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夢見通りの人々
夢見通りの人々
宮本輝/新潮社
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総合評価

49件)
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    大阪のとある商店街。 場末の感じのする所でも、人情味豊かです。 里見さんの視点だけでなく、住んでる皆さんの悲喜交々が手に取るようにわかる内容。住んでるみんなの心が伝わります。 宮本輝さんの優しい、心地よい表現方法。じんわり。

    0
    投稿日: 2025.08.21
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    今村夏子が小説って面白いんだなぁと知った本と聞いて読んだ。里見春太がたばこ屋のおばあちゃんの入れ歯を洗ってあげて、おばあちゃんがあんな汚らしいものを洗ってくれるなんてと心の中で感動してる場面が好きだった。里見春太の人間性に惹かれた。時計屋の息子がいくら若いからといっても無責任すぎて嫌だった。肉屋のヤクザ上がり兄弟や、凄まじい喧嘩をした中華料理屋の夫婦などクセが強い人たちばかりで面白かった。

    2
    投稿日: 2025.08.17
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    タイトルから判断して、人情あふれる商店街の人たちの心温まる短編集なのだろうと予想していたが、中身は全く違っていた。 夢見通りとは名ばかりで「その名称にそぐわない人間たちばかり」の黒い人間模様が展開される。

    0
    投稿日: 2025.05.19
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     夢見通り商店街に住む一癖も二癖もある人々の悲喜こもごもの物語を集めたオムニバス形式の短編集です。  夢見通りは戦後の闇市から発展した商店街。そこに暮らす住人はよく言えば人間味がある、悪く言えば癖が強い、腹に一物どころではない物を抱えた人ばかり。オムニバス形式で少しずつ進んでいく物語は、話によって主人公が変わるものの、ちょくちょく里美という男性が登場する。お人好しで、巻き込まれ体質の独身会社員。周りの住民たちに振り回されつつ、今日も彼は彼ら彼女らと世知辛く生き辛い世の中を泳いでいる。  今作を手に取ったのは、この著者宮本輝さんの文章が読みたくなったためです。この方の文章は独特の魅力があるように感じています。  今作も、何とも複雑で入り混じった人間模様を淡々と書き綴っているようで、人の感情や背負ったもの、ある種の業のようなものを感じさせるお話がたくさんありました。登場するキャラクターの個性が強く、現実にいたら嫌厭してしまいそうなレベルで決してお友達になりたい類ではない彼らなのですが、彼らなりにそれぞれの人生を生きてきたことを感じさせられます。  他人事と笑うことも、共感して泣くこともできませんが、上手くいくことも報われないことも含めて、こういうものが人生なのかもしれないな、としみじみ感じました。  つい癖になるような書き手様なので、またどこかでこの作者の作品を読んでいると思います。

    0
    投稿日: 2025.02.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトルから、ほのぼのした作品なのかと思いきや、「夢なんてそうそう叶うわけはない」という現実を突きつける、手厳しい短編集でした。 難波の少し南に位置する「夢見通り」。その名称とは裏腹に、通りの住人たちは、ひと癖もふた癖もある。ホモと噂されているカメラ屋の若い主人・森雅久。美男のバーテンしか雇わないスナックのママ・奈津。性欲を持て余している肉屋の辰巳竜一・竜二兄弟…。そんな彼らに詩人志望の里見春太と彼が思いを寄せる美容師の野口光子を配し、めいめいの秘められた情熱と、彼らがふと垣間見せる愛と孤独の表情を描いて忘れがたい印象を残すオムニバス短編集。 夢見通りの住人たちは、個性派すぎて正直あまり近づきたくはないほど。けれども、不器用な彼らが時折チラつかせる「業」とでもいうべき悲哀を見るにつけ、遣る瀬ない気持ちになります。泣くに泣けず、笑うに笑えない、隘路に立つ彼ら。否、われら?

