
総合評価
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powered by ブクログ広島、長崎、沖縄のことは授業で学べど、まったく知らなかった終戦後の北の前線のお話 あまり言及するとネタバレになるため避けますが、いろんな立場の人の思いが切々と心に訴えられ、何度も目頭が熱くなりました 自分が医療従事者であるため、菊池軍医少尉の無念さはとくに身に染みる 読んで良かったです
0投稿日: 2025.04.29
powered by ブクログ心が抉られる レビル将軍のセリフが身に沁みるなぁ 「ニュータイプとは、戦争なんぞせんで済む人類のことだ。超能力者達のことではない。」
0投稿日: 2025.04.23
powered by ブクログ占守島の戦いについて恥ずかしながら本書を読むまで知らなかった。スケールの大きな群像劇から浮かび上がる、戦争の齎す理不尽の数々が悲しく、戦争への怒りが湧いた。
0投稿日: 2024.11.05
powered by ブクログ占守島の悲劇。サイパン、フィリピン、硫黄島。多くの激戦地の戦いは知られるが、終戦後に戦わざるを得なかったこの島の物語。降伏せざるを得ない戦い後、シベリアへ送られることに。女子400名を避難させたことは、心から尊敬したい。そして涙が止まらない。読者はみな真実を知りたくなるだろう。平和な未来が来た時に、忘れ去られることなく、誰か調査をしてほしいと切に願う。
2投稿日: 2024.11.04
powered by ブクログ沖縄戦のことはよく聞くけれど。 なぜだろう、千島列島のことはあまり知らない。 北海道ではより詳しく語られているのだろうか…? いずれにせよ、語り継がれていかなければならない物語。
0投稿日: 2024.03.24
powered by ブクログ太平洋戦争末期にアリューシャン列島の最先端部である根室から1000キロ、ソ連のカムチャッカ半島先端と目と鼻の先の占守島(シムシュとう)に取り残された戦車部隊の奮闘を描いた作品。ぜひ実写化して欲しい。 「終わらざる夏」は第11戦車連隊の顛末だけを描いた作品ではない。徴兵された元出版社勤務の45歳の老兵、缶詰工場に送られた女工達、上陸作戦に駆り出されたソ連兵、その後のシベリア強制労働など、さまざまな人の織り成すドラマ。 第11戦車連隊の兵士の目線と上陸部隊のソ連兵の目線と、両方から語られる。 心に響いたのはヤクザ者の萬吉が45歳老兵の子供(集団疎開中だが脱走)を助けるシーン。 浅田次郎は戦争の悲惨さを伝える事に人生を賭けていると感じる。
0投稿日: 2024.01.08
powered by ブクログ浅田次郎『終わらざる夏』集英社文庫 読了。終戦間際の夏、北千島の占守島で起きた知られざる戦い。盛岡管内における3名の補充要員(英語翻訳者、歴戦の軍曹、帝大医学生)の召集過程が丁寧に描かれる。登場する一人一人にささやかな夢があった。最後に出てきた藁半紙の辿ってきた道程に思い馳せたい。
1投稿日: 2023.12.09
powered by ブクログ北方領土関係のことを学ぶために読み進めた作品。悲痛な結末となっているであろう登場人物のそれぞれの人生に想いを馳せ、下巻を読み進めるのはとくにしんどかった。 アメリカ軍への交渉のために動員されたはずの民間人と日本軍。樺太の戦闘を不穏な空気として感じ取っていた時期。米軍の軍師が来着する前に、ソ連が国土として希求していた南下指向である千島列島の占守島に上陸、昭和20年8月18日ポツダム宣言を受諾した後だというのに、ソ連軍の攻撃が始まる。 「止めて止まらぬ戦争と、終わってから仕掛けてくる戦争とでは、同じ戦争でもまるでちがうと思うのであります」 「戦争は人と人とがするものじゃないんだ。人間同士がどんなに仲良くたって国と国との戦争になれば、誰もが鬼になってしまう」 立場、場所、時期が錯綜するが、ロシア人との交流や攻め込んだ兵士の苦悩も描かれている。 「クリルでは三千人のソヴィエト兵が殺された。戦争が終わっていたのに。これは犯罪です。だからあなたたちは働く。死んでも働く。あたりまえ」不可侵条約を一方的に破棄して宣戦布告をした国に対して圧勝しながらの降伏で、ソ連邦領内へ強制労働となった際の通訳からのその正当性を主張した返答に理不尽さを感じる。シベリア抑留についても学ばなければ。 敗戦の二文字を消し寄する波自由と書きて鷗飛ぶ見ゆ 夏子の日記に書き留めた歌 疎開先から脱出して親元へ何とかたどり着いた譲や静代の様子や、缶詰工場の女子挺身隊員の帰還のみが救い。 梯久美子さんの解説も胸にしみいるように作品の理解を助けてくれる。野見山暁治さん「旅と雲」リトグラフが表紙。
7投稿日: 2023.10.14
powered by ブクログ千島列島(当時)の最北端の占守(シュムシュ)島、ソ連領のカムチャッカ半島は目と鼻の先。 しかし、そこから東に連なるアリューシャン列島はアメリカ軍が押さえていた。 戦争終結を視野に入れて、大本営はアリューシャン列島からアメリカ軍がやってくると睨み英語通訳を占守島に送り込む。 これが間違いだったとは言い切れないと思う。 お人好し・・・だったのかな。 アメリカ軍ではなく、ソ連軍が国際法を破って侵攻してきた。 上巻中巻にもたびたび出てきたが、原住民や、少数民族に対しての大国のやり口がひどい。 どうして、「土地はもともとそこに住んでいた人たちのもの」と考えることができないのか。 占守(シュムシュ)島の戦闘とはまた別に、『終章』のシベリアの日々が一番悲惨であると感じる。 短い夏に花の咲き乱れる占守島の風景は天国のようだったが、シベリアは地獄だ。 神の兵はそこでは餓鬼となった。 特に、菊池忠彦軍医の先輩である、工藤医師の苦悩を思うと涙を禁じ得ない。 占守島の野戦病院で一度、工藤の様子を見ていればこそ。 工藤は軍医として前線を転々としてきた。 仕事は、負傷した兵の手足を敗血症を防ぐために切断すること。 ひたすら四肢を切り落とし、動脈血管を結紮(けっさつ)するだけの日々。 自分はもう生きて帰っても「普通の手術」はできないと言っていた。 その後送られたシベリアでは、安楽死のための空気注射をしなくてはならなかった。 人を生かすために医師になったのではなかったか。 彼の絶望は計り知れない。 日魯漁業の女子挺身員400名と、疎開先を脱走した静代と譲が無事に帰還できたことだけが救いである。 もう戦争をしてはならないと、登場する大人の皆が若者に言い聞かせているが、世界のどこかで毎日戦争は続いている。 解説は、梯久美子(かけはし くみこ)さん。 占守(シュムシュ)島の悲劇は今に至るまでほとんど伝えられておらず、歴史の闇に葬り去られていたと言う。 この本はもっとたくさんの人に読まれなくてはいけない。
2投稿日: 2023.08.02
