進めているといったことを学んだけれど、まさにそのアプローチが、日米関係の近代史と共に論じられていた。 もう一点思ったことは、中国語は翻訳が難しい、と書いていたけれど、一つの言葉や漢字について、エピソードを含めた深い意味を持っている言語である点、漢字は非常に含蓄のある言語であると改めて思った。
0投稿日: 2024.02.15
powered by ブクログ拡張の論理、成長軌道の必要性について考える。 脱成長、資本主義の限界、持続社会というようなキーワードが散見され始める中、国家はGDP成長率を求め、株主に対し企業は利益拡大を約束し続ける。人間社会のレースは、相手が成長する限り、立ち止まったものは相対的弱者となり、組織は支配欲を根底に持つから、この防衛本能において成長志向は止まらない。 防衛のための競争。それゆえの成長。だから、競争の構図を読み解く事が人間社会においては、原理原則の出発点となる。国家として、一時的にもこの覇者となり得たのがアメリカ。しかし、圧倒的なはずの覇権国家に対して、二番手以下の利害思惑がバグのように溜まり、トゥキディデスの罠が進む。つまり、覇権国の移り変わりだ。 中国人は馬鹿ではないので、自国に自由な報道が無いことや、国策逮捕が横行し司法が成立していない事、自分たちの財産や人命の不安定さをよく理解している。その上で、民主主義に強く憧れている訳ではなく、大多数は、大胆な事は望まず、平穏無事に家族が健康で飯が食えれば、現状維持で構わないと考えている。大衆の無気力化だ。民主主義を剥奪された香港とは経験が違う。 ならば、完全に大衆をコントロールしている中国が敢えて更なる拡張を望むのは何故か。覇権国からの支配に怯え、備えているという理屈だ。それを韜光養晦という言葉が象徴するように、極力下心を目立たせずに戦略的に力を備えてきた中国に騙されるなよ、と警鐘したのがこの本だ。今や、中国を弱者扱いする識者は減ったが、日本でも、つい最近まで中国を下に見る論説は存在したし、それがナショナリズムを活気づけ、本屋は右傾化したタイトルで溢れていた。 本著の2049とは。中国共産党革命100周年の年、2049年までに、世界の経済軍事政治のリーダーの地位をアメリカから奪取すると言う計画の事だ。100年マラソンなのだと。太子党やらの派閥争いは最早方がついたのだと思うが、独裁を誤魔化す詭弁だろう。個人ではなく、民族のため、寿命を超えた年数の計を装う。派閥争いに対し、長期計画こそ超党派を導く事を熟知している。株主に迫られ中期計画を策定するお遊びとは違う。スローガンの本当の意味は、正当化にある。 覇権国家の暴走を止めるのも、二番手以下の役割。アメリカならば国民の内なる正義により制御もできそうだが、その声を統制した国ならば、歯止めが効かない。大衆は愚かかも知れないが、一般意志では自分たちの安全を第一に考えるから、それが抑止力となるのが、民主主義の少ない利点であるはず。この防波堤がない国家が覇権国となり、新秩序を形成するのは、極めて危険だ。支配者階級の都合によるジェノサイドが進む。
14投稿日: 2023.09.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
今後の数十年間に延々とつづくのは、戦争や領土侵略ではなく、経済、貿易条件、通貨、資源、 地政学的協力をめぐる攻防だろう ①勢をうまく利用する ②無為をなす ③他国の力を借りる 態勢を整えておいて、好機が訪れたらそれを逃さない。 肝に命じておこう
0投稿日: 2022.08.06
powered by ブクログChina 2049というタイトルのとおり、2049年に向けての百年マラソンを含めた、中国共産党や中国人(のタカ派)の真意、行動のとり方の話がメインの本である。 ただ、それらの話は参考にはなるものの、大部分の日本人としては目新しい話ではないと思う。 それよりも、中国に対する米国の関わり方の歴史や、それに対する中国の反応の仕方の変化(本質的には何も変化はなく、表面的な態度の変化があっただけかもしれないが)、相互の(というよりはほぼ米国側のかもしれないが)ミスコミュニケーション、こういった話の方が興味深かった。 日本より格段にレベルが高い米国のインテリジェンス能力も、中国に対してはあまり機能していなかったことがよくわかる。 これはやはり言葉の違いが大きいからか。 細部の誇張や信頼性についてどうかと思う情報源の引用等はあるものの、著者が米国の当局者の一人であったため、米側の中国との関わりの部分については、公開できる真実が語られていると考えられ、その部分だけでも読む価値は十分あると思う。
0投稿日: 2022.04.24
powered by ブクログ親中派から転向した著者が、中国の古来からの思想に基づく長大な覇権戦略と、アメリカがいかに誤った対中認識を持ち政策を行ってきたかを述べる。
0投稿日: 2022.01.22
powered by ブクログ中国の恐ろしさがアメリカの中国戦略専門家の、目線で描かれてる。 100年マラソンの先のデイズトピアが隣国としてあまりに恐ろしい。90%が日本人を嫌っていて、日本大丈夫だろうか?
