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パーカー・パイン登場
パーカー・パイン登場
アガサ・クリスティー、乾信一郎/早川書房
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総合評価

35件)
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12
11
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    クリスティ作品の中ではおそらくマイナーな部類のパーカー・パイン。でも噛めば噛むほど味が出るスルメのように一度読んだらクセになる。そんな人物・ストーリーだった。

    0
    投稿日: 2025.03.16
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    幸せじゃない人の悩みを解決するパーカー・パイン氏。いろんなパターンが短編に入ってて面白かったです。前半はパーカー・パイン氏と仲間たちで解決していく、後半は休暇の為に旅行するパーカー・パイン氏がイロイロ巻き込まれる事件です。

    0
    投稿日: 2024.11.15
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    『黄色いアイリス』ではじめましてだったパーカー・パインについてもっと知りたくて、短編集を手に取りました。 前半は"パーカー・パイン劇団"が奮闘するお話、そして中盤からはパイン氏が旅先で出会う"不幸な人たち"の悩みを解決する構成に。 単発ドラマとして発展できそうな形だけに、パイン氏の登場がこれ限りなのがなんとも残念。月曜20時のドラマでやってそうなのに……。 個人的に好きだったのは「退屈している軍人の事件」。『ハロウィーン・パーティー』に登場したリンゴ好きのオリヴァ夫人の筋書きに、思わずニヤリ。こういう誰も傷つかない結末にはほっこりしてしまいますね。 多くの活躍はありませんでしたが、パーカー・パイン氏(とその仲間たち)と「あなたは幸せ?」の新聞広告には、一度読んだら忘れられない印象を植え付けられたのでした。

    17
    投稿日: 2024.03.10
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    前半の配列の妙が音楽の構成のようで気に入った。似たような話の繰り返し、と思ったところに3話目で転調し、締めは(いかにも作り話めいているけれど)赤く盛大に輝く夕焼けのような力強い清々しさ。最終話も小説というメディアならではのトリックが楽しめた。

    1
    投稿日: 2023.04.23
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    “身上相談探偵(?)”、パーカー・パインを主人公とした連作12話の短編集です。 「あなたは幸せ?でないならパーカー・パイン氏に相談を。」 ↑こちらの広告にホイホイされて、パーカー・パイン氏の事務所を訪れた人達のお悩みを、パイン氏の指示を受けた事務所のスタッフ達があの手この手で解決していく展開です。 この、“チーム・パイン”のメンバーとして、ミス・レモンやオリヴァ夫人といった、ポアロものにもちょいちょい出てくるキャラが登場したりというサービス(?)も嬉しいですね。 様々な立場の人々の、あらゆるお悩みを、“今度はどんな筋書きで解決するのかな~”と、何だか大掛かりなドッキリを思わせるような仕込みっぷりを楽しみながら読ませて頂きました。 ただ、解説にもありましたが第七話「あなたは欲しいものをすべて手に入れましたか?」以降は、パイン氏が中東、エジプト、ギリシャ等に旅立ち、行く先々で事件に巻き込まれてそれを推理するという、トラベル・ミステリに方向転換しています。 「“お悩み解決”では“ミステリ”が足りない!」と、クリスティーが思ったのかどうかは謎ですが、個人的にはもうちょい“チーム・パイン”(又は“パーカー・パイン劇団”・脚本オリヴァ夫人)路線を見てみたかった感じです。 因みに、例の新聞広告“あなたは幸せ?・・”の隣に欄に記載されていた、 「フローラ ─── いつまでも待つ ──── J」 という広告も、“Jはフローラに会えたのか?”と、勝手に気になった私ですww。

