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流れよわが涙、と警官は言った
流れよわが涙、と警官は言った
フィリップ・K・ディック、友枝康子/早川書房
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総合評価

77件)
3.6
7
28
25
5
0
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    フリップ・K・ディックらしい、「現実」と「虚構」の境界が曖昧な一冊だった。国民的スターである主人公が、ある日突然「存在しない人間」になるという不条理な状況に放り込まれ、そこから彼のアイデンティティと社会のシステムが崩れていく過程が描かれる。ラスト近くでは、その異常体験に一応の説明が提示されるが、かなり強引で、「結局何だったの?」という疑問は残る。ただ、その“納得しきれない”感覚こそが、まさにディックらしさでもある。整合性よりも、喪失や孤独、不安といった精神のリアリティが強く伝わってきた。タイトルに込められたルネサンス音楽の哀しみが全編に響いており、読後には不思議な余韻が残る。「説明できないけれど、何かが壊れ、何かが変わった」——そんな読後感を与えてくれる、特異な作品だった。

    0
    投稿日: 2025.06.19
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    「有を名TVのMC・歌手で3000万人の視聴者を持つ男」が目覚めたら薄汚いモーテルにいた。誰も自分を知らず、政府のIDバンクにもデータがない「名無し」になる、というサスペンスフルで思わず読みたくなる導入から始まる。が、そこから主人公と女たちの会話に重点が置かれて愛と別れが語られ文学的な味がする作品となる。後半ではもう一人の主人公である警察署長に視点が移ってしまい当初の緊迫した謎や展開はどこかにいってしまう。 個々のエピソードは素晴らしいが全体としてみると序盤の期待が外れてしまうため残念がところがある。はじめから愛と別れをテーマにした文学作品だと思えばいいのかもしれない。

    0
    投稿日: 2025.05.05
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    世界のみんなから知られているタヴァナー しかし、目を覚ますと世界の誰も自分のことを覚えていない 記録からも消失し、警察からも追われる タヴァナーは警察のパワーゲームのために犯罪者の容疑にもされていき、より奈落に落とされていきそうになる 警官のバックマンが親しき人の深い悲しみに包まれた時に涙が流れる

    0
    投稿日: 2025.03.30
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    ディック作品を読破したいので読了。 『大事な何かをなくしてしまうことの喪失感とそれに付随してくる涙』が作品の根幹にあることを頭に入れておくと読みやすいなと思う。設定や物語の展開も綺麗で読みやすく最後の物語の畳み方も綺麗だと思う。 最初に読み始めた時は「自分がなぜ世界から忘れ去られてしまったのかを探りながらも取り戻すミステリーSF」なのかと思っていたため、主人公の周りで狂乱する登場人物を少々くどく感じていた。しかし、読み終わり振り返ってみるとそれらは物語として必要なピースであり、主人公の問題には関与してしなくとも作品全体としては必要なものだったのだと気付かされた。「謎は主人公が解決するものであり、関わる多くの人達が解決のためのヒントなのだ」という先入観が私自身の中にあったことに気づけて良かった。

    1
    投稿日: 2025.03.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    非常に読みやすい! ディック長編の入門書としてもおすすめかもしれない作品。 実は「逆まわりの世界」を読み始めたんだけど、 内容は絶対好きなやつなのに、2〜3日経っても全然読み進められず、、 それでそちらを諦めて、次に本棚から手に取ったのがこちら。 とっても読みやすくてあっという間に読んでしまった。 面白いのが、読み手のドキドキの対象(語彙力ほしい…)がある時点でガラリと変わること。 最初、パラレルワールド的な展開に直面して「やっほー私の大好物!!」となったと思いきや、 なんとその真相は非常にアッサリと解決されてしまう。笑 でもそこで何故か全然落胆(期待外れ感)はなくて、 その後は凄いスピードで物語の方向が変化していく。 私にとってはそのからくり(?)自体がもう想定外すぎてかなり衝撃的。 しかもこんな凄いSF仕掛けを思いついたのに、それをさらりと解放してそれで終わりっていうところが、ディックの天才要素を体現している気がして感無量。 (だってもし私がこんな仕掛け思いついたら、これをテーマに掘り下げて掘り下げて、長編一冊描きたくなるもの!!普通はそうだよね?) ブレードランナーから入った私は、スイックス→six→セブンって並びを見てネクサスシックスやん!って興奮したのも思い出。 あとがきを読んで初めて、「あ〜たしかにタヴァナーは一度も涙流してなかったかもなあ」とは思ったけど、“愛”についての深い描写についてはあまりピンとこなかったかなあ。 もし結婚したり子供ができたりして、“最愛の人”という存在ができた時には、また違う感動が得られるのかもしれないな。

    3
    投稿日: 2024.06.02
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    スイックスという存在に惹かれた。 いわゆる遺伝子操作された特別人種みたいな存在大好き。 ディックの小説はSFだけど哲学的なテーマが垣間見えて文学チックで良いよね!

    0
    投稿日: 2024.04.27
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    ジョン・タウランドの『流れよ、わが涙』(涙のパヴァーヌ)をタイトルに持つ本作。作中にも触れられていて、ディックはクラシック音楽が好きなんですね。 ある朝、男が目を覚ましたら誰も自分を覚えていない…国家データバンクからも記録が消失した”存在しない男”になっていた。男の名は、ジェイスン・タヴァナー。一般人ならいざ知らず、彼は歌手であり司会も務める、三千万人の視聴者に愛されるマルチタレント。誰もが知っているはずなのに、かつての愛人まで知らないと言う。そして、管理社会であるこの世界で必須のIDカード(身分証明書)も無い…あるのは大量の現金だけだった。 彼は、何が起きているのか確かめるためにも、偽造でもいいからIDカードの入手に迫られ、偽造ID製造を生業にしている女性に接触します。しかし、その女性の精神異常に翻弄されて、その後は警察に目をつけられることに。警察でも彼の記録は確認できないでいましたが、フェリックス・バックマン警察本部長だけは”ジェイスン・タヴァナーは実在している”と考え動き出します。 という話しなのですが、後半は視点がタヴァナーからバックマンに移ったり、パラレルワールドかと思ったらそうではなかったり、と全体的に説明不足ながらも意外性のあるストーリーで楽しめました。それは、ひとえに解説が秀逸なこともあるのだけれど。例えば、タヴァナーとルースとの愛についての会話のやり取り(この場面、結構好きです)で、なぜタヴァナーがあれほどドライな応対だったのかとか、エンディング間際のバックマンの大袈裟過ぎなのではと思われた行動などが理解できて良かったです。 ※読んだのは、黒背景の表紙がポジトロンの文庫です。 正誤 15刷 P263の8行目: なっったように思えた ↓ なったように思えた

