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powered by ブクログアメリカの作家トム・フランクリンの長篇ミステリ小説『ねじれた文字、ねじれた路(原題:Crooked Letter, Crooked Letter)』を読みました。 ここのところミステリ小説はアメリカの作家の作品が続いています。 -----story------------- デニス・ルヘイン、ジョージ・ペレケーノス、デイヴィッド・ロブレスキー絶賛。 アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作家が贈る感動のミステリ ホラー小説を愛する内気なラリーと、野球好きで大人びたサイラス。 1970年代末の米南部でふたりの少年が育んだ友情は、あるきっかけで無残に崩れ去る。 それから25年後。 自動車整備士となったラリーは、少女失踪事件に関与したのではないかと周囲に疑われながら、孤独に暮らす。 そして、大学野球で活躍したサイラスは治安官となった。 だが、町で起きた新たな失踪事件が、すべてを変えた。 過去から目を背けて生きてきたふたりの運命は、いやおうなく絡まりあう――。 ロサンゼルス・タイムズ文学賞受賞。MWA賞最優秀長篇賞、ハメット賞、バリー賞、アンソニー賞候補。 英国推理作家協会(CWA)賞ゴールド・ダガー(最優秀長篇賞)にノミネート中の傑作ミステリ。 ----------------------- 2010年(平成22年)に刊行された作品です……小口と天・地が黄色に染めてある、懐かしく、心ときめく装丁のハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版で読みました。 ホラー小説好きの内気な少年ラリー・オットと野球選手になれそうなほど才能ある少年サイラス・ジョーンズ……まったくちがう二人が育んだ確かな友情、、、 が、ある出来事を境に関係は断絶した……25年後、自動車整備士になったラリーは、住人から疎外され、孤独の中で暮らしていた。 そんな時、町の有力者の娘が失踪……ラリーに疑惑の目が向けられ、治安官になったサイラスは事件の捜査に関係していく、、、 かつての友との再会がもたらすその先には……。 25年前に未解決となった少女失踪事件と新たに起きた町の有力者の娘の失踪事件巧みに結びつけ、登場人物たちの複雑な人間関係と心理を深く掘り下げた物語……人種差別や貧困、冤罪といった社会的な問題を背景に、友情や希望、そして再生の可能性が描き出されていました、、、 少年時代の友情、過去から目を背けてきたふたりの運命……ラリーとサイラスの成長過程を丁寧に描写していることに感動しましたねー ミステリとしてのスリルとサスペンスを愉しみつつ、人間の弱さと強さ、そして運命の不思議さ、そして人生の選択や運命について深く考えさせられるヒューマンドラマとしても愉しめる作品でした。 深い満足感を与えてくれ結末も心地良く、好みの作品でしたね。
5投稿日: 2024.04.03
powered by ブクログしかしアメリカ人はこういうのが好きだなぁ~。 デニス・ルヘイン、ジョン・ハート…… 閉鎖的な田舎町、貧困、人種差別、レイプ、銃、酒、麻薬、家庭内暴力……。 ミシシッピの田舎で友人だった二人 白人でホラー好きで人付き合いの苦手な子と、黒人で母と二人シカゴから流れてきた野球好きの子。仲が良かったはずの二人がいつの間にか離れていく。 二人の距離が広がった少女の失踪から25年、再び事件が起こり二人は……。 25年前と現在が二人それぞれの視点で描かれ、最初の100ページは苦労した。 ミステリーではなく文芸小説だと思って、唐突に切り替わる時間と視点に慣れ始めると、独特の雰囲気の中、ドーンと沈み込み浸ることに……。 だからこそ、エンディングにちょっといいものがあれば、それで読書が救われる。
2投稿日: 2022.09.15
powered by ブクログミシシッピ州東南部のある田舎町。住民五百人ほどの緑深い土地で起きた少女失踪事件が発端だった。少年時代の奇妙な友情と、ねじれ曲がった因縁の記憶が錯綜しあう巧みな構成の本作は、アメリカ南部の汗と涙の匂う心揺さぶるミステリー小説である。ストーリーの展開とともに深い味わいに身が焦がされるような思いに駆られ、最終章を読み終えたときには、彼等の行末が安穏であることを願っていた。
1投稿日: 2020.01.28