    0
    投稿日: 2024.11.05
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    ・何を隠そう自分は宮本輝のファンの一人なのだが、少し他の作品と比べるとカジュアルな文体で新鮮で好きな作品が一つ増えた。(おそらく30代後半くらいの作品で、比較的若い頃の作品?) ・今は昔となった商店街内での密な人間模様や、そしてノスタルジックな温かみのある生活感が主人公の里見春太を中心に展開される。 この、一見平凡だけれどもなぜか皆から慕われ、愛される里見春太という男の魅力は、吉田修一の人気シリーズの「横道世之介」に通ずるところがある。 ・最後のシャレードで行われたお別れパーティのカオス感、声を出して笑った。

    0
    投稿日: 2023.08.18
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    夢見通りに住む個性的な人たちを描いた短編集であり、大きくみると1つの物語となっている。 幸せなことがあれば悲しいことや報われないことがあって、それがリアルな人生模様だなぁと納得してしまう。日常は白黒つけられないこともたくさんあるけれど、絶妙なバランスを保っているんだなと思う。

    3
    投稿日: 2022.12.07
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    商店街の笑いあり、涙ありのほのぼのストーリー? そんなのはよくあるけれど、 いやいや、そうもありえるわけじゃないけど全然ありえんわけじゃない絶妙さがリアルなお話。 冷たいようでもあるし温かいようでもある。 そのリアルさがお気に入り。

    3
    投稿日: 2022.11.16
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    人間はロボットじゃなくて、血が通っていて、いろいろ不具合があって、それぞれこだわりがあって、、、。みんな「きれい」じゃないよ。ということがよく分かる。 現実は生々しい。 第九章、春太がテープを光子に渡した後の春太の気持ちの描写。(p237) 中でも「前進しなければならない。自分は人間なのだから、前進しなければならないのだ」が、心に響く。

    4
    投稿日: 2022.02.25
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    書名からほのぼのとした筋書きの物語りと思い、読み始めるも、「夢見通り商店街」に住み、商売を営む一癖も二癖もある人達の物語り。途中で内容に辟易し、本を置こうと思うも読了。小心者で臆病な人、乱暴で粗野な人、金に汚い人、盗難癖のある人、地味だが黙々と努力する人、美醜に囚われる人などが登場し、簡単なハピーエンドに終わらせず、大阪弁で泥臭く物語が続く。登場人物の特徴は、自分にも誰にも多かれ少なかれあり、暗いシンパシーを感じ、著者の筆力の成せる業かと思います。

    0
    投稿日: 2021.06.24
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    10話の連作。商店街に住む人々は個性があり、皆知り合いで心置きなく声をかける。愛憎あり、涙あり。いろいろな人がいるが、心の底では通じ合える共同体。昭和感あふれる大阪みなみの一角。2021.5.16

    0
    投稿日: 2021.05.16
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    再読。 覚えてないな、、大分 前ってことだ。 読了 4/12 何となく読み終えた 読了感は こんなもんか。。。 再読して感じた事。 宮本氏も 若い頃は下半身ネタを書いていたんだ、、と。ちょっと嫌だった。

    0
    投稿日: 2021.03.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    目次 ・夢見通り ・燕の巣 ・時計屋の息子 ・肉の鏡 ・十八回目の逃亡 ・宝石箱の中 ・帰り道 ・白い垢 ・波まくら ・洞窟の火 大阪の下町(っていうの?)にある、夢見通り商店街に住む人々が織りなす人間模様。 ちょっぴりビターが濃い目だけど、人々は鬱屈を抱えながらも強かに、あっけらかんと生きている。 子どものころから盗みグセがあり、一度も万引の現場を取り抑えられたことのない時計屋の息子。 貯めた金で駆け落ちをするが、妊婦の彼女を養う術は、高校生の彼にはなくて…。 性と暴力の衝動を抑えることができず、学生のころから問題行動ばかり起していた元ヤクザの肉屋の兄弟。 心を入れ替えて真面目に働いていても、近所の人たちの見る目は変わらない。 刺青を消そうと決心した理由は…。 特に秀逸なのが、かまぼこ屋の2階に住んでいる里見春太。 通信教育の営業をしながら、詩集を出版することを夢見ている。 誰から褒められることもない詩だけれど、平易な言葉にどれだけ心を込められるかを考え続ける。 真面目で、不器用で、間が悪くて、いつも報われない。 だけど彼を見ていると、どういうわけか人生それほど悪いものじゃないなあと思えてくる。 幸せなんて簡単な言葉では言い表せない、何とも言えないぬくもりがこの町にはある。 ヒリヒリとした痛みももれなくついてくるけれど。