powered by ブクログいきなりファンタジーになった。中巻の軽井沢、そこで譲と静代が出会ったミーシャがソ連軍将校の魂(?)。その後、譲たちはヤクザの萬助と出会う。それもまた伏線となる。8月15日を境に、子ども達には平和が、占守島には悲劇が訪れる。本書を読むまで知らなかった占守島の戦い。作中にも出てくるが「終わってから仕掛けてくる戦争」であった局地戦。大屋准尉、富永軍曹、片岡二等兵の死を、敵対するソ連軍将校ミーシャの独白で描写する手法が、悲劇を一層際立たせた。
0投稿日: 2023.03.21
powered by ブクログ「浅田次郎」の戦争小説『終わらざる夏』を読みました。 「半藤一利」の『新装版 太平洋戦争 日本軍艦戦記』に続き、第二次世界大戦関連の作品です。 -----story------------- 〈上〉 1945年、夏。 すでに沖縄は陥落し、本土決戦用の大規模な動員計画に、国民は疲弊していた。 東京の出版社に勤める翻訳書編集者「片岡直哉」は、45歳の兵役年限直前に赤紙を受け取る。 何も分からぬまま、同じく召集された医師の「菊池」、歴戦の軍曹「鬼熊」と、「片岡」は北の地へと向かった。 ―終戦直後の“知られざる戦い”を舞台に「戦争」の理不尽を描く歴史的大作、待望の文庫化。 第64回毎日出版文化賞受賞作。 〈中〉 「片岡」の一人息子「譲」は、信州の集団疎開先で父親の召集を知る。 「譲」は疎開先を抜け出し、同じ国民学校六年の「静代」とともに、東京を目指してただひたすらに歩き始めた。 一方、「片岡」ら補充要員は、千島列島最東端の占守島へと向かう。 美しい花々の咲き乱れるその孤島に残されていたのは、無傷の帝国陸軍、最精鋭部隊だった。 ―否応なく戦争に巻き込まれていく人々の姿を描く著者渾身の戦争文学、中編。 〈下〉 1945年8月15日、玉音放送。 国民はそれぞれの思いを抱えながら、日本の無条件降伏を知る。 国境の島・占守島では、通訳要員である「片岡」らが、終戦交渉にやって来るであろう米軍の軍使を待ち受けていた。 だが、島に残された日本軍が目にしたのは、中立条約を破棄して上陸してくるソ連軍の姿だった。 ―美しい北の孤島で、再び始まった「戦争」の真実とは。 戦争文学の新たなる金字塔、堂々の完結。 (解説/「梯久美子」) ----------------------- 集英社が出版している月刊小説誌『小説すばる』の2008年(平成20年)6月号から2009年(平成21年)10月号に連載された作品で、第64回毎日出版文化賞受賞作です… 歴史の闇の中になかば隠れつつあった太平洋戦争終戦後(もしくは終戦準備・戦闘停止 期間中)における占守(シュムシュ)島での戦いにスポットをあてた物語、、、 1945年(昭和20年)8月9日、ソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破棄して対日参戦… ポツダム宣言受諾により太平洋戦争が停戦した後の8月18日未明、ソ連軍は占守島も奇襲攻撃し、ポツダム宣言受諾に伴い武装解除中であった日本軍守備隊と戦闘となり、戦闘は日本軍優勢に推移するものの、軍命により21日に日本軍が降伏して停戦が成立、23日に日本軍は武装解除されたが、捕虜となった日本兵はその後大勢が法的根拠無く拉致され、シベリアへ抑留された という史実を忠実に辿りながら、アメリカとの和平交渉の通訳要員として兵役年限直前の45歳で招集された翻訳書編集者「片岡直哉」、岩手医専卒・東京帝大医学部の医学生で軍医として招集された「菊池忠彦」、大陸でたてた手柄で金鵄勲章を授与された鬼軍曹で4回目の招集で占守島に送られた「富永熊男(鬼熊)」の三人の登場人物を軸に、過酷な状況下での人間の本質を照射しつつ、それぞれの場所で、立場で、未来への希望を求める人々を描いた巨編(上・中・下で約1,050ページ)です。 重層的で物語の奥行が深く、人物造形にも優れている作品だったので、読んでいるうちに、どんどん作品の中に引き込まれていき、登場人物の目線で物語が展開していく感覚で読み進めていくことができました… 『終章』では、辛いとか、哀しいというよりは、胸が苦しくなるような気持になり、「鬼熊」の母親に宛てた手紙や、少年兵「中村末松」の遺した押花帖が出てくる場面では、涙が止まりませんでした、、、 戦争は終わったのに、戦闘が始まる… この大いなる矛盾の中で、戦う兵、死にゆく兵、戦争の禍々しさと非情さ、そして愚かさに胸を打たれましたね。 終盤の戦闘シーンは、その少し前から登場していたソ連の現場第一線の兵からの目線で描かれているのですが、彼らもまた、終わったと思っていた戦争で、再び命を賭して闘わなければならないという矛盾を抱えながら行動しており、戦争というものの非情さや非人間的な部分が、巧く描かれていたと感じました、、、 この戦闘の矛盾を訴えた「アレクサンドル・ミハイトヴィッチ・オルローフ中尉(サーシャ)」の報告書には共感する部分が多かったですね… 略奪を目的とした大義なき作戦行為は、現場では誰も望んでいないんですよね。 不条理な戦争(戦闘)に、国土とそこに暮らす人々を守るために誇り高く戦った人たち… 軍人も民間人もそれぞれの誇りと愛するものを守るために戦ったんですよねぇ、、、 久しぶりに読書しながら泣いちゃいました… 涙が止まらないほど感動した、忘れられない作品でした。 以下、主な登場人物です。 「小松少佐」 大本営参謀。参謀本部編制課動員班の動員担当者 「甲斐中佐」 陸軍省軍事課員。参謀本部編制課に合流 「佐々木曹長」 盛岡聯隊区司令部第三課動員班長 「蓮見百合子」 盛岡聯隊区司令部の庶務係。岩手高女の女学生 「遠山敬一郎大佐」 盛岡聯隊区司令部司令官。地元の名士 「佐藤金次」 滝沢村役場の戸籍係兼兵事係 「勇」 滝沢村役場の給仕の少年 「片岡直哉二等兵」 東京外国語学校卒の翻訳書編集者。岩手県の寒村出身。 英語通訳として招集され占守島に向かう 「片岡久子」 片岡の妻。女子高等師範卒の文学書編集者 「片岡譲」 片岡の息子。国民学校四年生。信州に集団疎開しているが疎開先を抜け出す 「吉岡静代」 譲と同じ国民学校の六年生。信州に集団疎開している。譲とともに疎開先から東京を目指す 「小山雄一」 国民学校の教師。四年男子学級の担任 「朝井マキ子」 国民学校の教師。六年女子学級の担任 「岩井萬助」 渡世人。懲役に服していたが、召集のため放免される 「尾形貞夫」 片岡と同じ出版社に勤める、翻訳書出版部の部員。 警視庁で洋書や英文記事の検閲を行う 「尾形佐江」 尾形の妻。夫妻で久子の住まいに引っ越す 「野中良一」 久子の異父弟。フィリピンで戦死 「野中きぬ」 久子の母。久子の父親との離婚後、良一の父親と暮す 「安藤仁吉」 東京で岩手県出身者たちの面倒をみる篤志家 「菊池忠彦軍医少尉」 岩手医専卒の医師。東京帝大医学部に在籍。 招集されて占守島の軍医となる 「富永熊男軍曹」 盛岡のタクシー運転手。金鵄勲章を授与された軍曹。 四回目の招集で占守島へ向かう 「吉江恒三少佐」 第五方面軍司令部参謀。敗戦処理の任務を負う 「大屋与次郎准尉」 戦車第十一聯隊第二中隊段列長。旭川出身 「中村末松兵長」 戦車第十一聯隊第二中隊段列の少年兵。東京出身 「池田大佐」 戦車第十一聯隊長 「岸純四郎上等兵」 南方帰りの船舶兵。三陸の宮古出身 「工藤軍医大尉」 野戦病院の軍医。菊池の岩手医専での先輩 「渡辺中尉」 第九十一師団副官。札幌出身 「森本健一」 日魯漁業社員。占守・幌筵島の漁場と缶詰工場の責任者 「石橋キク」 缶詰工場で働く女子挺身隊員。函館高女の卒業生総代 「沢田夏子」 缶詰工場で働く女子挺身隊員。キクの同級生 「ヤーコフ」 占守島出身のアイヌ。色丹島の診療所で助手を務める 「池田大佐」 戦車第十一聯隊長 「アレクサンドル・ミハイトヴィッチ・オルローフ中尉(サーシャ)」 ソ連軍の将校。シベリアに住むコサックの子孫 「ボクダン・ミハイトヴィッチ・コスチューク兵長(ボーガ)」 ウクライナ出身のソ連兵
