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アメリカン・スクール(新潮文庫)
アメリカン・スクール(新潮文庫)
小島信夫/新潮社
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総合評価

45件)
3.9
13
12
9
3
1
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    時代背景に理解がないから、読むのにすごく時間がかかった。 戦時中の兵士たちってほんとにこんな感じだったんだろうなぁ。意外にも緊張感がないような、でも軍隊だから厳しい序列があって、現地の女を買って…。星が偉いのか人が偉いのか分からなくなって。どんな組織の中でもいじめの対象ができる。 わたしからすると全部ツライ。 戦後の題材の、汽車の中、アメリカン・スクールはさらに理解が難しくて、ふーーーん?となってしまった。スポットが当たる人がいずれも日本人っぽいと言われそうな押しの弱いなのだけど、周りに振り回されてる…。周りも周りでアメリカへの歪な気持ちだったり、私利私欲に飲まれてて、ああ混乱の時代だなぁと思ったりした。 微笑は今でもそうだよな、という話だった。 馬と鬼は時間切れで読み切れず。

    11
    投稿日: 2025.02.03
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    なんの前情報もなしに読んだけど、面白くてびっくりした。特に『小銃』『星』『馬』が好きです。『馬』ではうだつが上がらない男が妻に対して色々思うとこがあり不満などを漏らしてるけど、どうせこんなヘンな世の中なんだから咎めることできないよね~とか言っちゃうあたりがこの男の魅力を最大限引き出してる気がする。 そう思うと、どの作品の登場人物もみんな特徴的で面白い。

    11
    投稿日: 2025.01.24
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    終戦後、アメリカンスクールに視察に行く教師たちを描いた表題作他7篇。自意識、劣等感、優越感などに塗れている人ばかり。(日本人あるある?)何度か読んでいますがその度に、日本は敗戦国なんだと思わずにはいられない。

    2
    投稿日: 2024.10.06
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    著者、小島信夫さん、ウィキペディアによると、次のような方です。 ---引用開始 小島 信夫(こじま のぶお、1915年〈大正4年〉2月28日 - 2006年〈平成18年〉10月26日)は、日本の小説家。中国から復員後、教師を経て『小銃』で文壇に登場。「第三の新人」の一人と目されるも、抽象表現を帯びた前衛的手法の作品に独自の道を拓いた。評伝や文学論でも活躍。日本芸術院会員。文化功労者。位階は正四位。 ---引用終了 で、「BOOK」データベースによると、本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 アメリカン・スクールの見学に訪れた日本人英語教師たちの不条理で滑稽な体験を通して、終戦後の日米関係を鋭利に諷刺する、芥川賞受賞の表題作のほか、若き兵士の揺れ動く心情を鮮烈に抉り取った文壇デビュー作『小銃』や、ユーモアと不安が共存する執拗なドタバタ劇『汽車の中』など全八編を収録。一見無造作な文体から底知れぬ闇を感じさせる、特異な魅力を放つ鬼才の初期作品集。 ---引用終了 まず、表題作は、芥川賞受賞作になりますので、その前後の受賞作を確認しておきます。 第31回 「驟雨」 吉行淳之介 第32回 「アメリカン・スクール」 小島信夫 第32回 「プールサイド小景」 庄野潤三  第33回 「白い人」 遠藤周作  第34回 「太陽の季節」 石原慎太郎 第35回 「海人舟」 近藤啓太郎

