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思い出トランプ
思い出トランプ
向田邦子/新潮社
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総合評価

270件)
3.9
77
81
66
15
1
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    昭和の物語りだが、人間の根底に根付く物事はいつの時代も同じ。 清らかに生きたくても、墓場まで持っていかなくてはならない事情は誰しもが抱えて、平然と生きている。 騙してる訳では無い、隠している訳では無い... 今の私、あなた、家庭、家族を保つ為にはそうする事が一番であるのだ。

    0
    投稿日: 2026.01.11
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    お互いに何かしら文句を言いながらも夫婦でい続ける、昭和の夫婦間、家族間。 特に女性については容姿に関する描写が多い。 だらだら坂なんかは太った女性(トミ子)を白いピカピカに光った大きな鏡餅と表現。ある時、なぜ濃いサングラスをかけているのかと思ったら、二重まぶたの整形をしており、「どうして、俺に黙ってそういう真似をしたんだ」と小突かれて泣き出す。 その後、表情も増えて自信がついてきたようで、きっとこれから他の箇所も整形して痩せていって、前みたいな安らぎのある女の子ではなくなるんだろう〜と嘆く。 男性の気持ちもわかる。無理して自分を変えることはないし、それはそれで良さがあるということ。しかしトミ子もはっきり言われずとも陰で鏡餅だの馬鹿にされているのもわかるものである。 大根の月の、 戻ろうか、どうしようか。一番大切なものも。一番おぞましいものもあるあの場所である。p148 というのが本作全体のことで言える。

    24
    投稿日: 2026.01.07
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    結構ドライに見える人間関係がさらっと描かれているけれど、肯定も否定もされてないのがいい 「人間なんてそんなもの」と突き放すだけじゃなく、どこか温かい目線があって、読んでいるうちに自分の弱さもまあいいか、と思えてくる 「家族は仲良くすべき」みたいな理想に縛られてしまったときに読むと、心がふっと軽くなる一冊です

    0
    投稿日: 2026.01.04
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    日常の中に潜むスリリングな情景を心理描写たっぷりに描く短編集。「花の名前」は男の目盛りは大きくなる、という表現が印象に残る。25年の夫婦生活で少しづつ変わるお互いの関係性に、つい自分の場合は、と考えてしまう。 「かわうそ」の不安げな尾を引く終わり方も想像力をかき立てられる。庭に薄い墨がかかってきた、という表現を想像して怖気を感じる。 この作品に関わらず、上梓されてからやがて50年経過するであろう小説は至る所に古さを感じるが(特に登場人物達の名前)タイム・スリップした感があって殊更楽しく読んでしまう。

    5
    投稿日: 2026.01.04
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    13作品入った短編集。特に面白かったのは、かわうそ、犬小屋、大根の月、花の名前、ダウト。 もっと長く続きを読みたかった。

    0
    投稿日: 2026.01.01
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    直木賞受賞作ってことで入手したんだったか、どこかの書評で気になったんだったか、そのあたり。各方面で言及されることの多い作家さんで、ブックガイドでも色んな作品が取り上げられているのをちょいちょい見るんだけど、がっつり読むのは多分初めて。ちょっと不穏な気配が漂う日常についての短編集。なるほど、こういう感じでしたか。自分的には、是非とも他作品をどんどん読みたい、っていう風ではなかったかな。

    0
    投稿日: 2025.10.30
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    向田邦子といえば、ワタシにとっては、やっぱり「寺内貫太郎一家」 幸か不幸か、リアルタイムで観てる。水曜劇場。 まあ、懐かしい。面白かったね。 ジュリー〜〜! 樹木希林、もとい当時は悠木千帆さん。これが受けた受けた。 あと、なぜか横尾(忠則)さんなんかも出てる。 久世(光彦)さんと組んで、思い切ったことをやられたのでしょうね。 貫太郎一家のあとは、ほとんど観ていない。 名作の誉高い「阿修羅のごとく」とかも拝見していない。 でも、向田さんの飛行機事故のニュースはよく覚えている。 その向田邦子が直木賞を受賞したのが、この思い出トランプ ((作品紹介)) 日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録 びっくり。思い出トランプなんて題名だから、もうちっとホンワカムードもある短篇集かと思ってた。 全く、あにはからんや、違ってた。 全編シニカルな筆致。登場人物たちは、皆こころの空漠を抱えたひとたちばかり。 そのひとたちが、各々苦い思い出を回想していく... なんとも、現在の自分にも、登場人物たちの心象が突き刺さる。 冒頭の短篇「かわうそ」 脳卒中で倒れ、身体の自由が効かない中年の男。その男が、九つ年下の妻厚子への想いを綴っている。 〜「なんじゃ」 わざと時代劇のことば使いで、ひょいとおどけて振り向いた厚子を見て、宅次は、あ、と声を立てそうになった。  なにかに似ていると思ったのは、かわうそだった。〜 これ、なんじゃ、なんておどけて返してくれる女性なんか、ワタシは可愛いらしいと思う。 が、それを"かわうそ"と形容するとは.... この男にしかわからない、妻に対する複雑な、愛憎が内まぜになった感情。そのこころの吐露が、このかわうそに表れているんだろうな。 いきなり、この一篇で、読者のこころ鷲掴み。 あとは、もう読み進めること、あっという間。 どれも心に残る短篇ばかり。 向田さんの描写が、また結構辛辣 「三枚肉」における"安いお雛様"とか、 「男眉」の"男眉に生まれついた人間は、(中略)女は亭主運のよくない相"とか。。。 また、書かれている言い回しで、もう私達にはわからないものが多い。 "お前は曲(きょく)がない" "時分どき" "御座(おざ)に出せない" "節約(しまつ)なたちで" "葬壇の前で夜伽(よとぎ)をしながら" etc とにかく、小説の面白味が満載。 キョンキョンの帯が欲しい、という邪な気持ちから買い求めた、思い出トランプ。 結果、向田さんの小説の虜になった。 他の作品も読みたくなった。

    0
    投稿日: 2025.10.15
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    向田邦子サン祭りの2冊目。 うーーーん。短編がやっぱり苦手なせいなのか 私には読みにくいと言うか、ちょっと口では 表せない薄気味悪さ(良い意味で。だと思う) を感じてしまった. 向田さんの文章って、日常のヒトコマなんだけど 誰も気づかないような視点を捉えて 向田節と言うか掘り下げるのが巧みだと 思っているのだけど、なんだろう。 不気味さが感じられたり、心の奥底の本心を ありありと描かれ過ぎてて 『あ、そこまで言っちゃう?』的な。 まだまだ向田作品を理解するには 読みまくるしかない気がします。

    29
    投稿日: 2025.10.08
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    短編小説枠として読んだことがなかったのでチョイス。日常に潜む知り得ない世界や営みにこれほどのものがあるのかと、なんだかリアルでありつつも怖さやブラックさとはまた違う世界観のある一冊だった。

    1
    投稿日: 2025.10.07
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    祖母の家で流れるラジオの様な本 厚かましいが憎めない。ずるそうだが目の離せない愛嬌がある。 私という存在を保つためにしている努力を思い起こさせる。己を認識し、己を保つという行為は死ぬまで習得できないと思う。生まれ持ち合わせた自己認識は、意外と他人が見た私とのズレが大きく、寒暖差で身震いする。認識の着地点を探すのは、品薄の咳止めを求め何件も薬局を訪れるかのようだ。 目に見えて少ない、多いというものは、疎外感を持つ。その要因に自分が関わるとなると目に入れたくなくなる。どんな事故であれど、失われたものや増えたものは形として残り幾度となく同じ温度で私の心を蝕む。 こんなにも言葉が固くなるほど、背骨が整った文章を受け入れようとしているのか。短編集にあるまじき時をかけ、咀嚼していた。長年かけて積もった埃と磨かれたタイルの様なマッチを大きめの耳で嗜んでいた。

    2
    投稿日: 2025.09.24
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    読んでるとこの人は家族とか夫婦とかの関係を信用してないんだなあと思う半面、どこか自分にも当てはまる感情というのもあって納得もさせられる。文章の上手さもあるがどの話もとにかく構成と最後のまとめかたが上手い。

