
総合評価
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powered by ブクログ「中国化」とは著者の造語ではあるが、「日本社会のあり方が中国社会のあり方に似てくる」ということである。近代国家の要件を身分制度の廃止と経済活動の自由化とするならば、中国は宋代に封建制度を抜け出し近代国家になった。科挙制度により世襲制度を廃止全国土を皇帝直轄地として移動の自由化を図った。 日本では平清盛が自由貿易、商重主義に舵とろうとしたが、農業中心の源氏一党に敗れた。宋朝の皇帝専制を目指した後醍醐天皇も足利尊氏に助力を求めたために吉野に退く。そして江戸時代まで土地本位の封建制度が続いた。
1投稿日: 2025.07.04
powered by ブクログ近世(初期近代、early modern)の中国に注目する 近世は日本史だけではない 世界ではじめに近世に入ったのは「宋朝の中国」 ヨーロッパの近代啓蒙主義は、宋朝の近世儒学のリメイクとして考えられる ルネサンスの三大発明はどれも宋代中国の発明 →どうして近代には西洋が中国を追い越し、産業革命は起きたのか? →どうして近代化・西洋化が捗っていなかったはずの中国が大国に返り咲いたのか? どうして先進国だった中国は、人権意識や議会政治だけはいつまでも育たないのか? 【1】 冷戦後 ・一極支配 ・自由(機会の平等)の名の下に平等(結果の平等)が蔑ろにされる=自由競争 内藤湖南「宋代以降近世説」 唐(中世)と宋(近世)=中華文明の分け方 ①貴族制度を全廃し皇帝独裁政治 ②経済社会を自由化する代わりに政治の秩序を一極支配によって維持する仕組み ・農民に貨幣使用を行き渡らせるように王安石の青苗法→商売をするように ・自由競争で負けた時の保険として、「宗族」という父系血縁のネットワーク ・朱熹の朱子学=褒める道具 ・日本は理念に賭けることができない、現実との落差を騒ぐ ・古代日本で科挙ができなかったのは、メディア・教育インフラが整っていなかったから(中国にはすでに印刷技術があった) ・令外官は実質に貴族の世襲になった→藤原氏の台頭 ・武士に注目しても古代と中世を区別できない。日本中世は「中国銭の時代」 ・日宋貿易→院政? ・新しいことを始めようとした平家が旧体制的な源氏に負けた(だから武士の時代ではないし、日本はグローバル化が下手) 【2】 ・モンゴルは野蛮な侵略者ではなく、グローバリゼーションの原点 ・間接統治形式の採用→広い支配 ・日本の元寇と韓国の高麗の違い。「国難ここに見る」ではなかった。軍閥政府の鎌倉幕府こそグローバル化の道を閉ざした ・後醍醐天皇は異形というよりスタンダード、他の奴らが変 ・最後の挑戦者・足利義満も上手くいかなかった(暗殺?突然の病死) =日本において中国化を目指すとおおむね短命に終わる ・明朝の朱元璋は反グローバリズムで、その隙間をヨーロッパが埋めた ・銀の大行進→全世界が戦国乱世 ・清朝は自由放任政策→好景気→格差 【3】 ・応仁の乱という転換点 ・安土桃山期に象徴天皇制ができた? ・信長のライバルは「本願寺」 ・☆なぜ近世日本は身分制社会を選んだのか? →イネとイエ。稲作の普及は徳川初期の新田開発によるもの。中世までは畑作の比率が高かったが稲作より収入が得られないため、中国化に賛成していた。が、インフラ的に食えるくらいにはなったので自由市場の魅力がなくなった。→大家族から直系家族へ。核家族化によって子供が増えた。≒農地改革から高度成長とも似てる 封建的 ・家職制によるジョブトレーニング 【4】 ・「マルサスの罠」の抜け穴=家事の市場化@西洋 ・☆「姥捨山は偽の江戸、孫捨て都市が真の江戸」(都市の蟻地獄効果、速水融)=若者のために老婆が犠牲になるのではなく、イエを長男に継がしたジジババが次男・三男を都市に捨てる=出稼ぎ者の高死亡率 =日本型の福祉社会 ・江戸時代≒北朝鮮? 