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花や散るらん
花や散るらん
葉室麟/文藝春秋
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総合評価

30件)
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    いのちなりけりの続編。 雨宮蔵人と咲弥が今度は忠臣蔵に巻き込まれていくストーリー。 何処から何処までがフィクションなのか、分からなくなるほどのストーリー展開。 最後の吉良上野介への討ち入りのシーンは圧巻。

    34
    投稿日: 2025.04.13
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    佐賀小城藩出身の雨宮蔵人シリーズの二作目である。無骨で腕は一流の雨宮蔵人と凛として清廉で美しい咲弥夫妻の愛と生き様が存分に描かれている。 ストーリーに忠臣蔵が複雑に絡み合い、朝廷と幕府のポリティカルな様相を呈しながら、徳川綱吉、柳沢吉保、吉良上野介、大石内蔵助など、歴史上の人物がかなり身近に入り込んで来て、ものがたりを面白くさせる。

    0
    投稿日: 2024.12.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    解説島内景二 葉室に言わせれば、歴史には勝者も敗者もない。善人も悪人もいない。自分らしく切ることができたか、どうか、自分の心に恥じない死に方ができたか、それが問題なのだ。 人間の心に抱かれた思想も、心に咲いた美しい花も、どちらもが永遠であり、時代を超えて、葉群の影に凛として咲き続ける。それが、葉室麟の信念である。

    0
    投稿日: 2024.06.02
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    子供の頃、年末年始になると必ず放送されていた時代物でした。少し懐かしさを感じながら読み進めましたが、この目線は新鮮でした。 武家と貴族、色々な思惑が絡まり合う様子は現在の思考ではややこしい限りですが、各々の四季を愛でる姿は感性の豊かさを感じさせます。 いかにせん都の春も惜しけれど馴れし東の花や散るらん 忠臣として描かれた人びとも悪人として描かれてきた人物も、誰かにとっては大切な人。史実を背景にした物語はとても好きだけど、別の視点から考えると常に残酷だと思わされます。 単行本を読んだけど、検索しても文庫本しか出てこなかったのは何故?

    0
    投稿日: 2024.01.27
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    雨宮蔵人と咲弥の生き方を通して忠臣蔵を描くという珍しい構成です。 今でも桜や紅葉の名所として美しい姿を残している六義園ですが、綱吉と柳沢吉保が出てくるとどんな作品でも薄汚く感じてしまいますね。 それはさておき葉室氏が描く武士道は本書でも健在で、忠臣蔵でさえ単なる主君の汚名を晴らすだけの忠義物語に留まらず、大奥における公家のプライドや尾形光琳や荷田春満といった絵師や国学者の観点まで絡めて非常に多面的かつ奥深い作品でした。

    0
    投稿日: 2023.09.10
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    雨宮蔵人と咲弥夫妻に、いつの間にか香也という娘がっ。 話に、徳川綱吉と吉良上野介が出てくると、これは忠臣蔵か?というわけで、京の郊外に静かに住んでいた夫妻も巻き込まれていきます。 巻き込まれていても、お互いがお互いを思い、何があってもぶれない夫婦に感動です。

    3
    投稿日: 2022.10.23
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    いい。 忠臣蔵を題材としている。 敵も味方もいい。儚い美しさを貫いている。 だが、それは脇役で夫婦・親子の愛を描いているのだ。 いかにせん都の春も惜しけれど慣れし東の花や散るらん

    1
    投稿日: 2022.10.23
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    忠臣蔵を表舞台にした構成の物語、雨宮蔵人と咲弥と娘の香也の親子の情景が浮かぶようだった。宿敵である神尾与左衛門も憎めない人柄だった。スピード感も読み応えも十分だったがどこまでが史実でどこがフィクションか分からくなった。12月14日が討ち入りの日、この時期に読んで良かった。

    2
    投稿日: 2021.12.02
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    第142回直木賞 付箋 ・ひとに教えることは学ぶことでもあります。 ・まことの恋とは忍ぶもの 誰にも知られず、おのれの心にすら告げぬ恋