powered by ブクログ少年二人の友情と、それが壊れてからの長い年月。25年後に再びめぐり合った二人の運命が、簡潔に接続詞を省いて積み重なっていく文章で書き表されている。読みやすくひざびさに読後感のいいミステリだった。 底辺にある黒人と白人という人種問題も重くなく理解できるもので、効果的だった。 ホラー小説を愛するラリー・オットは41歳になった今、人里はなれた家で一人で暮らしている。父親から受け継いだ自動車修理工場を持っているが誰も来ない。その理由は過去の事件にあった。 ゾンビの仮面をかぶった男が彼の家に侵入して至近距離から胸を撃たれ、ラリーは倒れた。そこから物語の幕が上がる。 黒人のサイラス・ジョーンズは母親と逃げて極貧状態で小屋に住み着く。母はラリー家の召使だった。彼らは同じ学校に通い親しい遊び友達になった。 当時サイラスは野球の才能がありスターで白人の女の子シンディと付き合っていた、誘い合って映画を見に行き、それをラリーが手伝った。だがその日以後シンディが姿を消した。疑われたラリーは、それ以後自動車工場に来る客もなく孤独に暮らしてきた。 サイラスは野球で大学に進学したが肩を痛め、海兵隊に入り、ついに故郷に戻ってきた。いまでは「治安官」とか「32」と呼ばれている。 ラリーにあうことはなかった、過去にはもう関心がなかった。だが新たな失踪事件がおき、ラリーが撃たれ、二人を結ぶ糸がまた繋がっていく。 ラリーは命をとりとめたが昏睡状態で、目覚める様子がなかった。 サイラスはラリーの病室の警護に当たり、過去に少しずつ近づいていく。子供時代サイラスと同じチームにいたM&Mも 川で死体になって見つかる。 サイラスが大学に進学してミシシッピの田舎を離れた後、25年の歳月が流れ彼らはその間それぞれに人生を生きてきた。 交わった少しの思い出や彼らの家族の思い出が甦る。 元気だったラリーの母親はまだ生きていたが、痴呆が進み、たまに霧が晴れたようなときにだけサイラスを思い出し、サイラスの母を思い出す。 しかし過去の手がかりはこの母の朧な記憶の中で見つかる。 このあたり、短い記述が一気に重みを増す。サイラスは気づいたことがある。 ラリーと一緒に過ごした子供時代に立ち返ってみる。 そして過去の事件、新たに発生した事件、ラリーの事件が鮮やかに解決に向かう。 面白かった
0投稿日: 2020.01.10
powered by ブクログおもしろかった。良い小説を読んだと思う。この小説、良い父親像が描かれていないんだけど、だからこそ、ラリーが見せる父性(自動車整備工としてコイツを鍛えてやろう)が切なすぎ、胸を打たれた。
0投稿日: 2018.12.25
powered by ブクログアメリカ探偵作家クラブ賞授賞作家のトム・フランクリンの作品「ねじれた文字、ねじれた路」を読了。ロサンゼルスタイムズ文学賞授賞というのも帯に書いてあったがこれはどういうつもりでこの情報を載せたのかがまず気になった。ロサンゼルスタイムズ文学賞なんてあったとしても誰も重要な物と思わないだろうし、例えば朝日新人文学賞というのもあるが日本でも知っている人も少ないだろうし、ましてや授賞しても海外の人には何のアピールポイントにもならないだろうと。アメリカの地方紙の文学賞を取ったなどどれくらいのインパクトを持つのだろうと大きな疑問を持ったのだ。 だが調べてみるとちょっと面白い賞なのがわかった。何とミステリ部分で中村文則が「掏摸」でこの賞でノミネートされたりしていて面白い選者が居る賞だというのはわかった。だがこの情報を帯に載せたのは編集者のこだわりの現れだろうが、この情報が響く読者はほとんど居ないだろうと思われるからひとりよがりな不思議な帯になってしまっているのは残念だ。 帯はさておきストーリーはというと、一応ミステリーの体裁は取っているものの情報整理能力がある程度ある人だったら読んでいる途中で犯人はすぐに判明してしまう。だから作者は著者はミステリーを書こうとしていはいないのではないかと感じた。この前読んだインドの物語「グローバリズム出所の殺人者より」でもインドにおいてカースト制度によりいまだ捕われてしまっている人々が描かれていたが、アメリカの片田舎のお互いが見張り合っているような自分の州以外出た事がないような人があつまる狭い社会で田舎故の村社会の特殊な情報網とそれによる偏見にとらわれてしまった人たちを描いているのではと思った。そう意味では社会派サスペンスとでも呼んだらいいだろうか。 サスペンスとしてはやはり緻密な伏線のはりかたが素晴らしく、主人公の黒人および助演男優とも言える彼の幼き頃の友人だったが村八分になっている白人の二人の再会から最後彼らの出生の秘密にもっていくあたりは思わずうまいなあと感心もした。映画化されてもおかしくない作品だとは思うが、今のアメリカ社会では難しい内容かもしれない。 そんな感動社会派サスペンスを読むBGMに選んだのがWes MontgomeryとWynton Kellyの名演“Smokin' at the Half Note" . 熱いなあ。