    28
    投稿日: 2025.09.22
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    Audibleにて聴書。 朗読の意地の悪い感じの読み方が向田邦子の原作と合っていてとてもよかった。Audibleを聞いた中では一番よい。

    3
    投稿日: 2025.08.27
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    以前から読みたいと思っていた著者で、たまたま古本市で出会った。 が、私には訳がわからないエンディングの短編が続き、何だか心がザワザワした・・

    0
    投稿日: 2025.08.14
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    初、向田邦子さん こんなにもグッと没入させてくれる文章は中々ない様な気がする。とにかく凄みえぐみ。 共感できる狂気さ、という独特な世界観 犬小屋という話が特に好き。

    0
    投稿日: 2025.08.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私には難しいと言うか、内容が全く頭に入ってこなかった。辛い話の短編集だなって個人的に思いました。 でも今の時代にはない雰囲気の作品でどことなく懐かしさを感じました。

    0
    投稿日: 2025.07.13
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    短編集。 しょっぱなの『かわうそ』からはちゃめちゃに面白かった。 昭和の空気たっぷりだけど、人の気持ちの機微はたいして今も昔も変わらず読みやすい。 中年男性が主人公なことが多いのも良かった。 あ、でも女性が主人公のものも良かった。 『大根の月』 『犬小屋』 『花の名前』

    1
    投稿日: 2025.06.03
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    ありふれた日常の中に現れる人間の「闇」の部分を描いた短編が13枚、シャッフルされて入っている。 向田邦子の文章は一行が短く簡潔。また、一見余分に思える文章が多々あるが、それらが静謐さに深みを与えていて非常に面白い。 何を食べたらこんな視点から人間関係を捉えられるようになるのか?読めば読むほど興味が湧くばかり。

    2
    投稿日: 2025.04.27
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    短編でありながら、この心の描写や時の流れの描き方も凄いなっと思いました。 他の作家さんだったら、この終わり方はなんかモヤモヤする、ってものも向田さんのは短編であってもどのようにでも読み手に想像させてくれるという安心感みたいなものを感じて、読了後も気持ちがいいですね。 不運な事故で亡くなられたことは知っていますが、もっともっといろんな作品を読んでみたかったなと思わせる素晴らしい作家さんだと思います。 文庫本の発行日が昭和58年で、令和5年5月時点で101刷ですから。

    11
    投稿日: 2025.04.19
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    細かい情景や心情の、描写と表現が美しい。 人の光が当たる部分を描くのは簡単そうに思えるが、人の影の部分を簡素でいて鮮やかに描く事が出来るのは、やはり向田邦子しかいないのではないかと思う。

    4
    投稿日: 2025.04.16
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    向田邦子さんの本は、読む前は古いから入り込めるか心配だったけど、やっぱりそんな心配は無用だった。 11篇が収められていて短くて読みやすい 〈月旦〉 色々な人物の性格や仕事などをあれこれ論評すること

    2
    投稿日: 2025.04.08
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    ひと昔ふた昔前の空気を感じる作品だなと思い、巻末で確認したら昭和58年発行の本だと知り納得した。 ただどの時代の話であろうと、人の心の闇、他人の目には見えづらい影の部分、最も人間らしいドロドロとしたものが存在することには変わりはない。 そんな普段は心の底深くに沈んで目にする事のない、どす黒い澱のようなものをまざまざと見せつけられるので、読後感は決してよくない。卵の殻の混じったオムレツを食べたような不快感を覚えた。 しかし、裏側からみた人間像が時として、普段の目にする表側よりも何倍も鮮やかにはっきりとその人間を浮き上がらせる。

    0
    投稿日: 2025.04.01
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    多分ずっと以前、10代の頃に読んだ気がする。その時は特に何も思うことはなかったんだと思う。自分が歳を重ねて、いろんな人を見ていろんな経験をして、変わったんだなと読みながら実感した。 それにしてもわかりやすく美しい文章。登場人物の暗さや嫌らしさを悪いモノにはしてしまわない。こういうことも若いときには考えなかったな。

    3
    投稿日: 2025.02.11
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    向田邦子さんの作品は初めて。 時代のせいか、昭和の香りと表現力が現代にない懐かしさとハラスメントでは?と感じる場面もちらほら。 短編それぞれが日常の夫婦間における些細な事件に笑えたりゾッとしたりホッとしたり。 目まぐるしい人間らしさと狡賢さ腹黒さがこれでもかと凝縮された短編でした。

    47
    投稿日: 2025.01.07
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    いわば向田さんにしか撮影できない独自のフレームに収められた家族写真を眺めた気分。一見普通の家族の裏に、ゆっくり静かに流れ込む暗の部分を、決して大袈裟ではなく独特の比喩表現で描く天才だとおもう。エッセイからも分かるが日常生活で見たり感じたりする視点が違う方だったんだろうなと。世界観に浸りたい短編集だった。

    3
    投稿日: 2024.12.15
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    以前から名前は知っていたが初めて読む作家さん。昭和の世界観ですが、落ち着いた、大人の短編集でした。昔の方達はいい文章を描きます。

    4
    投稿日: 2024.11.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編集、どれもはっきりした結末はない。 他の方のレビュー通り、とてつもない昭和感、こんな時代もあったな…今はハラスメントを恐れるあまり何も口に出せなくなってることを感じた。 どれも展開が読めず最初のかわうそ、ユーモアがありかわいい妻は、脳卒中で不自由になってきた夫の知らないところで何を企んでいるのか、そんなことを考え中、妻が外から戻り同時に 『写真器のシャッターが下りるように庭が急に闇になった』これを51歳で亡くなるまでの間に執筆したとは驚く。 りんごの皮の入場券の話、全く分からず調べた。

    1
    投稿日: 2024.11.01
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    15ページほどの短編の中にここまで夫婦関係の微妙な闇が描き出せるものなのかと感心させられた。男の愚かさ、女の狡賢さ…みんな腹にイチモツを持っているものなのだ。 どの作品も秀逸。人間の奥底に秘めた闇をチラ見せしてくれる。自分の中にもあるような、わかる気がして、次の話はどんな人が出てくるんだろうかと読み進める手が止まらなかった。 昭和の時代を感じさせる素晴らしい短編集。向田邦子さんが長く生きてくださったら、もっとたくさんの素晴らしい作品に出会えたのに…と残念でならない。