    35
    投稿日: 2024.09.13
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    戦後、軍で英語力を買われた筆者。アメリカ軍のアメリカンスクールで英語教師の同期と英語授業の研修に向かうが、学校まで6kmの道のりで靴擦れになってしまい、進駐軍のジープに乗ってアメリカ兵と話すのが嫌で、裸足で歩いてしまう。研修でも一人英語を話すのが苦手なため、様々なトラブルを起こしてしまう…。 おそらく筆者の体験からの短編集。軍の話、帰国してからの話が半分以上体験談であろう。冒頭の汽車の中での不思議な体験から、詰め込み型の独特の文章で読んでも読んでも読み進まない感覚を覚える。軍の話から読みやすくなり、『小銃』で軍の話はクライマックスを迎える。 後半作品ではがらっとカラーが変わり、子供が小児麻痺であることに気がついての苦悩『微笑』、なぜか家に引退した競走馬を飼うことになる『馬』など、純文学?と思わせておいて、夢野久作のようなオカルティックなネジ曲がった世界観の作品が2本。 自分の精神がおかしくなる、理解しているようで理解できない妻、子供がまともに育たないか死ぬことという、作者の感じている恐怖がじわじわと大きくなっていくというところを現しているのでは?という作品である。SFを読み慣れている人にとっては、必要以上に深読みしてしまう作品であろう。 いかんせん、全体に古い文体であり「~である」「~である」とぶつぶつ切られ、戦中戦後直後の風俗と価値観に加え、後半になるほどじわじわとねじれていく世界に、楽しんで読めるというほどの理解が追いつくのは難しいだろう。 そういうのが好きな人向けである。

    1
    投稿日: 2024.07.26
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    目次 ・汽車の中 ・燕京大学部隊 ・小銃 ・星 ・微笑 ・アメリカン・スクール ・馬 ・鬼 敗戦前の軍隊や終戦直後の日本を描いた短編集。 例えば雑誌で、たまにぽつりぽつりと読むのならいいのかもしれないけれど、一冊まるまるこれというのはちょっときつい。 『汽車の中』なんかはまだ余裕だったので、世間知らずの学校の先生が、初めて闇物資を買いに行って、なりふり構わない世間の人々に比べてあまりにも繊細な自分には生きる価値がないと思ってしまう姿を見て、共感したり突っ込み入れたりできたけど。 軍隊の中のいじめの話とかは、読んでいてもちょっと引いちゃったよね。 そんな中で『アメリカン・スクール』は、敗戦後の日本で、学校の先生たちがいかに混乱していたのかが、ユーモアを伴って切実に迫ってくる。 真っ先にアメリカに媚びる人、組織の体面だけを重んじる人、声の大きな人にただただついていくだけの大勢の人たち、目立ちたくないがゆえに逆目立ちしてしまう人。 そして唯一の女性。 彼女が、卑屈なまでに会話を拒否する伊佐に何を借りようとしたのか、が、思わせぶりに書いてあったけど、うーん…当時はこれで成功していたことになったのだろうか。 とはいえ、断トツでこれが面白かった。 あとは、妻主導で家を建てることになったものの、途中で夫が邪魔になれば精神病院に入院させ、気がつけば夫の部屋より立派な馬小屋を作り、馬の五郎を溺愛する妻に頭のあがらない夫の話である『馬』が面白かった。 夫が情けないのもあるのだけれど、妻がサイコパスですかってくらいやりたい放題で。 これだけはちょっと時代を超越していると思う。

    1
    投稿日: 2023.10.27
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    文は恐らく綺麗とは言えず、悪文寄りだが“凄み”のある非常に特殊な作家。 戦後特有の暗い雰囲気に包まれている本作だが、とにかく言語化が難しい魅力がある。 芥川賞受賞で有名な本作だが、是非他作の魅力も感じて欲しい。

    3
    投稿日: 2022.09.08
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    奇想天外な思想や行動力を持つ主人公たちだが、はっとするくらい切実な気持ちも持っている。 微笑とアメリカン・スクールが印象的だった。

    2
    投稿日: 2022.07.06
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    安岡章太郎の訃報を、たまたま訪れた書店で知り、衝動的に「海辺の光景」を買ってから、近代より少し新しく、僕よりは年上の、いわば両親くらいの年齢差の作家の作品を、折に触れて読むようになった。 古井由吉、庄野潤三、そしてこの小島信夫。 デビュー作の「小銃」の冒頭の銃を女性に喩えて描写している箇所を読んで、なぜか大藪春彦を思い出した。  銃の描写に大藪に通じるものを、感じたのだ。 他の諸作品にも、従軍して敗戦した戦争体験が、見え隠れしている。 大藪春彦には、戦争体験と敗戦の体験はあるが、兵士として従軍した体験はない。 そこに、作品の傾向の差を見るのだ。

