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敦煌(新潮文庫)
敦煌(新潮文庫)
井上靖/新潮社
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総合評価

115件)
3.9
27
45
24
7
0
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    11月に井上靖さんの短篇集を読み、いずれは長篇も、と思っていたので、まず、本作「敦煌」を読んでみた。 20世紀初頭清朝末期に、敦煌の石窟から四万点を超える経典が発見され、漢語、西夏語、ウイグル語、他多言語で書かれていた、という史実(世紀の大発見)から、作者が西域に思いを馳せ、経典が陰徳されるまでの話をフィクションで描いた作品。 分量的には大作の一歩手前だが、描かれたスケールは空間的にも時間的にもスケールが大きく、喜多郎の「シルクロードのテーマ」をBGMとして耳に入れながら読んだ。 ウイグルの王族の女が飛び降り自殺する流れは、作者の女性観を反映していて(出版は1960年代)、共感が難しいかも。 話は逸れるが、米中の覇権争いでは、政治体制としては共産党一党独裁よりも民主主義の方が圧倒的に魅力的だが、歴史の厚みとしては、四千年対250年の差を感じる。反中のひともきっと三国志は好きだったりするだろう。

    25
    投稿日: 2026.01.18
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    淡々とした描写が大陸の歴史の壮大さをかえって引き立たせる。行徳が流れ流れて敦煌にたどり着いたように、大量の経巻も千年の時を越えて現代に届けられる運命にあった。無数の人々が行き交い、悲喜交々の人生があるなかで、何か大きなものの意思によって人間は動かされているのかもしれない。そんな歴史の因果を感じさせる小説だった。 この小説ではフィクションとして経巻が保存された経緯がドラマチックに描かれているが、これが真実でないとしても、千年以上の昔に保存しようとした人がいたことは間違いないわけで、それだけでも尊い行為だ。何とか自分たちの時代の知識を次の世代へ繋ぎたい、存在していたという証を残したいという人間の意志。

    18
    投稿日: 2025.11.06
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    かなり昔に書かれた本であると思うが、今の時代でもかなり読みやすい気がする。 中国の歴史小説みたいなものをあまり読んだことがないが、登場人物がやはり漢字ばかりで混乱することがあった。 ただこれは自分の読書経験不足に由来するものかなと思うので、もっと色々な本を読んで、情景描写とかを理解できるようにしたい。

    0
    投稿日: 2025.10.31
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    15年ぶりの再読。井上靖は文章が上手すぎるので物語に大きな起伏が無かったり目立つ展開が無かったりしても読めてしまうものが多いが、敦煌に関しては物語も非常にドラマティックでありとにかく満足度が高い。蒼き狼の勢いと天平の甍のカタルシスを一本に詰め込んだような濃密な作品。個人的には敦煌の王である曹氏の堂々たる語りが大好きです。

    1
    投稿日: 2025.10.29
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    悠久の時の流れと人々の想いが交錯する歴史ロマン。1900年、敦煌 莫高窟の秘密の部屋から約4万点におよぶ大量の仏教文書が偶然発見された。調査によるとこの文書群が封印されたのは11世紀前半、西夏によって沙州(敦煌)が滅ぼされたころ。なぜここに文書を隠したのか。本当の理由は当時の人々しか知る由もないが、本書では史実とフィクションを織り交ぜて、文書封印に至る背景がドラマティックに描かれている。 約900年もの間、誰にも知られずに封じられていた文書群。その背後には文字、知識を未来に託そうとする人間の強い意志を感じざるを得ない。命を賭して本を守った『ワンピース』のオハラの学者や、『チ。』の登場人物たちが自然と重なった。 「敦煌」の物語では登場人物がみな個性的でとても魅力的。特に朱王礼がいいキャラだった。勇敢で男気にあふれ、趙行徳の能力を素直に認め、西夏文字の習得を勧めるなど、度量の広い人物であると同時に、回鶻の女性に心を寄せる一面もあり、完璧ではない人間らしい弱さを持っている。その純粋さやまっすぐさに心打たれた。 一方の趙行徳は、時に流されながらも、常に誰かの「想い」を背負いながら「生かされてきた」人物のように感じる。当初は軽い気持ちで西域に渡ったが、朱王礼や延恵、回鶻の女性など、多くの人との出会いを経て、次第に覚悟と責任を帯びた存在へと変わっていく。約束を破ったことへの後悔が、仏教への関心、さらには莫高窟への文書封印へとつながった流れがとても印象的。朱王礼の死を知り一度は生きる意味を見失っていたが、朱王礼の碑を建てるという約束や、曹家の家伝を託されたことで、生きる意味を再び与えられたのだと思う。 全体的に静かな筆致だが、想いを未来に託していくという、儚くも熱い心意気を感じる小説だった。 敦煌行きたい。

    2
    投稿日: 2025.08.08
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    約1000年前の、フィクションだけど、時を越えてくる物語。こんな壮大な体験が500円せずに味わえるって、本ってつくづく凄いと思う。中国大陸の奥深さ多様さ無常などを感じました。 地球儀で見てみると、主人公趙行徳が移り渡ってきた開封から敦煌は、ちょうど北海道から鹿児島くらい。意外にそんなに長くはない、いや長いかとか思ったり。仏教が中国に伝わってきたルートという意味では敦煌〜開封はぜんぜん一部でしかなく、インド〜敦煌もめちゃくちゃ長いし、インド自体もデカいし。あと、シルクロードという捉え方だとさらに長い。丸い地球儀だと中国から中東が見えない、当たり前だけど。 そんなふうに距離感を確認した上で、改めて開封から敦煌まで移動しながら生涯を送った趙行徳の波乱に浸ったり、そしてやはりそんな彼の生涯も(フィクションだけど)長い長い歴史で見れば点でしかない、けど今に繋がっている、みたいな読後の感慨が楽しい一冊でした。

    8
    投稿日: 2025.08.01
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    シルクロードの物語を初めて読みました。砂漠とオアシスが目の前に広がるようですごくワクワクしながら読みました。暗がりのなかでの初めて戦闘に遭遇する描写がすごかったです。

    0
    投稿日: 2025.06.24
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    ものすごくスリリングというわけではなかったけれど、このページ数の短さと登場人物の少なさで大河スペクタクルを描き出しているのは凄いことだと思う。読んでる間よりも読み終わった後の方が満足度が高いこの感じも、まさに「名作」だなという感想。 個人的なハイライトは、「行徳はこの夜のために、あるいは自分は長く漠地を流歴していたのではなかったかと思った。」(240P)。西田敏行主演の映画もいずれ観るつもりだけど、この感慨は映画じゃ味わえないだろう。間違いなく、読んで後悔のない本ではあった。

    1
    投稿日: 2025.05.01
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    著者、井上靖さん(1907~1991)の作品、ブクログ登録は4冊目。 本作の内容は、BOOKデータベースによると、次のとおり。 ---引用開始 官吏任用試験に失敗した趙行徳は、開封の町で、全裸の西夏の女が売りに出されているのを救ってやった。その時彼女は趙に一枚の小さな布切れを与えたが、そこに記された異様な形の文字は彼の運命を変えることになる…。西夏との戦いによって敦煌が滅びる時に洞窟に隠された万巻の経典が、二十世紀になってはじめて陽の目を見たという史実をもとに描く壮大な歴史ロマン。 ---引用終了 壮大な歴史ロマンです。 日本の小説には、中国の宋と周辺国との衝突作品というのは、あまりないように思います。 それ故に、新鮮な感じで、じっくりと堪能させていただきました。

    53
    投稿日: 2025.02.13
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    壮大すぎる舞台設定と奥深すぎる歴史。歴史上消え去った数多い人物を架空で思い描いてストーリーにし、一部を史実に繋げる見事さが際立つ。

    2
    投稿日: 2025.01.06
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    本作の主人公、趙行徳にしても、『天平の甍』の普照にしても、人為を超えた何物かに突き動かされて、結果的に何事かをなしている。何事か、とはここでは仏意の伝承ということになる。さすれば、仏意とは遺伝子の如きものであろうか?

