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高い城の男
高い城の男
フィリップ・K・ディック、浅倉久志/早川書房
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総合評価

159件)
3.3
8
50
53
17
5
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    このレビューはネタバレを含みます。

    IFの世界観がワクワクする。割とスルメ本な気がする。 群像劇でところどころリンクするところもあるけど、一番お気に入りのシーンはポールとチルダンの工芸品を巡る引っ掛け合い。 チルダンが振り絞るようにして出した謝罪の要求。立場の差がある者たちの表面では冷静を装いながら心の中では色々な葛藤がぶつかり合っている名シーンだと思う。 ラストの作者との会話については、現実世界との繋がりを匂わせているということ? 易経がかなり重要な本作。めざまし占いを毎朝見ている自分は登場人物たちに少し共感できた。 それにしても難しい漢字が多い。ルビ振っといて欲しい。

    0
    投稿日: 2025.11.29
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    ちょっと難しかった。私にとって、いちばん衝撃的だったのは、中学生の頃に読んだ「ユービック」でした。でも、ディックの作品は気になってしまうので、少しずつ読んでこうと思います。

    0
    投稿日: 2025.10.22
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    あとがきによると、「もし戦争に負けてたらどうなってた?」を描いたフィクションって結構あるみたいですね 日本版だと「もし日露戦争に負けてたら」みたいなのがあるんでしょうか? 登場人物ごとに別々の物語が並行して進むのでちょっとややこしかったけど、書き出して整理しながら読んだら理解できて、読み終わったときはけっこう達成感ありました

    0
    投稿日: 2025.10.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ディックの作品は「アンドロイドは〜」以来なのですが、作品設定として仮定した社会の描写力がすごい。この物語では「連合国が敗北した社会」でのアメリカの精神がどうなるか、人々がどのような生活を送っているかの描写が群像劇の中でリアリティを持って描かれています。 個人的にドキッとさせられたのはラストの易経「米国が勝ったのが真実である」でしょうか。今までフィクションとして読んでいた物語からこちらからを見る眼差しがある、ということに新鮮味を感じました。何度でも読み直す価値がある作品です

    1
    投稿日: 2025.09.05
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    【高い城の男】 フィリップ・K・ディック 著  第二次世界大戦は、日本・ドイツの枢軸国が勝利。日本が統治する米国カリフォルニア州での生活風景を描きながら、「第二次世界大戦は米英が勝った」というSF小説を書く「高い城」に住む男の物語も書き綴るというSF小説(ややこしい)。「現実と虚構との微妙なバランスを緻密な構成と迫真の筆致で書きあげた、1963年度ヒューゴー賞受賞の最高傑作」という売り文句にやられて読破しました。  少々ネタバレになりますが、ヒトラーはその後、精神疾患となりボルマン党官房長官が後を継ぐも、その後亡くなり、「え~!」と思う人物がドイツ首相に就任。これによって、「え~!」と思うような日本への影響もあり…の場面は面白かったのですが、総じて日常風景が描かれ、「これが何故に『三体』と同じヒューゴー賞?」という感じでした。書評などを読むと、熱心なディック氏ファンにとっては「最高傑作!」で、SFファンには「たまるか~!」もののようです。もし読まれた方がいらっしゃれば、読後感をいただきたい一冊です。

    0
    投稿日: 2025.08.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    枢軸国と連合国の勝利逆転if小説ですが、架空戦記ではなく人間関係や各各々の国の人間性を詳しく描かれ、敗戦国から全てを取る戦勝国などが詳しく描かれていてとても面白かった。恐らく史実のアメリカが史実の日本にソ連がドイツに置き換わっているのでしょう。

    5
    投稿日: 2025.08.29
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    読み返してみると思った以上にジークアクスとの類似性が高かったが、とはいえ決定的に違うのが市井の人間を描いているか権力者を描いているかという点で、その差により自分の中での思弁SFか架空戦記かのジャンル分けが決まってしまうらしい。

    0
    投稿日: 2025.07.08
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    難しかった 第二次世界大戦の勝敗が逆で、ドイツと日本による支配が続いている世界 人々の間で易経がやたら流行っている 作者自身この作品の展開を決めるのに易経を使ったそう  自分には電気羊のほうがまだ読みやすかった

    0
    投稿日: 2025.06.29
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    WW2枢軸勝利endの歴史改変SF、という予備知識だけで読んでみたが、人物描写のしっかりしたなんてことはない群像劇だった。 日帝と第三帝国の描き方はしっくりくるところが多く、全体的に読みやすくもあったけれど、ジュリアナと田上のパートではだんだんと頭がおかしくなりそうな感覚もあって少し疲れた。

    0
    投稿日: 2025.06.13
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    初めてディック作品を読んだ。 枢軸国が連合国側に勝った世界という派手な設定の割に、結構地味な話って言う印象。 かなり好きな種類の話のはずだけど、後半はちょっと退屈してしまったw たぶん読み返してじわじわくる作品なんだろう

    0
    投稿日: 2025.05.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アメリカ美術工芸品商会を経営するロバート・チルダンは、通商代表部の田上信輔に平身低頭して商品の説明をしていた。ここ、サンフランシスコは、現在日本の勢力下にある。第二次大戦が枢軸国側の勝利に終わり、いまや日本とドイツの二大国家が世界を支配しているのだ--。第二次大戦の勝敗が逆転した世界を舞台に、現実と虚構との微妙なバランスを緻密な構成と迫真の筆致で書きあげた、1963年度ヒューゴー賞受賞の最高傑作。

    0
    投稿日: 2025.04.29
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    買ったままで読んでなかったどころか、中学ぐらいのとき手が出ていなかったSF古典を40年後のいまごろ消化している。 一周(枢軸国側が勝利した世界)二周(のなかで連合国がもし勝ってたらという物語)した世界の淡い白日夢。 結局アマプラで映像化されたもののほうを先につまんでしまったけど、「電気羊…」同様、小説と映像化は全然ちがうものだ。

    0
    投稿日: 2025.03.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    設定は最高。手に取った時ワクワクした。 展開と中身は。。。なんか気が散る文章で生成AIとウィキペディア駆使してなんとか読んだ。 易経が万能すぎる。易経本だこれは。

    0
    投稿日: 2025.03.21
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    ディック本を消化したかったため読了。 全体的に読みやすく「?」となるところも少なかったが私はSFに求めていたものでなく、多くの人が言っているような長編小説といった感じ。 しかし、日本人ではないディックが描く日本人が我々が読んでも違和感のない人物設計となっていて日本人の作者が書いたのかと勘違いしてしまうほどだった。外国の映画やアニメでよくある「サムライ!ニンジャ!オモテナシ!」みたいな「日本人」というキャラクターを登場させたいが故に出したキャラではなく、このキャラが日本人でないといけないという強い意志の下産み出されたキャラであったことにとても感動した。 作品の中枢を担っていたのが卜術である「易」であったことも驚かされた。占いが作品を動かすキーアイテムであること自体はそこまで珍しいことではないのだが、この作品では占いの結果に作者の意図的な力が感じられなかった。私は物語を思い通りに進めたいから占いの結果を出したのではなく、占いでそのような結果が出たからこそそのような結末になったかのような錯覚を覚え、まるで作品そのものが移ろいやすい未来の一つの可能性のように見えてとても面白かった。

    1
    投稿日: 2025.03.01
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    凄く読みやすいけど、歴史にあまり詳しくないからかそこまで面白くなかった。 外国の人から見た日本人像というか日本文化像みたいなものを知れたのは面白かった。 歴史というものは簡単に裏返り変化していくと感じたし、人間はそれに翻弄され続けるんだろうと思った。 悪とは何か?神とは何か?等立場によって様々に自問自答し葛藤している人々について描かれていた。 書きたいことが明確でブレず、よくまとまっていたと思う。

    0
    投稿日: 2024.12.19
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    個人的に求めていた内容(ジャンル)ではなかったなと言う印象 SF!ってよりはしっかりとした長編小説

    0
    投稿日: 2024.10.04
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    日本人独特の、 良く言えば奥ゆかしい 悪く言えばはっきりしない 特有の気質といおうか、国民性をディックはどうやって仕入れたのだろう。 日本人歴の長い生粋の日本人からして「ん?」となる部分もないわけではないが、違いが文化を生むのだから「アメリカ人から見た日本人の描写」というのも面白い。そもそも違う国の人同士が交わる大陸横断型の小説は難易度として高いのではないのか。ドイツ人も出てくるし。 内容自体は「フィリップ・K・ディックの小説!」という意気込みで、SFを期待してたので、肩透かしを食らった感は否めない。 支配者側の田上氏は白人に差別的な意識はあっても人を殺したという人道的な罪悪感に苛まれ、チルダンはフリンクの装飾品によって悟りを開けたという皮肉。 日本人がアメリカ人の面子を潰す、という想像出来ない構図。ディストピア。

    5
    投稿日: 2024.08.19
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    ディックの最高傑作に推す声も多い本作はWW2で枢軸国が勝ちドイツと日本が超大国となっていたら…という歴史改変物。実在の人物についてかなり触れられていたり、改変歴史の中でさらに「連合国がWW2で勝っていた歴史if」を描いた小説が軸に登場するなど虚実を織り交ぜた構成。しかもそうした構成を下敷きにしつつ、主に描かれるのはそれぞれの立場でもがき悩む人たちの内面の葛藤だったり、その悩みの拠り所として易経が重要要素として描かれたりするのでなかなか独特。日本人やドイツ人が読むのと戦勝国側の人が読むのだとそれぞれどんな読後感の違いがあるんだろうと気になります。

