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内部被曝の脅威 ――原爆から劣化ウラン弾まで
内部被曝の脅威 ――原爆から劣化ウラン弾まで
肥田舜太郎、鎌仲ひとみ/筑摩書房
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総合評価

30件)
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    カテゴリ:図書館企画展示 2016年度第9回図書館企画展示 「災害を識る」 展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。 開催期間:2017年3月1日(水) ~ 2017年4月15日(金) 開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

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    投稿日: 2019.02.28
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    被曝の怖さと原子力兵器の怖さ、そして愚かさを綴っている。 「劣化ウラン弾や核兵器の使用はやむを得ない、合理性が高い。」とか言ってる奴は地球が壊れる前に即刻何処かに消えてほしいと心底思っている。 覆水を盆に返らすことはできない。 「今考えてみれば、あれは良くなかった。」という発言は断じて許されるものではない。 そしてその実行を止めること自体が圧倒的に大変で難しかったりもする。 できる範囲で自分に今何ができるのか、考えさせられました。 (答えはまだ出ず、すみません。。。)

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    投稿日: 2018.08.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2005年刊。◆核エネルギー使用に伴うゴミが、体内に蓄積されることで生じる内部被爆。この問題について、湾岸戦争で利用された劣化ウラン弾、広島・長崎原爆の後遺症などから解説。また、戦後、原爆症の認定を受けられないまま死亡した低線量被爆者を医師として診察した経緯等も描写。内部被爆による影響は、低線量ながらも、長期かつ近接しており、影響は距離の2乗に反比例するから座視できない影響あり。また、影響が科学的に証明されてからでは遅い。本来は被爆国として当然だが、フクシマ以降はより一層意義深く、読み継がれて欲しい書。

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    投稿日: 2017.01.19
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    原爆から劣化ウラン弾まで ― http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480062413/

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    投稿日: 2013.09.16
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    書名通り。 また、サブタイトルに「原爆から劣化ウラン弾まで」とあります。 アメリカ軍がイラク戦争で用いた劣化ウラン弾のことについても触れていますが、ここの部分は被曝の被害もさることながら、それ以上に、イラク国内の医療の悲惨な現状が述べられているので、無視できない部分、知っておかなければならない事実があります。

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    投稿日: 2013.03.16
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    福島の事故で、被ばくに関して自分は何もしらないことに気が付き、早速、入門として新書を読んでみた。 作者の肥田医師は広島の原爆を体験し、原爆被爆患者を60年以上診てきた医者&活動家。鎌仲氏は、新進気鋭の社会派映像ジャーナリスト。両者とも、私は3月の原発震災が起こるまで知らなかった。 そもそも、「内部被ばく」という言葉じたい、福島原発以前には馴染みがないものでであった。外部から受ける放射線からの被ばくは、たとえら医療の放射線を浴びる原爆の直接的な被害であったりするわけだ。しかし、違う意味で恐ろしいのは、体の内部に放射性物質を取り込んでそこから出る放射線によって被ばくすることである。広範囲で長期にわたる障害が出るので、原発を推進する側が一番隠しておきたい真実である。実際、内部被ばくの影響はかなり過小評価されており、国際的な基準さえも何らかのバイアスがかかっている可能性が大きい。 この本では、広島・長崎での原爆後遺症としての内部被ばく、イラクや湾岸戦争で使われた劣化ウラン兵器が及ぼす内部被ばく、アメリカにおける核施設(原発や核兵器製造工場、ウラン再生工場など)周辺の内部被ばくなどが語られている。 広島・長崎の原爆投下後、被爆者データはアメリカ軍が管理することになり、被曝者も医療従事者も、症状などをカルテに残したり書き残したりすることは禁じられていたそうだ。データの収集と分析はアメリカによって行われ、結果として「広島・長崎での長期的な原爆の影響は認められない」ということになってるようだ。このような見解は、現在の福島原発の解説などでも何度か聞いた言葉である。日本政府も戦後13年間も、広島・長崎の被曝者への調査、援助などは一切行わなかった。要するにほったらかしだったのだ。ずいぶんたくさんの人が、内部被ばくによる影響で命を落としていったようだ。 ほかにも劣化ウラン兵器による被害のことなどが書かれているが、2005年に書かれた時点では、劣化ウラン兵器の健康に対する影響についてはWHOの調査などは実施されていないようだ。ただ、そこで働いている医師や、日々病んで死んでいく人たちだけが被害の深刻さに耐えている状況だ。 福島収束のあと、日本人が経験するのは、まさにこの内部被ばくの恐怖であると思う。長期にわたる放射性物質の漏出によって、日本のおそらく広範囲の土地や水、空気が汚染され、結局それは私たちに降りかかってくる。被害はたぶん数十年後に表れ、またそれも何世代にもわたって続く可能性がある。そして、健康被害が出ても、もしかしたら本人は自覚することもないかもしれない。自覚しなければ誰を責めるでもなく、個人の問題として終わるだろう。 内部被ばくの被害は、そんな形で世界各地に点のように散らばっているのだ。ヒロシマも、アメリカ各地の核実験も、チェルノブイリも、フクシマも、本当は全部つながってるのに。 放射能による内部被ばくの可能性は、原発がある地域ならぜったいに無視できない(でもいままで無視されてきた)。放射線は人体には有害である。そして政府は絶対に助けてくれない。 これを事実と見て、それからどうするのか。これだけ原発や兵器工場や核廃棄物がいっぱいのこの世界で、いったい人間はどうやって生きていけばいいんだろう?フクシマ後、日本はどうするんだろう?いま考えているけれど、どうしたらいいのか全くわからない。世界はこんな状況にまできてるんだ、とほとんど放心状態である。

