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戦争の技術
戦争の技術
ニッコロ・マキァヴェッリ、服部文彦/筑摩書房
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総合評価

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    古代ローマの軍制を基盤に、マキャベリが考える軍隊の運用・編成について解説した本。ルネサンス時代あたりのイタリア人が考える理想の軍隊とはどのようなものか、参考になる。軍隊の並び等については単位付きで細かく指定があるので、付図を手がかりに読み進めると良い。

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    投稿日: 2025.05.28
  • ぼくのかんがえたすごい軍制

    『君主論』のマキャベリが考えた「すごい軍制」です。「戦争の技術」というタイトルからは戦術論的な内容を思い浮かべたとしたら、少し肩すかしを受けるかもしれません。 本書を読む前に当時の状況を理解する必要があります。マキャベリが生きたのは中世から近世への過渡期ともいうべき時代で、当時、戦争の主役は騎士から傭兵へと移り変わっていました。この頃の傭兵は戦争が終わると部隊ごと解雇されます。この解雇された傭兵隊が(生きるために)周辺の村や都市を襲うことがよくありました。これがイタリアに限らず当時のヨーロッパの大問題でした。そこでマキャベリは大好きな古典古代に範をとり、傭兵に頼らない市民による軍隊の創設を提案するわけです。市民なら自分の街を守るため仕事を休んで無給で戦うのは当然でしょ?訓練だってちゃんとするでしょ?……この前提から始まり、マキャベリは戦場での布陣や宿営の設営まで細かく指示をしています。主にギリシア・ローマの故事を根拠として。……この辺、無駄に指定が細かくて机上の空論感があります。 ところで、その後のヨーロッパの歴史から見ると、この問題に対する正解はマキャベリの提案とは正反対の所にあります。すなわち「傭兵を解雇せずに常備軍化する」です。香辛料貿易を独占し経済力をもったオランダが「正社員」化した傭兵を用いてスペインから独立できた理由として、あるいはその後イギリスがオランダを凌駕し、フランスを破りヘゲモニー国家となった理由として、マクニール(『世界史』シリーズ)やハワード(『ヨーロッパ史における戦争』)といった史家が指摘するところです。マキャベリは本書で「傭兵を平時も雇える国家は存在しない。破産してしまう」と、その可能性を最初に切り捨てていますが、本来すべきはどうにかして破産せずに傭兵を常時雇用する方法を探すべきでした。可能であるかは別として。 という訳で、間違った前提から出発した上にやたら細かく具体的な本書の内容は現実的な問題への処方箋とはなり得ないし、すべきでもないでしょう。一方で、当時の各兵種に対する考え方、特に大砲の扱いなどは非常に興味深いものがあります。純粋に史料としての価値は高いので、近世初期のヨーロッパの軍事などに興味のある方にはおすすめです。

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    投稿日: 2019.03.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    マキァヴェッリ『戦争の技術』ちくま学芸文庫、読了。政論で有名な思想家による「国家にとっての軍隊論」。原題はDell’ arte della guerraは「兵法指南」を予期させるが本書は「国民軍の作り方」。国民国家の成立には徴兵軍が必要不可欠。ある意味で共和主義者の真骨頂か。 市民自身が国防の最前線に立つのは国民国家に限定される現象ではない。その意味でマキァヴェッリは、古代の伝統を再生(ルネサンス)したとも言えるのが興味深い。「義勇兵」とは「ボランティア」。だれが動員するのか。極めてアクチュアルな話題です。 マキャヴェッリの全集は、02年に筑摩書房で完結。しかし、ここ数年、新訳が相次いでいる。権謀術数主義としての現実主義をマキャヴェリズム(、~リスト)として簡単に退ける論調が見られるけれども、そこへ矮小化させる前に、もう一度、原典を読まないといけないのではないかとは思った次第。

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    投稿日: 2013.02.28
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    良き制度を持つ王国とは、軍事に関することを除けば自分たちの国王に対して絶対の命令権を与えはしないものだ。ただ、軍事活動には迅速な決定が不可欠であって、そのためには統帥権が存在するはず。それ以外のことについては相談役に助言を求めずには何事もできるものではない。戦がなければ生きていけないとばかりに、平和時にも戦争を望む連中が国王のそばにいるとすれば国王の相談役たちとて恐ろしくてしょうがない。

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    投稿日: 2013.01.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    究極は、軍事力なくして国家は成り立たない。 同時に外交力もバックボーンの軍事力なくして交渉力を持たない。

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    投稿日: 2012.10.17