Reader Store
奇貨(新潮文庫)
奇貨(新潮文庫)
松浦理英子/新潮社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

7件)
3.8
1
2
2
0
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    津村紀久子の解説の後、何を追加で書けるだろうか。思ったことが、そのまま書かれていた。 本田さんと七島の寂しさや関わりや、人生の色々なことがリアルで曖昧な感覚だと思うのにくっきりと言葉で捉えられていて、胸に響いてくる。人との関係性のままならなさの共感とともに、希望も感じた。 松浦理恵子の小説には、女性があたりまえに肯定された世界があって、読んでいると心が安らぐ。自分の感性やものの見方ひとつで、私も小説世界の外でも、そんな世界に住めるのだろうか。今感じている不安や息苦しさは、他者目線で女性や自分を見ているからなのだろうか。

    0
    投稿日: 2025.05.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    村田沙耶香さんおすすめ本。恋愛関係になり得ない2人の不思議な同居生活の中で、芯のある七島の主張とそれを引き出す本田さんのやりとりが痛快。まず、こんな存在がいることが羨ましい。自分にとっての奇貨と出会うため、自分が誰かの奇貨となるためには、「自分」というものを持って正しく見つめ、更に曝け出さなくてはならないのだと思った。同収録「変態月」も、同性に対する性欲求が絶妙に仄暗く描かれていた。

    0
    投稿日: 2025.03.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    表題作は同性との友情に蟠りの有る男と厄介な女性に恋している女の同棲の話。奇貨に喩えるほどの人間関係は寧ろ喪失してから価値が上がるのではなどと思ったりした。私も友人をなかなか作れない上に恋愛が分からないので本田を可愛く思ったり憎らしく感じたりした。「変態月」は『僕はかぐや姫/至高聖所』をどうしてか思い出した。吐息の打つかるような親密さを私は少女より潔癖に忌避し続けている。

    0
    投稿日: 2024.03.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    変態月、読み終わってからめちゃ昔の作品てことを知ってびっくりした。 令和でも昭和でもおんなのこはそんな変わんない。

    0
    投稿日: 2022.01.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    29.7.4読了。 2話を収録。1話目が45歳のおじさんと35歳の女性とのルームシェアの話。かいつまむと男女の友情は成り立つのか…!?みたいなテーマか。おじさんの嫉妬はちょっと気持ち悪かったけど、お互いを分かり合える(おじさんにとっては『自分をわかってくれる』っていう一方的なものだったような気がするけど。)存在の貴重さったらないですよね。 2話目の方が面白かった。登場する事件は狂気的だったけど、主要登場人物4人はとてもピュアでムズムズしたー。ラストがちょっと暗雲。

    0
    投稿日: 2017.07.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    久々に松浦理英子を読んだけども、めっちゃ面白かったぞ。このおっさんはひどいへんたいだと思ったけども(←)こういう人間関係も純文学でないとなかなか味わえない。あと思ったんやけど、松浦理英子は男性の一人称も描くのね。 後半の「変態月」も面白かったです。思春期だなあ。地元が近いからか方言に親近感。

    0
    投稿日: 2017.05.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人との関係性は自分でも認識しにくい。けれど、認識しにくいことは豊穣さを示してもいて、キャッチコピーがその短さゆえに情報量を削るかわりに伝わりやすくしているのと、ちょうど反対側にある。

    0
    投稿日: 2016.05.25