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    投稿日: 2012.10.24
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    刊行されてから10年近く経つのに状況は悪くなる一方 後戻りできないこと知ってるから怖くて想像しないようにしてるってことなのかな 結局想像力が足りないってことなのかな

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    投稿日: 2012.05.31
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    医師である著者の肥田舜太郎氏は、1917年の生まれである。28歳の時、広島郊外で被爆し、キノコ雲を見る。はじめは重症患者の治療に当たるが、やがて、ピカ(閃光)に遭っていない、爆発の数日後に広島市内に入った人たちが、頭髪が抜け、血を吐きながら死んでいくのを目の当たりにする。被爆後何十年も経っても、原爆の後遺症である「ぶらぶら病」に苦しめられる人もいる。著者は、こうした患者と向き合いながら、60年にわたって内部被爆の研究に携わってきた。 微量の放射線が人体に与える影響については、諸説がある。しかし、仮に著者の主張のすべてが正しいとは限らないとしても、本書は自身の直接の体験に基づいているため、説得力がある。とりわけ、第2章には圧倒される。 占領米軍は被爆者を集めて検査を行ったが、治療は一切行わず、死亡者は解剖されて臓器はすべてアメリカに送られた。日本人による原爆症の調査、研究は一切禁止された。アメリカはまた、原爆投下前に、プルトニウムを人体に注射するという人体実験も行っていたという。 現在でも、内部被曝を正確に測定する装置はない。著者は、「少しの放射線は心配無用」という「閾値仮説」に反対し、近藤宗平氏の『人は放射線になぜ弱いか』を批判している。また、「自然放射線も人工放射線も人体に与える影響は同じ」という仮定にも異を唱える。なぜならば、天然に存在するカリウム40はすぐに排出されるが、人工の放射性物質は特定の臓器に濃縮されやすいからだ(ヨウ素131は甲状腺に集まり、ストロンチウム90は骨に沈着する)。それにしても、被爆した著者がまだ元気で存命だというのは驚きで、放射線に対する耐性が人によっ大きく異なることを示している。 もう一人の著者、鎌仲ひとみ氏は「ヒバクシャ」というドキュメンタリー映画を制作している。ヒバクシャは、世界中にいる。イラクでは湾岸戦争後に白血病の子供が急増したが、それは米軍が使用した劣化ウラン弾によるものと考えられる。また、アメリカ・カリフォルニア州ハンフォードにはプルトニウムの生産工場があり(長崎に投下された原爆もここで製造された)、その風下地区では多くの人が放射線障害に苦しめられている。この地区で生産されたジャガイモはマクドナルドのポテトになり、一部は日本にも輸出されたという。 核エネルギーを利用することの問題点は、放射線という「毒」が発生することだ。核兵器を使用しなくても、核兵器を保有しようとしたその瞬間から、被曝は始まっている。ウラン鉱山でのウランの採掘に始まって、兵器を製造する過程で、莫大な数の人たちが被曝させられる。けれども、どこの国家も、決してそのことを認めようとはしないのである。

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    投稿日: 2012.04.29
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    ・広島・長崎のこと、アメリカが行ったこと ・外部被曝と内部被曝の違い、分かっていること、分かっていないこと