0投稿日: 2021.01.30
powered by ブクログチャイナの「世界覇権100年戦略」について、元CIA長官で親中派であったマイケル・ピルズベリーが詳しく語っている。 チャイナが世界の覇権を握るべく何か長期的戦略を持っているのは漠然と知っていたが、その戦略は孫子の兵法など古典的なものに沿っているといった細かいことまでは知らなかった。 アメリカはチャイナの野望に気付きいてそれまでの宥和的態度を一変させ、現在ではトランプ大統領が対中制裁などを行なっている。日本はアメリカと協力して対中政策をしっかり取ることができるのか、安倍政権以後の日本政府の動きに注目しなければならないと思った。
1投稿日: 2020.09.02
powered by ブクログ中国への間違っていた前提 1、完全な協力が得られる 2、中国は民主化への道を歩んでいる 3、中国経済は崩壊する 4、中国はアメリカのように成りたがっている 5、中国は世界の覇権を狙っていない(実際は、中国共産党の100周年である2049年までに、世界最強国家の座を握ろうとしている。) 中国ならではの戦略思考→戦国時代の思想・策略を、そのまま現代の指導者が踏襲している その策略とは ①敵の自己満足を引き出し、警戒態勢を取らせない ②敵の助言者をうまく利用する ③とにかく待つ。数十年以上待つ。 ④戦略目的のために敵の考えや技術を盗む ⑤長期の競争においては、軍事力は決定的要因ではない ⑥覇権国は極端で無謀な行動を取る ⑦勢を見失わない ⑧自国とライバルの相対的な力を測る尺度を確立し、利用する ⑨常に警戒し、他国に包囲されないようにする 中国の歴史を要約すると、「外では温厚に(儒教的)、内では容赦なく(戦国的)」 中国の策略家は「勢」という概念を理解し、活用している。これは状況を読み・形成し相手を囲い込むための創造性だ。 中国は、対ソ連のためにアメリカと協力すると見せかけ、アメリカの力とテクノロジーを利用し、自国を増強していた。レーガンが中国を戦略上の対等なパートナーとして扱った。 鄧小平は天安門事件を、中国のアメリカ化による結果だと信じた。中国の安定を揺るがすものだった。国のイデオロギーと教育カリキュラムからマルクス主義を外し、強大なナショナリズムを掲げようとしていた。 中国大使館誤爆事件を受け、対反米感情が露出し始めた。 アメリカは、天安門事件は中国の一時的な事件に過ぎず、いずれ民主化が進むと考えた。この期に及んでも鄧小平はハト派だと思っており、噴出する対米感情は年寄りの過激なタカ派の仕業と信じていた。いずれ死に絶えて中国はハト派になるだろうと思っていた。 ここから中国の誤った歴史教育が始まる。具体的には、世界大戦から現代に至るまで、アメリカは中国を侵略するため悪辣な対中政策を繰り返し、中国がそれを退けているというもの。多くの中国人が、このプロパガンダを真実だと信じている。 100年マラソンの勝敗は、中国のイメージを形作るプロパガンダが、外国のメディアを利用して上手く行くかどうかにかかっている。 中国の指導者は、外国の中国に対する見方を操るため、国内に流れるメッセージを管理している。そして、外国に流れる情報を内からコントロールしている。 孔子学院という中国語と中国文化を教える学校を外国に建て、プロパガンダのPR活動をしている。 中国上層部は、アメリカが中国を封鎖し分断しようとしている、と「本気で」思っている。そのために軍備増強をしている。 殺手カンというものは、自国より強い国の急所をついて勝つための非対称兵器である。それが破壊する兵器よりはるかに安価で、敵の軍事行動開始を遅らせ混乱させる意図を持つもの。EMP兵器のような、電子機器の無力化を狙ったもの。米軍は軍の兵器のほとんどを人工衛星に頼っているため、これを無力化するのに役立つ。 敵の情報システムや最新システム、兵站システムを無力化するための設備を、中国は持っている。 人民解放軍のある部隊が、企業や国際組織や外国政府を含む141以上のネットワークに侵入している。 【経済発展】 中国の成長を促進しているのは、中国のGDPの40パーを占める国有企業に、国から政策的に与えている助成金である。