
総合評価
(3件)| 1 | ||
| 1 | ||
| 0 | ||
| 0 | ||
| 0 |
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
横山宏章氏積読シリーズ最終本、読破。(もっとも他に彼が書いた著作も読んでみたい)80年代に中国から留学し、そのまま日本で研究者となった王雲海氏との領土問題に関する対談。出版は2013年となるため、比較的オープンに話し合っているように思える。王雲海氏が再三言及する、日本人の対中観が偏っているというのは、理解は出来るが、それは同じことではないかと思う。ロジックとしては、日本の研究者の方ができるだけ公平に接点を持とうとしているように見受けられてしまうのが、曲解か・・。先方が時にあげてくる根拠が、中国のテレビ番組といった官製番組を持ち出してくることに違和感を覚える。また日本のメディアがコントロールされているのではといった趣のコメントもあるが、ただ単にレベルが低いだけのような気もする。前書きに日本の研究者である著者のコメントとして、王教授と面識がなかった、かなり不安があったというのがあり、昔からやはりさもありなんといったところか。 P.18(尖閣の国有化について) 都による所有よりも国有化したほうが日本政府が管理しやすいという説明はなされているのですが、中有国でいう<国有化>と日本でいう国有化は完全に違うんですね。日本で国有化というと所有者が個人から国に変わっただけというふうに理解されるのですが、中国の場合、国有化という言葉はどちらかというと対外的な概念が強い。つまり、日本国が所有するぞというような意味合いが強いので、それで余計に刺激されたのでしょう。(中略)国有化して管理だけに徹するイメージとは思われず、何らかの施設をつくるといったような、国有化だけにとどまらないようなメッセージが、中国にはかなり伝わってしまった。要するに、国有化して実効支配を強化していくという姿勢が伝わったので、予想以上に中国の反発を買ってしまったのです。 P.24 日本では、漁船の船長は中国に戻って英雄として迎えられたという報道がされていましたが、実際には悲惨な状況に置かれたのです。中国政府から日中関係にトラブルをつくり出したとかなり責められました。漁に出られなくなり、結局香港のメディアに助けを求めるはめになった。 P.32 私が一つ不思議に思っているのは、中国が尖閣諸島を問題にし始めたのは一九七〇年代初期、海洋資源が確認されてからという話が、外務省など様々なところで言われていることです。中国の主張では、例えば最初にこの問題に触れたのはサンフランシスコ講和条約(一九五一年)のときに周恩来が声明を出しており、アメリカが尖閣諸島付近の海底調査をするときにも声明を出したとされています。ですから、中国の立場としては資源が出てから問題にしたということではないのです。なぜ七〇年代に強く言い出したかというと、沖縄返還(一九七二年)との問題も関わりを持っています。(中略)沖縄返還のときにアメリカが中国に言わずにその施政権を日本に渡したこともきっかけです。 P.49 魚釣島は明の時代の歴史的な資料に中国のものだという記録があると言い始めたのは、実は中国ではなく台湾なんです。台湾の学者が、台湾の新聞で発表したのが先です。その後に中国の人民日報で報道されました。 P.80 日中双方の主張の中で、疑問に思った点があります。ともに、歴史的にみても、固有の自国領土であると行っている点です。(中略)歴史的といっても、日本側は明治以降の歴史にすぎません。中国側は少し古くて、それでも明代行こうの歴史です。歴史的といっても、たかだか百年ちょっと、あるいは四百五十年ぐらいの歴史かありません。それを「歴史的」といって、支配の正当性を立証しようとするのは、少し滑稽です。(中略)どちらの主張が歴史的に正しいかではなく、どちらが合理的で、合法的な主張であるかを検討する必要があります。 P.82 (横山氏):中国の現在のロシアとの国境線というのは、西欧の国民国家同士の話し合いに準じて、今の考え方でやっているわけです。冊封体制のシステムを導入しないで説明している。ですから、尖閣諸島に関して、明朝時代の冊封体制時代にあった領域概念というものを持ち出して、近代的な国家関係の領土問題に当てはめていこうというのは、おかしいのではないかと思う。