    30
    投稿日: 2024.10.13
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    あなたは、ある女性のことをこんな風に紹介されたとしたらどう思うでしょうか?  『ポパイの恋人で手足が針金細工のようにひょろひょろ長いオリーブ・オイルという女の子がいるが、あれを二廻り小型にしたようであった』。 『オリーブ・オイル』?、『ポパイ』?カタカナで綴られた人の名前のような単語が二つ飛び出しました。このレビューを読んでくださっている方の年齢はマチマチです。『ポパイ』は『ポパイ』でしょう、という方から『ポパイ』って誰?と首をかしげる方もいらっしゃるかもしれません。 『ポパイ』とは米国の漫画家エルジー・クリスラー・シーガーが生み出した漫画のキャラクターであり、1960〜70年代にテレビアニメとして人気を博しました。ほうれん草パワーの下に大活躍をする『ポパイ』の物語。とは言え、上記したような説明が今の世でなされることはないと思います。 さてここに、『ポパイ』、『あけ方テレビのザアザアいう音』、そして『紙袋を抱えて国電に乗り込んだ』というような言葉で彩られた1980年の世に生み出された物語があります。直木賞受賞作を含むこの作品。そんな物語の中に人のさまざまな思いを見るこの作品。そしてそれは、累計200万部を売り上げた向田邦子さんの代表作な物語です。 『マンションなんか建てたら、おれは働かないよ』と『いつになく尖った声で』妻に言い返したのは夫の宅次。『二百坪ばかりの庭にマンションを建てる建てないで、夫婦は意見がわかれていた』という中に『いつもは二言三言で引き下がる』妻の厚子は『この日は妙にしつこ』く食い下がります。その時、宅次の『指先に挟んだ煙草が落ち』ました。『風があるのかな』と訊く宅次に『風なんかありませんよ』と『九つ年下の厚子』は返します。『子供のいないせいもあるのだろう。年に似合わぬいたずらっぽいしぐさをすることがある』と厚子を見る宅次は、一方で『中年。手足のしびれ感。何という薬の広告だったか、こんな文句があったと思いながら』『煙草を拾』います。『手袋をはめたまま物を摑むような厚ぼったい感じがすこし気になった』と思う宅次は、『あとから考えれば、これが最初の前触れだった』と振り返ります。そして、『この何日あとだったか、仕事中不意に目の前にいる次長の名前が思い出せなくな』り、『その日だったか次の日か、つきあいで酒を飲み、送りのタクシーで帰ったとき、車から降りたとたんに』『地面に坐り込んでしま』います。『運転手に助け起こされてすぐに直った』ものの、『あれも前兆だった』と振り返る宅次。それから一週間後、『朝刊を取りにゆき、茶の間へもどったところで、障子の桟につかまりながら、わからなくなった』宅次。それは、『脳卒中の発作』でした。そして、『倒れてからひと月になるが』『頭の中』、『ちょうど首のうしろあたりで、じじ、じじ、と』『地虫が鳴いている』という日々を送る宅次。『意識が薄れたのは、ほんの一時間ほどだったが、それでも右半身に軽い麻痺が残』りました。『杖にすがればどうにか歩けるが、右手はまだ箸が覚束な』いという宅次。そんな中、『宅次が倒れてから』『よく鼻唄を歌うようになった』という厚子は、『宅次が会社を休職して、寝たり起きたりになると』『前にも増して、よく体を動か』すようになります。ある日、『玄関に人の来た気配がする。車のセールスマンらしい』と耳をすます宅次。『主人が倒れたので車どころじゃないのよ、と言うかなと』思うも『ごめんなさいね。うちの主人、車のほうなの』と『歌うような厚子の声』を聞いた宅次は、『そうだ。厚子はいつもこのやりかただった』と思います。『化粧品のセールスだと、主人は化粧品関係になったし、百科事典がくると出版関係になった』と厚子のことを思う宅次は、『新婚の頃、毛布を売りにきた押し売りを、「うちの主人、繊維関係なのよ」』と『歌うような口振りで追い払い、奥にいた宅次を振り返って、目玉だけで笑ってみせた』ことを思い出します。『面白い女と一緒になった、一生退屈しないだろうと宅次は思』いますが、『その通り』でした。そんな時、『顔の幅だけ襖があいて、厚子が顔を出し』ます。『二十年前と同じ笑い顔だった』と厚子のことを見る宅次。そんな宅次と厚子のそれからの暮らしが描かれていきます…という最初の短編〈かわうそ〉。宅次と厚子という夫婦の心情を少ない言葉の中に巧みに浮かび上がらせる好編でした。 “日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編”と内容紹介にうたわれるこの作品。収録された〈花の名前〉、〈かわうそ〉、〈犬小屋〉が1980年の第83回直木賞を受賞している向田邦子さんの代表作です。その受賞は元々「小説新潮」に連載が継続していた中だったようです。そんな背景事情もあり、〈解説〉の水上勉さんはこんなことを書かれています。  “連作短編のようだから、完結をみてからでもと(直木賞の)授賞を見送ろうとする委員もあったにかかわらず、山口瞳、阿川弘之両氏と私の三人が強力にねばった日のことがわすれられない” 向田さんは、その年の翌年8月22日に取材旅行中の台湾で航空機墜落事故によりお亡くなりになられていらっしゃいます。”人生無常の思いが、いっそうつよくな”ったとおっしゃる水上さん。人の世というもののはかなさを感じもします。 さて、この作品に収録された13編は、「小説新潮」五十五年二月号から五十六年二月号にかけて連載されていたものです。私は女性作家さんの小説を全て読むことを目標に読書を続けていますが、今まで読んだいちばん過去の現代小説は1981年発表の氷室冴子さん「恋する女たち」です。この作品はそれとほぼ同年代の作品となり、今から実に40年以上も前の作品ということになります。オギャーと生まれた赤ちゃんが40歳を超える年齢になった期間と同じわけですから、その表現には時代感が自然と浮かび上がってきます。まずは、この点を抜き出してみましょう。  『宅次は停年になってからでいいじゃないかと言っていた。停年にはまだ三年あった』。 冒頭の短編〈かわうそ〉に登場する一文ですが、『停年』という二文字に違和感を覚えます。”定年”の間違いでは?と思いましたが、戦前には『停年』、”定年”のいずれの表記も普通に使われていたのが、1954年の法令用語統一を受けて”定年”が主流になっていったという歴史があるようです。ただ、向田さんがこの作品を執筆されたのはそれから四半世紀先の時代のことです。何かこだわりをお持ちだったのでしょうか?  『算盤が出来るのと字が上手なので面接まで残ったのだが、結果は一番先に落されたのがトミ子だった』。 〈だらだら坂〉に登場する一節ですが、採用において『算盤』と『字が上手』という二点で『面接まで残』れるという表現が違和感なく使われるところに時代を感じます。このあと、それは『パソコン』になり、『語学力』になり、と変化していったのだと思いますが、こういったところに時代が色濃く見えてくるように思います。  『この日は歩くことにして、通りがかりのゴミ箱にでも、と軽く考えて、うちを出たのが間違いだった。第一、ゴミ箱というのがもう世の中から姿を消しているのである』。 〈酸っぱい家族〉から抜き出してみましたが、個人的にいちばん引っかかりを感じた箇所かもしれません。『ゴミ箱というのがもう世の中から姿を消している』と当たり前に記された一文。昨今、”テロ防止”などの理由をこじつけて街中からあっという間に『ゴミ箱』がなくなりました。結局は、コスト削減という本音を隠す日本人らしい対応の典型だと思いますが、ここ数年以前は街中に『ゴミ箱』というものは普通にあったと思います。1980年という時代にこの表現が登場すること自体に違和感を感じます。それともこれ以前の日本は街中に『ゴミ箱』がそこかしこに置かれていた時代があったのでしょうか?どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら是非教えてください!お待ちしております m(_ _)m また、この作品には直木賞を受賞した三つの短編が含まれているわけですが、その一編〈かわうそ〉に素敵な表現が登場します。この表現だけが受賞理由ではもちろんないと思いますが、文章としての美しさを感じさせるものです。こちらも抜き出しておきます。  『暦をめくるように、季節で貌を変える庭木や下草、ひっそりと立つ小さな五輪の石塔が、薄墨に溶け夜の闇に消えてゆくのを見ていると、一時間半の通勤も苦に思えなかった。文書課長という、出世コースからはずれた椅子も腹が立たなかった。おれの本当の椅子は、この縁側だという気がしていた』。 『植木道楽だった父親の遺した』『庭』を大切に思う宅次。『勤めが終わると真直ぐうちへ帰り、縁側に坐って一服やりながら庭を眺めるのが毎日のきまりになっていた』という宅次の心持ちが上手く表現されていると思います。物語は、そんな『庭』に『マンションを建てる建てないで』意見のわかれる夫婦の暮らしを描いていきますが、この表現の奥深さを感じる中には『建てない』派の宅次の応援もしたくなってきます。この作品の中でいちばん気に入った箇所です。 では、13の短編をもう少し詳しく見てみましょう。3つの短編について触れてみたいと思います。  ・〈三枚肉〉: 『問題は披露宴の会場へ入るときだな』と『会場の入口で花嫁に挨拶するとき、こいつがピクピクしなければいいのだ』と『鏡にうつる自分の顔』を見て『左頬を押』さえるのは半沢。『内心の動揺を覚られまいと振舞うとき』『左頬は主人を裏切ってピクピクと痙攣する。幹子がそれを見逃すはずはない』と思う半沢は『五年間半沢の秘書だった』『花嫁の大町波津子』のことを振り返ります。『取り立てて気が利く』わけではないものの『仕事は正確なほう』という波津子が『目立って仕事を間違えるようにな』ります。『退社後、夕食をおごり』『近くのパブで酒を飲み、あとは魔がさしたとしか…』という先に『浮気は今までにも覚えがあるが、部下とこうなったのは始めてで』という展開。そして…。  ・〈マンハッタン〉: 『パンは三日で固くなる』、『牛乳は冷蔵庫へ仕舞っておいても、一週間でアブなくなる』と、『女房が出ていってから』『いろいろなことを覚えた』のは睦男。『居間のソファで眠ってしまい、あけ方テレビのザアザアいう音で目を覚ま』した睦男は『十一時になると起き出して顔を洗』います。『三十八歳の職のない男のむくんだ顔がうつっている。空気が澱み、時間まで腐ってしまいそうだ』と自分の顔を見る睦男。そんな睦男は『十一時半になるのを待って』、『近所の陽来軒へ行き、固い焼きそばを注文』します。『たまには別のものを』と思うも『席につくと、固い焼きそばといっていた』睦男は『焼きそばを食べているときだけ生きていて、あとは死骸みたいなものだ』と思います。  ・〈酸っぱい家族〉: 『またやったのか、お前は』と『居間の食卓の下にころが』る『緑色の鳥』の横で『飼猫が毛づくろいをしている』のを見るのは九鬼本。『もともと鳥を獲るのが得手な猫で、今までにも雀や尾長を見せに来たことはあるが、こんな大物ははじめてだった』という『鸚鵡』を見る九鬼本は、『どこかの家で飼っていたものであろう』と思います。『どうするの、パパ』と訊く女房に『そのへんに埋めるんだな』と返す九鬼本ですが『うちの庭は嫌ですよ』と言われてしまいます。『それじゃビニールにくるんで、ポリバケツにでも』と言い終わらないうちに『女房と娘が一斉に非難の声をあげ』ます。やむなく『紙袋に入れた鸚鵡を持って家を出る羽目になってしまった九鬼本は…。 3つの短編を取り上げました。13の短編にはさまざまな情景が描かれていきますが、上記でも触れたように1980年という時代の空気感が絶妙に醸し出される中に物語は展開していきます。全体としての印象でもあるのですが、〈三枚肉〉に描かれているような浮気の情景が今の作品には見られない温度感で描かれていくのが印象的です。この時代、亭主が浮気をするという感覚は今の世以上にポピュラーだったのでしょうか?また、妻が出て行った先の侘しい日々を送る亭主という情景も今の小説で見ることはないように思います。一方で、『飼猫』が捕えてきた『鸚鵡』の処理に困惑する一人の男性を描く〈酸っぱい家族〉はなかなかにコミカルな情景を見せてもくれます。そして、これらの作品に共通すること、それこそが短編にも関わらず、登場人物の心の内が活き活きと描かれていくところです。内容紹介に触れられる通り、そこに描かれていくのは”誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさ”の感情です。それらは時代が変わったとしてもなくなることのないものです。私たちが日々を生きていくということは、そういった感情と共存することでもあるのだと思います。13の短編に描かれていく主人公たちの物語。そこには、いつの世も変わらぬ人の普遍的な感情を綴る物語が描かれていたのだと思いました。  『浮気は今までにも覚えがあるが、部下とこうなったのは始めてである』。 1980年に第83回直木賞を受賞した3編を含む13の短編が収録されたこの作品。そこには、1980年という時代の空気感が自然と醸し出される物語の姿がありました。さまざまな場面設定の物語に人の息吹を感じるこの作品。そんな登場人物たちの思いが今の世を生きる我々と変わらないことに気づくこの作品。 累計200万部を売り上げた物語の中に、40年前にこの作品を手にした人たちの思いを感じる、そんな作品でした。