0投稿日: 2023.02.27
powered by ブクログ知らない史実でした。メタファーとなる物語、夢の連結、私は上野駅が一番印象に残りました。丁寧な本でした。
1投稿日: 2022.11.28
powered by ブクログ戦争に翻弄される人々のそれぞれの話。 終わらざる夏、終戦を告げる玉音の後に始まった戦闘。 兵士にも敵兵にも一人一人に妻がいて子がいて、母がいて、故郷があった。 軍人として戦って死にたいという誇りと生きて家族に再び会わねばという想いに揺れ、国を守るために戦った。 戦争の悲惨さをありありと感じさせられる作品でした。 「一生戦争をしねえで畳の上で死ねるんなら、その時が勝ちだ。」登場人物の1人の言葉が強く印象に残りました。戦争を繰り返さず、平和な日本を守ってきてくれた方々に改めて敬意を表します。
1投稿日: 2022.10.08
powered by ブクログさまざまな人たちの戦争にまつわる群像劇。すべての人たちの一瞬一瞬の出来事や思いを連ねて描いたことにより、単なる戦争悲惨物ではなく、一人一人の生き様が描かれたと思う。 その反面全員のその後も知りたいが、それは自分が味合うこともできないのだから、致し方ないし、それが当たり前なのだ。 そう思うと一瞬一瞬の夏を大事にしていきたいと思う。それが戦争をさせない戦後の者の務めと思う。
1投稿日: 2022.09.03
powered by ブクログほんの少し前の日本にこのようなことがあったことをなぜ誰も教えてくれなかったのか、ということをすべての教育者に考えていただきたい。と思わせる小説。
0投稿日: 2022.02.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
いやぁ、戦争は救いがないな… わかってはいても、そう思わざるを得ない終わり方。 占守島について、終戦後何があったか事前知識なく読んでいたので、片岡も普通に召集されなくて良かった…なんて思っていた私がバカでした。 天国のように美しく花咲き乱れる占守島と、無条件降伏をしたあとに味方がいないままソ連に挑むしかなかった人たちの落差がもう辛い。 占守島の悲劇を小説にするにあたり、日本兵だけでなく大本営の参謀や、赤紙を届ける人、疎開した子ども、そしてソ連の兵士たちそれぞれの視点からの戦争を描く。 この小説に出てくるこの一節 「戦争の犠牲者をひとかげらにしてほしくない。100人の戦死者には100人の人生があり、千人の戦死者には千人の勇気があった」 が、作者が伝えたかったことを表しているに違いない。 そして子どもたちのシーンで出てくる宮沢賢治の 「星めぐりの唄」 美しい言葉には、救われることもあるのかもしれないと感じる。
0投稿日: 2022.01.22
powered by ブクログその当時から今に続くソ連の実態を少しでも伝えているのではないか? それだけでも意味のある小説。 美しい話にまとめ上げざるを得ないだろうが、日露戦争の仇討ち部分が多かったことも書いて欲しい気がする。
0投稿日: 2021.07.15
powered by ブクログ後半にロシア兵の語りが長々と続きストーリーへの興味が一旦離れたが、結びになってこのためにあったのかと納得。千島で戦わざるを得なかった人々、強制労働で死なざるを得なかった人々の無念で無願いいっぱいになった。ところで最後のサクセスは何だったのだろう
0投稿日: 2021.02.13
powered by ブクログ1945年8月15日、玉音放送後に〈知られざる戦い〉が、美しい北の孤島で始まった――。第64回毎日出版文化賞受賞作。
0投稿日: 2020.11.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
1945年8月15日、終戦。しかし、夏は終わっていなかった。日本はポツダム宣言を受諾した。日本軍の武装解除後、ソ連が占守島へ侵攻。アイヌ民族を占守島から追放した戒めであろうか。この理不尽な戦闘が起きてしまった。日本軍、ソ連軍ともに多くの死者を出した。鬼熊然り、片岡然り、正義感にあふれ、勇敢な方々が散ってしまった。日本は絶対に日米開戦はしてはいけなかったということに尽きる。戦後75年、占守島の史実を目の当たりにして、日本を守ろうとした先人への敬意と、武力で解決できることはあまりにも小さいことを認識した。
5投稿日: 2020.09.03
powered by ブクログ昭和20年8月15日を過ぎてから始まった北方の島でのソ連軍との戦い。 400名の缶詰工場で働く勤労動員された女学生達だけが辛くも生き残れただけが唯一の救い。 何処かでハッピーエンドを期待していたけれど、そうはならなかった。 何処の世界でも、川下で働く人が受ける辛酸さは変わることがない、辛いエンディングでした。
1投稿日: 2020.05.31
powered by ブクログ2020/3/31読了 ソ連兵の手紙から下巻は始まる。 スターリングラード、ベルリンと戦い抜いた兵士、故郷に帰れると思っていたが無情にも兵士を乗せた列車は故郷を通り過ぎ、極東の辺境の土地までくる。 軽井沢の集団疎開を脱出した、譲と静代は軽井沢の駅で玉音放送を聞き、ある男に出会う。 占守島では、きたるべき終戦に向けて吉江少佐が大屋准尉や片岡に協力を求める。
1投稿日: 2020.03.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
登場人物の視点から、さまざまなシーンが次々と描かれるので、私のような短期記憶力保持者、には集中して読むことをお勧めする。暑かったこの夏。どうしても読んでたさおきたかった作品。まさか、故郷北海道からさらに遠い、あの島々でこんな歴史があったとは知らなかった。ラストにロシア人兵士の視点から、登場人物の最期が語られるシーンは読んでいて胸が痛んだ。 いつか、今年のような、暑い夏に読み返したいと思った。タイトルに反し、もう夏が終わる。
1投稿日: 2019.09.05
