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廃墟建築士
廃墟建築士
三崎亜記/集英社
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総合評価

44件)
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    建物にまつわる短編集。 「七階闘争」「廃墟建築士」「図書館」「蔵守」の4話。どの話も三崎さんならではの不思議さと優しさが感じられて良かった。個人的には表題作の「廃墟建築士」がお気に入りです。

    2
    投稿日: 2025.07.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんとなく感想が書きにくい。そんな読後感の本。 『失われた町』が良かったのでこれを買ったが、最初の短編を読んだときには「(買ったことを)間違ったか?」と思った。 「最初に本書を読んでいたら他の著書は買わなかったかもしれない」と思いながら読み進めたが、読み進めていくうちに、短編の順番はこの順で良いと思うようになった。 本文も良いが、解説が秀逸で、まさに"何かが書いてある"だ。 むずむずとしたものがあるのだが、それを感想として文章に吐き出しにくい。それをうまく表現したのがその言葉だ。 名詞や概念を入れ替えることで不思議な世界観を演出している本作だが、最初の短編(『7階闘争』)は、私が戦っている側に感情移入できない(解説に言わせれば、"すぐに別の階に移っていく多くの人々")ので変な話だと思ったのだろう。 さみしさ(哀愁かもしれない)を感じる不思議な雰囲気の話は良かったが、一方で『失われた町』と同じ作風で、「作品の幅がない人なのかもしれない」という疑念も生じたので、前作ほどの感動がなく、4点ではなく3点となった。

    0
    投稿日: 2024.06.02
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    奇々怪々。世の中の情理とは相容れないながらも、決然としたリアリズムを垣間見ることができる。そしてそれらを峻厳なる意志が貫いていると思う。

    0
    投稿日: 2023.12.24
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    暗喩、というのだろうか。 廃墟を建築する、というのは、理に叶わない話に聞こえるかもしれないが、結果全ての建物は無に帰す。 つまり、その無に帰す前の段階では、どんなに短い間でも、廃墟、となる理屈ではある。 最近、自分が入社当時やっていた仕事で、あるいはそれ以降やった仕事で、今もかたちをなしている、価値を持ち続けているものはあるのだろうか、と思うことがある。 もう少しスコープを広げると、考えたくもないが、自らの人生それ自身も、同じだが。 だからといって、全て無意味と短絡するのも、多分早計だとは思うが、はきとした答えは見つからぬままではある。 この小説を読みながら、そんなことを考えた。 古くからの友人の推薦だったのだが、同じことを考えながら、読んで、勧めてくれたのだろうか。

    0
    投稿日: 2023.03.23
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    内容説明 いつか崩れて自然へと回帰していく姿に魅せられ、「私」は廃墟を造り続けてきた。時の経過によって醸成される廃墟こそが、その国の文化的成熟度を表すのだ。だがある時、「偽装廃墟」が問題となり…(『廃墟建築士』)。七階での事件が多発し、市は七階の撤去を決定した。反対する市民は決起集会を開くが…(『七階闘争』)。意識を持つかのような建物に現実と非現実が同居する、不思議な4編の物語。

    0
    投稿日: 2021.02.06
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    建物にまつわる不思議な短編集。 七階を撤去する。廃墟を新築する。図書館に野性がある。蔵に意識がある。 私は中でも七階闘争がすきでした。

    0
    投稿日: 2020.08.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ただの7階ではない「特別な7階」とか、 「廃墟になるために建てられた建物」とか、 不思議な事象なんだけど、その世界の住人には当たり前のこととして描かれている。 7階がなくなるはなしは、最初から仕組まれていたのでは?というあたりがじわじわくる。 表題作の連鎖廃墟がとにかく美しい。文化としての廃墟は、あったら見てみたいけど…でも「見なし廃墟」の方が魅力的じゃないかなあ。

