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光抱く友よ
光抱く友よ
高樹のぶ子/新潮社
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総合評価

25件)
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8
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    道徳的な問題が善悪の判断とすれば、表題作含む三作はどれも決定不能なものに対する主体的な判断があり、倫理的次元における少女の葛藤が、若者の青春という親しみやすさ、または俗っぽさとは一線を引いて語られ、そのエモーショナルな雰囲気に誘惑されていると、どっちつかずのような問題ではない、その判断で幸か不幸が待ち受けているのではないような、その判断を自らの手で引き受けるしかないような状況が訪れるため、 インフルかコロナか分からないが体調悪いため手っ取り早く読めるものをと思って開くようなものではなかった。こう書くと堅苦しい話かと思われるかもしれないが、特に二作目の「揺れる髪」にあるような母娘の可愛らしいすれ違いなど懐かく感じる話もあるのでとても良い。

    0
    投稿日: 2025.10.20
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    昔の人の貞操感はかなり古臭いという感じがしなくもないけど、今の時代も人との繋がりが難しいという中、実は今の時代の若者にもこれくらいの意識を持つ人が一杯いるんかもしれない。いやもちろん全く同じじゃないだろうけど、経験がないまま年を取れば一緒だろうし。 何が言いたいんだと聞かれれば昭和の本だけど令和になっても十分に現役かもと思えるような部分も多くあって、青い春の中にあるダークサイドというかモヤッとした部分に触れるのもまた年寄りの嗜みじゃろうか。

    0
    投稿日: 2025.09.15
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    3つの短編。 いい人そうに書かれていた先生も 問題児には決めつけて怒鳴る。 母親も子供を決めつけ、シングルだからと嘆く。 この時代だな、という感じです。 子供同士の在り方は、今もそこまで変わらない、かも?

    0
    投稿日: 2024.07.02
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    初・高樹のぶ子。読んでもいないのに私の中で「女性向けの作家」という思い込みがあって手を出していませんでした。 芥川賞作品を受賞した表題作の他に「揺れる髪」「春まだ浅く」の2編。 「光抱く友よ」は良いですね。 大学教授のひとり娘である主人公・涼子とアルコール依存症の母親を抱え、水商売のかたわらに高校に通う松尾の友情物語。二人のキャラも、物語の流れも良くて、芥川賞らしい凝った見事な文体がむしろ邪魔になるほど。特に松尾は魅力的で、映画化すれば良いように思いますが(かつてTVドラマ化された様です)が、40年前の作品だからもうネタとしては古いかな。 母と小学生の娘を描いた「揺れる髪」も良い短編でしたが「春まだ浅く」はちょっと期待外れ。思想を全て登場人物に語らせるような(情景や行動ではなく)手法で読み疲れてしまいました。 全体としての感想は、やっぱり「女性向けの作家」なのかな。

    4
    投稿日: 2024.05.23
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    表題作はとても瑞々しく良かった。 ただ、あとの2篇は女性的な感傷が強すぎて正直鼻に付く。どの登場女性もエゴイストで、作者が自己投影していない事を祈りたい。その一方空間の色彩や温度感の表現が豊かで、他作が気になりもした。

    1
    投稿日: 2023.04.09
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    タイトルにひかれて手に取った。 表題作「光抱く友よ」は優等生の涼子と不良の松尾、全然違うタイプの出会いと別れ。ずっと涼子のほうが追いかけてたし好きって言ってるし恋愛でなくとも二人の関係は特別。でもハッピーエンドにはならない。そこがよかった。 全体的に昭和ノスタルジックだが、本筋はそれを気にせず読める。表題作が1番好みだった。

    0
    投稿日: 2023.01.20
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    今は離れてしまった郷里防府の地が舞台だ。作中、郷里の情景描写が巧みで味わいがあった。 そして女の友情の物語、作者は二人の女子高生に限りない優しさをもって描いている。大学教授を父に持つ相馬涼子は早熟の不良少女松尾勝美に言う。「うちは、なんで松尾さんみたいな皆がよく言わんひとに近づいたのか自分でもわからん。ただ松尾さんは、これまでの十七年間、うちの心がきちんと片づいとったところを引っくり返したんよ」と。青春の中での友人の位置をどのように評価しているか作者の心中を推し量れる。