    0
    投稿日: 2021.08.21
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    傑作です。西に東に物凄い勢いで物語が動いていきます。忠臣蔵の物語を背景にしつつ、数多くの登場人物が動きます。有名な史実や歴史上の人物を背景にした葉室作品は初めてでした。解説で島内さんが書かれていましたが、(ある意味で)醜い人々が、蔵人と咲弥(という鏡)に接することによって、自分の本当の姿を見つけていく。後半にどっと物語が動きますので、登場人物を整理しながら読むことをお勧めします。お気に入りの葉室さんにまたしてもやられました。また大好きな葉室作品が増えました。

    1
    投稿日: 2021.07.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    蜩ノ記を読み葉室麟さんに興味を持った所題名に惹かれて読んでみた作品。 知識がなく大奥部分の人物像もすんなり入ってこずなかなか手こずり、それでもなんとか読み終えました。 途中からやっと吉良という名前や赤穂浪士という言葉でやっと忠臣蔵なんだと理解。 そこからはなんかスっと頭に入ってきてドラマかなんかで忠臣蔵は見ていたが、所々補完していく感覚で読んで良かったと思えました。 主人公の強さと後半へのワクワク感も個人的には好きでした。

    0
    投稿日: 2021.06.03
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    8月-19。3.5点。 いのちなりけりの続編。三部作読了のため再読。 蔵人夫婦に女の子、三歳の娘。 忠臣蔵の重要なファクターに。 ムリのないストーリー、さすが。

    0
    投稿日: 2019.09.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    忠臣蔵の話の陰に朝廷や幕府の陰謀があった、というのは説得力があっておもしろいと思った。 内蔵助の死ぬのが怖いけど、誰もが避けられないのだから、それなら生きたいように生きるしかない、という言葉が印象的だった。

    0
    投稿日: 2019.04.19
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    うーん、面白かったような気がするけど、あまりにも有名な出来事に絡めているので、ちょっと白けてしまった。

    0
    投稿日: 2019.03.13
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    「いのちなりけり」の続編 今度は忠臣蔵に絡めてのストーリ展開です。 前作よりも知っている登場人物が多いせいか、少しは読みやすかった(笑) テーマはやはり「いのち」「いきざま」そして「人間の情」 どのようにいのちの花を咲かせ、どの様に生き、散らせるか? 悪人のように思われる吉良上野介や神尾与右衛門も最後は見事に散っていく様がある意味美しい! ストーリとしては、京の郊外にひっそりと暮らす蔵人と咲弥、そして娘の香也。幕府、朝廷、大奥の暗闘、思惑に巻き込まれていきます。 将軍綱吉の母桂昌院が生きているうちに、従一位を朝廷から授かるよう画策する柳沢保明と吉良上野介。 一方でそれを阻止しようとする大奥。 その流れの中、松の廊下での刃傷沙汰。浅野長矩が追いつめられた末の切りつけが描かれています。 そして、浅野家断絶、家臣たちの討ち入りという流れになるわけですが、ここに蔵人、咲弥、香也が巻き込まれていきます。 大奥に入る事になってしまった咲弥。 綱吉の目にとまり、柳沢家で伽を命じられてしまいそうになります。 蔵人と清厳の二人で咲弥を救い出そうとします。無事救い出すことが出来るのか? また、香也の出生にも秘密が.. そんな香也も行方不明になり、吉良邸にいることが判明。 討ち入りの吉良邸から蔵人は香也を救い出すことが出来るのか? 最後の展開はかなり強引な感じですが(笑)、吉良上野介の散りぎわが潔いです! 最後の蔵人のセリフ 「いのちの花が散っているのだ」 お勧め!

    3
    投稿日: 2019.02.10
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    続編だという事を知らずに読んでしまった本書。 幕府と朝廷の暗闘に巻き込まれてしまう、主人公・雨宮蔵人とその妻子。果てには、あの赤穂浪士の討ち入りにも関わる事になってくるという、興味深い展開です。 “この世で最も美しいのは人への想いかもしれない”という、羽倉斎の台詞にもあるように、話の至るところに垣間見える、人の心の切なさが胸を打ちます。 前作の「いのちなりけり」を、是非読んでみようと思いました。