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    投稿日: 2012.02.01
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    てっきり3.11後に出た本だと思ったら、2005年の本だった。今こそ読むべき。 肥田さんは長期的な低線量の内部被曝について警鐘を鳴らし、「少しの放射線は体にいい」とか「遺伝的影響はない」とかいう最もらしい定説に異論を呈す。 「原爆ぶらぶら病」は初めて知ったが余りに恐ろしい。被災地に人にも同じ症状が出てくるのではないか…。癌の発生率も高くなるん」だろうか…。 プルトニウム工場や劣化ウラン兵器についての話も興味深い。被爆が原因で死んだ人が世界中に一千万人いるという信じがたい数字だ。

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    投稿日: 2011.11.11
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    内部被ばくについて紹介する本。2011年のうちに読めてよかった。 著者は広島原爆を体験した医師とジャーナリスト。外部被ばくよりも低占領の内部被ばくのほうが被害が大きいことや、劣化ウラン弾が中東地域の戦争で使用され子供達に障害をもたらしていることが説明されている。また、アメリカの原子力施設付近でも、周囲に奇妙な障害がでても原子力と因果関係はない、と繰り返され被害が拡大しているケースが存在する。付近で作られた小麦は世界中に輸出されており、知らぬ間に原子力の弊害が世界中に広がっている。そして、世界的な乳がんの増加との相関関係も強いこともわかっている。 100年も経たないうちに甚大な被害を次々に起こしてしまった原子力。若い世代に残さないよう、現役世代以上で収束させなければならない。

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    投稿日: 2011.09.06
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    6年前に上梓された本だが、今読むと一々納得してしまう。◆劣化ウラン弾がなぜ兵器として使われるのか、またその悪影響も身につまされる。◆少なくとも劣化ウラン弾は使用してはいけない武器だ。◆◆肥田先生の被爆患者の治療体験も改めて知ることばかりだ。◆一体、私は今まで何をやっていたのか。◆「一億人を犠牲にして五十億人が幸せになるという論理が間違っている」ということ。◆「科学テクノロジーは人間を幸せにするのか」◆「核を使ってはいけないという自覚が浅い」、そのために反核が伝わらない。◆これらのことを最終章で肥田、鎌仲両

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    投稿日: 2011.08.21
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    むかしむかしの話で、「被爆国日本」という立場で日本人にとっては教訓として生きていきたかったのに・・・「今」現実としてわが身に降りかかる事態になってしまった。 事実を受け入れて生きていかないとね。

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    投稿日: 2011.08.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何かと話題のこの本を遅ればせながら読んでみました。筆者の肥田舜太郎先生が被爆者で、原爆後の地獄絵図の中診療をされてたことはよくわかりました(たいへんなことだったと思います)。そして、ABCCや放影研、ひいてはICRPが内部被曝を軽視しているという指摘は正しいと思います。でも、その先はあまり正しくないようです。特に人工放射性物質と天然放射性物質が違うという件は、端的に誤っています。立場の違いによる意見の違いと、科学的に確立している知見の誤認というのは、区別すべきだと僕は思いました。

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    投稿日: 2011.07.25
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    地震や原発、放射能のことばかり考えていたが、過去に戦争があった。それが今になってはじめてリアルに感じてる。