    22
    投稿日: 2024.04.26
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    ディックの名作とされる作品。ただ後半はよくわからなかった。なぜ警官はタヴァナーに罪を押しつけなければならなかったのか。タヴァナーが世界を異動したことの意味、エピローグの意味は何なのか、とか。もう一度読む必要があるか、、、。

    0
    投稿日: 2024.01.11
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    アイデンティティという薄っぺらな幻想 「悲しみは最も完全で圧倒的な体験、だから悲しみを味わいたいのよ。涙を流したいの」 愛するということの人それぞれの解釈、そして、愛を得て失うという痛みが、主人公ジェイスンの置かれた状況に絡みつく登場人物達によってもたらされる。 キャシイ、ルース、メアリー・アン、バックマン、アリス…… 「ブレード・ランナー」のような世界観とはひと味違うが、これもまた、特別なフィリップ・K・ディックの世界。

    2
    投稿日: 2023.07.18
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    最愛の人に去られたディックの自伝的小説という趣の強いこの作品は、自己の同一性や認識している世界の崩壊というディックの作品に通底している恐怖をベースにしつつ、もう一つのテーマとして愛を割と純粋に語っている作品でもある。愛は自己保存の本能を凌駕し他者への献身、執着をもたらす。 作中で様々な人物が自分なりの愛を見出そうとしているが、その中で主人公であるジェイスン・タヴァナーだけは愛を理解しない。それは彼がスイックスだからかそれとも生来のものなのか。 現実の分裂は観測者だけのものではない。観測されるものもそれに巻き込まれる。 また絶望の底に落ちてからの再生を匂わせて終わるところもらしい部分である。 その他にも警察機構、大学、学生運動、ドラッグなどディックの実体験も物語の随所に散りばめられている。

    1
    投稿日: 2023.03.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    近未来的で、どこか古臭い。 この本が出版された当時想像されていた“近未来”が、頭の中に浮かんでくる。 どこか退廃的で薄暗い雰囲気は、前に読んだ電気羊を思い出させてくれた。ディックの書く近未来は、なぜか心地良い。 巻末の解説を読むと、執筆当時の著者の状況が色濃く反映されているようだ。 読み始めた当初、スイックスという存在の謎やタヴァナーの記録抹消の解明がなされていくストーリーかと思っていたので、やけに回り道が多い話だなーと思っていた。(恥ずかしい) 涙と愛にまつわる物語。 嘆きと悲しみに対して新しい考え方をくれた

    0
    投稿日: 2022.11.02
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    かなり文学的というか作者の感性が多種多様な登場人物によって語られる。個人的にはSF要素のオチも嫌いじゃない。名作なんだなあ。

    0
    投稿日: 2021.12.27
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     飽きることなく(一気に、とまではいかないにしても)読み進められる。かなり読みづらいんだけど、不思議なことに。  二部終盤辺りから凄く面白くなって、そこから加速度的に面白くなるのに、膨らみ切らずに終わってしまったような印象を受ける。いつも思うけど、ディックと自分の関心は別のところにあるんだろうな。ストーリよりもむしろ、葛藤とか、アイデンティティクライシスみたいなところに、凄く神経を割いている気がする。  あとは、人物の考えや、話の方向性がころころ変わったり、事実と虚偽が同列に並べてあって分かりづらい。いつものことと言えば、そうかも知れないけど。  また今回は更に、単語の説明も少ないと感じた。作中のアイテムや単語に関してキャラクターがべらべら説明しないのは、それが彼らにとっては当然のものなんだし、理には適っているんだけど。こういう部分も含めて、ディックの見えていた世界が映し出された未来観かな、と思った。大学や強制収容所という単語にさして説明がないのは、(後者はともかくとして)そういう単語が出てきた時点で、発表されたリアルタイムだったらば、「今のこの事態を発展させたものね」という感じでするっと理解できるからなのかな、と。また、世相という点のみならず、自伝的な内容であるらしいという観点からも、ディックの視点を通じて描き出された小説だったといえるかもしれない。

    0
    投稿日: 2021.06.02
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    「いったい何が起こっているんだ?」 主人公を襲う、夢なのか現実なのかわからないサスペンス劇、かと思いきや……? 「これからどうなる?」というドキドキやハラハラで終盤まで引っ張り、昨今のエンタメに慣れた人にも面白く読める。そして明かされた謎……も良くできているが、この作品の本題はそこではないのだろう。 真実が明かされた後に描かれる人間の葛藤・ドラマにこそ、その真価がある。愛と涙。心が洗われるようなラストシーン。哀しみは美しくすらあり、最後にはどこか暖かい気持ちが残る。そして迫ってくるタイトルが、あまりにも秀逸だ。

    0
    投稿日: 2021.02.03
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    人気タレント、ジェイスン・タヴァナーがかって目をかけた女性から危害を加えられ、緊急手術を受ける。手術後、タヴァナーは安ホテルで目を覚ます。するとこれまで知り合いだった人々が誰もタヴァナーを覚えておらず、あろうことか出生記録など国が管理する個人記録すらはじめからなかったことになっていた。個人を示すものがなければ警察により収容所に入れられてしまう。タヴァナーの放浪が始まっていく…という物語。 ただ作品の大きなテーマは「悲しみ」。様々な悲しみが描かれており、描かれるシーンはそれぞれ印象的。とはいえタヴァナーの記録の抹消とどう関係しているのかあまり読み込めていない…

