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写楽 閉じた国の幻(下)
写楽 閉じた国の幻(下)
島田荘司/新潮社
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総合評価

89件)
3.8
15
42
24
1
1
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    帯に、「構想20年。」とある。 確かにこれだけ調べるのは並大抵のことではないだろう。 "写楽とは何者なのか?" 歌麿が激怒したわけが、著者の推理だと腑に落ちる。 上巻を再読した時は、全然覚えてなかったと感想を書いたが、全部読み終わると、よく忘れていたな、と自分に呆れた。最初に読んだのはたぶん十年以上前だけど。 面白かったが、入り組んでいて読むのが大変だったし、最初に出てきた肉筆画の謎などはまだ残ったままだ。 印象的だった所を引用すると、 (上巻だが) 「でも写楽は違う。静止写真じゃなく、あれは動体の撮影です。動いているものの一瞬の姿を、ぴたっととらえているんです」中略「欧州の名画群が、被写体が一分間我慢のピンホール・カメラなら、写楽は千分の一秒の高速シャッターを持っているんです」 とても面白い見方だと思った。

    0
    投稿日: 2025.11.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    佐藤と出版社の常世田たちが、写楽は誰かの考察を進める中、オランダ商人の記録の写しをオランダで入手した片桐教授のお陰で、写楽は外国人という説が一気に可能性を帯びてくる。 一方、江戸編にて当時の状況長崎に滞在していたオランダ商人が参府した際の蔦屋重三郎とのやりとりが描かれ、ぐんぐん引き込まれてしまった。 写楽は誰かという議論や当時の江戸文化など、興味深い内容満載で、特に江戸編が面白かった。 大河ドラマの"べらぼう"をフォローしていなかったが、今更ながら、少し興味が湧いてきた。(笑)

    32
    投稿日: 2025.04.30
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    作者(島田荘司)が挑んだ写楽ミステリー。蔦屋重三郎、歌麿、山東京伝とのやりとりも面白い。現代での謎解きを江戸時代ではこうだったろうって、ストーリーを並列してるから日常でTVを観ている感覚に落ち入りどんどん読み進めた。あとがきは、物語以上に良かった。島田荘司先生の今後の発表作品を見逃せない。

    6
    投稿日: 2025.04.03
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    消えた浮世絵師東洲斎写楽の正体に迫ったミステリーの下巻。長大な作品の割には現代編のモヤモヤしたものが残るが江戸編は人間ドラマとして熱いものが感じられた。それに現代編も紆余曲折(平賀源内説とか)あっての真相解明はミステリーとして良かったと思う。読了後に写楽の第1期作品(大首絵)が観たくなった。 個人的な考えとしては現代に例えると蔦屋重三郎が漫画雑誌の編集長でネームの素晴らしい新人作を大御所漫画家プロダクションに委託(なので金もかけた)、ペンネームをつけて連載するも打ち切りとなり後になって調べ様にも当事者死亡で分からなくなったという認識。

    4
    投稿日: 2024.05.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2013/5 初読時のメモより 作者が提示した、写楽の謎:写楽が誰にせよ(既に知られた人物の変名にせよ)何故出自などが全く伝わって無いのか、接触していた筈の周りの人々が写楽について何故なにも語っていないのか。写楽はオランダ人だったという仮説は、これを合理的に説明していると思う。役者絵は、ブロマイドと芝居の宣伝を兼ねるものなのに、写楽は本来対象にならないような端役も描いていたという事も本作で初めて知った。

    1
    投稿日: 2023.09.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読了して、まさに写楽、証明終了したんじゃないかと思った。 そもそも写楽という名前自体、写す楽しみと書く、という話になった時のパズルのピースがはまった感は鳥肌モノ。 説を実証するために証拠の文献を集めていく過程は、学術研究の楽しさも感じられた。 そして、カリスマ出版人の江戸っ子・蔦屋と、お調子者で気のいいオランダ人・ラスさんの友情には、意外にも涙腺が緩んでしまった。

    21
    投稿日: 2022.05.14
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    謎の絵師写楽の正体は? 実在する歴史上の謎に対し、小説の体をとりながらも、作者の膨大な下調べと長年の考察による新説をぶち上げる。このような小説を読むのは初めてかもしれない… 自分は写楽について知識がないので、これが写楽論争に一石を投じ得るものなのかは分からないが、 読んでいる限り状況証拠もいくつかあるしとても面白いと感じた。もちろん小説家ならではの創造力がその合間を埋めているのはわかっているが。 なによりこのようなチャレンジングな小説を読んだのが初めてなので単純に感動した。 実在しない絵師をでっち上げて完全フィクションを作ったのならこんなに感動しなかったろう。

    2
    投稿日: 2022.02.26
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    2022年2月4日読了。 ・ 『東洲斎写楽』 寛永六年・1794年の5月から1795年の正月までの10ヶ月間のみ突如江戸に現れ、140数点もの作品を猛烈な勢いで作り上げ、そこから忽然と姿を消した謎多き1人の浮世絵師。 有名でも無名でも、他の絵師たちには生い立ちやエピソード・風貌・人柄など多かれ少なかれ何かしらの情報があるのに対して、写楽に限っては一切の情報が皆無である。 文献も残っていなければ、版下絵・肉筆画・練習の為の絵などの類も、写楽のものだけは何一つ発見されていない。 更なる謎として、『喜多川歌麿』や『葛飾北斎』を世に送り出し、江戸一番の版元として名を馳せた『蔦屋重三郎』が、無名の写楽を大抜擢し、黒雲母摺りという高価な材料を使った待遇でデビューさせている事。 ・ 写楽と顔を合わせていたであろう『蔦屋重三郎』や、蔦屋組と呼ばれた『喜多川歌麿』『葛飾北斎』『十返舎一九』『山東京伝』などの有名人達が何一つとして写楽について語っていない事。 ・ 『写楽=別人説』や『写楽は存在しなかったのではないか』など様々な議論がなされるが正体は謎のまま。 ・ ・ 北斎の研究を専門としていた『佐藤貞三』は、とあるきっかけで一枚の浮世絵の肉筆画を手に入れる。 浮世絵とは基本的に美男美女・スターを描くものだが、その絵にはどう見ても美しくはない醜女が描かれていた。 しかし浮世絵史上、ただ一つの例外として醜女を描いて有名になった絵師が存在したのだ。 それこそがまさに『東洲斎写楽』 まさかこれは写楽の肉筆画なのか? そうであればこれは時代を揺るがす大発見なのではないか? そんな事を考えている折、とあるビルの回転ドアによる事故に巻き込まれ、大切な人を失ってしまう。 絶望の中、事故の原因究明の場で知り合う事になった機械工学の女性教授『片桐教授』と共に写楽の正体を探り始める。 ・ ・ 初の島田荘司氏の作品。 構想20年という大作。 写楽という存在は知っていたし、『奴江戸兵衛』はとても有名な作品なので観た事もあったが、ここまで謎の多い人物だという事はまったく知らなかった。 作中で写楽の正体を著者の自説で明確にしているが、本当にそうなのではないかと思わせるほどリアル。 どこまでが史実に沿った話なのか分からないが、とても面白い説で、読み終わった後の感想としては実際そうであって欲しいとすら思ってしまった。 ・ 現代編と江戸編の2つの時代のストーリーから成り立っていて、現代編ではメインストーリーと写楽に関しての説明・推測が大筋。 江戸編では実際どのような事になっていたのかという答え合わせ的なストーリー展開だった。 ・ 無理に現代編のストーリーは必要ないんじゃないかと言う意見も多々あるようだが、ストーリーがいらないのであれば写楽に関しての文献や参考書でも読めばいいわけで、小説が読みたくてこの本を手に取った自分としてはストーリーありきで良かったのではないかと思う。 語りきれてないのは否めないが…。 ・ 江戸編は天保九年だの文政元年だの、年号がよく分からず苦手なので、初めのうちは読み辛さを感じたし、現代編は説明を丁寧にする為か同じ事を何度も解説していて読み辛さを感じて上巻は読むのがキツかった。 しかし、下巻からの江戸編の面白さは格別。 現代で言うところの敏腕プロデューサー『蔦屋重三郎』の漢気溢れる感じがたまらなくカッコいい。 現代編の主人公『佐藤貞三』が魅力が無さすぎて、本当の主人公は『蔦屋重三郎』である。 大手書店企業の『TSUTAYA』の名前の由来ともなっているらしく、『蔦重』の偉大さを感じた。 ・ 作中にオランダの話が頻繁に登場し、フェルメール・ゴッホ・レンブラントといった画家達の名前があがっていた。 自分の人生の中で唯一行った海外旅行がオランダであり、フェルメール・レンブラントの作品は美術館で鑑賞してきたが、アムステルダム国立美術館に写楽の浮世絵が展示されている事を全く知らなかった。 日本の誇りとして鑑賞して来なかった事を心から後悔。 ・ 著者が後書きでも書いていたが、上下巻合わせて900ページ以上あるのにページの都合上、伏線の回収がしきれていなかったり、書きたかった事を書ききれなかった事が心残りだそうで、続編を匂わせる発言をされていた。 しかし、この本が発売されて10年近くたっているがまだその兆候は見られないので期待は薄いのかもしれない。 実現するのであれば、読んでみたい。

