
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とてもたくさんのことを考えさせられる作品だった。例えば、翼賛選挙に協力した人たちが口にした「戦争に勝つために挙国一致体制を推進することの何がいけないのか」という言葉が印象的だった。戦時中には戦争に勝つという絶対的な目的がある中で、強引で非人道的な手段がとられることも多々ある。そして、そういった行為は「お国のために」という言葉で正当化され、美化される。しかし、当事者の人々、特に一般の国民はそれが良いことであると信じて行っており、一方的に悪いことだと決めつけることもできないため、私の中で考えがまとまらずにいた。そんな中で終盤に吉田久が述べた「世が混乱している時にこそ毅然と法律を示すのが法律家の仕事」という言葉がとても腑に落ちた。世の中の状況がどうであれ、そして判決後の再選挙で結果が変わらなかったとしても、事案を法律に照らして正しく判断するという姿勢を示していくことが大切で、そうしてこそ国民一人一人が少しでも安心して、希望をもって生きられると感じた。
0投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログNHKの記者が書いたモノなので、歴史書というよりは新聞記事みたいな内容で、どこまでホントか怪しい部分もあるが、戦前に権力を戦った裁判官の物語としては面白い。
0投稿日: 2024.11.17
powered by ブクログ昭和17年の衆議院議員選挙、それは翼賛選挙(東條英機た作った翼賛政治体制協議会が候補者を推薦するという形で行われた選挙)としてなされた。同選挙の有効性を争った訴訟において、当時の社会情勢・戦局に流されずに選挙無効の判決を下した大審院判事・吉田久が主人公。翼賛選挙による選挙「妨害」が当時の衆議院議員選挙法82条で定めた選挙無効の要件「選挙の規定に違反することがあった場合」、つまり「選挙妨害」が「規定に違反」といえるかが争点。
1投稿日: 2024.05.12
powered by ブクログ心が洗われる 感動のノンフィクション! 内容(「BOOK」データベースより) 吉田久、命がけで東條英機と闘った裁判官―。政府に非協力的な国会議員を排除する意図があったとされる「翼賛選挙」では、聖戦遂行の美名の下、国民の投票の自由を実質的に奪う露骨な選挙妨害が行われた。他の選挙無効の訴えが退けられる中、吉田は特高の監視や政府からの圧力に負けず、戦時中に唯一の「選挙無効」判決を下す。これまでほとんど知られることのなかった気骨ある判決と孤高の裁判官の生涯を追う。
0投稿日: 2023.08.05
powered by ブクログ吉田久さん。尊敬すべき中大法学部の大先輩。 戦時下にもかかわらず、司法の独立を守った信念と勇気には感動せざるを得ません。こういう人物に少しでも近づきたい。
0投稿日: 2021.12.26
powered by ブクログマイミクさんの一押しということで読んでみた一冊。 海外出張の機内で読了。 時の首相東条英機が推し進めた翼賛選挙に対して、その 選挙結果は無効だとの判決を下した吉田久裁判官の話。 この本のタイトルにある「気骨」という言葉の意味をあらためて かみしめた。まさにこの言葉は吉田裁判官のような人のために あるんではないか、と思わされた。 (ただ、「東条英機と闘った裁判官」というサブタイトルは、 "営業的"すぎ。) いちばん印象に残ったのは、「正義とは何か」と問われた際に 吉田が返した言葉…「正義とは、倒れているおばあさんがいれば、 背負って病院に連れて行ってあげるようなことだ。」 言えそうで言えない言葉だ。 残されている史料が極めて少ない中、著者はよく取材して、 うまくまとめている。単行本にするほどの史料や情報はない一方、 文庫にしてしまうと薄くて軽く見られてしまう。 新書という形態にしたのは大正解。
0投稿日: 2018.11.18
powered by ブクログタイトルが、作品全体を見事に 象徴している。 読んでいて、現代では考えられないような、ひどい選挙妨害がなされていたことに驚きました。歴史を知ることは、やはり大切なことだと思いました。そして、命がけで裁判官としての職責を全うした吉田久という人物の生き方を知って、かっこいいなと思いました。
0投稿日: 2014.03.26
powered by ブクログ戦時中にこのような法律家がいたのかという驚き。素朴だが力強い正義感。文言と趣旨に照らした法律解釈。そして徹底した事実認定。法律家としてはどれも当たり前のことだけど、全てが超一級。そして、丹念な取材に基づきこれを著した著者も素晴らしい。僕も地道にがんばろ。
0投稿日: 2013.08.25
powered by ブクログ戦中の翼賛選挙で,官製選挙妨害を認めて無効判決を出した大審院判事,吉田久を扱った本。昨夏のNスペで同名のドラマやってた。当然,本の方が詳しい。 戦前に実現した普通選挙が,買収・汚職をもたらして粛正選挙に大義名分を与え,そこで培った選挙統制のノウハウが翼賛選挙で活かされたという逆説が背景にあった。戦前も戦後も,日本における民主主義の歴史って皮肉だなあ。
0投稿日: 2011.10.28