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    投稿日: 2011.07.09
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    鎌仲さんの講演のテープ起こしを引き受けたこともあり、こないだの『ドキュメンタリーの力』、『使える9条』に続き、鎌仲さんが出てくる本を借りてきて読んでみる。 ▼「微量な放射線なら大丈夫」という神話への挑戦が、まさに本書の神髄である。(肥田舜太郎、p.89) 鎌仲さんの映画はまだ見てないけれど、肥田舜太郎さんは「ヒバクシャ─世界の終わりに」に登場する医師で、広島で自らも被爆し、広島や長崎の被爆者の治療にもう60年以上たずさわってきた人。広島で被爆直後から救援にあたるなかで、直爆を受けた人のみならず、原爆投下後に肉親や知り合いを探して広島市内をさまよい歩いた人たちが、同じような放射線障害の症状を発し、亡くなっていくのを目の当たりにして、肥田さんは「内部被曝」ということを知っていくのである。 内部被曝とは、体内にとりこんでしまった放射性物質から長時間にわたり放射線を浴びること。このメカニズムについては、十分な研究がない。だが、「研究がない」のは「影響がない」ことと同じではない(このことは、プルトニウムの毒性についてゴフマンが指摘していたのと同じ理屈でいえるだろう)。 この本は、内部被曝の脅威を伝えると同時に、「被曝」が過去の話ではなくて(広島、長崎や第五福竜丸で終わったことではなくて)、現在進行形であること、世界のさまざまな場所で、たとえ原水爆は使われなくとも「被曝者」がうみだされていることを伝える。 体外被曝の場合、身体に大きな影響を与えるのはまっすぐ飛び強い貫通力をもつガンマ線で、ベータ線の場合は飛ぶのは1センチ、貫通力もそう大きくないし、アルファ線については、0.1ミリしか飛ばないし、貫通力も紙一枚も通さないくらい弱いものだから、たいしたことはないということになっている。 だが、その0.1ミリしか飛ばないというアルファ線、飛距離1センチというベータ線も、体内に入ればスケールが違ってくる。ベータ線の飛距離、半径1センチの範囲には直径7~8ミクロンの細胞が少なくとも30個や50個は存在しうる。飛距離が0.1ミリというアルファ線でも、周囲の細胞にじゅうぶん届くだけの影響力をもつ。 体内に入ると、細胞のすぐそばで放射線が発射されるというだけではなく、放射線分子のもつエネルギー量が桁違いに大きいことが問題になる。こうした内部被曝によって、細胞の遺伝子が傷つけられ、身体の修復力が追いつかない場合は(生殖腺や造血組織である骨髄、また胎児など、細胞分裂が非常に早い場合にはとくに)、切れたり傷がついた遺伝子が複製されて、突然変異や細胞死をひきおこす。 肥田さんは、こうしたことを被曝者の治療にあたるなかで、自力でつきとめてきた。広島や長崎で、被爆者をただ調査するばかりで全く治療しなかったというABCCは膨大なデータを集めたが、それらの情報を機密指定としたアメリカ政府は(そして日本政府も)「微量の放射線は心配ない」という主張を続けてきたし、今なお続けているといえる。被爆の実相や被害についての情報操作は完璧なまでに成功しているのだ。 映画「ヒバクシャ─世界の終わりに」のなかで、「被ばくという経験はどんな意味を持つか」という鎌仲さんの問いに対して、肥田さんは、「自分が体験したことは何だったのか、それを他人に伝えることができない体験である」と話しているという。 原爆を語る言葉の難しさ、核兵器が人間に与えた被害を語る言葉の難しさは、その問いに対する解が一つにはまとまらないことでもあると肥田さんはいう。いったいどんな言葉でそれを語れるのか。いまだに被害をあらわす言葉を持ち得ず、言葉を探している段階だと二人が語るのは、目に見える被害と目には見えない被害、とりわけ放射能被害の見えなさゆえだろう。 私たちの未来は既に放射能にうっすらとまみれている。 明日には死なないが、未来の世代は果たしてどのような問題を抱え込むことになるだろうか。(鎌仲ひとみ、p.171)

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    投稿日: 2011.06.23
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    今、みんなに読んで欲しい。 無関心にならないで、絶対。 専門的な部分も多く、少し読みづらい本だったので、時間がかかってしまいました。 2005年に既にこの内容が提起されていて、今になっても全く変わっていない現状に嫌悪感。自分の無知に恐怖しました。知らないって本当に怖い。 震災が起きた今が意識を変えるチャンスだと思うんだ。絶対。

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    投稿日: 2011.06.13
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    放射線の「内部被ばく」についての概説。著者の一人は医師であり、広島で原爆に被爆、直後の凄惨な現実を直接経験するが、その後、しはらくして直接被曝していない人が不自然になくなっていくことに不信を持ったことから、放射線の「内部被ばく」の脅威を追及することになる。この内部被ばくは、原爆に限らず、最近頻繁に使用されることになった劣化ウラン弾、また過去繰り返し行われた大気中の原爆実験、そして原子力発電所の周囲、と原子力があるところに可能性として間違いなく、内部被ばくを被る危険性があるという。少量だから安心というものではなく、少量であるがゆえに、遺伝子を傷つけ、細胞の突然変異を引き起こし、癌などを誘発する。政治権力(特に米国)はこのことをけっして認めようとしないという。さもありなんである。 私たちのまわりの被曝可能性はほぼ日常化している。内橋克人氏も指摘している「スローデス」の現実化である。