0投稿日: 2017.05.20
powered by ブクログ「ラザフォード家の娘の行方がわからなくなってから八日が過ぎて、ラリー・オットが家に帰ると、モンスターがなかで待ち構えていた」 いかにもミステリらしい謎めいた書き出しに興味は募るが、正直なところ犯人はすぐわかってしまう。なにしろ<おもな登場人物>に名前が出ているのが11人。ミステリのお約束として、犯人は必ずこの中にいるはず。そのうち二人の被害者は除外して、残りは九人。その中の三人が捜査関係者で一人は視点人物のサイラス。警察官が犯人というのもあるが、ここは南部のスモールタウン。みな顔見知りだ。仕事以外につきあいのない都会とは訳がちがう。 もう一人、ラリーという視点人物がいる。登場するなり何者かに撃たれて昏睡状態ということでやはり除外。これで残りは五人。ラリーの父親とサイラスの母親はすでに故人なので、当然除外。ラリーの母親は施設で寝たきりだから物理的に不可能。これで残るはサイラスの恋人とラリーの友人の二人だ。つまり、犯人あてミステリとして読むのは構わないが、はじめから、その種の読み物として書かれてはいない、と言いたいのだ。 ラリーは、自動車整備工場をやっているが、毎日工場まで足を運んでも客は誰も来ない。十代のころ、デートに誘った少女がその晩から行方不明となり、その容疑者と考えられたことがあるからだ。自白も取れず証拠も挙がらなかったので釈放されたが、狭い町のことだ。それ以来、おっかない(スケアリー)ラリーと陰で呼ばれるようになり、家にも工場にも人が寄り付かなくなった。 二十五年たった今、また別の少女が行方不明になる事件が起きた。ラリーの仕業と考えた者がいたとしても不思議ではない。ずっと家に石を投げられたり、郵便箱を叩き壊されたりされてきた。父が死に、母が施設に入ってからは、独りで生きてきた。朝起きると鶏に餌をやり、作業着に着替えて工場へいき、ブック・クラブから送られてくる本を相手に時間をつぶし、また家に帰ってくる。マクドナルドかフライドチキンを食べたら、「フロントポーチにつくねんと座っている。どの日もちがう、どの日もおなじ」。 サイラス・ジョーンズは人口五百人前後のミシシッピ州シャボットのたった一人の法執行官。かつては名遊撃手として鳴らしたが、肩を壊して引退。当時の背番号から、今もみなに32と呼ばれている。この日、パトロールの最中、いつも工場に止まっているラリーの赤いフォード・ピックアップがないことに気づき、救命救急士のアンジーに様子を見に行ってもらう。自分は別件で身動きが取れなかったからだが、顔を出したくなかったからだ。 十代のころ、シカゴから転校してきたサイラスと母は、ラリーの父カールの土地に建つ狩猟小屋に住んでいた。ラリーとサイラスは、よく一緒にインディアンごっこをやって遊んだが、二人きりで遊ぶ場所はカール所有の森や草地に限られていた。ラリーは白人で、サイラスは黒人。学校では黒人と白人は別のグループに属していたし、何より二人が一緒に遊ぶことをカールは喜ばなかった。 二人は皮膚の色だけでなく対照的だった。夜逃げ同然に家を出てきたサイラスは住む家だけでなく着る物もラリーのお古をもらうほど貧しかったが、運動神経は抜群で野球の力で進学しようとしていた。対するラリーは、幼い頃から病弱で、吃音や喘息のせいで遊び友だちもなく、一人で本を読んだり、虫や蛇を集めて遊んだりする子だったが、整備工場を営む父のところにはいつも人が集まってきて賑やかだった。 ある日、サイラスに打ち据えられたラリーは、つい「二ガー」と言ってしまう。その日を最後に、サイラスはラリーと口をきかなくなり、やがて別の学校へ進学し、シャボットを去る。肩を壊して野球人生に見切りをつけたサイラスは、軍隊を経て警察学校に進み、治安官となって町に戻ってきたが、ラリーの家にも工場にも顔を出さなかった。サイラスはラリーに会いたくなかったのだ。 現在の事件と二十五年前の過去の出来事が、交互に当事者二人の視点で語られる。『ねじれた文字、ねじれた路』という表題は、直接的にはサイラスの頭文字<S>を指すが、アメリカ南部の子どもがミシシッピ(Mississippi)の綴りを覚えるときに教わる言葉遊びの文句からきている。「エム、アイ、ねじれ文字、ねじれ文字、アイ/ねじれ文字、ねじれ文字、アイひとつ/こぶの文字、こぶの文字、アイひとつ」。