
総合評価
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powered by ブクログ独居老人男性の日常の事細かな描写は途中読むのが辛くなる箇所もあったけれど、最後の方、幻想と現実の境が曖昧になっていくところはとても良くて引き込まれた。映画も観てみたい。
0投稿日: 2025.10.19
powered by ブクログ飯テロ小説だと思ってます。 ご飯の描写が美味しそうでお腹が空きます。 生活の中で欠かせない食事シーンに注力しつつ、そこに付随する習慣が奇想天外でもあり、日常的でもある。そのラインが心地よかったです。
5投稿日: 2025.10.15
powered by ブクログ映画を見てしばらくしてからこの原作を手に取る。読点(、)が少ないことにまずびっくり。その分慎重に文字を追うからか、主人公儀助の心情をじっくりと味わうことができた。 老いるとはどういうことなのか。どんな楽しみがあり、どんな心配や苦しみがあるのか。一つ一つが具体的で現実味があり、頷いたり首を傾げたりしながら読んだ。 それにしても本作を執筆した頃の筒井氏はおいくつくらいだったのだろう?初版が1998年とあるから 64歳あたりか。このくらいの年齢から老いや死について考え始めるのだとすれば、その年代に差し掛かったりそれ以上の読者にはとても刺さる内容だと思う。
12投稿日: 2025.10.07
powered by ブクログ◯あとがきにあるとおり、なるほど、描写は詳細ではあるが、それだけに起伏がなく退屈な印象を受ける。隠棲した者の日常生活だしそれは狙いどおりなのかもしれない。 ◯しかし、中盤以降、妄想と現実が曖昧に描写され、急な切迫感を抱く。ただ、それもあまりに脈絡がないため(ドグラマグラよりは分かる)、これまた読み通すのに集中力がいる。 ◯全体としては、狙いや方向性も分かりやすく、かつ斬新で、さすが筒井先生といったところ。残像に口紅をしかり、新しい小説を追求している印象。 ◯邪推をすれば、自らの実体験も混ぜられていて、一種の遺書のようにも読めるのではないかとも思った。
10投稿日: 2025.09.26
powered by ブクログ特に何ってことは無いんだけど日々のジリジリとした変化と焦りがあり、普段描かない物語の部分を虫眼鏡でのぞいているような楽しさのある作品でした。なぜかもう何度か読んでみたいと思える中毒性を感じました。
1投稿日: 2025.07.23
powered by ブクログ小説というよりおじいさんのエッセイって感じ これどんな風に映画化されてるんだろう… 長塚京三さんのイメージとはちょっと違う気がした 映画も観てみよっと
0投稿日: 2025.06.15
powered by ブクログ映画で不思議な印象を受けたので、原作を読んでみました。面白かったです。現実と夢の境があやしくなっていくところは、リアルでこわくなりました。でもそこがこの小説の魅力だと思いました。
1投稿日: 2025.06.06
powered by ブクログ老人小説というジャンルは初めて読んだが、中々面白い。 主人公である儀助さんは、自分を慕ってくれる友人たちと再会できることを待ち望んでいる。だが、彼らからは便りが来るだけで中々訪ねてこない。 ただ、生活のみが淡々とあり、ドラマがない。もし、彼の生活にドラマがあるとすれば、それは妄想の中のみにある。しかし、決してせん妄というレベルまではいかない。儀助さんのまだ残っている理性が耄碌と闘っている。 耄碌との闘いは寂しく孤独なことなのだろうな、と考えさせられる小説だった。
1投稿日: 2025.05.16
powered by ブクログインテリ独居老人の節度ある暮らしぶりが仔細に克明に端正に延々と語られていくのが無性におもしろい。 特に食事にまつわる話はずっと聞いていられるくらいノリにノっている。随所に出てくる擬音の当て字も癖になる。 だから、それらで構成された生活の描写が後半どんどん姿を変えていくのが無性に寂しい。 7年ぶりに読んだ筒井御大の文章が途轍もなくおもしろくて、美しくて、儀助の愛嬌も凄まじいし、自分の抑制し切れない感情や欲求すら細やかな愉しみにしているその冷静な脳みそに惚れ惚れする。 そんな静かな生き方をできたら良いなあとも思うし、色んな人付き合いが過去のものになっていく寂しさもある。 舞台上での儀助の長広舌で急に涙ぐんだりしてしまって不思議な感じだった。傑作だったな...。 最後の余白の先に、果たしてまたあの均整の取れた暮らしは変わらずあるのだろうか。 決定的に変わってしまったような気がする儀助の中身は、今後一体どんな独り暮らしを続けられるんだろう...。 『この疲労と虚しさは何だろう。いっときの興奮と自己満足。それが人生なのか。祝福の中に生まれて涙の中に死ぬ十人並の人生。それが人生なのか。借りてきた他人の言葉で語り続け他人の言葉を残して死ぬ。それが人生なのだろうか』