中国は国有企業の数が多く、民主主義とは程遠い状態にある。中国の指導者たちは、中国の経済と安全保障に必要な主要産業を正しい方向に向かわせるためには、政府の支配が必要であると考えている。 【中国が覇権を取った2050年の世界では】 ・ネットの検閲が進み、他国の国民が見るものにも検閲が及ぶ ・アフリカの途上国への支援を通じて、現地に独裁政権を強化していく ・アメリカの敵と同盟を結ぶ ・水質汚染と大気汚染が深刻化する ・外国企業の自国からの締め出しと、IP窃盗 ・国連とWTOの弱体化、中国主導の新たな貿易圏の拡大 ・大量破壊兵器の輸出 今後は、戦争や領土侵略ではなく、経済・貿易・通貨・資源・地政学的協力をめぐる攻防が起こる。 中国を止めるためには、中国国内の民主的で文明化された社会集団を支援し、中国流プロパガンダを切り崩していくことが効果的。また、同盟諸国やパートナー諸国と連携を結び、法に違反する行為をした際には、世界から孤立することを「分からせる」のがよい。
0投稿日: 2020.06.07
powered by ブクログCIAの職員として、中国と友好関係を結ぶために長く働いてきた著者の自伝のようなもの。 悔恨の書というか懺悔の書というか、個人としてはそのような趣きがあるとしても、政府が発刊を許したのは、ここから反撃を始めるぞ、という狼煙の役割もありそう。 米中の橋渡しが著者の仕事だったとは言え、日本の姿がまったく見えないこの半世紀の記述である。 せいぜい尖閣でのせめぎあいなど、チャイナが牙を見せ始めてからの一例として登場するくらい。 この存在感のなさが「戦後レジーム」なのだな、とつくづく。 また、チャイナの側も日本のことなどまったく歯牙にもかけていないのが伺い知れる。 それは、別にチャイナのGDPが膨張したここ十数年とかの話ではなく、中ソ関係が険悪だった1960年代であってもそうなのだ。 日本が、世界第二位の経済大国とか威張っていた時代にあっても、チャイナは日本を都合よく搾取する対象としてしか扱っていない。 そのために工作に勤しみましょう、というわけで、日本の地位を奪うとかそういう意識はない。 今、結果として日本を抜いた状況にあるだけ。 当たり前だが、目線は米の覇権にのみ向いていて、そのための100年なのである。 さて、そのチャイナの100年の戦略を知ってしまった今、我々はどうすべきか。 チャイナの膨張はどうやら習近平だからどうという問題でも無いとなれば・・・。 その答えも春秋時代の戦略に学べ、というのが著者の結論。 やっぱり、古典は大事ですね、と。 以下、読んでいて驚いた点。 ソ連の高官たちが、割と早い時期に自国の没落を覚悟していたこと。 チャイナに気をつけろと米国人である著者に忠告していたこと。 天安門後も米の対中政策に変更はなかったこと。 リー・クアンユーについて紙幅を割く著者だが、マハティールについての記述は無し。
1投稿日: 2019.12.05
powered by ブクログ覚えているだろうか? ほんの10年前までは、日本は世界第2位の経済大国だった。今や中国は日本をはるかに追い越し、世界一の座を耽々と狙っている。 この躍進は、世界の工場として海外からの設備投資が集中し、その後、豊かになった国民による内需が拡大したため、といった経済的な説明もできるのだが、実は、中国政府の長期的な戦略に基づく周到な計画のたまものである。 100年マラソンといわれるこの戦略は、西欧により中国は搾取されてきた雪辱を果たすため、毛沢東時代から秘密裡に実行されてきた。 「孫子」「戦国策」といった中国古典においては、謀略を使い、戦わずして勝つことが美徳とされる。100年マラソンにも、この思想がしっかり息づいている。 私たちは、だまされているのだ。 民主化、自由経済を目指していると信じさせ、技術情報を盗み、着々と武力を整え、気づいたときにはもう手遅れ… 本書はCIA諜報員として長年中国を研究してきた著者による、スパイ小説さながらの見聞録である。本書を読めば、国と国の競争とはどういうことなのか、民主化・自由経済の理想がいかに脆弱なものか、思い知らされる。
1投稿日: 2019.03.04