    259
    投稿日: 2024.09.30
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    タイトルの理由は、13個の短編から成り立つ物語だから。 愛する人の裏切りに関する話が中心で、そのほかもどことなく陰のあるエピソードが多かった。一つ一つはとても短いが、どれも濃密に登場人物の心情が描かれている。まるで実在する人物の、とある生活の一瞬を切り抜いたかのように、描かれたその先の余韻を感じさせた。また、日常の匂いに関する表現がどても具体的であり、それも自らが話の中に存在しているかのような錯覚を感じさせた。

    3
    投稿日: 2024.09.29
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    図書館本。煙管や台所でアサリが桶の中で鳴いていたとか昭和の風景が思い浮かぶ。家の明かりの数だけ家族の物語があるね。

    1
    投稿日: 2024.09.28
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    目の風や主人気の単なる思い出が、「今日の闇」に変わる。解説でそう示されているように、日常風景の色がガラッと変わる姿を何度も目にする。「日常誰もが眼にする鍋やヤカン、(中略)太陽の光が分散してそれぞれの物体や形や影につきあたって、道具にひそみこみ、反対に光りのカケラを反射してくる」。普通に見える風景しか書いていないのになぜか感じる暗さ、その暗さが徐々にしみ出してくる感じが妙にひっかかる。後味はよくないが、不思議な納得感はある。

    1
    投稿日: 2024.09.16
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    短編集で読みやすい 直木賞受賞作品も挿入されている つわ子のくだりがとても面白かった。 石蕗が由来なのかとあの人も言ったでしょ?いえ、つわりがひどかった時の子なのかいと言いました。 知識をつけたと思いきや根底はやはり変わらず、ただ背中では男の成長を感じる。 犬小屋もセンセーショナルな内容で、しかも本人がトラウマになっていない不思議さ。 カワウソ、もゾワっと虫唾が走る話。妻の曲がった性格が垣間見れる。

    0
    投稿日: 2024.09.16
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    1遍目の「かわうそ」から掴まれた。他のどの作品もリアリティがすごい。読みやすかった。お気に入りの本になった。

    0
    投稿日: 2024.08.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    旅先で手に取って読み始めた本。向田邦子の作品は初めて読みました。 家族、夫婦、身近な人の人間性や感情の機微が繊細に描かれていると感じました。「大根の月」が、自分の中では一番忘れられない作品です。健太を怪我させてしまう場面は、情景が生々しく伝わってきて、心が苦しくなりました。冒頭の指の文字を英子が追ってしまうところは、辛く忘れられない出来事やトラウマに対して、人がどうなるのか、どう向き合っているのかを的確に描いていると思いました。 直木賞を受賞した「かわうそ」、「犬小屋」など、ホラーや怪談、ミステリーでは味わえない独特の怖さを感じて、背筋がぞっとしました。

    5
    投稿日: 2024.07.21
  • 機微を綴った短編集

    作者の小説は初めて。男女の機微、家族の機微、人生の機微を綴った短編集。全体的に人間の哀しさ、狡さ、やるせなさを感じたけど、話に惹き込まれるところまではいかなかった。

    0
    投稿日: 2024.04.29
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    終始淡々とした内容だった 皆んな他人には理解できない心の傷を背負いながら生活してるんだよなー、なんて思いながら読了

    1
    投稿日: 2024.03.17
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    タイトルがなんだか可愛らしくて手に取りあらすじを読んで気に入った本であったが、想像していたものとは良い意味で違った。 全編読了後のくるしさ、苦さがすごい。 とにかく向田邦子さんのすごさがわかる。 特に向田さんの芸を感じられるのは 「かわうそ」 「大根の月」 どちらも終わり方が素晴らしい。 文学作品として美しすぎる。

    9
    投稿日: 2024.01.29
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    2024.01.27 なかなか難しい一冊。1970年生まれの私にはピンとくるも若い世代には伝わらない要素も多いかなあと思う。

    1
    投稿日: 2024.01.27
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    初 向田邦子。落ち着いた文章で頭にスッと入ってきた。 数年前に弟からもらった本。 人の裏側、黒さ、性など、人間らしさがとても良かった。 『かわうそ』がお気に入り。 向田邦子ワールドが好きだなぁ!