二人の男の関係をねじれた形を持つ字で表したのだろう。クリスティーやヴァン・ダイン以来、ミステリとマザーグースのようなナーサリー・ライムは相性がいい。 南部のミシシッピ州を舞台に、小さな町の濃密な関係の中で、誘拐殺人犯の疑いをかけられ、たった一人の友だちにも見捨てられたラリーの二十五年間の来る日も来る日も変わらない生活が冒頭に描写されている。小さな町の中で無視され続けているのに、誰を責めるでもなく、自暴自棄に陥るでもなく、実直に誠実に日々を過ごしている。責められるべきは自分だと思い込んでいるのだ。 一方、サイラスは仕事上での付き合いも、毎日食事に立ちよるダイナーでの付き合いも卒なくこなし、誰からも愛され、信用されている。アンジーという恋人とも相性はぴったりのようだし、愛車のポンコツのジープだけはいただけないが、町にとって欠くことのできない人物と見なされている。 この二人の関係が、娘の死体が狩猟小屋の床下から発見されることで大きく揺らぐ。二十五年前、少年だった二人が目にした事実の中にすべては明らかにされていた。ピューリタニズムに抑圧された性的情動のはけ口。支配被支配の関係からくる性的関係の強要。人種差別、とどれも今でも残る社会悪だが、当時のそれは男性優位の支配的な社会にあって、今とは比べようもなく強かった。二人がねじれた路を歩くようになったのは、それらが複雑に絡んでいる。 小さな町だけに登場人物の数は知れている。それだけに、端役に至るまで、性格付けがしっかりされていて読みごたえがある。一つ一つの描写がリアルで手を抜くことがない。だから、出来事が生き生きと立ち上がってきて、読む者の五感を刺激する。それは南部ならではの土地や動植物の描写でも同じだ。「背後の山は熱帯のようで、雨とミミズのにおいがして、木から水が滴り、雷が落ちた直後のように空気が電気を帯びていた。樹幹の隙間の空をリスたちが跳び、頭上の木の虚でキツツキがスネアロールを打つ。サンカノゴイが叫ぶ」ディープサウスへようこそ。
1投稿日: 2017.04.25
powered by ブクログ…小説で泣いたの久しぶりです。 だいたい、帯や裏表紙に書いてある「感動の~」とか あんまり信用しない上に、 単なる売り文句だと思っているのですが、 いやー…良かった。これは良かった。 解説にもありますが、 余韻を楽しむ作品と云っていい程。 冒頭から憂鬱な気持ちに蹴落とされ、 そのほの暗いローテンションのまま淡々と進んでいきます。 ので、挫折しがちな文体かも知れませんが、 其処を超えて此のラストは味わっていただきたく。 こないだまで読んでいた東江さんの邦訳に比べたら、 あんまり技巧的さを感じない 訳文なのかもしれませんが、 その堅さもかえって良かった気がします。
0投稿日: 2016.12.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
風変わりなタイトルは、ミシシッピー(Mississippi)の綴りを覚える時に、アメリカの子供が歌う歌詞の一部だということ。 アメリカ南部を舞台に殺人容疑をかけられている白人と、野球の夢を諦め地元に帰ってきた黒人下っ端警察官の、元同級生がおりなす物語 最後のあっと驚く仕掛けもあり、ミステリーとしても評価できるが、どちらかというと人間ドラマとしての読み方をしてしまう。二人の主人公と周囲の人間たちの悲哀と少しばかりの癒しが、ジワジワ心にしみてくる。読み終わった後の余韻がたまらなくいい。 友情、人間の信頼関係って簡単に崩れるけど、時間をかけてじっくり癒せるものでもあるんだなぁ。 主人公の一人ラリー・オットの生き様を読むにつけ、優しく正しく生きねばなぁ。と子供みたいなことを切々と思ってしまう。
0投稿日: 2016.11.04
powered by ブクログ回想によって現在までをゆっくり再構成していく思い出ミステリ。ただの友達だった二人の辿る路が次第にねじれていくのを追体験するのは面白い読み応え。主人公の一人が読書中毒でえらく感情移入しやすい…。 途中まで、マッチョイズムというかオッサンミステリだなと辟易しかけていたけど、そういう脂ぎったものの水面下でひっそり、だけどしぶとく生き続けていた、あんまりにも繊細な思い出たちの話だった。いい。少年少女冒険文学オッサンリミックスみたいなやつ。
0投稿日: 2016.08.23