それはダブルスタンダードではないでしょうか。 (王氏):中国の政策決定者がそこまで意識していてダブルスタンダードでやっているというような発想は、おそらくないと思います。中国側には、特に近代以前の歴史を詳しく研究したうえで政策決定をしている指導者はいないのではないか。 基本的に、どうやって問題を解決するかということで対処しているのだと思います。 P.109 孫文という人物が極めて伝統的な思考のうえに成り立っている。最大の点は、国民・民衆をまったく信頼していないということです。その孫文を徹底的に批判したのは胡適です。蒋介石を批判するのですが、蒋介石の先生である孫文の考え方が大衆をまったく愚弄していると、ここに民主主義の一かけらもないというのがだいたい胡適の主張です。 P.157 謝罪は国家的・法的行為というよりも、むしろそれぞれの総理大臣などの政治家の個人的言動であって、最小限の法的効果も持たない。総理大臣が代われば、その姿勢も変わるし、総理大臣が謝罪したからといって、他の政治家も同調するわけではない。中国や韓国からみると、国家意思として果たして謝罪という姿勢でいるのかわかりません。結局、総理大臣が代わるたびに、または、何かの節目の時期になると、謝罪の姿勢でいるかどうかを確認しようとして、新たに謝罪を求めてきます。謝罪が回数的に繰り返されてしまう。私が思うに、謝罪を国家のはっきりとした意思として法的に固定しておいて、政府を代表する総理大臣などの主要な政治家はそれを遵守していれば、繰り返して謝罪する必要がないし、政府を代表できないような政治家がどんなことを言っても、それは政府の見解ではないと説明すればよいわけです。 P.200 中国では正確にいうと政治経済活動で、金持ちになれるかどうかのキーポイントの一つは、国家権力とうまくつき合えるかつき合えないかです。 P.204 物質的な豊かさが精神的な自立を招きます。だから豊かさがないところに、精神的な自立を主張しても、確かに難しい面がある。陳独秀などは、物質的な条件を確保する前に精神的に自立した人民をつくろうとした。毛沢東は、平等主義で、金持ちをなくし下層を少なくして中間層を増やそうと思ったけれども成功しませんでした。鄧小平は、まず豊かな人をつくって、貧しい人を引き上げて中間層をつくっていこうとしましたが、結局うまくいかな買った。
0投稿日: 2026.01.03
powered by ブクログ[ 内容 ] 尖閣諸島領有をめぐって、激しく対立する日本と中国。 この問題には、米国や台湾の動向、日中間の歴史的経緯、海洋資源とシーレーン確保、経済や文化など、さまざまな要因が複雑に絡んでいる。 中国は超格差社会となり、習近平体制の中国共産党はその正統性の問題に直面している。 日本は長らく経済が低滞し、政治的にも揺れ動いている。 果たして、両国の領土問題を解決する糸口はあるのか。 日本と中国の専門家が、日中領土問題の真因と展望について、総合的に議論する。 [ 目次 ] 第1部 国際情勢からみた尖閣諸島問題(尖閣諸島領有問題の背景;国有化をめぐって;漁船衝突事件;海洋資源の問題;覇権主義;棚上げ問題;台湾について;国際社会への発信 ほか) 第2部 国内情勢からみた尖閣諸島問題(デモの光景;反日デモの歴史;孫文について;権力システムとしての中華思想;拡大する中国の課題;領土問題に対する日本の姿勢 ほか) 第3部 グローバル経済と日中の課題(日本企業と中国市場;政治的思惑と日本企業;経済とイデオロギー;超格差社会;難しい貧富の差の是正;貧富の差と国民性 ほか) [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
0投稿日: 2014.10.26
powered by ブクログ論の中心は領土問題をめぐる最近の動き、及び二国間における政治的・文化的考えに関して述べられている。尖閣の歴史的経緯について深く触れられていないが、日中双方の学者の対談というのは非常に勉強になる。領土問題に関しては、ナショナリズムによって過激な発言をしがちになるが、双方とも現実的な解決策を探っているように思われ、非常に有意義な本である。新書で値段を考えても、誰もが読むべき本であろう。
0投稿日: 2013.01.19