powered by ブクログ1945 8/15日本人として忘れては行けない終戦日の玉音放送、ポツダム宣言受諾での無条件降伏、勝負けよりも戦争が終わる事に喜びを感じるまで苦労&矛盾を重ねた人々の気持。沖縄戦、硫黄島、南方戦線等戦い末期の話は戦後生まれの私達は映画、本で知っているが、北方果ての北千島列島での戦いは、シベリア抑留の話は耳にしていたが理不尽な戦争の果てに有る史実を知るに触れ哀しさ、悔しさ、凛々しさ色々な感情に心揺さぶられる。 終戦間際で徴兵上限の45歳で通訳の役目を担い戦後の交渉を目的に千島の北端の島に渡った片岡、その島で自給食料確保で缶詰め工場で働く女子高生600人、二度の戦争で自己の思いとは別で英雄と化した鬼熊軍曹、南方戦線で生き残った岸谷らは、玉音放送で戦争は終わった後に戦争を挑んでくるロシア軍に対し、女子高生をなけなしの船で逃しながら戦いに挑む。 やめろと言われてもやめられない戦いと違い、終わった後に手を上げている相手に戦いを仕掛けてくるロシア軍に鬼熊等の軍は戦い局部戦に勝利し美しき島を守る。しかし敗戦国の軍人らは、シベリアの強制労働(捕虜同様)の扱いを受ける。何処か幕末の戊辰戦争での会津藩が斗南への流された史実と同じ匂いを感じた。 片岡の子嬢が疎開先の長野から東京を目指す旅程の出来事(最後は、渡世人で人を殺めた務所から徴兵を受けた途端終戦を迎えた男に上野まで送られる)にも涙する。人を殺めた自分が刑務所で生き、人を殺めても正当化されながら多く死する堅気の軍人の差に矛盾を感じ、心を入れ替える渡世人も何故かカッコ良い。 終戦まじかな日本で個々の生活、感情を読むにつれ当時の不幸な時代に涙が出る。 幼少時代に戦争、終戦を生きて高度経済成長を支えた私の両親の時代、亡くなった寡黙な父からは直接戦後の苦労話など聞いた事が無く、噂程度で潜水艦の乗務中亡くなった叔父がいて、両親も居らず戦後を姉に育てられ幼少時代を生きた事を知る程度だが、戦争を知らない私としては、色々と考えさせられた。多分、これからの時代、間接的にも遠ざかる戦争を語り継ぐ良い本の様な気がする。
2投稿日: 2019.06.15
powered by ブクログ壮絶な話だった。これまで見聞きした戦争に関するエピソードは沖縄、硫黄島、長崎広島が多くのところだったけど、ちょっと毛色が違った。 やめろと言われて止まらないのは仕方ないが、 終わったあとに始めるのは、意味が違うよな。
1投稿日: 2018.12.08
powered by ブクログさすが浅田次郎、惹きつける力がある。でもオチはモヤモヤ感が残る。「終わらざる夏」っていうタイトルも平凡で、もっとほかの案はなかったのかなあ。
0投稿日: 2018.10.08
powered by ブクログ上・中・下巻を通して悲しい小説でした。戦争、そして国家に翻弄され続けた人々の姿は、戦争によって真に失われるものは何なのか、ということを示しているように思います。 下巻に入り、日本はポツダム宣言を受け入れ、戦争は終わります。しかし、それにも関わらず占守島にソ連軍は攻めてきます。それは、戦後の領土確保というソ連国家の思惑のためでした。 しかし、占守島は戦時中、戦力を移動させる手段がなかったため、戦車などの機械も、そして実力のある兵士たちも十分すぎるほど残っていました。一方のソ連は戦闘があったという記録さえ残しておけばいいため、送られた兵士たちはわずか。戦機も不十分でした。 国自体はすでに勝利しているにも関わらず、死地へ送られるソ連兵たち。そして、その攻撃に応戦せざるを得ない日本軍。戦争が終わってすらもその余波は、人々の想いも涙も、戦勝国も敗戦国も関係なしに飲み込んでいきます。 作中に「戦争をしたものはみんな敗者」という言葉があります。物語が終息に向かうにつれ、その言葉が実感を伴って心に打ち込まれます。しかし戦争の奇妙なところは、その敗者の責を負うのは、戦争を起こした国家や、権力者たちではなく、市井の人たちなのです。戦争の不条理の真実は、そこにあるのではないかと思いました。 妻、子供、親……、この小説に登場する人たちの誰かを想う気持ちは、とても美しいです。そうした大事な人を想う心の強さは、普通の世界では賞賛されるはずのものです。 しかし、戦争という異常自体の前には、そんな美しい想いも無力なのです。この想いを持ち続けている人が、生きることができる世界を造ることが、自分たちの使命なのだろう、と感じました。
4投稿日: 2018.07.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
暗い内容で気が滅入り、読む終えるまでに何ヶ月もかかってしまった。 入れ替わり立ち代わりそれぞれの立場の人間が語り手となっていく手法だったが、読みづらいと感じたときもあった。 占守島の戦いのことは全く知らず、たまたま聞いていたラジオ番組のゲストが著者で本書の紹介をしていたため、手に取った。 日本でこの戦いの知名度は低いが、教科書に載せても良いのではないだろうか。 結末は救いがなく、心が重くなった。 生き残った人々はシベリアに送られ、無事に帰国できたかどうか胸が痛い。 娯楽のための読書はすばらしいが、ときどき本書のようなジャンルを読むことは大事なことなのかもしれない。
1投稿日: 2018.03.07
powered by ブクログ戦争に巻き込まれた人たちの哀しい物語。 たくさんの登場人物の視点から、戦争の悲惨さ、理不尽さをあらわした物語です。 いよいよ最終巻です。 下巻では、いよいよ終戦に向けての話になりますが、今度はソ連側軍人の話も入り始めます。 また、ファンタジックな話も含まれます。(浅田さんらしい) そして、いよいよ玉音放送です。 片岡の息子たちは召集されようとしていた口の悪いやくざに助けられて汽車で東京に戻ることになります。 このやくざが実はまたいい人!東京に到着して、片岡の息子を母親に返すときに、最後に片岡の息子にわかるように言う言葉がしみる!! 「二度と、戦争はするな。戦争に勝ちも敗けもあるものか。戦争するやつはみんなが敗けだ。大人たちは勝手に戦争をしちまったが、このざまをよく覚えておいて、おめえらは二度と戦争をするんじゃねえぞ。 一生戦争をしねえで畳の上で死ねるんなら、そのときが勝ちだ。じじいになってくたばるとき、本物の万歳をしろ。」 浅田さんの思いそのものだと思います。 一方、玉音放送が入って、敗戦したにもかかわらず、いよいよ占守島にソ連の攻撃が始まります。 どうやって缶詰工場で働く女学生たちを脱出させるのか。そのやり取りに熱いものがこみ上げます。 さらに、ソ連側軍人の思いも語られます。 降伏している相手に攻め入るということ。さらにはそこには日本軍最強の戦車軍団がいること。その戦闘に何の意味があるのか? そして、最後の戦闘シーンとつながっていき、ソ連軍人の視点から戦闘が語られます。 最後はシベリア抑留... 戦闘のどんぱちが数多く語られるわけでもなく、悲惨さを前面に押し出しているわけでもないのに、戦争の現実がありありと感じられます。 この時代を生きたさまざまな人の視点から、その生き様、感じ方、考え方を語ることによって、その時代の悲惨さと哀しさを浮き彫りにしているのだと思います。 名作です お勧め!!