    0
    投稿日: 2018.11.04
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    『虚構と真実もまた不二である』と解説にある通り、史実とオリジナルを上手く織り交ぜ、忠臣蔵好きでもそうでなくても楽しめる。吉良と柳沢の野心や大奥の女達の妬み、蔵人達の情愛、武士の義など様々な角度から人間の心を描いた作品。一番好きな忠臣蔵、『元禄繚乱』と通ずるところがある。

    0
    投稿日: 2016.09.19
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    8月-4。3.5点。 忠臣蔵のストーリーに絡め、ある武士の家族を 描いた物語。 ラストは感涙。

    0
    投稿日: 2016.08.17
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    多くのキャストが多彩な色を放ちながら、奥深き"忠臣蔵"ストーリーを見事なラストへ向かわせる。主人公夫婦もさながら、展開を引き締める香也ちゃんが天晴れ!。解説も素晴らしい♪。

    0
    投稿日: 2015.12.18
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    「いのちなりけり」の主人公、蔵人と咲哉が、忠臣蔵に関わっていく物語。一般の忠臣蔵とは一味違った物語で面白かった。

    0
    投稿日: 2015.02.08
  • 葉室氏は性善説の立場か・・・いのちなりけり、花や散るらん、いずれも読後感がいい。

    前作“いのちなりけり”の続編であり、忠臣蔵とのコラボというより、忠臣蔵を架空の人物である雨宮蔵人・咲弥の視点からとらえ直したものともいえる。時代小説をあまり読まない私にもわかりやすい文章で、読み応え十分だった。他の数作品もそうだが、葉室氏の小説には根っからの悪人が登場しない。この小説でも、吉良上野介・神尾与左衛門の最後もきれいな散り方だった。葉室氏の性善説・・・これはこれで氏の小説の根幹をなしている一つだと思う。私にとっては、続けて読んでみたい作家のひとり。

    1
    投稿日: 2014.11.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「いのちなりけり」の続編。前作で水戸黄門と揉めた主人公が、今度は吉良上野介とやりあう。なんだかもう有名時代劇の舞台に次々とチャチャ入れてるような感じである。そのうち大岡越前とか遠山の金さんとか井伊直助とか仕事人とか八重の桜とかあらゆるもんに絡んできそうな勢いである…ないだろうけど。 実は俺、所謂世間に知られている筋書きの忠臣蔵って好きじゃない。時代がそうだろうし設定がそうだろうからしゃーないのだけど、吉良も浅野も大石も「陰険な事で争って爽快だ痛快だお涙ちょうだいだってのはないやろ」って醒めてみてしまうのである。 忠臣蔵を題材に取った名作時代小説があまたあるにも関わらずどうにも苦手意識が先に立ち食わず嫌いしてしまっているのもそのせいで、今回は葉室作品だからと手に取った珍しいケース 知らない作家さんだったら、良くできた小説だなと讃賞するんだろうけど、葉室さんだと分かって読むとちょっとアラも目立ってしまう。日本史に疎いと人物関係が複雑すぎてその説明がダルかったり、剣劇シーンが意外とあっさりでモノ足りなかったり、赤穂浪士たちの影の薄さが気になったり… それでも思ったのは、人間やっぱり単純に生きるのがエエわ。しがらみにまとわれたらまとわれるほど、本人がなんぼ頑張って工夫して上手い事やったつもりでも、傍から見ると実にくだらない生き方になるって事。 吉良が最後に笑顔を見せるのだけど、その笑顔がそれを表してると思う。

    0
    投稿日: 2014.03.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

     前作「いのちなりけり」を読んで、ふたたびこのふたりに会いたくなって買った本。  いろいろあってやっと本当の夫婦になれた雨宮蔵人と咲弥。ふたりのあいだに娘もいるようで、無骨な蔵人の子煩悩振りも微笑ましい。と思っていたところが、事件に巻き込まれ、この娘に物語の鍵があり……。  このシリーズの好きなところは、愛情を軸に物語が動いていくところだ。それは男の女への情であり、友情であり、主君への忠誠である。  雨宮蔵人の咲弥への溺愛っぷり。そして右京(清巌)がいまだ咲弥への想いを秘めながら身を挺して守る姿。悪役であったはずの神尾与右衛門や吉良上野介でさえ、その最後の散りざまに泣けてくる。自らの信念を貫けない立場の女性たちも、その矜持を失わず懸命に生きる。それぞれの生き方、散りかたに胸を打たれる。  定説である忠臣蔵に、雨宮蔵人や咲弥、娘の香也、そして尾形光琳、荷田春満、柳沢吉保の側室町子などがを絡めた手法が鮮やか。単なる仇討ちとはせず、命の尊さを説く。「武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり」といった時代小説の常識とは、まったく違った切り口だからこそ、現代人の私たちが心情を沿わせることができる。  それでいてエンターテインメント性もあり、柳沢邸の家事、咲弥の奪還劇や討ち入り場面など、スピード感のある読み応え。  確かに出てくる人数が多く、初め把握は難しいが、読み終われば「いのちなりけり」と同等の満足感がある。とてもいい読後感だった。