powered by ブクログホラー小説がが好きな白人男性ラリー ラリーは25年間前の1979年におきた少女行方不明事件から孤独に生きてきた ミシシッピ州シャボットで治安官をしている黒人男性32akaサイラス サイラスは高校、大学で野球で才能を発揮し、シカゴで育ち無事に生きてきた シャボット周辺でミシシッピ大学の生徒ティナ・ラザフォードが行方不明になった 疑われるラリー、捜すサイラス 物語はラリーがなにものかに撃たれて始まる ふたりの接点、ふたりの少年時代、25年前に起きた出来事、してきたことがゆっくり25年後にあらわれる 主人公がホラー小説、とくにスティーブン・キングが好きなので小説名がちょくちょく出てくる 「クージョ」(映画版が「クジョー」だっけ?)「ナイトシフト(お気に入りは「人間圧搾機」)」「デッド・ゾーン」「呪われた町」「シャイニング」と70年代のキングの名作たちがぞろぞろ出てくる ふたりの中学生時代、ラリーがずっぽしスティーブン・キングにはまっていた時期はまだ春夏秋冬シリーズ「スタンド・バイ・ミー」が発表されるより前のようでこの作品が「スタンド・バイ・ミー」(原題「The Body」のほうがしっくりくる)なんじゃないかと思える 少年時代のパートが多いのでミステリーというよりも青春モノなんだけど、ツライ ツラくない青春モノを読むのもツライからコチラの方で良かったけれどもツライ タイトルの「ねじれた文字、ねじれた路」原題は「Crooked Letter,Crooked Letter」で 「crooked letter」はMississippiのスペルをちびっ子が習うときに「s」をcrooked letterって言ってるんだって (M,I,Crooked Letter,Crooked Letter,I,Crooked Letter,Crooked Letter,I,P,P,I) ふたつの「S」ミシシッピで育った、並べても節点がない、そして曲がった「S」みたいなラリーとサイラスってことなのかな 殺人事件描写はなくてショッキングなミステリーではなくヒューモアミステリーで地味だけれども味がある物語だった けっこう、薦めたい Crooked Letter,I,Crooked (10/06/'15)
0投稿日: 2015.06.10別れ、そして、出会うという事。
読み終わった瞬間ではなく、その後何時間か経ってから、この本の最後の文章を思い出した時に不覚にも涙が流れました。アメリカ南部の「打ち捨てられた」とでも呼べるスモールタウンで起きたある事件をきっかけに、25年前に出会った2人の人物がその後離れ、そして最後に本当の意味で「出会う」までを自然描写も豊か(厳しく)に描いた素晴らしい作品でした。登場人物それぞれが重い人生を背負いながら暮らしている描写がこの物語をより深いものにしていると感じます。今後の彼らの幸せを願わずにはいられないラストの余韻を未だ噛み締めています。
6投稿日: 2014.09.20
powered by ブクログ読んだ後、しばらく余韻に浸っていたかった本だ。 陰惨な話かなと思ったけど、そっちはそんなにあからさまではない。人物描写が素晴らしい。グリーンマイルを思い出した。二人の男の心の旅路に、そっと寄り添って読み進んだ。 人はひどい所も一杯あるけど、捨てたもんじゃないとほのかな明かりを感じさせてくれるラストが大好き。
0投稿日: 2014.03.22
powered by ブクログミステリとして読むと、途中で犯人が分かってしまうし、意外性というものは乏しい。 しかしそれを補う文章の美しさ、描写のこまやかさ。ミステリというよりも25年間身に覚えのない罪を着せられ、小さな町から村八分にされて生きてきた男と、南部の小さな町で父のわからない黒人として生きることとは何かを幼いころから否応なしに刻み込まれた男の抱える古い傷の話。 T.H.クックと比較する評も読んだ。たしかにちょっとしたはき違えから孤独な人生を送らざるを得なくなった人の物語として、類似点はあるかもしれない。
0投稿日: 2013.06.27
powered by ブクログ『そのあとは、野原の向こうの林から昼が流れ果て、夜が居つくまで、フロントポーチにつくねんと座っている。どの日もちがう、どの日もおなじ』 s テキサスの大都会の一番の通りといえども、最も賑わうショッピングエリアから西へ15分も行けば、「町はずれ」の雰囲気が漂い始めるほどに建物と建物の間隔は広がり、駐車場に車が疎らなショッピングモールも出現し始める。そんなエリアに建つホテルにて「ねじれた文字、ねじれた路」を読む。 もちろん、ミシシッピ川はテキサスを横切ってはいない。隣のルイジアナからメキシコ湾に注ぐ泥の河。しかし、ここもディープサウスと並ぶ保守の州。白人のみが不動産を購入できる元大統領の住む一角があり、厳然とした社会的ヒエラルキーが「機会平等」という原則の下で形成され、その階層の違いと皮膚の色の違いが寄り添うように並び、5分と行かない場所で発砲事件が起こる街である。