    4
    投稿日: 2022.02.08
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     二回目。それを承知で読み始めたがすっかり忘れていた。途中で思い出した。  初めて読んだときは興奮した。でも二回目で思い出すと写楽の正体はわかっている。興味は半減。面白味も半減。となると小説部分の粗が目立つ。子供の死亡事故なんて何の関係もないやん。現代のドラマは収束もせずお粗末。江戸時代のドラマはまあ面白いが台詞が鬱陶しい。洒落本を研究しているのはわかるけど、そんな話し方はせんやろ。洒落本風に書いたのかもしれないが、知識のひけらかしにしか感じられない。

    1
    投稿日: 2022.02.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    生き生きと描かれる400年ほど前の江戸町人に、羨ましさを感じる。著者の作品は初めて読んだが、歴史考証が飽きずに読める筆力。重くなりがちな歴史的な謎を、写楽作品への想い入れを消すことなく、娯楽作品として描いておりワクワクしながら読むことが出来た。他作品も読みたい。

    1
    投稿日: 2022.01.03
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    写楽の正体を小説したてで提示した作品。どこまで史実に沿っているのか分からないけれど、物語として引き込まれた。

    1
    投稿日: 2018.11.12
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    名前を聞いたこともあるし、絵も見たこともある。 でも知っているようで知らない『東洲斎写楽』。 そもそも写楽別人説が色々語られるほどの謎の人物で有名ってのも初めて知った。 それ以外にも浮世絵で知っている有名どころ葛飾北斎や安藤広重、喜多川歌麿がある程度近い時代の人達で顔見知り的な存在であったことも。 読んでる最中から『ゆっくり浮世絵を鑑賞してみようかな?』と興味が湧いてきた。 物語はその写楽の謎が解き明かされていく流れだけど、まったく予備知識の無い私でも引き込まれていくほどしっかりとした作りの小説。結局は違ったけれど、初期に出てきた『写楽=平賀源内』説はすっかり信じてしまうほど。 また作品は主人公のいる現代の話と、写楽が活躍した江戸時代を蔦谷重三郎を軸とした話を交互に進められる。その蔦谷をはじめ江戸時代の人々のやり取りがテンポの良い江戸っ子口調で、それに馴染みのない私でも活気の溢れるお江戸に混ざった気分になれる。 この小説における写楽の正体もしっかり合点がいきました。私より浮世絵などに興味を持つ父に薦めてみたい一冊です。

    0
    投稿日: 2018.11.11
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    面白くないわけじゃないんだけど、なんとも読みにくいというか、ページをめくる手が進まない本だった。 島田荘司といえばやっぱり占星術殺人事件の印象が強いけど、こういう本も書いてるんだ!という驚きはありました。 比べるのも違うかもしれないけど、『永遠の0』なんか(思想は賛否あるけど、)本当に描きたい歴史のエピソードを物語として展開するための”現代パート”の読みやすさ(あれはあれで空っぽすぎるかもだけど)があって、少なくとも読者が読み進めるための推進力を持った小説で。こちらは、その推進力を読者自身が持たないといけないので、よっぽど興味がないとなかなか進めない。そんな印象です。。

    0
    投稿日: 2018.06.30
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    写楽について何の知識もなかったけど、すごく面白かったし、写楽の謎は本当に興味深かった。 蔦屋と写楽の関係や、蔦屋さんが命を賭けてでも一石を投じなきゃ気が済まなかった政府や時代をひっくるめた鎖国中の日本そのものへの憤りは、私の胸にもじわじわ来るものがありました。 作者後書きを読めば多少は納得もできたけど、子供の事故は必要だったのか。なくても良かった気はします。

    0
    投稿日: 2018.02.25
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    幻の画家写楽の正体が明かされる?下巻。作者の考えは下巻のはじめの方でわかるのだが、作者自身が認めているように、写楽にしろ、片桐教授にしろ謎がたくさん残されたまま終わっており、正直なところ未完。写楽第一期はよいとしても、作者説だと二期以降はどうなるのか。仮に別人が描いたとして、中見でないのはなぜなのか。片桐教授はなぜ佐藤の手助けをするのか。見つかっていた肉筆画と教授の関係は? 最後まで描ききってほしいけど、難しいのかな。自説を丁寧に説明したいからだろうけど、佐藤の推理→皆で討議→江戸編と、同じような話が繰り返されるのがちょっとしつこいので、そこをコンパクトにして三分冊で最後まで書ききっていれば、本格ミステリ大賞だったのでは。

    0
    投稿日: 2017.11.03
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    写楽とは誰だったのか?を追い求め、やがて大胆な説にたどり着く。 説は非常におもしろい。過去にこのような説があったのかどうかはわからないが、色々なピースがよくもうまくはまっていったなと感心する。と言うか、実在の資料でさらにこの話で取り上げられている日付などは本当のことなのか、よくわからない。けど、本当ではあってほしいと思うぐらい。 しかし主人公は病弱すぎる。すぐ倒れる。それらの原因がたび重なる不幸なのだが、それらは必要だったのか?不幸じゃないとたどり着けない説だったのか? 話は現代と写楽が登場する時代の江戸と交互に展開する。江戸のほうは現代の不幸な感じとは違いテンポが良く、登場人物たちが生き生きとしている。 江戸のほうで出てきた「遠くから来た異人さんとも友達になれるなんて楽しいなぁいいなぁ」というセリフがとても良い。

    0
    投稿日: 2017.04.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    多分外人なんだろうなーと思わせる個所はあったので、正体には然程驚かなかったものの、こういう解釈を持ってくるのが凄いなぁと。 実際のところどんな風に落としているのかな?? 美術史研究の面白さを見つけられた本だった。 正直ラストはもうちょっと食い込んで欲しかったけど。

    0
    投稿日: 2017.03.11
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    下巻も佐藤さんの欝々した状態と長々した説明に苦戦を強いられる。 しかし。蔦重がお上や千両役者達に対する鬱憤や怒りを、命がけで写楽を世に出すエネルギーにしたように、現在編のなかなかなストレスがあるからこそ、江戸編の蔦重達の心意気の清々しさや夜の歌舞伎場面の艶やかさが、よりイキイキと感じられるのかも。 とにかく読み終わったーーーって、開・放・感!!