    0
    投稿日: 2022.11.09
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    久しぶりに、本当の小説らしい本をよめた。 高樹のぶ子のえがく…清冽な女性の描写が、 今どきにはない新しさをかんじさせる。 ストイックなことは結構みだらさを含んでいて、今のように性におおっぴらな時代にかえって妖しいものを見せてくれる。 フランスの哲学的な小説を思い出させられるのは自分だけかもしれないけれど。

    0
    投稿日: 2020.11.19
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    全体的に昭和のノスタルジーを感じました。木造校舎のにおいがしそう。 『光抱く友よ』おとなしめの優等生涼子と出席日数不足で一年遅れの不良少女松尾の女子高生の友情物語。心理描写が細やかで繊細にていねいに書かれていて、でもくどくないところがいいですね。ハッピーエンディングではないけどしんしんと切なさが染みてきて余韻が残ります。『揺れる髪』母と娘がすれ違った後で和解する話。かえるのエピソードはちょっと気持ち悪い。母親がヒステリックに感じるところがあったけど丸く収まったのでほっとしました。でも普通あんなこと言われたら子供は傷つく。この親子この後も大丈夫なのだろうか?『春まだ浅く』心から惹かれ合いつつも結婚するまでは性的な繋がりを持たないことにこだわる短大生と大学生カップル。うーんこんなに深くややこしく悩まなくてもいいのではないか?でもこういう時代だったのかな。容子の気持ち分からなくもないけど、容子の友達の貴子にまであれこれ言われて恒夫は複雑な女心に悩みが深くなってしまったのではないか?お気の毒に、と正直思った。

    0
    投稿日: 2017.11.12
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    書かれた年代が随分昔ではあるけれども、毒親の内容・・・。描き方がとても丁寧で、その時代の家の感じなどを想像しながら読み進めました。 女同士の友情が描かれています。 感情面は特に描かれていないのですが、切なさがとても伝わってきました。いい作品ですね。

    0
    投稿日: 2016.11.28
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    1983年下半期芥川賞受賞作。小説に描かれている時期はいつ頃だろうか。筆者自身の体験がもとになっているとすれば、1960年代半ばの山口県防府市ということになろうか。今でこそ普通の共学になったようだが、かつて山口県内の公立高校は長らく男女別学(校内に男子棟と女子棟がある)だった。そこでの相馬涼子と松尾勝美との交友とすれ違いとを描くが、それは結局のところ交点を結ばない。涼子は、理解しようとしたはずのクラスメート(いわゆる不良であり、特異な環境にいる)を最後までファーストネームではなく、「松尾」と呼ぶのだから。  芥川賞としてはややインパクトには欠けるか。この時の候補作では、むしろ干刈あがた「ウホッホ探険隊」の方が良かったかもしれない。高樹のぶ子にはまだ次があり得た。  

    1
    投稿日: 2014.03.08
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    優等生の涼子と不良少女松尾勝美との出会いと友情を描く、芥川賞受賞作「光抱く友よ」。涼子は松尾の母親を通して自分にはない松尾の強さと優しさを垣間見る。その他短編2作品。

    0
    投稿日: 2014.01.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【美しさと緊張感が漂う女性同士の関係を描く名作】 大学教授を父に持つ、ごく普通の家庭で育った優等生の相馬涼子。一方、アル中で障害を抱える母親を持つ、不良少女の松尾勝美。二人の女子高生が微妙な距離を保ち、緊張感を持ちながら淡い友情を重ねていく過程を美しい文体で描いた『光抱く友よ』。美しい文体ながらも、学校でも、家庭でも緊張した空気を感じる。 淡くも儚い友情に終わる2人の関係だが、涼子の心境の変化がひしひしと伝わる。また、松尾と母とのやり取りにも緊張感が漂うが、母親に対する松尾の優しさも垣間見え、女性とは不思議なものだと考えさせられる。高樹のぶ子が芥川賞を受賞した作品ということで読んだが、彼女は思春期の女性を描くのが本当にうまいと感じた。重苦しいように感じたが、不思議とスピーディに読めたのも、彼女の筆力の賜物だろう。 その他、気の強い娘についていけない母の心理描写を描く『揺れる髪』、セックスなしの関係を交際相手と続ける主人公と真逆の友人の同居生活を描く『春まだ浅く』の2編が収録。女性の処女性についてはわからなくもないが、古いと感じてしまった。『光抱く友よ』については、読者次第かと思うが、芥川賞を取るだけの名作であると思う。