    0
    投稿日: 2020.10.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    今までの壮大な物語はなんだったんだ…という主人公の突然の移り変わり 最後のなるほど、だからこのタイトルという展開は凄かった

    0
    投稿日: 2020.05.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公のタヴァナーの言動行動がどこか人間味に欠けるなぁと思っていたら、そういうことだったのか…!ある種のアンドロイドなんだ。 一見悪役であったバックマンがタヴァナーと違って他人にシンパシーを感じ悲しみに涙することのできる人間だったんだな。前半と後半ではストーリーの軸というか誰を主人公と捉えて読むかがガラリと変わる本。

    1
    投稿日: 2020.04.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    流れよわが涙、と警官は言った(ハヤカワ文庫SF) 著作者:フィリップ・K・ディック 物語の前半と後半とでは印象が全く異なり、一貫性がないのが辛い。筋立てよりも、登場人物の心の遍歴を描きたかった作品なのだと思います。 タイムライン https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

    0
    投稿日: 2019.10.18
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    自家用飛行機が飛び交う世界。3000万人の視聴者をもつ人気エンターテイナーーの男はある日突然安宿で目覚める。この世界では絶対に必要な身分証も無く、あるのは直前に持ち歩いていた大量の現金だけ。 出会うひとも、電話をかけた相手も誰も自分の事を知らない。 世界観はSFではあるけれど、中身は二人の男の愛と喪失の物語。面白かった。

    0
    投稿日: 2019.08.17
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    自分に関する記録が政府にはなく、自分に関する記憶も相手にはないという世界に放り込まれるジェイスン・タヴァナー。この、いかにもディックらしい登場人物を中心にして物語の前半は進行していきます。 しかし、この人物はタイトルにもなっている「警官」ではありません。後半になっていくにつれて、この警官、その妹、そしてタヴァナーの三角関係にも似た人間関係が描き出されていきます。 ほかのレヴューでも指摘されていますが、涙を図らずも流すことになる警官の心情に共感できるか、あるいはそれに近いものを感じることができるかが、本書に対する評価を分けることになりそうです。個人的には、だめでした。ディックが自分を投影せざるを得なかった作品と認めているそうですが、そこはぐっと堪えてもっと距離感を保ってほしかったです。

    0
    投稿日: 2019.03.22
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    非常にエモーショナルな作品でした。「哀れっぽい哀しみ」というか、無力感に裏打ちされた希求というか。中盤、ある女性がうさぎの話に続けて語る愛の話は、特にストレートで、今の自分に共鳴しました。(エピローグで彼女のその後を知ってから読むとまた。)あとがきを読んだ限り、当時の作者の精神状態をおおいに反映しているそう。次々に女性が現れるのも、結婚離婚を繰り返した作者の人生を反映しているのでしょう。SF的仕掛けに着目するよりも、登場人物達の語りに聴き入りたい本。

    0
    投稿日: 2019.01.02
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    失うこと、遺す/遺されること。主題は明るいものについてでなく、どちらかといえば暗いものについてだと思う。けれど、読み終わっても涙は流れず瞳にとどまっている。 自分の中でうまく消化できていないので、時間をおいてからまた読み返せたらなと。 日本語に訳された題、「流れよ我が涙、と警官は言った」。英語の原題以上に美しいなと思っている。

    0
    投稿日: 2018.12.07
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    著名なTVタレントのジェイスン・タヴァナーがある日目覚めた、見知らぬ安ホテルの一室。その世界では、誰も彼のことを知らず、彼に関する一切の記録が存在していなかった。自己を証明する一切を失い、かつての愛人からも不審者扱いされ、行き場を失ったタヴァナーは警察に追われる身となる・・・ タヴァナーが「自分に関する記録/記憶が一切ない世界」に放り込まれた理由が後半で明かされ、SF的な理屈が付けられています。が、それはこの作品の主要テーマではありません。 ディックがこの作品で表現したかったこと、それはSFの文体を借りた「愛の喪失」の物語である、と鴨は読み取りました。全てを失ったタヴァナーの逃避行の過程で、様々な男女の愛の喪失が語られます。誰からも顧みられない存在となったタヴァナー自身がそうですし、既に亡い夫の帰りを妄想し続けるキャシィ、誰かと接触し続けていないと生きていられないアリス、そんなアリスを嫌悪しつつも愛さずにはいられないバックマン本部長・・・どの愛も決して満たされない、メランコリア溢れる物語です。 そんなSFの枠を超える普遍性を備えた作品ではあるのですが、鴨の読後感は正直イマイチ・・・たぶん、登場人物に共感できるところがなかったからだと思います。 特に、ストーリー展開のキモとなるバックマンの愛の形が、物語の前半と後半とでは印象が全く異なり、一貫性がないのが辛い。筋立てよりも、登場人物の心の遍歴を描きたかった作品なのだと思います。登場人物に感情移入できないと、結構厳しいですね。 ハマる人にはたまらない作品だと思います。

    1
    投稿日: 2018.11.12
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    薬物が多く出てくるからかもしれないけど、全体的に混沌としている。 なんだか最後の方は、無理矢理終わらせたみたいな感じもした。