    2
    投稿日: 2024.07.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    不思議な力強さのある作品でした。 本当にそっくりそのまま世界が反転していのは凄かったです。確かに日本とドイツが世界大戦で勝っていればこんな世界になっていたのだろうと想像ができます。陰鬱で秩序や差別が厳しい世界。 日本タイムズなどは、読んでいて言葉が面白かったです。西海岸は日本が占領しているなど、ありえなさそうで、でも勝利していたらありえそうで、白人が日本人にあんなにオドオドする姿はある意味新鮮でした。アメリカと日本の立場が見事に逆転していていました。 内容はかな。哲学的、人とは何なのか、人種とは何なのかという自問自答が多い。国家とは何なのか、そういった思想に近いモノを一人一人が抱えており、その思想が正しいのかどうか、自分の判断を占う為に、易経という占い(おみくじに近いかな)みたいなモノで、自分の指針を定めるきっかけにしている。そこはかなり古典的で物理的な方法だなと拍子抜けしましたが、日本が勝利し、日本の占い文化が西洋でも根付いた結果、易経が広く浸透していたのかもしれません。 個人的には、ドイツは勝利してもヒトラーがいなければ、ナチスは機能しないと思いました。、ヒトラーがいなくなれば、ナチはうまく機能しないと思っていた。たとえどれだけ優秀な人がいたとしても、内輪揉めで崩壊する、いや、この作品はその崩壊する一歩手前を描いていたのかも知れない。 かなり現実的な作品、というより、登場人物にすごく軍の中枢の人達ではなく(そういう人もいたが)1人の商人やただのお金持ちなどが登場するため、その辺りが自分達とある意味変わらず、心情を理解しやすかったです。 第二次世界大戦後期あたりの知識がないと、世界観をうまく掴めないかも知れないです。特にドイツに関する知識は必要かも。YouTubeの簡単な解説をご覧になってからこの本を読む事をオススメします。

    2
    投稿日: 2024.05.04
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    ヒューゴー賞受賞の歴史改変小説。 1947年、第二次世界大戦は連合国側が敗れ、枢軸国側の勝利に終わり、世界は日本とドイツの二大国に分割統治されていました。それから15年、表向き平穏な世界では、敗戦国として卑屈に生きるアメリカ人、ドイツの政争、暗躍するスパイや日独の駆引きなどがアメリカ西部を中心に描かれます。 それと同時に人々の間では「勝ったのが連合国だったら、どのような世界になっているか」という内容の小説『イナゴ身重く横たわる』がベストセラーになっていました。いったい、〈高い城〉に住んでいる小説の著者アベンゼンは、何故この本を書いたのか。そんなことも混えながら、複数の登場人物たちの行動が絡み合っていきます。 登場人物達の心理描写が細かくて、キャラが立っていて読みやすかったです。意外に思ったのが、日本人には好意的ですが、ドイツ人にはアメリカ人の口を借りて「こんな状況になったのは、ドイツ人のせいだ」と言わせる事に始まり、いろいろ辛辣に描かれているところかな。 とは言え、そのアメリカ人に、中国のものである「易経」を日本人にむりやり押しつけられたとあるのが面白い。作中、その「易経」による占いの結果に、登場人物たちがヤキモキしながら、行動指針にして行く様子も良かったです。 設定以外にSF的なギミックがない本作ですが、ラストの占いにいろいろ含むところがあるのがいいですね。

    29
    投稿日: 2024.05.03
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    ユービックを読んで、「うわあああああ好きいいいSF最高……早く次!!!」となった勢いで、内容を全く知らずに読んでしまった。 つまりディックの超SF世界観を求めて読んでしまったので、あまりSF味のない雰囲気に結構な落胆を感じながら頑張って1冊読みました。笑(誰も悪くない) 第二次世界大戦について、恥ずかしながら本当にざっくりしたことしか知らなかったので、 大人になった今、改めてちゃんと学ばないとな…と反省。詳しい事実を知っているほど楽しめる作品。 なんたって子供の頃、歴史が1番嫌いな教科だったからな……(盛大な言い訳) けれどそういった戦争どうのこうの〜〜だけを伝えたい作品ではなく、もっと抽象的で心理的な訴えを強く感じた作品だった。 5年か10年おきに読んだら、毎回自分の成長まで感じられそうな作品。とりあえず30歳になったらまた読もう。

    6
    投稿日: 2024.05.01
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    リドスコのドラマの方は1話でやめてしまい… 本は読み切ることできてよかった! ちょっと思った内容と違ったけど、、 ドラマでは自由の女神の破壊シーンとかあるのか笑

    1
    投稿日: 2024.03.16
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    第2次大戦が枢軸国の勝利で終わったif世界が描かれる.その世界では,連合国が勝利する世界が描かれたフィクション本が人気となっているという入れ子構造で語られつつ,段々とifの世界のif本が実は真実であることに辿り着き物語は終焉を迎える.二重構造を駆使した世界観を使い,信じるものの真実性は決して受動的では成立しない,群体としてではなく個体としての人の有り様が物語られる.

    0
    投稿日: 2024.02.03
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    1962年、第二次世界大戦に勝利した日本とドイツはアメリカを分割占領され、太平洋側は日本の統治下に置かれた。日本統治の影響で中国由来の『易経』が普及し、日本人アメリカ人を問わず多くの人が易により物事を判断するようになっている。さらには「第二次大戦に連合国側が勝っていたら」という内容の小説が評判を呼んでいた。 アメリカ古美術商のロバート・チルダン、通商代表団の田上信輔、贋作工場で働くフランク・フリンク、フランクの元妻・ジュリアナ、プラスチック産業のビジネスをするバイネス、イタリア人トラック運転手のジョーなど、さまざまな人の物語が交互に進み、そこにドイツ政府の思惑も交錯する。 もし第二次大戦で日独が勝っていたら、という歴史改変モノなのだが、あくまで登場人物の物語が中心で、大戦終結以降の政治や歴史は断片的にしか描かれていないのでその方面を期待しては肩透かしをくらう。また、各登場人物の物語も丁寧に描かれるため、小説全体の進行もゆっくりとしている。 田上や梶浦夫妻などの日本人に対するチルダンの卑屈な心理が描かれているが、これが戦争に負けて占領されることに対する(当時の)アメリカ人の見方なのかもしれない。

    0
    投稿日: 2023.10.18
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    アメリカの作家「フィリップ・K・ディック」の長篇SF作品『高い城の男(原題:The Man in the High Castle)』を読みました。 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』に続き、「フィリップ・K・ディック」の作品です… SF作品が続いていますね。 -----story------------- 〔ヒューゴー賞受賞〕 第二次世界大戦が枢軸国側の勝利に終わってから十五年、世界はいまだに日独二国の支配下にあった。 日本が支配するアメリカ西海岸では連合国側の勝利を描く書物が密かに読まれていた……現実と虚構との間の微妙なバランスを、緻密な構成と迫真の筆致で描いた、「フィリップ・K・ディック」の最高傑作! ----------------------- 1962年(昭和37年)に発表され、1963年(昭和38年)のヒューゴー賞 長編小説部門を受賞した歴史改変SF作品、、、 第二次世界大戦が枢軸国の勝利に終わり、大日本帝国とナチス・ドイツによって分割占領されている旧アメリカ合衆国領を舞台にした人間群像劇です。 1947年、第二次世界大戦は枢軸国の勝利に終わり、アメリカ合衆国は戦勝国であるドイツと日本によって三つの国に分断され、両国の分割統治下に置かれていた… それから15年後の1962年、アメリカ人の間では謎の人物「高い城の男」によって執筆された『イナゴ身重く横たわる』という、「連合国が第二次世界大戦に勝利していたら」という仮想小説が流行していた、、、 『イナゴ身重く横たわる』はドイツが支配するアメリカ合衆国およびヨーロッパでは発禁本に指定され、「高い城の男」は保安警察に命を狙われていた… 日本が支配するアメリカ太平洋岸連邦のサンフランシスコにあるアメリカ美術工芸品商会を経営する美術商「ロバート・チルダン」は、上得意先である「田上信輔」に、頼まれていた品物の手配が遅れていることを叱責され、代わりの品物を届けるために「田上」がいる通商代表部に向かう。 一方、勤め先の工場をクビになった「フランク・フリンク」は、これからの指針を求めて易経に勤しんでいた… 「田上」もまた、「取引相手である実業家バイネスの正体を探れ」という日本政府からの指令に悩み易経を頼みとしていた……。 作品内で「もしも連合国が枢軸国に勝利していたら」という歴史改変小説『イナゴ身重く横たわる』が流行している点には思わずニヤリとしちゃいましたね… 日本人は勝者として傲慢な部分もあるものの、人種政策でドイツと対立するなどある程度は話が通じる人間的な集団として描かれていましたね、、、 逆にドイツ人は反ナチ派が軒並み粛清されており、ナチズムの狂気に満ちた集団として描かれており対照的でした… ちなみに、イタリア人は表面的には日独と並んで戦勝国として扱われているが実態としてはドイツの衛星国であり、その劣等感からアメリカ人に同情するという役回りでした。 興味深い仕掛けだし、好きなジャンルなんですが… なんだか読み辛かったんですよねー 嫌いじゃないんですけどねー 感情移入し難かったですね。 以下、主な登場人物です。 「ロバート・チルダン」  アメリカ太平洋岸連邦で「アメリカ美術工芸品商会」を経営する古美術商。 「フランク・フリンク」  太平洋岸連邦の工芸職人。ユダヤ系アメリカ人。本名は「フランク・フィンク」。  合衆国の軍人としてアメリカ本土決戦で枢軸軍と戦った過去を持つ。 「ジュリアナ・フリンク」  フランクの妻。美しい風貌をした黒髪の女性。  フランクの貧しい生活に嫌気が差して別居。 「ジョー・チナデーラ」  イタリア国籍の退役軍人。北イタリアのミラノ出身。  出稼ぎ目的の移民として合衆国に滞在。  貨物運搬の用心棒としてロッキー山脈連邦を訪れた際にフリンクと知り合う。 「田上信輔」  太平洋岸連邦の第一通商代表団の代表を務める日本人官僚。  日本政府からバイネスの素性を探ることを命令されている。 「ポール・梶浦」  太平洋岸連邦の不遇地域生活水準向上調査委員会の日本人職員。  美術品愛好家で、チルダンの店の常連客。 「ベティ・梶浦」  ポールの妻。浅黒い肌に艶やかな黒髪をした女性。 「手崎」  元日本軍参謀総長の老将軍。軍部の宇宙進出推進派。  「矢田部信次郎」の偽名を使い、サンフランシスコを訪れる。 「府馬五十雄(ふま いそお)」  原日本陸軍の退役少佐。  旧アメリカ美術品の収集家。 「エフレイキアン」  第一通商代表団オフィスの職員で、田上の秘書。 「ラムジー」  第一通商代表団オフィスの職員で、田上の秘書。アメリカ系白人の男性。 「ルドルフ・ヴェゲナー」  ドイツ国防軍情報部の大尉。  ドイツ国内の要人の密命を受け、スウェーデン人実業家「バイネス」の偽名を使いサンフランシスコを訪れる。 「フーゴー・ライス」  サンフランシスコ駐在ドイツ帝国領事を務める男爵。  SS名誉少佐の階級を持ち、形式上メーレの指揮下にある。 「ブルーノ・クロイツ・フォン・メーレ」  太平洋岸連邦のSD地方長官。  ハイドリヒ暗殺計画を阻止したことで目をかけられ、SD内での地位を確立する。 「アレックス・ロッツェ」  ドイツ人芸術家。個展を開くためサンフランシスコを訪れる。 「ウインダム=マトスン」  WMコーポレーションの社長。フランクの雇い主。 「エド・マッカーシー」  ウインダム=マストンが経営する工場の現場監督で、フランクの友人。  フランクとともにエドフランク宝飾工房を起業する。 「レイ・キャルヴィン」  サンフランシスコで一・二を争う卸売業者。  ウインダム=マストンが製造する模造品を取扱い、チルダンと取引をしている。 「ホーソーン・アベンゼン」  『イナゴ身重く横たわる』の作者。  通称「高い城の男」。  第二次世界大戦ではアメリカ海兵隊の軍曹としてイギリス戦線に従軍した。  現在はロッキー山脈連邦のシャイアンにある山奥の要塞(通称「高い城」)で暮らしている。 「キャロライン・アベンゼン」  ホーソーンの妻。灰色の目をした赤茶色の髪のアイルランド系女性。