powered by ブクログ親中派の著者(マイケル・ピルズベリー)が、中国の軍事戦略研究の第一人者となり、親中派と袂を分かち、世界の覇権を目指す中国の長期的戦略に警鐘を鳴らすようになるまでの記録。 以下、本書より元防衛大臣・森本敏氏の解説。 本書は米国における中国専門家として著名であるばかりでなく、米国政府の対中政策に最も深く関わってきたマイケル・ピルズベリー博士の中国論。 ピルズベリー博士は実際、本書の中で「ニクソン政権以来、30年に渡って政府機関で働いていた中国の専門家として誰よりも中国の軍部や諜報機関に通じていると断言できる」と自負している。 その本人が本書の冒頭で、米国は中国の国家戦略の根底にある意図を見抜く事ができず、騙され続けてきたと告白する。 この告白は衝撃的である。 我々はこれほど中国に精通し、中国要人と交流のあった同博士でさえ中国に欺かれ続け、それを知らずに歴代米国政権が対中政策をピルズベリー博士の助言や勧告に基づいて進めてきた事実を知って今更の如く愕然とする。
0投稿日: 2018.12.22
powered by ブクログ原題はthe hundred marathons 100年マラソン。 アメリカのインテリジェンスに籍を置いていた中国専門家による中国の戦略に警鐘を鳴らす一冊。 はっきり言って、翻訳がイケてなく読みづらい。だがそれも、中国文化・歴史観に全く馴染みのない欧米人が読んだときの「捉えどころのなさ感」を共有する舞台装置、ともとれる。 三国志など色々な中国歴史古典に親しみ、文化的にも近い我々からすると然もありなん、なところもあるが、全く文化的親和性のない、歴史の浅い、欧米人には、きちんと言葉で説明されてもなかなか理解しづらいのではないだろうか。 著書自身が中国に対する評価の転換、自らの分析や判断の誤りを認めるまでそれなりの時間と判断の紆余曲折を経ていることからもそれは想像に難くない。 思うに彼の国は、表面の事実だけでは判断がつかない。1949年の建国で政体こそ変わったが、それ以前から脈々と続く(ほぼ)単一民族の営みと歴史を踏まえて、現在の情報を判断する必要がある。日本人なら彼らの近いところでそれができるかもしれないが、もう日本の知中派はパンダハガーとして取り込まれてるのかもしれない。
0投稿日: 2018.10.24
powered by ブクログアメリカの親中派だった著者が、中国の長期的戦略に警鐘を鳴らすようになったという趣旨の本。 ようやくアメリカも気づいたか !! 韜晦 (とうかい)=自分の才能・地位などをつつみかくすこと。形跡をくらましかくすこと【広辞苑】 という言葉が東洋にはあるんだが、 和英辞典で引いても出てこない。 毛沢東の愛読書は『資治通鑑』(中国の歴史書)であった。 欧米(最近は日本も)は、ユダヤ人的の短期的金儲けの視点から四半期決算などと、あまり意味があるとは言えない行為にふけっているが、中国は100年単位で考えている。
0投稿日: 2018.03.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
350ページにもわたるこの大作、読むのが大変な人は後ろの解説を読むとだいたいわかる。それにしてもホメイニの革命を見誤ったとしても、中国の覇権意識を見破れなかったのは、アメリカのインテリジェンス、ちょっと理解が足りないんじゃないのと思わざるを得ない。実際ソ連はすでにそれが分かっていたわけだし。どうでもいいけど、ちょいちょい挟んでくる故事が面白い。こう思うと中国人って昔からぬかりない戦争観をもってるんだなとあるいみ関心。まあさまざまな異民族の侵入に苦しまれていたから自然とそうなるのかな。
0投稿日: 2017.12.13
powered by ブクログ是非読んでほしい。特に政治に関わる人には。 中国とアメリカの力関係を冷静に分析した本。 今後、中国がどこに向かうのかを踏まえ、しっかり処方箋を提示している。
0投稿日: 2017.11.28