    0
    投稿日: 2018.10.30
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    フィリップ K ディック 「 流れよわが涙と警官は言った 」 近未来SFの面白さもあるが、キーワードは 涙の意味であり、愛のサイクルの物語(愛する→失う→悲しむ→悲しみが去る→また愛する)だと思う。特に ジェイスンとルースレイの愛についての会話は素晴らしい 近未来SFとしての面白さ *遺伝子操作→優生学→スイックス *KR3服用者の知覚対象全てが 現実世界から非現実世界へ移行 愛のサイクルの物語 *愛のサイクル=愛する→失う→悲しむ→悲しみが去る→また愛する *ジェイスンが愛するもの(失ったもの)=自分、人々の記憶 *バックマンが愛するもの(失ったもの)=詩的な美しい世界、ルール→失った悲しみの象徴は 涙→涙により自分を取り戻せる ダウランド「涙のパヴァーヌ」にバックマンの詩的世界を投影しており、ダウランドを聴くことにより 失った悲しみを忘れることができる ジェイスンとルースレイの会話 「愛しているときは もう自分自身のために生きているんじゃない、別の人間のために生きている」 「愛は本能に打ち克つ。本能は私たちを生存競争に押し込む〜他人を犠牲にして自分が生き残る」 「愛があれば あなたが消え去っても 幸福感をもって 愛する者を見守ることができる」 「悲しみは あなたと 失ったものを もう一度結びつける」 「悲しみは自分自身を解き放つことができる〜愛してなければ悲しみを感じることはできない」 「悲しみは消え去って この世界でもうもう一度うまく折り合っていく」

    0
    投稿日: 2018.07.03
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    ハヤカワSFが読みたくて購入。電気羊も読んでる途中なんだけど、どうもしっくりこない。アメリカ的な会話のやり取りがダメなのか、込み入った話の構成がダメなのか。。とにかく海外SFはちょっと距離置こう

    1
    投稿日: 2017.08.15
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    最後バッドエンドじゃなくて本当に良かった。読むのを迷ってる皆様、バッドエンドじゃないから安心して読んで下さいと言いたい。あ、でも若い学生さんとには少し難しいかも。 SF冒険奇譚かと思ってたんですが、あとがきで衝撃。そういう視点もありですね。なるほど、そこからあのタイトルかー。登場人物も面白く個性的で、最後は意外にもしっとり。私は好きです。

    0
    投稿日: 2017.03.29
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    デッィクに慣れてきたのかそれともそういう本なのか、いつになく話の筋がすっきり見える本だった。そのぶんグラグラ感は少なかったけど夢中で読んだ。やっぱりディック面白い!自分がある日存在しない世界に飛んでしまった男の物語。冒頭プルーストのくだりでにやり/人間何が起こるかわからないし理屈通りには動かない/<日常>にいる限り人は共通ルールに則っているが<日常の外>の存在はルール通りにはならない/悲しみは私と失ったものをつなげてくれるもの/恐怖は憎悪や嫉妬より始末が悪い/たまたま目に留まっただけで完全な白紙に歯戻せない理不尽/Mr.バックマンが死んだのは2017年

    0
    投稿日: 2017.01.15
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    SFをほとんど読まない自分にとっては長編はちょっと辛かった。面白さがよくわからない。SFを読むセンスが無いのかな。

    0
    投稿日: 2016.12.09
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    ディックの不条理物 違和感を感じるがそれがディック 表紙   7点上原 徹 展開   6点1974年著作 文章   6点 内容 700点 合計 719点

    0
    投稿日: 2016.06.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    TVスターがトラブルで手術室に運び込まれ,目が覚めると世界中の誰も自分を覚えていないし,データバンクに彼の存在を示す記録が何も残っていない,,,という,ディックお得意の「現実と非現実の違いって何?」というお話し. と聞くと極めてSFチックなのだが,ただし,実は設定はそれほど重要ではなく,読んでみると中身はボネガットか,ジョンアーヴィングか,という感じ. ディックの作品の例に漏れず,グダグダになっているところもあるし,TVスターは主人公ですらなくなってしまうし,そもそもはじめに述べたトラブルの理屈もサッパリわからないのだが,近しい人を失う喪失の痛みを書いた話です. おそらく25年ぶりぐらいの再読だが,当時はこの良さが理解できなかったことを,今は恥ずかしく思う.

    0
    投稿日: 2016.02.11
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    解説というものを人生の中で指折りで数えられるくらいしか読んだことがないが、読んだ。 小説に対する某かの感想なんてあまり意味のないように感じていたが、これは理解を深める上では役立つこともあるのかもしれない、と思い直した。 名は体を表す、か。 肝に銘じておこう。

    0
    投稿日: 2016.01.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ディストビア感と、ジェイスンが会う女性たちの独特さが堪らない。警官の感情がよく描かれていてよかった。けど、結局ジェイスンがスイックスであることとIDのない世界に来ちゃったことにはほとんど関係がなかったんだね。スイックスは一体何のために作られたものだったんだろう。

    0
    投稿日: 2015.09.26
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    ディック強化月間最後は、ディックらしいちょっとうっとうしいタイトルのこれ。早川で早々に新装版が出ていたので、名作として認められてる作品なのかな? 内容としては、テレビの有名司会者であり、歌手のジェイソンが、ストーカーのファンに襲われて目を覚ましたら、自分だけが存在しない世界に入っていたというパラレルワールド物。 結局最後まで、なぜパラレルワールドに飛ばされたのかが明らかにならず、そもそもの入りの部分の必要性も不明。このへんが「ディックらしく破綻している」っていうのだろうか? また、「スイックス」など、意味が完全にわからなくてもなんとなく取れるんだけど、言葉の定義をしないままストーリー展開することが多いため、ちょっと疑心暗鬼になるのは、ディックにかぎらず、洋物のSFの苦手なところだ。 それ以外のストーリーは非常に解りやすく、実は飛ばされたのが「去年を待ちながら」のように、非合法の新しいドラッグのせいで、ドラッグが切れるに連れてじわじわと解除されていくというあたりはなかなか新鮮。 個人的にはすごい名作とは思えないし、最後の締めだって、視点を他人に移してのかなり無理やりなところがあり不満だけど、未来にありながらSF要因を絞り込んだところが、本作の印象を良くしたといえる。

    0
    投稿日: 2015.09.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    正直、結局何がどうなったのかがいまいち分からなかった。結構サクサク読めて内容は理解できる。が、最終的にどうなったの?スイックスって?

