Reader Store
スクールボーイ閣下 下
スクールボーイ閣下 下
ジョン・ル・カレ、村上博基/早川書房
作品詳細ページへ戻る

総合評価

10件)
3.9
1
7
0
1
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「あれはどこかべつの土地、まったくべつの宇宙での出来事だった。彼はここでは場違いな人間だった。けれども、彼もまたこの悲劇にどこかで加担してきたのだ。」 スパイ小説には悲劇が似合う ソ連の伝説的スパイ”カーラ”によって被った壊滅的打撃からの復活を目指す新生英国諜報部 率いるのは我らがジョージ・スマイリーだ スマイリーは”カーラ”に反撃すべく、ソ連からの金の流れを追う たどり着いたのは香港に住まう中国人富豪ドレイク・コウ 送り込まれたのはスマイリーを師と仰ぐ新聞記者で工作員ジェリー・ウェスタビー ジェリーの活躍もあり、中国諜報機関中枢にいるコウの弟ネルソンが”カーラ”のスパイであることが判明 スマイリーはネルソンを捕らえるべく、秘密作成を開始する しかし、インドシナ半島に潜入したジェリーは別の思惑からスマイリーの指揮下を離れ独自の行動を開始する スパイとは何なのか?スパイが存在することそのものが、この世の悲劇なのではないだろうか ジェリーを支配していたのは、ある意味非常に人間的な感情だったのだが、人間であることと、スパイであることは両立し得なかった そしてそのことが、スマイリーとジェリーに悲劇を引き寄せたのだ 人であることもまた悲劇なのだろうか

    57
    投稿日: 2025.05.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    カーラの資金を受け取る香港の大実業家ドレイク・コウ。彼の弟ネルソンは中国情報機関の中枢に送り込まれたカーラの二重スパイだった。そして今、ウェスタビーの調査でドレイクが重大な計画を企てていることが判明した。スマイリーは、それを利用して秘密作戦を開始する。が、ウェスタビーが指揮下を離れ、独自に行動していたとは知るよしもなかった。 38年ぶりに再読。ページ数はそれほど多くないが、活劇シーンも読ませます。

    8
    投稿日: 2025.05.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    下巻も相変わらず文章が読みづらくて時間がかかってしまった…。 これは元の文が読みづらいのか訳のせいなのか。 下巻は結構動きがあり、特にラスト100ページくらいは先が気になってさっと読めました。 前作のティンカー〜…の終わりの時にもあった唐突にストンと終わる感じがあって少しびっくりしました。 スマイリーやギラムの出番が少なかったのでそっちがメインなら私は精神的にもっと読みやすく感じたかもな、と。 フォーンが狂犬って感じで結構好きでした。

    0
    投稿日: 2017.09.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    読んでいて小説の世界にずっぽり浸れるのが、心地よい。ウェスタビーのクズヒーローぶりが、ちと不愉快。描き方がうまいから文句をつける気はないんだが、でも女の視点から見ると、ひとりよがりだな。

    0
    投稿日: 2017.03.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻での点が次々と線に。 どんどんジェリーやスマイリーを取り囲む状況が明らかになった。 でも状況が複雑でどうすれば解決、といえるのかさっぱり。 ギリギリの精神状態のジェリー、とうとう任務を捨て美女と逃走。 あんなにタフなスパイだったのに、崩れ始めるとあっという間だなあ。 スマイリーの敵は他国だけじゃない。カズンズへの対応で割れる英国政府。アメリカの力は絶大ですもんね…。 個人的にはドレイクとネルソンの兄弟愛にしんみり。 あんな権力を持った大人になったのに、支えになるのはお互いだけで、危険を冒しても会おうとするんだなあ。 それだけにラストはやりきれない。 ジェリーの最期も、はぐれ狼の哀れな最期って感じで気が重い。 スマイリー率いるサーカスも目的は果たせたはずなのに手柄はうやむやでカズンズが台頭。 後味の悪い結末です。 ってこれだけ読むと暗いだけで全然面白くなさそうだけど、面白いです!(笑) 後味が悪いのも面白さのうち、と思えるのがこの小説の魅力なのかも。

    0
    投稿日: 2015.12.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    所謂スマイリー三部作の中核を成す長編だが、とにかく読み終えるまで忍耐を要した。前作からの重厚感たっぷりの筆致は本作で極限まで達している。濃い霧の中を電池切れ寸前の懐中電灯を持ってそろそろと歩むが如き第一部を終え、末端の工作員が内戦中のカンボジアを舞台に活躍し始める段になってようやく物語は精彩を取り戻すのだが、宿年の敵であるソ連の大物カーラへの打撃が如何なるものであるのかは釈然としないままに、これまたぼんやりとミッションは閉じられていくのである。 国家間の覇権争いの下、単なる駒として扱われ、虫けらの如き悲劇的な末路を迎える諜報員を描くことはスパイ小説の常套だが、本作ではそれさえも弱められた印象だ。やはり、饒舌過ぎるのである。この作品にエンターテイメント性を犠牲にしてまで訴える何らかの哲学を感じることは少ない。

    0
    投稿日: 2015.05.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    本の分厚さ以上の読み応えです。 スマイリー三部作の中核を成す作品であり、最も、いわゆるスパイ小説っぽい作品かもしれません。 当時の世界情勢に漂う緊張感が痛いほど伝わります。

    0
    投稿日: 2014.02.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    能の序破急のようにゆっくりゆっくりぐわぐわっと盛り上がっていく物語。往時のカンボジア、ベトナム、ラオス、日本、アメリカのこともそこはかとなく伝わってきます。ジョージ・スマイリーはチャーリー・マフィンかそれ以上に素晴らしいキャラクターです。次も楽しみ。

    1
    投稿日: 2012.12.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    積み上げて積み上げて積み上げてのラスト!!怒濤で、でも淡々と分析口調で、提示されたデータからどこまで読み取って燃え上がるかは読み手に任せてる感。 下巻は間違いなくウェスタビーのもの。前作は上層部の、本作は現場工作員のリアルなのかな。

    0
    投稿日: 2012.11.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    上巻でへこたれずに読む事。 それにつきる、かと。 スカルプハンター=現場 と サーカスとの諸々な距離感が とてもリアル。他人事ではない 共感を覚えて苦笑。 ラストで報われるかといったら・・微妙。 じっくり腰据えて 楽しむ本。 ストーリーを追うばかり 与えられるエンターテインメントを 消費する作品ではない。 横文字の登場人物多数だもんだから時に『これ誰だったっけ?』 行きつ戻りつ手間はかかるし気力体力使うけれど その価値はあると思う。

    0
    投稿日: 2012.05.20