powered by ブクログ中国が1949年から100年かけて世界の勢力のトップになる計画がある事、著者の元アメリカの対中国の防衛政策担当が親中派だったせいか読みが甘かった事など過去の中国に対する政策失敗例など盛り沢山。孫子の兵法の教えは今も生き続ける。ここからは自分の考えだが、中国の総人口を考えてみても、民主主義に変えてしまうのは、自己中な気質からして国をまとめる立場の人間からすると上手くいかないのを知っている気がする。だから永遠に中国共産党のまま、民衆を政府の監視を置いておき政府は尖閣諸島や日本の西側を好き勝手にやり続ける。これは日本やアメリカの国力を見越しての行動とは思う。習近平の言動は奥に秘めた本質を見抜かないといけない。
0投稿日: 2017.10.25
powered by ブクログ中国の国家戦略の実像と、それをアメリカを始めとする西側諸国(日本などその同盟国・友好国も含む)が致命的なまでに見落としてきたことを明らかにする。 「勢」を読むこと、すなわち①他人をだまして思いどおりに動かし、そして②最大の好機をじっと待つことが、中国の戦略観の核をなしている。 著者が鳴らす警鐘を真摯に受け止め、各国が毅然として行動しなければ、遠からず、情報統制・言論弾圧、兵器の拡散、深刻な環境汚染etc.が蔓延した、中国を覇権国とする世界秩序が現出しかねない。
0投稿日: 2017.08.31
powered by ブクログ【188冊目】元々はpanda huggerと呼ばれる親中派だったという著者。しかし今は、彼の国が、100年マラソンと呼ばれる計画を密かに抱え、アメリカに自らの覇権国家への志向を悟られないように、か弱き国を装って色々な支援を引き出していると認識している。そして、そのときに利用されたのがpanda huggersだという。だから著者は、まずは彼の国がアメリカを倒して覇権国家になろうとしているという正しい認識を持つことから始めよと提案する。 翻訳が上手で読みやすかったよ……
0投稿日: 2017.05.06
powered by ブクログ政治的な話題はさておき、これはこれで参考になった。 中国に対しては、大きく二つの切り口がある。 ・経済が成長し続けるのか崩壊に向かっているのか。 ・共産主義が続いていくのか資本主義化していくのか。 本作は、経済は成長し続け共産主義が永続する、というシナリオで論じられている。
0投稿日: 2017.04.05
powered by ブクログ中国共産党が中国を支配してから100年越しでどんな計画を持って世界をリードする大国になろうとしているかというのが米国の専門家によって語られている。中国は皆が信じ込まされているように弱く儚くもないし、民主化へ進むこともないし、タカ派も強いし、中国古典からの教訓に基づき淡々と世界の覇者への地位を狙っている。この現実は西側諸国の指導的地位にある人間は認識しとかなければならんな。
0投稿日: 2017.01.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
p.10中国を助けたいという願望と善意に満ちた犠牲者という中国の自己イメージ作り p.11 中国語の音節は405と少ない(英語は1万)ので誤解の種も多い。意味が曖昧で誤解を招きやすい概念がある p.21 中国の策略は自分の力を使わないためのもの(対して、西洋の策略は自分の力を最大限に発揮するために使う) p.22中国共産党革命100周年に当たる2049年までに世界の経済、軍事、政治のリーダーの地位をアメリカからダッシュする計画。100年マラソン計画 p140まで読んだ p34 中国要人の愛読書 資治通鑑 p.60マラソン戦略の9つの要素 p.65 中国のスパイ作戦は大規模な兵法の一部 p.92覇の概念=世界に軍事的秩序をもたらし、力をもってライバルを排除し、やがれそれ自身が力によって排除される p.133まで読んだ
0投稿日: 2016.12.17
powered by ブクログ中国は1949年から100年をかけて、アヘン戦争前の覇権国家の地位を取り戻そうと誓った。そのために、軍事的な拡張ではなく、自らの覇権国家への野望を隠しながら筆者のような親中派を作りアメリカから支援を引き出し、国力を増強し続けた。中国は(日本のように)西洋の名誉会員としてではなく、中国として西洋に認められようとしている。それは、資本主義と民主主義を中国が受け入れないということである。彼らの戦略も西洋風の数値目標をたて綿密なロードマップをしくものではなく、中国古典や英米や米ソの歴史に学んでいる。孫氏の影響が強く、体制を整え、勢いに乗じて一挙に覇権を奪うことを画策している。