    0
    投稿日: 2019.05.28
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    この作者の話のパターンは大きく2パターンある。 奇妙な世界を受け入れ生活している人の視点と、受け入れられず疑問を持つ人の視点 いつも意識して読んでいる。 ●「7階闘争」 立て続けに起きた事件、事故が全て7階で起きたことから、全ての7階を排除しようとする運動が高まり、主人公は反対活動に巻き込まれていく話 多分、「7階」を何かに置き換えると、作者の意図が見えるかと思って挑戦してみたが…難しい。しかも解説の方も同じようなことを語ってた(^^;) 現実にも駅前なんかで「なんらかの抗議活動」をしているのを見かけるけど 真面目に向き合ったことがない私にとっては「無意識、無感情、無関心」を怒られているような物語にも読めた。 「となり町戦争の縮小版」のような印象 ●「図書館」 「本来は存在しない動物を具現化してみせる能力」を持つ女性が主人公で、 地方の図書館の「野生の姿」を夜間開館で観覧できるよう調教する話 「図書館を調教」と書くだけでかなり違和感があるが、実際にいくつもの紆余曲折を経て調教手段が確立され認知されているかのような世界観で話が進む。他の短編「動物園」の続編 ●他「廃墟建築士」「蔵守」の二篇 直感的に現実の生々しいモノと結びつく言葉を、存在しない事象の説明に結びつけることで 作者自身がこの能力をもち 「本来は存在しない事象」を、実態があるかのように見せるている。 そこが毎回面白く、読んでしばらく何度か振り返っては「あれはもしかしたら…」と考えることがある。

    1
    投稿日: 2018.11.23
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    「建物」をモチーフとした短編が4つ、どれも三崎ワールドでした。面白かったです。 ハヤカワ・トータルプランニングシリーズ(?)の「図書館」が好きなのですが、他の作品も仄かに寂しくて好きです。 「図書館」の野生も見たいし、「廃墟建築士」のつくる「連鎖廃墟」も見たい。 これから図書館に行く度に、大量の本を引き連れて空を回遊していた「本を統べる者」のことを考えそうです。 高橋源一郎さんの解説も面白かったです。「 」に置き換えるのは興味深かったです。確かに意味が通ります。

    0
    投稿日: 2018.09.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    再読。短編集。「図書館」が「動物園」からの続きでよかった。高橋源一郎の解説が三崎さんの良さを的確に著していて、そうそう、とうなずいてしまった。

    1
    投稿日: 2018.01.24
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    短編集。 「廃墟建築士」感想 廃墟とは、人の不完全さを許容し、欠落を充たしてくれる、精神的な面で都市機能を補完する建築物 一定の規格が設けられ、その上で認可されるものに偽造はつきものだ。 耐震性を偽造した建築が前に話題になったけれど、新たに作り上げられるものだけが偽造の対象ではない。 ずっと以前に、遺跡発掘の偽造とかもあったような…。 ルールがあれば必ずそれを破る人間があらわれる。 まるであらかじめ決められたお約束のようなものなのだろう。

    0
    投稿日: 2017.02.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2016.10.05 読了 となり町戦争の三崎亜記が描く、建物を題材とした4編の小説集。個人的には7階闘争が好き。7階を排除しても8階が7階になるだろ(笑)と思いながら読み進めたが、強く愛着ある7階ではない別の何かに置き換えるとまた印象は変わる。世にも奇妙な物語のようなニヤッとできる面白さがあって良い。

    0
    投稿日: 2016.10.05
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    中高生っぽいアイデアを軸に、それらしい語句を使って体裁を整えているといった印象。表題作はそこそこ良いと思ったが。全体的にまあ面白くないこと。

    0
    投稿日: 2015.10.12
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    期待した通りの三崎亜記ワールド。 『図書館』はバスジャックの中のお話の続きになっています。この話の長編が読みたい。