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    投稿日: 2011.06.06
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    広島の原爆の被曝者で医師でもある肥田舜太郎氏と、気鋭の映画監督鎌仲ひとみ氏との共著。 第5章「被ばく体験を受け継ぐ」が両氏の対談となっていて、非常に強いメッセージ力を持っている。 肥田氏が外国人から教えられたことの一つが、人類が戦争で受けた被害のなかで最も人権を破壊したのがアウシュビッツと広島だという。 前者の被害は毒ガスであり餓死。この被害は目に見えて分かりやすい。 後者は原爆によって、一瞬にしてたくさんの人が犠牲なったという事実。こればかりが印象づけられている。実際は爆風や熱風で直接亡くなった人よりも、後の放射線被害で苦しみ亡くなった人もたくさんいるのだ。また、傷つけられた遺伝子が次世代に受け継がれている可能性もある。 これらの被害が目に見えにくく理解しずらいため、核兵器の廃絶を訴えるメッセージが世界へ伝わりにくいのだという。 また第3章「内部被曝のメカニズム」は秀逸。 低量放射線の害について、極めて正確に記述されていて他に例をみない。 日本人必読の書であると断言したい。

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    投稿日: 2011.05.29
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    内部被曝の恐ろしさがよくわかった。 内部被曝は「ない」のではなく、意図的になかったことにされているのだ、というのがよくわかる。 多くの人に読んで、考えてほしい本。 鎌仲さんの映画「ヒバクシャ」も観なくては!

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    投稿日: 2011.05.28
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    是非、多くの人に読んで頂きたい本。今こそ、全国民が読むべき。 原発うんぬんの話ではなくて、イランで使われた大量の劣化ウラン弾を初めとした、核兵器による放射線、放射性物質のお話。 元をたどれば劣化ウラン弾はプルトニウムを再生する過程で生まれる原子力発電のゴミなので、まぁ同じことですけどね。 福島原発の事故以来、チェルノブイリとスリーマイル島、この二つの原発の名前は嫌というほど聞いた。 でもハンフォードという、シアトルから約350キロに位置する地名は一度も聞いたことが無かった。 ハンフォードでは冷戦時代、九つの原子炉から大量のプルトニウムを核兵器のために生産していた。そしてその過程で生まれる劣化ウランから、後に劣化ウラン弾が作られることになる。 驚くことに、ハンフォードの原子炉から放出された放射性物質はスリーマイル島の原発事故で放出された量の約一万倍。 何故こんな大事故が話題にならないのか、それはやはり原発という商業施設で起こったことではなく、軍事利用を目的とした国家事業であったからだと思う。 そう考えると、軍事利用を目的とした原子力は原発の何倍もタチが悪い。 人類が放射能により滅亡させられてしまう前に、原子力の兵器としての利用を根絶させなければならない。 ちなみに、ハンフォード地区で行っていた、核兵器のためのプルトニウム抽出と全く同じことが行われようとしているのが青森県六ヶ所村の再処理工場。 福島原発とは桁違いの放射性物質が放出されようとしています。 何億ベクレルなんて話じゃない。兆も超えて、“京”という単位が使われるほどの、天文学的な数字の放射性物質が一年間に放出される工場です。 今はまだ試運転中だけれど、本格的に運転に入れば、原発の一年分の放射能が一日で出るという計算もあります。 確かに放射線は見えないけれど、確実に人類の身体を蝕んでいます。 正当な統計で、原発から半径百マイルに住む女性の乳がん発生率がその他の場所と比べて十倍以上だとか、チェルノブイリの事故後、白血病患者が百倍以上増えたとか、データはあります。 でも、今の医療技術では、放射線がどのようにして身体を蝕むのか、そのプロセスが明らかになっていないので、放射性物質と健康被害との関連が立証されていないだけです。 何故かは分からない、でも放射性物質による内部被曝は存在します。 これ以上原子力による被害を拡大させないためにも、少しでも出来ることからやっていきましょう。

