
総合評価
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powered by ブクログ1. 実物と像の関係 - 罠の存在: 実物と像の剥離は、常識が罠に捕らえられていることを示す。この罠は透明で見えないもので、日常世界を鮮明に見せる。 - 視覚の変化: 赤メガネや風邪による視覚や味覚の変化が、実物に影響を与えないことを示している。実物は変わらないが、像が変わるという現象。 2. 知覚と経験 - 間近さの認識: 実物と異なる見え方があるからこそ、間近さが生まれる。幻視や幻聴の存在も、実物と像の関係に基づく。 - 記憶の影響: 過去の経験や記憶が現在の認識に影響を与える。例えば、以前のオレンジの味を思い出すことが可能である。 3. 常識と哲学 - 常識の限界: 健全な常識は奇妙な旅を受け入れない。そのため、実物と像を別にする解釈が行われる。実物は目に見えるもので、像はその見え方に過ぎない。 - 哲学的当惑: 常識と哲学の分裂が起こり、人は自身の「身」と「心」を分けて考えがちである。 4. 科学の描法 - 独立した科学: 科学は哲学とは無関係に独立した描法を持ち、世界を知覚するための方法論を必要とする。 - 知覚語の排除: 色や形など、日常言語からの表現は排除され、幾何学的な用語が重視される。 5. 身体と自己の認識 - 身体の一体性: 「私」と「身」の分裂が問題視される。日常生活では両者は一体として感じられる。 - 感情と身体: 喜びや悲しみが身体の内側に感じられることは、錯覚である可能性がある。 6. 他者の痛みの理解 - 他者の痛みの推測: 他者の痛みを理解することは、行動を通じて推測されるが、実際の経験とは異なる次元である。 - 感情の移植の不可能性: 他者の痛みを直接体験することは不可能であり、他者の振る舞いからその痛みを読み取るしかない。 7. 正しさと現実性 - 正しさの基準: 正しさは実際の生活と関わり、命を賭けることがその基準である。 - 実在の概念: 実在とは、持続し続けるものとしての同一体制であり、長続きする持続が「実在」を形成する。 8. 名と命題の関係 - 言語の役割: 名前や命題は、宇宙の姿を表現する手段であり、異なる呼び方によってその姿が変わることを示す。 - 言語規則説: 言語は事実を表現する概念の間の関係を述べるものであり、論理法則は心理法則とは異なる。
0投稿日: 2025.03.07
powered by ブクログPOPEYE 2015年AUGUST Issue820 本と映画のはなし。 nakaban(画家)さんが紹介していた。
0投稿日: 2016.02.05
powered by ブクログ大森荘蔵さんのさんの本は以前読んだときあんまり面白くなかったのだが、これは違う。断然違う。超一級のおもしろさを持つ哲学書だ。 もとは別々の論文であったものを、著者自身がうまくまとめ直して一冊の書物にしている。とはいえ、後半の方とか、トピックは様々だ。 私が非常に興奮させられ、感銘を受けたのは第1部「物と心」である。この部分は難解さも心地よく、常識的な見方を覆すような、それでいてケレン味の無い緻密な論述に心奪われる。 大森は「感情、情念、気分といったものはわれわれを含めた世界の状況の中にあるのであって、その世界から分離された、しかもべったり世界にまといつく「心」にあるのではない。」(P120)と断じる。 彼は心(主体)と対象、対象と表象といった二項対立を徹底批判し、ものについては「立ち現れ」なる概念を提起する。もっともこの「立ち現れ」という概念につういては、おおよそわかるようでいて、敷衍の記述が物足りなくて完全には把握できない気がした。 また、そうした「近代の二元論」を超克しようとした著者なのに、なぜかうっかり「心身二元論」に簡単にはまってしまっている箇所もあった。 しかし「同一性」は必ずしも「同一不変性」が含まれるわけでは無いとして、変容を含みうる術語として「同一体制」なる概念を提起する辺り、なるほどと感心してしまった。 ということで、特に第1部は圧倒的に素晴らしく、また読み返したくなるような、知的魅惑に満ちた本である。いつかまた読みたい。
1投稿日: 2015.07.23