【5】 ・明治維新は大したことなく、日本独自の近世が耐用年数を超え、中国化せざるを得なくなった ・福沢諭吉は「機会の平等」は説いたが「結果の平等」は説いていない =新自由主義的、市場原理主義的 ・西洋化と中国化のタイミングが重なった、中国や朝鮮はそもそも中国化していたので西洋化には魅力がなかった ・識字率はバラツキがあり、仕事柄文字を使う人が近世から読み書きができた →近代以降の市場経済に適応できるか否かをつくっていた ・底辺労働者でも実力主義で、女工にも手先が器用なエリートと雑で罰金を取られた負け組がいた 【6】 ・『ラピュタ』は『わが谷の緑なりき』への返歌 ・再江戸化のさいに、社会主義の一部を適用した=日本がいちばん社会主義国家で成立した ・明治維新は失敗したが、昭和維新は成功した 【7】 ・『ナウシカ』は、満州事変から原爆投下まで ・創氏改名は同化というより江戸化 ・東アジアに基地を持たないドイツ・イタリアと同盟することで、中国とアメリカに対立することになり、自滅した ・愛国心はムラ社会の結果であり原因ではない。戦中に徴兵制がうまくいってなかった中国に勝つことはできても掌握することはできなかった ・「日中戦争とそのオマケ」、アメリカに負ける前に中国に負けた ・Japanimationは戦時下に生まれたが故に生死や戦争が描かれる 【8】 ・戦前の軍国国家=軍部による社会主義→議会政治家による戦後社会主義 ・自民党が作られなかった戦後史の方が西側の「普通の国」 ・社会主義が経済ではなく平和問題になった ・戦後民主主義は新しいブロン 【9】 288 新しい歴史観☆ 【10】 300 西洋型の近代社会のインフラ=法・人権・議会制民主主義は中世貴族の既得権益 そもそも中国にはそのようなものはない 306 公務員を薄給にしてしっぱいした近世中国 316 北朝鮮化か、中国化 宮台・仲正『日常・共同体・アイロニー』 溝口健二『新・平家物語』 『樽山節考』 『郡上一揆』 『スパイ・ゾルゲ』
2投稿日: 2023.02.19
powered by ブクログ普段日本史は読まないが面白く読めた。 グローバル化を中国化、封建遺制への回帰を江戸時代化とややしつこくリフレーズし、やや強引なまでに押し通すことで、我が国がたどってきた物語に新鮮な整理を示すとともに、これから向かう道筋の方向性に歴史的な視座を示している。 10年前の、割と時代に応じた記述も含まれる著作ではあるが、今も色褪せることなく読む価値は十二分。
0投稿日: 2022.02.10
powered by ブクログまたしてやられた、というのが正直な感想である。 著者の本は「知性は死なない」から読み出したが、同書のインパクトが強く、それ以前の本を手に取ることがなかったので、鬱前後で区切ったときに、鬱以前を知らなかった。 しかし、「知性は死なない」でしてやられた感覚はそれ以前のこの本でもまた思い知らさせた。 筋で見方をひっくり返す、という意図は見事に果たされ、「輿那覇史観」をこれでもかと投げつけられた。恐らく、細かな論点はいくつも挙げられるのだろうが、主な論旨を覆すほど反論できる根拠が恥ずかしながら今の私には見当たらない。 そして、最終章の最後で記されている憲法前文の扱い方は、この筋を一通り読むとまた格別の味わいである。 この本の論旨を今の政治状況と並べて見た時に10年経った今でも全く損なわれていないと感じる。 この10年間、色々な人がオリンピックというものに気が向いていただけで、ここに書かれた克服すべき課題は変わっていないのだと思う。 冒頭の鬱前後の記述で気になるのは、鬱後の方が記述に皮肉めいた部分が少なくなった、もしくは弱まったと感じるところだ。 その点については、著者の別の本を読みながらまた考えてみたい。
1投稿日: 2021.10.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