0投稿日: 2016.11.26
powered by ブクログ中国の野望について警告する書。書いてある内容はにわかには信じられないものだ。中国共産党による国家樹立から100年、2049年に中国が世界の覇権を握る計画があるというものだ。確かに、最近の中国の言動を鑑みると、米国と伍するような状況になりつつあるようにも思える。本書は米国が引き続き覇権を握るためにどのようなことに気を付けるべきか警鐘を鳴らしている。では、日本はどうするべきなのかは書かれていない。米国の同盟国として、フィリピンやベトナム、モンゴルと協調することくらいしか書かれていない。米国が持つ駒のひとつという扱いだ。まあ、そこは軍隊を持たない日本なので、仕方ないかもしれない。ただし、日本が集団的自衛権の行使をできることを確認した昨今の動きは、むしろ、それらを含めて米国の対中国政策の一貫ではないかと訝ってしまう。本書を読んで、日本がCIAのような本格的な諜報機関を持っていないことが悔やまれる。このままでは、気がつかないうちに、中国の戦略にはまってしまう危険がある。なんとかした方がいいのではと危機感を持たざるをえない。
0投稿日: 2016.10.18
powered by ブクログ『China 2049』 ・中国(共産党)はいずれ崩壊する ・文革以降、中国は伝統を顧みない別の国となった といった認識をひっくり返す一冊。 10年以上、関連書籍が散々煽るも全く崩壊せずに成長を続ける中国。何かおかしい、騙されているのでは、という漠然とした感覚への解答。 プロパガンダと切り捨てるには腑に落ちすぎる。 アメリカは中国の姿を冷静に捉えていると思っていたが、日本と同様、いいように操られていたとは。 著者がアメリカの無謬性を何の疑問もなく展開しているのには引っかかる。日本から見ればアメリカも同じようなところはある。しかし、ニュースを見ていればどちらの脅威が大きいかは自ずと見えてくるだろう。 春秋戦国時代、囲碁。 超大国に囲まれた島国日本の処世術は実に難しい。
0投稿日: 2016.09.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
中国が空母を持ったのは、カモフラージュが目的のようにも思えてくる。 共産党政府が一枚板ではないが、タカ派が多数なのは確かだと言う。周辺に改革や自由化を純粋に擁護する人がいるので、それが誰かを突き止め支援するのが、情報機関の課題だというのが、著者の主張。
0投稿日: 2016.09.04
powered by ブクログかの国は怖い。 それを改めて印象付ける。 市井の個人でなく、米国の対中国情報分析の重要人物による分析で、過去、自分たちがうまく踊らされて来たことへの反省にも言及。 日本人が読めば、さもありなんと思える。 これに比べれば、米国なんぞ子供。日本に至っては人が良すぎて話にもならない。 この先、本当にどうなるんだろうね。
0投稿日: 2016.08.14
powered by ブクログ中国の雄大な構想と着実な実行力に畏怖を覚えます。情報の価値を知悉し、多方面での 情報戦を優位に進める現状。非対称兵器により米国の優位に立とうとする軍事戦略。2つのシルクロード構想やAIIB、SCOなど、これらは戦後、米国が作り上げた覇権システムの権威・信用を毀損し、新たなシステムで取って代わろうとする戦略です。“自ら支点を見つけ、地球を動かそう”という斬新かつ狡猾な野心です。ただ、私はミアシャイマーのいうように、先ずは地域覇権を確立させ、米国が英国にしたように米国の力を削いでゆくのだろうと考えます。
0投稿日: 2016.06.17
powered by ブクログ34頁:毛(沢東)は本を1冊だけ携えていた。……『資治通鑑』だった。 ・一冊本の『資治通鑑』などないと思う。 360頁:誰ひとり,国家機密を守り共産党の方針を指示するという誓い ・「支持する」?