    0
    投稿日: 2023.08.10
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    わかったようなわかんないような 不思議な読後感なのですが 読んでいるときは妙におもしろい。 久しぶりに読んだけど そういえばディックって私にとっては そういう作家だったっけ。 日本とドイツが第二次大戦に勝った 架空の世界が舞台なのですが 日本人の田上が主要な役どころで これが今読んでも「あ、なんか日本人」 思考回路とか、ちょっとした行動とか。 すごいな、ディック御大(笑) 敗戦国となったアメリカで 新しい製品作りに取り組むフリンクや 少しずつプライドを取り戻していく 田上御用達の骨董品店長チルダンの姿が 現実日本の戦後復興期に踏ん張った 人々の写し身のように思えた。

    0
    投稿日: 2023.07.12
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    時代設定は発表と同じ頃か。第二次世界大戦は枢軸国の勝利で終わっていて、アメリカは日本統治の太平洋連邦、ドイツ統治の東海岸、そして中間にロッキー山脈連邦ができている。ドイツは火星にも進出している。そんな世界で、サンフランシスコで骨董品店を営むロバート・チルダン、チルダンが売り込もうとする日本人田上、偽骨董銃を作ろうとするフランク、フランクの元妻ジュリアナ、スウェーデン人芸術家と名乗るロッツェ、などがそれぞれの生活を営む。 彼らの間で密かに話題になっているのが「イナゴ身重く横たわる」という小説で、これはアメリカ、イギリスが勝利した世界を描いているものなのだ。 アメリカ人が書きアメリカで発表するのに、この「現実の勝利国」の設定の本を登場させバランスをとったのか、などと思った。ジュリアナの今の恋人ジョーは「戦争が終わるとアメリカとイギリスが世界を山分けする。ちょうど現実の世界でドイツと日本が山分けしたようにな」とまだ読んでないジュリアナに本を説明する。・・どっちが勝っても勝者が敗者を支配する、という世界をディックは示したのか。 サンフランシスコのアメリカ人、どうにも日本人の価値観にはなじめないし、底では認めていない。ディックの日本人の表現も「黄色いチビども」とある。 そんな中ドイツのボルマン首相が死亡する。ヒトラーは死んだ設定だが、ゲッペルス、ゲーリンクなどは生きていて、次の首相は誰になるかドイツはかたずをのむ。ジュリアナはバルドゥール・フォン・シーラッハが唯一まともな顔をしている、しかし次期首相にはなれる見込みはないわね、という。・・ここで驚き。少し前にこのシーラッハの孫のフェルディナンド・シーラッハの小説を読んだのだった。祖父のシーラッハはニュルンベルグ裁判で有罪になり1966年に出所、とあるのでこの小説の時点では服役中。 転倒小説「イナゴ」の作者は「高い城」に住んでいると言われ、ジュリアナは作家に会いに行く。 「高い城の男」は発表の翌年1963年のヒューゴ賞。・・十分には理解できなかった。 1962発表 1984.7.31発行 1993.3.31第15刷 図書館

    6
    投稿日: 2023.06.22
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    その視点があったか という視点だが今ひとつ入り込めず ただ再読して感想が異なるかもなので一旦評価なし

    0
    投稿日: 2023.05.04
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    ちまたの評価ほど面白くは感じなかったな。設定は興味深いし、人物造形も面白いんだけど、物語は淡々と進んで終わってしまった感じ。

    0
    投稿日: 2023.04.05
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    もしもドイツと日本が、第二次世界大戦の戦勝国だったら……(; ・`д・´) 非常に興味深く面白い作品!! ドイツの第三帝国(ナチスドイツ)に至るまでの大まかな歴史と、ヒトラーの周囲を固める親衛隊SS達(ヒムラー、ゲーリング、ゲッベルス、ハイドリヒ等)を知識として知っていると、理解がしやすいと思いました。 この小説の冒頭に参考文献としてウィリアム・シャイラー著『第三帝国の興亡』が挙げられていました。 この本、1から5巻まであるのですが、たまたま私、1巻だけ既読で……… なんで全部読まなかったんだぁ〜と後悔(^^;; 一巻はですね、第一次大戦後のハイパーインフレで国が混乱している中、ドイツ社会民主党を抑え、ナチ党が誕生するまで。 独裁国家の始まりまででしたが、読み応えたっぷりでした…(~_~;)ブアツイ… 私が、以前読んで非常に参考になったと思った文献は風刺画集でした。 『風刺画とジョークが描いたヒトラーの帝国』 プロパガンダで使われた風刺画がジョークも交えとても分かりやすく、読みやすかったです。 さて『高い塔の男』の感想に戻ります(^^;; 戦勝国はドイツ帝国、イタリア、日本。 アメリカには、日本やドイツの占領地区があり、ユダヤ人はドイツ領に送還されてしまう世の中。 ドイツの科学技術で月へ、火星へと進歩していますが、日本は技術的にはいまいち…笑 アーリア人が最高種族であり、人種差別が凄い…。 故に、登場人物のアメリカ人達は(敗戦国だからと)卑屈な気持ちで生きています。 と、まぁ、予測出来るような世界になる訳ですが、この小説の面白い所はそこだけじゃありません! 登場人物の日本人はものごとを選択する際『易経』を使用します。 日本のイメージよ…σ^_^; 日本が戦勝国である為、一部のアメリカ国民にも易経が普及。 自然に取り入れられているのが不思議ですが、信じる人は当たり前のように占います。 この易が占う結果と『パルプ・フィクション』のように繋がっていく登場人物達が見どころ(〃´-`〃) もうひとつあります! ホーソーン・アベンゼンなる作家の『イナゴ身重く横たわる』というベストセラー本が出てきます。 この本が「もしもドイツと日本が戦争に負けていたら」というテーマで書かれているんです。 この作中作の仕組み、大好きでして(๑¯ㅁ¯๑)♡ そうきたか! リアルの今と違うんか? と、興奮してしまいました笑(º﹃º )ヨミタイ…。 登場人物達の心理描写も細かくて、反発や揺れ動く気持ちは何とも言えずリアルな感じ…。 難しかった…という感想が多いように感じ、⭐︎評価がいまいちですが、私はすんごくすんごく面白かったです!! 『アンドロイド〜』『ユービック』と共に同じくらい好きな作品になりました(ღ*ˇ ˇ*)。o♡ おすすめですよ!!!