タイトルに惹かれて買った人は、あれっ てなる内容。 著者は狙ってつけたタイトルだと認めている。 しかし、副題も全然違うぞ。 本書は日中文明衝突を書いたものではない。 本書の言う「中国化」とはグローバル社会・自由競争・実力主義・格差社会化のことで、これは中国ではすでに宋代に実現されていた。(ヨーロッパは20世紀になっても王制の残る遅れた地域であった) 対する日本は江戸時代の封建的な社会を維持し、1990年頃までその伝で来た。その後ようやくグローバル化すなわち中国化の時代がやってきたのだが、日本人はやっぱり江戸時代回帰志向が強い。終身雇用や家族制度の崩壊した状態でもはや江戸時代方式は無理なのだが……。 日本は議会制民主主義や人権があるからいいと思っている人がほとんどだが、実はみんなその本質を理解しているとは言い難く、ポピュリズムに踊らされてそれらを簡単に手放し、北朝鮮化する危険が大である。 右でも左でもこの本を買いそうな、政治談義好きな人々の怒りを喚起することがいっぱい書いてある。 著者の書きようは、もちろんそういった人々を冷やかし、無知ベースで政治的主張をやめ、もう少し勉強して考えようねという事である。 個人的には 冷やかし口調が大変不快であった。右を揶揄し返す刀で左も斬る というまあ公平な話ではあるけれど、あれは無知これは浅はかという扇情的なところが気になった。 著者は研究者であって、書いてある内容はなるほど嘘はなさそうで、日本の来し方のおさらいと為になる新知識もいくらかあったのだけど、全体に浅い……人の著書を基に構成してあって、深い研究ではありません。歴史や政治が専門ではなく、評論家的な言説である。ジャーナリズム的というのかな。私でも、それは言いすぎだろう……という箇所が多々見受けられました。 しかし、一面的な理解で盛んにせこい政治談義をしてる人にはやっぱり読んでもらいたい本だし、何も知らない若い人が日本の現状(とその歴史の流れ)を手早くつかむためには良い本だと思う。 日本人の自由主義の法治国家の構成員として民度が低すぎる、江戸時代回顧というあたり、人の損が自分の得になるという百姓根性、その他諸々うなずけるところも、情けないながら大変多かった。
0投稿日: 2021.04.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
通読一回ではまだよくわからないところも多いが、まず一番にお伝えしたいのは、その視点の新しさ。 内容は歴史の話です。日本が中国化してゆくというとても議論を呼びそうなタイトルですが、読み進めると筆者の述べることが分かります。加えてこの本の良いところは、この日本を何とかしたいという筆者の思いが感じられるところです。その熱意のようなものと筆者の論の新しさに感動すら覚えました(ただ本文中では非常にシニカルな文体です)。 まず、日本史の新たな見方について大いに驚嘆。戦国時代とは決してかっこいい時代ではなく飢餓をしのぐために殺し合って食べ物を奪い合っていたという見方。また江戸時代の安定はお上とイエとの相互共存の関係である封建制によって支えられ、さらにこれは相当度に社会主義的であった点。加えてこの江戸時代的な安定は、農家の次男三男などを犠牲にして成り立っており、こうした不満分子が明治維新を起こしたという推測。 このような方は高校ではおよそ教わらない話であり、かといっていわゆるトンデモ話ではなく、論拠もあり納得して読める。 次に面白かったのは中国化の話。 中国の特徴を宋の時代の政策を引き合いに出し、頂点の支配者の下での厳しい競争社会としており、これが現在進んでいるグローバリズムや新自由主義が出てくる遥かに古くから中国で実行されていると主張する点。ここから中国化と述べているのはいわば市場万能主義、厳しい競争社会を意味しており、政治体制が共産主義になるというわけではありません。 更にこうした江戸時代的なるもの(封建制・社会主義的)と中国化(苛烈な競争社会)とが明治維新以降の日本近現代史で揺り動いていた点を現代の西暦2000年代の政治状況まで辿って説明していいます。 