否応なしに、本の世界が頁から溢れて現実との境を曖昧にする。 そんな風に本に寄り添って文字を読む必要はないのだが、置かれた場所の雰囲気を身体は脳以上に敏感に感じ取る。理屈ではない、そこはかとない恐怖心が、窓の外の闇の方から忍び寄って来ては取り憑こうとする。ここは安全な場所だと脳がいくら諭しても身体は既に緊張感に縛られている。 ミステリー風の体裁を保ちながら、この本の描くところは社会派のルポルタージュのようでもある。「評決のとき」「ペリカン文書」を連想させる雰囲気である。最後は「スタンドバイミー」のようなヒューマンドラマの要素が濃くなりはするが、そこに至る間に「羊たちの沈黙」のようなサイコパスの要素も入ってくる。そんな風に書くと何だか如何にも陳腐なハリウッド映画のようないいとこ取りのごった煮のようなものと受け止められてしまいかねないけれど、社会的な抑圧の下に粛々と生きることの描写が読むものをずっと捉えて離さず、深々とした雰囲気の中で頁をめくり続けていくことのできる本であることは間違いない。 タイトルの言葉は、ミシシッピの綴りを教えるための言い回しということだが、そこにはどこかマザーグース風の響きが伴い、そのリドルの裏に隠されたものは何だろうという思いが常に頭の片隅に棲みつづける。そこにある筈もないアナログ時計の秒針のカチッ、カチッ、と進む響きが脳の中を満たす。ワン・ミシシッピ、ツー・ミシシッピ。頁と伴に時差で痺れた身体は夜の闇へ一歩ずつ引き込まれてゆく。
1投稿日: 2013.02.02
powered by ブクログ図書館期限切れのリトライ読み。子供の頃の記憶って結構美化されてるけど、子供ながらの不条理の受け止め方ってあったように思う。忘れているけど。。あの頃、とっても仲良しだったのに、よおっ!って言えなくなってしまった小さい頃の友達とのお話です。
0投稿日: 2012.07.14
powered by ブクログ自分が選んで読む米国の本は湿度の低いものが多いような気がするけど、この作品もまた圧倒的に乾いてた。読後のし〜んとした感じが心地いい作品。 残念なのは、ミシシッピ州の小さな町が舞台で白人と黒人、二人の男が主人公の話しが故に細かい機微が掴み切れないとこ。こればっかりは「文化がちがーう(by ヒストリエ)」で逃げるしかないんかな。
0投稿日: 2012.06.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ミステリーと言うより、ある男の悲劇、と言って良いだろう。余りにも不憫な描写が多く、後味悪い感じなのか、と身構えて読み進めていったが、思ったより腑が落ちる結末だったと思う。だが25年もこの仕打ちは酷過ぎる。そして、やっぱり私は海外文学になると、途端に読み進める速度が落ちてしまう。苦手なのだろうか・・・。
0投稿日: 2012.06.14
powered by ブクログミステリと言うより文学作品。 南部アメリカ小説。娯楽作と言うより、じっくり読ませる端正な作品。 物語はつらく、悲しく、息苦しいが、文章、描写は美しく見事だ。 最期に少しだけ希望が持てる点がいい。
0投稿日: 2012.06.01
powered by ブクログ白人より黒人有利の社会で暮らしている白人男性と黒人男性の物語。アメリカの闇の部分が描かれていて、そこがまたいい。と~っても暗いお話しだけど、最期は希望が持てる終わり方で良かったと読み終わったときつくづく思った。
1投稿日: 2012.05.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ミシシッピ州の田舎町で40代の自動車修理工が銃で撃たれる事件が起きた。被害者のラリーは瀕死の重傷。しかし、ラリーはちょっと特殊な人物だった。というのも彼がまだティーンエージャーだった25年前。同級生のシンディが行方不明になり、ラリーはその事情を知っている重要参考人だったのだ。 そして、つい最近も女子大学生が行方不明になり、ラリーは再び容疑者とされていたのだ。 その街で治安官をしているサイラスはラリーと幼馴染だった。一度街を出て、治安官として戻ってきた彼は、疎遠になっていた筈のラリーの身辺を調べ始めるうちに、少年時代のラリーとの記憶が徐々に蘇り始める。そこには、当時は気づかなかったサイラスとラリーの以外な関係が隠されていた…。 ミステリーではあるが、読後感の気持ちよさはミステリーとはまた異なるものを感じさせる。40代の青春小説という感じか…。いやぁ、ポケミスは面白い!