    2
    投稿日: 2023.10.20
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    ウン十年ぶりの再読です。ちょうど私が学生の頃、直木賞をとった作品として話題になり手に取ったのでした。そして、ウン十年後の今、読み返してみるとどう感じるのか?試してみたくなったのです。13作品の短編集です。 当時の日本の一般的な家庭の風景。ごく普通に流れていく家族の生活。夫婦、親子を通した日常。一見何もおかしな所はないのだけれど、その中の個々人の心の中には様々な思い、記憶、経験。嬉しいこと悲しいこと、憎らしいこと。様々な思い、感情が表面には出てこないけれど内面に渦巻いている。そういった内面を掴み取り、暴き出して端正な言葉と文章で鋭く描写している。 私は向田さんの家族愛に基づいたキレキレの描写が好きなのだけれど、人間の心の闇に切り込んでくるところも流石だな!と思ってしまいます。 例えば今回再読していて、「獺祭」という言葉の意味を改めて認識しました。今の私には「美味しい日本酒」というイメージしか頭の中になかったのだけれど、「かわうそ」という作品の中で、妻である一人の女性のシタタカな一面を見せつけられた様な気がしました。「獺祭」という言葉を通じて、、、少し怖かった。 やはり、家族や人の心象が向田さん独自の多彩な輪郭で描かれている。場面展開の素早さも心地いい。途中で止められなくなります。 ウン十年前に読んだ時は「何だか不気味な作品集」というイメージを持っていたのだけれど、今回再読して過去とは異なる印象を持つことができました。 もちろん背景はウン十年前の昭和の情景です。しかし、人の心の有り様というのは変わらないものですね。 向田さんの作品は歳をとりません。

    33
    投稿日: 2023.10.12
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    どんなに優しくほがらかであっても、どんなに「出来た人」と呼ばれるエリートであっても、人は誰でも少なからず暗い部分をもっている。 女のずるがしこさをぞっと思う反面で、私にも同じような面があるのかもしれないと思ったり思わなかったり。

    3
    投稿日: 2023.08.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「思い出トランプ 向田邦子さん」昭和のエッセンスてんこ盛りの珠玉エッセイ集。男と女、親と子…今も昔も変わらぬ人間模様を凝縮。天性の天然ボケで夫を翻弄する妻。母親の浮気性の隔世遺伝を心配する父親。不注意で息子の指に一生モノの怪我を負わせた母親…結末には泣けた!

    0
    投稿日: 2023.07.25
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    人間の生活の中の嫌な部分を巧みな文章で拾う向田邦子の表現力が素晴らしすぎる。 どの話も嫌な余韻を引き摺るのにどんどん読み進めてしまう。 でも考えてみたら小学生?の時に初めて読んだ「字のないはがき」もなんか嫌な気持ちになったのを思い出した。 私は一番最初の「かわうそ」が面白怖すぎて電車の中で悲鳴を上げそうでした。 この話だけは未だに思い出してしまう。 でもどの話も漏れなく嫌な気持ちになるので梅雨時期に読んでたら気が滅入り過ぎて倒れただろうな。

    1
    投稿日: 2023.07.09
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    初の向田邦子作品 すごい、すごすぎる。数ページの短編の中で、人生の光の部分と仄暗い部分を描き出している 読み方によって、ユーモラスで人間味がある話とも、人間の闇がフォーカスされた不気味な話とも捉えられるのが面白い 説明的な表現は最低限に抑えられていて、日常の些細の描写から、過去の出来事や登場人物の性格や心情が炙り出されるのがすごい

    0
    投稿日: 2023.07.04
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    自分で手に取って読み始めた向田邦子としては一作目。失敗したかも、と思った。読後感が悪いし、オチが読めるし、なんか…何だろう、人間が弱いことを、感情が移ろいやすいことをわざわざ書くのはなんで?と疑問に思う。弱い人間が弱いまま繰り広げる醜悪さというか、そういう類を見たくない自分のフィルターに気付いた。

    1
    投稿日: 2023.06.22
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    ここ最近、向田邦子さんに係る本を読み漁っているがハズレがなく、その全てを面白く感じている。 その印象は本書を読み終えた今も続いている。思い出トランプは短編集で、全部で13話収録されているが、その全てが個性的な魅力にあふれている。それも、これは明るい話あれは暗い話、と宝石のようにシンプルに形容しやすい魅力ではなく、見方によって暗くも明るくも、沈んでいるようにも輝いているようにも見える不思議な魅力。石は石でもパワーストーンのような感じで、向田さんの文章は自分にとって他の人とはどこか明確に違うと再確認した。 話は逸れるが、私は数ヶ月前に「あうん」で初めて向田邦子さんの小説を読んだ。その一冊の持つ衝撃は凄まじく、これを皮切りに、ネットで向田邦子作品を内容も見ずに片っ端から購入していった。そんな経緯もあって、今思えばこんな間抜けな話があるかとも思うが、本書の最初に収録されている「かわうそ」を読み終えるまで思い出トランプが短編集であることを知らなかった。 正確には次話の「だらだら坂」の途中で「短編集かよ!」と気付き、「かわうそ」の不穏な終わり方にドキドキしながら続きを知りたい思いでページをめくった私の期待と興奮は見事に打ち砕かれたのだが、読み終える頃にはテンポの良い多種多様な短編に満足し、そんなガッカリ感はどうでも良くなっていた。 向田さんの持つ文章の上手さ、楽しさは個人的に他のレビューで散々書いてしまったので、もう語ることも今更ないけれど、その上手さはこの本でも健在で、本書では特に「かわうそ」「三枚肉」「りんごの皮」「酸っぱい家族」がお気に入り。

    1
    投稿日: 2023.05.31
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    昭和の雰囲気がとても心地よい。 現代においても昭和においても、人の悩み、葛藤、嫉妬、疑惑といった複雑な感情は変わらずにあって、そういった意味では古さを感じさせない。 日常生活のちょっとした出来事から様々な感情を描き出す物語に没頭してしまいました。

    5
    投稿日: 2023.05.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表現が繊細で素晴らしい〜 場面がころころときりかわるのも人の頭の中ってこんな感じだよなぁって感じだった 内容は今だったら叩かれそうだけど… 物悲しい感じが良かった 全人類は向田邦子の本を読んでほしい

    1
    投稿日: 2023.05.07
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    それぞれの題名がどう関わってくるんだろう、そんなことを思いながら読むのが楽しかった。日常の少し憂鬱な感情が記されていてどこか共感できる話が多かった。 短編だから電車で読みやすいのもよかった。

    0
    投稿日: 2023.05.06
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    怖い。痛い。辛い。 なんでしょう…ハッピーが一つもない! そんな短編集は読むのは辛かった。 けれど、文章にすごく惹き込まれていきます。 すごい本でした。

    0
    投稿日: 2023.03.30
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    ★5つでは足りない足りない。ドラマ(阿修羅のごとく)にしびれエッセイにしびれ、ここに来て短編小説に度肝を抜かれた、恐れ慄いた、本当に身震いした。

    1
    投稿日: 2023.02.07
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    短編集。トランプがどう絡んでいるのか汲み取れなかったんだけれど。男も女も、自分が賢い生き物だと思っているんだけれど、互いの立場から見ると愚かな一面もあって、それを見過ごしているのは優しさか億劫さか。若い頃は潔癖だったり、正義感で許せないこともあったが、年をとるとずるさが賢さだったり、正論が必ずしも正しいとは限らないと知って、こうぐっと飲み込む思いがあって、そういうのがこの短編集の中には散りばめられていた。十年後読んだ時にどの話にぐっとくるのかが楽しみに思う。

    0
    投稿日: 2022.12.26
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    第83回直木賞(昭和55年/1980年上期)作品、「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」を含み、13の短編が収録されている。

    0
    投稿日: 2022.12.07
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    祖母が持っていた文庫。 文体の切れ味がよく、場面が次々にきりかわるのにも翻弄されて、常に何か起きそうな緊張感があり、次を読みたくなる。 人の感情は白黒どちらかに割り切れてるわけではなく、またある出来事はよかったとか悪かったとかはっきり判断できるわけではなく、その狭間にある感情のありようがリアルに書かれているように思った。

    1
    投稿日: 2022.11.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    男女間や家庭の話がほとんどなはずなのに、どれ一つとして似たものがないのが凄い。それだけ一つ一つの話が個性的だったしイメージは鮮烈だ。 話が流れるように展開するのが不思議。どんな風に繋がってくるんだろうとワクワク待ち構えている自分がいる。コロコロと変わる話題に意味があるのか無いのか分からないまま読んでいると、それらがスッと繋がる瞬間がやってくる。これがまるで実話のようで恐ろしい。「大根の月」では特にそう思った。実家のこと、夫婦間のこと、息子のこと、姑のこと、順序立てて語られるエピソードに真実味があって、これがフィクションだなんて思えなくなってくる。カットに失敗したハムを口に入れ事故が起きる瞬間なんか、ここに繋がってくるんだと思ってゾッとした。 自分の裏の顔や本質は、日頃一緒にいる家族が一番よく知っているということに思い当たってまたゾッとした。近ければ近いほど丁寧に接していかなければならないのではないかと考えたりもした。