    0
    投稿日: 2015.07.23
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    再読 「図書館」を読んでいて、今年2月に読んだ『バスジャック』の中の一編「動物園」の続編だったことに気付きました。以前読んだときは間が空き過ぎて気付かなかったのですが。 最近は優しい物語を読むことが多くなりましたが、時々はこうした不思議な物語に浸りたくなります。ファンタジーともちょっと違う不条理な世界です。 寓話に見えなくもないのですが、そこまで深読みしなくても良いのでしょう。連鎖廃墟の虚構は美しく強く印象に残り、それだけでも私には読む価値を感じます。 ================= 13-014  2013/02/13  ☆☆☆☆☆ 建物を主人公?とした短編集。 『七階闘争』では七階は六階と八階の間にある物では無く、固有の物(地面に直接置かれた七階などと言う概念が出てくる)として扱われ、犯罪発生率が高いとされた七階は行政によって撤去される。 『廃墟建築士』は実用に供されることなく廃墟にする事だけを目的に作られる建築物の物語。西端は常に建築が進み、90フィートの全く同じ造りの区画が延々7?に渡って続き、東端は築200年を超え廃墟と化してい連鎖廃墟の姿が見事。 『図書館』と『蔵守』はいずれも魑魅魍魎的な建物の話。『図書館』はかつて”本を総べるもの”であったが、今は地上に括り付けられ、夜中に建物内で本を飛翔させている。『蔵』は何かを守るために建てられたものでは無く、先に蔵が存在し、その為に守るべきものが生じるという発想。何を守るかでは無く、理由も無く守る事への執着が描かれる。 相変わらず不思議な世界です。 寓話として読むのも良いけれど、単に不思議ワールドを楽しめばそれで良いのでしょう。 面白かったです。

    1
    投稿日: 2015.07.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小説が一言では表現できない感情や説明を物語という形で表出させるものだとしたら、象徴性なんて物語とはあまり相容れないものなのに(いわゆる良く分からんというやつだ)、三崎亜記の物語は象徴性に思いっ切り具体性を持たせるという綱渡りのような技巧を成功させている。高橋源一郎の解説が平易な表現でありながら的を射ていて、三崎亜記の小説は具体的な奇想(?)を描くことで七階も廃墟も図書館も蔵も、置き換え可能な何かをそこに照射する。それは読む人によって受け止め方が異なる深さを持っていながら、文字通りのフィクションとしても抜群に面白い仕上がりになっている。個人的には素敵な光景を見せてくれる「図書館」が好き。

    1
    投稿日: 2014.10.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    廃墟が好きで、たまに見に行く。 廃墟に突如行きたくなる。 廃墟は結構怖いところなので、なかなか行けない。だから、写真集を買って、眺めたりする。 完全な自然の姿なんて、目に触れられるところには存在していないと思っていて、 もし探検家が未開の地に行ってその風景を私が目にしたとしても、探検家の目というフィルターが入った時点でもう自然の風景ではないと思う。 廃墟の魅力は、もとは生きた町として存在していたものが、死にゆく姿をみることができるという点だと思う。 表題の小説を含め、廃墟に対する思い入れが、尺者と一致して気持ちよかった。 蛇足になるが、生きた町が死にゆく姿を見せるという点に関して言えば、世界遺産に認定された町は、その時点で、それ以上成長が制限されるので、これ以上ない廃墟だと思った。

    0
    投稿日: 2014.10.05
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    となり町戦争は昔読んだはず。「一ヶ所だけズラした設定を端正な文章で」という印象。嫌いじゃない、むしろ好きなんだけど、これを続けるのはしんどいんじゃないかなぁ、と思ったような。で、今回文庫交換会で当たって読んでみたけど、まぁ同じ感想。どれも変な設定なのにリリカルで切ないんだけど、ホンマにこれを飽きさせずに書き続けるのは大変よね。4作あるけどなかなかに甲乙つけ難い。「蔵守」がちょっとトリッキーな書き方してるけど、これはちょっと合わないような気がしてちょい落ちるかなぁ。