1投稿日: 2012.05.20
powered by ブクログどんでん返しがあるようなミステリじゃなかったけど。 読み解かれるのは登場人物たちの人生だったという事。 二人の男がどう出会い、どう離れ、どう、もう一度近づいていくのか。 その丁寧な描写がとても良かった。 終盤、主人公の1人のサイラスが、もう1人の主人公、ラリーの母を尋ねたくだり。 彼らが共に過ごしたほんの少しの瞬間、 その子供であることの無敵さと輝きが、ある一説で語られる。 その部分に胸を打たれた。 この人の書く文章は美しいと思った。 そして最後の最後の一文を読んで、私は苦しくなって暫くその余韻に浸った。 よい本だった。
1投稿日: 2012.04.30
powered by ブクログ25年前の、2人の少年の友情とその崩壊。その間に横たわる少女失踪事件。そして、もうひとつの少女失踪事件をきっかけに、終わったかにみえた2人の物語がゆっくり動き始める。 悲劇の元凶は、粗野な父親たちだろう。気分が悪くなりながらも、最後にどんな結末になるのかが気にかかり、読了。
0投稿日: 2012.04.08
powered by ブクログCL 2012.4.1-2012.4.11 ミステリとしてはたいしたことはないけど、 余韻の残る作品。 少年時代、だねぇ。
0投稿日: 2012.04.01
powered by ブクログミステリーの要素もありつつのドラマの要素もありの小説。ジョン・ハートに近い雰囲気があるが、ジョン・ハートに比べると物語に引き込まれにくかった。ミステリーについては真相があっけない。
0投稿日: 2012.03.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
親友同士だった二人の少年。 長じて疎遠となった二人は、ある事件を機に運命の再会をとげる―― ホラー小説を愛する内気なラリー(白人)と、 野球好きでまわりの子どもよりどこか大人びたサイラス(黒人)。 ふたりの少年が育んだ友情は、ある出来事で喪われてしまう。 そして25年後― まるで周囲の環境ががらりと一変した彼らが運命の再会を果たし… というお話。 物語は中年のラリーが何者かに襲われ、サイラスがその事件を担当することになります。 主に昔の回想をラリーの視点で、現在の事件をサイラスの視点で綴られるのですが、 衝撃の展開ってわけでもなくミステリの要素はあるものの、青春小説でしょう。 特にラリーの方に感情移入したために孤独感を味わいました。 差別と偏見は過去も未来も在り続けるのでしょうが、この二人ならば。 そう思わせる作品でした。
0投稿日: 2012.02.10
powered by ブクログ過去の少年時代を回想・再構築することで、 現在の立ち位置を浮かび上がらせる手法は、 濃密でじわりと胸に迫るものがある。 サイラスが鶏に餌をやるシーンが琴線に触れる。 いい小説を読んだ余韻がなかなか消えない。 2011 年 英国推理作家協会賞(CWA賞) ゴールド・ダガー賞受賞作品。
1投稿日: 2012.02.08
powered by ブクログ題名になっている「ねじれた文字」の由来となっているミシシッピという土地が生み出した物語。出口のないような濃密な空気感に包み込まれています。その息苦しさは白人と黒人、ふたりの少年の運命にも複雑に絡みついていきます。そして、悲惨な事件が。果てしない孤独を受け止める悲しみ、頑なに過去から目をそらす悲しみが重なり合いながら、しかし、救いのラストへ。アメリカ南部ならではのストーリーだとは思いますが、本と野球、少年たちの心は普遍的だとおもいました。
0投稿日: 2012.02.05
powered by ブクログ土の匂いが立ち込めるアメリカの田舎での黒人と白人の心のふれあいがリリカルに描かれていて、ラストはせつない。
0投稿日: 2012.02.05
powered by ブクログ2012.03.08. ミステリというよりは、友情物語のような色が濃い。シンプルに語られる事件と、みずみずしく描かれた少年時代。 2011.11. BSの本の紹介番組で見て。ミステリ、今年は全然読めてないぞー…。
0投稿日: 2011.12.18
powered by ブクログこのミスでもランクインしていたし、ミステリの範疇に入るのだろうが、読みどころはそこではない。米南部ものとして秀逸であり、それ以上に「孤独」を描いた小説として胸に迫る。 ティーンエイジャーの頃少女を殺した疑いをかけられたまま、四十一歳まで一人で生きてきたラリー・オット。その生活のディテールが冒頭で語られる。序盤はなかなか物語に乗れなかったが、次第に引き込まれていって途中で再度冒頭を読み返し、悲哀が胸に広がった。 ヒーローは登場しない。気の利いた会話のやりとりがあるわけでもない。かっこいい女性は出てくるけどこれ見よがしではない。「アメリカ探偵作家クラブ賞」と聞いて思い浮かべるツボをほとんどはずして、しかし、しみじみ読ませる佳品になっていると思った。 さりげなく語られる周辺人物達もステロタイプではなくリアリティがあり、血が通っていると感じられる。著者の長編は日本初紹介だそうだ。他のも是非読みたいと思う。