    0
    投稿日: 2021.03.24
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    再読完了。 あまりこの作家のこと、知っている訳ではないのですが、上手いけれども、少なくとも突拍子もないこと、あるいは深淵を除くような感じではない。良い意味で平易な内容で安心感あります。 本作も適度に暗いオチで好感持てます、はい。

    0
    投稿日: 2020.05.13
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    その名前とはうらはらに、夢見通りの住人たちは、ひと癖もふた癖もある。ホモと噂されているカメラ屋の若い主人。美男のバーテンしか雇わないスナックのママ。性欲を持て余している肉屋の兄弟…。そんな彼らに詩人志望の春太と彼が思いを寄せる美容師の光子を配し、めいめいの秘められた情熱と、彼らがふと垣間見せる愛と孤独の表情を描いて忘れがたい印象を残すオムニバス長編。

    0
    投稿日: 2019.06.18
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    宮本輝さんもこんな話を書くんだ、という感想。 感受性が高いが詩が「幼稚園児」と言われてしまう春太、元ヤクザの肉屋の兄弟、息子が盗癖のある時計屋、ホモのカメラ屋… 絶対に「良い人々との心温まるお話」ではなく、孕ませただの刺青があるだの強烈な劣等感があるだの、喧嘩の連続でモヤモヤした割り切れなさを持ちつつも、どうにか一日が終わる、そんな感じ。振り回される春太にほっこりする。あと誰にも理解してもらえない、元ヤクザの黒牛こと竜一が印象に残る。 読後感は良かった。

    2
    投稿日: 2018.05.05
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    登場人物は皆それぞれ重荷を背負っていて、皆がもがきながらも一生懸命生きているストーリーが詰まっている。暖かい気持ちで読めた。

    1
    投稿日: 2018.03.07
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    「夢見通り」という商店街に暮らすアクの強い人物を描いた群像劇仕立ての連作短編です。 第1章は、30歳で通信教育の仕事をしながら詩人になることを夢見る里見春太の物語です。彼は、美容師の光子にひそかな恋心をいだいているものの、歳のわりに純情な彼は、自分の想いを伝えることができません。その光子は、ヤクザあがりで女好きの噂のある肉屋の辰巳竜一に、拾ってしまった宝石箱の処分を依頼したことがきっかけで、少しずつ竜一に魅かれていくことになります。古川文房具店の一角でタバコ屋を営む、身寄りのない77歳の伊関トミは、立ち退きを求められて孤独をかみしめながらも、春太のやさしさに触れて、最後は死んでいきます。 時計店を営む村田英介は、息子の哲太郎の手癖の悪さに手を焼いていました。哲太郎は、商店会の組合長を務める吉武権二の娘の理恵と駆け落ちします。しかし、理恵が子どもを身ごもったことに哲太郎は戸惑い、春太が仲裁役として、北海道まで二人を迎えにいくことになります。 スナック「シャレード」の女主人の奈津は、生まれたときから顔に痣があることに、コンプレックスをいだいていました。そんな彼女に魅かれた客の「げえやん」は、痣をかくそうとして苦しむ彼女の心を開こうとします。 中華料理屋「太楼軒」を営むワンさんの娘の美鈴は、アメリカン・スクールに通い、外交官になることを夢見る才女です。彼女の依頼で、春太はホモのカメラ店主の森雅久のもとを訪れ、美鈴の友人のレスリーというアメリカ人と親密な仲にならないようにいいますが、森のひとを見る目の深さになすすべなく、引き返すことになります。 登場人物たちの泥臭さのなかで、春太の純朴さがどうしても浮いてしまっているように感じます。光子と竜一とのやりとりも、いかにも朴訥です。そんな彼が、多くの章で舞台回しの役割を務めることで、他の登場人物たちのアクの強さがいよいよ引き立っているようにも感じるのも事実ですが、ややバランスの危うさも含んでいるように思います。

    2
    投稿日: 2016.02.28
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    長期に渡って読んでいたこともあり、もはや夢見通りにすんでいる気分。うまいなぁーみんなくどいくらいに特徴的なんだけど、それに見合うだけの悲哀を抱えているから、親身で読めるのかな。うん宮本輝は悲哀がうまいと思う。あと女心。第九章白い垢すんごい好きよ。第三章時計屋の息子も面白かった。うーんひさびさに小説っぽい小説読んだ!