    22
    投稿日: 2023.03.31
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    メタフィクションの構造と、あくまで読んでる側の世界が真実である結末、そして悪の存在を認めながら複数の世界線を選び進んでいくことを勇気つけるような内容が素晴らしかった

    0
    投稿日: 2023.02.13
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    1984.7.31 発売!! うん!内容が相変わらず難しいです! カズレーザーが全く話が理解できなかったというエピソードがあって読んだのですが、これは難しい!! はっきりいって3割も理解できてないんじゃないかな。ディック作品で電気羊がよくわからんくて微妙だったら避けた方がいいかも。

    0
    投稿日: 2022.10.14
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    歴史改変小説として、矢作俊彦「あじゃぱん!」や、エシュバッハ「NSA 」がとても面白かったので、歴史改変ジャンルの古典といえる本書も読んでみた。

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    投稿日: 2022.07.27
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    歴史改変系SF小説。 日本とドイツが戦争に勝ってアメリカを統治している世界、そんな世界で流行っている小説は『イナゴ身重く横たわる』という、連合国側が勝利したらと言う歴史改変小説だったりする。 登場人物が、歴史上の人物だったりオリジナルだったり、国籍人種も多様で何回も読み返さないといけなくて時間がかかってしまった。 真偽 これがテーマなのだと思う。本物と見分けがつかない贋作。歴史という付加価値の曖昧さ。小説と現実。偽名の政治家と暗殺者。 歴史を失った国で生まれた新たな芸術と、歴史ある占い易が、本来あるはずだった歴史を垣間見せるというのが面白い。 一方、読み終わった時に「え、これで終わっちゃうの」とも思った。

    1
    投稿日: 2022.02.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初めてフィリップ・K・ディックの作品を読んだ。ストーリーははっきりしている。登場人物の関係性もわかる。緊張感をはらんだシーンも続いて飽きることなく読み進むことができる。度々現れる卦の部分も物語を進める装置としてうまく働いている。ではこの小説全体としてどういう意味なのか?と問われると、うまく答えられる自信はない。 歴史の逆転する仮説そのものを細かく書き出すことには、例えそれが一つの重要な要素であるとしても、最も大きな意味があるということではないだろう。その小説の中で、その小説のなかの現実とは逆の世界を描いた小説、つまり本当の歴史に近いものが登場人物によって書かれて、読まれているというのはさらに大きな意味はあるのだろうけどそれ自体は小説の構造を成しているという意味で重要であるが、描かれた世界の持つ意味はなんだろう? 「イナゴ」を書いたアベンゼンの空虚さはどう理解すれば良いのか。バイネスと矢田部の意味のありそうで空虚な会談は田上の心を揺らすための仕掛けなのか。最後まで会うことのないフリンク夫妻が混沌とした世界の良心のように見えるけど、結局のところ易経に依存して生きているようにも見える。とはいえフランクフリンクとチルダンはアメリカ人としての良心のようなものを自分たちが作り出して世の中に出していくアクセサリーの中に見出しているように感じられて、それがこの世界の希望のようにも見える。 高い城は結局現れず、そこには底の知れない空虚さが口を開けている。わずかながらの良心のようなものが風に吹かれて偶然のように過ぎ去っていく。 理解を超えた部分で心に残る作品。

    3
    投稿日: 2021.12.27
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    原題 The Man in the High Castle ”かかる人々は高き者を恐る畏しき者多く途にあり 巴旦杏は花咲くまた蝗もその身に重くその嗜欲は廢る” すべては虚しく、 それでも生きる。 グランド・ホテル形式で織りなす、 枢軸国が連合国に勝利した世界の、 意味の中に無意味な真実を見出す、 救われないようで救われた人たち。 …かな? それにしても易経とはね。 決定された未来に一喜一憂し、希望をなんとか(都合よく)読み解こうとするのは、とても人間ぽい。 「イナゴ身重く横たわる(The Grasshopper Lies Heavy)」という作中作が虚偽の虚偽で、じゃ真実かというとそうでもなく、でも真実という卦が出るのも面白いです。 なに言ってるかわかんないですね笑 読めばわかります(たぶん、ですけどー)。 これと同じような和訳があてられているデビュー作「ウーブ身重く横たわる(Beyond Lies the Wub)」も読んでみよっと。

    3
    投稿日: 2021.12.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    実験小説。『1Q84』をあんまり面白くなくした感じ。「高い城の男」は作者本人、っていうメタフィクションだったけど、展開に惹きつけるものがないので星2つ。 「易占」でプロットを立てつつ、人物描写においてはしっかり肉付けを行う、という手法を試してみた、って感じなのかな。 これがヒューゴ賞とるんだなぁ。実験的だから?戦勝国の罪悪感だとしたら、趣味が悪い。

    0
    投稿日: 2021.09.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    アベンゼンは『易経』を使って小説『イナゴ身重く横たわる』を書いていた。ジュリアナが「なぜその本を書いたか、我々はその本から何を学ぶべきか」という問いを立てて易を行うと、「真実」という回答を得る。ジュリアナは、本に書かれていることが真実であるというメッセージとして受け取る。これが、本作の幕切れ直前、結論のような位置に置かれているシーンだ。 ここから読者は何を読み取ればいいのだろうか?  (a)彼らの世界で起こった出来事は真実ではないということか? それとも、(b)これからドイツ帝国の崩壊や、日本への水爆投下が起こり、プロセスこそ違えど、最終的には本に書かれた世界と同じような結果にたどり着くという予言なのか? あるいは、(c)幾千幾万もの偶然の積み重ねにより、無数の可能世界が生じているという視座を暗示しているのか(この解釈は弱い。もしそうならば、彼らの世界も、本に書かれた世界も同等に「真実」なのだから)。しかし、(d)そもそも『易経』は単なる占いであり、占いは信じなければ無意味だし、信じる人には、曖昧な示唆のレベルで意味を持つものだ。アベンゼンの本が占いの結果の集積であるなら、その本が価値を持つのは、それを真摯に受け止める場合のみである。だから、アベンゼンの本から学ぶべきことは、「戦勝国となった枢軸国がアメリカを支配する現状を宿命と受け止めて、その現状に馴致するような生き方をするな。彼らの勝利は確率的なものでしかないし、彼らは勝ちながらにして実質、負けていることすらあり得る」といったメッセージだ。 本作では、個人がさまざまな選択を迫られ、よくわからないままにどれかを選択しながら生きている様子がしばしば描かれている。田上にしろ、フランクにしろ、ロバートにしろそうだ。その都度選択をし、そして人生が展開していく。そのことを肯定的に書いていると思う。反対に、「あり得たかもしれない世界」「選ばなかった世界」についてあれこれ考えを巡らせることは停滞でしかない。だから、パラレルワールドの存在を示唆しているといった解釈は、本作の場合、そぐわないと思う。ロバートは、日本人たちに表面的に媚びへつらう商売をしながら、やがて西欧文明を受け継ぐものとして自信を取り戻していった。戦争に負けても、そのことを絶対視する必要はなし、ましてや卑屈になる必要はない、という価値観を示すためにロバートというキャラクターは作られたのだと思える。だから、私は解釈(d)こそが一番もっともらしいと思う。 負けは負けとして認める。けれど、そのことを絶対視して卑屈になるべきではない。戦争の話じゃなくて、個人の人生の教訓。 「ディック作品にありがちなプロットの破綻が見られず」(訳者あとがき)という点が高評価(1963年ヒューゴー賞受賞)の一因らしいが、私はプロットが破綻しているディック作品のほうが断然スリリングだと思う。プロットをあまり決めずに書くようになった『OUT』以後の桐野夏生のほうが、彼女の初期作品より素晴らしいように。

    1
    投稿日: 2021.06.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    第二次世界大戦が枢軸国側の勝利で終わったという世界。 日本やドイツに統治されている米国。 ドイツが統治する地域では禁書となっているという小説が、それ以外の地域では話題になってヒットしている。内容は、第二次大戦が連合国側の勝利で終わった世界を描いたもの。 登場人物の多くが自らの進むべき道を「易経」で占っている。 本作は1962年に執筆されているが、この時代には易経が流行っていたのだろうか…。1978年に出版された『宇宙船とカヌー』でも、ジョージ・ダイソンが旅の出立をいつにするか易経で占うべきかなぁ、なんて言うくだりがあった。 この世界で売れているという小説の作者も、ストーリーの展開を易経で占っていたと告白する場面があるが、実はP.K.ディック自身が本作を書く上で実際にそうしたことがあると解説にあった。 作中の小説の内容と、現実の歴史と、登場人物の振る舞いとディック自身の振る舞いと、最後の平行世界的どんでん返しで目くるめく感覚に陥る。 骨董品屋と贋作メーカーとの関係など、本物とレプリカをめぐる物語などもディックの真骨頂と思わせる。 なかなか面白かった。

    0
    投稿日: 2021.06.19
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    海外の小説の翻訳本は、横文字の登場人物名が覚えられない事や、情景描写や精神描写のニュアンスが堅苦しく感じたり、ジョークを理解しづらい為、自分には合っていていないと改めて痛感した。

    0
    投稿日: 2021.06.06
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    第二次世界大戦で枢軸国側が勝利した世界を舞台にした小説。そしてその小説世界には、もしも連合国側が勝利していたらという世界を描いた「イナゴ身重く横たわる」という珍妙なタイトルの小説がある。そしてどうやらその「イナゴ・・・」の世界は、連合国が勝利しているものの、いまこの「高い城の男」を読んでいる私の住む世界とも少々様子が違うようだ。 もしかしたらこの「イナゴ・・・」の世界には枢軸国勝利の別の小説があり、その世界には連合国勝利の別の小説があり、そんな小説世界が果てしなく続いているのかもしれない。だとすると私が生きているこの世界も小説の一部で、その小説は枢軸国が勝利した世界で読まれており、さらにその世界も連合国勝利世界で読まれる小説世界で、だとしたら私は一介の小説的存在にすぎず、あぁこの私という人間は本当に存在しているのか!? ・・・とまではさすがに思わない。

    0
    投稿日: 2021.05.30
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    第二次世界大戦にドイツと日本が勝利した世界、だれもが易経の占いで未来を把握し行動する。ドイツの首相逝去に伴う権力者たちの後継者争いを背景に、美術商、アクセサリー製造販売業、日本軍部の代表者たちの関わり。職工の妻が訪れるベストセラー作家。 いつSFになるんだろうと思いつつ読み進めていましたが、この世界構築そのものがSFだったんですね。占いに信頼感のある世界っていうのも面白いかも。

    0
    投稿日: 2021.05.22
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    ディックの作品は少しだけ読んでいるが、中でもこれは難しかった。歴史改変物なので、歴史が苦手な私には辛いものがある。「偽物」と「本物」がテーマになっていることは辛うじて理解した。話としては特に大きな盛り上がりもなく、歴史改変以外にはあまりSFらしいところも見当たらない。ただラストの易経のくだりはなかなか好きだった。色々調べて高く評価されているようだから私の理解が足りないのだろう。詳しい解説が欲しいところだ。