1投稿日: 2016.10.09
powered by ブクログ戦争については知らない事ばかり。 でも戦争を知ると益々戦争と言うものが分からなくなる。 「シベリア送り」と言う言葉は知っていたものの、その経緯までは知らず本当に初めてその事実を知りました。 本当に戦争とは何なのだろう。
1投稿日: 2016.09.23
powered by ブクログ疎開先での玉音放送が終わったシーン、教師たちがこれをどう解釈すればよいのか、子供になんと説明すればよいのか、ともすればそのまま解散になりそうなところでの浅井先生のお話が心に響いた。 終盤は哲学的というか浅田次郎にありがちな夢との錯綜で読みにくい。1人の死を感情的に主観的に書くより、文学的にはこういう書き方が良かったのだろうか。
0投稿日: 2015.10.28
powered by ブクログ【ナツイチ】上・中・下と読了したが、どの巻からも、戦争は絶対悪であり、皆幸せにならないこと、勝ち負けではないことがひしひしと伝わって来る。本巻では、終戦記念日以降もロシアでは戦争が終わっていなく、ソ連侵攻など、終盤になるにつれ戦争の真実、辛い気持ちになってしまった。子供たちにポツダム宣言の天皇陛下の言葉を咀嚼して伝えた「しっかり勉強して、戦争でなくなった方を犬死しないような日本を作ってください」が戦後復興を担う気持ちとともに強く印象に残る。戦後70年の年に読めて良かったと思う。平和な未来を願いたい。
1投稿日: 2015.08.13想い
考えさせられる一冊 いつの時代も人の為にいきる人 自分の職務にまっとうしようとする人 こう言う話は読んでいてひきつけられる 自分はこういう風に生きることが出来るだろうか?
0投稿日: 2015.07.09
powered by ブクログ日本人として当然知っておくべき重要な史実を、恥ずかしながら今まで知らなかった。意図的に誰かが隠蔽しているのか、或いは私が単にバカだったからなのか?願わくば後者であって欲しい。
0投稿日: 2015.04.26三巻ともいい。戦争と人間と。
やっぱり人間愛に満ちた終戦、敗戦物語で期待通りだった。縦横のストーリーがとてもいい。
0投稿日: 2015.01.31命の大切さ、戦争の哀しさを痛切に感じる作品
それぞれの世界で懸命に生きている人たちが、意義のわからない戦争にとられていく。一人一人が家族や地域で必要とされている人物であるのに、大切な命が奪われていく。違う個性を持った人々が鮮明に描かれており、そのために命が奪われていくのはやるせなく、戦争の哀しさを痛切に感じさせる作品。
0投稿日: 2015.01.27
powered by ブクログ得体の知れぬ動物の皮を食べた様な感覚だった。どういう感想を持てばいいのか自分で決められない。 当初の浅田次郎の大ファンなので、変わってきた昨今がさみしいです。
0投稿日: 2014.12.02
powered by ブクログ浅田次郎らしい味のある作品だった。戦争のおろかさを前面に出した作品で、共感できるところも多い。登場人物が多くたくさんの視点で戦争をとらえているが、戦争推進派の人の理屈が織り込まれるともっと深いストーリーになったと思うのだが。
0投稿日: 2014.10.27
powered by ブクログ終戦のときを迎えても終わらない戦い。悲しい、哀しい、やるせない、人の命はどうなんだ、戦争は誰が何のためにやっていたのだ、不可侵条約を破ってロシアの兵隊を侵攻させたのは誰だ。戦争の矛盾、理不尽さに涙がでる。
0投稿日: 2014.09.22
powered by ブクログ戦争に出征し死んだ人は、今と変わらない普通の幸せな生活を送っていた人たちだった。理不尽な終戦後の戦い。切ない終わり方だった
0投稿日: 2014.09.15
powered by ブクログ戦闘開始後が意外とあっさり。直接的な描写をあえて避けることで余韻を残した。昨今のウクライナ情勢と被ってリアルな怖さも。ただ、ソ連軍将校の夢だけは全く余計で、必要ないと思った。
0投稿日: 2014.09.01
powered by ブクログ最後の展開が早すぎて付いていけなかった。が、戦争が終わった後もこのような不条理な世界があったのかと、知らなかった世界を知ることができてよかった。
0投稿日: 2014.08.10
powered by ブクログ下巻になっても、まだ新しい登場人物が出てきて、ついていくのが大変でした。盛岡弁には慣れましたが、戦争の用語と旧字がきつかったです。 メインのはなしではないけれど、譲と静代とやくざ者のエピソードが泣けました。浅田次郎らしさ全開なのです。
0投稿日: 2014.05.23
powered by ブクログこの物語は、戦争という大きな力の中で、日本人としてではなく、人が人としてそれぞれ考えて、最善を尽くす物語だ。 主役は居ない。 いや、構成上は確かに居るのだけれども、時の中でそれぞれの人物は平等に描写されている。なんと言えばいいんだろうか。普通(普通なのかな)は、主役(ヒーローなり正義の味方)が居て、脇役が居て、そして対立する悪役なり困難があり、ソレを打ち砕くものなのだが。この物語は、日本が敗戦するという史実を元にして日本軍を描いているフィクションだ。つまり、架空戦記でも無い限り、この戦いで勝利することはあり得ない。全ての登場人物に名前があり、物語が有る。悪役など誰も居ない。ただひたすらに人として至極まっとうに生きていた。 始まってしばらくして「誰が主役だろう」と探すことになる。それくらい密度が濃い、出てくる一人一人に名前が有り背景があり、過去がある。「物語にどう絡んでくるんだろう」と気になる。けれど、中盤を超えてくると「ああ、みんな生きてるんだな」としか思えなくなる。物語や主要な出来事や、歴史の大きな一歩を踏み出していない人であっても、きちんと生きているのだ。 非常時において(平常時も同じかもしれないけれど)、国などの大きな力に対して「ああ言っているから仕方が無い」と、ルールの隙を突いて生きることはたやすい。反骨しているように見せて斜に構えて生きることすら可能だろう。 けれども、この物語は、一人一人が真摯に考え、逃げることをせず、自分が出来ることを全うしようとしている。その姿は祈りにも似ている。 正しい人と思われる為では無く、人としてどう生きるのか正しいか、その主軸を自分に持つと言うこと。自由と言うこと。大きな力に対して、諦めるのでは無く、ほんのわずかな可能性であっても向き合うこと。 フィクションだからこそ描けるまっとうな小説だった。 「永遠の0」のように、ステレオタイプの悪役に画一的な非難を送れば済むことでもなく、「原発ホワイトアウト」のように、権力や官僚制度の中で出来る事は無いと諦めることでもなく、一人一人が考えることを諦めない、フィクションであるならば、こういうものを読みたい。 上中下と続く上に、全ての登場人物に物語があると言っても過言では無いので、読書慣れしていない人にはお勧めしにくいが、活字中毒なら読んで間違いは無い。むしろ読んで下さい。