    1
    投稿日: 2015.12.19
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    発刊当時は映画化もされた宮本輝氏の名作。連作短編作品です。 里見春太という主人公の、素直で優しく真面目で、でも不器用で孤独な部分と、彼を取り巻く夢見通りの人々の心模様や生き方が、表も裏も含めてリアルに描かれています。 宮本輝氏の作品には「人物」がしっかりと描かれていて、切なさや愛を感じさせてくれます。前を向いて生きる、ということの大事さを考えさせてくれます。 自分は、肉屋の竜一の印象が読み始めと終わりでガラッと変わったことに驚き、少し愛着が湧きましたね。 こんな風に自分のお気に入りの人物を見つけて読むのも面白いかも。といっても、ひと癖もふた癖もある人物ばかりで感情移入はできないかもしれませんがw 昭和後期くらいの時代背景も、この作品の良さを引き出しているんだと思います。 合理化が進み、人の心が希薄になってきている今の時代からは考えられないですが、あの頃は、まだ近所付き合いもあったんだなあとしみじみ・・・。

    1
    投稿日: 2015.03.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公の背景になっている人物それぞれに光が当たって物語が進むうち、それぞれの人生の「ままならなさ」が炙り出されてくるようだった。それでいっそう登場人物達を愛おしく感じたし、自分自身も励まされた。

    0
    投稿日: 2014.09.30
  • 夢見通りの人々

    自作の詩の自費出版を目指しもくもくと仕事に励む里見春太を中心に大阪夢見通リ商店街に住む数々の人々の人生模様。元やくざの肉屋の兄弟。昔は単純明快なやくざがいたような気がする。またやさしかったような気もする。人生のさまざまを書き記した書何かのほほんとした雰囲気がある。

    0
    投稿日: 2014.09.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    宮本輝さんの本を読むと、なんだか安心します。大阪が恋しくなると無性に宮本さんの本が読みたくなります。

    1
    投稿日: 2013.07.16
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    すっごい久しぶりの宮本輝さんの本だよ~~。 やっぱりいいな~~~。 私としては、『昭和』という時代がこの本のイメージだったんだけど、初版は平成なのね~。 いろんな個性の持ち主が集まる商店街のお話。 各章で、いろんな人に的を絞って書かれてるんだけど、その繋ぎに里美春太という人が絡んでくるの。 なんか、各章に登場してくる人物それぞれ曰くつきなんだけど、でもみんな良いキャラしてるんだなぁ。 また、関西弁がこの話にとっても合ってて温かさを醸し出してくれる。 宮本輝さんって、ほんと良い本を書く作家さんだと思う。 読んでて、すぐその世界に入り込めたし、もっともっと読みたかったって思わせてくれる。 自分も、その中の一人になった感覚にもさせてくれる。 これからも、すすんで宮本輝さんの本を読んでいこうと思います。

    1
    投稿日: 2013.06.10
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    再読6回目。 人って面白い。いろんな人のいろんな思惑が絡まり合ってる。人の世の、なんと複雑なことか。

    1
    投稿日: 2013.04.25
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    大阪の商店街、夢見通りで起こる10個の出来事。 まるで、昭和のホームドラマをテレビで観てるような感覚。 一応、主人公は詩人を目指す春太。良い人なんだけど、なんとも頼りない。そしてウジウジ悩む。 とにかく、個性派揃いの中にあって、私が一番心惹かれたのは肉屋の竜一。並外れた性欲を持て余していた男。けれども、一番情の深い男に思えてなりません♪ ハッピーエンドの結末を求めがちですが、たとえそうじゃなくても、前進する強さを人は皆持っている事を教えられました。