右翼とか左翼とか知識人とか、どうにも面倒くさくて胡散臭くて、一般の人のほとんどがシニカルに斜に構え距離を置くものが政治だと私は思います。でも筆者はそうした現状も踏まえて我々が今住む日本をどうにかしたいという思いを持っており、歴史という武器を使って本当にこのままでいいの?或いは、大声をあげている両ウイング(右翼左翼)に、君たちほんとは矛盾してね?と問いかけているように思えます。 巻末に文庫本用のあとがきと宇野常寛氏との特別対談が掲載されており、より彼の考えていることがわかると思います。また参考文献も詳細に記されており、今後の読書の参考になります。政治好き・歴史好き・小難しいのが好き・日本の将来が心配な人等々には是非お勧めしたい本です。
0投稿日: 2021.03.29
powered by ブクログ高校レベルの日本史の知識を土台に全く異なる歴史を描く一冊。歴史が単なる事実の積み重ねではないということを語らずして教えてくれる。
0投稿日: 2020.03.12
powered by ブクログ安易な最近の「中国化」という言葉につられ、つい手にした本であったが、歴史を振り返り、未来を考える意味において必読。 著者曰く、世界で最初に「近世」に入った地域は宋朝の中国だそうだ。(東洋史家の内藤湖南も宋代以降を近世) 宋に於いては、貴族制度を全廃し、皇帝独裁政治を始めるが、経済、社会を自由化。 科挙、殿試、郡県制、青苗法、朱子学。 火薬、羅針盤、活版印刷。 宋で導入された社会の仕組みが、実は全世界でも現在まで続いている。 日本は唐までは中国から学んでいたのに、何故にそこからは学べなかったのか?何故グローバル化できない? 日本史をこの観点から現代まで語っている本。小泉政権まで語ってくれているので後半も楽しめた。 始まりは、西日本に中国宋商人が出没し平清盛が中国宋システムを導入しようとするが、これに対し関東坂東武士の源氏は現在利権を主張反対。 中華文明と日本文明の衝突。 メモ 欧州において、人権概念の基礎は、中世貴族の既得権益から始まる。下位身分のものと分けあっていくプロセスで生まれた。 現在中国について、宋朝の時代に特権貴族なんかなくなっているわけであるから、人権の概念は薄く市民革命なんて起きるわけがない。 日本人の好む陽明学について...動機だけみて結果を考えない。妥協知らず突き進む。正は正とする。(廃仏毀釈、靖国史観、征韓論) 戦後の絶対非武装主義は戦中の1億玉砕思想の裏返しともなる。 中国→文官優位の社会。 よい鉄は釘にならぬ、よい人は兵にならぬ。 世界普遍的な道徳の体現者としてふるまう。 しかし、アメリカニズムに相当する普遍理念がない。 太平洋戦争は日中戦争とそのオマケ 漢字とコーランは最古にして最強なモジュール製品である。 「封建遺制」他人の得は自分の損と思い込む百姓根性
0投稿日: 2018.05.29
powered by ブクログ我々は未だに「長い江戸時代」を生きていたーー今更読みまして、大変感銘を受けました。全日本人におすすめしたい本です。(※単行本2011年文藝春秋、増補版2014年文春文庫)
0投稿日: 2016.12.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
宗の時代に理想の世界が出来上がっていた。 しかし今の中国には、共産化により儒教を捨て、共産主義も経済の開放によって捨てた。 これで中国化の正当性が理解できる。
0投稿日: 2016.05.15
powered by ブクログ今までの世界史の見方に反駁を与える本。著者は、欧米より早く中国が宋時代以降にグローバル化していることに注目し、日本の歴史あ、中国化か反中国化の対立の歴史であったと主張する。 正直、中身の妥当性は分からなかった。
0投稿日: 2016.01.17
powered by ブクログ著者の言う中国が大括りすぎて。。カッコ付きの「中国」ですね。現在の中国とも中国大陸に連綿と続く国家の総体とも違うのですから。
0投稿日: 2015.12.23