    0
    投稿日: 2017.01.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    このミスベスト10、2011年版2位。作者もあとがきで書いてるとおり、現代編は全然中途半端だし、途中退屈な部分が続き全体のバランスも悪く小説としてはダメなんだけど、作者が長年あたためてた、写楽が誰かについての新説にはとても説得力があるし、仮説にもとづいた江戸編は小説としてもしっかり書き込まれてて、無茶苦茶面白い。後半はなんだかすごく泣きました。ただ、前半は現代編の方がやや面白いが写楽の説明が長く、江戸編は時代の背景説明に終始ばかりでしんどかった。この本が出た1年ぐらいあとに、NHKのドキュメントで長年謎であった写楽が誰だか分かったって言いきってる番組があって、それ観た記憶があったから、こっちの説は学者さんとかには相手されてないってことなんかなーと不思議でした。当時はNHKのドキュメントで結構新説をバシバシ取り上げて言い切ってる番組あって、NHK強気だなって思ったりしたけど。まあ、この本の続編も出てないようだしやっぱあかんかったのですかね。

    0
    投稿日: 2016.09.01
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    写楽とはだれか? その人物がその年の江戸に来ているのか その確証もないまま執筆を開始したという作者のあとがきを読む限り、 ほんとうにその勘と執念だけで掴み取ったんだなぁ、と深い感動に包まれます。 以前いちど挫折してるから 読んだタイミングが良かったのかもしれない。 主人公の佐藤同様に 私も相当に打ちのめされていた時期でした。 なにもかも酷く打つ手なしだと感じていたから やりたいことに対しても これになんの意味があるんだ、対価の保証はないって感じでとても苦しかったけれど 半ばで佐藤の息子が幻となって 「パパ、こっちでいいんだよ」(だったかな?)方向性を示唆する部分など むしろ私が勇気付けられてしまいました。 お陰さまで新規プロジェクトも立ち上げられました。 本当に資料と戦いながら掴み取った結末。 手探りでなにかを作る職業の方は手に汗握ります。

    0
    投稿日: 2016.07.25
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    またも歴史にアクロバティックに切り込む。 いつもの日本人批判も含みつつ。 現代編の答え合わせをするかのような江戸編。 現代編の回収されない要素たち。 構成の粗がやや眼につく。 備忘録。 どうしてだか、写楽=シャーロック・ホームズだった! というネタバレをどこかで読んだ気になっていたが、これは自分の夢だったのね。

    0
    投稿日: 2016.07.20
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    上巻を読み終わって、ちょっとどうしようかという気持ちだったけど、 下巻は楽しく読めた。 上巻に比べて、江戸編のボリュームが多く、 この江戸編がものすごく面白く、よく出来ていて 島田作品特有の作中作の面白さは健在だった。 江戸編だけで良かったんじゃないかと思わざるをえない。

    0
    投稿日: 2016.07.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    そこで終わりますか!感がすごかったです。 江戸編の描写は好き。 高橋克彦や夢枕獏の同時代の作品を読んでると特に。 現代編はどうも煮え切らない感じがな~。 子供の事故とか夫婦仲とか謎の美女あたりが消化しきれなかった感じ。 最初の切っ掛けになった絵もなんだかうやむやだし、それに対する教授の態度も微妙だし。 続編あるのかなぁ…。

    0
    投稿日: 2016.07.02
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    28年4月11日読了。写楽は誰か?の謎を追う。著者が20年来の書きたかった題材を小説仕立てで、現代版と江戸版で書分け 真実に迫る。色々な伏線が、中途半端なまま話しは終わってしまったような。息子の回転ドアでの圧死の話しも、ドアを開発したオランダと完璧なまでに完成させた日本という、写楽の実像とダブらせたのだろうが、果たしてどうしても必要な伏線だったのか。でも、写楽の正体が島田荘司説の通りだったら、どんなに面白いだろうか。今後オランダの資料などが、次々に見つかり 日本での研究が進む事を おおいに期待している。

    0
    投稿日: 2016.04.11
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    ミステリの巨人の奇想がついに歴史を捉え、真実を掴み、常識をひっくり返したか。 あまりにも膨大な歴史のテーマは、到底ミステリ小説1冊に収まりきれるものではなく、そこは島田節といつもの力業で何とかエンタメ小説の体裁を整えた感が強い。 写楽の謎を解明する目的の達成を優先したのために、ストーリーや人物たちがほとんど着地できずに終わってしまった。 島田ファン、ミステリファンの読み手としては不完全燃焼この上ない。 新潮の責任でしょ。 ライフワークとして積み上げていってもよかったのじゃないか。 船戸さんの満州国演義みたいに。 テーマが許さなかったのかなあ。 とりあえず出しとかなきゃみたいな、作中の出版と同じような事情があったかな。 実に素晴らしいがもったいない感がいっぱいの傑作です。

    0
    投稿日: 2016.04.03
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    下巻はとても面白かった。上巻を読んでいるときは、けっこう惰性で読んでいましたが、下巻はすごかったですね。何がよかったかと言うとこの小説の仮説の説得力。後書きまで読むとこの物語のすごさがわかります。伏線やらあのときの話はどこにいかされたの?必要だったの?と思われるところもありましたが、それを含めても読む価値があったと思います。島田さんの作品は初めてでしたし、この仮説の信憑性もわかりませんが、かなりの満足感でした。

    0
    投稿日: 2016.02.03
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    上巻に興奮しすぎただけに、下巻は冷静な評価になったかな。後半のもたつきとすっきりしない感じはちょっと残念。でも上下巻通しての評価はやはり良いです。

    0
    投稿日: 2015.11.19
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    東洲斎写楽の謎を解き明かす歴史ミステリ。 島田氏自身が導き出した独自の考察なのだろうか、これまで著者の御手洗シリーズなどを読んできただけに、江戸時代の浮世絵や歌舞伎などの分野にも造詣が深いことを知り、驚嘆した。実際の考察についても、素人ながら十分説得力があるように思えたし、読んでいて楽しかった。作中にもチラと名前が出てくる高橋克彦さんの浮世絵シリーズといい、私はこの時代の文化とか歴史がすこぶる好きみたい。 にしても、後書きを読むと、というか後書きをつけないといけなかったくらい、現代編のストーリーが中途半端。いろいろ裏事情があったみたいだけど、、、連載時はともかく、単行本として出版する際はもうちょっとキチンとしてほしかったかな。この状態で出版に踏み切ったのが正直驚き。まぁ、私は写楽の謎についてしか興味がなかったので、本書の内容で十分満足しましたが。

    0
    投稿日: 2015.10.28
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    写楽については応挙 北斎 歌麿など 仮説止まりな分 夢のある題材で興味津々で手に取ったのだが 『エレベーター事件』『週刊誌スッパ抜き』『裁判』どこ行ったん・・・ 前半の成り行きをずっと背中で気にして読んでたから 後半の江戸編、面白かったけど気もそぞろ・・・ この状態で世に出すって 出版業界や編集のシステムってどうなってるんだろう 読後 あっけにとられそちらの方が気になってしまった。 ぜひ江戸編だけで一冊出し直ししてほしい。蔦重魅力的。