    0
    投稿日: 2013.06.12
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    うーん結局の所、何が言いたかったのか私にはとらえ切る事が出来ませんでした…。 表題作を含め三作品で成り立っています。 表題作の、光抱く友よのアル中の母、何とも生々しくて かなりの嫌悪感を抱いてしまいました。 ドラマ化もされているみたいなので、映像で見たら又違った捉え方が出来るかも!

    0
    投稿日: 2012.12.06
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    芥川賞受賞作。少しでも不純なものを見つけたら、たちまち全てが嫌になってしまう、その時期にある葛藤を思い出した。人間の根底にある1つのドラマを見ているようだった。

    0
    投稿日: 2012.03.22
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    私はあんまり作家によって作風が女性的だとか男性的だとか思わないんですけど、この本に限っては本当に女性でないと描けない世界だなと思いました。 本当に繊細で心の裏側まで透け出るような奇妙な透明感があります。 個人的に好きだったのは二篇目の「揺れる髪」です。 すべてが砂糖の砦の上でのできごとかのように、 ゆらゆらとしていて。 繊細な強さのある作品たちです。 とてもオススメです。 心の底から湧いて出るきれいな涙を流せる気がします。

    0
    投稿日: 2010.05.20
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    (2004.08.24読了)(2003.03.08購入) この本には、芥川賞受賞作の「光抱く友よ」を含めて3つの短編(「光抱く友よ」「揺れる髪」「春まだ浅く」)が収められている。表紙の藤井勉さんの絵から幼い子供の物語と勝手に思っていたのだが、「光抱く友よ」は、「ア・ルース・ボーイ」と同じ17歳の高校生の話だった。 ●光抱く友よ 相馬涼子、平凡な女子高生?担任の英語教師三島良介に他の女子高生と同様憧れを抱いている。学校は、男子校舎と女子校舎別れている。瀬戸内に面しているというのだから著者の故郷山口県の話なのでしょう。 ある日の放課後、階段の踊り場で、三島が、同級生の松尾勝美を叱責しているのを聞いた。三島の乱暴な口の聞き方を聞いて、三島に対するあこがれの感情は消える。 松尾は、本来一学年上の生徒なのだが出席日数が足りなくて、一年生を二回やり、二年になって涼子と同じクラスになった。週の半分も学校に来ないし、出てきてもいつの間にかいなくなる。授業中も教師に指名されると物憂げに立ち上がり「わかりません」と答えるだけなので、教師も相手にしなくなる。定期試験の日は登校し、白紙に近い答案用紙で、鉛筆を転がして解答している。松尾に関しては体を売っているとか中学一年の時に堕胎したというような噂まである。 涼子は、階段でのことを聞きたくて、松尾に声をかけて一緒に帰る。 三島が松尾の母親宛の手紙を書き、母親からの返事を書いてもらったのだが、あまりにも稚拙なので、信用してくれなかったので、涼子に代筆を頼んできた。 交友が始まり、誘われて訪ねた松尾の部屋には、天体図が多数貼られていた。隣の部屋には、母親が寝ているという。母親は、酒びたり状態のよう。松尾は、母親と喧嘩しては家出を繰り返してきたという。そのたび男友達、女友達、と泊まり歩いては、戻るという生活だった。米兵のマーチンと知り合ってからは、マーチンのところに行っていたらしい。そのマーチンとも喧嘩してしまったという。天体図はマーチンの影響である。 母親は、精神病院に入り、松尾は母親の代わりにホルモン焼きの店をやっている。 みんなから排除されている少女と知り合って、涼子は何を得たのだろうか? 「損したあ、あんたと出合うて」と言わせているけど。 著者 高樹 のぶ子 1946年 山口県生れ 東京女子大学短期大学部卒業 1984年 「光抱く友よ」で第90回芥川賞受賞 1994年 『蔦燃』で島清恋愛文学賞受賞 1995年 『水脈』で女流文学賞受賞 1999年 『透光の樹』で谷崎潤一郎賞受賞