0投稿日: 2025.05.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
たまたま映画の予告編を見て、長塚京三さんが主演で、なんだか面白そう!と思い、原作を読んでみました。 冒頭から妻に先立たれた老人の生活がそれがものすごく細かいチャプターに分かれて、それぞれ事細かに描写されていきます。 それ以上に語れることがないのですが、徐々に読みづらさが増して、最後は「??」といった形で終わってしまいます。 「難解過ぎてついていけなかった、、」と思っていたのですが、最後にある川本三郎さんの解説が非常に素晴らしく、読んでいる最中・読み終えた後に感じた面白さ/気味の悪さを上手く言語化してくれました。 解説を読んだ後に、改めて思い返すと、グッと満足感が増しました。ものすごい遅効性のある、寝落ちする瞬間の状態がずっと続くような作品。でも刺激がないわけじゃない。 是非解説まで読んで頂きたいです。
0投稿日: 2025.05.01
powered by ブクログ独特な擬音の漢字表現が面白い しかも読める 曽呂利曽呂利 肢泥藻泥 珍紛漢紛 門司門司 そして最後の雨の音
0投稿日: 2025.04.05
powered by ブクログ前半の老いた文化人の1人暮らしエッセイ風味は実に楽しかった。比べてみると映画より原作の方がちょっと鼻につく気取った老人しかも性欲もマシマシって感じでより人間臭かった。 一変して「幻聴」の畳み掛けは圧巻。 文字で読むA DAY IN THE LIFEですわ。
0投稿日: 2025.04.02
powered by ブクログこの本を面白いと言えるほどにはまだ自分は達観していないと思う。 ただこの本も自分が今後歳を取るとはどういうことかを考えさせるきっかけになった。
0投稿日: 2025.03.31
powered by ブクログ映画を観てから原作を読んだ。映画では、どことなくオカルトチックな雰囲気を醸し出しながら、主人公である、大学教授を引退した、儀助が亡くなるまでを描いている。原作は、映画以上に、儀助という75歳の一人暮らしの老人の日常を心情と同時に儀助の一人語りで展開される。儀助の日常の細部、例えば朝昼晩なにを食べているのか?そればどう調理しているのか?なぜそうしているのか?とにかく細やかな描写によって、老いた男の生活を浮き彫りにしていく。儀助を通し老いへの共感を感じた。ラスト数ページの描写は必見。
0投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログ映画見てから慌てて読んでみた。 映画見てから読むと脳内儀助は長塚京三やねんけど、たぶん先に読んでたら筒井御大やったんやろな。先に映画見ちゃったから長塚京三の方が強くなってるけど、それがええのかどうかは分からん。
0投稿日: 2025.02.19
powered by ブクログ皆知ってるぞ。揃いも揃っておれの古馴染みの敵どもだな。虚偽の亡者だな。 憚りながら皺ひとつ、しみひとつつけずに持って行くのだ。他でもないそれは、わたしの心意気だ。 老人文学の傑作と言われるが、説教臭くはない。 前半は妙にディテールな生活描写に潔癖性を感じる。ご飯の作り方。人との付き合い方。 性への描写が生々しく人間臭い。 後半は、これは夢なのか現実なのか、いや死の世界に片足を突っ込んでいるのかわからなくなる。もちろん本人もわからないし、誰も知る由はない。 屁理屈な爺さんと楽しく会話させてもらった。そんな気分です。
3投稿日: 2025.02.12
powered by ブクログ20年前に妻を亡くした75歳元大学教授の日常を細やかに描く中で、敢えて漢字で書かれた様々な擬音語が気味悪く響く 結局のところ主人公の老人は、誰とも会話していない。ただ、自分と会話しているだけなのだ 老いていくことの気味悪さを痛烈に感じる傑作
1投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログ妻に先立たれた老紳士の日々の生活が、骨董品のように味わい深く描かれる。 女性へのスケベ心も忘れない、こんな老後を過ごしたいとすら思った。 しかし、「敵」は必ずやってくるのだろう。 老いることの滑稽さと切なさを感じる。 映画は長塚京三さんのダンディーなイメージでしたが、原作はやはり筒井康隆さんをイメージしながら読んでましたね。 映画にないシーンもあったし、映画にしかないシーンもありましたね。 ラストシーンは紙の小説ならではの悲哀を感じました。