    0
    投稿日: 2015.08.30
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    歴史物なので知的好奇心をそそる。写楽の謎についてはテレビで見たことがあったがよくは覚えてなかった。着眼点というか謎となるポイントはなかなか面白かったが正直ストーリー全体にこの話いるかな、と思ってしまった。後書きに書いてあったが高くなるので短くせざるを得ないということがあるんだと驚き。こういう歴史の謎解きを見るとそれが正しく思えるから他のも見てみないとな。

    0
    投稿日: 2015.08.12
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    単純に『写楽』という人物の勉強になる。 突拍子も無い別人説かもしれないが、楽しめる内容になっている。 史料分析も面白い。

    0
    投稿日: 2015.03.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    東洲斎写楽の正体に迫った歴史ミステリー。 鎖国であった当時の江戸文化の様子、歌麿や京伝、そんな絵師などを取り仕切る蔦屋重三郎たちの交流の様子がとても良く伝わって来る。 そして描き出される写楽の正体。 「閉じた国の幻」まさのこの副題の通り、閉じられかつ規制された不満が高まっていた時代に、蔦重を中心に国内外関わった全ての者たちが紡ぎ出した幻こそが写楽だったのだろう。 と面白かったのはこの作中にある「江戸編」まで。 正直「現代編」はいらない、江戸編の合間に解説があるだけで良かった。 説明を兼ねているが物語にしてしまったために冗長過ぎてわかりずらい。 回転ドア事件も風化させてはいけないという思いはあろうが、それはそのテーマで書けば良いわけで、写楽とは一切関係ない。 この現代編のせいでものすごくつまらない物語になってしまった。 だって江戸編、全体の3分の1もないぐらい短いから。 江戸編が非常に感動できる物語なだけに、ただただ残念。 (下)で正体に迫るので、江戸編もそれなりに分量があったので(上)より楽しめた。 江戸編だけだったら間違いなく★5つだった。

    0
    投稿日: 2015.01.31
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    なんとか読了。題材は面白いのだから、もっとスマートにまとめて欲しかった。20年来の構想らしく?作者の思い入れが強すぎて、読者のことを無視してる。あとがきで、これでも足りないようなことを書いていて(エゴ!)、続編を匂わせているが、自分にはもう読むのは無理。

    0
    投稿日: 2014.09.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    写楽はオランダ人のスケッチをベースに浮世絵の工程に載せたものだった。なるほどと思わせる推論は楽しめる。ただその推論と、並行して流れる江戸時代編が長くなりすぎて、もともとあった、子供の事故の裁判、主人公夫婦はどうなる、など宙に浮いたトピックも多い。続編が出てくる気もする。

    0
    投稿日: 2014.07.26
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    写楽は誰なのかと言う謎解きに関しては、斬新な解釈で説得力もあると思う。 学会での反応とかはどうだったんだろう。資料的な裏付けが弱いから、やはり無視されてるのかな? ただ、小説としては著者も認めてるが、現代での様々な事柄の整理がついてないし、新発見の浮世絵の謎もそのまま放置。とても、完成されてるとは言い難い。続編なり、完成版を期待します。

    1
    投稿日: 2014.07.19
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    20140510読了。 島田荘司さんは初めてですが、読み応えありました。 写楽は誰なのか?その事に興味がない人でも面白く読めると思います。 写楽説の一つであり、真実かとうかはわからないが、出来れば支持したい。 鎖国が産んだ芸術。浮世絵という、世界で日本にしかなかった芸術に外国人が関わっていたとう発想は、日本人にとったら異端な考えなのだろう。

    0
    投稿日: 2014.05.10
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    初めての島田荘司作品 浮世絵にも興味が無かったし、写楽の正体が謎だったなんて、この本を読むまで知らなかった。。。 これをきっかけに写楽をもっと知りたいと思った(^^)

    0
    投稿日: 2014.04.05
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    上巻に引き続き、現代と江戸時代を織り込ませながら、写楽の謎を追求する展開。 そもそも「写楽の謎」すら知らなかった自分には、「写楽は誰か?」ということに、この小説での結論が一つの説として、本当であれば・・・と思わせる奇想的な結果には驚かさせられた!! まさか、でも、真実なのか・・・一読された方々にはどう写っただろう。 一読必須の面白いオススメ本でした!!

    0
    投稿日: 2014.03.15
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    この作者らしくなく、構成もエンディングも冗漫だが不思議な魅力のある本。「後書き」が本当のエンディングで、主人公、蔦屋、そして作者の三つの視点で構成されている小説だと思った方がいいだろう。「新説」は意外性もありながら充分説得力もある。

    0
    投稿日: 2014.02.08
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    この本を読んでしまうと、写楽の正体はコレしかあり得ないと思えてしまうのだけど、真実はどうなのだろう。 ただこの本の面白さは、写楽の正体を解き明かしていく点だけでなかった。 その過程で描かれる当時の江戸庶民の生活事情(倹約が義務付けられていた)や、将軍に謁見する為、出島からオランダ人がはるばる上京する江戸参府(彼らも厳しい監視体制下にあり自由行動が許されなかった)など、勉強になることが多かった。 あと、浮世絵が絵師(下絵)、彫師、刷師、三者の分業で行われていたことも。彫り、刷りの過程を熟練の職人が行うことで、下絵のオリジナリティが薄まり、絵師写楽の正体の謎を深めた様だ。 "写楽現象"に関わった人たち(本書の仮説の様だが)がまたいい。 浮世絵の版元で蔦屋重三郎という人物も男気があって魅力的だし、若かりし春朗(北斎)の素朴さもいい。 前半で生涯が描かれる平賀源内の天才ぶりもまた、興味深かった。 現代編だけでなく、江戸編で生活者の目線で当時を見せてくれるあたりも上手い!と思った。 現代編では主人公の厳しい現実が迫ってくるので読む方もキツイが、江戸編で救われる。 でも何といっても、一見無関係に思える回転ドアの悲劇的な事故と、写楽作品、そして混血の女性教授の共通点には、こう来たか!と唸らされた。緻密なプロットがあったのね。 ただ、あとがきによれば、思い入れが強い分想定以上に頁数が増え、書くはずだった裏ストーリーが一行も書けなかったらしい。 確かに前半は説明的に長々と同じ内容を繰り返し描かれており読み進めるのが少々辛い。後半はスピード感がありサクサクいけた。 裏ストーリーがあるなら続編も読みたい。 あとがきで、以前の浮世絵軽視の風潮や初期の推理(探偵)小説への蔑視を"常識の暴力"と呼ぶ作者。固定観念を嫌い、浮世絵の常識を打ち破った蔦屋に敬意を払う熱い気持ちが伝わってくる。 "写楽現象"の写楽の正体とは。個人的には今までそんなことを考えてみたことも無かった。 でも改めて浮世絵を見比べると確かに写楽の(特に初期)は他と大きく違う。面白いなぁ。 この本を読み終わった今、江戸時代の魅力的な登場人物や、人々の暮らし、歌舞伎や浮世絵、もっと安価に楽しめたはずの落語、色々なものに派生して興味が湧いた。 しばらく江戸がマイブームになりそう。。