    7
    投稿日: 2023.03.30
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    「アガサ・クリスティ」のミステリ連作短篇集『パーカー・パイン登場(原題:Parker Pyne Investigates, 米題:Mr. Parker Pyne, Detective)』を読みました。 『無実はさいなむ』、『蒼ざめた馬』、『ゼロ時間へ』に続き、「アガサ・クリスティ」作品です。 -----story------------- 「あなたは幸せ?でないならパーカー・パイン氏に相談を」こんな奇妙な新聞広告に誘われて、依頼人が次々とパイン氏の事務所を訪れる。 夫の浮気に悩む人妻、人生に退屈した退役軍人、平凡な生活を送るサラリーマン、大金を使いたがる大金持ちの婦人―人々の悩みに答える、「パイン氏」の奇想天外なサービスとは。 ----------------------- 1934年(昭和9年)に刊行された「アガサ・クリスティ」のミステリ短篇集… 「パーカー・パイン」シリーズの作品です、、、 本書には新聞広告を見て訪れる人々の悩みを聞き、不幸を取り除いて幸せにする「パーカー・パイン」シリーズの12作品が収録されています… 「パーカー・パイン」シリーズは、『黄色いアイリス』に収録されていた『レガッタ・デーの事件』、『ポリェンサ海岸の事件』以来ですね。  ■中年夫人の事件(原題:The Case of the Middle-aged Wife)  ■退屈している軍人の事件(原題:The Case of the Discontented Soldier)  ■困りはてた婦人の事件(原題:The Case of the Distressed Lady)  ■不満な夫の事件(原題:The Case of the Discontented Husband)  ■サラリーマンの事件(原題:The Case of the City Clerk)  ■大金持ちの婦人の事件(原題:The Case of the Rich Woman)  ■あなたは欲しいものをすべて手に入れましたか?(原題:Have You Got Everything You Want?)  ■バグダッドの門(原題:The Gate of Baghdad)  ■シーラーズにある家(原題:The House at Shiraz)  ■高価な真珠(原題:The Pearl of Price)  ■ナイル河の殺人(原題:Death on the Nile)  ■デルファイの神託(原題:The Oracle at Delphi)  ■解説 小熊文彦 最初の6篇は、なんらかの理由で自分が不幸だと思っている依頼人を幸福にするという「パーカー・パイン」の本業であるカウンセラーとしての仕事が描かれています、、、 「パーカー・パイン」がよりどころとするのは医学でも心理学でも宗教でもなく統計… 官僚として35年働いてきた経験を元に、不幸を分類し、依頼人がどのタイプの不幸なのかを識別、その上でどうすべきかを伝え、悩みを解決していきます。 『中年夫人の事件』は、夫の浮気に悩む中年女性「パキントン夫人」の相談を解決する物語、、、 「パキントン夫人」を見たとたんに「パーカー・パイン」は「ご主人とご主人の事務所にいる若い婦人」の問題が、「パキントン夫人」の悩みだろうと言い当て、びっくりする「パキントン夫人」に「パーカー・パイン」は悩み解決の手数料として、前払いで200ギニーを要求… やがて「パキントン夫人」は3通の手紙を受け取り、「パキントン夫人」は美容院に行き、新しいドレスを作り、「パーカー・パイン」の事務所に向かう。 