    0
    投稿日: 2014.08.07
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    三崎さんの本は2冊目です~。 「失われた町」がとってもインパクトの強い本で楽しませてもらったので、ちょっと期待して読みました。 三崎ワールドってとっても不思議。 私はSFものやファンタジーは苦手なんだけど、そういう要素がてんこ盛りなのに面白く読めちゃう。 この独特な雰囲気が好き。 私が一番好きなのは「七階闘争」 「失われた町」のような感じで入り込めた。 最後はちょっとセンチメンタルな気持ちにさせられた。 「廃墟建築士」は「七階闘争」の次だったので、どうしても比較しながら読んじゃって、こうイマイチ話に入っていけなかった。なんで「廃墟」なの?って考えすぎちゃったからか、理解できない部分もあったんだけど、最後はなんだかジーンときたな。 「図書館」はとっても面白く読んでてわかりやすかった。映画「Night At The Museum」みたいな感じかな。 でも、やっぱり本に敬意を払わないとね本が可哀想だよね。このストーリーの世界じゃなくてもね。 一番理解できなかったのは最後の「蔵守」 なんだかな~、芥川賞っぽい感じで読んでてさっぱり分からなかった。主人公をどうイメージしていいのか抽象的すぎて私には合わなかった。 でも、全体を通して、この独特な感じを堪能できたので面白かったです。

    0
    投稿日: 2014.06.15
  • 相変わらずの「読み手」を選ぶ作品

    読み手を激しく選ぶタイプ、と勝手に思っている三崎亜記さんの作品。個人的には三崎さんの描く「喪失感」のようなものに惹かれています。今回の作品にも色々な「喪失」が描かれていましたが、「動物園」の姉妹編「図書館」が今作ではお気に入りでした。不思議な世界を体験したい方には是非読んで欲しい作家の一人です。

    0
    投稿日: 2014.05.06
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    うーん。建築、廃墟、図書館と好きなモチーフが揃い踏み。 日常と少しずれた妄想的な設定も好みのはずなのに 入り込めなかった。 設定・モチーフは面白いけれどストーリーにひねりがない。 人物描写が薄い気がする。主人公に共感できずに置いてけぼりに されたまま話が進んでしまう。 どのストーリーも主人公の考えもそうだけれど、性別さえも 判然としない。あ、男(女)だったのねと途中で気づいたり。 高橋源一郎の解説もなるほどと思う反面、これって「解説」することから 逃げているよなあと思ったり。 色々消化不良。収録四編の中では「図書館」が好きだった。

    2
    投稿日: 2014.01.05
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    星新一さんのショートショートを思わせるような短編集。全て建築にまつわるお話。 ショートショートなら良いが、現実に有りもしない物語としては、長すぎて飽きる。

    0
    投稿日: 2013.11.10
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    【七階闘争】 自分の大切なものとは何なのか、世の中の悪とは何なのか、向けられる敵意は誰のものなのか。目には見えないけれど、確かに存在する「何か」。 世間は本当に気持ち悪い。 不思議な世界観の中で、現実を考えさせられる。これぞ三崎亜記節。大好きです。 【廃墟建築士】 言葉で「時間の流れ」を表す方法はいくらでもある。廃墟を使っての表現は始めてみた。廃墟の持つ怪しげで懐かしい雰囲気と、一人の男の人生が綺麗に絡み合い、ストーリーが進む。一種のノスタルジー。 【図書館】 日常生活の中では特に意識せず見落とし勝ちな脅威。生々しくなりそうな話も、三崎亜記の手にかかれば素晴らしいファンタジー。 日野原さんと高畑の会話にある「自分の居場所が定まらないことも、定まってしまうことも」「無い物ねだり」は自分に投影してしまう。 【蔵守】 後半にかけて怒濤の展開。 自分は何を守るのか、それは何の意味も無いかもしれないけれども守るしかない。男としては家庭かもしれないし、プライドかもしれないし。 環境が変われば、感想は大きく変わるようなお話。