powered by ブクログ今改めて読むと、まさにグローバル化の波の激しさを思い語らせる本である。 高校の日本史や世界史で暗記させられた「近世」が、もはやグローバル化が激しい今のご時世は、時代的に世界で最も「近世」のグローバル化を実現した中国の宋の時代に非常に同じものであり、そのような宋朝の時代に、個人の移動や経済的な自由・平等(ここでは機会の平等の話であって、結果の平等の話ではない)により実力主義が激しい社会状況を「中国化」と称し、世界は歴史的に「中国化」と反「中国化」(本書では「江戸化」)との抗争の歴史を歩んできたと分析する。 詳細は読めば分かるが、特に高校の世界史や日本史の知識がなくても、平易に概説しているので、どんどん読み進められるし、読んでいくうちに、歴史に関する見方が、高校の世界史や日本史で学ぶであろう内容とは全く別の視点から見ていくことになり、結果的に全体を読み終えると見方が一気に変わる。 実際に、本書を読み通すことになる「中国化」への対応の仕方をどのようにするのかが、今後のグローバル化への対応として問題になってくることは言わずもがなで、私の関心から言えば、世界史や日本史など学校での勉強内容をがっちり勉強した後で、「だから何!?」というような反論に対して、どのようなことが提供できるのかが、実は重要で、そのような提供をするための視点を考える上で、面白い内容になっている。 特に増補版に載っている特別対談も見もの。
0投稿日: 2015.02.22
powered by ブクログ鼻につく物言いは多いが、なかなかに興味深い本である。 江戸時代的構造と中国的構造の対立で 日本史を読み直すといった内容となっている。 政治と経済がワンセットにしたパッケージとして 江戸時代的構造と中国的構造があげられているが はっきり言って、江戸時代的構造の不利は否めない。 いまだに日本がそれを引きずっているのは そういう文化としてしっかり構築していたためで、 流出入が激しくなる現代において、足枷にしかなり得ない。 という訳で遅かれ早かれ中国化していくでしょう。
0投稿日: 2015.01.10
powered by ブクログタイトルからして「中国化する日本」という刺激的というか、読者の受けを狙ったような感じ。私もそのタイトルに惹かれて手にした一人ですが・・・ 内容は面白いというか、従来の一般的な見方とは違う切り口で語る目新しさはあるが、そのことを、著者は今や先端歴史学では当たり前で、読者はバカじゃないかと言わんばかりの上から目線の論調と、論理展開の強引さが嫌になり、何度か中断し読了までに6ケ月もの時間が掛かった。 内容は日本の歴史は「中国化」vs「江戸化」という対立軸の歴史であり、今後はますます「中国化」するという主張で、どんなものでも、中国化と江戸化のどちらかに無理やり結びつけて、この見方は「さあ!どうだ!」という感じの押しつけがましいところが随所にある。 中国の宋の時代が中華文明の最爛熟期で、その時の制度・体制が究極のもので、そういう方向に行く事を本書では「中国化」と言っている。 簡単に言うと宋王朝は皇帝の権力を唯一絶対のものとし、それ以外は全て自由とした。つまり、身分制度を世界で初めてなくし皇帝だけの「小さな政府」、経済は「自由競争、市場主義、資本主義」・・・悪く言えば皇帝は自らの権力だけを求め、他はほったらかしで何もしなかった。その結果、今日の世界的潮流とも言える欲望剥き出しの弱肉強食の世界が、中国の宋の時代に出現した。 この本の中では、中国の影響を受けての「中国化」ではなく、単に(世界的な流れの)アナーキーな弱肉強食の時代に向かうことを無理やり「中国化」と言っているので、読む際には注意が必要だし、そういう流れを「中国化」と言う事に無理を感じる。 佐藤優は、もっと定義立てて、今の時代の流れを「新・帝国主義」と言っている。私としてはこちらの方がピンと来る。 もう一つの「江戸化」は、江戸時代に完成したと言われる「古き良きニッポン」。つまり、規制による保護、社会主義???。 