    1
    投稿日: 2024.12.24
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    映画を確かに見たが、覚えているのはラストのシーンのみ。そこまでの長い物語があったのだ。この物語は事実から逆算して井上が創り出したストーリーなのか。すごい。ただ面白いというほどではないな。

    1
    投稿日: 2024.10.24
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    歴史に翻弄され、なりゆきにまかせながら生きる主人公の姿が印象的。 ここまで自分の生き方にこだわりを持たない人はいるのだろうか。。 シルクロードの砂漠の世界に徐々に没入できる作品。

    1
    投稿日: 2024.06.08
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    高校時代に読んだのの再読。手元になかったので市立図書館で借りてきた。再読とはいえ、全然覚えていなかったからほぼ初読。 漢検の準1級の練習問題をやっていたら「敦」の字が出てきたのでそこからの連想ゲームで読んだ。 時代は宋の時代。西から宋を脅かす西夏との戦いが描かれる。「キングダム」を読んだ後だったから、戦いの描写がよりリアルに感じられた。 人の生き様、死に様、主人公の運命が二転三転する様を転がる球のようだな、と思いつつ読む。 いつの時代も獲った、獲られたの戦いなのだなぁと、むしろ日本の戦後70年くらいが例外であって、平和ボケしていると言われても仕方ないのかも、などと思う。まぁ、その日本の戦後もまた経済戦争を戦っていたのかもしれないけれど。 本には「大村智氏寄贈」のゴム印。ノーベル賞の大村先生が寄贈したらしい。本文中には先生が付けたと思われる赤鉛筆の印がところどころにあり。

    16
    投稿日: 2024.04.22
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    物語の舞台は1026年から30年代ごろ中国の西域 想像もつかないくらい大きな大陸で始終多民族が侵攻して、戦って、占領して、征服して、滅ぼされて‥という中で生きるとは。 主人公が敦煌に至り、仏教の経典に出会うまでの運命に引き込まれました。 砂漠、どんなに広いんだろう。どんな景色なんだろう。 敦煌、すごく行ってみたいです

    0
    投稿日: 2024.02.25
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    30年振りに再読した。 読後の印象は、記憶にあるものとは違っていた。記憶では、主人公の生き方に対して、一貫性と達成感を感じていたが、今回は、それよりも結末に至る過程におけるさまざまな選択の潔さ良さを心地良く感じた。

    0
    投稿日: 2023.12.31
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    莫高窟で発見された文書群が、そこに保管されるに至った経緯を描く小説。宋代の河西回廊の政情と戦乱、その渦中にあって自らの誇りと意志を持ち続けた3人の男が主題となる。 描写が省かれることも多く、ある意味淡々と消化される日数だったり城邑のあいだの距離なんかがいちいち長いのが面白い。夷狄の土地の広大さを印象付けると同時に、故郷の潭州はおろか漢土に踏み入れることは二度とないであろうという中盤以降の行徳の意志が裏付けされるようである。 かなり好きな部類の作品なので、特に好きな箇所と解釈に迷った点と、あまり好きではない点を1点ずつ。 尉遅光は悪魔的に描かれる人物であり、善意を装って行徳らを嵌め込もうとする。しかし、自分は人を致しても人に致されることはないと断定する傲慢さの裏には一種のナイーブさがあり、実力行使を何度も逡巡するさまは可愛げすらある。生き生きとした悪役は、本書の魅力的な点だと思う。 よくわからないのが朱王礼の碑の伏線。私が正しく読めていれば行徳は碑を建てていないはずだが、折に触れてこの伏線を張る必要があったか。好意的に捉えるならば、朱王礼が戦死した以上、その義理を果たす必要はないというふてぶてしさの表現だろうか。結局、西夏文字訳の経典を回鶻の女のために完成させていないように、死んでしまった他者に依存しないという生き方を、行徳が選んだということだろうか。もしそうなら、中華の儒教的思考を棄て、精神的にも漢民族国家の重力圏から脱したということなのだろう。 物語上重要ではないが、作品美的観点から、最後に行徳の消息が判明するのは、なんとなく俗っぽい気がした。

    0
    投稿日: 2023.12.30
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    昔の中国を舞台とした物語。 人の生きる様をときに熱く、ときに粛々と 描いている。 人生において、たとえ失敗したとしても 次の道がまた開けるものなのだろうか。 最後は… この主人公は心に秘めた事を 成し遂げようとするが成功したのか失敗したのか?!

    0
    投稿日: 2023.06.27
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    初めての井上靖作品。元々敦煌含めシルクロードに興味があり、のめり込んでしまった。描写が一つ一つ繊細で、コロナの前に敦煌で行けていればより臨場感があったかもしれない。但し、読み終えた今となっては逆に想像が掻き立てられ、行く先にこの本に出会えてよかったと思う。

    0
    投稿日: 2023.06.25
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    11世紀の中国西北部の民族興亡のスペクタクルです。シルクロードが、東西交易の道だっただけでなく、常に戦場だったことが身に沁みます。漢詩にも、辺塞で苦しむ戦士、その帰りを待ち侘びる家族の思いが歌われていますよね。 主人公・趙行徳の物語はフィクションですが、戦乱で失ってはならないと敦煌に経典を埋めた人々は実在しました。名も知れないその人々に思いを馳せずにいられません。

    0
    投稿日: 2023.05.16
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    果てしなく広がる砂漠同様、スケールの大きな物語だった。 何十万の大軍や900年の時を経て陽の光を浴びた経巻など、大きな時の流れの中で何と人の人生の短く小さいことか・・・。 些細なことで悩んでいる自身がチッポケで、悩んでいること自体がバカバカしくなってくる。人の人生なんて、風や雨によって姿を変える砂漠の中の一粒の砂のようなもの。 人生なるようになるさ。おおらかに生きていこうっと・・・。(o^^o)v

    0
    投稿日: 2023.04.29
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     どういう経緯でそれが其処に在ったのか、今となっては我々に知る術は無い。  色々あったけど、最後はやっぱり、皆んなのためになることをしようと思いました。  誰かのそんな物語が、想いがあったとしたら。そんな風に悠久の彼方に思いを馳せるのも良いかも知れない。想像力は自由だ。