    0
    投稿日: 2013.08.21
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    廃墟を作る人たちの話。他。 三崎さん全部買ってたと思いきや 積んですらいなかった1冊。 中編になるのかな。 らしい世界だけれども それを把握して楽しめる頃に終わってしまう。 人間じゃないものの人間らしさが 素敵なところです。

    0
    投稿日: 2013.07.06
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    「建築で物語を描くとこうなった!」みたいな、作者の発想力と文章力には毎回度肝を抜かれます。なのに不思議とフィクションっていう感じがしないんですよね。それがすごさを余計物語っている気がします。

    0
    投稿日: 2013.06.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「七階」にこだわりもなければ、 「廃墟建築士」「図書館の調教士」「蔵守」 なんていう職業の概念はそもそも実在しない。 よってこの短編集に出てくる登場人物への 感情移入は難しく感じるはずなのに、 読み進めていくうちにどこかで覚えのある イラつきやもどかしさを感じてしまう。 あとがきでも書かれているが、 これらの作品においての一見奇妙に感じる 制度や職業は、実在する「なにか」に 言葉を置き換えるとしっくりくるのである。

    0
    投稿日: 2013.04.29
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    「廃墟建築士」は何かの比喩かと思って買って読んだけど、そのまんまだった。 小さい映画とか深夜のアニメとかにしたらおもしろそう。 文体や登場人物はあまり好きな方ではないが、ストーリーは良かった。 お話の中に入っていく変な快感があった。 著者のほかの本も読みたくなった。

    0
    投稿日: 2013.03.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表題作が読みたくて手に取ったのですが、「廃墟建築士」はイマイチだった… ファンタジーのような設定なのに、とても日常に馴染んで現実的に書かれているのが不思議で面白い。 読んでいるうちにあり得そ~と思ってしまう! 非現実的なことが書かれているけれど、人間的な根本は同じだということを突きつけられる感じ うまく言えないのがもどかしい… 三崎作品を読むたびに、うまい感想を書けない自分の語彙力の無さを実感します… 2013/02/02-04

    0
    投稿日: 2013.02.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    4つの短編はいずれもありえない虚構。だけど不思議に現実感を崩していない。どれもエッと思うところから物語は始まる。疑問の解決は読者に委ねられており、自由に想像の触手を伸ばすことができる。見つからぬ問いの答えを見出すのも自分。自ら作った壁を乗り越えるのも自分。自立と自律を促された。4編の中では最も地味なタイトルである「図書館」が最も弾けていた。視覚的には最も映えそうなファンタジー。悪魔払いのような凛々しい主人公にも心惹かれた。

    0
    投稿日: 2013.01.30
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    想像力と優しさに満ち溢れた短編集です。 抽象的で現実離れしてるからこそ、現実や物事の本質を描けている気がしてくることが不思議です。

    0
    投稿日: 2013.01.07
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    タイトルに惹かれて読んでみた。読み始めてみると余りの奇想天外さについて行けず、なかなか読み進めなかったけれど、三崎ワールドに慣れてきたのか設定の不思議さが気にならなくなってきたから不思議(笑) 4つの短編があってそれぞれのテーマが非現実的なんだけど、物凄く人間的だなと思ったら面白いと思えた。

    0
    投稿日: 2012.12.13
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    大の大人が本気出して真顔で悪ふざけをしてるような作品。 どんな物語だろうと思わせておいて、その実、物語ってはいない。 世にも奇妙なアイディアでぐいぐい引っ張っていく短編群。

    0
    投稿日: 2012.12.02
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    「廃墟を作る」という言葉に心ひかれて購入。 物質的な建築だけに終わらず、時間をかけて「廃墟」にしていく過程を大切にする、そうして先人達が残した「廃墟」に想いを馳せる、そんな表題作でした。 ただ、私個人の気持ちとしては、建築物は実際に利用されてこそ、と思うので、住みもせずに作られた廃墟など偽物!とか思ってしまうけれど。 この短編集に限らず、この人の作品は「もしもネタ」が多い。 「もしも、そういう常識(読者にとっては非常識)がまかり通ってる世界だったら」というアレだ。 理屈をこねくりまわすのに飽きた時に、ちょうどいい本かも。