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    投稿日: 2011.05.27
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    とてもわかりやすい本だった。そして現実は怖い。 広島の原爆で被爆し、その後60年間内部被曝について研究を 続けてきた医師と、社会派ジャーナリストとの共著。 ひろしまのピカという絵本で小学生の頃原爆の怖さを知った。 原爆は怖い、戦争は怖いって印象が残った。でもそれは爆発で けがをした人々の絵、外傷などの怖さ、残酷さだった。 内部被曝、その怖さ、原爆死ではなく原爆生の残酷さ 体内で放射性物質から放射線を浴び続けることの怖さが よくわかった。今まで他人ごとととらえていたことが 福島原発の事故によって身近な出来事になってしまった。 知ることは怖いことだけれども、知っておくことは大切だ。 原爆が作られる過程でもプルトニウム製造のために作られた ハンフォードエリアの原子炉で働き居住するたくさんの人々が 無自覚に被曝し、死んでしまっているということにも驚愕した。 そこに居住し、働く人々が戦後1980年代まで放射能は怖くないと 豪語し、ずさんな管理をしていることにも驚いた。 アメリカは被曝大国であるという事実も知らなかった。 本当に驚く事実ばかりが記載されていた。 天然ウランから濃縮ウランを作る過程で出てくる劣化ウラン それを劣化ウラン弾という兵器として再利用しようという発想、 放射性物質に国境はないのに、どうしてそういうことが 出来るのだろう。局地的に落とした爆弾だとしても、放射性物質は 空気中に含まれ全世界的に汚染されつづけていくのだろう。 そして結局どこの地域でも一番被害にあうのが子供なのだ。 このまま人間が好き勝手していれば、必ず人類は 滅びてしまうと確信する。 色々な事実から焦燥感をあおられ、いてもたってもいられない 気持ちになってしまうが、原子力エネルギーや放射線物質などが 身近な問題になった今こそ、これからの地球を考えていくうえで さまざまな行動をしていかなくてはならないと思う。 今回のことがなければ手にはとらなかった本だけれども、 読んでみて本当に良かったと思う。

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    投稿日: 2011.05.27
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    内部被曝について、現在、危険であるとする「科学的根拠がない」、つまり危険であるという実証データがないから危険視する必要はないという論理がまかり通っているということに愕然とする。逆に安全であるという実証データもないのに、である。 原子力が安全か危険か、原発は善か悪か。その結論を自分の中で導くためにも、原子力の科学的、病理学的、生理学的知見を押さえておかなくては、ただただ現象だけで右往左往し、問題の本質を見失ってしまうだろうと、考えさせられる論考。

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    投稿日: 2011.04.27
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    著者は広島原爆の被爆者で医師の肥田舜太郎氏と映像ジャーナリスト、映画監督の鎌仲ひとみ氏。 鎌仲氏が劣化ウラン弾の話、肥田氏がヒロシマでの体験、内部被曝のメカニズムを解説。最後は鎌仲氏が肥田氏にインタビューする、という構成。 内部被曝とは、放射性物質を体内にとりこみ、長時間にわたって身体の内側から放射線を浴びることで、内部被曝者は世界で1000万人にも及ぶとも言われる。 内部被曝者は放射線被害問題で常に蚊帳の外におかれてきた。 その理由は(1)医学的に不明な点が多いこと、(2)軍事秘密であったこと、(3)ICRP(国際放射線防護委員会)が「しきい値」以下の放射線の内部被曝は人体に無害と主張してきたこと、だった。 昨今、イラク戦争における「劣化ウラン弾」による健康被害が指摘され、内部被曝の恐ろしさが広く知られるようになった。 劣化ウラン弾は本来、放射性廃棄物であり、1950年代にミサイルとしての有用性が認められ、米軍ミサイルの20%に配備されている。3000-4000度の高熱を出し、分厚い鉄板を貫通する。 米国は、劣化ウラン弾による放射性物質は短期間で体外に排出されると否定しているが、アントワネット・M・ガッティ博士によれば、2.5ミクロン以下の粒子を吸い込むと、血液に循環する、と指摘している。 また、放射時間を延ばせば延ばすほど、低線量放射線を照射する方が、高線量放射線を瞬時放射するよりも細胞膜は破壊されるという。(ペトカワ効果) この内部被曝の危機は福島第一原発の事故により、より現実の問題になってきた。ある環境団体が六カ所村再処理工場の排水口に一万枚の葉書を投入したら、東京湾の入り口まで漂着したという。微量放射線は食物連鎖による生体濃縮され、数百倍にも高まる、という。 しかし、この生体濃縮についても、はっきりした裏付けはない。 肥田氏は指摘する。 ”功利主義的な考え方に基づき、放射能汚染に目をつぶってきた。しかし、放射能の影響は誰も逃れられない。人間は科学的な裏付けがなされない限り、安全を信じたがる。特に権力はそういう考えに立つので、反対運動は自然と少数になる。医者でさえ、脅威を具体的には実感していない” 放射能問題を考える上で、大きなきっかけになる一冊。