    0
    投稿日: 2023.02.19
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    中国西域でのちょうど1000年前の空想物語。都から遠くかつ広いゆえに宋時代の中国が統治しきれない西域、群小民族の覇権争い。現代のウイグル自治区の様相を思い浮かべてしまう、のと同時に、映画やTVシルクロードドキュメンタリーの映像記憶があるから、やすやすと思い浮かべるイメージが、なお空想を馳せさせて面白く且つ意義深く読んだ。

    2
    投稿日: 2022.09.07
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    科挙受験中に居眠りをしてしまった趙行徳は全裸で売りに出されている女を救った。対価として女から貰ったボロ布には見たことのない文字が書かれていた。その文字で書かれていることを知ろうと西夏に向かうが途中で遭遇した軍隊に捕まり軍兵の一人とされてしまう。文字の読み書きができることで西夏の武将朱王礼に重用され始めた行徳は彼と共に西夏の将軍李元暠に対し反乱を起こす。何万点という経典や写経が灰塵と化すことを危惧した行徳は反乱前夜に仏教遺跡にそれらを隠し、1900年代に歴史的発見となる。人の生き方は出会によりこうも変わるものかという面白さが光る作品。

    0
    投稿日: 2022.08.05
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    20世紀初頭、敦煌で大量の経典が見つかった。それはかつて西夏に支配された敦煌が守るために莫高窟の穴に隠したものだった。壮大な歴史ロマン。

    3
    投稿日: 2022.06.04
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    1900年初め、王円籙という道士が窟の一つからたまたま発見した空洞の中には、経巻類が大量に収められていた。 学がなく、字が読めなかった王円籙は、地方官に報告するも「適当に処理しておけ」と言われるだけであった。 しかしその大量の文書群は、唐代以前の非常に貴重な資料で、遺失した書物の復活ができた歴史的な大発見だった。 この文書"敦煌文献"の発見という史実を元に、なぜこれほど大量の貴重な文書が洞窟に封じ込まれていたのか、その経緯を描いた歴史小説です。 なお、敦煌文献が封じ込まれていた経緯については2つの説がありますが、今日では"不要なものをとりあえず置いておいただけ"であるという説が定説となっています。 本小説に書かれているのはもう一方の説で、五代十国時代の終期、中国西北部を支配した夏(西夏)王朝が敦煌を占領する際に、西夏に破壊され、焼き捨てられることを恐れた人々が、貴重な文献を隠したという説が採用されています。 それは今から1000年近い昔の出来事で、その頃に生きた人々のドラマが栄枯盛衰し、忘れ去られてしまった後に発掘されるという、なんとも壮大な展開になっています。 井上靖によって書かれた敦煌は、大部分は創作ですが、敦煌文献で判明した史実や、実在したとされる人物名が登場しています。 中国史に興味が無くても、読めば長い時間を飛び越えた歴史ドラマを感じることができると思います。 主人公は趙行徳という青年です。 非常に頭脳明晰で、三十二歳で進士試験(官吏任用試験)に挑んだのですが、最終試験の一つ前の試験で不覚にも眠りこけてしまい、大事な試験を自ら放棄してしまったことに気づきます。 絶望にいた彼はただ歩きに歩いたのですが、狭い路地の中で、西夏出身という女が生きたまま切り売りに売られている場面に出くわします。 これを見た行徳は回鶻の男から女を買い取り、自由にしてやりました。 ただで自由になったことを嫌がる女は、唯一の持ち物だという西夏の文字が書かれた布切れを渡します。 その出来事に運命を感じた行徳は、そこに書かれた"西夏の文字"を学ぶために西へと旅立つという展開です。 難しい文体、表現が出てきて、スイスイ読めるような作品ではないですが、文章は簡潔で、ある程度読めば慣れると思います。 歴史が積み重ねられ、中国という国自体も大きく変遷し、忘れ去られた先に発見された文献、その発掘物では伝わらない物語が描かれています。 特に終盤、敦煌文献が生まれた軌跡が刻まれるプロセスは見事で、ドラマティックでした。 井上靖氏の中国西域ものとして著名な作品ですが、一冊の小説としてシンプルに楽しめる名作です。

    0
    投稿日: 2022.05.30
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    とっても好きな本。 主人公が好き勝手世界史を放浪する。妻子を持たずにいることが推しポイント。 夢に向かってひたすら突き進むことができて楽しそう。 所属や見た目にどうしても囚われてしまう女にとって、こういう自由な生き方に憧れるし羨ましく思う。

    0
    投稿日: 2022.01.09
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    Eテレの「深読み読書会」で話してたので、 興味を持ち読み始めました。 本屋さんで見かけてもお買い上げしないかもと思う難しい内容でした。 理解できるまでには達していないですが 中国の歴史

    0
    投稿日: 2021.08.21
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    世に残る文章ってのはこういうのをいうんだなと、この手の書物を読むたびに思う。 中国の歴史について基礎知識がほとんどないから、地図を見ながら、脚注を2度読み、なんなら本文も2度読んではじめて目の前に風景が浮かぶ。 コロナ終わったら絶対敦煌行く。莫高窟行く。

    2
    投稿日: 2021.07.15
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    壮大なスケール。この作品の主役は悠久なる時間と歴史、季節のように移り変わる民族の栄枯盛衰。 素晴らしいの一言。

    0
    投稿日: 2021.07.07
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    おもしろかった とくに後半に進むにつれてその内容に惹きつけられた 語学学習が趣味の私ですが、西夏文字に魅了されて故郷を離れ自分の人生を全うした行徳、素敵だなと思うと同時に、言語を身につけることで、普通に生きてるだけは出会えない人々や価値観に出会えるのは、今も昔も変わらないことだと感じた。 敦煌、いつか行ってみたいな

    3
    投稿日: 2021.05.02
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    シルクロードの分岐点であり、重要なオアシス都市である敦煌。 その敦煌にある莫高窟で20世紀に大量の書物が発掘され、文化人類学上の大発見になるのだが、書物がなぜ莫高窟に保存されていたかは不明。この謎を、史実と創造で描いた歴史作品が本書である。 敦煌と莫高窟に旅行したので読書感想ではないけどメモ 莫高窟は1000年に渡り岩をくり抜き、中に壁画や仏像を構築しているのだが、1000年という長い歳月がかかっている為、窟によって文様などの様式が異なる。政治の強さにもよりチベット式、インド式など様々変わるのだが、これを長きに渡り掘り続ける事ができる財力を持った土地が敦煌であり、シルクロードのもたらした富の大きさを感じた

    0
    投稿日: 2021.04.18
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    正直イマイチ何が面白いかわからなかった。 所々、ハッとするシーンはあったが、ストーリー的には面白い部分はあまり無かった。 西夏の関連の話はあまり知らなかったので歴史の勉強にはなった。 ・女が裸で切られて売りに出されているシーン ・女が遠目で飛び降りるシーン

    0
    投稿日: 2020.10.18
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    実在の人物より、架空の人物に重きを置いていて、どちらかというと時代小説みたいな感じ?面白かったけど、ウイグルのお姫様の話は蛇足のような... 個人的には、歴史小説の中の中途半端なロマンスは要らないなぁ。まぁ、主人公が運命に翻弄されている感じがとても良い。