    1
    投稿日: 2021.11.28
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    きわめて現代的。 戦中戦後がまるで近未来のように感じられる。 回避的性格の主人公は常にマウンティングを試みている。 ネガティヴに満ちた作品群だが、それは不条理でサイケデリックな匂いがする。

    0
    投稿日: 2019.10.10
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    昨年5月の不忍ブックストリート『一箱古本市』で、100円で購入した一冊。昭和50年6月発行の十刷。 王道的なレビューとすれば、「戦後」「アメリカ」「風刺」あたりのキーワードを使うということになるのだろうが、ワタシにはもうとにかく"イタイ"短編集という印象が強烈に。何が"イタイ"って、登場してくる男たちがのきなみイタイ。発言、態度、行動…どれを取っても、思わず「アイタタタ…」と突っ込みたくなるようなものばかり。例えば、このイタイ男たちはひたすら依存する。妻へ、愛人へ、物へ。そして、ブンブン振り回される。 ただ、思わず笑ってしまうおかしさがあるのは確かなのだけれど、喜劇のように腹の底から笑えるものでは決してない。この男たちが見せているのは、人間の性(さが)とか弱さといったもので、それは自分にもあてはまる部分がある…と、どこかで感じてしまう。これが腹の底からは笑えない理由なのでは。この短編集の不思議なおかしさの奥には、そんなものが垣間見えた。

    2
    投稿日: 2018.11.18
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    戦後間も無くの空気感を孕んだ小説は、今と価値観自体が違っていて面白い。 〝その中〟での情動が面白い。 いい作品は、それがとても生々しく読める。 中でも『微笑』が凄い。 こんなに抉られる小説は他に無い。

    0
    投稿日: 2018.09.23
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    2009年2月20日~23日。  参ったなぁ、といったところか。  人によっては「下手な文章だなぁ」と思われるかもしれない。  そんな文章がこれほどに心に響いてくるものとは。  八篇の短編集。  そのどれをとっても面白い、どれをとっても胸に迫ってくる、どれをとっても考えさせられる。  もっと早く知っておくべきだった。

    0
    投稿日: 2018.01.06
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    シリアスなのに滑稽さが絡まって、読んでいると体の一部がなんだかむず痒くなってくる、ひと味違った作品。

    0
    投稿日: 2017.09.24
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    微笑が気に入った。外向きには良い父親を演じながら、誰も見ていないところで、何もわからぬ不具の息子への加虐欲求を満たす。根底にあるのは同族嫌悪であり、息子を痛めつけながら、自身の痛みを楽しむ。この気持ちがよくわかるのは自分もそうだから?

    0
    投稿日: 2017.02.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    文章が独特できれいとはいえない。奇をてらっている文章ではないが、ごつごつした読みにくさがある。 そのへんで好みが分かれそうだが、僕は好まない。

    0
    投稿日: 2016.10.11
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    表題の「アメリカン・スクール」のほか「汽車の中」「鬼」「微笑」「馬」「小銃」がいいです(てか、ほとんどじゃねぇか)。 作中の主人公達には閉鎖的な劣等感を宿しています。 その劣等感は何に対する物なのか? 敗戦後のあの時代の社会に蔓延した物なのか? 普遍的な物か、個人的な物か? 価値観が根底からひっくり返ったあの時代、戦後の日本人が抱えていた不安がヒリヒリと伝わってきます。 自己の中で囲い込みくすぶり続けた劣等感の解放する術をしらない主人公達は、いったいどこに向かうのでしょうか。

    1
    投稿日: 2016.08.30
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    8つの短編小説が収録。 個人的には、表題の「アメリカン・スクール」もよいが、戦時中の出来事を題材とした「小銃」もよかった。巧みな描写。 また、「汽車の中」や「馬」も、独特な物語の展開で、不思議と引き込まれる。