    0
    投稿日: 2015.04.09
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    やっぱり少し時代を感じる。レトロモダンな雰囲気のSFですね。 種明かしの理論の数行だけ別世界の雰囲気で戸惑いました。私だけ? 色々考えると深いのかもしれないけれど、まだそこまで読み込めていません。

    0
    投稿日: 2015.03.27
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    作者のメッセージ性が強いですが、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」などと比べると少し伝わりにくい内容なのではないかと思います。 ただ主人公の行く先を追っているだけでは読み終わった時に ん? となりそうです。 途中途中の伏線が最後に結びつくのでじっくり読むことを推薦します。

    0
    投稿日: 2015.01.13
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    素晴らしい。SFというより幻想小説と言っても良いかもしれない。個人的にはサスペンス的カタルシスよりむしろ純文学的な要素が主題になっている方が好みだ

    0
    投稿日: 2015.01.01
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    朝目が覚めたら誰も自分のことを覚えていない?主人公はこの悪夢から逃れようと必死にもがく。そんな彼を追うある警部。密告、駆け引き。題名の意味が最後に分かる。監視される心理をディックが実体験をもとに書く

    1
    投稿日: 2014.09.16
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    「愛というのは、悲しくなんだか知らぬ哀愁を受け入れることなのだ」 それゆえ涙を流すのだ。 「空間の排他性は脳が知覚を司るときの脳の働きに過ぎません。脳は相互に排除しあう空間単位ごとにデータを規制します。無数の空間単位です。理論的には数兆ですが。しかし、本来、空間は排他的なものではないのです。事実、本来、空間はまったく存在しないのです。」

    0
    投稿日: 2014.09.08
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    SFって俺にとってはもっとなんというか、世界自体がドラマの主役のようなものという認識があるんだけど、ディック作品ではあくまでSF的設定は舞台装置でしかなく、そこで生きる人間が主役の座から降りずにいるというのが尊い。 この作品でも存在だとか生だとか愛だとか、タヴァナーが出逢ったすべての女性に物語があって、それこそが主軸になっているのだよなという感。途中までは色男の話かよって感じで鼻白んだりもしたが。最後の一文が美しい作品。

    0
    投稿日: 2014.04.24
  • すごいタイトルだ

    まず、タイトルがすごい。こんなセンスのあるタイトルはめったにない。内容もめったにないほどよくできている。これは、読む本じゃない。一緒に考え、参加する本だ。そして、各所にSF要素があって、いいアクセントになっている。僕は「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」より好きです。

    2
    投稿日: 2014.04.19
  • 主人公は誰?

    自分の存在が社会から消えたらどうなるか? 現実と非現実の境界線が曖昧となり、世界が歪んできます。 主人公は誰何だろう。考えさせられます。

    1
    投稿日: 2013.11.24
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    「流れよわが涙、というのは、ダウランドの楽曲から取っているらしいけど―――泣きたいってのは、どういう感情なんだろうね」 彼は、ぼんやりとそんなことを言った。 「まあ、『泣きたいわー』とか、よく言いますけどねえ」 「ああ、君はよく言ってるね……」 くたびれたソファで向かい合い、二人は同時にため息をついた。 「にしても、秀逸なタイトル」 葉月は、改めてその黒い表紙をまじまじと眺めた。 「このタイトルがなければ、ただの不条理小説として読んでしまうところでした」 「そうかもしれない」 彼は頷き、恐らくはもう冷め切っているであろうコーヒーを、一口啜った。 「これは、有名なTVスターが、ある日突然、誰からも忘れられ、役所の戸籍からも消え、しまいには身元不明の人物として警察に追いかけ回されるというストーリーだね。確かに、不条理小説のような展開だ。そのまま受け取れば、だけど」 「何かの暗喩だと、解釈しましたか」 「まあ、俺たちだっていずれは、全部失うんだよ。彼はただ暴力的にそれをはぎ取られたけれど。俺たちだって、人とは疎遠になるし、あるいは死別するし、やがては自分自身も死んで忘れられていくんだ」 「……うわあ、泣きたい」 「うん、それだろうね」 彼は頷き、それから何か考えるように、自分の髪を軽く掻き回した。 「いつだって、泣くのは何者かのためだ。誰かでも、何かでもいい。でもそれが何かしら、自分にとって呼びかけうる何者かであれば―――ちょっと飛んだ言い方をすると、魂の宿ったもの、と言ってもいい。そういうものが損なわれたときに、人は泣くだろう?」 そんなことを、言葉を選ぶように、彼はゆっくりと話した。 「その対象が、自分であっても?」 「そう、自分のために泣くというのが、もしかしたら一番、多いかもしれないね」 「じゃあ、どうして彼は泣かなかったんです? 自分自身がまるっと損なわれたのに?」 言いながら、葉月ははっと気付いたように、彼に目を向けた。 彼は、意地悪く笑って、言った。 「それは、彼が自分自身にとっての、何者でもなかったからかもしれないね」 そうして彼は立ち上がり、コーヒーを淹れ直すためにキッチンに入っていった。

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    投稿日: 2013.10.29
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    非常に読みにくい。ザ、翻訳されたという感じの本。読めるひとは絶対英語で読むべき。 脈絡のないストーリーは、設定が良いぶん苛々させられる。名作とされる理由は分かれども、個人的には読むと疲れる一冊。

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    投稿日: 2013.09.27
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    「ほんとうに愛してくれていて、助けてくれる人には会えないものよ。知らない他人とばかり関わりあいになるのよね」 ──ジェイスン・タヴァナーが安ホテルの不潔なベッドで目覚めた時、彼は世に存在しない人間になっていた。 身分証明書、出演していたテレビ番組、国家の膨大なデータバンクに登録されていた筈の出生証明書から、あらゆる記録、その原簿から彼のデータが消えていた。 そして、恋人や友人すら、誰ひとり彼を記憶していない。 タヴァナーは上衣の内ポケットに残された五千ドルを頼みとし、IDカード偽造を生業とするキャシーを訪ねる。しかし、彼女は警察への密告屋でもあった……。 大切なものを失えば人は泣くが、遺伝子操作によって生まれてきた“スイックス”であるタヴァナーは涙を流すことができない。しかしタヴァナーを巡る人々は人間であるが故に涙を流す。 不条理な現実の始まりと終わりを描く”涙“の物語。