3投稿日: 2014.04.17
powered by ブクログ小説の構成としては、初めに盛り上がりすぎて最後はぼやーとぼかしているので、肩透かしにあったような気分になる。題材としては、一般的に知られていない史実をテーマにした意義のあるものだと思う。アメリカがアリューシャンを越えクリル諸島から攻め込んで来ることを想定して占守島に留め置かれていた陸軍が、日本がポツダム宣言を受けて無条件降伏したにも拘らず攻め込んできたロシア軍と戦う話。陸軍とは言え、終戦間際の民間人と少年志願兵に助けられた寄り集まり。島に土着していた数家族、銃後の労働に従事している女学生を含めて、沖縄と同じく悲劇としか言いようのない上陸戦だったはず。ロシア兵の描写を挟むことで、日本人の一方的な悲劇的な小説とはなっていない。戦争で死ぬことに対しての理由を問いかけられたような印象を持った。
2投稿日: 2014.03.03
powered by ブクログ戦争に勝ち負けなんてない、戦争をした時点で負け。 子供に戦争なんて二度とするなという言葉がすべてを物語っていた気がします。そんな中、日本を守るため、必死に戦っていた兵士が切なかったです。 長い時間をかけて、今ここにある日本の平和を永遠に守っていく義務が、すべての人にあるのだと思います。
0投稿日: 2014.02.03
powered by ブクログ題材から結末はある程度推測できた。非常に重苦しい内容であり、かつ救いがない。戦争とは救いのないもの、ということを表現したいかのような内容だった。今の現状に鑑みるととてもタイムリーな内容なのかもしれないけれど、著者の作品としては、引き込まれるような面白さとリズム感が感じられず、物足りなかった。
0投稿日: 2014.02.01ついに、戦闘開始!
戦闘は、敵方による回想という構成で予想を裏切られました。 しかし、それまでの登場人物の描写がすごく丁寧だったので、敵方視線のため登場人物の名前がでてこなくても、誰が何を叫んだかが想像でき、これが『プロの大胆な手法か!』とうならされました。 ソ連兵が「45ミリ砲」で独の「ティーガー戦車」を撃破したようなことを言っているのに「エ~。45ミリでは無理だろう。でも、側面攻撃で超近距離ならあり得るのかな?」と釈然としなかったのですが、ふと思い出しました。独「4号戦車後期型」でシュルツェン装備車のシルエットは「ティーガー」に見える。それを倒して、「4号戦車後期型」を撃破したことになっているケースが多いと、プラモ誌か丸かで見たことがあります。なお、web検索でも確認しました。「4号戦車後期型」を「ティーガー」と誤認する「ティーガー撃破」というケースは多いとのこと。 というもののせめて「75ミリ」にするべきではないかという気はします。
0投稿日: 2013.12.21
powered by ブクログ多くの作品と読者を持つ、日本を代表する作家のひとり、浅田次郎。 最近、短編小説を続けて読んでいたので、「この作家さんの長編小説を読みたいな」と思っていました。 昭和の戦争を扱ったこの作品が、上中下3巻の文庫となって書店に平積みされていたので、読んでみることにしました。 舞台は昭和二十年の夏。 地下壕に設けられた大本営参謀本部に、ある指令が与えられます。 その指令により「数字」としての兵士動員数を決める中央官僚、そしてそれを「人の名前」に落とし込んでいく地方役人、さらには「赤紙」を持って個人宅を回る担当者へと、役割がめぐっていきます。 おおかたの成人男性が軍隊へと徴兵された後に、今回の動員に借り出されたのは、45歳の英語文学翻訳者。 ある指令を果たすため、彼が送り込まれたのは千島列島の北端、国境の島「占守島」。 この作品は、島へ渡るまでの経緯と、島で起こった事件とが中心となって、話が展開していきます。 恥ずかしながら、戦争末期の千島列島で、このようなことが起こっていたということを、これまで知りませんでした。 そして、「徴兵」という行為にどのようなプロセスがあり、どのような人間模様が起こっていたのかを、この作品を通じて初めて、窺い知ることが出来ました。 登場人物それぞれのエピソードが重厚に織り込まれており、また疎開先での生活や千島列島の歴史なども挿話として書かれているので、複数の視点で興味深く読ませていただきました。 戦争小説ということなので、明るく前向きなストーリー、というわけでは無いのですが、このような人達の奮闘を経て、今の日本という国があるのだなあと、考えさせられる作品でした。 一連の作品を読んでいると、浅田次郎という人は、日本という国がどのように歩んできたかを、考えている作家さんなのだなあと感じます。
0投稿日: 2013.12.16
powered by ブクログ浅田次郎の戦争文学。終戦間際から終戦直後の北方領土は占守島を舞台とした、群像劇。 『戦争ってのは悲惨だなぁ…』と素直に感じさせられました。何千何万と亡くなっていった人たちや、その家族には、何千何万の物語があって。 誰だかが『戦争が良くないというのなら、本だとか映画だとかは戦争を美化してはならない』と言っていたのを思い出しました。
0投稿日: 2013.11.12
powered by ブクログうぐぐ。なるほど。 上、中巻は、終戦間際に戦地へと向かう人々の群像劇になっていて、 それはまあ、悲劇には違いないのだけれども、 それでもそれぞれになにがしか自分が命をかけるに足る意義を見つけようとしている 前向きさともいうべきものがあったように思います。 どうあれ起きてしまった戦争に対して、自分がやるべき事をできる限りやろう、 そうすればきっと報われるだろうという感覚がどこかあって。 しかし、下巻で描かれる、実際の戦争は そんなものをすら全て吹き飛ばしてしまう理不尽さで、 あらゆるものを一瞬にして取り返しのつかないところに持って行ってしまう。 それまで群像劇を編み出していた人々のお話は、 この戦闘を持ってねこそぎ終わってしまう。一切の理屈なく。ぱたっと。 あとはエピローグで語られる事後の話のみ。 これが戦争か。と。 浅田次郎さんが描きたかったのはこれだったのかと。 自分の考えの甘さを思い知らされました。 戦争。よくない。 あ、こちらのサイトで当時の戦車の写真などが見られます。 http://xn--glrs3qn5a.com/
0投稿日: 2013.11.07