    2
    投稿日: 2022.10.25
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    新潮文庫のプレミアムカバー版で購入した初読みの作家さん。 全体的に仄暗く男女の間や日常的にある問題をユーモラスに取り上げている。大きなドラマはないけどそれが逆に話に現実味を帯びさせる。 すっきりとした読了感はないが不思議と続きが気になっていくからスラスラと読めてしまう。 個人的には「かわうそ」「だらだら坂」「ダウト」が好きだった。誰しもが一つや二つ後ろめたいことを抱えて生きている。そんな後ろめたさを読者にだけ見せる形で淡々と語りかけるような短編集だった。

    1
    投稿日: 2022.10.23
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    短編だが、映画を見ていたかのように惹き込まれる。「かわうそ」の獺祭図のインパクトが強すぎる。水上勉さんが『主人公のたんなる思い出からぬけて、いま生きている「今日の闇」につながり、何気ない台所を這う空気の色調が厚ぬりに変る』と表現されているが、正にその通りである。

    0
    投稿日: 2022.10.22
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    直木賞受賞作を含む13篇の短編小説。穏やかで平穏な日常に潜む人の心の負や暗部を描く。人間の狂気とは異なる誰もが抱える残忍さや矛盾や悲哀を巧みに表現している。ちょっとした出来事や物を通じて描く心の機微の描写は優しく柔らかくゆえに魚の骨の如く異物感を持って刺さる不思議な感覚。どれも面白かったが、収録作のなかでは「だらだら坂」「犬小屋」「花の名前」あたりが個人的に好み。

    2
    投稿日: 2022.09.28
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    向田邦子さんのエッセイは読んだことがあるけれど、小説家は初めて読みました。 漂う雰囲気が、’’ザ昭和"という感じがしました。 なんとなく小説の雰囲気からその当時の人達の生活がどんなものか伝わってくる感じがありました。 短編集なので読みやすかったし、引き込まれてあっという間に読み終わりました。 どの話も少しの"こわさ“があって、ヒヤッとしました。

    1
    投稿日: 2022.08.28
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    ♥️♦️♠️♣️あらすじ♥️♦️♠️♣️ 内容(「BOOK」データベースより) 浮気の相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。おきゃんで、かわうそのような残忍さを持つ人妻。毒牙を心に抱くエリートサラリーマン。やむを得ない事故で、子どもの指を切ってしまった母親など―日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録。 ♥️♦️♠️♣️感想♥️♦️♠️♣️ 一編一編話が秀逸なのはわかるのですが、私には会いませんでした

    0
    投稿日: 2022.08.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    背景の時代は古めですが、それも相まって、お洒落な作品だな、と思いました。 哀愁漂う大人っぽい作品で、13篇だからタイトルに「トランプ」とあるのがいいなと思いました。

    2
    投稿日: 2022.08.19
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    何でしょう? 日常の少し嫌な、モヤモヤすることの集合体のような短編集でした。読後感は正直あまり良くはない。 ともすれば、日常に埋もれて流れていってしまうささくれのような出来事をこんなに拾って詳らかにできることがすごいと思う。 普段の生活にどれだけ気を配って生きていた方なのだろうと感じました。

    8
    投稿日: 2022.08.14
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    哀愁漂う13の作品が収められています。 大人になればそれなりに、苦い思い出、できれば思い出したくないことがあると思いますが、ふとした瞬間にそれが思い出される。 そんな気分でした。

    1
    投稿日: 2022.08.08
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    十三話の短編からの思い出トランプ。最後の作品は「ダウト」。洒落ている。 何処にでもあるような、普通の家庭の中にある不穏な空気感。家族への疑惑、疑心、不安、不満。それらを飲み込みながら、家族としての在り所を探していくのでしょうか。 現在の価値観では、納得できない世代もあると思う家庭や夫婦の表現かもしれませんが、狡さとか背信をも受けとめて、愛情と諦めの混雑が実情だった時代です。男女それぞれの感情が響く素敵な作品です。

    52
    投稿日: 2022.08.01
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    書店で、綺麗な赤の装丁の『プレミアムカバー』として売っていた。他に並んでいたのは、梶井基次郎の『檸檬』ほか、錚々たる作品ばかりなのに、向田邦子作品の代表作であろう本作の名前も知らなかったので、思い立って読んだ。 各作品とも、二十頁にも満たないのに、切れ味鋭く、大人の作品という感じ。 13作(なのでトランプ)のうち、一番印象が強いのは、『かわうそ』。奥さんの「獺祭ぶり」が怖い。

    5
    投稿日: 2022.07.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんという面白さ。 確かに出てくるもの、風景は古いが、全体的に古さを感じない。文章の美しさ、心の抉り方、人と人との関係。どれもが素晴らしい。 好きな話は全部。

    1
    投稿日: 2022.07.17
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    夏の新潮プレミアムカバーが良い色だったので。 ぐいぐいと引き込まれる圧倒的な筆力には言葉もない。 どの話も胸がじんわり苦しくなる。

    1
    投稿日: 2022.07.10
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    「向田邦子」の短篇小説集『思い出トランプ』を読みました。 「向田邦子」作品は、昨年12月に読んだ『寺内貫太郎一家』以来ですね。 -----story------------- 浮気の相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。 おきゃんで、かわうそのような残忍さを持つ人妻。 毒牙を心に抱くエリートサラリーマン。 やむを得ない事故で、子どもの指を切ってしまった母親など――日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。 直木賞受賞作『花の名前』 『犬小屋』 『かわうそ』を収録。 ----------------------- 20年くらい前に読んだことがあるのですが、再度、読みたくなった作品、、、 「向田邦子」の初めての小説集… そのうち3篇が直木賞を受賞した作品(『花の名前』 『犬小屋』 『かわうそ』)で、以下の13篇で構成されています。  ■かわうそ  ■だらだら坂  ■はめ殺し窓  ■三枚肉  ■マンハッタン  ■犬小屋  ■男眉  ■大根の月  ■りんごの皮  ■酸っぱい家族  ■耳(原題:綿ごみ)  ■花の名前  ■ダウト  ■向田さんの芸 水上 勉   カット 風間 完 昭和55年から昭和56年にかけて『小説新潮』に連載された作品だそうです。 「向田邦子」作品を読んだあとに、いつも感じることですが、、、 小道具の使い方や、ちょっとした比喩の使い方が抜群に巧く、男女の心の機微の捉え方がとても素晴らしいんですよねぇ… 上手く説明できないんですが、男女の抑えきれない気持ちが巧く表現してある珠玉の作品群ですね。 いつの間にか登場人物に感情移入してしまう作品ばかりでした。 特に印象的な作品を紹介しておきます。 『かわうそ』、、、 無意識(潜在的な意識による行動でしょうけど… )のうちに包丁を握っている夫、その姿を見て「包丁持てるようになったのねえ。もう一息だわ」と安心する妻… そのギャップに恐怖を感じるエンディングが忘れられませんね。 『だらだら坂』、、、 縁が切れることに対する安堵感… わかるなぁ って感じです。 やっぱり正直に生きたいですもんね。 『マンハッタン』、、、 結局、親子って、同じような行動を選択するもんなんでしょうねぇ… 嬉しいような、哀しいような、そんな気持ちが芽生えました。 『犬小屋』、、、 若い頃のキュンとする思い出や、ドキドキした体験… その相手がどうなっているのか、知りたいような、知りたくないような微妙な気持ちですよね。 『大根の月』、、、 息子の指を誤って切断させてしまったというショッキングな事件… それを許せない夫や姑。 息子までも自分から離れてしまい… という、家族の崩壊という悲しい出来事から、エンディングでの家族の再生を感じさせる展開が、なかなか心地良かったですね。 ドキッとさせておいて、ホッとさせる展開が好きです。 『酸っぱい家族』、、、 飼い猫が獲ってきた鸚鵡を、なかなか捨てることができない… そこから、過去に捨ててきた人や人生のことを回想し、もう一つ(一人?)を捨てようと発想するシーンでエンディングを迎える物語。 そんなに簡単に捨てれるモンなんですかねぇ。 『花の名前』、、、 男(夫)と女(妻)の駆け引きが、あっけらかんと書かれていますが… これって、実は怖いですよねぇ。 でも、男と女って、理屈じゃない、離れられない何かがあるんでしょうね。 感想をまとめていると、「向田邦子」作品って、タイトルの付け方も秀逸だなぁ… と思いました。 もっと、多くの作品を遺して欲しかったなぁ。