    0
    投稿日: 2020.03.07
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    テレビで作者の特集を観て気になった。 思っていたのとは違うストーリー。 登場人物は予測不可の活躍だったり、その逆も。 総評して面白い、中国の歴史に詳しいともっと楽しめるょ

    0
    投稿日: 2020.02.04
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    時は12世紀。官吏試験に落ちた主人公はその帰途に売られていた女を助ける。その女から渡された布には見たことがない文字が書かれており、それが西方の国の文字であることを知り西へ向かう。 向かった先でとある武官と知り合い厚遇され彼の参謀として働くようになるうちに、仏教への興味が湧き始め、ひたすら経文を勉強する。そんな中でも、国同士の争いは絶えず、いよいよ主人公たちが滞在している敦煌の町も戦火に包まれることになり、経文を千仏洞に隠す。 20世紀まで敦煌の千仏洞に隠されていた12世紀の経文の至った経緯を当時の情勢とともに描いている。 タイトルが敦煌なので、敦煌についてもっと書いてあるのかと思ったら、最後の最後に経文の隠し場所としてしか出てこなくて期待はずれ。 当時のことは非常によく調べてあるのだと思うが、淡々と語られるので物語性はかなり排除されている印象。

    0
    投稿日: 2020.01.29
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    古い時代なのに、 色鮮やかな光景が思い浮かぶ。 賑やかな街や、荒々しい争い。 砂と岩と、人間の感情。 読書で世界旅行できた。 この作品は、井上靖の「天平の甍」と同様に、 同じようなテーマ、つまり貴重な経典や史書を 後世に残したいというミッションに身を捧げる 主人公の高揚感で満ちている。 今の時代、身を捧げて守り抜こうと思える 経典は、あるのだろうか。 やはりそれは仏教典や聖書、などなのだろうか。 科学技術などは対象になるのだろうか。 色々と面白く考えてしまう。

    2
    投稿日: 2019.10.15
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    大陸の広さが目に浮ぶ作品でした。砂漠、ずーっと続く砂漠と、そして街の物語。人間のエネルギー、民族の興亡を感じました。

    3
    投稿日: 2019.08.12
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    3/28はシルクロードの日 趙が救った西夏の女から渡された小さな布切れ。 その文字が彼の運命を変える…この日には『敦煌』を。

    0
    投稿日: 2019.06.19
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    数十年ぶりに再読しました 10代の私は壮大な中国宋代の物語に感動したことを覚えています 淡々と歯切れよく、読み進められる文章は井上靖先生ならではのものだなぁと改めて思いました 難しい漢字が多く使われていたことにも驚きました 中学生の私、よく読んだ!

    0
    投稿日: 2019.05.07
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    もし、行徳が普通に試験に合格し、官史になっていたら、彼の人生は充実したものになっていたかもしれないが、世界に何の影響も与えなかっただろう。 彼は失敗し、一度は絶望するが、さまざまな人物と出会い(特に女性と出会う時に大きな転機がある)好奇心や探究心を掻き立てられ、新たな人生を歩み出す。 自らの人生を水の流れや因縁に例えながらも、強い意思と行動力で大事を成し遂げる。 一度の失敗や、目にみえない未来の事を思い立ち止まるのではなく、今、自分が成すべき事や思いに誠実に向き合い、今を懸命に生きることで、いずれは予想もしなかった未来に繋がるのではないか。それが大きいことであれ小さいことであれ。 その他の登場人物も生き生きしていて、とても魅力的だった。胸が熱くなる良書。

    0
    投稿日: 2019.05.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    官吏任用試験に失敗した趙行徳は、助けた西夏の女にもらった西夏文字に惹かれて西夏に向かう。西夏軍の朱王礼に認められ西域での戦いにも加わったが、沙州(敦煌)で王の李元こうに反旗する。滅ぼされる前に多くの貴重な仏典を石窟に隠そうとする。

    0
    投稿日: 2019.01.20
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    10世紀の西域アジアを舞台とした歴史ロマン。西夏に吐蕃に契丹に高昌・・・出てくる単語がどれも懐かしい。司馬遼太郎より文体は好みかも。キャラクター立ってるし、しっかりとした知識に基づいた精緻な作り。ある程度前知識のあったほうが楽しめるかも。

    0
    投稿日: 2018.12.14
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    敦煌に行くということで読む。 宋の時代の西夏の話。そこから敦煌につながっていく展開がとてもすばらしい。

    0
    投稿日: 2018.04.26
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    世界史を勉強していた時にたまたま読んだ本。薄い本だがストーリーは重厚で歴史ロマンを感じられる。男の生き様としても何かしら憧れる所もある。いつか行ってみたい敦煌

    0
    投稿日: 2017.05.18
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    恥ずかしながら井上靖の小説を読むのは初めて。 敦煌に関しては歴史的な部分がわからないと 面白くないので結果的には今読んだのが正解かも しれない。 中国は実際多民族国家でいわゆる宋とかの時代でもこの小説に出てくる夏とか結構漢民族以外の勢力が強い時代もある。 また今あまり中国では大きな宗教ではない仏教も物語の核心で興味深かった。 敦煌は西との交易に欠かせない都市で機会があったら行ってみたいものだと思った。

    0
    投稿日: 2017.01.10
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    敦煌で二十世紀に、洞窟から数万巻の経典が発掘された、というところが史実。その経典がどのような事情で、誰によって隠されたか、というところが作者のフィクション。 ひとつの史実から、ここまで物語を膨らませることが出来る、というところに単純に感動できる。物語構成的にも、ある意味、小説のお手本と云えるような安定感がある。 主人公の述懐するところ、運命に抗わずに生きてきたら途方もなく西の辺境にいる身、これは作者の憧憬でもあるのだろう。

    2
    投稿日: 2016.08.16
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    小学生の頃に金曜ロードショウでやっていたのが頭を掠め読んでみようと思った。 舞台は中国の西域 主人公の趙行徳は官吏採用試験でまさかの居眠りをしてしまい、当たり前の不合格! 失意の彼の眼の前に現れた異国の女! 彼女を何となく助けたことにより異国の文字が書かれた布切れを貰い、何となく西を目指して旅立つことに! 周りに流されやすい趙行徳は西に歩を進め時代の潮流に流されながらも愛する人や友と出会い、西の果ての地、敦煌に辿り着く。 敦煌で彼を待ち受ける運命とは! 西夏の版図拡大と、20世紀初頭に発見された万巻の経典! この二つの史実の結び目は敦煌にあり!! 昔の小説にしては読みやすい。 旅小説。 舞台は中世の中国、水滸伝の舞台となる少し前の時代? 次は同作者の【楼蘭】を読んでみたい!