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    投稿日: 2013.07.15
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    人はなぜ涙を流すのかというお話。SFというよりかは、SF的なギミックを持ったハードボイルドな文学という読後感だった。いわゆるディック的なものを求めて読むと拍子抜けかも。

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    投稿日: 2013.06.22
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    何とも恐ろしい愛の物語であった。 三千万人の視聴者を抱える人気歌手ジェイスン・タヴァナーが、 或る日、目覚めると自分の存在がこの世から無くなっている。 誰もが自分のことを知らず、あげく警察から追われる羽目に。 触りだけ触れると、どんなトリックが隠されていて、 どんな強大な陰謀がその裏で渦巻いているんだと思いがちだが 物語はそんな単純なものではなかった。 この物語のタイトルである、「流れよ我が涙、と警官は言った」 このタイトルの示す意味に物語の後半で気付かされる。 その時に初めて、この物語の本当の主人公に気付く。 これは、何とも言い難い哀しい物語であった。 それでも、どこか救われたのではないかと最後は思いたかった。

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    投稿日: 2013.06.20
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    起きたら自分が存在しない世界に放り出されていた…。 マルチ・タレントの主人公は警察から逃げ回った。自分の世界に戻ったと安心したのも束の間、今度は殺人犯として追われる羽目に。それが、たった一錠の時間保存薬(?)を飲んだだけ? 改造人間が限界を駆使して挑む!

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    投稿日: 2013.06.11
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    日本の「えらい人」は日経新聞を捨ててSF小説を読んでください - デマこいてんじゃねえ! http://d.hatena.ne.jp/Rootport/20120905/1346856312?utm_source=API&utm_medium=twitter

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    投稿日: 2013.05.23
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    表紙をしげしげと眺めながら「名は体をなす」という言葉が思い浮かんだ。 ある日突然、その存在そのものを消し去られてしまった主人公タヴァナーとそれを追う警察本部長バックマン。 ふたりはあらゆる点で対極を成しており、追う者と追われる者というステレオタイプに深みを与えている。 遺伝的優生種「スイックス」と普通人。 三千万の視聴者を持つエンターテイナーと孤独な警察幹部。 もっとも重要なのは人を愛せるか否かという点ーー愛する者を失う悲しみを知っているかどうかという点。 愛する者を失った時のやり場のない悲しみに物語が収斂する第3章最後のエピソードがいい。 最初は主人公に感情移入して読み始めるのに、最後にはまったくそうではなくなっている、これはフィリップ・K・ディックマジックなのか。

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    投稿日: 2012.09.30
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    読み終わって本を閉じても涙は流れないが、ジェイソン・タバナーも、フェリックス・バックマンも、アリス・バックマンも、ヘザー・ハートも、キャシィ・ネルソンも、ルース・レイも、その生涯は悲しいものだ。彼等のどの認識に置いても。

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    投稿日: 2012.09.29
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     人気絶頂のタレントのタヴァナーが、地位も名誉も社会の保護もないどん底に落とされる。それでもこだわりや執着を捨て、生きる為に全力をつくすタヴァナーが格好よくて好きでした。  でもそれは「離別が辛いから、人を愛さない」という彼の弱さの一部を表しているのかと思い至ると、悲しくもあってやりきれないです。  ちなみにジャケットとタイトルだけならは、私の1番好きな本です。黒背景に一色でデザインされたアイコンと文字・枠組みとか、イカす。

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    投稿日: 2012.06.23
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    タイトルに惹かれて買った。 ディックの小説はSF独自の舞台道具小道具を使って人間の本質を突き詰めて行くのが面白い。彼の作品はあまり読んで無いけれど、どれも鬱屈とした世界観だよね。ただそんな押しつぶされそうな世界において、決して諦めようとしない人間の強さ、意思を感じ取れる。

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    投稿日: 2012.05.29
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    三千万の視聴者を持つ人気タレントのタヴァナーは、ある朝見知らぬ安ホテルで目覚める。そしてこの希代の名タレントのことを誰も知らないことが判明する。彼のマネージャーや愛人でさえも・・・。さらに出生記録といったあるとあらゆる彼に関する情報が国家のデータバンクから消失していたのだ!"存在しない男"となった彼は、警察に追われながらこの不条理に対する突破口を探そうと必死になる。 話を読めばわかりますが、タイトルが深くて素晴らしいですね! 人間は涙を流すことができる。そんな当たり前に思えることを改めて考えさせられます。 悲しみこそが最も高尚な感情なのかもしれません。 是非読んでみて!!

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    投稿日: 2012.05.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本当は☆×4.5。 以下、ネタバレを含むかもしれない。 この本の真の主人公は、スイックスのジェイソン・タヴァナーではなく、涙を流すことのできる、様々なものや人を愛することのできる、人間の警察本部長フェリックス・バックマンなのだ。 人生の敵であった警察の人物を人間として存在せしめたフィリップ・キンドレッド・ディックという人物にさらに興味と親近感めいたものが湧いた。 彼は現実世界に傷つけられ、苦しみ、悲しみ、怒り、時には逃避したりもしたけれど、小説を書き続けることによって、本当に生きた人だったんだな。

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    投稿日: 2012.04.21
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    歌手でタレントのタヴァナーは、ある女性から殺されかけて、病院に搬送される。だが、目覚めた時、彼は一切のID、身分証を失っていた。かつての知人は彼を知らず、彼の存在を証明する全ては喪失している。 掴みはバッチリ。展開も面白い。落ちが残念。