    1
    投稿日: 2009.11.19
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    この作品を読んでいると相馬涼子という高校二年生の普通の女の子が、憧れの担任の三島先生が松尾勝美(涼子より一つ年上だが留年して同じクラス)に対しての暴言ともいう言葉から三島に失望と憤慨を覚え、勝美に近づく。そこで勝美のすさんだ態度、母親千枝と勝美の家庭の状況にとまどいながら、自分も周囲の人間から違ってみられるようになっていく。

    1
    投稿日: 2009.11.12
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    芥川賞シリーズ⑩ 不良少女と周りに言われている松尾勝美と大学教授の娘で大人しく控えめな高校生涼子。二人の家庭環境や境遇は対照的なものである。なのに涼子は勝美に対してあこがれ以上の「光」を感じる。思春期にいろいろな悩みを抱えるがそれを乗り越えてしまったかのような勝美の生き方は、これから青春を謳歌しようとする涼子にとってまぶしいものに映ったのかも知れない。 勝美にとっては涼子の家でみた天体望遠鏡からみた星は偽物に映ったのだろう。目で見える現実は彼女にとっては辛いものが多く、真実を覆い隠している涼子の家庭がそこに見えているのだろう。 「光抱く友よ」と語りかけているタイトルがこの二人の将来を語っているようで読後感がすーとできた作品でした。

    0
    投稿日: 2009.10.12
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    09/8/05〜09/8/16    ゆっくり読んだ。「光抱く友よ」が一番鮮烈な印象。(読んでいて、灰谷さんの、『少女の器』を思い出した) でも好きなのは、「揺れる髪」。

    0
    投稿日: 2009.08.17
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    外見的には取り立ててとりえがないけど、知性があってかつ温厚な父親と家庭的な母親に包まれて幸福に暮らす主人公。 彼女の同級生である、アル中の母を抱えて貧しい中生きている、美人で早熟な松尾。その二人の友情物語。 こういう、間に男性登場人物を介在しない、「女の友情モノ」って、意外と見たことないですね。距離を詰めるとお互いが傷つく。あのあと二人が並んで語り合うことはもうないのでしょうし、「心通い合う友」にもなれなかったわけですが、けれど二人の心の一番深いところは、一瞬確かに重なり響きあったのだと思います。ラストを読んでいるときはもう涙目でした。 この作品だけなら間違いなく★5なのですが、同時収録の母娘の話はあまり響かなかったので、★4に。

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    投稿日: 2009.05.13
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    『光抱く友よ』は、優等生の主人公と不良少女との関係という、青春小説によくあるようなテーマである。それに、味気ない、淡々とした文章で始まるため、読み始めはとっつきにくい感じがする。 しかし、最後まで読むと、この味気ない文章とテーマが、ものすごく良く見えてくる作品になる。 この変化には驚いてしまう。 特に面白いという作品ではないし、テーマもありきたり。 だが、作品名の『光抱く友よ』にピッタリのストーリーとクライマックスであった。

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    投稿日: 2008.06.27
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    書かれてからかなりの時間が経っている本だが、その時間を感じさせるどころか、良質な文学を読んだ時に感じる爽やかな読後の印象が残った。作者の漢字使いのセンスがよかった。(2005.7.18)

    0
    投稿日: 2007.11.25
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    女性作家は場面の説明にこって、出来事の描写に終始してしまうことが多いように思います。これは人の好みですが、私は、あんまりそういうのは好きじゃなくって、もっと内面をぐっと掘り下げて、かつ簡潔な言葉で言いきって欲しかったりするので、高樹のぶ子さんの文体はうならされました。邪魔な装飾をはぶいて、質素で硬質なんだけど、鋭く本質をついています。

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    投稿日: 2005.09.28
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    「体の奥の、ほんのわずかな暗闇よね、私が守ろうとしているのは。容子はそのちょっと手前でがんばってる。その違いはあるけど・・私が言いたいのはさあ、彼女が自分にとって最後の一線だと思っているものが、ちっとも最後じゃないってことなのよ。一線なんて、もっと奥の、とことんの奥にだって引けるってこと。どこにだって引けるし、みんなそうしてるのよ」(p.177)

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    投稿日: 1995.01.01