事務所で夫人は「クロード・ラトレル」という若い男を紹介され2人で昼食に… 「ラトレル」はすぐに夫人の楽しくさせてくれ、その夜2人はナイトクラブでダンスをするまでに、、、 それ以来「パキントン夫人」は、毎日毎晩のように「ラトレル」と会った… この行動がきっかけとなり、冷え切っていた「パキントン夫妻」の関係が回復してハッピーエンド… 夫婦間の愛情って、複雑ですよね。 『退屈している軍人の事件』は、海外の任地から帰国した退役軍人「ウィルブラム少佐」の相談を解決する物語、、、 任地の東アフリカから帰国して、田舎の小さな村に引っ込んだ「ウィルブラム少佐」は、退屈でやり切れない日々を過ごしており、「パーカー・パイン」の広告に目を引かれて、その事務所を訪れた… 「ウィルブラム少佐」の話を聞いた「パーカー・パイン」は50ポンドを請求し、明朝、さらに詳しい指示をすると言って「ウィルブラム少佐」を送り出した。 翌朝、「ウィルブラム少佐」は「次の月曜、朝11時にハムステッドのフライヤーズ通りへ行き、ジョーンズ氏を訪ねろ」という短い指示を受けた… 指示された場所に向かう途中、一軒の家から女の悲鳴が聞こえた… 「ウィルブラム少佐」が駆けつけると、明らかに空家と思われる家の中で若い女「フリーダ」が2人の黒人に襲われていた、、、 これは「パーカー・パイン」がミステリ作家の「オリヴァ婦人」の協力を得て考案した計画で、「ウィルブラム少佐」は危険な冒険に巻き込まれることで刺激的な日々を過ごすことができ、そして、「フリーダ」と結ばれるというハッピーエンド… でも、二人が向かった東アフリカで宝物はみつからないんですよね… まっ、刺激的なハネムーンになったからよかったんでしょうね。 『困りはてた婦人の事件』は、お金に困って知人のダイヤの指輪を盗んでしまった婦人「ダフネ・セント・ジョン」の相談を解決する物語、、、 「パーカー・パイン」のもとを訪れた「ダフネ・セント・ジョン」が見せたダイヤの指輪は最低でも2千ポンドはする見事な指輪だった… その指輪は「ドートハイマー夫人」のもので台座の緩みを直してもらうために預られたが、「ダフネ」は多くの借金を抱えていたので、ダイヤの模造品を作り、本物のダイヤを質入れして借金を返したのだ。 よって、現在「ドートハイマー夫人」のもとにあるのは、精巧な模造品ということになる… 「ダフネ」は後悔しており、「ドートハイマー夫人」の指輪を模造品から本物に取り替えてほしい依頼したのだった、、、 でも、実は「パーカー・パイン」を利用して「ダフネ」は、ダイヤの指輪を自らのモノにしようと悪だくみをしていたんですよね… それを見抜いた「パーカー・パイン」は、本物を「ドートハイマー夫人」のもとに返し、「ダフネ」には模造品を返すことにより、事件を解決します。 ちょっと複雑ですが、面白い展開でしたね… 経費のみ受け取り、報酬を受け取らない「パーカー・パイン」の態度も良かったですね。 『不満な夫の事件』は、趣味の合わない妻にないがしろにされ、妻から離婚を要求された夫「レジノルド・ウォード」の相談を解決する物語、、、 「パーカー・パイン」はスタッフの一人「マドレーヌ・ド・サラ」を使って、「レジノルド」が浮気をしたという芝居をすることに… 妻の心を夫に向かわせることができて、作戦は成功たかに思えたが、「レジノルド」は、あろうことか芝居ではなく本気で「サラ」に執心してしまった という「パーカー・パイン」にしては珍しい判断誤り(失敗談?)でした。 『サラリーマンの事件』は、不幸せではないが、なぜだか満足できないサラリーマン「ロバーツ」の相談を解決する物語、、、 有名会社に勤め、結婚をて見苦しくない世間体を保ち、子供たちにはきちんとした教育を受けさせ、その子供たちも健康で力強く、何がしかの貯蓄もある、大変に幸せな「ロバーツ」が「パーカー・パイン」の事務所を訪れた… 何か華々しい体験をしたいというのだ。 「パーカー・パイン」は、そんな「ロバーツ」に、ジュネーブまで列車でロシアの戴冠用宝石の秘密の隠匿場所を記した暗号文を運ぶように指示… しかも過激派組織が「ロバーツ」を阻止しようとしていると言って、、、 「ロバーツ」は刺激的な冒険により輝かしい経験ができて、「パーカー・パイン」は「ボニントン」に頼まれた設計図をジュネーブに送り届けることができてWin-Win… 一石二鳥でしたね。 