powered by ブクログ政府に非協力的な国会議員を排除するために行われたのが、国の方針に全員一致で賛成する議会を構成するための「翼賛選挙」であった。 行政・立法が一体となってアメリカとの戦争準備を進め、司法府にも圧力がかかる。 その中で、旧憲法が保証した選挙権と司法の独立のために戦った判事・吉田久の話。 「猫の目のように移り変わっていく政治」に、司法は追随してはならない。政治が国民の人気や熱狂に裏づけられる以上、状況を静観するバランサーは必要不可欠になる。その役目を果たすのが、司法府であったり官僚であったりする。「世論」「政権支持率」が頻繁に取り上げられるようになったが、時局、世論が必ずしも最重要視されるべきではないと痛感した。
0投稿日: 2011.06.22
powered by ブクログ[ 内容 ] 吉田久、命がけで東條英機と闘った裁判官-。 政府に非協力的な国会議員を排除する意図があったとされる「翼賛選挙」では、聖戦遂行の美名の下、国民の投票の自由を実質的に奪う露骨な選挙妨害が行われた。 他の選挙無効の訴えが退けられる中、吉田は特高の監視や政府からの圧力に負けず、戦時中に唯一の「選挙無効」判決を下す。 これまでほとんど知られることのなかった気骨ある判決と孤高の裁判官の生涯を追う。 [ 目次 ] 第1章 「こんな選挙が、許せるか!」(シャンデリアの「伝説」 反対の声の出ない議会 妨害と干渉の翼賛選挙 怒りの提訴 異例の裁判官会議 たたきあげの裁判官) 第2章 「わたしは、死んでもいい」(東條の傲岸な答弁 死を覚悟した鹿児島出張 炙り出された圧力 顔のみえる判例 強くなる風当たり 東條演説事件 崩壊する戦争末期の司法) 第3章 「選挙ハ之ヲ無効トス」(昭和二十年三月一日、判決 辞職、そして大審院全焼 鳩山一郎 吉田茂からの要請 消えた判決原本 戦火を生き延びた「信頼」の証) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
0投稿日: 2011.05.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
翼賛選挙についてもよくわかる本だし、吉田久という男についてもよくわかる本である。 今の世になっても、あまり変わってないのではないか・・・・と思える内容でもあった。
0投稿日: 2011.04.11
powered by ブクログ戦時中に行われた政府主導の不当な選挙に対して命を懸けて「無効」の判決を下した名裁判官吉田久について書いた本。感動した。
0投稿日: 2009.04.05
powered by ブクログ『日本人の誇りとすべき史実であり、みんなが味読すべき物語である。阿川弘之氏推薦。』 『吉田久、命がけで東條英機と闘った裁判官――。政府に非協力的な国会議員を排除する意図があったとされる「翼賛選挙」では、聖戦遂行の美名の下、国民の投票の自由を実質的に奪う露骨な選挙妨害が行われた。他の選挙無効の訴えが退けられる中、吉田は特高の監視や政府からの圧力に負けず、戦時中に唯一の「選挙無効」判決を下す。これまでほとんど知られることのなかった気骨ある判決と孤高の裁判官の生涯を追う。』 『・・・三権分立のうち「行政」と「立法」が、いわば一体となってしまったのである。 そんな戦争も末期となる、昭和20年3月。 突如、この翼賛選挙を無効だとする判決が言い渡された。それも、三権の残る一つ、「司法」の最高機関であり、戦後の最高裁判所にあたる大審院での判決だった。 言い渡したのは、当時の大審院第三民事部の裁判長、吉田久である。 判決文の舌鋒は、極めて鋭い。 ―――不法選挙運動は、組織的かつ全般的に行われた ―――推薦候補者の当選を期するために選挙運動をなすことは、憲法および選挙法の精神に照らし、大いに疑の存する所 』以上引用。 これは素晴らしい本です。この本は私の「保存して読み返す本リスト」に入れました。 感動しながら読んでいました。司法関係者は必読だと思います(特に裁判官)。 「まえがき」だけでも立ち読みしてみてください。きっと興味をひかれるのではないかと思います。 我々実務家は、「大審院判例」とよく目にしますが、実際、大審院はどういった状況下でどういった審理をし、判断していたかということまでよくわからないまま読んでいるのが通常ではないでしょうか。 戦時下、裁判資料の焼失を免れるための決死の努力にも感動しました。 『大空襲の夜も、大審院の書記たちは、民事だけで四百件に上る裁判記録を運び出し、焼失を免れたと前田は語っている。次々と焼夷弾が落下し、炎を上げる大審院の中を、職員たちは、記録を守るために走り回っていたのだ。吉田の判決も、この中の一つとして書記の手で大切に運び出されたのだろう』 時に裁判官に絶望的な気持ちになることもありますが、この本には勇気付けられます。
0投稿日: 2008.10.20
powered by ブクログ2008/8 第二次世界大戦中、戦争へ翼賛態勢がとられていた日本で、その態勢に対して毅然とした態度を貫いた、ひとつの判決があった。翼賛選挙が無効であると下した判事。その判決が生まれた背景と、どれだけ司法の独立のために果たした重要な判例だったか、ドキュメントが書かれている。
0投稿日: 2008.08.27