    1
    投稿日: 2012.11.17
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    建物にまつわる4つの不思議なお話 『七階闘争』 7階が7階における犯罪率を引き上げている!7階を撤去しよう! という、建物の7階を撤去しようとする決定と、 それへの反対運動の話。 新興宗教みたいでこういう闘争モノは怖い いやなリアリティもあるし 『廃墟建築士』 本書のタイトルにもなっていて、これに惹かれ購入。 廃墟が建築として認められていて、 建築物としてあえて廃墟を作るというのが奨励される世界。 確かに廃墟というものの魅力はとても素晴らしいけど、 日本のこの狭い国土に、わざわざ住居スペースを奪ってまで 廃墟を作るのはなぁ… 芸術として見ているから、公園やオブジェと同じなんだろうけど それにしても廃墟に興味のない人にとっては無益すぎるだろう 主人公を感動させた連鎖廃墟もなぁ。 意図せざるものだからこその、ハッとする美しさや 無情さがあるんだと思っている ささやかでも存在した歴史の痕跡とか 『図書館』 図書館には野性がある それは、人々が寝静まる夜に目覚める 図書館員として、微笑ましさと羨まさしと 『蔵守』 なぜ蔵を守るのか そこに蔵があるから 守るべき蔵をめぐる二つの意識が 交互に描かれていく話 これはもうちょっと展開を広げて欲しかったかも 最後の方で明かされる秘密が、そういった余地を残して想像力を駆り立てて良い

    0
    投稿日: 2012.11.05
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    リアルじゃない世界のリアルな気持ち。 それが心地よく心に沁みます。 http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-955.html

    0
    投稿日: 2012.10.31
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    長めの短編が4つ。七階が行政によって抹消される話、廃墟の建築士の話、図書館を飼育訓練する話、中に何もない蔵とそれを守る人の話。 うーん、残念。『コロヨシ』で突き抜けたと思ったけど、本書を読むとそれを訂正したくなる。私の感想は、今回も基本的に他の作品の場合と同じ。 着想もいい。キャラクター(ワンパターンな気もするけど)もいい。 それなのに、いつもあとひとつ何かが足りないと感じる。 本書の高橋源一郎の解説を読んだら欠落感の出処がわかった気がする。 三崎作品は、あるAを描くためにAではなくBを描くという遠回りをする。建物の七階がなくなるという現象を描きながら、それがホテルや病院の四階九階がないこととも違う重みがあること、家族や友人を喪失して気づくかけがえのなさ、それでもやって来る今日という日常、など、生きるってそういうことだよな〜と思わせてくれる。 ところが、短中編では、この起承転結が1サイクルしか回らないため、奥行きがでてこない。 「人生の重み」という言葉を、5文字ではなく本一冊の重みにするために必要な遠回り、とでも言おうか。 アイデア勝負のショートショートにするか、起承転結が何回転かする長編にするか、どっちかの方がいいと思う。 長編にすることでシャープやきらめきがなくなってしまう作家もいるけど、三崎亜紀は味にコクがでてくる感じ。 応援してるので頑張って下さ~い。

    0
    投稿日: 2012.10.23
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    独自の世界観でストーリーを進めていく、 三崎作品らしい作品。 表題にもなっている廃墟建築士はもちろんの事、 図書館の話が個人的にはとても好き。