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    投稿日: 2011.04.19
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    取り急ぎ、レビュー・感想ではなく、本文から抜粋します。ごめんなさい。 国連放射線防護委員会(ICRP)は、放射線に関する世界的権威である。 ICRPは長い間、微量の放射性物質による内部被ばくを過小評価してきた。 この考え方の根本にあるのは「放射性防護の主たる目的は、 放射線被ばくを生じる有益な行為を不当に制限することなく、 人に対する適切な防護基準を作成することである」。 すべての被ばくは可能な限り低く保つべきであるという助言が 注目されてはいたが、意識的に適用されることがまれであった。 その後、全ての被ばくは“経済的、社会的要因を考慮に入れて合理的に 達成できる限り低く”保つという欲求がいっそう強く強調されるようになった。 このことの意味は「放射線は人体に危険を与える潜在的な可能性のあるものであるが、一方で 人類にとって必要不可欠な存在であるから社会が容認できるような被害にとどめるための 安全な基準を設定しよう」というものだ。 人や社会が容認できる「被ばく」の限度、すなわち「現在の知識に照らして身体的または 遺伝的障害の起こる確率が無視できる」線量を超えないような線量限度を勧告している。 日本では、ICRPの勧告を受けて、市民が1年間に浴びても問題ないとされる放射線の 被ばく量を、年間1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト、日本では5ミリシーベルトで 屋内退避が勧告される)と設定している。 (P10-P11)

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    投稿日: 2011.04.16
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     今ならすんなり理解できる、放射能の本。  1カ月前までは「内部被曝」と「外部被曝」をここまで明確に区分けする必要性を理解していなかったし、「シーベルト」と「ベクレル」っていう単語も耳に馴染みがなかったわけで。  わかりやすく書かれているせいもあって……結果的にかなり読みやすかったです。読みやすくなんてなりたくなかったけどっ(泣  ずっと、漠然と抱いていた疑問が、この本ではっきり見えてきました。  どうして基準値は変わるのか。どうして放射線技師になると基準値が特別枠になるのか。「自然界から受けている放射能より低いから安全」という言葉にもやもやとした不安を感じるのはなぜか。ラドン温泉みたいな、放射能で健康になるっていうのは何なのか。  うん、結構色々なことに対して、答えと示唆をもらえたような気がします。そしてとっても……何というか、このままだとダメだけど、このダメさを抱えて私たちは滅んでいくしかないんだなぁと……思ったり……orz  本に書かれていることを鵜呑みにするつもりはないのですが、それでも十分説得力はありますし、私には無視できません。内部被曝怖い。一生の永久の被曝怖い。「低線量内部被曝」怖い。ちょっとの被曝の方が、おっきな被曝より、細胞壁を壊す力は強いのだそうです。  同時に、怖い怖いといっても、今すぐにどうにかなるものではないと知って、ちょっと安心もしました。20年後30年後にガンになるか、10年後20年後に疲れやすくやる気がなく毎日がきつくばかりになるか、多分私はその程度で済むだろうと。  でも、内部被曝と身体症状の相関関係を証明することは非常に難しい。さまざまな理由で、難しい。  閾値は存在しない、安全な基準なんてない、人工の放射性物質は1粒でも良くない、でも「1粒でもダメ」っていったら社会が回らないから「安全基準」と称するものをつける。「称するもの」だから、基準値の上げ下げもかなり任意にできる。  ……そんな感想を持ちました。  ただ、ちょっとこれではミもフタもなさすぎるので、他の本も当たっていろいろ調べてみたいと思います。  本の中には、アメリカの原子力発電所の風下で生まれた兄弟の話がありました。  弟は自身の体調不良を原子力のせいとして国と対立し村から追放され、兄は「ここは安全」という国の宣言を信じてそこでジャガイモを育て、マクドナルドに出荷する。「安全基準を下回った」ジャガイモは、今日も誰かの口に入っているのでしょう。  将来の日本の姿に……なりませんように。本当に本当に、祈っています。

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    投稿日: 2011.04.16
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    広島、長崎の原爆とイラクの劣化ウラン弾の被爆者の被害状況から、劣化ウラン弾反対の立場から著された本 「人は放射線になぜ弱いか」に対する反論も記載されていて、やはり放射線に閾値がないことを前提とする 劣化ウラン弾の話がメインで、内部被曝の問題も空気中の放射性物質を吸うことによる場合の記載が中心となっている。食物に付着した放射性物質を摂取した場合も同じと考えていいのか、チェルノブイリ原発事故に関してドイツなどでの影響も書いてはあるが、分からない