    3
    投稿日: 2013.02.24
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    大阪難波の少し南にある夢見通り商店街。そこに住む人々の悲喜こもごもに毎章違った角度からスポットを当てる。 ドラマの進行の軸となるのは、長期休業中のかまぼこ屋の2階に間借りする里見春太。セールスマンをしながら貯めたお金で詩集を自費出版するのが夢だ。 途中、春太が「めでたし、めでたしやなァ」とつぶやくところはあるが、基本的にはどこにも「めでたい終わり」が用意されていない。明日も明後日も、夢見通りの人々はこのまま同じようなことを繰り返して行きそうな、そんな終わり方だ。ところで、第一章の春太は人付き合いを億劫がるタイプの人間にみえるのに、読み進めていくと、あちこちで借り出されて妙にいい人になってホイホイ人助けをしている。ちょっと矛盾を感じる。

    0
    投稿日: 2012.09.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    夢見通りに生きるそれぞれ生き様が切実な重みをもって胸に迫ってくる。深く重い人生観を啓示する宮本先生の技量に心底酔わされる。

    0
    投稿日: 2012.07.13
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    珍しく、短編なのに各ストーリーはすべてにおいて関連してて、 最後には登場人物皆がいとおしく感じれて 本当に良かった(><) 独特な展開も面白かった

    0
    投稿日: 2012.07.03
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    もはや個性が強すぎるを通り越し、とてもクセのある人が何故か集まっている夢見通り。 各章ごとに書かれる人々の日常は、それぞれ何らかの問題を抱えているが、夢や希望を持っている。 しかし、結局思い通りの結果にはならず、とてももどかしい。 だけど、その上手くいかない感じがやけに人間らしくて、しっくりくる感じもする。 ある意味、人間クサイお話です^^ いつも他人の問題に巻き込まれるけど、なんだかんだ言って仲介役を引き受けてしまう里見春太の人柄が好きですね 彼はそういう運命なんだろう・・・ 宮本輝さんは天才ですね^^

    1
    投稿日: 2012.05.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    こんな商店街、あるある、と思いながら読む人も多いのではないでしょうか。 さびれてしまった商店街で生活している人それぞれの想いを綴っている一冊です。 はたから見た一面とその人が内面にかかえて考えていることはこんなにも違うのかもしれないなと感じました。 どの人物もかわいいなと思える人間くささがよかったです。

    0
    投稿日: 2012.01.16
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    人の機微に触れることに、こんなに疲れたのは久しぶりだ。 奥田英朗さんのように、人の嫌なところや弱いところに触れているのに、こうも後味が悪いのはなぜだろう。 自分の、本質的に夢見がちな性格には辛い。

    0
    投稿日: 2012.01.15
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    荒れかけた商店街の住人達の話。 登場人物がみんなどこか薄暗い部分があって近くにいたら嫌な感じなんだけど、読むにつれてみんななんだかんだで繋がっててあたたかくできあがっているのがいい。

    0
    投稿日: 2011.12.11
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    あたたかい小説。実際の生活でそばにいたら嫌な人物でもどこかそれを感じさせず描写している。そこにこの小説の、というより宮本輝のあたたかさが出ているのだろう。