    0
    投稿日: 2016.05.04
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     小島信夫の短編集。芥川賞をとったアメリカン・スクール。秀逸な「馬」等全八編。  「馬」は不思議な作品だ。最初は家をローンで買って、ひたすらローン返済の為に働いている夫。そしてその行為さえ曖昧になってきた。しかし、妻を愛しているものの、顔をまともに見たことが無い。自虐的に妻への服従を誓わされている。すると、いつの間にか、家が増築されるという。更には、増築した1階には馬の「五郎」が住むという。その行為に、憤慨する夫、しかしなかなか言えず、頭がおかしくなってくる。棟梁が家に来ているとか、馬が妻の部屋に入ってくるとか幻想だか現実だかさえもはっきりしないトランス状態に陥り、最後は、妻から「愛しているのはあなたよ」と今まで聞いたことがない愛の告白を受けるというストーリー。馬は夫の男としての尊厳のメタファーであり、そこに挑んで行くという風に感じられる。そこがリアリティに繋がりつつ、同時に不思議な世界に誘う。  なんじゃそれはという世界に、極々自然に入って行く感覚、どこからが現実でどこからが幻想なのか、ドラッグ的な、酩酊的な世界。短編の中でも、この夢のような世界に気持ち悪いくらい入って行ってしまうのは「馬」だろう。  その他、日米関係の滑稽さを入れたりと風刺が効いた短編が入っている。鬼才という表現がぴったりの作家だ。

    0
    投稿日: 2016.01.16
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    表題作は、アメリカンスクールに見学に行く英語教師たちの滑稽譚。アメリカ人相手に、英語を話せば日本人でなくなってしまうが、英語を話さなければ、劣等民族のように扱われるという矛盾した立場に彼等は立っている。いくら英語がネイティブのように話せても、日本人は、立小便するし、箸で弁当を食べるし、ハイヒールより裸足が似合う。おそらく教養では、アメリカ人にまさるところもあるのだが、文化的な洗練や、豊かさでは、到底かなわない。英語だけ上手くなって、近代化したと勘違いすることの恥ずかしさが、容赦なくえぐり出されている。

    0
    投稿日: 2014.11.12
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    そのキャラクターの持って生まれたおかしみや愛嬌を、落語の方では「フラ」といいます。たとえば、古今亭志ん生なんかその典型ですね。他の落語家の高座と聴き比べていただければ、私のような素人でも分かります。高座だけでなく、私生活でも「フラ」を発揮していたようで、たとえばジェット機がガクーンと急降下すると「危ないよォ。つんのめったらどうすんだい」とか、「そこにある犬の糞、それェ片づけなよ」に志ん駒が紙で取ろうとしたら「手でやんなよォ―。いい百姓になれないよ」。おかしいですよね。 小島信夫さんの作品は今回初めて読みましたが、「フラ」を感じました。小島作品をそんなふうに評した人は恐らくいないと思いますが、そう感じたんだから仕方ない。 たとえば、「汽車の中」という作品で、警察官が網棚の青年に注意する場面で言ったセリフ。 「おい、君はそういう態度に出るのなら、こちらも民主的に出られないな。君の荷物はどれだ」 「民主的」という言葉の使い方にニヤリとします。警官が注意する場面ですから、そこには恫喝が含まれていますが、「こちらも黙ってられん」ではなく「民主的に出られない」。緊張が緩和しておかしみを誘うのですね。 恐らく、著者は笑わせようと思っているのではないと思います。いや、徳川夢声が志ん生を評して、「どっかで受けようとしているはずだ」と語っていますから、計算ずくかもしれません。だとしたら、その作為を徹底的に覆ってしまっているところがすごい。 「馬」という作品での「僕」と妻の「トキ子」の会話は表面上は真面目なやり取りですが、何とも言えない間があっておかしいです。 「僕」が帰宅すると、家の敷地に材木がうず高く積んであります。「誰かがこれで以て家を建てるに違いない」と見当をつけた「僕」が、材木を置かせてほしいと頼んだのは誰かとトキ子に訊ねます。 「誰におかせてやったの」 「さあ、何といっていいかしら、誰にもおかせてやらないわ」 「すると、これはどういうことになるの」 「私が置かせたのよ」 「そう、誰が建てるの」 「そりゃ、あなたよ」 自分の建てる家のことを自分が知らないことに、「僕」は「まったく闇夜に鼻の先をつままれたような、一方的なかんじを受けざるを得ない」と感想を語ります。 「感じ」を「感じ」ではなく、「かんじ」と漢字を開いているのに感じ入ります。 とにかく横溢するユーモア、諧謔を堪能しながら読み耽ったのでありました。