    0
    投稿日: 2021.04.11
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    ヒューゴー賞受賞の歴史改変SF。2015年からAmazonビデオでドラマ化もされたディックの代表作。 第二次大戦において、ドイツや日本が、アメリカなどの連合国に勝利していたら……という設定の、架空歴史な世界観の中で描かれる人間群像劇。「易経」が物語の背後に大きな位置を占めており、単なる占いとしてだけではなく、形而上学・哲学的な意味合いを大きく持たせているのが特徴。 架空歴史ものに慣れていないのもあり、現実と異なる歴史を語られるだけで楽しめたが、この作品で印象に残るのはやはり、勇気や誇りといった人間性にフォーカスが当たる箇所だろう。特定の主人公はなく、何人かの登場人物を入れ替えながら物語は進むが、各々心の描写が細かく、どのキャラクターにも感情移入してしまう。人間ドラマ的な面白さを味わい、パラレルワールドについて思いを馳せる時間を堪能できた。「易経」について興味がわくが、難しそうで尻込みする。アマプラのドラマ版を見ようか迷い中。

    0
    投稿日: 2021.02.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    舞台は、第二次大戦が史実と異なる結果を迎え、ドイツと日本が戦勝国となった世界。敗戦国アメリカの国民は自尊心を失い、両国との狭間で翻弄されていく。 舞台設定的には、ifモノの歴史が好きな層に受けそうだし、それだけでワクワクしてしまうが、本質としてこの物語が訴えたかったことは、「今、生きているこの世界こそが真実であり、懸命に、前を向いて生きていくしかない。」(つまりあの時ああだったら、本当はこんなはずじゃなんて考えたところで無駄。)ということだと思う。 そのメッセージを表現するのに、劇中劇として登場人物たちが虜になる「身重くイナゴ横たわる」という本が大きな役割を果たしている。この本は「もし連合国側が勝っていたら」を描いているが、史実と微妙に異なる内容である(真珠湾攻撃が失敗する、チャーチルが90歳まで首相を務めている等)こと、終盤に主人公の一人であるジュリアナに、この本の世界こそが真実である(つまり劇中の世界は嘘である)とメタフィクションを告げていることから、物語は「結局どの世界が真実かなんて重要じゃない、知ったところでどうなる?」と読者に問いかけている。

    1
    投稿日: 2021.01.27
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    途中までめちゃくちゃ面白くなりそうなんだけどな…。 「日本とドイツが勝ったWWⅡ後の世界」って設定だけで面白そうだもんな。 うん…。

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    投稿日: 2021.01.22
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    着想は良かったけれど、書かれた時代が古過ぎて校正さんが機能していなかったのだろうというところが、日本人のわたしにはかーなり違和感を感じるような内容になってしまっていた。書かれた当時のアメリカならまだまだ戦争に行った世代も元気だっただろうし、日本やアジアのこともよくわからないだろうからウケたかもしれないけど、今の時代にはないなぁ...

    0
    投稿日: 2021.01.13
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    電気羊〜も実はあんまり刺さらなかったのだけど、『高い城の男』も発想は面白いのだが、自分好みじゃなかった、残念....! 日本とドイツが第二次世界大戦に勝利していたらという世界で、『イナゴ身重く横たわる』というアメリカとイギリスが勝利した世界の小説が流行っているという構造は面白かった。ひとひねり。 易経は全然ピンと来なかったので、ちょっと勉強してみたい。

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    投稿日: 2021.01.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「もし第二次世界大戦で枢軸国が勝利したら」という歴史ifの世界(イタリアはあまり美味しい思いはしていないみたいだが……)、さらにその中で「『もし第二次世界大戦で連合国が勝利したら』という小説が流行っている」という設定は面白い。登場人物がやや多く、偽名も使ったりしているので少し複雑だが、彼/彼女の意外なところでの関わりを追うのも楽しい。「敗戦国の白人」から見たドイツ人や日本人の描写はなかなか新鮮だった。

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    投稿日: 2020.10.30
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    第二次世界大戦で枢軸国側が勝利していた世界を描いた作品。その世界では連合国側が勝利していたらという内容の小説が出版されており、いろんな登場人物が考察を加えるので面白い。

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    投稿日: 2020.10.06
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    登場人物がやたらと易経にはまって、やたら重要な決定や、行動指針をほぼこの占いにあっさりとなんの省察もなく全面的に頼っているという世界が気に食わない上に、まったくわけが分からない。なんなんだ。 プロットとしての、もし第2次大戦でナチスと日本が戦勝国となり、アメリカ合衆国を分割統治してた世界だったら、しかもその世界観の中で現実同様連合国がナチと日本に勝っているという世界を書いた小説がベストセラーになっている、というのは非常に魅力的な舞台設定ではあるものの、肝心の登場人部が誰もよくわからない思想と、意味不明な行為を続けているので感情移入できない上にさっぱり面白く感じられないのだ。

    0
    投稿日: 2020.09.06
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    第二次世界大戦でドイツ・日本が勝利し、日本がアメリカを、ドイツがヨーロッパ、アジアを支配している設定のSF。 日本とドイツの冷戦的な関係も描かれる。 物語の舞台は日本に支配されたアメリカ。 「わかりやすいストーリー」はなく、映画「マグノリア」に似た、多数の登場人物による群像劇的な作品。 それぞれに共通するのは『易経』『虚構』、そして「高い城」に住むという作家の「第二次世界大戦で連合国軍が勝利していたら」という設定で書かれた『イナゴ身重く横たわる』という小説。

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    投稿日: 2020.07.27
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    難しかった、、、第二次世界大戦で枢軸国が勝利した世界。本物と偽物の曖昧さ。そして自分が信じたものが本物。

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    投稿日: 2020.05.25
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    ◯読み終えて素直に思ったことは、この小説に関して自分がどう考えて良いのかよく分からない、ということだった。 ◯SF小説を読み慣れていないせいなのかもしれないが、解説まで読んでみても、表面的にしかこの小説を説明していない。訳者あとがきであるから当たり前ではあるが。ある種自由に読めると言えば読める。 ◯日本とドイツが大戦で勝利するという設定は面白いが、おそらくこの類の小説では使い古されたテーマかと思う。 ◯すると、この小説で他と類を見ない特徴は、易経による未知な力で展開することではないか。その点、SFというよりはファンタジーの印象。また、偽物の工芸品から違う世界、おそらくは小説の中の小説、比較的我々の現実に近い世界に迷い込むあたりも、まさしくファンタジーである。 ◯しかし、小説世界での我々に近い小説を描いた人物は、その世界を、易経を使用しておらず、それはこの小説を易経を用いて描いたディックとは一線を画す。鏡描写のような非対称的世界には、フィクションであると確信するとともに、リアルに近い実感もあるのだ。 ◯我々の世界の違う形をリアルに描いているが、さながら太古の時代のように易経により行く末が決まっていく世界観、リアルとファンタジーをバランス良く溶け込ませて、自分と小説の世界が入り乱れて感じるところは面白いと感じた。

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    投稿日: 2020.03.20
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     『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』に続き2冊目。第二次世界大戦で枢軸国が勝利し、日独が米国を支配している世界が舞台。イタリアはどこへ行ったのか。  作中では『イナゴ身重く横たわる』という本が発禁になっている。内容は、「WWⅡで連合国が勝利した世界」。つまり、小説内と現実で、現実と虚構が逆転している(ただし、『イナゴ』ではイギリスがソ連っぽく独裁やってて、ソ連がほとんど出てこない)。。  でも、『イナゴ』内でアメリカを「白人も黒人も肩を並べて暮らし、働き、食事をとっている。第二次世界大戦が人種差別に終止符を打ったのである」(p.259)と、明らかに現実と異なる描写をしており、これは作者の皮肉なのか、それとも本当に事実を誤認しているのだろうか。たぶん前者だと思ってる。  作中で、骨董品の本物と贋作を分けるのが、本物を証明する紙切れ一枚だという指摘をしているように、この作品では現実と虚構に必ずしも優劣は付いていない。枢軸国が勝とうが連合国が勝とうが、第二次世界大戦は人種差別に終止符など打っていない。  2つの選択肢があるならば、それはどちらかが本物でどちらかが贋作、という2択ではなく、どちらが自分で選んだものなのか、ということになるのだろう。

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    投稿日: 2019.03.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    数か所引き込まれる箇所があったが、 夢中にはなれなかった。 共産主義やナチスについて もっと知っていたら、違ったのかもしれない。 考えてみると、第二次世界大戦のドイツ側のことは ほとんど知らないのだと思う。 少しずつ学んでいきたい。

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    投稿日: 2019.01.28
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    第二次大戦で枢軸国が勝利し、アメリカを東西で日本とドイツが分割統治していたらというSF。 当時は斬新な考えだったのでしょうが、今ではありふれているもの。 古典と言っていい作品で、古典ならではの良さと荒削りな点が有る。

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    投稿日: 2018.12.22
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    "第二次世界大戦に勝利した国は、我々が生きている世界の歴史では連合国(アメリカ・イギリス・ソビエト連邦・フランス・中華民国など)となっている。 もしも、枢軸国(ドイツ、イタリア、日本など)が勝利していたとしたら・・・・ この歴史のもしもを小説にしたものが本書。 100人の作家がいれば100種類の小説ができそうなテーマ。"

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    投稿日: 2018.11.23
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    ドラマをシーズン3まで観てから読んだ。「原作」と「ドラマ」の共通点と相違点の両方が大きくて、、先にドラマを観たことで、どうしても認識がドラマに引っ張られてしまって本の内容が上手く入ってこないという残念さと、逆にドラマを観てなかったらわからなかったかもしれない所がたくさんあって、なんとも言えない気持ちになった。ドラマを観ずに原作を読んでいたらどうだったろう、原作を読んでから初めてドラマを観ていたらどうだったろう、と考えてみるけど、想像もつかない。 でも、ドラマが面白くて、そのおかげでこの本に出会えて、よかったと思う。