    3
    投稿日: 2016.07.15
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    史実かと思っていたのに、行徳も朱王礼も架空の人物とは…。驚いた。三国志もかじった程度だが、地名などが多少わかるだけでだいぶん読みやすかった。 歴史物を読むと、今に至るまでの時代の連なりを感じ、今に遺産を遺してくれた人々に感謝したくなる。

    0
    投稿日: 2016.02.22
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    母が自分の名前説明するのに「敦煌の『敦』に子供の『子』」と言ってたためにずっと気になっていた敦煌. いざ読んでみると,敦煌での話がメインではなく,最終的に敦煌に辿り着く話(また,場所名も敦煌ではなく沙州). 話をシンプルにまとめると, 官吏を目指していた主人公が,売られていた西夏の女を助けた.そのとき,西夏文字や西夏の人々に惹かれ,いつしか夢がその首都興慶を訪れることになった. 話が進むたびに,徐々に世界観が広がっていく. 時間省略をすることが多かったことで,話は冗長せず読みやすかった.

    0
    投稿日: 2015.11.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    子どもの頃映画化されて話題にもなっていて、いつか読みたい名作だったけど、うーん、イマイチ。説明調ばかりで、人物の気持ちに入り込めない。 主人公の文才肌の青年が恋した異国の王女、その王女に横恋慕した部隊隊長、その女を横取りして妾にした彼らの王。女の憤死が遠因となって、やがて戦乱に。 三国志の董卓と呂布がモデルなのかな? シルクロードが舞台とされているけど、あまりその描写がなくて想像しづらい。主人公も意思薄弱ではないが、周囲に流されている感じ。 戦火のなか、大量の経典を守ろうとして敦煌岩窟のなかに隠す決断したあたりから面白くなる。 結末を知ってから前半部を思い返すと、主人公が科挙試験に失敗したことや、売られていた異国の、命を奪われても辱めを受けない誇り高い女を救ったこと、砂漠をさすらって駱駝の列を連れていたこと、男惚れするような部隊長に仕えたこと、などすべて、この運命を匂わせる巧妙な伏線だったのか、と気づかされる。 ただ、ちょっと自分にとっての名作ではなかった。

    0
    投稿日: 2015.07.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    失われた西夏文字を題材に、当時の歴史環境や人々の描写も緻密に描かれた名作。 少ない情報の中でよくここまで生き生きとストーリーを組み立てられたなと感心した。

    0
    投稿日: 2015.06.20
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    初めて読んだ井上靖さんの本。最初の数ページを過ぎたら後は非常に読みやすく、趙行徳の運命から目が離せませんでした。資料だけでこれだけの壮大な歴史物語が描けてしまうなんてすごい。映画版も、他の井上作品もぜひ味わわねば。

    0
    投稿日: 2015.02.24
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    過去読了分 桂林旅行のとき、30時間の夜行列車の中で読破した一冊。 昨年10月のシルクロード旅行の前に読まなかったことが悔やまれます。 http://blog.livedoor.jp/hara_inu/archives/7664737.html 歴史小説が大好きなんですが、活字を読み、目を閉じると その当時の様子が目の中に浮かんでくる。 自分もその時代に生きたかのような錯覚に陥りません?

    0
    投稿日: 2015.02.15
  • 敦煌莫高窟に数世紀にわたり隠されていた万巻の経典の謎に小説家の想像力が挑んだ野心作。

    時の思いが人を動かしているような歴史小説。主な登場人物である趙行徳、朱王礼、尉遅光という出自も生き方も考え方も違う三人の男たちの生き様を鮮やかに詩情豊に描き出した手法は中島敦の「李陵」を思い出させる。 特に主人公の趙行徳自身は儒家に生れ、三十すぎまで科挙に受かることだけを考えて書物の中に生きてきた人間であるが、科挙に落第したことを契機に西夏出身の女が持つ生身の肉体の叫びに導かれるようにして西域に赴き、遂には自らの身を戦場に投げ出すことに些かの恐怖も不安も感じない。彼の空っぽの器のような人生にウイグルの王族の女の死が酒を満たすように目的を与え、そうして後の世に残された数々の経典が忘れ去られた過去を充たしてゆく。 時も人の思いも何もかも飲み込んでしまう砂漠に今もただ風が吹いているだけなのであろうと思う。第一回毎日芸術賞受賞作。

    3
    投稿日: 2014.12.23
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    【本の内容】 官吏任用試験に失敗した趙行徳は、開封の町で、全裸の西夏の女が売りに出されているのを救ってやった。 その時彼女は趙に一枚の小さな布切れを与えたが、そこに記された異様な形の文字は彼の運命を変えることになる…。 西夏との戦いによって敦煌が滅びる時に洞窟に隠された万巻の経典が、二十世紀になってはじめて陽の目を見たという史実をもとに描く壮大な歴史ロマン。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

    0
    投稿日: 2014.10.04
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    自分の中で西域ブームが再熱して、再読。 主人公(男)が1人の女をダシに2人の男を誑かす話。人生狂わされたよね〜! 陽関行きたい。

    0
    投稿日: 2014.09.22
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     西夏は宋の時代にシルクロードの始まりである敦煌を滅ぼし自国を樹立。元に滅ぼされるまでの数百年の間、西夏文字を持つ国として存続した。漢人は敦煌が滅ぼされる時に万巻の経典を洞窟に隠す。そして、20世紀に現代の人々がその経典を目にすることになる、世紀の大発見であった。ストーリー仕立ての大河ロマンは感動的である。

    0
    投稿日: 2014.06.11
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    行徳と歩む雄大な旅。臭い言い方だが、ロマンがある。彼の作品は、主人公と共に人生を共にしているようで、好き。砂漠を行き来し、戦場を生き抜いた男のろまん。

    0
    投稿日: 2014.06.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この小説は。井上靖氏の作品で映画やドラマなどの映像化された作品です。一人の人物「趙行徳」の一生を当時の歴史とからませて経過して行きます。

    0
    投稿日: 2014.03.13
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    このスケール感。 脚色はあるだろうが、だいたいの流れはこういう感じなのだろう。 敦煌。 砂漠の街であった。

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    投稿日: 2013.11.10
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    はるか1000年の昔、中国。科挙試験の待合い室で居眠りしてしまい不合格となった、趙行徳。都で西夏の女を助け、その時に見たこともない奇妙な文字(西夏文字)を目にし、「この文字は何だろう?」という疑問から、遙か西方の西夏を目指して旅に出る事を決意する。そしてひょんな事から、西夏軍の漢人部隊の一員として働く事になる。 これは、中国北西部の敦煌から出土した大量の文書(仏典など)を主題にした物語。どうしてその文書が残されたのか、それを追究した小説。まさにロマン。歴史の雄大さを感じる素晴らしい作品だった。

    0
    投稿日: 2013.10.02
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    井上 靖「敦煌」読了。 面白かった‥ 「風林火山」「天平の甍」「後白河院」「孔子」に続き、既にQueueに何冊か積まれているし、今後も徐々に増えそう‥ #読了 #井上靖 #敦煌

    0
    投稿日: 2013.09.30
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    人の想像力とはすばらしい。敦煌には夢がある。どんなドラマがあったんだろうか、この作品のような人々の苦悩があったんだろうか。

    1
    投稿日: 2013.09.16
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    面白かったです。井上靖はまだ2冊目。 フィクションとは思えない。 ほかも読みたいと思いました。