『大金持ちの婦人の事件』は、「お金を使い方を教えて欲しい」という(贅沢な)悩みで「パーカー・パイン」のところにやって来た「アブナー・ライマー夫人」の相談を解決する物語、、、 5年前の夫を亡くした「アブナー・ライマー夫人は、夫が事業に成功したために金に困ったことはなかったが、それが逆に悩みであった… 娘のころは農家でせっせと働いていた夫人」は、金持になれば楽しい生活を送れると考えていたが、それは最初のうちだけだった。 今では楽しいどころか、お金があっても何もできない、持ってないもので金で買えるようなものが思いつかない、つまり生活が面白くなく何の楽しみもないのだった… そんな「ライマー夫人」の話を聞いた「パーカー・パイン」は1千ポンドを要求し、「ライマー夫人」に「コンスタンチン博士」を紹介する、、、 「コンスタンチン博士」は東洋人で、夫人に向って「あなたの魂は疲れている」と謎めいたことをいい、香り良く淹れられたコーヒーを飲ませた… いつしか「ライマー夫人」は深い眠りにつき、目覚めた時はどこかの農場のベッドの上にいた。 幸せ って、何なのかなぁ… ということを考えさせられる作品でしたね、、、 一緒に過ごすパートナーや環境によっては、お金がない方が幸せな場合もあるんですよね… 価値観というのは、一人ひとり異なるものだと改めて感じました。 後半の6篇はトラベルミステリ… 休暇を取った「パーカー・パイン」が旅行に出かけたものの、なぜか行く先々で次々と事件に出くわしてしまい、さっぱり休めない、という展開、、、 人を幸せにする… という行動原理こそ変わらないものの、「パーカー・パイン」らしい独特なスタイルは失われ、一般的なミステリに近い作品に仕上がっています。 『あなたは欲しいものをすべて手に入れましたか?』は、スタンブール行きのシンプロン急行で夫が誰かに何かを依頼した痕跡があって困惑しているという「エルシー・ジェフリーズ」という若い人妻の相談を解決する物語、、、 「エルシー」は旅立つ前に妙な物をみていた… 吸い取り紙に残された文字で、それは夫が手紙に書いたもので、「妻、シンプロン急行、ベニスの少し手前が最適だ」と読み取れた。 やがて列車がベニスの手前の海を渡る橋にさしかかると、空き室のコンパートメントから煙が出て大騒ぎになった… 発煙筒がたかれただけと分かったが、その騒ぎの間に「エルシー」の宝石箱が荒らされ、中身が無くなっていた、、、 「エルシー」の客室にいたスラブ系の女を「パーカー・パイン」が捕まえたが、その女は宝石を一切身に着けていなかった… 「エルシー」の夫「エドワード」が過去の出来事で恐喝されており、その解決のために一芝居打っていたとは、ちょっと読めない展開でしたね。 『バグダッドの門』は、ダマスカスからバグダッドへ向かうバス旅の途中、砂漠のただ中で起こった殺人事件を解決する物語、、、 ダマスカスからバグダッドへ砂漠を横断して進む六輪自動車の中で男性客の一人「スミザースト」が車内でグッタリしているのが見つかった… 男はすでにこと切れており、同乗していた空軍軍医「ロフタス」の検死により死因は頭を鈍器のようなもので殴られたらしいことが判明する。 かつて悪路を走る車の中で、頭を天井にぶつけて死んだ人間もいるとのことで、今回も事故かもしれないとの意見もあったが… ちょっと雑な検死だなぁ と思いましたが、、、 やはり「ロフタス」は、ただの空軍軍医ではありませんでしたね… 「スミザースト」がイートン校出身ということから、別な事件との絡みに気付くところがポイントでしたね。 『シーラーズにある家』は、イラン(ペルシャ)の首都テヘランと古都シーラーズを舞台にシーラーズの一角でひっそりと暮らす英国人女性「レディ・エスター・カー」にまつわる秘密を解き明かす物語、、、 バグダッドに着いた「パーカー・パイン」は、その後ペルシャに向ったが、その途中、飛行機のパイロットから乗客だった2人の英国人女性の話を聞いた… その話によると二人の女性はシーラーズに向い、そこで一人が建物から転落死し、もう一人が気が狂ってしまい、現在もシーラーズで世捨て人のような暮らしをしているらしい。 