9投稿日: 2025.02.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これを原作とする映画が公開されているので読んでみた。 実は筒井康隆を読むのは初めてである。読みたい作品は多数ありリストされているのだが、なぜか後回しになっていた。 20年前に妻を亡くした70歳台の元大学教授の日常がことこまかに述べられている。自分の生活を書いたエッセイかと思うほどに解像度が高い。しかしこれを書いたときの作者は主人公よりも10歳ほど若く、老後を想像して書いたらしい。 文体がちょっと不思議で、自分語りのようであるのだが、一人称は使わず「儀助」と三人称が使われている。幽体離脱して自分を見つめているような雰囲気がある。 通常はカタカナやひらがなが使われるような擬音や副詞に当て字のような漢字が当てられている。ちょっと異様な雰囲気を醸し出している。 本のちょうど中盤ぐらいにパソコン通信のチャットルームのようなところで「敵が来た」と語る妄想のようなコメントが書き込まれる。 これを境に独り言、妄想、夢の中の語りが増えていく。だんだん現実と妄想が逆転してくような感覚がある。 思い返してみれば、幽体離脱したような文体やおかしな擬音など最初から存在していた違和感にも何か意味があるのかもしれない。 前半は静かで理想的な老後を送っているように読めるのだが、それが突然崩れていくところに、妙に現実味のある怖さを感じた。
1投稿日: 2025.01.28
powered by ブクログこういう物語を読むのが初めてで、正直途中はかなり退屈。。 大学教授を退職した老人の生活が事細かに淡々と描かれていくだけ。。 ただ、読み進めていくうちに徐々に目に見えない不安や恐怖にゾクゾクしてきて、ラストは一気読みでした! 解説まで読んでやっと全てを理解! 老人文学の奥深さを味わいました ただ、好みは分かれる作品やろうな思います
0投稿日: 2025.01.24
powered by ブクログ映画の予告を見たらそれだけで心を奪われてしまい、筒井康隆に馴染みがあったこともあって読んでみた。 映画の原作を予習するなんてしたことが無かったが、これは本当に面白かった。 私は普段から時間が足りないと思って生活している。 読書、映画鑑賞、サッカー観戦、お笑い、音楽を聴くなど、やりたいことが多すぎるのだ。 仕事はほぼ定時で帰っているが、全く欲求に時間が追いついていない。 そんな中憧れるのは老後の生活だ。 これは渡辺儀助という75歳・老人の生活を、とてつもない緻密さで描き出し、もう知らないことがないくらい書きまくっている。 その生活は非常に知的で満ち足りていて、性欲との向き合い方なんかも面白くて羨望の目で読み進めた。 今、自分は老後どう過ごすのかという観念にとらわれ続けている。 そんな老人が陥るのは妄想の世界だ。 自己を知識人であり、痴呆ではないと自覚しながら見る妄想は甘美で危険な香りがしない。 だが、読み進めると妄想と現実の区別がつかなくなってきて訳がわからなくなる。 顧みると小説全体に漂う奇妙さにゾクゾクしてくる。 こんなもの、どうやって映画化するのだろう。 次の週末映画館に行くのがますます楽しみになった。
0投稿日: 2025.01.19
powered by ブクログ映画を観る前に読んどこうと思い読み始めましたが、とにかく執拗に密度の濃い、想像以上の怪作で、要所要所で困惑しながら読み終えた。と同時に、数十年後の自分の暮らしに強制的に想いを馳させられて、ハッとしたり、ゾッとしたり。この原作をどうやって映像化したんだ。楽しみ。
0投稿日: 2025.01.18
powered by ブクログ映画化される事を知ってNETOFFで購入、箱本で僅か139円で購入しかも著者サイン入りだった。内容は75歳の妻もなくした老教授の生活と心情と老人の性衝動までもが小さい章立てで綴ったものだが、肝心の「敵」が出てこない、ラスト近くになってやっと出て来たがそれが妄想なのかどうかも分からない、神についてアリストテレス的考察も述べられており読み応えもある、老人は金の切れ目をもって自死を願っているが、やがて老衰死が待っているようである。
0投稿日: 2024.11.16
powered by ブクログまだ若いと自称していい年齢のおれにとっては死を目前にしたリアリティ溢れるはずの生活描写は下手なsfよりも現実味がなかった。年月の厚みに嘆息させられた。 老化ゆえ(?)の狂気に陥る描写には喪失感と同時にどこか美しさも感じた。 裏表紙のあらすじはさすがに内容から乖離してない?