    2
    投稿日: 2014.01.18
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    蔦屋重三郎は江戸時代において、浮世絵師たちを世に知らしめたプロデューサーだった。 TSUTAYAの屋号もこれにあやかった部分があるとかないとか。 。 写楽という名前は知っていたし、時代の寵児だったと思い込んでたんですが… 写楽って存在が確認されていないんですね その謎を解くというストーリー展開。誰も正解を持てない(情報が残ってない)中でも、こんなふうに解き明かすのは浪漫を感じました。 ついつい浮世絵特集のムック本などを見ると手を伸ばしてしまうが、写楽がいなかったかもとは書いてないですね。

    0
    投稿日: 2013.11.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    写楽の正体を平賀源内とした説の破綻。オランダ商人の江戸訪問。オランダ商人と写楽の関係に迫る佐藤の研究。学会参加のためにオランダに渡った片桐教授。オランダ側の記録と佐藤の説の照合作業。

    0
    投稿日: 2013.10.23
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    現代編のエレベーター事故と写楽を追及するのと、両立には無理があると思う。作家はもう少し書きたかったのではないか、と思ってしまう。 写楽であろうと結論づけた人物をもっと掘り下げるとか、蔦屋重三郎をもっと掘り下げるとか。 ページ数に制限されずにもっと書いてもらいたい。 それと、千両役者が道端で乞食坊主の首を斬り落とした挿話、これが事実だとしたら、人の思い上がりとは恐ろしいものだとつくづく思う。 歌舞伎役者ではないが、時代劇の役者で、斬り合いのシーンで真剣を使った事件があったはず。作品の世界に生きていると現実がわからなくなるのかしら、全員とは言わないけれど。

    0
    投稿日: 2013.10.19
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    面白かった?と聞かれれば、 「面白かったよ~」と答える。 が、伏線が拾われきってないのが気になる。 これで「完結」と言われると、消化不良を起こすんですよね。 あとがきを読むと、伏線が拾いきれてないのは 作者も自覚しているらしく、 シリーズとして、続くのか?と思わせる一文も。 写楽の謎、としてはこの本で完結しているので、 サイドストーリーとして、別の視点からの本を出すのか、 はたまた違う別の謎を解くつもりなのか…。

    0
    投稿日: 2013.10.08
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    【読了レビュー】謎に包まれた画家、写楽の正体に迫っていくにつれて、これまでの常識を覆す仮説に迫っていく主人公。 描いている内容は素晴らしいと思う。 ただ、作品としての構成・バランスにどうしても違和感を感じてしまって、そこが気になってしまい、今ひとつ入り込めなかった。勿体無い…! という印象。

    0
    投稿日: 2013.09.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界三大肖像画家とも言われる写楽。10ヶ月だけの活動期間、誰のものとも似ていない筆致。彼は何者だったのか・・? 現代と過去を行き来しながら、主人公たちは写楽の謎にせまっていく。 謎が謎を呼ぶ中で、やがて一つの仮説にたどり着く。さすがの大御所、長編でありながらも、興味深い謎の提示とスピード感で、全く飽きさせません。 主人公たちが出した結論も、納得のもの。小説だということを忘れて、史実として認識してしまいそうなほど、多くの謎が収束にむかいます。 ただし、ご本人が後書きでも書かれているように、見切り発車に近い連載ものだったとのことで、中心の謎以外には納得できない所も多数。伏線が回収されないままの描写も多いため、後半は歯がゆさが残ります。そのあたりは、写楽Ⅱでの伏線の回収・もしくは改稿が望まれます。 それにしても、歴史ミステリって何でこんなにもワクワクするのでしょうか!!梅原猛、高田崇史、鯨統一郎、井沢元彦・・・。小説でありながら、こんなにも歴史に肉薄し、謎を紐解いてくれる作家の先生方に感謝。

    0
    投稿日: 2013.09.20
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    写楽の謎を追求していく物語。 主人公が希に見る魅力の無さだったり、ヒロインの設定は無理を感じたり、途中専門的に細かすぎて、付いていくのが辛いが、意欲策だとは思う。 一つの解答と巡り会えてからは、興奮するような展開。江戸時代視点と現代視点が行ったり来たりするのもわくわく度が増し楽しい。評価別れる作品だろうが、写楽好き一転突破の姿勢は芯を感じる。 写楽は知っていたが、こんな謎深い人物とは知らず、もっと知りたいと思う。展覧会やっていないかと探したが、2011年のモノしか検索できず。

    0
    投稿日: 2013.09.12
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    作品は現代編と江戸編で構成される。現代編は元大学講師佐藤貞三が主人公で語られ、江戸編は出版元蔦谷重三郎。この二編が交互に語られ写楽の真相を追究する。 現代編は、佐藤貞三が事故で息子を失い、その後一緒に謎を追究する片桐教授と知りあうところから始まる。そして写楽のあらたな正体を提示していく。 江戸編は、写楽の浮世絵を出版した蔦谷重三郎に語らせている。蔦谷が歌麿を育てたことや、江戸時代の鎖国の様子、徳川政治の様子を描き、写楽の絵に出会って感動した様子が生き生きと描かれている。 江戸時代10か月間だけ表れた写楽という謎の人物について、正体を探求する話だが、真相は誰もわからないところにロマンを感じる。だから新しい説に心が躍らされる。話に引き込まれ一気読みした。 蔦谷重三郎の江戸編のほうが好きで、最後は感動した。 現代編の回転ドア事故とか片桐教授とのことだけで一冊の話が作れそうだし、江戸編の蔦谷重三郎の話だけでまた一冊話ができそうである。それだけ盛りだくさんの作品である。

    0
    投稿日: 2013.09.05
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    当然ながら、完全なフィクションである江戸編は、登場人物たちが生き生きとしていて物語として成立しているのに対し、現代編が全く感情移入できない主人公と単に言語の壁を超える謎解きのために登場しているだけの女性との絡みや、現実の事故を異国と日本の合作というモチーフのためだけに登場させ、物語としての結末もないまま終わるのが全く余分であり、非常に残念に終わってしまう。後書きで作家本人も述べているが、写楽のせいで中途半端で終わってしまっただとか、連載物で見切り発車であったとかの文言も言い訳めいていて、単純なエンターテイメントとして考えるのであれば、お勧めできない。ただし、今まで多く語られながらも決定打の無い謎の作家の一つの回答としては十分に説得力がある。枝葉の部分を除いた、その部分だけでも十二分ではある。

    0
    投稿日: 2013.08.03
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    作者も書き足りなかったというものを読まされても困る。 繰り返される説明を抜いてくれればよかったのに。 実際に起こった事故を入れる理由もわからないまま終わってしまって、 ショックしか残らなかった。 推察は面白かったけど、マイナスのほうが大きかった。

    0
    投稿日: 2013.07.22
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    美男だ?美女だ?そんなもな各芝居、一人か二人よ、本当に面の綺麗な役者はな。 そいで上に行くほどな、醜怪な、欲得どろどろの世界よ。 いかに天才歌麿さんでもよ。自分のそういうお約束ごとへの信仰でよ。

    0
    投稿日: 2013.07.19
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    圧巻でした。さすがミステリーの大御所ですね。卒が無く濃厚でリアリディーのある文章で、何がフィクションなのか全く分かりません。 っていうか、島田さんの書く写楽の正体の方が可能性あるのでは? これ映画にならないかなぁ…