    0
    投稿日: 2013.07.20
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    水戸光圀の隠居と赤穂浪士事件の裏側に潜む一つの思惑。朝廷、幕府の暗闘に絡む大奥の権力闘争。「いのちなりけり」よりミステリー要素が強めの作品。

    0
    投稿日: 2013.05.26
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    赤穂浪士の討ち入りにこんな背景もあったかもしれない。 将軍の、取り巻きたちの、大奥の、人を操ろうとするその陰謀に嫌気がさす。咲弥と香也と蔵人と幸せに暮らしていけるといいなぁ

    0
    投稿日: 2013.03.10
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    『いのちなりけり』の続編~鞍馬で暮らす蔵人に咲弥を通じて吉良上野介の家臣・神尾与衛門を斬るように中院通茂から要請があったが,咲弥は断る。義が存在していないからだと云う。吉良は桂昌院に従一位の官位を贈るように,公家に金を貸し,取り立てているのだ。禁裏は八百屋の娘に高位を贈る気はないし,将軍御台所である信子は高司家の娘で大奥取締の右右衛門佐が阻止に乗り出す。蔵人が動き出さず,京を出る神尾を討とうとした浪人も返り討ちに遭う。綱吉の側近・柳沢保明が黒幕で,京の正親町は異母妹の町子を柳沢の側女として送り出している。町子は好きな羽倉斎と分かれさせられて兄に反発を覚え,柳沢の計略も阻もうと動く。尾形光琳が銀座を運営する中村内蔵助を銀主に借金を返そうと動き出すが,正月に吉良が上洛して釘を刺されてしまった。大奥は高田馬場の仇討ちで名高い堀部安兵衛に神尾を討ち果たせようとして,勅使饗応役に浅野内匠頭を就けるが,堀部と今一人にも断られてしまう。山鹿素行の尊皇の意を継ぐ浅野は,吉良を討とうと松の廊下で小さ刀で斬りつけるが,敢えなく切腹を命じられる。一年後,桂昌院に従一位が贈られるが,額に傷を負った吉良は隠居させられ,手柄は柳沢が独り占めにする。赤穂浪士に吉良を討たせようと云う大奥の暴挙を食い止めるために潜入した咲弥が綱吉の目に留まり,柳沢邸に提げ下された。歌に託して蔵人に救援を求める咲弥を羨ましく感じた町子は,夫が手記や手紙を目の前で焼いたことに腹を立て,神田橋の屋敷に火を放つ。神尾から屋敷の図面を渡された蔵人は火事に乗じて咲弥を救出したが,討ち入りが近づいた堀部に技を伝授する留守に香也を攫われてしまう。香也は吉良が庄に隠しておいたかほるという側女の娘の娘,すなわち孫であったのだ。かほるという側女は米沢上杉家から来た吉良の正室が神尾に命じて殺害したのであった。吉良邸で茶会が催された夜,討ち入り前に香也を救出に蔵人は吉良邸に乗り込むが~鞍馬山で柔術の道場を開いている雨宮蔵人と赤穂の討ち入り。蔵人が出奔した肥前小城藩の内紛がちょっと知りたくなったけど,人物相関図が複雑で面倒くさい小説。悩むなあ。善玉・悪玉をはっきりさせてくれると有り難いのだが,だれもが事情を抱えているので白黒つけがたい。単行本は2009年に刊行されている