    0
    投稿日: 2022.07.02
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    人間の心の機微を捉えて文章に変える技術に感心しきりだった。あーこういう絶妙にもの苦しい雰囲気あるよねぇぇ...こういう苦々しい記憶がふと断片的に蘇る瞬間あるわぁぁ...っていう感じ。 どの章も素晴らしい。向田邦子の技術を堪能する作品。ストーリー自体は短編集らしい軽快な内容。

    1
    投稿日: 2022.05.13
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    何かしらのうしろめたさを持ったような人物を描いた短編集。あまり印象に残らない話が多い。そして雰囲気が暗い。 男がスナック通いをしたり浮気をしたりという描写が非常に時代を感じる。向田邦子も古くなったのだなあ。 ちょっとした発言が感情に及ぼす波紋、みたいな表現はうまいと思う。

    0
    投稿日: 2022.05.04
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    小説は「起承転結」で物語の抑揚をつけて、最後はスッキリ終わるのが多いですが、 向田邦子さんの小説は「起承転k」ぐらいで終わる 10段階で言えば7.5とか それを不完全燃焼と思わせないのがすごい あとは読者の想像にお任せします、みたいな 細かい描写から丁寧に説明してくれる小説はあるが、ここまで説明しないのも面白い 説明し過ぎて、読者の感想なども説明してるお節介な小説も多いのに 空白の多い小説というか、余韻を残す小説というか。

    1
    投稿日: 2022.02.18
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    サクッとよめる分量の文章だが、ひとつひとつに重みがある。 なにかが起こるわけではいのに、ズシッとくる。身近なものという感じ。

    0
    投稿日: 2022.01.12
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    NHKラジオの聴き逃しを聴きながら原作も同時に読み始めた、朗読を聞くとうっかりと読み飛ばしたところも気づかせてくれるので非常に良かった、13の短編だが内容はかなり淫靡なものが多く、とても男性作家では書けないものだと感じた、男性作家はミステリーか不条理小説しか書けないのじゃないかと思うほど、最近の男性作家の作品は文学性が欠けている。ドラマはほとんど見ないので著者の作品はあまり知らないのだが、以前WOWOWで「春が来た」がドラマ化されたが脚色が酷すぎた、時代はラジオの時代に戻ってきているのじゃないかな。

    1
    投稿日: 2022.01.04
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    (そこ)は見ないふりしていた という(そこ)を向田邦子の筆で見せてくれる 見なかったことにしたいけれど見てしまった 読後感は悪いはずなのに気持ちがいい 「皮肉の宝箱」をひとりそっと開けて そこに私がいた

    0
    投稿日: 2021.11.23
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    向田邦子さん(1929-1981)の直木賞受賞作3編『かわうそ』『犬小屋』『花の名前』を含む13編の連作短編集です。受賞作品の選考に関わった阿川弘之、水上勉、山口瞳の三氏が強く推奨されたという、 日常生活のなかでよぎる人間の心の奥の〝一瞬の闇〟が、何気ない仕草やふと出た言葉と絡み合って語られる人生模様の色とりどりは、読む者の心に突き刺さってきます。

    6
    投稿日: 2021.11.05
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    向田さんの追悼記事を新聞で読み、手に取った 附箋 「かわうそ」直木賞 ・なにかに似ていると思ったのは、かわうそだった。(尚子が好きな動物(^-^) 「はめ殺し窓」 ・能筆が自慢の重役が贈ってくれた大きな表札は、雨風に晒されてささくれて、履き古しの下駄に見えた。 「マンハッタン」 ・ポパイの恋人で手足が針金細工のようにひょろひょろ長いオリーブ・オイルという女の子がいるが、 「男眉」 ・ほうって置くとつながってしまう濃い眉は男まみえというのだそうな。女は亭主運のよくない相だという。 「大根の月」 ・「あんまり切れる方庖丁はおなかの子供に障わるっていいますよ」 「りんごの皮」 ・髪の毛はその人の表情の上に生えているものなのだろう。 「酸っぱい家族」 ・大体、五十を越えた男で、毎朝希望に満ちて目を開く人間がいるのだろうか。 ・サッチモの歌う「薔薇色の人生」 「花の名前」 直木賞 ・「君が代」が聞こえてきた。隣のうちのテレビである。 「犬小屋」直木賞

    0
    投稿日: 2021.09.20
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    何十年も前、職場の先輩から借りたのが出会い。家族が増えた頃、古本屋で見つけて手に入れたのが2回目。あれこれ、何かのタイミングで読み返して、何度読んでもその時の自分の有り様で、内容の意味が違う様な気になる、そんな作品。 今回はなんとなく、人生はまだ長いんだなと そんな感想です。 結局、とても好きな作品です。

    0
    投稿日: 2021.09.03
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    四、五十代の人達が人生を省み、後ろめたいこと・やましいことが明るみになっていく展開に胸がざわざわするような感覚を味わえる 向田邦子っぽさ、みたいなものが分かった気がする

    3
    投稿日: 2021.08.14
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    向田邦子先生の文章が優しいタッチで読みやすく好きです。私の大学の先輩だし。直木賞受賞した3作品を含む短編集。昭和の時代の夫婦、男女の関係、高度経済成長の頃のお父さんの何とも言えない寂寥感、今では考えられない当時の社会における女性の立ち位置やそれに伴う感じ方、そうそうあの頃こんな生活だった、と言う懐かしさ。現代の小説では味わえない感慨に浸ることが出来る。私は「かわうそ」「犬小屋」が面白かったかな。面白いと言うよりは何とも言えない気持ちで心に残っている、と言うべきか。

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    投稿日: 2021.07.10
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    「日常生活の中で、誰もがひとつやふたつは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを、人間の愛しさとして捉えた13編。」(裏表紙より)  太田光「向田邦子の陽射し」に、この短編集の一部抜粋が載っていたのだけれど、すごく面白かったから、どうせなら全文を読んでみたいと思って借りた。  どの話も、大きな出来事は起こらない。過去の些細なミスとか忘れきれない不快感とか、そういうものをずるずると引きずってきてしまった主人公たちが、ふとしたきっかけで昔の記憶を思い出して、苦悩する。居心地が悪くなったり、一度気になると頭から離れなくなったり、誰でもそういう過去をいくつかは持っている。じとっとした、うだつの上がらない主人公ばかりだけれど、人生ってきっとこういうものなんだろうなぁと思う。  ゴールだと思われがちな結婚が実は全然ゴールじゃなくて、その先にずっと続いていく長い人生があるんだよ、綺麗事じゃないよ、っていうのをすごくリアルに、容赦なく描いている。結婚したい人はまずこの本を読んで、妙な理想とか期待感とかをいったん完全に打ち砕かれてから本当にするかどうか決めた方がいいよね。過去の私とかさ。  短編集は、どんな話が収録されていたかすぐに忘れてしまうので、タイトルだけ書き残しておこう。★は気に入ったもの。  ★かわうそ   だらだら坂   はめ殺し窓   三枚肉   マンハッタン   犬小屋   男眉   大根の月   りんごの皮  ★酸っぱい家族   耳  ★花の名前  ★ダウト

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    投稿日: 2021.06.11
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    昭和58年発刊。時代はちょうど私が子供のころだろうか。そうか、あのころ、おとなたちはこんなことをしていたのか、と、どのお話も自分サイズではなくともあのころまわりにいた大人たちに重ね合わせるとポンと膝を打つようにすっと入り込める。 あの頃の生活道具、着ているもの、しばし郷愁にふけってしまう。そうそう、そうだった。どれもがありふれた日常のようでそのなかに誰もがもっているであろうさびしさややましさ、そんなものを浮かび上がらせている。 そして、私はホッと安心するのだ。ああ、なんだ、私だけがズルいんじゃないんだ、と。 最近現代作家の本を読んでいて合間に向田さんの文章を読むとなんとじょうずで(というのはあまりに失礼か)登場人物が生き生きしていて、どこにでもありそうな 話なのにでも特別で、ああ、文章というのはこうして書くのだな、と、 ああ、陳腐な感想しか書けない自分を呪ってみたくなる。