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    投稿日: 2018.11.23
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    もしもドイツと日本が第二次大戦に勝っていたらという仮想もの。宇宙モノと勝手に思いこんで読み進めたのであてが外れたが、さすがヒューゴー賞受賞作。読ませる。

    0
    投稿日: 2018.11.12
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    正直、面白さをあまり見いだすことができなかった。 設定は倒錯していて手に取りたくなる興味ではあるが、効果的に活かされてるようには、個人的には思えなかった。 易経をめとにした登場人物の考え方というのは面白いかもしれない。 ストーリーには若干の起伏があるものの、世界観の割には刺激が少ない。

    1
    投稿日: 2018.11.11
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    実はまだ読んだこと無かったので、読んだのだが。 この読書体験は何だったのかw 易を立てないとわからんww

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    投稿日: 2018.10.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    連合国が枢軸国に負け、米国は日本とナチス・ドイツに占領されている。西海岸はアメリカ太平洋岸連邦という名で日本の勢力下にある。サンフランシスコで工芸品店を経営しているロバート・チルダンは、日本人の顧客相手にアメリカの伝統工芸製品を商っている。この世界にドイツ本国では発禁処分となっている「イナゴ身を重くして」という連合国が勝って、枢軸国が負けた世界を描いた本が人気となっている。その本を書いた著者は身を守るために高い城に住んでいるという。Amazon Videoの「高い城の男」見て、原作を読みたくなった。ストーリーも違っているし、ビデオでは「イナゴ身を重くして」と手書きされたフィルムを収集することになっている。そのフィルムには連合国が勝利した世界が映っているから。

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    投稿日: 2018.10.11
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    WW2に枢軸国側が勝利したという仮想世界を舞台に様々な立場の人物からの視点で描いている。 設定は非常に好みだが、翻訳のせいか読みにくいし面白く無い。本当の終盤に物語が加速していくところは面白いが、それまでは苦行でした。 作者の他作品はまた読んでみたいが、本作は正直微妙な読後感が残った。

    0
    投稿日: 2018.08.31
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    第二次大戦にて、ドイツと日本が勝った世界を描いた作品との事。 ちょっと読み辛い感じ。 ただ、ドラマをみてるので、登場人物は把握できてるのは助かったかな? 田上氏が古物商といきなり絡んでるとか、フランクとジュリアナは別れているとか。 古物商のチルダンは、テレビと同じ雰囲気。日本人夫婦の妻に興味を持って、 フランクに作らせたブローチをあげるとかテレビも同じ設定。 田上の立場や易を信じること、ブローチで違う世界に行くこととかもテレビで使われてる。 ジュリアナは強い女性は変わらず、ジョーと行動を共にするも、イナゴの本に出会い、 作者に興味を持つ。ジョーが暗殺者と知るや、カミソリで首を切り、ジョーを殺すとか、すごい女性。 で、作者に会うけど、作者もたじたじな感じ。 で?という終わり方になってしまったかな? たんぽぽ作戦(日本にドイツが核攻撃)も日本が水爆を持ってる事を知り、中止となるところもドラマでも使われている。 まあ、不思議な感じで読んで楽しかった。

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    投稿日: 2018.07.04
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    おすすめしていただいた本をようやく読みましたが、とても面白かったです。 第二次世界大戦で枢軸国が勝利した世界はこのように描かれているのかと思いました。 ほとんど、日本が統治しているアメリカが舞台でしたが、易経に決定事項を頼っていたりするのが特殊な文化だな…と興味深いです。易は日本人は使わないと思うのですが。。 この世界でベストセラーになっている、同盟国が勝利した世界を描く「イナゴ身重く横たわる」も易が書いたことか…タイトルの男とは…と、最後までわくわく読みました。 途中、チルダンから三角を買った田上が見た別の世界は、わたしたちが住んでいるところとはいえ、ぞわっときました。 歴史のもしもをこんな風にかっちりしっかり構築されると圧倒されます。 おすすめしてくださって良かったです。この作家さんの本は2冊目ですが、アンドロイドのよりもこちらが好きでした。

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    投稿日: 2018.07.03
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    星0評価。というか読むに耐えなくて途中でやめた。 「もしも第二次世界大戦でナチスドイツと大日本帝国が勝ったら?」という設定に魅力を感じて読み始めたものの、作者の書く日本像が適当すぎて無理だった。 大日本帝国で易が流行ってる、って明らかに中国と日本を混同してるよね??そして大日本帝国といいつつ天皇制が全く存在してないってどういうこと??天皇制のない大日本帝国なんてヒトラーの存在しないナチスドイツみたいなもんでしょ。 作者がこの物語を通じて真に書きたいものが、史実を踏まえたパラレルワールドではなかったから、題材にしてる国の歴史や文化を無視した描写をしてるんだろうな…っていうのはわかる。でも、ナチスと日本が勝ったIfの世界を題材にするからには最低限の取材をして、所謂ガイジンのイメージする薄っぺらなエセジャパンに過ぎないものにはしないでほしかった。 戦後日本を風刺して馬鹿にする描写が入ってる(日本人の収集癖とか西洋崇拝とか?)けど、それを入れるのならなおさら戦前の日本からしっかり理解しておくべきだったよね? 知識ゼロの適当な日本を描いた上に、本が書かれた当時の日本人のステレオタイプにのっかって日本人像を皮肉ってる…というのはあまりに中身がスッカラカンでは??というか、元々きちんと歴史、文化を取材するほど日本に興味がなかったのなら最初からオリジナルでやれよ。 評価が高い本だっただけに期待外れだった。まあ多分もう読まないな

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    投稿日: 2018.06.17
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    『アンドロイド〜』に続き、ディック作品三作目。読み始めてから終わりまで、大分時間が掛かってしまった…。訳がが悪く、全然世界観に入っていけず——。あらすじは面白そうだったんだけどなぁ…残念。もうこの翻訳家の作品は読まない方がいいかも知れない・・

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    投稿日: 2018.04.11
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    SF内SFが物語の重要な要素となっている。 映画内映画にしろその作品自体が位置しているジャンルへの言及はメタにならない程度にしつこくならない程度のものであれば作家への信頼に繋がるよなぁと思う。

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    投稿日: 2018.03.19
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    アマゾンプライムでドラマ化される前から本自体は持っていたのに、ずっと積本してあった。ドラマの初めの方だけ見て、今さらながら読んでみようと思ったのがきっかけ。 日本とドイツがアメリカを支配している世界で、その中でもドイツと日本が負けた世界の本が出ており、ドイツ領内では発禁扱いになっている。その本がどうやって書かれたのかも最後には明らかになるが、正直そんなことはそれほど重要ではなく、ドイツと日本が制している世界の中で、日本人やアメリカ人、ユダヤ人などのうまく言い表せない世間の流れに対する気持ちや状勢を読んでいくべきなのかな。ただ、日本人が易を使っているというのはいかがなものかとは思った。そんなものを知っている日本人には出会ったことがない。

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    投稿日: 2018.03.14
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    第二次世界大戦で枢軸国側が勝利した結果、ナチと日本が世界を二分し、易経が流行し、連合国側が勝ったという内容のSF小説が売られる世界でアクセサリー職人や美術商、ドイツのスパイや日本の役人が陰謀に巻き込まれたりする様を描いた歴史改変SF。 話がスペクタクルに展開するわけではなく、個々の登場人物の心理や駆け引きを丁寧に積んでく感じなので、物語が動くまでは追っていくのが大変だったけど、後半は一気読みした。硬派な歴史物かと思うとオチがあれで、訳者後書きで更にあれなのがあれでしたね。

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    投稿日: 2017.12.20
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     社会での駆け引きが、詳細・緻密に描かれていると思います。作者が、作中によく登場させる特殊者(「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」での「ピンボケ」、ユービックでの「プレコグ」、「テレパス」)が、この作品では登場しません。その代わりに?「易経」という占い?がこの作品では重要な事物として登場します。  日本人の性癖を上手く洞察していると思います。特に後半の、エリートの日本人のポールと、商人のチルダンとのやり取り・駆け引きに、日本人の性癖が上手く描かれていると思います。また、お偉方の田上が、同じくドイツのお偉方のバイネスに会った時に、ミッキーマウスウォッチ(この作品では、こういった商品が骨董物と思われている)を贈り物として授けた時は、僕は、作者がお偉方の見当違い・頭の固さを揶揄している様に感じました。このシーンは、この作品では一番笑いました。  お偉方だけではなく、商人、労働者、魅力的な女性を作品に登場させています。そして、それぞれの人物の描き方が、丁寧だと思います。作品の最後、人間としてまともな行動をとった田上とバイネスが、田上はパラノイドになりかけ持病?の心臓発作を起こし、バイネスは着陸したドイツの空港で警察に逮捕されていました。これは社会では定石ですが、作者は、この後の事は、描いていませんでした。

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    投稿日: 2017.12.15
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    ドイツと日本が勝利した第二次世界大戦後のアメリカは、陰と陽の一面を返したようで、権力者の影が影絵のように揺らめく様相は、現実においてのアメリカ合衆国が落とす影と一対になっているかのよう。 この世界であっても日本は渦の中心にあって中庸の立場をとらざるをえなくなるというのはいかにも皮肉だ。 そのような世界での官僚、反骨心をくすぶらせる職人、素性を隠すユダヤ人青年などに引き起こされた出来事に対しても、生き抜くための手段を講じる日常にすぎず、世界の大局に影響する力も持たない。 作中作として登場する小説はアメリカが戦勝国となった世界を描いており、またディック自身が傾倒していた「易経」がこの背中合わせの世界を立体的に描写する役割を担っている。 今の世の中も物事の一面に過ぎないということを薄暮の雲のような淡彩の向こう側に描いたような独特の世界観を感じた。