    0
    投稿日: 2011.11.22
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    「夢見通りの人々」は、十章の短編からなるオムニバス小説である。  登場人物は詩人志望の里見春太と彼が思いを寄せている美容師見習いの光子。 そして、競馬狂いで夫婦ゲンカの絶えない太棲軒の親父・ライオンズクラブのメンバーになりたくて幾つかの役職に名を連ねているパチンコ屋の経営者。金儲けが人生のすべてとおもっている村田時計店。  ホモと噂されているカメラ屋の若主人。美男のバーテンしか雇わないスナックのママ。もとやくざの組員だった肉屋の兄弟──。  これら、ひと癖もふた癖もある夢見通りの人々がある章では主役になり、ある章では脇役で登場する。  例えば、ある章では、淫乱で自分の店に雇ったバーテンをいつのまにかものにすると描かれていたスナックのママが、第8章で主役で登場した時は、実は顔に痣があるためにつぎつぎと男から逃げられていて、その痣のためいかに深い傷をおいそれを隠しながら生きてきたかを。  また、乱暴者の肉屋の兄弟がいかに母親の愛情に渇望しているか。ホモの若主人が外観とはうらはらにインテリであり、微細で傷つきやすい神経であること。が、わかってくる。  だから、他の章で悪く描かれていた人が主役として登場し、一人一人の胸の奥に隠されている感情を知るにしたがってそれらの人々を観る見方も変化してくる。  それぞれの者が劣等感を持ちながら、ある者はその劣等感をバネとし、ある者は心に深く傷をつけている。  春太の場合はどうか。彼の劣等感は、自分が平凡で臆病者であるということだった。 彼は自分らしい気宇壮大な目的を持ちたいと考えていた。  彼が思う自分らしい気宇壮大な目的とは他者の幸福に、自分が何らかの形で役立つことである。  ところが、自分の生活を固めていくという基本と、それを他者の幸福に役立たせるという応用は、どうしても、彼の中では矛盾してしまうのだ。自分が生活に勝つとき、そこでは誰か敗者が生まれるに違いないからである。  春太はかって理想共産主義に強くひかれた時期があったが、「プラハの春」のソ連軍の行為に理想共産主義への失望を深くしていた。  だから、いまのところ矛盾でしかない自分の幸福と夢との共存は、春太の知らない深い深い場所でみつけるしかなく、それゆえに彼は詩を捨てることが出来ないのであった。  短編の中には、ハッピイエンドではなく、彼等の夢を無残にたたきこわして終わって いるものもある。  行間から「人生とはそんなに甘いものではない」という、宮本輝の声が聞こえてきそうだ。  今年の8月に公開された映画は森崎東監督。里見春太に小倉久寛、美容師見習いの光子に南果歩、肉屋の竜一に大地康雄。  夢見通りの人々に関西の芸能人が出演して、ぼくとしては、おもしろい映画だったと思っている。  映画を観てこの作品を読んで感じたのは、小説での台詞がそのまま映画のせりふとなっていたことだ。小説そのものが、生き生きと描かれていたともいえる。   作者は、作品の最初に名称にそぐわない人が住む街だと書いているが、読み終わってみるともっとも似つかわしい人が住む街だと思うようになった。  夢をみつづける人々が住む街が夢見通りなのだ。そして、夢見通りの人々がみる夢は、 人間として暖かみのある夢でもある。  このような人に出会うからぽくもまた文学を捨て切れないのだ。

    0
    投稿日: 2011.11.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大坂の夢見通りという商店街の1軒に下宿する 里見春太とその商店街の一癖も二癖もある人々のお話 少しにがくって、生々しくって、おかしくて、悲しい 読んでいてすごく思ったのは、宮本輝さんの小説って ストーリーも長短編かもテーマも時代も色々と違うけど 芯はずっとぶれていないんだなぁということ やはりこの本も読み終わって元気が、勇気がもらえました もう20年以上も前の小説、今読んでも輝いています

    1
    投稿日: 2011.09.09
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    廃れかけの商店街で繰り広げられる住人たちのドラマ。住人各々が強烈な個性を持ち、お互いにいがみ合い、ひがみあいっているのに、利害を共にし、付き合わなければ生活ができない。 既に心が荒んでお互いを信頼してないのに、少しだけ人情と優しさが混じったかかわり合いが、彼らを商店街に固執させている感じ。そこは、会社や部署やあるコミュニティに属している私たちの心の汚い寂しい部分が掘り起こされているようで少し寂しい気持ちになりました。。 以下引用。 『環境というのは、手ごわい敵です。環境なんか、簡単に変えられそうな気がするんやけど、とんでもない。そうすんなりとは変わってくれへん。環境が人間を変えます。人間も環境を変えられるんやけど、これには途轍もない力と努力が必要です。』

    0
    投稿日: 2011.07.12
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    面白い!いかにも若い頃の作品。エネルギーと勢いにあふれている。全ての作品を、あえてハッピーエンドにはしないところとか、若さゆえ、という感じがしました。でも、「骸骨ビル…」のような穏やかな作品もいいですが、若いころの作品も好きです。今の自分に合っているのかも、と思います。本は、時を違えて読むと、感じ方が違ったりするし。本はその時々の自分を映す鏡でもあるのだな。

    0
    投稿日: 2010.02.06
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    タイトルから現実から一歩離れたフシギ世界の話かと思って読んだら、見事に裏切られました。 メルヘンではなく地に足がついた意味で、どこかにありそうな商店街のお話です。 登場する人々がいい意味でも悪い意味でも人間くさく、雰囲気がどこか薄暗い。 なんとなくざわざわと落ち着かない雰囲気が、自分にはちょっと合いませんでした。