この対立軸で、これまでの日本の歴史をひも解いて行く。そして世界史的に見て後進的でローカルな西洋のマネをしてきた日本はバカじゃないかと・・・著者は言う。 今の世の中では、当たり前のことを言っていては、知名度も上がらないし、学者としても売れないので、人目を惹く突飛な言動を弄して世間の注目を集めるという、まさに弱肉強食の時代を反映した本のような気がした。 但し、言っている内容そのものは面白い。 結果として、この本が売れているということは、著者の目論みは成功したのかも知れない。 2015.3.28 追記 司馬遼太郎と海音寺潮五郎の対談で、海音寺潮五郎が言っていました。 「学者というのは時々妙な論理を組み立てますね・・(略)・・なにか一つ思いつくと全部それで解釈しようとする。馬鹿の一つ覚えというやつですよ」 これまでモヤモヤしていたものが、一気に晴れたような気がしました。
0投稿日: 2014.12.07
powered by ブクログ14/09/14読了 日本の近世史を、政治/社会面から、斯界の専門家の通説に基づいてまとめた書籍。 そうなんだ、がいたるところにあって、高校卒業後15年近く知識を改めないとはこういうことなんだろうか。著者曰く、いまの歴史教科書でも語られてはいないようだけれど。 西洋型の近代化は、貴族の既得権益を下位身分のものと分け合っていくプロセス(=基本的人権、議会制民主主義、法の支配)。平民、女性、移民… これに対して、宋朝時代に特権階級をなくした中国ではこのプロセスが発生しなかった。
0投稿日: 2014.09.14
powered by ブクログ【與那覇先生の日本史名講義! 文庫版附録・宇野常寛氏との特別対談!】中国が既に千年も前に辿りついた境地に、日本は抗いつつも近づいている。まったく新しい枠組みによって描かれる、新日本史!
0投稿日: 2014.09.09
powered by ブクログ日本はまだ江戸時代だった⁈ 西洋中心の歴史観から離れて、日本の歴史を新しいストーリーで書き換える試み。歴史ですが いまの日本社会を考える視点にも満ちている。
0投稿日: 2014.08.03
powered by ブクログ面白かった。 まずはタイトルを見て「『中国化』ってどういうこと?」ってなるけど、そのあたりは冒頭で説明されていて納得。ある意味「釣り」ですね(笑) つまり、刺激的なタイトルだけど、その実、そこにイデオロギー的な意味はなく純粋に歴史の本。 感想を一言で済ませるのは難しいんだけど、とりあえず、大きく印象に残ったことだけ。 西洋の産業革命以前、中国が圧倒的に先進国であったというのは、中高で習った世界史の一般常識的には意外ではあったものの、かなり分かりやすく説明されていたので納得感がある。現代中国に関してふにおちる点も幾つかあり、なるほど、という感じ。 法の支配や基本的人権、議会制民主主義というのは、元々は西洋で中世貴族の既得権益だったという指摘(300頁)には膝を叩いた。特に中国が基本的人権に関して疎いのはそういうことかと。なるほどって感じ。 ともかく、これまで中国に対してぼんやり感じてきたことにディテールを与えるきっかけになりそうな本でした。 もう少しちゃんとまとめなきゃなぁ。
0投稿日: 2014.07.14
powered by ブクログ「中国化」…。文庫化のタイミングが、このキナ臭い時節柄にピッタリ(?)だ。 もっとも、内容はしっかりしたグローバル・ヒストリーの学説に基づいている。 要するに「中国化」とは、極端な競争・格差社会になるというものだ。サッチャー主義やレーガノミクスと同義である。それを歴史的には、中国(宋)が先駆けて達成したから、その現象を著者は「中国化」と名付けたというわけだ。 世界は「中国化」する一方、日本は常に「江戸時代」に逆戻りしてしまうらしい。つまり、分権化による非競争社会を、日本人は求めているということになる。日本史上の異端児たちは皆、「中国化」を目指していた。そして失敗してきた。 