    0
    投稿日: 2013.10.27
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    なんとも言い難い読後感。これは明らかに、巻末で作家の保坂が述べているように、その独特の文体によるところが大きい。もちろん、主題も特異だ。しかし、その主題の特異性を醸し出しているものが文体だと言える。そして、さらに言うならば、その文体を生んでいるのは、小島信夫の、世界を分節化する思考法そのものの特異性なのだ。流麗な文章を書く作家はあまたいるが、彼のような語り口を持つ人は稀有だ。読みづらいので引っかかる。腑に落ちないので心に澱む。すごい作家だ。

    0
    投稿日: 2013.10.23
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    どの作品も一貫して主人公は無様だ。 同情を誘う可愛らしい今風の無様、ではなく、きっと物心ついたときからすでにこういう扱いを受け続けてきたんだろうなと想像できるような無様。そこに戦後の、否が応でも自尊心を意識せざるを得ない流れがやってくるからさらに厄介。 「アメリカン・スクール」、「汽車の中」、「星」、「微笑」の感想は上記のような感じ。 どの作品も私好みの奇妙さと哀惜を湛えていて面白く読んだけど突出して良かったのは「馬」かな。 結局よく読者も主人公もよくわからないまま終わる。真相はおくさんだけが知ってるんだけど。こういう話が一人称で語られるとすごく怖いです。最近見つかった安部公房の未発表作品の「天使」的な感じ。あそこまでストレートなえぐみはないけど。シュールの一言で片づけられないものがありました。

    0
    投稿日: 2013.09.06
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    「どうしてなの。私いや?  今日は足きれいよ。  どこかまだよごれているとこある?  よごれているだけできたなくないの。  ねえ」 自分がこの息子の父ではなく、 隣家のおじさんであって、 崖の上からでも眺めていて、 美しい情景を見て、涙を流す立場なあったら どんなにいいだろうと。 (汽車の中/燕京大学部隊/小銃/星/微笑/アメリカン・スクール/馬/鬼)

    0
    投稿日: 2013.05.23
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    村上春樹さん推薦だから 「馬」が載っている やっぱり、『馬』が、1番おもしろかった。 あんな風に生きれる奥さん、ラクだろうな…。 その他は、時代背景が古いためか、ちょっと読み辛かった。

    0
    投稿日: 2013.05.11
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    表題作と『微笑』は面白かった。安部公房みたいな不条理テイストな作品多し。アメリカや支配を通して書き出す劣等感とか敗北感みたいなものがすごく上手い。

    0
    投稿日: 2013.04.30
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    アメリカン・スクールの見学に参加した、30人ばかりの日本人英語教師たち。戦後3年経つたばかりの時代背景です。 メムバアの一人である伊佐は、英語を話したくない(不得手らしい)ばかりに、日本語でも口をききません。逃げ回つてゐます。 一方山田といふ男は、何かと一同を仕切りたがるうるさい奴で、英語力を誇示したいやうです。さて、どうなりますか... さて本書は小島信夫氏の初期作品集であります。各作品に共通するのは、主人公が皆、苦しんでゐまして、常に懊悩してゐることであります。 本来ならいくらでも重苦しくなるところですが、その文章の軽妙さで、読む者を暗澹とさせません。ふつと軽く笑はせながら、戦後の矛盾した社会、不条理な世界を抉り出してゐるのでした。 現在でも十二分に読み応へのある傑作集と申せませう。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-89.html

    0
    投稿日: 2013.03.28
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    うーん。結論から言うと あまり面白くなかったなぁ~。 なんだかね、8編の主人公に共感出来なかったのが一つの原因かな。 それと時代背景。 終戦間近だったり、終戦後だったりして、いまいち、イメージしづらいんだよね~。 しかもちょっと私小説っぽくって苦手。 表紙を見ると、コミカル系に見えるんだけど。。。。 各短編のストーリーはこうです。 ★記者の中  戦後の記者の中で交わされる人間関係。 ★燕京大学部隊  英語関係の部署に配属された戦士の人間関係。 ★小銃  小島信夫の処女作。小銃に取り付かれた兵士の話。 ★星  兵士の階級である襟章の星に取り付かれた兵士の話。 ★微笑  小児麻痺の子供を持った父親の話。 ★アメリカン・スクール  日本の英語教師がアメリカン・スクールに見学に行く話。 ★馬  馬に取り付かれた女房をもつ旦那の話。 ★鬼  「エンマ」と言われる川にまつわる男の話。