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    投稿日: 2011.04.15
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    福島第一原発事故発生から一か月。 レベル7という最悪の事故評価と、驚異的な放射線放出量が発表された今になっても、政府からも東電からもいっこうに「放射性物質による内部被曝」の具体的な説明は出てきません。 「ただちに健康に影響はない」なら、付近住民はなぜあわてて避難しなくてはならなかったのか。なぜ荷物を取りに一時帰宅することさえできないのか。なぜ諸外国は汚染水の放出に非難ごうごうなのか。 六年近く前に刊行された本書は、原発や劣化ウラン弾から放出される放射性物質が、風にのり、水に混じって体内に取り込まれ、それと気付かないまま静かに進行する内部被曝のメカニズムを解説し、被曝が人体に及ぼす影響、さらに、それが引き起こす健康被害の「可能性」について、警鐘を鳴らしたものです。 素人にもわかるよう、用語や単位など、丁寧な説明がありますので、昨今のニュースの手引きとしても役立ちます。 肥田医師による医療面からみた記述を中心に、主として海外の制作会社でTV向けドキュメンタリー番組や映画を手掛けてきた鎌仲氏が現地報告などによって補完、お二人の対談でしめくくるという構成。 同じコンビで、広島・長崎から湾岸戦争後のイラクにおける実態までを追ったドキュメンタリー映画「ヒバクシャ 世界の終わりに」(公式ホームページ:http://www.g-gendai.co.jp/hibakusha/)もあります。 本書によれば、軍事利用にせよ平和利用にせよ(実はその境界もはなはだあいまいなのですが)、核開発によって起きる内部被曝の問題は、きわめて政治的なものであるがゆえに、状況証拠が十分あるにもかかわらず、公式には「健康を損なう可能性がある」との見解にとどまり、また、研究結果や調査データの公表もなかなか進まない。 なるほど、だからこそ、政府・東電のあの煮え切らない会見や避難勧告となり、研究者も肝心な点については口をつぐむという状況が起こったのだと、とりあえず腑には落ちました。 ほんとうは(ほんとうに)怖い「プルト君」をはじめ、恐ろしいお話が満載です。 "明日には死なないが”(p.171)、十年後、十五年後に、果たして何が起きているのだろうか。 日本が先進国・自由主義国(一応)で初の、大規模かつ深甚な被曝の実証ケースとなるのかもしれません。 医療関係者・研究者の方は、せめてこの機会に詳細な調査記録をとり、世界に公表し、後世に役立ててくださることを切に願います。

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    投稿日: 2011.04.13
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    [ 内容 ] 内部被曝とは、放射性物質を体内にとりこみ、長時間にわたって身体の内側から放射線を浴びることである。 恒常的に被ばくすることで遺伝子が傷つけられ、癌などを誘発するといわれている。 だが、このリスクを見極める研究は少なく、人体への影響をめぐっては議論百出だ。 本書では、ヒロシマでの被ばく後、六十年にわたり内部被曝の研究を続けてきた医師・肥田舜太郎と、気鋭の社会派ジャーナリスト・鎌仲ひとみが、内部被曝のメカニズムを解き明かし、その脅威の実相に迫る。 「劣化ウラン弾」などの大量使用により新たな様相を帯びる「核の脅威」に斬り込んだ、警世の書。 [ 目次 ] 第1章 世界に拡がる被ばくの脅威(被ばくの論点;イラクの被ばく者たち) 第2章 爆心地からもういちど考える(爆心地の風景;内部被曝で死んでゆく人々;被ばく者特有の症状とは何か) 第3章 内部被曝のメカニズム(放射線の基礎知識;内部被曝の危険について;内部被爆の症状) 第4章 被ばくは私たちに何をもたらすか(アメリカの被ばく者たち;劣化ウラン弾は何をもたらすか) 第5章 被ばく体験を受け継ぐ [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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    投稿日: 2010.09.04
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    被ばくとは、一体どういう事なのかが分かり易く書かれています。 62年前の原爆投下とイラク戦争での劣化ウラン弾の使用。その2つを繋ぐ放射線の脅威がどのようなものなのかが分かります。

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    投稿日: 2007.04.04