    0
    投稿日: 2013.06.24
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    選書の時間が全くない中でとりあえず、本棚から掴んできた一冊。中学生のとき以来の再読。笑。疲弊しきり霞みゆく意識のなかで、ロマンに想いを馳せ、束の間の逃避にはよかった気がする。

    0
    投稿日: 2013.04.28
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    井上靖の「西域物」の代表作で、映画にもなった。中国西北部のタングートの族長・李元昊は漢民族の北宋に味方する敦煌を制圧して西夏を建国し、初代皇帝になる。「西夏文字」に興味を持つ趙行徳をはじめ多くの人間の人生を描いた群像劇。 井上靖の『蒼き狼』に描かれた通り、建国から189年後に西夏はモンゴル帝国の成吉思汗(チンギス・ハーン)に滅ぼされる。「諸行無常」は、どこの国でも同じらしい。

    0
    投稿日: 2013.04.16
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    中国西域に位置する敦煌から歴史的価値が非常に高い経典が数万点発見された。史実に基づき、その経典がなぜ敦煌から大量に発見されたかを趙行徳を主人公として語る。  予備知識なしに読んでいたから最初は三国志のような武勇伝かと思いきや、最後の数ページで経典のことが主題だったのかと漸く分かった。何となく冴えない主人公・趙行徳がいつ開花するのかと思っていたのに、結局、そのまま終わってしまった。ただ、歴史的価値など分からない私から見れば、経典が発見されたことに然程驚きはしないが、こういったフィクション混じりの話を経由して知ると歴史のロマンというか奇妙さというか面白さが伝わってきた。

    0
    投稿日: 2013.03.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『天平の甍』の仏界ワンダーランドの旅が面白かったので、 続いて『敦煌』を読んでみました。 山から吹き降ろす風に雪が混じっているような、冷えた砂漠のイメージが鮮烈。敦煌ってほんとにこんなところなのかしら(あの描写は敦煌じゃなかったっけ?)。 「すべては因縁というものだ」 主人公は官吏を目指して試験を受けるが、まさかの居眠りをして試験をすっぽかしてしまう。そんな中、街で危機に瀕している異民族の女を助けてやるが…。 主人公は、西方に向かい、異民族の部隊に編入され、転戦し、恋人を亡くし、仏道に興味をもち・・・。きっかけは些細な出来事ですが、それからの人生は導かれるよう。まさに因縁としか言いようがありません。 あの頃の人々は死んでしまったけど、 仏洞に秘匿された経巻が900年のときを超えて 現代の貴重な資料になっていることを思うと感慨深いですね。 井上靖の知性に満ちた淡々とした文章はかなり好みです。 客観的に描写して、あとは読者の想像力にゆだねるかんじです。

    0
    投稿日: 2013.03.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ひょんなことから読むことになったわけですが、それなりに楽しめたような気がします。出鼻をくじかれるような書き出しですが、それを乗り越えれば軒並みの小説となっているように思われます。軒並みってのは失礼でしょうけれども。 仏教思想が絡んだ内容であるのかもしれませんが、さして気にならないです。途中から主人公がそんな思想に目覚めて急に人生を達観し始めますが大した伏線でもなく。というかそういう本じゃない… 純粋に思想的な何かを楽しむ内容なんでしょうねえ。僕はピンときませんでした。 ちょこっと小難しい話も入ってきますのでそういうところはあまり考えないで読んでました。あと漢字の表記がやたら難しい。読了後の今でも正しく読めていたかどうか謎。

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    投稿日: 2012.12.19
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    ※自分用メモ 【出会い】 息抜き用にブックオフで。 【概要】 宋代を舞台にした歴史ドラマ 【感想】 展開のはやさ感が飛行機の中で読むのにちょうどよいくらいだった。 無常な感じ。 広大な中国の歴史をひもとけば支配権をめぐってせめぎあいが繰り返されてきたわけで、広い国土の統一は今の時代でも難しいのだろう。

    0
    投稿日: 2012.11.17
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    恥ずかしながら、井上靖の歴史ロマンを読むのは初めて。しかし、時代を感じさせない迫力を感じた。「心理描写が今いち」という評価を聞くが、淡々とした語り口が、何というか、歴史の無常感のようなものを表現しているのではないかと思う。やはり、沿岸部だけでは中国は語れないなあ、と思う。

    0
    投稿日: 2012.06.10
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    大変読みやすい文章。 内容はおもしろいけど、心をつかんで離さないってのとは違うかなあ。興味深いって感じでした。

    0
    投稿日: 2012.03.17
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    数年ぶりに再読。 歴史上のエピソードをフィクションにするということは、執筆に非常な勉強が必要で、あらためて文学の奥行きの深さを感じることができる。

    0
    投稿日: 2012.02.25
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    一人暮らしを始めるにあたり、実家からこれ一冊携え東京にやってきた。 自分の人生もかく在るべき、と読むたびに強い憧憬を禁じえない。 迷った時の道しるべ。余計迷うけど。

    1
    投稿日: 2012.02.19
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    主人公(趙行徳・ちょうぎょうとく)が大事な試験の待ち時間で居眠りをし、失格になってしまうという始まり方が良かった。西夏の女のシーンはグロかったけど…。最初はそうでもなかったが後半では武人、朱王礼が女の為に戦う姿が男らしくてカッコ良く思えた!沙州(敦煌)が西夏によって滅ぼされるこのストーリーは、架空の人物と本当にいた人物、出来事が混ざっているので中国歴史に詳しい人はかなりハマるんじゃないかな。

    0
    投稿日: 2012.02.10
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    (1966.10.10読了)(1966.10.08購入) (「BOOK」データベースより) 官吏任用試験に失敗した趙行徳は、開封の町で、全裸の西夏の女が売りに出されているのを救ってやった。その時彼女は趙に一枚の小さな布切れを与えたが、そこに記された異様な形の文字は彼の運命を変えることになる…。西夏との戦いによって敦煌が滅びる時に洞窟に隠された万巻の経典が、二十世紀になってはじめて陽の目を見たという史実をもとに描く壮大な歴史ロマン。

    0
    投稿日: 2011.12.03
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    20世紀、敦煌石窟で膨大な経典が見つかるという世紀の大発見を題材に、今から遡ること約1千年前のシルクロードを舞台とした小説。 主人公・超行徳は、役人になる試験を寝過ごすという大失態を犯した後、町で売りに出されていた西夏の女性に興味を持ち、西夏という国や文字、更には仏教へと傾注していく。西夏の外人部隊(漢民族)に加わった後、優れた学識と、戦場では失神しながらも決して落馬しないという神がかり的?な戦いぶりが認められ隊長・朱王礼から重用されるまでに。主人公が西夏文字と仏教に情熱を注ぐなか、元々漢民族の集まりだった外人部隊は、ついに自分たちの王に背き、次第に敦煌に追い詰められ、最終局面を迎えてしまう。 特に、広大なシルクロードを東へ西へと留まることなく戦場を移して果敢に戦う外人部隊の活躍と、敦煌の壊滅的打撃を目の前にしながらも、主人公が計略的に経典を敦煌石窟に隠すシーンが印象的。 アジア西端の敦煌は漢民族が周囲から攻めてくる異民族を守る第一線の地。それだけに歴史的にたびたび異民族の手中に委ねられる。 また、漢民族や西夏、ウイグル、吐蕃など様々な民族がシルクロード上に存在するという地理的特殊性が、国の存亡を必然的なものにしている。 国が興ると文字を作り、経典を作り、更に土地で話す言語や服装すら変えさせてしまう人間の執念・奥深さすら感じる一冊。