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    投稿日: 2017.12.10
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    パラレルワールドもののSF。第二次世界大戦で日独が勝利した世界。分割統治されるアメリカ本土を舞台に、迫害されるユダヤ人や、日本人に媚びを売ることに屈辱を覚えている米国人などにスポットライトを当てて描いた群像劇。作中で「連合軍が勝利した世界」を描いたSF小説が大ヒットし、ドイツ支配地域では発禁になるという、合わせ鏡的な構造になっている。ドイツでは政変が起きて情勢が複雑化しており、各国をまきこむ陰謀が駆け巡って、第三次世界大戦を予感させる描写もある。出版された1962年は、まだ第三次大戦の可能性というのは生々しかったんじゃないのかな。 「ここはわれわれが望んでいるような、理想の世界ではない。理想の世界なら、認識もたやすく、したがって道徳的行為もたやすい。そんな世界なら、理非曲直がはっきり見分けられて、何の苦もなく正しい行動がとれるだろうに。」印象深い文章やシーンがいくつもあって、面白かったのだけど、もっとちゃんと戦後史に詳しい人だったら、この小説のifの部分をもっと正しく楽しめたというか、この小説を深く理解するためにはもうちょっと当時の世界情勢が頭に入っていないといけなかった気がする……ということで、自分の教養の不足からやや敗北感を伴う読了。 易(当たるも八卦当たらぬも八卦、の易)が重要なモチーフとして出てきて、登場人物がやたらと(日本人が持ち込んだ文化としての)易を立てるのだけど、ディックの日本観がリアルな日本とちょっと違うのがかえって面白い。……とかいって、もしかして戦後の易経ブームってわたしが想像するのよりももっと熱烈だったのかな? とかも思ったけど、たぶんそこまでじゃないよね……?

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    投稿日: 2017.12.02
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     第二次世界大戦に枢軸国側が勝利し、米国は、日本とナチスドイツが支配する別々の領土に二分化されているーこのSF設定には興味をそそられる人も多いだろう。アマゾンが映像化したのもむべなるかな。ただ小説は、登場人物がやたら多すぎて、各人の絡むエピソードも薄くて、同時並行で話が進んでいるんだろうけど、私の好みではなかった。興味がある人はアマゾンで視るのがよいかもね

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    投稿日: 2017.11.14
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    第2次世界大戦で枢軸国が戦勝国となった設定が面白そうだった。しかし、著者の「日本」の描き方は東洋を十把一絡げにしたステレオタイプのようで今一つ馴染めず。自身の行動を易経での占いに託す姿にも違和感。主要な人物チルダン、フリンク、田上、ジュリアナのそれぞれの帰結が中途半端だ。「高い城の男」と呼ばれた反体制的著作の作者・アベンゼンも、体制側(ドイツ)から身を守るための城に居ず、ジュリアナが彼の訪問を辞した後のことも描かれない。自分には、その良さが解せない作品だった。

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    投稿日: 2017.08.14
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    どこかであらすじやら書評をみて、興味が沸いたので手にとってみた。 ただ、、私には合わなかった、、かな。 元々翻訳ものは面白くても眠くなりがち。設定は好みだけど、、なんだか難解で、登場人物たちにあまり感情移入できなかった。 最後のオチも、うーん、で? という感じ。私自身の低レベルさが問題なのかな。

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    投稿日: 2017.05.26
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    で、この後どうなっちゃうの?? 誰が主人公なのか分からないし、劇的な出来事が起こるわけでもない(殺人や撃ち合いも起きるのだけれど…)のが返ってリアルな感じ。何にも起きないのかなぁと思いながら読み進めていったけれど、いつの間にか引き込まれてしまった。

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    投稿日: 2017.05.14
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    第二次大戦でドイツと日本が勝った後の世界が舞台。 当然のごとく、人々は日常生活を営んでいますが、その世界は何となく歪んでいて不安定な感じを受けます。 その世界の中で『イナゴ身重く横たわる』という発禁本と、『易経』がそれぞれ別の世界を展開しています。 “44口径のコルト”や“新しい装身具”など何かを象徴しているようなアイテムが出てきつつ、どこに真実があるのかを問うようにしながら、話は進んでいきますが、訳文の味わい深さもあり、全く難解な話ではありません。 脳の色々なところが刺激されるような、楽しい読書時間を過ごせました。

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    投稿日: 2017.04.12
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    ピンと来なかったな。群像劇なんだけどどの人物のエピソードも盛り上がりそうで盛り上がりに欠けた。あと、なんでも易経で決めるみたいなのについて行けなくて一歩引いて読んでた。これ日本文化のつもりなん?エンターテイメント期待して読んだからな、時代背景とかこれが書かれた当時の空気とか、色々仄めかされてた気がしたけど深読みする気になれなかった。

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    投稿日: 2017.03.06
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    第二次世界大戦の勝敗が逆転した世界を題材にしたSFです。 ドイツと日本がアメリカを二分し、アーリア人は優生人種、日本人は権力ある黄色人種として君臨しています。 しかし、枢軸国であるイタリアの存在は薄いものとなっています。 小説の世界では「イナゴ身重く横たわる」という、WW2で連合国側が勝利した内容の小説が密かに流行っています。 まるですぐ横に存在しているパラレル世界を垣間見ているような感覚にとらわれます。 日本人として、どちらの世界が良いのかを考えさせられる一冊。

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    投稿日: 2017.02.21
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    ながく手元に置いたまま、読み始めることができずにいたが、amazonのドラマを見て、また『ユナイテッド ステイツ オブ ジャパン』を読んで、いよいよ手に取った。 案外淡白で淡々と進む話なのだった。

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    投稿日: 2017.02.18
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    設定に惹かれて買ったけれど、易経のことがさっぱりピンとこなかったからか、かなり不完全燃焼。 ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパンの方が、まだ面白かった。 それにしても、翻訳本はこれで最後にしようと、毎度思うのに、ついつい読んでしまいたくなるのはなんでだろう。 170112

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    投稿日: 2017.01.13
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    途中から、これ読んだことある気がするなーってずっと思っていた。多分2回目。ドラマを観ようと思って読了。

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    投稿日: 2017.01.04
  • 虚構と現実,本物と贋作の狭間で

    第二次世界大戦でナチスと日本が勝利し,アメリカを占領統治しているという歴史改変もの。 ヒューゴー賞受賞作で評価の高い作品だが,読みやすいかというと正直そうでもない。 物語の中で逆にアメリカが勝利していたら……という小説が登場し, 虚構の中の虚構は現実といったギミックや,古物の本物と贋作の考察などは面白みがあるものの, 人物達の繋がりや全体としてのまとまりが感じられず,結局,何なの? といった印象が拭えない。 その点,Amazonのドラマ版は,世界観・心理描写・サスペンス要素などとてもよく作り替えたのだなと思う。

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    投稿日: 2017.01.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

     日本人でも易とか、やったことないですけど……。  っていうマジレスは置いといて。読みたい本があって、それがこの作品の「精神的続編」だそうなので、先にこっちを読んでみた。ディックだし、読んどいて損はないかなって思って。  正直歴史的知識がほぼないので、なにがなんやら。  第二次世界大戦で、日独側が勝ったIFの世界での話。アメリカ含めた世界を日独でそれぞれわけっこして統括してる、って感じなのかな? ドイツはもちろんナチスがそのまま存続してる感じで、宇宙征服(っていうとギャグっぽいけど)も企んでる感じ?  思となる視点が複数。  アメリカ人の美術商の男、工場を首になった金属細工工のユダヤ人の男、その別れた妻、ドイツ国防軍所属の男、アメリカにいる日本人のそこそこ偉い立場にいるひと(このひとの役職がいまいちよくわからん)。  征服された側、迫害された側、迫害する側、征服する側。  物語のなかの小説として、ドイツが負けたIF小説が出てきたけど、それが史実とどこまで同じものとして作者が書いていたのかが分からない。知識があれば断片でも嗅ぎ取れたかもしれない。  易を絡めた考え方、世界、人生、人間について。そういうのは読む価値は大いにある。けどただ、話の筋はいまいち理解できないままでした。結局ジュリアナはなんなん。  抜粋。田上氏の思考より。  悪はある! セメントのように実体のある悪が。  全体的に面白い文章が多かったな。

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    投稿日: 2017.01.02
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    個人的には前評判に比して大いに期待ハズレであった「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」の本歌である歴史改変ものです。 第二次世界大戦に枢軸国側が勝利した世界で、複数の登場人物それぞれの視点がこまめに切り替わりつつ、物語は進みます。 僕自身がきちんと消化できていないために、うまくストーリーを説明することはできませんが、重く暗く危うい世界を舞台としていながら、読後感は一種爽快ですらありまして、「USJ」でのモヤモヤを吹っ飛ばしてくれました。 また、本書の中でも重要なツールとなっている「易経」や、ディックの他の作品も読んでみたいと思いました。 (ディック作品は、高校時代に読んだ「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」以来でしたので)

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    投稿日: 2016.12.27
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    物語は淡々と進み、奇想天外なできごとやビックリするようなこともほとんどなく物語は終わりを迎えます。 個人的には登場人物たちに感情移入することもほとんどありませんでした。 なんて書くと、面白くなかったのかと思われるかもしれませんが、逆にそこを楽しむのがいいと思います。何が真実で何に意味があるのか?なんて登場人物が感じているようなことを自分のいる”この世界”で考えてみるとか。 ナチスと大日本帝国がWW2で勝利するという設定も面白く、日本人の書かれ方は奇妙ですが小説の中での待遇は良いので、妙に嬉しかったりと。

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    投稿日: 2016.12.04
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    現実とは逆の世界で、その世界と逆の世界を描く一冊の本をめぐるストーリー。易と精神世界に入りすぎていてちょっと難解。