0投稿日: 2016.06.02
powered by ブクログ現代中国を支える基盤となる同国の長期戦略について良く理解する事が出来た。日本は地理的に非常に厳しい位置にいる事を忘れてはならないとあらためて気付かされた。
0投稿日: 2016.05.22
powered by ブクログ著者はアメリカの政策に大きな影響を影響を与える人で、元々は親中派だったのが、現在は中国に大きな懸念を持っている人です。要旨は、中国は共産党設立100年となる2049年に世界を制覇するという超長期な目標を持ち(中国にはそのために100年マラソンという言葉があるそうです)、それを実現するためにはアメリカを追い越さなければならない、そのために世界(特に西側)の常識では考えられないやり方でその実現に向けて着実に進んでいるということです。本当だろうかと思いましたが、現在の中国を見ているとたしかにその通りかなという気がして恐ろしくなります。中国は現在南シナ海を軍事拠点化しつつありますが、その後には東シナ海に大きな行動を仕掛けてくるでしょう。
0投稿日: 2016.05.15
powered by ブクログすべてのアメリカ人に読んで欲しい本。日本人には、今さら何を? という内容。中国の野望なんて、南シナ海で行われていることを見るだけでもわかると思うが。
0投稿日: 2016.05.08
powered by ブクログ巻末の森本氏の解説にある通り、米国はその大国意識の故に、中国の意図を長年に亘り見誤ってきた。 共産中国であろうとなかろうと、中国は権謀術数にまみれた国なのだ。 この本は現代中国について書かれているが、半面米国の思考様式をよく浮き彫りにした本でもある。
0投稿日: 2016.04.23
powered by ブクログ・勝利を手にするまで、数十年あるいはそれ以上、忍耐する。 ・「鼎の軽重を問うな」十分な力を備え、敵に対峙できるようになるまでは、自分が敵であることを悟られてはならない。 ・挑戦者によって最悪の間違いは、好機が訪れる前に、覇権を握る強国と対立すること。皇帝が力を失い、同盟国に見捨てられた段階になって初めて、挑戦者はその真の目的をむき出しにする。 ・皇帝を操って、そうと気づかれないように自らの成長を後押しさせる。 ・皇帝を促して、挑戦者の野心を疑う皇帝の側近を処罰させ、利用できそうな側近を重用させた。 ・趙紫陽や胡耀邦が真の改革者であることをしらずに、鄧小平や江沢民が真の改革者と思っていた。アメリカにとって取返しのつかない過ちだった。 ・中国の国家戦略は中国人の歴史的知恵の産物。孫子の兵法や戦国策から導かれる「勢」という思想に基づく。 ・この論理を活用して、米国を操作し共産党革命100周年にあたる2049年までに世界の経済・軍事・政治のリーダの地位を米国から奪うことを狙っている。 ・胡錦濤は、台湾を征服するより「買収」するほうが楽で金がかからない。
0投稿日: 2016.04.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
米国の対中国外交の中枢に長くいた重鎮が、中国語の原典資料を直接読む、中国要人と会話する等で得た情報に基づいて考察した結果至った、中国の行動原理なので、説得力がある。我々がニュース等で知る事実のバックグランドにこの原理を仮定するとよく当てはまる。我々日本人の感覚でも中国人の上層部が考えそうなことのように思える。 それにしても、このまま中国を放置しておくと20年もしないうちに、その経済力は米国の倍以上になって、全世界は自由を許さない「悪の思考」の中国が牛耳るダークサイドになってしまうのかと思うと、なんともやりきれない。 でも、バブル以降の日本以上に「(特に中国は盗んだ情報で)ものまねはできても新しいことができない」人々で成り立っているので、一時トップになれたとしてもそれ以上、経済力を継続することはできないのではないかと思う。 むしろAIの活用程度のほうが各国の経済力の勝敗を分けるのではないかと。
0投稿日: 2016.04.11
powered by ブクログホンマかいな、と言う内容。何がホンマかいなかと言うと、アメリカが中国共産党政権の戦略について最近まで気づいてなかった、ということが。あまりにもナイーブ過ぎる。敢えてこの時期に対中政策の大御所がこういう本を出すということに政治的駆け引きが絡んでいるのかもしれないけど。本書にはいかにアメリカ政府が、中国の夢、覇権を狙う中国共産党に騙せれてきたかが細かく明らかにされてるんだけど、ちょっと長すぎる。正直、最後の森本敏の6ページぐらいの解説読めば内容は全て理解できると思います。
2投稿日: 2016.03.05