powered by ブクログ国と国の戦争に駆り出される兵隊達やその家族の一人ひとりが様々な事情をそれぞれ抱え辛い思いをした事に苦しさを感じる。そして、それは日本人も他の国の人も同じである。占守島での出来事は多くの人達に知って貰い忘れないようにしないといけないと思う。
0投稿日: 2013.11.03
powered by ブクログ戦争ものではあるけど、戦闘の場面は一切描かれない。描かれるのは、主人公の編集者や家族を中心に、この時代を生きたあらゆる人の日常。戦うことを前提にした軍隊があって、戦争が生活の中心にあった時代が、間違いなくこの国にあったのだと実感した。
0投稿日: 2013.10.23
powered by ブクログ上中下読了。残暑中読んでいたが夏終了とともに終わった。ロシアの意図が全くわからない。スターリンってなんなのだ。シベリア抑留で亡くなった方はさぞ無念だったことだろう。とても悔しい。そして北方領土は不当に奪われたのだという気持ちが新たになった。
0投稿日: 2013.09.30
powered by ブクログ戦争が引き起こす悲劇。 戦争に関わるすべての人の視点を取り入れて物語は完結。当然のことながら、ハッピーエンドではないものの、最後に救いがある。 歴史に埋れていた出来事を掘り起こすとともに、深いメッセージが込められている気がした。
0投稿日: 2013.09.28
powered by ブクログ今まで詳しくというか、ほとんど知らなかっ占守島の戦い。 玉音放送後、無条件降伏の3日後にソ連軍が仕掛けてきた戦争。 そしてシベリア抑留。 生まれてこのかた、漠然としか知らなかった自分を恥じます。。 「止めて止まぬ戦争と、終わってから仕掛けてくる戦争とでは、同じ戦争でもまるでちがうと思うのであります」 世界大戦は3日前に終わっているのに、千島列島は平和的外交条約で定められているのに。 なぜ?と、そればかり疑問に思う。 普通に生活してきた市民達が登場するからこそ 悲劇であり、それに付随する人物の背景や家族とか恋人とか なんともいえない悲しみ。 細かいとこまで結局どうなったのかは描かれてないけど 読み終わった後、手が震えた。
0投稿日: 2013.09.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
いよいよこの物語のメインテーマである終わってから仕掛けてくる戦争が始まる。そのに描かれるのは、なぜかこの場に来ることになった兵士、本当は愛する人がいて、ここに来ていなければ別の幸せな人生を生きていたであろう人々、それは日本人もロシア人も、、、この最後の戦争までに多くにページをさいてそれぞれの人物の背景を細かく描写していたのに戦闘の場面は直接描かない、それはソビエト軍の兵士の戦闘報告と今、命を失おうとしているソビエト兵士の独白という形で描かれる。片岡は、鬼熊軍曹はその時どんな思いで最後を迎えたのかは、描かれない。肩すかしをくらったような気持ちだが、何度も読み返してみた。行間にちゃんと書いてある。又シベリアまで生き残った菊池医師の苦悩もこの戦争の悲惨さを最後まで教えてくれる。
0投稿日: 2013.09.22
powered by ブクログ8月15日、終戦。 この日から混乱の中、復興が始まったと思っていたけれど、北の果てでは新たに戦いが始まっていたのだ。 降伏したとわかっていながら闘いを仕掛けるソ連、国を守るためにやむを得ず応戦する日本。 生身の人間が闘う先には悲劇しかない。 敵も味方もなく一人の人間としての苦悩。 死に行く者、生き残った者の苦悩。 つい昨日までは家族のために働いていた者たちを戦地へ送り込む者たちの苦悩。 人それぞれの苦悩、苦悩、苦悩。 読むたびに胸が締め付けられた。 唯一救われたのは、疎開先から逃げ無事母親と再会した子。 そして、北の果ての島に動員された女子工員が無事に札幌に帰還したこと。 私たちが今あるのは、戦争という苦難の経験の先にあるもの。 人々の苦悩、希望、命の尊さを忘れてはいけない。
0投稿日: 2013.09.21
powered by ブクログ『止めて止まらぬ戦争と、終わってから仕掛けてくる戦争とでは、同じ戦争でもまるでちがうと思うのであります』昭和20年8月15日日本がポツダム宣言を受諾した後になって新たな戦闘をしかけられた物語。上中は玉音放送後に起きた不運の日本人たちのそれぞれの生活や家族についての細かな描写も感動のラストを盛り上げてくれた。恥ずかしながら玉音放送後にこのような戦闘があった事は知らなかった。
0投稿日: 2013.09.15
powered by ブクログ言葉では言い尽くせない思いです。 恥ずかしながらこの作品を読むまで、占守島の戦いについては知りませんでした。 太平洋戦争というとどうしても、ミッドウェーや硫黄島、沖縄や原爆の方に目が行きます。しかし、占守島の戦は日本人が知らなくてはならない歴史だと思いました。 作品では、戦争に徴兵された民間人や、疎開先の子供や先生、最前線の軍人や大本営の指令、更には敵国の兵士に至るまで様々な人々の思いが語られています。 戦争の時代にもそれぞれ現代の人々と同じ人生があり、生活があるということが実感されます。 日本にしてもアメリカやソ連にしても国として、様々な非難がつく時代ですが、その時代に生きた人々の思いについては現代と同じ平和への願いがあったと思われます。 個人的にはシベリアでの強制労働は許されない行為であり、千島列島は国際法的な講和条約での日本の領土であって、早期回復を願います。 また、そうでなければ、占守島で日本を守り、戦死した人たちやシベリアに送られた人たちに日本人として顔向けができません。
0投稿日: 2013.09.09
powered by ブクログいよいよ、天皇の玉音放送が始まる。 公式には終戦を迎えた中、登場人物達にも終戦は来るのか? 知られざる占守島での戦いを通じて、作者が訴えたかった戦争の悲惨さ。 そして、勝敗に関わらず、誰1人として幸せにならないという真実。 この小説を通じて、何を感じるかは読者次第。 本書では被害者として描かれている日本が、 被害者の場合もあったことが戦争であるということは忘れてはならないと思う。
0投稿日: 2013.09.05
powered by ブクログそうですか、やっぱり最後はそうなってしまうんですね… 学者家族のその後は描かれないけど、戦争孤児の話とかは、他でさんざんやられてますもんね。終戦後も終わらなかった夏について、“卑劣なり、ロシア”的感情に流されがちなところを、実際に先頭に赴いた自敵国戦士それぞれの葛藤が綴られることによって、戦争そのものがもつ愚かさへの憤りへとうまく誘われていく。終戦の話題が多いこの時期に接することが出来てよかった作品。
0投稿日: 2013.08.31