    0
    投稿日: 2013.07.14
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    日本のみならずヨーロッパの人々も魅了し、後の絵画に影響を残した、「浮世絵」。 その代表的な絵師の一人として挙げられる、東洲斎写楽。 ”謎の浮世絵師”と呼ばれる写楽とは、いったい何者であったのか。 その謎に対する新たな答えを、小説の形で提示しているのが、この作品です。 研究者が周囲の支援を受けながら立ち向かっていく「現代編」と、それを検証するような形で描かれる「江戸編」が並行して進む構成で、上下巻900ページ以上に渡って書かれています。 この小説で書かれている「写楽の謎」とは、以下のようなこと。 ・短期間の間に多くの作品を残し、忽然と姿を消してしまったこと ・誰も、「自分が写楽だ!」と名乗り出ていないこと ・デビュー作からすでに、大物絵師以上の特別待遇を受けていること などなど。 これらの謎に対し、これまで多くの研究者が、無名の絵師説、有名人が写楽の名前を語った別人説を唱えているそうです。 この小説では、これまでの有力な説に対して検証し、上記の謎をすべて満たす説はないとした上で、新たな説を提唱しています。 自分自身は、写楽についても浮世絵についても知識がなく、この小説に書かれていることが妥当な内容なのかの判断はつきません。 しかし、この時代の日本と外国との関係、そして日本国内の政治・経済の状況と、この写楽問題とを関連づけたあたりに、大きく興味を惹かれました。 前半に書かれている、現代編の主人公にまつわる事件については、この小説の中に書かなくても良かったのでは、と思うところもありますが、その点を割り引いても、印象に残る作品でした。 「ミステリー小説」として読むのも面白いと思いますが、日本・江戸のこの時代の空気を感じるという意味でも、味わいのある作品でした。

    0
    投稿日: 2013.07.04
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    写楽の事はよく知らなかった。存在自体が未だに確定していないとは。 上下2巻の大作だがそれほどのボリュームと感じなかった。それだけに内容が充実しているということ。非常に素晴らしい。今のところ今年1番の小説。 しかし冒頭の導入部分があまりに衝撃的。人の親として、いや人間としてこれほどのショックはない。なぜこれが写楽に通じるのか全くわからないままに読まされて行く。 そしてその事件を通して主人公が研究している写楽を通じて立ち直って行く。様々な仮説があり、それを検証に旅行に出かけ、しかし最期は思考実験で意外な仮説に行き着く。 大胆!しかし絵をよく見るとなるほど、と思わせる。小説自体に絵は出てこないが、iPadで絵を確認しながら読むと分かりやすかった。 デフォルメされて役者の特徴をよく出した作品。 結末には驚かせられた。それが著者の深い研究に基づいていることがわかる。ある意味論文でもある。 未だ解決されていない歴史を扱ったミステリー形式。最期の著者による解説が深い。お勧めの1冊。

    0
    投稿日: 2013.06.26
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    蔦谷重三郎の子飼の若い衆、春朗のちの北斎、山東京伝、十返舎一九の活躍する江戸編が楽しい、異国人ラスさんもいいね

    0
    投稿日: 2013.06.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    東洲斎写楽の正体に迫る、歴史ミステリー。 写楽の正体について自論、前知識を持た無かったので、 筆者の仮説はとても説得力を感じた。 蔦屋重三郎、平賀源内、歌磨呂、北斎と言った、 江戸時代後期 才人達の交錯に思いを馳せつつ、 写楽が描いた時代の歌舞伎界も追体験出来るところも魅力… しかし、伏線と言うか、話を盛り込み過ぎでtoo much. 現代編の回転扉事件はいらなかったんじゃないのか。

    0
    投稿日: 2013.06.07
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    写楽の正体を追う部分は面白かったし江戸歌舞伎の風景が描写されていて興味深かった。が、小説としてはイマイチ…。 と思っていたらあとがきで作者自身が、「写楽論だけで分量がいっぱいになっちゃって、登場人物のストーリーいろいろ用意してたのに盛り込めなかったよー無念」って言ってた。え、失敗作宣言? でもまあ作者も、写楽の正体に関する自説を論じたかった、それが目的だったみたいなので、まあそれだったらいいんじゃないですかね…。小説だと思って読むと金返せって気分になるが、『写楽の正体』みたいな胡散臭気な新書だったら読み切れなかったかもしれないし…。

    3
    投稿日: 2013.05.22
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    写楽はオランダの通商士が描いたスケッチを元に歌麿が書き写したものと証明していく。 面白いけど現代版の結末がいまいち

    0
    投稿日: 2013.05.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    <下巻あらすじ> 【江戸編Ⅱ】 蔦屋重三郎が写楽の絵に出合う 【現代編Ⅲ】 佐藤は様々な調査を経て、写楽=平賀源内ではなく オランダ人ではないかと推察する 【江戸編Ⅲ】 ラスというオランダ人が写楽の正体だった 【エピローグ】 佐藤は、オランダとインドネシアのハーフでオランダ商館の館長を務めた ウィレム・ラスが写楽の正体だと結論し本を執筆することにした おわり。 【後書き】 著者が本作の執筆過程を語る 【オランダ商館長の江戸参府日記】 著者が本作を書くのに参考にした実際の日記(13P) <オチ> 回転ドア事件は訴訟とか一切進展せず棚あげ 話の発端となった肉筆画も写楽じゃない?みたいな話のまま棚あげ 佐藤が本を書くぞ!ってとこで突然おわり。一切完結していない

    0
    投稿日: 2013.05.17
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    なぜ写楽がいきなりデビューし、名声を残しながらも 存在自体をかき消すようにいなくなったのか。 この謎が氷解し、かつ納得させてくれるアイデアだった。 少々無理で難がありそうな設定だったけれど、おもしろかった。

    0
    投稿日: 2013.05.16
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    写楽の正体かなり追い詰めてます。 この話を読むかぎりはこの説がかなり有力…というよりこれしかない!って思いました。 早く結論に行き着きたい!との思いで読み急ぎました(笑)写楽を突き止める過程は楽しかったです!ものすごい量の資料やら情報なにやらが駆使されていてすごいです。 ただ、作者のあとがきにもありましたが 物語のすべてが収まっているわけではないようなので、前半かなりの範囲でかかれていた主人公の不幸話の行方が不明なとことか教授のこととか、写楽のインドネシアでの最後のつめとか、いろいろ消化不良があるので、続きがはやく発表されるのを期待しています! そして主人公佐藤貞三の名前なんて読むんだろう…

    0
    投稿日: 2013.05.15
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    面白かったのだけれど、同じ説明の繰り返しがくどい。 導入部分の息子の事故が重い上に、必要性があったのかどうかは疑問。 真偽はともかく、視点としては面白いと思うのだが、現代編のキャラクターの魅力に欠ける気はする。 最後の現代編の終わり方はスッキリしない。

    0
    投稿日: 2013.05.13
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     上巻では写楽の通説が一通り紹介された。下巻では作者の独自論が展開されている。  この写楽=○○論は、別の方もしているようだが、アプローチの仕方が全く違う。  作者の方法は、文献学の王道というか、現存する史料を分析して、この結論にたどりついている。 この史料が作者の想像だと、全く物語として成立しないから、下巻の論証はほぼノンフィクションと思っていいと思う。  下巻は一気に読んでしまった。  写楽が、そうだったとはねえ〜。  なるほどねぇ〜。  うぅ〜、正体明かしたい〜。  この本は、小説仕立てではなく、ノンフィクションとして史料の出典を明らかにしながら発表した方が良かったんじゃないだろうか。  特に上巻導入部の無駄が目立つだけに。  NHKでも民放でもいいからテレビ番組にしてくれないかな…  すごく面白いものができるはずだ。  