0投稿日: 2022.12.03
powered by ブクログ面白かった。読むのに時間がかかったな。老耄を恐れる老人の老いゆく日々が詳らかに書かれている。それだけなのに読んでいて面白い。
0投稿日: 2022.06.02
powered by ブクログ久しぶりの筒井節 ただドタバタ、シュール好きの私としては 老人文学 というのが分からなかった 敵 に期待してはいけないということ
0投稿日: 2020.11.23
powered by ブクログ前半の何気ない老人の些細な日常のひとつひとつの描写がいちいち面白い。敵が出てきて以降、夢とも現実とも妄想ともだんだん区別のつかない筒井ワールドへ入っていく。穏やかな最後は哀愁漂う情景が浮かんだ。
1投稿日: 2020.05.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
老妄を恐れ、老臭を恐れる主人公に忍び寄る老い。人生の終わりを自分の理想的な形で飾りたいとする計画にどこで狂いが生じたのか、それは避けられたのか、また避けるべきだったのか…
0投稿日: 2019.12.21
powered by ブクログ難しかったー! 図書館の古本市でゲットした何の装丁もない「敵」という本。 元大学教授のおじいちゃんの手記のような本。妻を亡くして一人暮らし。前半200頁くらいはこれでもかと言うくらい舐めるような筆致での生活の記録。月に何回はこれを食べる、物置にはこれが入ってて、親戚は誰それがこんな人で… 独特の文体は、変な擬音の変換表現と読点がない文章。 この爺さんにめっちゃ詳しくなった頃に気付くのは「敵」って何?ってこと。 小説は淡々と続き、途中、爺さんのネット掲示板に「北から敵が来る」との書き込みがあり、また手記、たまにネットの書き込み、少しずつ爺さんの妄想が多くなる。妄想には、彼にとって逢いたい昔の教え子、亡き妻、近くのバーの女子大生が出てくる。手記、手記、妄想、敵、夢の話、手記、夢、夢。 読み終わってみると、「敵」とは結局? 北から来るもの?老い?孤独?死?認知症? はっきりした答えがない。 でも、使徒使徒、歩たり、死都死都、雨の中、春が明けて誰かが来てくれることを1人心待ちに待つ主人公を見ていると、彼の目指すところの「死に方」に対する敵は「孤独感」なのかなぁ。
0投稿日: 2019.12.08
powered by ブクログ老人文学とでもいうべき小説である。老人の一人称で語られる物語は日々でありささやかな拘りでありとバラエティに富んでおり、偏執的な日常描写のディティールはとにかく細かく、そこはかとなく狂気に満ちている。老人側の視点というものは非常に興味深く、ストイックな生き方に喜びを見出したり、その反面、安易に他人の世話にはならないという気位の高さも感じる。その生活は羨ましいようでいて、少しばかり淋しい。途中から出てくる「敵」の正体はついぞ分からないままだが、老いによる耄碌であったり、未来への絶対量の少なさからくる恐怖なのだろう。正体も分からず、敵が現れたその瞬間から規律的な生活は壊れ、妄想がどんどん支配していく。パソコン通信の面々も本当に存在していたのかどうか疑わしく、頑迷な老人のペルソナであるとも言える。ギリギリの所で悲壮感を覚えさせないようなコミカルな筆致や、老人の内面含めた描写の素晴らしさは一級品。句読点が少なく、ページ数以上に詰め込まれており読破するのに骨が折れたが、この詰まった感覚と読後のあっけなさこそが人生なのであろう。好みとはややズレるため星は控えめだが傑作であるとは思う。
2投稿日: 2019.05.28
powered by ブクログ圧倒的すぎる孤独にただただ読後、放心。 解説の川本三郎が「老人文学」と評していたがこれはもう他に類はないのではないか。 儀助の日々日常を淡々と、しかしすさまじく細かに描く冒頭から筒井ワールド。擬音を独自の漢字に当てはめて描くのも筒井ファンにはたまらない、お約束の表現として楽しく読む。しかし、「酒」を辺りにから現実と夢、幻覚の区別が徐々に曖昧になってくる。 さあこれも筒井御大独特の導入と、読む者は気を引き締める。パソコン通信で「敵」があらわれたときなど、読者は小躍りする。どんな展開が待っているのだろう、ここからドタバタになるのか、儀助の身に何が起こるのか。何ならもうすでに最初からすべて儀助の妄想であって などなど、永年やられつづけてきたファンは各章を読み進める。どれも、筒井読者には通ってきた道であって最後の行で「やられた!!」となるはずだと確信をもってページを繰るのだ。 そして、やられた。最後の行にあったのは、ただ、ただの老人の孤独だった。