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自家製 文章読本
自家製 文章読本
井上ひさし/新潮社
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総合評価

20件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『自家製 文章読本』は、作家・井上ひさし氏が日本語の文章作法について独自の視点から考察したエッセイ集です。本書は、従来の文章読本の常識を覆す内容であり、文学史に残る名作から現代の広告文まで、多彩な例文を引用しながら、文章術の極意を探求しています。 冒頭で井上氏は、「話すように書くな」と主張し、口語と文語の違いを強調します。話し言葉のまま文章を書くことの問題点を指摘し、書き言葉としての日本語の特性を理解する重要性を説いています。 次に、「透明文章の怪」と題し、簡潔で明瞭な文章が必ずしも良い文章ではないと論じます。井上氏は、文章の奥行きや深みを持たせるためには、適度な曖昧さや複雑さが必要であると述べています。 「文間の問題」では、文章と文章の間に生じる余白や間(ま)の重要性を取り上げます。この間が読者に思考の余地を与え、文章全体のリズムや流れを形成する要素であると解説しています。 さらに、「オノマトペ」の章では、日本語特有の擬音語・擬態語の豊かさに触れ、これらを効果的に使うことで文章に生動感を与える方法を紹介しています。 「踊る文章」では、リズムや音楽性を持った文章の魅力について考察し、言葉の選び方や配置によって、読者に心地よいリズムを感じさせる技法を解説しています。 「冒頭と結尾」では、文章の始まりと終わりの重要性を強調し、読者の興味を引く効果的な書き出しや、余韻を残す締めくくりの方法について具体的な例を挙げて説明しています。 「和臭と漢臭」およびその拾遺では、和語と漢語の使い分けや、それぞれの持つニュアンスの違いを分析し、文章に多様性と深みを持たせるための語彙選択の重要性を述べています。 「文章の燃料」では、文章を書くためのエネルギー源としての知識や経験、感情の重要性を説き、豊かな文章を生み出すための内的資源の蓄積を促しています。 「形式と流儀」では、文章の構成やスタイルについて考察し、伝統的な形式にとらわれず、自分自身の表現方法を見つけることの大切さを強調しています。 最後に、「読むことと書くこと」の章では、良い文章を書くためには多くの文章を読むことが不可欠であり、読書を通じて得られる知識や表現力が、文章作成において重要な役割を果たすと述べています。 本書は、井上ひさし氏の豊富な知識と独自の視点から、日本語の文章作法を深く掘り下げた一冊であり、文章を書くことに興味がある人々にとって貴重な指南書となっています。

    0
    投稿日: 2024.12.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とんでもないものを読んでしまった。読んだあとでは読書感想が書けませぬ。というわけにはいきませぬ。 読んでいるうちはおもしろくてうんうんと能天気だったけどな~。 もう20年前に書かれたものだから、ネット社会には対応していないだろうが、文章は文章。 ようするに「良い文章を書くには良い文章をたくさん読みなさい」 なあんだ! いえいえうそ。文章の読み方、書き方、井上ひさし流のユーモアと博識に裏打ちされ分析されていておもしろく、読んだら文章がうまくなること請け合いの読本であった。 が、私に適応したかどうかは今後を待たねばわからない。

    0
    投稿日: 2021.09.05
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    文章読本として三島丸谷はじめこき下ろしてるくせにその実用性は足元にも及ばないという感想を見受けたが、そもそも井上ひさしは文章読本など書く気はまるでなく、文芸作品として他の文章読本をいじり倒し、茶化し、弄び。そしてそれらを書いた作家たちを最大限にリスペクトを現してしているのだ。特に丸谷才一版の多岐にわたる引用をパロディにして、その上で既存の文章読本に内容をなぞらえて新解釈を加える力業。エッセイというよりも読み物としてとてもスリリングだ。

    0
    投稿日: 2021.06.09
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    20年ほど前、学生の時分に一度読んでいるはずなんだけど、こんな本だったっけ、という印象… もっとさくさく読める感じのイメージだったのだけど、自分の読解力が落ちているのかもしれない>< 同じ時期に同じ作者の「私家版 日本語文法」も読んでるはずなのでそっちと混同してるのかも。

    0
    投稿日: 2019.01.20
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    「巧い」文章を書くためには、書き続けるしかない、と思う。 文章を書くというのは、先ず書き始め、そして、書き上げなければならない。 その繰り返しが、「書く技術」を向上させるのだと思っている。 要はスポーツと同じで、反復練習ということ。 もちろん、反復する行為は、効果的な「お手本」を据えることが重要だけど。 これもスポーツと同じ。間違ったフォームで反復練習しても、向上はまず無い。 とまあ、どうでもいい持論から始めてみました。 本書には、「正しいフォーム」が幾つも提示されていると感じたからです。 しかしながら、フォームを知ったからと言って、向上に繋がるわけでもない。 そのことを稚拙な文章で書いてみよう、と思った次第でした。 本書は、文章そのものの面白さを知ることが出来る一冊です。 いろいろな表現や手法、類型化や主義主張が盛り沢山。 「日本語による表現」というものを改めて考えてみる切っ掛けになると思います。