    0
    投稿日: 2012.11.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦争中、戦後が中心で、現代とは馴染めない表現もあったが、ユーモアのセンスはピカイチ。一つ間違えたら、下品になりかねない場面も上質の笑いを誘われた。中でも、「汽車の中」での主人公がトイレに行きたくなるシーンは抱腹絶倒で、表現力の巧さが物を言っている。他には、表題作「アメリカン・スクール」や「馬」が良かった。

    0
    投稿日: 2012.11.22
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    2012.9.22読了。 可愛がられる男の不機嫌、原因・説明もなく起こる悲劇、身動きのとれない男。

    0
    投稿日: 2012.09.22
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    授業で扱ったシリーズ。作中のミチ子の滑稽さに、女性自体を馬鹿にされたように感じてしまった。でも、伊佐や山田のようにどちらかにこだわらなかったミチ子に女性ならではだな、と嬉しく思ったり。

    0
    投稿日: 2012.07.12
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    初期の短編集。 保坂さんの解説に「小島作品では事件も気持ちの変化も原因なく起こる」とあった。たしかに作品中の出来事は、前ぶれなく一文で急に発生することが多い。主人公の気持ちも唐突に変わる。ただ、その予測不能さは魅力でもあって、先へと読ませる力を生んでいると思う。

    0
    投稿日: 2012.02.12
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    いまだかってこのような作風には出会ったことがない。ひとつひとつの作品の意味を追いかけても掴みきれない。それゆえ、読んでいてある種苛立ちを覚えるのであるが、じゃあ、途中で放り出してしまうのかと云えば、最後まで読まないと気が済まない。それで最後の一行まで読んで何か結論めいたものが分かったのかといえば、否といわざるを得ない。でも、次の作品を読んでみたいという不思議な魅力を感じる。いや、感じようとしているだけで、ちっとも何も気づいていないのかもしれない。

    0
    投稿日: 2011.12.18
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    村上春樹さんのオススメなので 即 読んでみることに 。 「馬」が印象的やった 。 独特の世界観・視点 。

    0
    投稿日: 2011.03.09
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    小島信夫の作品は最近はどうも流行っていないのか、あまり本屋でお見かけする事は出来ません。むしろお高くなっているのではないでしょうか。このなかに収められている「馬」という短編が村上春樹の短編案内で紹介されていて、ぜひ読んでみたいと思った。なのでこの本を手に取ったのです。馬については奇妙な想い出が(個人的にか)多く、ひとつは昔のアルバイト先でそこの古狸的なおばさん(自称霊能力者)に、マンションの階段を夜中に上がり下りする馬の幽霊の話を聞いたこと(塩を撒いたら死んだらしい)、それから井上ひさしの遠野物語に出てくる幾つかの獣姦話に馬の話があったこと、『ゴッドファーザー』に朝起きたら馬の首が布団の中に転がっていたシーンを観たときの記憶、ボルヘスの怪奇譚に同じく馬の首の話があったことなど、数多であり、どうも馬には隅に置けない何かがあるのか、あるいはないのか。ううん、よもやま話は尽きませんね。

    0
    投稿日: 2010.11.16
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    「アメリカン・スクール」 半分上の空で読んでしまったからかもしれないけれど、何が何だかわからないうちに終わってしまいました。 戦後、日本人英語教師がアメリカン・スクールに参観に行く話。タイトルから想像していたのとかなり違う内容でした。 敗戦国の日本がアメリカ指導で復興していく。日本人にとっては屈辱的なことでもあり、主人公は英語教師であるが英語を話すことにためらいがあります。自分が自分でなくなってしまうような感じがするというのです。一方で、英語を話すことを苦としない女性教師。英語だと、何でも気兼ねなく話せてしまう。 そのあたりの対比が要点なのかなぁと思います。終戦後の日米関係がポイントかと!