独居老人の日常にはなにが起ころうと展開などあるはずもないのだった。「春雨」の章、「彼は首を四十五度にして耳を傾ける」。 あれだけ夢で死んだ妻に焦がれながら、毎年のように遺言状(ただし効力はない下書きのワープロ)を書き換えながら、毎晩晩酌をし酔生夢死にうっとりしながら、そう、貯金が底をついたら自死をすることだけを日々考えながら、春の前の使途使途死都死都ふる雨を聞きながら、ただ思うのは「春になったら来てくれるだろう」「信じて待つとしよう」と、「生きている知り合い」に逢うことだけ。恐ろしい孤独。生きている人間が最後に感じる、圧倒的な孤独。「老人文学」とは本当によくいったもので、これはこの年まで生きて筆をとりまた全盛期の力と意地を失わない筒井康隆でしかものせなかっただろうと思う。孤独を描き切り読む者に伝えることができた作家の力とは、と想像を絶するしかない。また文庫版の表紙がいいんだ、これが。
0投稿日: 2017.09.07
powered by ブクログ単行本買ったまま積ん読にしておいたら、2年後に文庫化されて、しかし、いまやどっちも絶版ではないか。 主人公というか主たる描写対象は儀助という人物である。まず最初の章は「朝食」である。儀助がどのような朝食をどのように摂るのか微に入り細を穿って描写される。そして次の章ではまた別のテーマが主軸にすえられて儀助の生活が克明に描写されていく。 渡辺儀助はかつて大学教授で西洋演劇史を専門としていたが、定年を迎えて10年ほどたち妻には既に20年前に先立たれていて子どもがいないために持ち家でひとり暮らしをしている。老人の淡々とした日常である。格別、贅沢をしているわけではないが一定水準の生活は保ち、しかしそれ以上は厳しく自分を律している。すると年間の経費が明らかになり、蓄えがいつなくなるかもみえてくる。そのときが死ぬときだと儀助は考えている。 「麺類」が好きで、昼は麺類を食するが何をどうやって用意しているのかとか、「郵便物」はどんなものが来るのかとか、「昼寝」のときには物故映画俳優が出てくるが頻度が多いのはこの順だとか、書かれていることは特に事件もない日常の瑣末の連続である。そこで仄かに漂ってくるのは、老いることの侘びしさ、淋しさ、惨めさなどである。それも誇張されたものではなく、当然誰にでも訪れそうな状況であって、余計、薄ら寒くなる。 そして真ん中を過ぎたあたりで、タイトルと同じ「敵」という章が来る。これは儀助がROMをしているパソコン通信の雑談サロンの「北の方から敵が来る」という内容の奇妙な書き込みである。 と、ここで「新潮社新刊案内」が本にはさまっていたのを発見したので、本書の紹介を引用いたします。 「これ以降は常に、『これが最後の作品』と思いながら書き続けねばならないだろう」(筒井康隆) 渡辺儀助、75歳を脅かす「敵」とは何なのか? 老醜をさらす前に自裁を決意した元大学教授の〈死を前提とした生〉の光陰を超絶的緻密さで描き、残酷なまでに衰え崩れゆく意識の襞の襞まで見すえた感動と哀切の430枚。『虚構船団』から14年、筒井文学の達成を示す長編作品! それだけのことを言っておいて、いまや絶版にしていていいのか、新潮社。 さて、この異質な一章のあと、話は死んだ妻のことになり、「敵」の侵攻が始まるのだ。敵の正体は大体見当がつくので、あとはそれがどう描写されるかに、著者の手腕が示されるというわけだ。
0投稿日: 2016.02.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
筒井作品の中で、あらすじに惹かれて購入。 SF作家の小説のあらすじに 『「敵」が攻めてきた』 なんて書いてあったら、どんな敵なんだろう。エイリアンかな?なんて思うのが普通ですよね?笑 この作品は、よくも悪くもその期待を裏切ってくれます。 主人公は、妻を亡くした老人なのですが、物語の前半は主人公がどんなところに住んでいて、どういう経歴を持っていて、毎日何を食べていて・・・という話が延々と書かれており、私はここで挫折しそうになりました。 実際、この小説を読み終わるのには相当な時間を要しました。一時期読書を敬遠していたのはこの本が読みたくなかったからと言っても過言でないかもしれません。 そんな日常パートが終わるといよいよ「敵」が出てきます。 ・・・その後は読んだ方ならお分かりの通りのオチです。 ボケ老人の思考を内側から表現するというのはなんとも突飛で非常に面白いと感じました。 日常パートも、その事実を知った上でよくよく考えるとおかしなところがあるんですよね。 ぜひ、もう一度読み返したい・・・とは思うのですが前フリ部分である前半が非常に細かく長いので少し躊躇ってしまいます笑 しかし、冷静に考えると怖いですよね。 自分ももしかしたらなんて考えると・・・・。