powered by ブクログなぜ…?何でこんなことが…?という思いと、溢れる涙。知らなかったことばかりだった。重い題材を、一章一節が短編小説として成立するほどの完成度で描かれており、浅田氏独特のファンタジーも盛り込まれ、色々な意味で傑作だと思う。星を1つ減らしたのは、やはりソ連への反感が最後に残ってしまうので…。やるせないですね。お勧め度は星5つです。
0投稿日: 2013.08.27
powered by ブクログ上巻、中巻、それぞれ泣かされるポイントがありましたが、下巻はずっと涙無くして読み進められない。 第二次世界大戦の終戦間際にソ連が宣戦布告してきたという歴史は学んだ。 広島、長崎への原爆投下、沖縄の玉砕戦など、我々が忘れてはならないものとして、語り継がれていると思いますし、学校の授業などでもきちんと教えてくださっている。 しかし千島列島の北端の占守島という小さな島で、ポツダム宣言を受諾し無条件降伏をした後に、戦いが繰り広げられたことは知らなかった。 そこで操業していた日魯漁業の缶詰工場で働く女子挺身隊の少女400人をなんとか無事に本土に返すというドラマもあったとのこと。 戦争は個人ではダメだとみんな言うが、国同士になると人間が鬼になってしまうというようなことが書かれていましたが、攻め込んだソ連の兵士の視点でも書かれており、彼らも同じく辛い思いをしていたんだなぁ、同じ人間なんだなぁと感じました。 今も世界のどこかしこで紛争のようなものが、行われています。 そんな事止めようよと、言わなきゃならないんだろうね。 どうすれば良いのかはわからないが… 勝っても自分の大切な人との別れを伴えば、嬉しくも何ともない。 そんな単純な考えで、世の中が平和になればいいですね。
2投稿日: 2013.08.24
powered by ブクログ戦争ものだし、いろいろグッとくる場面はあったものの、なんだか物足りないまま終わってしまった感じ。戦争に、敵味方、兵士、一般人、男女、大人、子供、それぞれの立場からの見方がある、ということを表現したかったのかもしれないけれど、それがまとめきれてなくて、とっちらかっちゃったように思いました。
0投稿日: 2013.08.15
powered by ブクログですよねえ…と、わかってはいたけど淋しかった。 すごくおもしろかっただけに、最後の終わり方がなんだか残念。 なにが起こったかはまあわかるけど、そっち側から書いちゃったのね…みたいな。 もうちょっとその辺しっかり書いていただきたかったな。 それにしても、終戦後にこんな事が起こってたなんて、知ってる日本人の方が少ないんじゃ…。
0投稿日: 2013.08.15
powered by ブクログ降伏しているのに戦わなければならなかった。失わずにすんだ命があったのに本当に人は愚かです、戦争に勝ち負けなど無い。経験した人にしか言えない言葉です。
0投稿日: 2013.08.10
powered by ブクログ敵も味方も,偉い人も庶民も,兵隊も市民も,それぞれが不条理に直面しながら苦闘する様子は感動的で哀しい。これだけ多くの人物が登場しながら各人物の描写が丁寧で,みんなが主人公であるストーリーを成功させているのがすごい!
0投稿日: 2013.07.27
powered by ブクログ終戦の玉音放送は、当時の人々にとって、如何に衝撃的であったか。しかし、ラジオの音質が悪く、聞き取れなかったり、表現が難しく、正確に意味を把握できなかった人が多かったのが真実なのだろう。 感動的なラストを期待していたのだが、何となく物足りない終わり方だった。いろいろな人物が登場し、次々に視点を変え、物語を進めていくのだが、最後にロシア人の眼を通して、悲劇を目撃させている。いささか、テクニックに走りすぎたキライがある。あまりに多角的に描きすぎて、焦点がボケてしまったような気がする。あまりに話を拡げすぎてしまい、時間的な制約から、最後適当に収束させてしまったのか、疑問が残る。
0投稿日: 2013.07.27
powered by ブクログ理のない戦いに「自身の理」を見出し殉ずる。死に向かわざるをえない人々・・・ほんの一例にすぎぬであろう、この物語だけでも「理不尽」という暗幕にじっとりと覆われるような気がする。 物語にそぐわぬ感のセクサスの抄訳には、人の温かさと愛しみが感じられ、人と人の間には通いあえる情感があることを思い出させてくれた気がする。
0投稿日: 2013.07.24
powered by ブクログ最終の下巻。 なんとなくは予想していたが、悲しい結末になってしまいました。 戦争には敵も味方もないのだ。 ただ、なんだかんだと理由をつけて戦争を推進する為政者とそれで得をする面々がいて、知らないうちに振り回されて犠牲になる庶民がいるだけなのだ、という感想をもちました。 本書の内容はほぼ史実に基づいているらしく、「あの戦争」で知られざる一つの戦いがあった事実を伝えてくれる本であると思います。 まさに大作。
2投稿日: 2013.07.24
powered by ブクログ浅田次郎の話題作が文庫化。占守島でソ連との最後の闘いに臨んだ兵士とその周囲の人々を一人称で語らせる形式。占守の戦いはもっと多くの日本人に知って欲しいですわ。
0投稿日: 2013.07.23
powered by ブクログ敗戦から69年目を迎える8月、この作品を読み、改めて戦争の理不尽さ、そして戦後の出発点に思いをはせることも必要か。 作者は、渡世人萬助の口を借りて、こう言っている。 「二度と戦争はするな。戦争に勝ちも負けもあるものか。戦争をする奴はみんな負けだ。大人たちは勝手に戦争をしちまったが、このざまを覚えておいて、おめえらは、二度と戦争をするんじゃねえぞ。一生戦争をしねえで畳の上で死ねるんなら、その時が勝ちだ。じじいになってくたばるとき、本物の万歳をしろ」 かつて子供だった、今生きている誰もが、心に留め置く心得ではないか。
0投稿日: 2013.07.13
powered by ブクログ全く知らない悲劇。勝てる戦力で勝ってはならない戦い。その後の厳しい抑留。この史実があって今の日本がある。戦争は悪行。しかし、その中で闘った人間までは恨んではいけない。 しかし、ソ連のそれはやはり悪魔の行いだったと思ってよい。その後、ソ連が続かなかったことが全て。因果応報。
0投稿日: 2013.07.10
powered by ブクログ占守島の戦闘がメインになるかと思いきや…という意味では肩すかし。 戦争が残したもの、戦争という異常事態がもたらす恐ろしさを現すという意味では読後がモヤモヤするのは正しいのかもしれない。 サーシャの不思議体験はちょっと飛び道具すぎたなあ~
0投稿日: 2013.07.08