    0
    投稿日: 2012.10.17
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    三崎亜記の廃墟建築士を読みました。 三崎亜記らしい不思議な世界設定とその世界の中で生きていく人間たちが描かれた四つの短編が収録されています。 七階闘争では、ある街で7階での犯罪が多発したため、その街の7階を全て撤去することになる、という物語が語られます。 7階というのがO型だったらどうだろう、○○県出身者だったらどうだろう、何かがターゲットになる怖さが描かれます。 図書館と蔵守は、人間がコントロール出来ない超自然の存在に立ち向かう人たちが描かれています。 なぜか、この短編を読んで、故障した原発で苦闘する人たちを連想しました。 四編ともそれぞれ考えさせられる物語でした。

    0
    投稿日: 2012.10.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三崎亜記の本に自分の概念をひっくり返されるのが大好きで仕方がない。 そんな非現実的な世界観を綻びなく作り上げる三崎亜記が好きだ。 7階撤去運動、廃墟を建築、意思を持つ図書館、呼吸する蔵。 面白すぎるだろ!! そんな作品ごとのことを考えていたら、久しぶりに「鼓笛隊の襲来」を読みたくなってきた…。三崎亜記のこの中毒性が半端ない。

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    投稿日: 2012.10.08
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    三崎亜記さんの小説は2冊目。 正直、む〜と思うのだが、そこに描かれる世界は ありそうで、なさそうで、でも本当はあるのではないか、 と思ってしまう。 解説で髙橋源一郎氏が「なにか」について書いている、 とおっしゃっているが、まさにそんな感じです。

    0
    投稿日: 2012.10.03
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    三崎亜記作品は初めて読みましたが、なんだか意味が分からないです。 この手の淡々と進んでいく不思議系は合わないのと同時に、この作者の持ち味である理不尽や不条理が嫌いだと判明。 とてもじゃないですが受け入れられませんでした。 読んでいてイライラしてしまった。 いや、決して短気ってわけじゃないんだけど、なんだか受け入れられない。 残念です。

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    投稿日: 2012.10.03
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    三崎さんの描く世界は、普段身の回りにある当たり前のものが意思を持っていたり、普段暮らしているのと変わらないように見えつつ、実は少しずれている社会が出てきたりする。 そして登場人物自身も、それに違和感や戸惑いを感じている姿が描かれる場合と、それを当たり前のこととして、その世界で暮らしている姿が描かれる場合とがある。 前者は自身と重ね合わせて共感できるし、後者はその誇り高い姿に感動を覚える。 そしてどちらであっても、三崎さんは静かに淡々とさえいえる語り口で、それを見せてくれる。 今回、この短編集に収められた4編もそんな三崎ワールド満載。 いつもながら、楽しく読ませていただきました。

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    投稿日: 2012.10.03
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    連鎖廃墟の美しさにうっかりと嵌ってしまった。 廃墟建築士の彼が連鎖廃墟を進んで行く場面が秀逸。 この短編集の中では1番好きな作品。 「廃墟建築士」と「図書館」は『バスジャック』所収の物語とリンク。 「図書館」は本当に本にこんな野生があったらいいのになぁと思う。 怖いけど。彼女と社長の物語も気になる。 「七階戦争」は解説の通り、七階の部分を他の単語に変えれば本当に普通。 この不思議さや理不尽感が三崎ワールドなんだと思う。 そこに魅せられて逃げられない。 「蔵守」だけは正直よく分からなかったのだけれど、オチにはぞくりとさせられた。

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    投稿日: 2012.10.01
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    七階闘争 / 初出 小説すばる 2008年7月号 廃墟建築士 / 初出 オール讀物 2007年3月号 図書館 / 初出 小説すばる 2008年10月号 蔵守 / 初出 小説すばる 2008年11月号 解説 「「なにか」について書いてある」 (高橋源一郎) 『廃墟建築士』 2009.1 集英社刊 文庫化 カバーデザイン 泉沢光雄 写真 Presacalzado(Getty Images) フォーマットデザイン アリヤマデザインストア マークデザイン 居山浩二 印刷 凸版印刷 製本 凸版印刷

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    投稿日: 2012.09.20