0投稿日: 2016.01.05
powered by ブクログ一人暮らしの老人の日常を細部まで描写することから始まっているのだけど、擬音が当て字表記になっているところが既にこちらを心許ない気持ちにさせてくる。そうしているうちに老人の意識と無意識の境界線が曖昧になっていき、書かれていることは過去に本当にあったのかそれとも彼の夢または幻なのかが少しずつ分からなくなっていく不安感をこちらも感じるけれど、もしかしたらこの感覚が"老い"、"耄碌"なのかもしれないと思った。果たしてこれは老いが人に与える幸せなのか哀しみなのか…ということを考えさせられた良い老人文学。
0投稿日: 2015.12.20
powered by ブクログ中盤まで会話という会話がなく,文字がずわーっと並び,擬音が漢字で書かれ,これ読み切れないかもと思っていたらそこから…。 読み終えたときは変な溜息が出て固まった。一週間くらい、ふとした瞬間にそのときの感じが思い出されて困った。
0投稿日: 2015.02.01
powered by ブクログ妻に先立たれた元大学教授75歳 ひとり暮らしの生活を淡々と綴っていきながら だんだんと現実と夢、妄想との境目があやふやになっていく。 歳をとるということは、そして老耄するということは こういうことなのか・・・と シンシンと恐ろしくなる1冊です
1投稿日: 2014.05.26
powered by ブクログとにかく読みにくい序盤を抜けると「敵」の出現からどんどんと現実感が薄れていく。 この流れるような展開のさせ方は流石に凄い。
0投稿日: 2014.02.15
powered by ブクログ85歳男性、新東名高速を逆走。 今日のニュース記事である。「高速を走っているつもりはなかった。料金所を見て間違いだと気付いた」という。 老人小説というジャンルは表立っては無いが、古井由吉がその手の枯れた文章の名手だとどこかで見た覚えがある。しかし”老人小説”で検索すると、ヘミングウェイや谷崎がでてくるから、該当する作品を並べるとジャンルとして確立されていないことがわかる。 老人小説という、「大人びた」世界を超越した境地を語る文学にはなんだか心惹かれるものがあるのは、いつかは通る道、というよりかは「いつかは行きつく”誰かの(私の)”最終世界」に対する興味があるからだ。これがただの古典との大きな違いだと思う。フィクションによるカタルシスではなく、数十年後に遭遇するかもしれない事態のケーススタディとして。 私が考えているそれらの作品の特徴は、基本的に動きが無い。回顧、懐古が文章の大半を占める。しかし物理的な動きが極端に少ないローカロリー小説である半面、過去の思い出や反省の度に時間軸を頻繁に行き来する。 ☆ さて、表題の筒井康隆の作品だが。実験的作風でも定評のある作家なので、老衰・耄碌によって現実世界が徐々に溶解・変容していく様が生々しく描かれている、という評判に魅かれた。 75歳の元仏文学教授の身辺のあれこれが細かい章に分けて記され、独居老人の基本的に単調な生活が最初の頁から7,8分目まで細かく描写されている。 妻を50代後半で亡くし、60代で退職、少ない知人と年に数回会う以外にはずっと古い戸建てに一人で暮らしている。生活パターンをある程度固定化し、また自堕落にならないよう適度に欲望を自制することによって、ボケ予防を心がけているようだ。元教授だが手持ちの現金や預貯金はさほど多くなく、また度を過ぎた倹約は矜持にかかわるからと生活レベルを極端に落とそうとは考えてはいないゆえに、渡世の糧がなくなればそれは死期と考えながら余生を送る。 作品の後半から、幻視幻聴の類と思われる会話文が徐々に多くなってゆくき、確かに非現実的な世界も描かれているものの、私が想像していた「老人を主体とした思考実験、そこからのドタバタ」とは異なる、ずいぶん穏やかなものだった。 あまりにも意外性がないゆえに、精神面での老後の不安は容易くリアルに転じそうで若干ホラーの様相もある。 以下抜粋、 ―突然幻聴は消えて静寂がやってくる。頭が冴えわたっていて晴れ晴れとした気分だ。自分の中の毒を他者の言葉として聞き膿のように絞り出し尽くした故の爽快さであろうか。生きている事が楽しくなり、残りの時間が楽しみに思え死の時さえ享楽できそうなこの安らかな気持ちは自分の死期を早々と決定したが故の功徳なのだろうか。ならば須らくこの後利益に与するため自らが死すべき時をおのれで決めるべきではないのか。お迎えの時がいつか分からぬままに生きる不自由さに比べてこれこそが真の自由と言えるのではないだろうか。(目次「幻聴」より)