    0
    投稿日: 2011.11.22
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    自分が生まれるより更に20年も前に書かれた作品で、かつ、物語の舞台設定はそれよりもはるか昔。しかし、文体にも登場人物にも「昔」を感じることがない。版を重ねること100回近いことに納得。

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    投稿日: 2011.10.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    間違いなく歴史小説の中で名作に入ると思う。断片的な事実を逞しい想像力によって一つのロマンたらしめたと思う。以前から、「西方」に対しては少なからずの憧れを持っていたが、ますます強くなったと思う。冷めた目で見るならば、エドワードサイードのオリエンタリズムと同様に、日本人の「西方」に対する見方は非常に偏見に満ちたものなのであろう。文字がない文化圏の文化は文字がある文化圏のそれよりも理解しづらく、そして好奇心をそそるものである一方、文字がないために題材が限られるというのは皮肉な現実であると思う。しかし、そこにまた歴史小説家の想像力が入り込む間隙であるのも事実ではないだろうか。

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    投稿日: 2011.09.13
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     無駄のない文章。軽快かつ単純で、読みやすい。それでいて豊かな表現力を合わせ持ち、あたかもその場にいるような錯覚に陥る。淡々とした文体で、物語は官吏の試験から西夏への西下、朱王礼との出会い、ウイグルの王族の娘との邂逅……と続き、最後は敦煌での西夏との戦いへと進んでいく。  寝過ごして試験をふいにするという痛々しい失敗から始まり、主人公の趙行徳は、西夏とその文字への興味から故郷を離れ、異郷の土地へと向かう。そこで次第次第に仏教へ惹かれていき、計略によって大量の経典を戦火から守っていく。それらの貴重な経典は何百年もの間保存され、歴史的な大発見へと繋がっていく。  著者の井上靖は敦煌石窟の謎を題材に、三人の架空の人物を造り上げその由縁を描いた。簡潔だが物語の起伏が少ないため、少々展開が頭に入りにくい。また著者の主張がわからない。仏教的神秘感なのか、はたまた試験の学びより興味ある学びであり実践なのか。いずれにせよ受験を控えた学生は読むべきではないだろう。むしろ受験を終えた大学生に勧めたい一冊だ。  個人的には名前、地名、漢文、難読漢字には読み仮名を振って欲しかった。読めないことは頭に入らないことに等しいため、東洋を題材にした文章において、記憶に残りにくい原因の一つになっている。

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    投稿日: 2011.05.02
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    この作品が昭和34年に書かれたと知り感慨深いものを感ずる。 昭和34年というと私が小学校4年生の時だ。雄大な中国の歴史と 男女絡めて描かれる人間模様。歴史小説 恋愛小説 久しぶりに先が知りたい、知りたいとズンズン読んでいた。敦煌に対する各自の思いがそれぞれに純粋で切なくて・・・

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    投稿日: 2011.04.07
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    著者自身、完全なフィクションより歴史小説のほうが好きなんじゃないかな。 淡々とした文体からそう思う。

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    投稿日: 2011.03.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    中国史の小説を読むのは初めてだったが読みやすかった。旅のロマンや哀愁が詰まっている。 p.220「そこまでの何千里かに及ぶ遠さを思った瞬間、眩暈のようなものが突然行徳を襲ったのであった。開封から何と遠く離れた土地に自分はいることか。…中略…自分は長い歳月を費して流動して来て、いまここに横たわっているのである。」

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    投稿日: 2011.02.10
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    昔、映画のロケが大変だったという西田敏行さんのコメントがテレビで放映されていたのがなぜだかとっても記憶に残っている。この作品の映画ロケだったのだな。 古本屋で50円で売ってたので買って読んでみた。 「うん?」 それほど面白いとは思わないんだがなぁー

    0
    投稿日: 2011.01.20
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    再読。 面白かった。 宋の知識人趙行徳が、市場で西域の女と出会ったことがきっかけで西域に向かう話。最後は壮大な歴史ロマンって感じの結末。 西域ものって、どうしてかわからないけど惹かれる。 砂漠で、人がほとんどいない風景が浮かぶからか。よくわからん。 井上さんみたいな簡潔な文体は結構好き。 淡々としてるけど、印象に残る描写が多かった気がする。 趙行徳が、遠くからウイグルの女が身を投げるのを目撃するシーンと、火がかけられる直前の沙州の静かな城の中のシーンが印象に残ってる。

    0
    投稿日: 2010.10.25
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    科挙の試験で居眠り、挫折の後、身売りのウイグル女の挙動から感化されるものがあり西域を望むこととなった趙行徳はどういう因果か西夏軍の漢人部隊に編入することとなる。将軍の朱王礼にその博識と強運を見初められ、異民族語の翻訳などに従事する。 物語は史実をベースにしている。実在した国といくつかの重要な人物、そして敦煌の興亡の様も伝えられている通り。そうした舞台に架空の人物を奔走させ、男臭いヒューマンドラマとなっているが、筆調は淡白且つ堅実。 趙行徳は沙州(敦煌)において戦火から大量の文献を守るべく、それを財宝と偽って安全な洞窟に隠すことに成功する。 終章はそれが年月を経て新たな世代に発見され、持ち出され、貴重な歴史的文献としてその価値を高めたという事実を以って締められる。 特に学者にとってこの奇跡的で感動的な事実は井上靖の作家的想像力をかきたてるに足る題材であるが、想像部分が冗長になってしまっては事実の重みに対して物語の結末としては味気なくなる恐れのあるところを250頁程度のボリュームにまとめた潔さに感心した次第。

    0
    投稿日: 2010.09.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    平山郁夫さんの「月光の砂漠」の絵が頭の中をよぎった。 登場人物たちの会話がつっけんどんに感じて違和感があったけれども、いつの間にかぐいぐいと読み進めてしまった。

    0
    投稿日: 2010.08.28
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    戦火を逃れさせるために膨大な量の経典を穴に隠すラストは圧巻。 中国の歴史は壮大。チベット、ウイグルを巻き込む歴史が深くて、今の問題も今だけ見てては到底わからないものなんだと思った。

    0
    投稿日: 2010.08.10
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    「受験のため」だけの勉強って、後に残らないんだよね   ある時「どうでもいい」って思ったら、本当にどうでもよくなってしまう   今現在、うだうだ生活してる自分はしょっちゅう、「ある時」が訪れないかなあ   ……「ある時」から生き方が変わった行徳が、楽しそう(で無いときもあるけど)だと思っただけ   と、来年の受験生は考えてみたり  