「中国」と「江戸時代」を比べてみよう。 「中国」は、市場機能を最大限に発揮できるため、資源を効率的に使える。従って経済は好調だ。また能力がある人は、どんどん昇進できる。ジョブズみたいな天才が次々に現れるだろう。だが逆にいえば、そうでない人たちは大変だ。そのうち「1対99」の格差が生まれてしまうだろう。(本場のようなカクメイだってあるかも…!?) 「江戸時代」はその真逆だ。閉鎖的な市場ゆえ、資源の利用は非効率。能力があっても出世できない。技術革新も進まない。その代わり、少ない資源を分け合って、なんとかかんとか生きられる。弱者が死なない(抜け出せもしない)社会だ。 無論どちらにも、好いところと悪いところがある。困ったことに、筆者によると、両者の好いとこ取りはできないそうだ。しようとすると必ず機能不全になってしまうらしい。だから、放って置けば「中国化」するし、それが嫌なら「江戸時代」をとことん目指すしかないようだ。 ちなみに、本書の見応えは、筆者のギャグセンスでもある。本書をめくると、太字が目立つことに気づくだろう。そしてその部分は、必ずしも重要なことではないし、往往にして刺激的な文面である。わざわざ強調するのは、アンサイクロペディアでいうユーモア欠乏症患者(=ウィキペディアン)への皮肉なのかもしれない。本書が(娯楽として)楽しめるかどうかは、太字部分が楽しめるかどうかによって決まる(私は楽しめました)。
1投稿日: 2014.06.10
powered by ブクログ「中国化」を軸に日本の歴史を読み解き直す─これが筆者の目指すところ。 いわゆる「西欧化」と同じことが、約千年前に中国で起こっていた…なるほど。 日本では「中国化」と「(再)江戸化」の間で揺れ動き、今のところ「江戸化」優位な状況だが、世界の「中国化」の流れに対処できるのかについて、時代を追って考えた…とボブは読みました。 歴史認識はある方だと勝手に思ってましたが、ボブはオールドファッションな歴史学を学んでたんだなぁ、と痛感させられた一冊でした。 こんな本を書きたい…(u_u)
0投稿日: 2014.05.29
powered by ブクログ昨年の小坂井敏晶『社会心理学講義』に引き続き、今年も人生観がひっくり返るような衝撃を社会科学の研究から受けることになった。輿那覇潤『中国化する日本』。 不惑を越えたというのに、これだけ揺さぶられるということを、まずは喜んでおきたい。 さて。本書の残念な点は、口が悪いこと。 タイトルもそれで損している。中身を読めば中国化とは何であって何でないかは書いてあるが、タイトルから受ける印象は「日本もこれから中国のように劣化する」とか、「中国に経済的に圧倒されその軍門に下ることになる」とか、粗雑な嫌韓反中本と変わらない。実際にはまったく違うのに。タイトルと口の悪さのせいで、本当に本書が読まれるべき人に届いていないように思えて残念。 その二つを乗り越えれば、知的刺激に充ち満ちた楽しい読書になること請け合い。本書のキーワードは、「中国化」と「江戸時代化」。歴史上の様々な出来事を、その二つのモーメントの揺れ動き押し引きという観点から見直すと、今までとまったく異なる様相を表す、という。 「中国化」というのは、今の言葉でいえば「グローバルスタンダード」「自由競争、市場主義、資本主義、小さな政府」「結果重視」「権威と権力の一致」。これが「中国化」とネーミングされているのは、宋の時代にすでに中国で実現していたから。 もう一つの「江戸時代化」は、逆に「古き良きニッポン」「護送船団方式、規制による保護、社会主義、大きな政府」「動機重視」「権威と権力の分離」。こちらが「江戸時代化」と呼ばれるのは、江戸時代に完成し頂点を極めたから。 「グローバルスタンダード」というと欧米流のやり方だと思ってしまうけど、そうではない、あれは欧米が中国化したのだ。それが近代化なのだ。 「なぜ中国は近代化に遅れ欧米列強の植民地になってしまったのか」というのは問いの立て方が間違っており、「なぜヨーロッパや日本が中国化に成功したのか」を問うべきだ。 