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    投稿日: 2012.04.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    解説込みで一冊と見積もったほうがよいかもしれません。 何故なら、これが作者の自伝的小説であること、愛の形というテーマが根底にあるということを頭に入れて読むとまた違った視点から見れると考えるからです。 すべての人から忘れられた孤独、愛する妹を失った孤独、それにたびたび登場する薬物。それらは作者の胸のうちの吐露といい得るでしょう。 それらを加味することで、この小説を本当に味わうことができると私は思います。

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    投稿日: 2012.03.08
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    描写されたものを単純に追っていると、 わけがわからなくなる。 脳が作り出す世界が現実だとは限らない。 座標系の異なる世界間のトリップが、 気持ち悪いが心地よい。 人間のみが涙を流す生き物なのだ。 1975 年 ジョン・W・キャンベル記念賞受賞作品。

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    投稿日: 2012.03.01
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    なんという人間らしいSFだろう? この物語の主人公は稿の8割方を彼が占めるところのタヴァナーではない、語られる世界を生み出した主体たるアリスでもない、愛する者を失い崩れ落ちるバックマンだ──そして同時に三者いずれもが主人公であり得る。 中ほどでルース・レイが語る悲しみと愛についての言葉は、コンテクストから切り離された状態でさえ主題と深く関わっていることを悟らせる力がある。「悲しみは自分自身を解き放つことができるの。(略)愛していなければ悲しみを感じることはできないわ(p198)」「悲しみはあんたと失ったものをもう一度結びつけるの。同化するのよ。離れ去ろうとする愛するものや人とともに行くのね(p200)」工藤直子の詩──好きになるとは心をちぎってあげるのか、だからこんなに痛いのか──を思い出す。心を動かす軋み、つらくてもやめることの叶わない人の営み。 アリスの見た夢にタヴァナー他が巻き込まれたという構図はまさに、「鏡の国のアリス」でディーとダムに「あんたはこの赤のキングの見てる夢さ」と宣告されるアリスを思い起こさせて暗示的だ。物語の世界設定と各所に鏤められたガジェットがSFであるだけで、その実は普遍的な文学を描いていることが感じられる。この逆転したアナロジー(夢を見たのはアリス)はもう少し突き詰めても面白いかもしれない。

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    投稿日: 2012.02.26
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     1974年作。早書きディックにしては珍しく長期スパンで描かれた本書の成立については、巻末の大森望の文章が詳しい。  ディックの作品は人間が人間として成立することの危うさと同時に、人間が人間であることを強く証明する瞬間も織り込まれている。本作は特に後者にあたる「人間の悲しみ」および「愛情」の表現を力強くぶち込んで、設定のみ煩雑なハードSFとはかなり違う、人間同士のドラマとして展開している。普通エスタブリッシュメント側のイヤな人間として扱われるべきバックマン本部長が、まさに自分の愛の喪失のために涙を流し、人肌を求める場面は感動的だ。  特殊な遺伝子操作をされた主人公ジェイソンやその愛人ヘザー、バックマンの妹アリスなど、いかにも血の通った人物造形も楽しい。  あと、ハヤカワ版のディックを読むときの注意は、裏表紙のダイジェストは絶対に読まないこと。物語の本質からミスリードしたり、あからさまなネタバレを含んでいることすらある(ユービック)。これさえなければ、土井宏明の装丁がむちゃカッコイイのに…。

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    投稿日: 2012.02.15
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    有名なタレント、タヴァナー、自分のことを誰も知らない世界で目が覚める。国家のシステム上にも自分の存在がない。彼はDNA操作で生まれた存在のため、悲しみや愛を理解できない。ある女性の死をきっかけに存在を取り戻す。薬のせいで空間、時間が曲がっていたようだ。

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    投稿日: 2012.02.04
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    アンドロイドは電気羊の夢を見るか?とあわせて読むべき。 主人公は警官側であることに着目して読めばさらに楽しめる。

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    投稿日: 2011.11.05
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    面白かった。結構心に残る部分もあった。 でも、主人公のおかれた状況が理不尽すぎて途中読み進めるのがつらかった。 登場人物はどうみてもほぼ全員情緒不安定。

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    投稿日: 2011.09.21
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    ディック後期の一大傑作SF。奇抜な構成と発想、彼自身の不遇を投射したかのような悲しいエピソード、そして愛についての考察。なかなかに端倪すべからざる作品でした。初めて読んだのはもうずいぶん前ですけど、その時はなんだか意味が分からなかった。大人になって読み返すと味わい深い作品。本作をより楽しむのであれば、できれば、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』を先に読んでおきたいですね。

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    投稿日: 2011.09.14
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    SFの古典的作品、とあったので読んでみました。 正直に言ってよくわからなかったです。 こういうのは好みとフィーリングなのだろうと思います。

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    投稿日: 2011.08.30
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    アンドロイドは~ に比べて読みやすかった。SFものを色々読んだから多少は鍛えられたのかな。 道筋の見えない進行をする物語だった。前の会話と次の会話の繋がり方が、なんか普通じゃない。でも、確かに繋がってるし、理解もできる。センスだなぁ、って思った。 で、この独特の進行にはまった。 200ページ付近の愛についてのやり取りが印象に深い。