0投稿日: 2011.12.15
powered by ブクログ胸に染みる小説。 暗くて辛い話だし、もっと悲惨な展開になる可能性もあったと思う。「甘いよ~」と言うひともいるかもしれない。 それでも、わたしはこの終わり方が好き。 読後感もいいです。
0投稿日: 2011.11.10
powered by ブクログ素晴らしい余韻をもたらしてくれるミステリです。 二人の青年の人生が少女の失踪事件を機に離れ、交わるというストーリー。 ただ、私には嫌いな形式のミステリです。
0投稿日: 2011.11.03
powered by ブクログ読書を愛する気弱で内気な白人のラリーと、活発で大人びた黒人のサイラス。少女の失踪事件を軸に、この二人の人生が交錯していきます。1970年代のミシシッピ州の風土や人種問題を背景に、サスペンスを盛り込んだヒューマンドラマになっていました。 25年前の少女失踪の容疑をかけられたラリーの人生は、街の人々から疑われ、虐げられ続けた孤独なものです。周囲からの冷たい視線や仕打ちは残酷なものですが、それ以上に、その状況を甘んじて受け入れ、孤独に慣れ親しんでしまうラリーの弱さが悲しい。 対して、活発で明るく、現在は治安官として活躍するサイラスも、過去から目を逸らし続けて自分の弱さを見ないように生きている、これまた悲しい男です。 周囲の状況にとことん受身なラリーと、貧しい境遇でたくましさを培ったサイラスという対照的な二人ですが、孤独と弱さを共有しています。 全てが明らかになったラストで、ラリーがこれまでの人々の仕打ちを詰るわけでもなく、サイラスを受け入れようとしているのが、ラリーのこれまでの孤独を表しているようで、なんだか悲しかったです。かつて自分を見捨てた男にも関わらず、お見舞いにきてくれることに、戸惑いつつ喜んでいる姿も切ない。 ぎくしゃくとしていて、しかし大きな希望を感じるラストは心地良いものでした。 もらったコートに袖を通す母親の描写が一番痛々しかったです。
2投稿日: 2011.10.28
powered by ブクログ「BOOK」データベースより ホラー小説を愛する内気なラリーと、野球好きで大人びたサイラス。1970年代末の米南部でふたりの少年が育んだ友情は、あるきっかけで無残に崩れる。それから25年後。自動車整備士となったラリーは、少女失踪事件に関与したのではないかと周囲に疑われながら、孤独に暮らす。そして、大学野球で活躍したサイラスは治安官となった。だが、町で起きた新たな失踪事件が、すべてを変えた。過去から目を背けて生きてきたふたりの運命は、いやおうなく絡まりあう―。
0投稿日: 2011.10.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
人種の壁を背景にした南部アメリカが舞台のほろにが友情ストーリー。 序盤が入り込めなくて辛く感じた。 が、物語が見えてくれば、ラリーに沁みついた悲哀、サイラスの抱える罪悪感と、2人が年期に直面した人種の壁をめぐる微妙な葛藤が読みごたえを与えてくれる。必ずしも「黒人=虐げられる対象」ではないところも興味深い。 物語の発端となっている事件自体はご都合主義的にとってつけられた展開で幕を閉じるが、要するにそこは推しのポイントではなく、過去の事件に端を発するラリーとサイラス、2人の心理をめぐる展開が読みどころと感じた。 ■このミス2012海外8位
1投稿日: 2011.10.16
powered by ブクログ読み終えたとき『人生は物語である』---という言葉を、思った。たった四半世紀に及ぶ、たった2人の人生の物語に、いつまで経っても消えない生まれ育った家の匂いのような感動を覚えました。 少年時代をともに過ごし、親友同士だったラリーとサイラス。彼らが互いに訣別したのもまた、少年時代のことでした。 そんな2人が、少女失踪事件により再会を果たす所から、物語は大きく動き始めます。 かつての約束を忠実に守ることで嫌疑をかけられ続け、孤独と後悔の中で生きてきたラリー。 凶弾に倒れながらも、自分を撃った人間を許そうとするのが、ラリーという人間なのです。 物語のラスト。ラリーの窮地を救ったのは、かつて訣別をした一人の親友でした。 ここでのサイラスの立ち回りの描写は、圧巻の迫力です。 現在と過去を、ラリーとサイラス2人の視点により的確に結びつけ、全ての根源的事象といえる過去のある一点に読者の意識を向けさせる展開の仕方に、筆者トム・フランクリンの文才と高い構成センスを感じました。 読了後、この物語を締めくくる空気と余韻は、とても心地のよいものでした。懐かしい友人に会いたくなったのは、私だけでしょうか。
0投稿日: 2011.10.08
powered by ブクログ謎がある、犯罪もある。解決に向かおうとする。だから、これはれっきとしたミステリには違いない。 しかしそれ以上に、孤独についての物語、と言えるだろう。 「ミスティック・リバー」を彷彿とさせるなあ…などとも思っていたら、最後の謝辞にデニスル・ヘインの名も。
0投稿日: 2011.09.19