    0
    投稿日: 2010.01.24
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    大好きな作家です。小さな商店街の生活感溢れる日常を、キャラクター豊かに描くこの作品は、人間のあったかい内面を表現しています。

    0
    投稿日: 2009.12.10
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    商店街って、それぞれの人が看板をしょっていて、それにキャラクターを付け加えることですごくわかりやすい人物設定ができるので、小説の舞台設定としては恰好かもしれない。 タイトルが‘夢見通り‘であるように、それぞれ皆夢を持ち、破れ、葛藤する様がモチーフになっていて、少々詰め込みすぎという感がなくもないけど、楽しく読めます。 元やくざで肉屋の竜一をからめた最後のエピソードは、ほほえましくもあり、悲しくもあり?。。。

    0
    投稿日: 2008.06.20
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    商店街の人々のアレコレ物語が、 オムニバス形式にて綴られて、しかしどの章も少しずつ重なり合ってる。 人間模様は様々だが、 軽い気持ちで読める作品だった。

    0
    投稿日: 2008.06.12
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    080307 裏表紙に『ホモと噂されている・・・』とかいう紹介文があったので買った。 内容はうまいと思った。 因果っていうのは、こういう風に巡るんだなあってかんじ。 宮本のほかの本も読んでみたいと思った。

    0
    投稿日: 2008.03.11
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    宮本輝。さすが。短編の長編小説。短編がいくつも入っているのだが、登場人物は夢見通りの人々。なんともあったかく、だけどシビアでほんと現実的なお話。とても面白い。もちろんこの「面白い」はThat's entertainment な面白さではなく、じんわり深い、面白さ。地味だけど、面白い。そしてものすごい人間らしい。本当にありそうな、人間味。中でもすきなのは、やくざあがりの竜一に関する物語。3つ。それからシャレードのママの話。全編を通して、なんとなく中心人物な一番「普通」な良識人春太の人間味も、また良い。なんだか、夢見通りの人々は本当に現実的な心の働きをして、とっても人間らしいのだけど、だけど何故かファンタジーの中の人々みたい。その中で唯一の人間。春太。って感じがする。やっぱり宮本輝はすごい。私の好きなほかの作品達よりも地味で、淡々とした物語だが、やはり味が。絶妙。

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    投稿日: 2006.09.30
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    ある小さな商店街の人々にスポットをあて,オムニバス形式でつづった短編集.短編集なのだが,少しずつ話が関連していて,最後にはその商店街の人々一人一人のことがよくわかったような気持ちになった.ちょっとした日々の日常を描いているだけなのが,なぜかそれが面白い.

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    投稿日: 2006.06.03
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    小さな商店街にて起こる出来事をオムニバス形式で収録した短編集。それぞれがどこかリンクしていて、他人の間にある気持ちが四方八方に飛散している様が読み取れる。

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    投稿日: 2006.01.27
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    一話ずつ主人公が入れ替わっていくオムニバス。少しずつ繋がっていく物語が映画のようで、おもしろく読めました。

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    投稿日: 2005.10.27
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    住人たちの生活感にあふれているのに、それが物語に見えてくる。読んでいる間、近所の商店街のお話かと思えてくるのが不思議。

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    投稿日: 2005.09.24
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    100ページくらいは、躓かず一気に読んでほしい。 「夢見通り」の人々は実際近所に住んでいたら…どうなんでしょう、なんて人ばかりです。けれど、とても皆が皆、強烈な個性を放って生きている! 実際の生活ではあまり突っ込んだ話は倦厭されるので表面上の付き合いが多くなるものだけど、人間の深い内面や人生の軌跡を知った時、嫌いだった人でもそう憎からず思えるようになることが主人公の春太を通して、とてもよく伝わってきた。 人が一人生きていけば色々あるもので、世間様には隠されている猥雑なものをただ拒否して終えるのではなく、受け入れ考えその上でどうするのかを、輝さんの物語はよくよく考えさせてくれる。

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    投稿日: 2005.09.02