powered by ブクログ中国が虎視眈々と世界の覇者たる地位を築こうとしていることを教えてくれる本。過去(中国の歴史)の例に倣い、野望は表に出さず、2049年を目途に米国をしのぐ国づくりをしているのだそうです。 とはいえ、なぜ著者はこのことを、わざわざ本にしようと思ったのか。あえて口外しないという選択肢もあっただろうに、なぜ?というのが素朴な疑問。本にすることのメリットとは何か。 国レベルではなく、個々人レベルで中国(人)に気を付けろということなのか。 そうこうしている間に、北朝鮮は核実験を実施。中国はこれに遺憾の意をしめしているが、果たして本音は? ニュースを見る目が変わる、秀逸な本だと思います。
0投稿日: 2016.01.18
powered by ブクログこの本が米国政府の中国アナリストによって書かれてるというのがキモ。中国と西欧社会(日本も含む)の一番の違いは、観念/価値観と言うよりも、その時間軸だと思う。頻繁に政権や国家元首が変わる民主主義国家には、対処しきれない連続性の怖さと強さがこの国には厳然として存在する。共産主義を捨てた共産党一党独裁には、相応の意味があるという事だ。
0投稿日: 2016.01.15
powered by ブクログ中国は過去100年に及ぶ屈辱に復讐すべく、中国共産党革命100周年に当たる2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位をアメリカから奪取する100年戦略を実行している。 中国100年マラソンの9戦略 1.敵の自己満足を引き出して、警戒態勢をとらせない 2.敵の助言者をうまく利用する。 敵の指導者の周囲にいる助言者を味方に引き入れる事で、敵の土台をぐらつかせる。 3.勝利を手にするまで数十年あるいはそれ以上忍耐する。 4.戦略的目的の為に、敵の考えや技術を盗む。 5.長期的な競争に勝つ上で、軍事力は決定的要因ではない。 6.覇権国はその支配的な地位を維持する為なら極端で無謀な行動さえとりかねない。 7.勢を見失わない。 8.自国とライバルの相対的な力を測る尺度を確立し、利用する。 9.常に警戒し、他国に包囲されたり、騙されないようにする。 CIA発の「国家情報評価」は、中国の主張に基づいて、中国は朝鮮戦争に介入しないと断言したが、その数日後に中国は介入した。1962年にCIAは、ソ連はキューバにミサイルや核兵器を配置しないと予測したが、それはソ連幹部の嘘を真に受けたからだった。1979年には、CIA最高分析官が連邦議会において、イランの皇帝は権力を維持しており、アヤトラ・ホメイニがそれを奪取する見込みは無く、安定していると証言した。CIAは多くの間違いを犯している。 中国経済について、GDPの50%以上が国有企業。
0投稿日: 2016.01.07
powered by ブクログ最近の中国の強気な姿勢の背景にある戦略がよく理解できた。中でもアメリカがその戦略に気がつかず、中国に対し経済的、軍事的支援を40年続けてきたことは驚きである。
0投稿日: 2015.12.04
powered by ブクログアメリカではWSJくらいしか書評が載らなかったキワモノ本なので、買うまでもないと図書館で予約。4月20日読了。なんというか、438頁も費やしたプロパガンダ本。おそらくはオバマ政権の対中弱腰外交を批判したかったのだろうが、それよりもアメリカの中国理解の薄さには唖然とする。中国指導者は古典に学んでいるとしていくつも例示しているものは、日本では真面目に勉強した高校生レベルでも漢文で学んだ内容であり、例えば「呉越同舟」などというものは、その出典を「故事成語必携」とかいう参考書を使わなくても、教科書・副読本レベルで知っているもの。(最近は漢文は必修にしていない高校もあるようだが。)内容的にもアメリカ=善、中国=悪という、ちょっとお粗末なレベルのアメリカ人によくあるパターンの思考で埋め尽くされている。中国がアメリカを覇権主義国家として警戒しているのは過去の歴史からして当然で、いくつもの国の政府を転覆させており、近い例ではイラクのフセインを国ごと叩き潰している。外交で相手国に理解者を養成するのは当然で、日本だってほそぼそとではあってもアメリカの知日派と呼ばれる連中には多大の便宜を図っている。お粗末なのは、巻末の森本敏による「解説」と称するものであり、「日本軍と戦ったのは蒋介石軍であり、中国共産党軍ではない。」としている。じゃあ、帝国陸軍が悩まされた八路軍って、何だったのと突っ込みたくなる。Amazonの書評を見ていると、嫌中派には大喝采のようであるが、一定の意図を持ったトンデモ本だということくらい見抜かなきゃね。
1投稿日: 2015.11.11