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    投稿日: 2010.08.31
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    少し時間がかかったけど、 ようやく読了。 読んでいて胸苦しくなるような感覚を覚える。。 恥だとか嫉妬だとか、卑屈だとか、 本来なら、蓋をして必死に押さえつけておきたい感情が 悪夢と呼ぶにはあまりにも艶かしい物語の中で、 むしろいきいきと蠢いている。 同年代の作家、島尾敏雄氏ともどこか共通する感覚。 「馬」や、「アメリカン・スクール」の読み物としての純粋な面白さと、風刺的滑稽・悪夢的闇の同居はどこか 御伽噺の様でもある。

    0
    投稿日: 2010.07.12
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    小島信夫の小説はいつも僕を混乱させる。しかし、同時にそれは心地よい体験でもある。 小島信夫を含め第三の新人の時代は、一部の例外を除いて極上の作家が集まった日本文学にとって重要な時期だったのね。

    0
    投稿日: 2010.05.29
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    浦野所有。 おもしろそうな芥川賞作品ないかな~と思って見つけたのが、この作品。恥ずかしながら著者名も初めて知りました。 短編集となっている新潮文庫版では、表題作のほか「汽車の中」「馬」がおもしろかったです。ほとんどの作品で主人公となっているのが、弱気で妄想癖のある男。「アメリカン・スクール」は、トラウマのため外国人を前に英語が喋れない英語教諭のお話です。その教師が、「外国人学校でデモ授業をやろう」という勝気な同僚を相手に、一人勝手に精神戦を展開するというものでした。 「汽車の中」「馬」でも似たようなタイプの男が、直感と本能のままに行動し、何を考えているのかわからない動物的な女を相手に、知らずのうちにピエロを演じてしまうという滑稽な構図でした。 ほとんどの作品が、それほど長くない時間内のできごとを扱っていて、その間に刻々と変化する主人公の葛藤や悩みを浮き彫りにするというもので、「これぞ短編」というものでした。いわゆる「石原慎太郎以前」の古い芥川賞作品ですが、なかなか読みやすくて楽しめましたよ。

    0
    投稿日: 2010.05.10
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    戦争に関する話しはそこまでグッとこなかったけど、評判の「馬」はすごいひきつけられた。主人公の弱さと対比となす他社の強さ。だけど、それが単純な強弱の関係にみえない。この人の作品って読みやすいなぁ

    0
    投稿日: 2009.12.22
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    「馬」は馬なのか、それとも僕の「嫉妬からきた妄念」なのか。 狂気に満ちた生活で「狂人か否かを決定する尺度なんていうものはどこもない」とは云い切れない、不思議さ。 今まで読んだ本の中で最も疑義ある作品。

    0
    投稿日: 2009.09.27
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    ドスさんの洗礼を受けた直後に読むのは、小島先生に申し訳なかったかもしれないです。 燕京大学部隊がポップで大好き。すごくいい。登場人物全員たまらん。 あとは小銃、微笑、、、ていうか全部いいな。 いいなっていうか、意味はわからないのだが精神の皺に入り込んでしまったので、 もうそれ以前の私ではないって言う、あの感じです。 戦争も、自分も、他人級に冷静です。冷静ゆえに肉感的だと思う。

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    投稿日: 2008.08.11
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    初めて触れた小島作品。彼独特の言い回しや、言葉遣いに最初は戸惑うけれど、、読み進めるうちにどんどん嵌っていく。平仮名が多くて読みづらい。戦争を題材にしたものが多い様に感じる。勢いのある文章。『汽車の中』が一番面白かった。ブラックユーモア(?)みたいな話でした。

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    投稿日: 2008.06.10
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    表題の芥川賞受賞作のほかにも、おもしろい短編がいくつもはいってる。小説は小説として、ただ単にフィクションとして楽しいから読むんだよってこと。そんないい本。

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    投稿日: 2008.02.17
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    表題の芥川賞受賞作を含めた8作品が収録されている短編集。 「燕京大学部隊」という話の中に「ホワイラ」という言葉が出てくる。 永年の謎であった「ノーテンホワイラ」が解明された。

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    投稿日: 2008.02.04