0投稿日: 2013.09.22
powered by ブクログ漢字の擬音語が面白かった。 でも、その擬音語が、最後あたりには少し不気味さも含んでくる。 それは、妄想の世界が幅をきかせてくるのに比例している気がする。 思い出とは、一種の妄想なのだ。 過去は形を変え、目の前に広がる。 それにひたる時間が徐々に増え 現実を凌駕する。 小説全体で、それを表現しているようだった。 大切な人たちに自分を愛してもらいたい でも、自分は自分が望むほど愛されていたのだろうか。 信子さん僕が嫌いか信子さん 何気ないこの呟きが、切なかった。 様々な自分の弱さや死が、敵となり声となりまわりを囲んでいる。 それらから心を守り、あたためるための幻想の世界なのかもしれない。 空白の多い雨の中 賑やかな幻想が消えた先生は 春になって、皆に会えたんだろうか。 会えたんだろうか、なぁ。
0投稿日: 2013.09.01
powered by ブクログ一人暮らしの老人が徐々に若かりし日々の追想に囚われていき、現実と幻想の区別がつかなくなっていく様を主観的に描いている。もっと端的に言えば老人がボケていくのを主観で体験できる。 ある時点で突然にというのではなく、いつのまにか幻想が入り交じってくるのを主観的に書いているので、読んでいるこちらまで境界線があやふやになり、何が事実で何が妄想なのかわからなくなっていく。とても目新しい表現で興味深く読んだ。 が、読んでいて面白かったかというと、うーん。かなり微妙だったように思う。 とくに前半〜中盤の微に入り細を穿つような恐ろしいほど詳細な日常描写があまりにもどうでもいいことにまで言及してくるので辟易としてしまった。食事の具材を用意する場面で、どれだけの量の具材をどのように切ってどう調理したかとか描かれてもどうでもいいわ!と思ってしまう。これが後半に向けてのフリだというのはもちろん解るのだが、それが解っていてもなお読むのが辛かった。 ただ実験的な作品としてやりたいことをやりきっており、読んでいる最中は本当に自分が年老いたような気さえした。これを読めて良かったとは思う。
0投稿日: 2012.03.19
powered by ブクログ前半ゆっくり読んで後半一気に読みました。最後の方では、あまりにも怖くなってきたので、思わず涙が出てきてしまいました。敵はあまりにも恐ろしい。
0投稿日: 2011.12.31
powered by ブクログ酩酊感のある文体にたっぷり酔っぱらった頃に ものすごい勢いで流されて そして、最後にこれでもかと言うほど静かで空虚な場所に放り出される。 この小説は凄い。 未読の方は是非とも一気に読んでほしい本。 文末の解説がこれ以上は無いほどに的を得てるので内容を知りたい人は読むといいと思う。
0投稿日: 2011.12.09
powered by ブクログ例えば、”鬼平犯科帳”のように、たしかに読んでいておなかのすく小説というものは存在しており本作もそのひとつだ。 しかも、これは少々のこだわりはあるものの”普通”の食事であり、明日にでも実行のできそうな。 もっとも、筒井らしい”ひねり”はるものの、ただ、日々の暮らしをするただの一人暮しの老人であり その日常を淡々と書くだけで楽しませる筒井はやっぱり筒井だ。
0投稿日: 2010.10.25
powered by ブクログ・1/28 久し振りの筒井康隆だ.いろんな人のを読んでたから、数えてみたら13冊目だ.あっという間に読み終えるかもしれないな.読み始めるとなんだか私小説のような日々の生活やこだわりが延々と続いている.単に主人公の性格や人となりを説明しているだけとは思えない.どこかで急展開があるだろうが、(やっぱり「敵」という章だろうな)ここまでの話はどうつながっていくんだろう.結構楽しみだ. ・1/29 それにしても描写があまりに具体的過ぎないか?これ程詳細に描写する必要が果たしてあるのだろうか.「敵が来る!」と出てくる章にしても、何事も無かったかのように終わってしまった.いったいこれからどういう話の展開になっていくのだろう. ・2/3 ちょっと下の本に寄り道してたけど、今日から復帰した.やっぱり「敵」に関してはちょっとしか出てこなくて、淡々と日常の描写が続いているだけだ.早く急展開しないかな. ・2/4 あれ?なんだ、終わってしまったって感じ.そうか、老人小説か.ヘミングウェイの「老人と海」のようなジャンルだね.でも’敵’ってなんの象徴だったんだろう.なんかさみしい.