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    投稿日: 2016.08.25
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    すっきりしないラスト。 現実とは何か。境界をぼやかして、曖昧なまま終わってしまう。 どういうことなのか、理解できなかったので、こんな風に思うことにする。 ・易経はあくまで占いであり絶対的なものではない。(実際、小説内でも外れたりしている。) ・パラレルワールドは存在しない。(朝食にパンを食べるかご飯を食べるか、そんな選択の度に、枝分かれのようにパラレルワールドが発生しているなんて論は信じられない。) という前提にたって考えてみる。 すると、やっぱり現実の戦勝国はドイツと日本であって、イナゴはあくまで小説だろう。 チルドン氏の日本人への謝罪要求。クライマックスで見せる、最悪を回避した明るい兆し。田上氏の領事に対する毅然とした態度。ああいった選択ひとつひとつで、小説のような今より「マシ」な世界や人生を作っていける。 そんな前向きなメッセージだったのではないか。 というか、そんな前向きなメッセージが正しいと信じたいほど、今の世の中はぎりぎりまで来ていると思う。

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    投稿日: 2016.08.15
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    まさに、今欲している言葉が山ほど出てきた。 この本で重要なのは「第二次大戦でドイツと日本が勝っていたとしたら、その時のアメリカは…」という設定自体ではなくて。 ・狂気と正気。 ・闇の中に生じる光の種子と、その芽吹きによって生じる闇とによって繰り返される、消滅を免れる世界というもの。 ・主観的歴史にまつわる、<仏教の文化>と<キリスト教の原罪>という考えについて。 ・そして、全ての道が何らかの悪に通じているとしても、一歩一歩選択することでしか結末を左右出来はしないのだということ。 真逆のようで一対のそれらの上で混乱をきたして選択を放棄しようとした私が、今確かに、読むべき本だったのだ。 すごい本だった。 (たとえ、登場人物の日本人がハリウッド風の謎日本人と謎中国人のハイブリッド的だとしても。)

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    投稿日: 2016.06.25
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    歴史改変の世界観の中にある「イナゴ」がわれわれの現実について書かれているということは、パラレルワールド的、メタ的。

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    投稿日: 2016.06.19
  • 単なる「もしも」の小説ではない!

    読み方は人それぞれですが、この小説は単なる「もしも歴史が・・・」のSF小説ではないです。 2回読みましたが、2回目は1回目よりも面白かったです。良い作品だと思います。

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    投稿日: 2016.05.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    満を持して読んだ一冊、なのだが。。。 「ブレードランナー」の原作 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 の作者フィリップ・K・ディックによる 第二次大戦で枢軸が勝利した世界の物語。 1960年代初頭。 米ソと同様にドイツと日本が冷戦状態にあり アメリカは東海岸がドイツ 西海岸が日本のエリアに分断され その間に緩衝地帯がある。 ※参考までにリドリー・スコット製作の  TVドラマのトレーラーをご覧下さい。  https://www.youtube.com/watch?v=hzz_6dmv03I 枢軸が支配する世界は価値観や規範が 大いに混乱していて、まるで迷宮だ。 登場人物はみな常に不安の中にある。 現実の世界も今や根底からカオスに陥っていて 結局どちらが勝とうと支配しようと 人間の世界は変わらないということだが ディックが、その中で人々がすがる「バイブル」を 中国の「易経」にしているところには どうしても違和感がある。 ところが解説を読むと ディックは私生活でも易経を使っており この作品を書く時も、人物を動かす上で 易経を使ったのだそうだ。 そうか。。。それならば仕方ない。 私は中国を日本と混同されるのが好きではないが それが彼の書き方だし これはフィクションなのだから気にしてはいけない。 またディックは ドイツ人を冷酷、非情、機械的な人々として 日本人をミステリアスで繊細、 控えめで思慮深い人々として描いている。 繊細でミステリアスな日本人たちが この混沌とした作品の中で大きな魅力になっているが 少々ステレオタイプであることは否めない。 さて「高い城の男」とは? 彼は、連合側が勝った世界を描いてナチに命を狙われている 作家アベンゼンのことだ。 正直、もっとダイナミックな展開があると思ったが。。。 総じて 特異な世界を描ききっているとは言えず どの登場人物にも感情移入ができない。 期待が大きかっただけに落胆も大きい。 B級娯楽小説。

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    投稿日: 2016.04.24
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    設定に惹かれて手をつけた WW2で、枢軸国側が勝利し、日独が分割統治するアメリカで、連合国が勝った設定のSF小説が出回る。捻れ具合が何とも気になる感じじゃないか ドイツ人と日本人の精神性(あくまでも作者の思うだが)で歪めた世界、敗戦の影響で卑屈なアメリカ人。アメリカの雰囲気が全然違うのが面白い。 作者の描くドイツ人(ナチス)は、拡張思考が強く、選民思考のため、他民族を顧みない。国家として暴走している状態。 日本人は、禅の精神、収集癖、それに易への傾倒という性質を持ってる。この易というのが癖もので出てくる人物が皆、易に依存してる。 何とも、薄気味悪い世界。 終盤の流れについていくのが厳しかったが、フィリップ・K・ディックなら仕方のないのか

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    投稿日: 2016.04.11
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    ヒューゴー賞にも輝いたフィリップ・K・ディックの最高傑作と謳われる「高い城の男」が、第2次世界大戦で日独伊の枢軸国が連合国に勝利しアメリカを分割統治している世界を描いた偽史物であったことをずっと知らなかったのです。知っていればすぐさま読んでいたでしょう。だからおずおずと今になって読み始めた次第です。 物語はこの偽史的世界で生きている人々の群像劇となっています。1947年にアメリカは日本が統治する太平洋岸連邦、ロッキー山脈連邦、そしてドイツが統治するアメリカ合衆国の三国に分断されて15年が経っていました。アメリカ人、日本人、スウェーデン人など多種多様な人種の人々が登場しますが、意外にもそれぞれの物語はしっかりと、そして意味ありげにひとつの事象に収斂しようとしているかのように進みます。このへんのストーリーテリングは他のディック作品に比べ読みやすささえ感じます。 そのひとつの事象が作品内小説「イナゴ身重く横たわる」とその作者である「高い城の男」ことホーソーン・アベンゼンです。この小説はアメリカ率いる連合軍が大戦に勝利したという偽史を元にした作品です。この倒錯した世界観が「高い城の男」という作品の特徴であり、読者を翻弄するための仕掛けとなっているのです。 また登場人物たちが自分の進む方向に迷った時に頼ってするのが「易経」です。中国伝来の東洋の占いですので、日本人には馴染み深いです。実際ディックも「易経」にハマっており、ストーリーを考える上で実際に使用して占ったりもしていたようです。「高い城の男」ではこの「易経」が登場人物たちの行動や思考の多くの部分を決定的にしています。 そして、後半に出てくるフランクが作った銀の装身具がチルダンや田上の人生の変容のお守りのように、「易経」と同じような効果をもたらしているのは非常にユニークでした。 とにかく、この作品は群像劇ではあるもののそこには大きなうねりのようなものがあり、真偽をずっと疑っているのが印象的です。しかしそれはただの気の迷いではなく、田上やルドルフ・ヴェゲナーが感じている、もしくは実感したようにパラレルワールドの出来事であるという解釈もできるのです。つまりディックは偽史ではなくパラレルワールドのひとつとしてこの世界を創造したという解釈もまたひとつの解釈として成り立つ気がするのです。

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    投稿日: 2016.03.13
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    「ー」 『易経』の人気がすごい。 第二次世界大戦で日本、ドイツが勝った世界の話。読み物として面白い。

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    投稿日: 2016.02.21
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    米国でテレビドラマになって映像化されると聞いて20年ぶりくらいに読みなおしました。 ディック作品の中では嫌いな方です。でも世界観は好きなので、ドラマには期待です。 第二次世界大戦でドイツと日本が勝って、分断統治されている米国が舞台です。あらゆるものを量産してコモディティ化するリアル米国を皮肉るかのようなアンティークで手作りでアナログで、しかもかなり卑屈な国になってます。 そこに日本とドイツが負けた世界を描く小説が登場します。リアル世界とはまた違う世界です。 たびたびこの物語に出てくる易経によると実はそれが本当の世界らしいです。 平行宇宙がテーマのSFですかね。とりあえず読みにくかった印象が強いのが残念です。翻訳が駄目なのかもしれませんけど。

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    投稿日: 2016.02.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    第2次大戦で枢軸側が勝利したという設定は、出版当時が1962年の冷戦構造真っ只中ということを考えると、社会に少なからぬ影響を与えたであろうと容易に推察される。 結局は作中作「イナゴ身重く横たわる」に描かれている世界に収束していくわけだが。 中盤以降はフィリップ・K・ディックならではの思索が炸裂しまくり、エンターテインメント性を期待してはいけない。

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    投稿日: 2016.01.30
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    第二次世界大戦に枢軸側が勝利していた世界――の アメリカを舞台にした改変歴史SF小説。 敗戦国民として自尊心を傷つけられた アメリカ一般市民の暮らし、 反目し合う日独の駆け引き、スパイや暗殺者の策動、etc. もし連合国が勝利していたら…… という内容の小説『イナゴ身重く横たわる』が ベストセラーになると共に一部地域では発禁になっている世の中で、 その本と占筮に導かれて接触したり擦れ違ったりする人たちの様子。 しかし、全体的に地味な群像劇で、読んでいると 自分が高い場所から箱庭を見下ろしているような気分に なってくる。 タイトルは作中での『イナゴ身重く横たわる』の著者が 身を守るために堅固な城にも似た屋敷で暮らしているという噂に基づく。 結末は、途中から漠然と予想していたとおりだった。 時間が経って読み返せば スルメのようにジワジワ旨味が感じられるようになる、のかな(笑)?

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    投稿日: 2016.01.28