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    投稿日: 2011.08.25
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     有名なタレントであり、どこへいってもファンに囲まれるはずの男・タヴァナーは、実験的に遺伝子改良を施された、スイックスという特異な人種でもある。それによって得た才を存分に活かして、輝かしくも華々しい人生を送っていた彼に、ある日とつぜん訪れた異変。消えてしまった戸籍、身分証明書。彼がこの世界に存在するという、ありとあらゆる証明が、あるとき唐突に、ひとつのこらず失われてしまった。そして、彼に関する人々の記憶もまた……。  近未来を舞台としたこの小説世界では、かなり窮屈な管理社会であり、警察が大きな力を持っている。IDを持たずにうろうろしていれば、強制収容所送りになるか、下手をすれば射殺される危険もある。そんな世界で、わけもわからないままあらゆる身分証明を失って放り出された主人公は、なんとか状況を打開しようと、偽造IDを手に入れるのだけれど、その過程でさらなるトラブルに巻き込まれてしまう。  やがて警察に目をつけられ、不幸な誤解から殺人の冤罪をかけられてしまったタヴァナーは、必死で身の証を立てようとするのだけれど……  手に汗にぎる展開、見え隠れする希望と、くりかえしそれを押しつぶす絶望感。面白かったんだけども、なぜ彼が人々の記憶と記録から消えてしまったのか、という最大の謎の部分は、ちょっと解決に納得がいかないというか、腑に落ちないような感じがしたかなあ……。ラストはやや好みのわかれるところかと思います。  本筋と大きく絡む場所ではないのだけれど、終盤にひとつ、とても好きな場面がありました。主人公の罪を冤罪だと承知の上で、保身のために罪をかぶせようとしている警察本部長。罪の意識に苦しみながら立ち寄った深夜のガソリンスタンド、そこで出会った黒人男性が、彼にかけた言葉の中ににじむ何気ない情が、すごく沁みる感じがしてよかった。 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『マイノリティ・リポート』に続いて三冊目のディックでした。ほかの本も、もうちょっと読んでみたいなあ。

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    投稿日: 2011.07.12
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    目覚めると"存在しない男"になっていた。 この恐ろしさはなんとも言いようがない。身分証明書もない。声紋、指紋、あらゆるデータがデータベースから消え失せ、誰一人として自分のことを覚えていない、いや、知らない。友人も恋人もファンも(主人公は人気タレント)、彼のことを知らず、しかも警察は彼を追う。 素晴らしい作品だった。ディックの魅力、悪夢のような混沌と、挑戦と敗北を、ディックらしくない起承転結のしっかりした枠組みで。「○○はどうなったの?」としつこく聞かれでもしたのだろうか、エピローグまでつけて。 存在するとは一体どういうことだろうか。誰かに想起されている間は、実体がなくとも存在することになるのだろか。データも他人とのつながりもない状態で、自分だけがいる、それは存在することにはならない? 「われ思う、故にわれあり」はもう現代においては通用しない。 自分の生きた証というのは一体どこにある? 本当に現在にいる自分が未来にも存在し続けなければならない? 他人の心へ同調できなければ、現在に存在することは出来ない? 他人の心を動かすことは存在理由の代用にはならない? 考え始めてドツボにはまってディックの罠にどっぷり。

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    投稿日: 2011.06.29
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    一夜にして、自分の個人情報の全てを奪われた男の話。誰もが知る有名人だった主人公が突如意思に反して、匿名になってしまうという設定が面白かった。フィクションにもかかわらず、なぜかリアリティがすごく感じられる。

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    投稿日: 2011.05.15
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    ネタばらしの所は微妙だったけどおもしろかった。 マイノリティリポートの作者さんなんだって知らないで読み始めたけど、知ってからは安心して読み続けることができた; なんとなくおもしろい作品を書く人、残念な終わり方はさせない人って思えたから。

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    投稿日: 2011.03.28
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    とにかくタイトルがかっこいい。これ以上かっこいいタイトルがちょっと思いつかないくらい。 内容は、情報管理の進んだ近未来で、超セレブだったはずの主人公が、ある日突然自分の存在が記録からも人々の記憶からもなくなっていた、という話。 しかも、主人公は[6]という、通常より優れた素質を持つように遺伝子操作された人類を作り出す、というすでに公式には中断された国家プロジェクトにより生み出された人間の生き残りのうちの一人でだった事から、若干ややこしくはなるけど、物語の展開上、[6]であることは意外にもあまり重要さはない。 存在を失ったあとに出会う女性たちがみんな、やさぐれていて、どことなくおかしい。

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    投稿日: 2011.02.13
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    ディック作品のマイベスト。はっきりいって内容は破綻しているし、最初は主人公だと思っていた人間が途中からどうでもいい扱いになっちゃう。しかし終盤近くのシーンは胸の奥底にこびりつく。当時のディックが深い悲しみと寂しさを実体験していたからこそ書けたのかと思う。

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    投稿日: 2010.11.25
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     一言でいえば、難解すぎる。本書における解説を読んでやっと少し理解できた。涙を流すこと=最愛の人を失って嘆き悲しむことの大切さを訴えている…らしい。でも、これは作者ディック の生い立ちとセットでないと理解できない。ディック作の「高い城の男」を随分前に呼んだだけの自分には、ちんぷんかんぷんだった。当たり前のように設定されているSF的近未来も、ほとんど説明がないし…。SF的には主人公が陥る「パラレルワールド」の原因は、面白かったけれど。  それでもこの小説を飽きずに最後まで読んだのは、上記の主題がなんとなくでも伝わってきたからかもしれない。もう少し人生経験を積んでから読み直してみたいと思う。

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    投稿日: 2010.01.24
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    ディックなんて読んだことなくて,勝手にもっと劇的なのを期待してたけど, よかった.特にガスステーションの場面.あのシーンは映画にしても画になるんじゃないかと,またしても勝手に思った.

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    投稿日: 2009.02.28
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    うーん。タイトルだけがひとり歩きしてる印象。それほど面白いモンでもない。というかその麻薬の原理が全く意味不明なんですが。

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    投稿日: 2007.11.10
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    昔ちょこっとだけSFにはまった時期があって、そのときに読んだものなんだけど、久しぶりに読み返してみました。 当時、大好きだったオザケンがこの本をすすめていたから手にとったというミーハーな理由だったんだけど、正直、SF慣れしていない頭では、ついていくのがやっとでした。 もちろん、なんかすごい小説だなぁっていうのはわかったんだけど。 で、今回。 少しは醍醐味がわかるかなーと思って読んだんだけど。 ごめんなさい。 たぶんダメです。 読者失格です。 でも、最後まで読み切らせるパワーはさすが! っていう感じ。 よくわかんないけど面白いんだよね。 なんか自ら進んで混乱したいときにはおすすめ(いや、でも本当はすごい評価も高い小説なのよ)。

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    投稿日: 2006.03.16