明治維新は西欧化ではなく中国化だ。 という具合。 はじめは目を白黒させながら読んでいたが、ジャレド・ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』を読んでもよくわからなかったモヤモヤ(の一部)が少し分かるようになった。 分からないのは、中国本国に働く揺り戻しのモーメント。日本の歴史を書いた本なのだからないものねだりではあるけれど、対比として、日本の江戸時代化の理由が「日本人は江戸時代のエートスが好きだから」では説得力に欠ける。本家の中国であっても生じる「反中国化」の理由を掘り起こして、それが日本の歴史でどう働いたのか、あるいは働かなかったのか、も書いて欲しかった。
0投稿日: 2014.05.15
powered by ブクログ最近、お気に入りの著者の本。 「中国」といっても最近のGNP2位の共産党支配の中国でなく、宋代に完成した自由経済/能力主義のことで、日本は幾度もこの体制に近づくチャンスがありながら江戸化=統制経済/封建制を繰り返し、21世紀の今また、「中国化」に抗いつつも近づいているというフレームワークが面白い。 平清盛、足利義満、織田信長、坂本龍馬と自由経済に変革するリーダーは時代時代にいたが、いずれも志なかばに終わっている。 今も岩盤規制を打ち壊すと、時の政権は勇ましいが、実はこの国は1000年の昔から自由で優勝劣敗がはっきりする社会なんて望んでないのかもしれない。
0投稿日: 2014.05.06
powered by ブクログ歴史観が変わったね。 司馬遼太郎読みすぎて、鎌倉、室町、江戸時代最高!日本って自由で多様的で、素敵。日本文化っていいよなあって思ってた。別に間違ってるわけではないけど。 ただ、中国が後進国という考えは間違いだったのだろう。 江戸時代の特徴は、封建制、身分制で自由はなく、権力者も相対的。 中国の近世、個人に自由があり、科挙があり、現代国家に必要なものが既にあったのだ。 どっちを選ぶかっていったら、中国かな。 今後の政治の動きは、この対立軸で見てみるのも面白いでしょうね。 中国に民主主義が根ざせない理由がわかった。
0投稿日: 2014.04.30
powered by ブクログ知的におもしろいというのはこういう本を言うのだと思う。 中国化(郡県制・自由放任経済)と江戸化(封建制・統制的経済)という二分法で多数の教養を駆使しながら日本の歴史を解釈していく。 筆者の考えは、日本は何度も中国化する機会があったが、ことごとくそうはならず江戸化の方向に向かった、そして現在が長かった江戸化の終焉で、中国かせざるを得なくなってきていると説く。 読んでいて本当におもしろいが、やはり結果論的な後付の説明が多く、終盤の未来予想では「中華思想でいいじゃん、どうせフィクションなんだから」といった開き直りになってしまったのが残念なような気はする。 18世紀江戸時代の頃から「姥捨て山は偽の江戸、孫捨て江戸が真の江戸」の状態になっていたという指摘は、その後の現在にまでつながるシルバーデモクラシーの萌芽を指摘していて興味深かった。
0投稿日: 2014.04.20
powered by ブクログ近年の日本のグローバライゼーションは、西洋化ではなく「中国化」であるという主張。中国の社会システムは、宋代以降、すでに今日の世界標準の潮流であるレッセフォールをテーゼとしていたのだ、他の世界はあとからそうなっていった後進であると。 そういうポイントを、われわれが感じている現代の中国成長に対する潜在的な怖れにうまく絡めて「中国化」とひろからげにアジテイーションメッセージみたいに言っているのが、やや胡散臭いところ。
0投稿日: 2014.04.19
powered by ブクログネオリベ化=「中国化」する社会のなかで、封建的=「再江戸化」する日本が、どう舵取りすべきかという内容。戦国時代&幕末好きは読まない方がいいかも(笑)
0投稿日: 2014.04.19