    0
    投稿日: 2018.11.13
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    想像していたよりも難しい内容だった。 「文章読本」は、谷崎、三島、丸谷など大家が著しておられる。本書井上本はそれらも引用しながら展開されてゆく。 しかし文章の形態を定義づけたり、日本語との関連、そして書き手側と読み手側の違い……。 このような本を書ける作家は、文章や日本語を本当に真面目に考えているということがよく分かる。 数ある「文章読本」だが、きっとどれも素晴らしいものなのだろう。

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    投稿日: 2015.07.02
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    井上ひさしの文章論。 どんなものかと読んでみたけれど、古い作品の引用が多く、よくわからなかった。 上級者向けというのかな? とにかく、文章力の向上に役立てたいと気軽に読む話ではない。

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    投稿日: 2015.03.06
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    烏兎の庭 第一部 雑記 10.22.03 http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto01/diary/d0310.html#1022

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    投稿日: 2015.02.05
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    話すように書け、透明な文章がよい、オノマトペは使うな・・・などなどの、文章法の「常識」に次々と疑問が投げかけられる。 代々の文豪や学者の言説が、一つ一つ取り上げられ、検討されていく。 猛烈な勉強に裏付けられているため、議論に迫力がある。

    0
    投稿日: 2014.01.25
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    2013/11/17 文章の書き方を学びたくて手にとった。流石にいきなりこの内容は理解できなかったが、途中で投げ出さずに最後まで読めたのでよみやすかったのかな。またいつか読みなおしたい。

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    投稿日: 2013.11.17
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    http://kumamoto-pharmacist.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-b7ee.html

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    投稿日: 2013.11.01
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    「私家版 日本語文法」が面白かったのでこちらも購入した。「日本語文法」ほどの読みやすさはなかったが、他の著者の「文章読本」・小説・評論などが多数引用され(海外の文献も豊富に扱われている)、より深い内容となっている。自分の文章にこの本の教えを生かすには二読・三読が必要なように思う。

    0
    投稿日: 2013.01.03
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    ドイツ語やエスペラント語、漢文。外国語と日本語を対比して、日本語の特性を分析。 日本語の音韻に注目し万葉集から芥川龍之介まで古今の名著を紐解いて、文体・表現方法を解析する国語の本。

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    投稿日: 2012.08.12
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    既存の文章読本を批判しながら、古今東西の名文をもとに日本語の文章について考察していく様子は、実用的かはともかく読み物として面白い。なにしろ最後の2ページで、まんまとあっけに取られた。一筋縄ではいかないな井上ひさし…

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    投稿日: 2012.04.07
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    若干読みづらさがあったけど、文章の書き方の本質を書いた作品であったと思う。文章読本系はこの本が初めてだったが、日本語の特徴であったり、表現方法の工夫などを学ぶことが出来て、三島由紀夫など他の作家の文章読本も読んでみたくなった。 また、文章のみに関わらず、映像、デザインなど、表現全般においても参考になる方法を学べると思う。

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    投稿日: 2011.10.22
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    人は、読書により過去とつながり、文章を綴ることで未来へとつながろうとしている、という言葉が一番、印象的だった。 文体や修辞、擬音語などなど、さまざまな角度から、日本語と文章というものについて分析がなれていく、というのが主な内容。学問的な色合いがやや強く、正直なところ初めは少しとっつきにくかった。 しかし、ありとあらゆるジャンルの文章例を挙げながらのユーモアあふれる語り口は、引用されている学説を100%理解できていなくても十分楽しい。 「では、言語の目的とは・・・」という最後のところまで、飽きることない、読み応えのある一冊だった。

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    投稿日: 2011.06.01
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    最初に読んだときは新しい視点に感心した 途中から眠くなる 文章読本て、例文のなんだか主観的な分析読んでいると目が閉じます

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    投稿日: 2010.11.06
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    井上ひさしさん本人の『文章読本』だけでなく、 過去に出版された谷崎潤一郎を始めとする各氏の文章読本にも 触れられているお得な一冊。 感心する所は多いものの、読み物としては『私家版日本語文法』の方が 面白かったかな。

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    投稿日: 2010.11.03
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    文章うまくなりたくて、文章読本を読もうと思った。 とはいえ、いきなり大御所に手を出しても、 意味がつかめない上に多分寝るだろうと思ったので 読み物として普通に面白そうな、井上ひさしをチョイス。 (アマゾンのレビューなどから) 語り口は軽快なのに 過去の主要な文章読本からの引用もたっぷりあり 笑いのエッセンスが(しかも黒いのが)散りばめられていて なのにポイントは抑えてあるので、とても面白く、勉強にもなった。 なんという一石二鳥。 印象に残ったのは「文間」「オノマトペ」「文章の燃料」それと「文体」。 20年以上前に書かれたエッセイなのに、 フレームワークがちゃんと作られていて新鮮。 ちゃんと噛み砕いて、精進したい。

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    投稿日: 2010.10.05
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    川端、谷崎、三島、丸谷才一版「文章読本」をふまえた一冊なので、お得感たっぷり。 井上ひさしさんの言葉に対する感性、そしてこだわりはすごいです。

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    投稿日: 2008.04.22