    0
    投稿日: 2013.05.13
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    今までの島田作品とは、一味違う作風。あとがきにもあったけど少々消化不良的な感じはする。 ただ、続きを期待するならそれもあり。 基本的には、ワクワクして先が気になる古本屋には売らないであろう一冊になった。

    0
    投稿日: 2013.05.12
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    謎の浮世絵師・写楽の正体を追う佐藤貞三は、ある仮説にたどり着く。それは「写楽探し」の常識を根底から覆すものだった…。田沼意次の開放政策と喜多川歌麿の激怒。オランダ人の墓石。東洲斎写楽という号の意味。全ての欠片が揃うとき、世界を、歴史を騙した「天才画家」の真実が白日の下に晒される-。推理と論理によって現実を超越した。空前絶後の小説。写楽、証明終了。

    0
    投稿日: 2013.05.12
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    なるほどなぁ~、そういうことも考えられるのかっ! と思わず周りに話しまわりたくなる結論。 正直全くと言っていいほど浮世絵なんて興味なかったけど これを読んでからテレビで浮世絵の話題などが出ると 思わず見入ってしまうようになった。 面白かった。

    0
    投稿日: 2013.05.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    写楽の正体にせまる歴史もの。 島田さんにしては珍しいなと思い、GWは歴史物を読みたいと思って手に取った作品。 写楽の話は面白かった。でも、作品としては微妙。連載ものということもあるのかもしれないが、張った伏線が回収仕切れていない。 前半の暗い暗い設定がまったく利いてこない。なんとも、後味の悪い結末だった。 このことはあとがきにも書いてあるので、後日譚というか、加筆修正した完全版が世に出ることを期待してやまない。

    0
    投稿日: 2013.05.06
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    ある程度以上気に入った本しか本棚に登録しない主義なので、登録自体結構迷いましたが、単純につまらなかった訳でもなく、それなりに気持ちに残っているので登録することに。 核である「写楽の正体」の推理自体は(学問的にどうなのかはともかく)面白く、蔦屋重三郎をはじめとする江戸篇の登場人物も魅力的でした。 もともと蔦重が好きなのもありますが、ここだけでも評価に値すると思います。 ただ、小説としては、自分のことしか考えていない主人公に全く魅力がなく、主人公を助ける女性教授も都合のいいキャラクターでしかないので、現代編で感情移入できる人物が誰もいないのがつらかったし、あからさまに実在の事件を思わせる導入部(遺族や関係者は話題になったことで傷ついたかも)に必然性が感じられないことにも苛立ちました。 連載がおわったあと、単行本化に当たって、あるいは文庫化に当たって、大幅に書き直す必要があったんじゃないかと思うんですが…。 蔦重が(もともと)好きなので、彼に免じて★2つ半ってところでしょうか。

    2
    投稿日: 2013.05.05
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    写楽の謎は面白かった。始めて聞いた説だったし、説得力もあった。 ただ惜しむらくは、物語の起因になった事件、事故が全く解決していないこと。著者も後書きで触れているが、プロの物書きとして何年もやってきた人が、これでいいのかと思わずにいられ無い。中途半端で気持ちが悪い。 再読はしないなと思う。

    0
    投稿日: 2013.04.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

     上巻は「主人公をそこまで追い詰めなくても・・・」と、読むのが辛くなったけど、下巻で写楽の謎に迫ってくるあたりからイイ感じでした。版元の情熱に感動。  主人公の身におきる悲劇は必要だったのかなぁ・・・と思ってたら、後書きで「写楽の謎以外は書ききれないストーリーがあふれてしまった」とのことでした。

    0
    投稿日: 2013.04.22
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    面白かった。写楽、しきうつし楽しみ。江戸の粋を見た気分です。鎖国という閉鎖的な環境に咲いた一輪の江戸っ子の意地。頭が下がる。命をかけてでも何かを遺す。教えられた気がします。

    1
    投稿日: 2013.04.22
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    写楽は一体誰なのか? 回収されない伏線は残るものの 島田荘司の説に納得させられる満足な下巻だった。 重三郎がカッコイイ。

    0
    投稿日: 2013.04.22
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    凄い、の一言。写楽の謎以外は中途半端なところもありますが、それは島田さんご自身が後書きで書いていらっしゃるとおり、是非続編で補っていただきたいです。でも、写楽の謎の解明はそれを差し引いても余りあるほど面白かったので、★5つで。

    0
    投稿日: 2013.04.19
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    事実は小説より奇なりじゃないけど200年たってもいまだ写楽の正体はわからない。 それに対し島田さんなりの考えを多数の文献でフォローしつつ小説に投影させ写楽の正体にせまる。 写楽の人物像にはびっくりした。 本当におもしろかった。

    0
    投稿日: 2013.04.18
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    自分は「写楽」に対しての基礎知識がなく、今一歩入り込めなかった・・・しかし、「写楽はだれか?」といった謎解きの要素があり、ミステリーとして楽しめました。

    0
    投稿日: 2013.04.17
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    謎の天才絵師写楽の実像に迫る後編。 あまり浮世絵には詳しくないからか、写楽は実は○○だったて仮説が新鮮でした。 上巻より下巻の方が物語にのめり込めた。

    0
    投稿日: 2013.04.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

     ミステリージャンに分類されているが、いわゆる、殺人事件が発生しそれを解決するといったことは、描かれていない。描かれているストーリーは、美術史史上最大の「謎」と言われている'写楽’の正体をストーリー仕立てで解説していくというものだった。  写楽の正体を巡り、物語仕立てで解説をしていき、そうであろうと想像する江戸時代の話を挿入するなど、面白くしようと描いており、また、実際それが面白かった。写楽の正体も、いままでになかった新説としての外国人というのも面白かった。  さらに、写楽=外国人とした後に、江戸時代のシーンに移り、写楽と蔦屋たちの出逢い・ふれあいのシーンはとっても心温まるものがあり、とっても良かった。  ただ、ストーリーにもっと厚みを持たせてもらいたかったし、もう少しわかりやすくしてほしかった。一読では、写楽論争をしらない私のような素人では理解できないように思う。また、物語冒頭の主人公の息子が事故で死んでしまうシーンや主人公と妻・義父との抗争など、ただただ物語を暗くしていくだけで、いらなくないか、と思ってしまった。もう少し、このような描写があれば良かった。

    0
    投稿日: 2013.04.02
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    写楽とは誰なのか。その謎を追って、作者らしい奇想と史実を丹念に調査した結果得られた推理と論理が見事に合致して、意外な人物が浮かび出た。 美術には全くの素人である私にとって、最大の謎は、写楽の関係者が何故口を閉ざすのかということである。島田氏の推理には、この点で大いに納得する。

    0
    投稿日: 2013.04.01
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    凄い話だった。スケールが大きく興奮した。歴史物でもあり、ミステリーでもあり、謎解きの要素もあり。満足。

    1
    投稿日: 2013.03.23
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    歴史検証ものとしても楽しめますが、純粋に写楽とは誰だったのかというフーダニットでもある。久々に、流石島田荘司!と拳を握りました。 読み出したら止まらない止まらない。一気読み。きっちりとデータを並べ、推理の過程を書き込んでくれるので、読み手のこちらもさまざま思考を重ねながら読むことが出来る。その分、上巻が冗長過ぎた気もするんですがー…著者の思考の過程を読んでいるのだなと思えばそれもまた楽しくもあり。 回収できていないエピソードがあり、その点がもやもやしますが差し引いても、この面白さ。流石です。