    0
    投稿日: 2010.07.07
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    1959年(昭和34年)。 散文的な筆致にもかかわらず、無性に旅愁をかきたてられ、その地を訪れて直に空気に触れてみたくなる。この小説には、そんな力があるように思う(私も昔、本書に触発されて莫高窟へ行った)。解説にあるとおり、この物語の主人公は敦煌をはじめとする西域の地、その興亡そのものである。人物はいわば風景の一部であり、流転する万象の一部にすぎない。そのような仏教的無常観を基調としながら(或いはだからこそ)、儚い生をひたむきに生きる人間の、なんと愛おしいことだろう。この小説のような、或いはこれ以上のドラマが実際にあったかもしれない。経典が実在するという事実と相まって、ついそんな空想を抱いてしまうような、浪漫に満ちた物語である。

    4
    投稿日: 2010.04.14
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    児童小説から卒業して、初めて読んだ本格小説がこれでした。 「しろばんば」を国語の授業で習った直後、井上氏の作品に興味を抱いたんだっけな。 氏の作品ではこの小説が一番薄かったので(本の厚みが)、入門として購入しました。が、当時は読めない漢字が多くて、辞書を片手に読むことになりました。まったく解読作業でしたよ。懐かしい。 中国は北宗の時代。 科挙(官吏の採用試験…国家公務員試験みたいなの?)に落第した事から、趙行徳の運命は大きく動き、数奇な砂漠の道をたどっていく事になる。 そんな感じかな? 壮大な時代ロマンです。 読了後、シルクロードの月、西域の砂漠に思い馳せ、激しく莫高窟に行きたくなった私。まだ夢はかなっていません。が、いつか絶対行ってやるぞ! この小説は映画にもなってるんですよね。 なんと、趙 行徳=佐藤浩市氏! しかも若っ!! 佐藤氏大好きなので、すごい嬉しかったです。 ただ朱隊長が西田敏行氏だったのがびっくり。 西田氏は好きなんですよ。でも、朱隊長のイメージじゃなかったかなーって。私のイメージ的には、高倉健氏みたいな感じ?だったので。

    0
    投稿日: 2009.12.20
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    ずーーーーっと昔、映画を見たがあまりちゃんと覚えていなかった。 ちょっとしたきっかけてふと読んでみようという気になった。 淡々として端正で取り付くシマもないような硬質な文体だけれども、いつの間にか引き込まれる。 ドラマティックでスケールが大きな出来事を、ひたすら淡々と描く。 昔、井上靖の「しろばんば」を学校の課題図書で読まされた時は、この淡々とした文体がつまらなくてつまらなくて…。 でも、今、改めて読むと、結構はまる。 淡々とはしているのだが、とにかく無駄がなくて美しい。その極限まで削ぎ落とした筆致で語られる歴史ロマンの世界は、時にグッと深く心に刺さる。 趙行徳の数奇な運命に説得力があるのは、この文体ゆえ、という気がした。

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    投稿日: 2009.11.29
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    シルクロードに憧れる作品。 個人的な感想は、やっぱ大人の為の作品だなぁとしみじみ思います。 高校の時に読んだけど、今読んだ方が分かる事ってたくさんあると思います。

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    投稿日: 2009.11.04
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    殿試を寝過ごし、茫然自失で街をふらふらしていた趙徳が出会った一人の女性と彼女の持つ一枚の紙切れ 其処に記載された当時、脅威を増していた新興国家西夏の文字に魅せられた趙徳は今までの生活の何もかもを捨て 単身西への旅を決意する。 彼の目を通して描かれる西夏の勃興と宋と西夏の争いの舞台となる瓜州、沙州、敦煌などの街が生き生きと描かれる。 西夏の捕虜となり漢人部隊に配属されたり 滅亡した国家の王家の女性としとやかな愛情を育んだり 西夏文字の翻訳作業の第一人者になったり 仏教に傾倒してみたり あまりに転身の多い生き方にともすると周りに流されているだけにしか見えなくなる けれども彼自身が述べているように、全てその時々に自身に「後悔していないか」と問いかけ選んだ道であり、 それ故どのような運命が待ち受けていようとも彼は後悔することなく淡々と生きていく。 そう、彼は全く後悔せずに生きている。 生に無頓着であり全体的に感情の起伏が少ない性格もあるだろうが、 何もかもを受け止めることのできる大きさみたいなものを感じる。 茫洋か恬淡か 境は不明瞭だがそのような心持で居ればどんな状況でも生きていけるのかもしれない

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    投稿日: 2009.10.06
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    宋の末期を描いた歴史物語。 主人公趙行徳は科挙に失敗し、ぶらぶら歩いていたところ、 市場に売られていた女を救う。 その女から受け取った小さな布きれに書かれていたのは見たこともない文字であった。 その文字を解き明かすために西夏に近づき… 漢民族はよくいえば自分たちに誇りをもっている。 悪く言うと中華思想も伝わってくる(笑 それと民族が文字をもつというのは凄いことなんだと。それだけ京大なんだとか。 文字をもつとはどういうことなのかすら初めて知ったw あと李元昊が荒っぽい男だったということや、 宋と西夏が結んだ和議の裏側。 これは興味深かった。 つーかこれ高校時代に読んでおけばよかったw 宋とか西夏とか契丹とか吐藩とか遼とか…この時代複雑w 戦闘あり、ちょっとロマンあり(?)。 それでいて無駄な人物がいないからか割と淡々とした感じ。 「李元昊…昊→臭って字に似ていてなんだかくさそう!」 これくらいのイメージしかない人はぜひ読んでみて。 って私と母くらいか、こんな失礼なイメージ抱いているのは(笑

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    投稿日: 2009.08.04
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    わくわくするような面白さ! というのでは残念ながら無いですが、 それを求めちゃいけない。 エピローグが大学受験中の現代文の模試に出てきて、(何年前だ?) それがずっと印象に残ってたのが、ついに今読破。 まぁ逆に言えば、エピローグを先に知っていたので、 感動は無かったけれど。 ただ、なんとなくここの所中国で感じていた、 少数民族のこと、をさらに感じた。 西夏なんて、漢民族と同じイメージで受験生の頃はイメージしていたけど、 今は実際に中国に来て、少数民族が漢民族とどう違うか、 というのがイメージしやすい。 同じ 黄色い肌で、 黒い瞳に黒い髪。 でもちょっと違う。 そういう感じ。 そのちょっと違うがイメージできたから、 読んでいてより活き活きとした映像が頭に浮かんできた。 時には一人の人間のちょっとした思い付きが 歴史をかえたり、 後の歴史研究に大いに役立ったりするんだ ということが人をとりこにする小説だ。 ななめに読んだ箇所も多かったけど、 でも面白かったな。

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    投稿日: 2009.07.03
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    シルクロードブーム続行中。 敦煌は一度行ってみたい憧れの土地。 そして、読みました(2009,3月下旬) かなり良かったです。 そして、文章も素敵。井上さんの本、もっと読んでみるか。

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    投稿日: 2009.04.06
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    どんな内容だったかな? これも実は悲しい思い出のある1冊。 忘れたかったけど、思い出しちゃった。 人生色々ありますよね。うん。

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    投稿日: 2008.10.31
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    西域に興味を持っていた頃に読んだ本。 映画も見たな。主演が佐藤浩一だったと、今、表紙を見て思い出した。

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    投稿日: 2008.10.14