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    投稿日: 2021.05.19
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    最近、向田邦子の作品の面白さを紹介するコラムを目にし、学生時代以来の再読。直木賞を受賞した「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」を含む13篇が収められている。そのどれもが人生の半ばにある男や女の目線から語られる一瞬の物語。その一瞬の中に、過去の出来事や思いが走馬灯のように駆け抜けていくスタイルだ。約40年前に書かれた小説だが、人の煮え切らぬ心の中をうまく切り出していて、古さを感じない。向田邦子は執筆当時、すでにテレビドラマの脚本家として売れていて、直木賞をきっかけにどんな活躍をされるのか注目されていた。ところが受賞の翌年、台湾での飛行機事故で急逝、51歳だった。生きていたらどんなに面白い物語を作ってくれたことだろうか。

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    投稿日: 2021.05.18
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    最後の短編を読み終わって、タイトルを見た時に、たしかにいろんな思い出が描かれていたなぁと感じる。特に面白かったのは「犬小屋」かな。なんだか切なく甘く苦しいお話。そんな思い出、みんなあるよなぁって。

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    投稿日: 2021.01.13
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    日常を綴る文章は素敵だった。 まさに、それぞれの思い出をトランプのようにパラパラと見せられている感じがした。 私には合わなかった。

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    投稿日: 2021.01.04
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    1980年(昭和55年)発表の、13篇が収められた短編集。 研ぎ澄まされた印象の無駄のない文章で、ちょっと暗くて不幸な人々の、地味な日常が描かれている。 このちょっとジメジメした世界観は、当時の時代を反映しているのだろうか。 「大根の月」はかなり前にテレビでドラマ化されていて、指を切断してしまう恐怖と、姑の意地の悪さが深く印象に残っている。ずっと忘れられない物語だったので、原作が向田邦子だとわかって少しスッキリした。 小川洋子の文章に似ている気がした。市井の人々の冴えない日常をリアルに描写する部分は、映画「ゆれる」「ディア・ドクター」とも共通する部分を感じた(監督は西川美和) すごく面白い小説で、読み始めるとすぐその世界に引き込まれてしまうのだが、いかんせん暗いのでちょっと思考がネガティブになってしまうところが難点でしょうか。

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    投稿日: 2020.12.27
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    直木賞を受賞した短編の1つ、『花の名前』を読んで、言葉遣いと、その微妙な男女のやり取りに魅せられた。向田邦子は名前が喚起するイメージに非常にこだわった人だと言われている。ストーリーを読み終えたあと、なるほど、と思わず膝を打つ。ほうれん草と小松菜、三つ葉と芹。秋田犬と芝犬。微妙な違いにこそ重要なことが潜んでいると思わされる。 次回の「日本文学を英語で読むディスカッション講座」という授業で扱う『鮒』という作品は英語でMr.Carpと翻訳されていた。果たしてその翻訳で良いのだろうか、とあれこれ考えてしまった。日本語と英語の翻訳論として捉えても興味深い。向田邦子のファンになった。

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    投稿日: 2020.08.28
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    向田邦子さんの小説をしっかりと読むのは本書が初。 成熟期の男性の視点で書かれた話も多く、中々すとんと感情移入できるものでは無かったが、人生経験を重ねていくとこのように毒々しさの渦巻く感情に捉われる瞬間が来るのかと、ふと感じた。 もう少し歳を重ねてから再読してみたいと思う。

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    投稿日: 2020.08.26
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    ほぼ30年ぶりに再読、かわうそ、近くにいましたこんな人。あの頃夢中になって読んだなぁ、懐かしい、けど新鮮。

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    投稿日: 2020.07.01
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    人の仄暗いような一面を描写してる本。嫌味に感じさせず、等身大の人間だったのがとても良かった。 「かわうそ」の表現力が凄かった。高校生さんに一度は読んで欲しいと思う。

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    投稿日: 2020.06.21
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    向田邦子の13編の短編集。短編集なのであるが、それぞれが、人間の弱さ、ズルさ、欲望など、ドロドロとしがちな一面を、サラッと表現している。 花の名前、かわうそ、犬小屋など直木賞受賞作を含む

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    投稿日: 2020.05.05
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    人はこういう生き物なのだよ、可愛いよね。 ということが、21歳の自分では未だ理解できない。 この器の小ささ、青臭さ。 大切な人の過去が気になってやりきれなくやったり、コントロールできないことへの苛立ちに苛まれたりする。 そんな風に過ごしている今日の青年期には、そう感じた。きっとこの本を、また読み返す日が来る。

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    投稿日: 2020.04.29
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    なかなか暗いね、抉ってきます。突き放したような、冷めたような、それでいて節度ある描写は現在の作家にはほぼ皆無の読感があります。 設定など時代を感じさせる面は否定しないけど、それを超えた何かがありますね、間違いなく。 こんな小説を書く人がテレビドラマの脚本を主戦場にしてる訳ですから、そりゃまあ当時のこの作家の小説に関する当時の世の当たり方(解説など読むなどの推察に過ぎませんが)は要するに才能への嫉妬なんだろうなと思われ。

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    投稿日: 2020.01.23
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    恥ずかしながら向田邦子をちゃんと読んだのは今回が初めて。とても良かった。短編集だが、どの作品も小気味良いテンポで展開して読者を飽きさせないし、繊細なメタファーも作品に奥行きを与えている感じ。次は長編を読んでみたい。

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    投稿日: 2020.01.10
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    浮気の相手であった部下の結婚式に、妻と出席する男。おきやんで、かわうそのような残忍さを持っ人妻。毒牙を,亡,に抱くエリートサフリーマン。やむを得ない事故で、子どもの指を切ってしまった母親など——日常生活の中で、誰もカイひとっやふたっは持っている弱さや、狡さ、後ろめたさを,人間の愛しさとして捉えた13編,直木賞受賞作「花の名前」「犬小屋」「かわうそ」を収録。 ================= この作者の作品は初めて読んだ。 面白いものも中にはあったけれど、鸚鵡の話は意味がわからなかった。半分以上読んだけど、残念ながら断念。 言葉が古いので私には難しかった節もある。読み込めば楽しめるかもしれない。

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    投稿日: 2020.01.08
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    少し古い本だけど、人の本質というか、ずるさや弱さや欲望をリアルに捉えて表現していて面白い。描かれる女性はなんだかふくよかで白かったり艶かしい人が多い。

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    投稿日: 2020.01.07
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    トランプのカードの如く、無駄の無い巧みな描写の13の短編が収められている一冊。 改めて、向田邦子さんの文章の巧みさ、構成力に魅せられる。 どの作品も、人生の最盛期を越えた人々の描写が多く、人の弱さや、狡さ、図太さが何気ないさらりとした文章の中に、実は生々しく、かなり辛辣に描かれている。天才である。 飛行機が苦手であった著者は皮肉にも1981年の台湾での航空機事故に遭い、惜しいことにお亡くなりになられる。

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    投稿日: 2019.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・かわうそ 「殺した魚をならべて、楽しむ習性があるというので 数多くのものをならべて見せることを獺祭図という らしい」 「火事も葬式も、夫の病気も厚子にとっては 体のはしゃぐお祭りなのである」 「包丁持てるようになったのねぇ、もう一息だわ」

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    投稿日: 2019.08.26
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    ウッとなったり、見ようとしてないだけでこういう世界も確かにあるんだよなと思ったり。人間や社会の見たくない部分を突きつけられる感じ。

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    投稿日: 2019.08.02
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    嘘、嫉妬、軽蔑、憎悪。他人に見られたくないが "善き人" という仮面だけではやり過ごせない人生の通過点を可笑しみを携えた言葉で物語る。怒りでは決して解決しない残酷な悲喜劇。意地悪な共犯へと読者を誘う。さすが。

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    投稿日: 2019.06.08
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    男女のある関係の 短編集。好いた惚れたより、もっと濃い 煮詰まった 深い 成熟した 関係性のいろいろいろ。

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    投稿日: 2019.04.24