    0
    投稿日: 2013.01.28
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    「いのちなりけり」の続編。前作で「天地に仕え、命に仕える」侍が、自分の心の歌を探し求め「春ごとに花のさかりはありなめどあひ見むことはいのちなりけり」と16年かかって本当の夫婦になった蔵人と咲弥。 静かな暮らしが、また幕府と朝廷のせめぎあいに巻き込まれていく。とても真っ直ぐで美しい夫婦。「朝廷と幕府」「雅と武」を対比させながら、赤穂浪士の討ち入りに新たな見方を綴る。 今回は「いかにせん都の春も惜しけれど馴れし東の花や散るらん」という歌を二つの意味に使う。咲弥が京から大奥へ来た女たちの朝廷を思う気持ちは分かるけれど、危ういことをすれば東国になじんだ女たちが散ることになると大奥に釘を刺す。後では夫・蔵人に京が懐かしいが江戸で散ることになるかもしれないとこの歌で助けを求める。 ただ、葉室麟の小説は史実にこだわると今一つ伸びやかさや滔々とした世界感が失われるような気がする。

    0
    投稿日: 2013.01.26
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     京の郊外に居を構え静かに暮らしていた雨宮蔵人と咲弥だったが、将軍綱吉の生母桂昌院の叙任のため、上京してきた吉良上野介と関わり、幕府と朝廷の暗闘に巻き込まれてしまう。そして二人は良き相棒である片腕の僧、清厳とともに江戸におもむき、赤穂・浅野家の吉良邸討ち入りを目の当たりにする事となるのだが。

    0
    投稿日: 2013.01.04
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    期待してたのに。。。 結局、引き込まれることなく読了しました。 まず第一に私はどうもこの人の文章は苦手なようです。 そしてストーリーも受け入れ難く。 今回は赤穂浪士事件を舞台にした『いのちなりけり』の続編です。 有名な浅野長矩の殿中刃傷事件の背景を新解釈で描いて行きます。しかし、こうした新解釈は、非常に強い説得力を持つ(なるほどと思わせる)か、説得する事さえ不要なほど(嘘でもいいやと思わせるほど)物語を面白くするものである必要があると思うのです。しかし、この作品の新解釈はどちらでも無い。ですから、頭の隅で「違うだろう」と思いながら読んでしまうのです。 歴史の新解釈、夫婦の情愛、男の生き様、友情、なんか色々なものが入っているのですが、どれも中途半端、そんな気がします。多分、主人公の雨宮像に納得できないせいでしょう。 かなり辛口の評価になりましたが、これも葉室さんへの期待が高いせいなのです。

    0
    投稿日: 2012.10.24
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    全一巻。 「いのちなりけり」の続編。 そして忠臣蔵。 http://booklog.jp/users/bullman/archives/1/4167781026 「いのちなりけり」の続編が、 何故に忠臣蔵になるんじゃろって前作読み返したら、 忠臣蔵の直前の話だった。 そういや。 忠臣蔵の解釈としては新しく、 個人的には読んだことない説。 桂昌院の昇位問題が絡むって説は何作か読んだけど、 今作はそこから一歩進んで、 浅野内匠頭が切りかかった理由に落ちてる。 結構おおって感じ。 大奥の勢力争いが絡んで来るのも説得力ある。 が。 堀部安兵衛と内匠頭の関係とか、 咲弥の大奥内での関係とか、 身分的なとこが結構気になった。 そんな簡単に口聞けるの?この時代って。 そういうの気になり出すと、 斬新な説が急に無理矢理にみえてくる。 今作はそういった無理矢理がちょいちょい目につく。 前作でキーとなっていた「古今伝授」を 前作で潰そうとしていたはずの柳沢吉保が 何故かしれっと授かろうとしてたり、 咲弥がもう四十くらいの年齢のはずなのに 将軍に夜伽命じられたり (当時の感覚だと婆さんのはずでは?)、 前作の特徴である和歌と余談を積み重ねるスタイルが 変に強調されていたり。 なんにせよ、 前作の続編にしないで欲しかった。 忠臣蔵として別の作品に。 主人公達の物語となじんでなく、浅く、切れが悪い 中途半端な物語になっちゃった印象。 やっぱり主人公は 前作のクライマックスで死んでおくべきだったと思う。 表紙は好き。

    0
    投稿日: 2012.10.17