2投稿日: 2010.09.05
powered by ブクログ筒井康隆の作品でいちばん好きなものと言われたら、 間違いなくこれを挙げます。 自らのルールを徹底して遵守して生きていく主人公と、 その日常の徹底的に詳細な描写が大変面白く、 物語自体は淡々と進んでいくのに 非常に強く惹きつけられ、あっというまに読了しました。
0投稿日: 2009.10.23
powered by ブクログ前置きが随分長いなぁ〜?と読んでいたら、気づけば中盤になり…。 ある老人の日常生活が非常に細かくかかれている。 特に焼き鳥を食べるシーンは細かすぎ(笑) でも細かすぎる『日常』を追っていると思っていたのが、いつの間にか『非日常』というか実体があやふやなものになっていく感じ(・ω・;)(;・ω・) 本当にあれっ?!いつの間に?!って感じ。 あと擬音がすべて漢字というのも読んでいて楽しいですねー♪これにも意味が隠されているわけだが…w 個人的には犬丸がやってきて、鍋をつつく描写が面白かった!!!笑 味わい深いし、完成度の高い作品だと思うけど、この評価は私の好みにあわなかっただけ。 本の後ろのあらすじで抱いたイメージと、だいぶかけ離れたなぁって感じたのと、主人公と自分の年が離れすぎていたからかなぁ(;´д`) そんなわけで☆2つはあくまで主観。 真剣に『老い』が怖くなってから読んだら、また違うと思う!
0投稿日: 2009.07.19
powered by ブクログ老人がだんだんボケていく過程、という斬新な形の小説。凄いの一言に尽きました。 大学教授の主人公のこだわり、が語られていく生活の単調な描写の中で、不意に異彩を見せる描写。パソコン画面に写るBBSの書き込み。「敵です。皆が逃げ始めています――。」“敵”とは、一体何なのか。 小説という枠の中で、こんな形で表現できるなんて!! 最初はすごく単調で読みづらく、眠気との戦いでしたが、あるとき急に、ふと“おかしい”と気づくんです。それまで気がつかないんです。 途中でもしかしたら、と思うところが1,2点あったのですが、最後の、抜き差しならない状態になるまで、一体どこからそうだったのか、分かりませんでした。筒井さん、ボケたことあるの?っていうくらいリアルで。 疑似体験した気分ですよ、私も。あの喪失感、相当切なかったです。 こういった手法の見事さは、筒井さんの偉大さに尽きますね*心から尊敬する作家の一人です。
0投稿日: 2009.05.02
powered by ブクログ妻に先立たれた75歳の元大学教授の物語 日々の生活が気持ち悪いほど事細かに書かれている。 そしてついに「敵」が現われるのだが・・・ この本を読んでいると、一人の人間の生活を観察しているようであった。どうやって落としてくるのかと思いきや、まさかの展開。 ハマりました
0投稿日: 2008.02.27
powered by ブクログ老人小説の傑作じゃないだろうか。 筒井康隆であるにも関わらず文庫になっても読まずに捨て置いた。筒井先生を侮ってはいけないと痛感。 独り暮らしの老人は退屈で寂しい物という概念があるが、渡辺儀助のように自己を律し、財産消滅時に生を終えるという大計画を大真面目に実行しようとするような生活であればこんなにも美しい物なのか。
0投稿日: 2007.10.19
powered by ブクログ敵って何を言い表しているんだろう、と思いながら読み終わり、(ああ、なるほど)と思いました。 ためになる小説でもあります。 実験的な箇所あり。
0投稿日: 2006.10.08
powered by ブクログあとがきを見ると「老人文学」とある。こんなジャンルがあったのかと思った。日常の描写が本当に事細かく書かれていて、思わず読み込んでしまうがだんだん夢と現実がわからなくなってくる。筒井康隆、マニアックなものから読み始めてしまったのかな・・・
0投稿日: 2006.07.19
powered by ブクログだんだん現実か夢か曖昧になってきます。ただ終わりに向かって狂っていくとこよりも、むしろ何気ない毎日の描写が好きです。
0投稿日: 2006.06.20
powered by ブクログ75歳の元大学教授。妻に先立たれ、子もなく、数少ない友人を持ち、自らを律する決め事と自らに許した贅沢とを忠実に守り、人生の幕引きを見据えて冷静に悠々自適…の、はずが。その世界の外からじわじわと迫り来る、彼にとっての「敵」とは。最後に残る静けさが、猛烈に恐ろしく、そしてやるせない。
0投稿日: 2006.05.13
powered by ブクログジジイの日常がイヤになるほどこと細かく書いてあるのだけれど、どんどん現実と空想の境界線が曖昧になってくる老人の切なさあたりはウマイ。
0投稿日: 2005.07.09