    2
    投稿日: 2013.03.22
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    面白かった! 確かに、回収されない伏線や説明されない疑問など、物語としての瑕疵はあるものの、ミステリー界の大御所島田荘司が今こんなに熱のこもった作品を世に出したことに感動。 もちろん「写楽」の謎に対する解答は鮮やか。島田荘司ならではの答えだと思うし、説得力も抜群。これが正解!と思える内容だった。個人的には、解答に至る前の課題設定のしかたにも、というかそこにこそ瞠目。どんな仕事もそこがキモなんだよなぁ…などと、つい我が身を反省してしまった。

    2
    投稿日: 2013.03.15
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    長きに渡る謎解きも大円団。意外なあの人が写楽の正体であることがわかる。伏線の回収や人物描写が謎解きのワクワク感を更に増幅させる。

    0
    投稿日: 2013.03.15
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    題名で衝動買いして上・下巻、一気に読んでしまいました^^; 以前から自分も「写楽」とは?と思っていたので、凄く「現実感」をもって読めました^_^ あとはネタバレになってしまうので秘密(*^◯^*)

    0
    投稿日: 2013.02.25
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    未だに謎の多い浮世絵師、写楽の正体を突き止める、という小説でした。 現代編の合間に、江戸編が挟まれ、現代編での推理が進んだ辺りまで、過去の出来事も描かれます。 メインに関しては、とても面白かったのですが、現代編の主人公の佐藤が、私にとっては、何だか・・・。 妻の事を、何でも人のせいにすると批判するくせに、自分も全く同じ事をしているし。 後、これは、多くの男性作家の作品で度々見られるのですが、どん底でロマンスを求めるパターンが、私は嫌いなので、これに関しても、何だか・・・という感じでした。 全体的に、流石島田さん!とは思うんですけれどもね。

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    投稿日: 2013.02.22
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    島田荘司の写楽説。なるほどなーと思いました。 他の説はこの本に書いてあることしか知らないので信憑性は判断できませんが、納得はさせられました。 そこまで偶然が重なるならそれが事実だと思えてきますねw もちろんところどころ無理もありますけど、他の説もその点は同じなので。 小説としては本人が巻末で言ってるように分量のわりに物足りない感じもしますが、これは説明部分が長いのと、連載ものだったためにその都度同じ説明が含まれてるためでなので、続編に期待したいです。 とは言え、テーマがテーマだけにすごく面白かったです。 あとタイトルかっこいいですよねw ノンフィクションとしては5点、小説としては3点といった感じです。

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    投稿日: 2013.02.17
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    歴代ミステリーとしては最高に楽しい作品で作者の労力に感服しつつ楽しく読ましていただきました。これは実話だと思います。ぜひ次作にてそれを証明してほしいと思います。

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    投稿日: 2013.02.14
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    写楽は誰なのか? というのは、結構いろんなかたが書いてますね。高橋克彦はもともと浮世絵の謎でデビューしてるし、松本清張なんかも書いてる。 しかし、これはある意味目から鱗のユニークな説。なるほど、そういう解釈ですか。ちなみに当時のドイツ人の美術評論家はこの時代の3大肖像画家にレンブラントとともに写楽をあげているそうです。 わくわくエキサイティングな説の展開、なかなか良いのですが 小説としては 明白な瑕疵がありますね、おしいです。

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    投稿日: 2013.02.14
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    島田荘司の『写楽 閉じた国の幻』上下 (新潮文庫)を一気に読み上げました。 浮世絵、錦絵などについて、ほとんど知識のない私でも、 丁寧に説明されていてとてもわかりやすく面白かった~ さて、写楽こと東洲斎写楽は寛政年間、 わずか10か月の間に145点余りもの浮世絵を出した後、 忽然とその世界から姿を消した謎の浮世絵師です。 目の皺や鷲鼻、受け口などを誇張し、その役者が持つ個性を大胆かつ巧み、 ダイナミックに描いた絵はそれまでになかったユニークな作風を特徴としています。 ドイツの美術研究家ユリウス・クルトが、 写楽はレンブラントやベラスケスと並ぶ「世界三大肖像画家」と喝破したそうです。 写楽は誰か? この謎に多くの人が挑戦しました。 浮世絵師の歌川豊国、葛飾北斎、喜多川歌麿、司馬江漢、円山応挙、山東京伝、 戯作者の十返舎一九などなど多くの人物の名が挙げられています。 現在では阿波徳島藩主蜂須賀家お抱えの能役者、 斎藤十郎兵衛説が有力となっているそうです。 でも、まだまだ解明されていない点が多くあるようです。 この謎の浮世絵師に挑戦したのが、この島田荘司のこの『写楽 閉じた国の幻』。 そして、彼は「こした絵は初めて歌舞伎に接した人でないと描けないのではないか」 という観点から話をすすめていきます。 回転ドア事故で息子を失った主人公の佐藤貞三に、出版社の常世田、 それに謎の美人、片桐東大教授の3人が中心になって 様々な資料を漁っていくうちとんでもない姿が浮かび上がってくるー それは、これまで誰も考えて事ない、夢想だにしなかった人物だった。 私はこうした発想が大好きです。この奇想天外な結末に拍手おくりたい。 さて、歴史上の人物については、 古くなればなるほどそのデータが少なく、言い伝えの部分が多くなる。 従って、その人物像がぼやけてくるのは当然の成り行きです。 それを後世の人の都合にいいように脚色された部分が 多くなるのも致し方ないでしょう。 例えば、聖徳太子にしてもその名前は後世の人がつけたものだし、 源義経にしてもまだまだ不明な所が多い。 弁慶にいたっては、歌舞伎で有名な安宅の関でのやり取りは 『義経記』にあるだけです。 また外国の例をとっても、英国のリチャード3世は悪評が高く、 シェイクスピアのそれでは悪の権化のような書き方がされているそうです。 これに風穴を開けたのが、かの女流推理小説家、ジョセフィン・テイです。 その著、『時の娘』において、リチャード3世って 世間で言うほどワルではなかったのではないかと疑問を投げかけ、 その小説内で見事に証明してみせます。 この本はほんとうに面白かった。 ここに歴史ミステリーとしての嚆矢的名作が誕生しました。 この作品から、高木彬光など多くの作家に引き継がれていくことになります。 一般に、歴史の記述って勝者側の記録が主で、 敗者の記述がほとんど無視されるか、廃棄されることが多いのではないでしょうか。 このへんに歴史のアヤがあるように思います。 だから多くの研究者や作家が過去の事実関係を探る旅に出るのではないかと思います。 歴史ミステリーの面白味もここから生まれてくるのでしょうね。 さて、この作品は実は未完成なのです。 回転ドア事故の結末は、離婚話は?、本の出版は? といった問題がが未解決のままなのです。 果たして、作家自身もあとがきで続編を予告しておられます。 楽しみなことです。 島田荘司は地元、広島・福山市出身の作家でもあります。 これから彼の他の作品を少しずつ読んでみようかなと思っております。

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    投稿日: 2013.02.12
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    写楽の正体に関しては、一定の解決は見たものの、回収できていない伏線も多い気がした。と、思ったらあとがきで作者もそう言っていた。 この手の内容にしては、読みやすく、興味もそそられた。

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    投稿日: 2013.02.03