「パーカー・パイン」は、その話を聞いてさっそくシーラーズに向かい、気狂いと言われている「レディ・エスター・カー」に合い、話を聞くうちに彼女の秘密に気付く… 誰も知らない異国で過ごしているってことは、知られたくない過去があるんですよねぇ、、、 狂気の中での偶発的な事故死… 二人のことを、誰も知らない土地で入れ替わり、二度と母国には帰れないと思いつつも、徐々に故郷のことが恋しくなるが、真実を告白したら事故死ではなく殺人の容疑をかけられてしまうのではないか… そんな不安を抱えた彼女に、「パーカー・パイン」は温かい手を差し伸べたんですね。 『高価な真珠』は、ヨルダンのペトラ遺跡を舞台に真珠のイヤリングの盗難事件を解決する物語、、、 赤岩の都市ペトラに着いた「パーカー・パイン」はじめ旅行者の一行… その一行の中にアメリカの粗野な金持ち親子「ケイブル・ブランデル」と娘の「キャロル」が含まれており、「キャロル」が身に着けている真珠のイヤリングが8万ドルの価値があることや、失くしても直ぐにもう一組買ってもらえるとか、そうしたからといって破産するわけでもない、という嫌味な会話を聞かされていた。 翌日、一行が絶壁を登って広い台地に出た際、「キャロル」のイヤリングが外れていることに気付く… 確か少し前にはイヤリングは「キャロル」の耳についていたはずだった、、、 台地を探したが落ちておらず、誰かが隙を見て盗んだ可能性が高くなったが、身体検査等によってもイアリングは発見できなかった… 「パーカー・パイン」の推理は見事でしたが、盗んだ犯人はともかく、盗まれたイアリングには5ポンド程度の価値しかないことまで見破った手腕は見事でしたね。 『ナイル河の殺人』は、ナイル河を航行する観光船の中を舞台に船内で発生した殺人事件を解決する物語、、、 ナイル川を行く観光船は、金持ちの「レディー・グレイル」の貸切になるはずだった… 乗船していたのは「レディー・グレイル」と夫の「ジョージ卿」、姪の「パメラ」、付き添い看護婦「エルシー・マクノートン」、「ジョージ卿」の秘書「バージル・ウェスト」だけのはずだった。 だがそこに出港間際に「パーカー・パイン」が紛れ込む… そこではわがままな「レディー・グレイル」が気持ちをイラつかせていた、、、 その「レディ・グレイル」から「パーカー・パイン」に会ってほしい手紙が届く… 彼女はは夫が自分を毒殺しようとしていると打ち明けるが、「パーカー・パイン」は一笑に付し、「レディー・グレイル」は怒って、その場を去る。 しかし、その夜、「レディ・グレイル」はストリキニーネで毒殺される… 「レディ・グレイル」の生前の証言や「エルシー・マクノートン」の証言から「ジョージ卿」に疑いが向けられるが、、、 「パーカー・パイン」は灰皿に残っていた燃えかけの紙片から読み取れた僅かなメッセージ等から、真犯人を突き止めます… たまたま「パーカー・パイン」が乗り合わせなかったら、真相は闇の中だったでしょうね。 『デルファイの神託』は、ギリシャのデルファイを舞台に18歳の少年の誘拐事件を解決する物語、、、 ギリシャのデルファイのホテルに滞在する「ウィラード・ピーターズ夫人」のもとに脅迫状が舞い込んだ… 差出人は「ディミトリアス」と名乗り、彼女が溺愛する息子の「ウィラード」を誘拐したといい、身代金として1万ポンドを要求した。 「ピーターズ夫人」は同じホテルに滞在する「パーカー・パイン」に相談することに… 翌日2通目の脅迫状が届き、身代金の代わりに「ピーターズ夫人」が所有するダイヤのネックレスでも取引に応じると言ってきた、、、 「ピーターズ夫人」が再び手紙をもって「パーカー・パイン」を訪ねると、「パーカー・パイン」はダイヤを模造品に取り替えることを提案する… その後、同じホテルに滞在する怪しげな男「トムスン」が「ピーターズ夫人」の部屋を訪ねてきて、事件は意外な展開をみせる。 いやぁ… 叙述トリックにまんまと騙されましたね、、、 「パーカー・パイン」に成りすました悪人が、「ピーターズ夫人」を騙してダイヤを巻き上げようとしていたとは… まさか、「トムスン」が本物の「パーカー・パイン」とはねぇ。 気軽に読める作品ばかりなので、気分転換には良かったですね… 後半6篇のトラベルミステリは、イラクやイラン、ヨルダン、ナイル等が舞台となっており、後の「アガサ・クリスティ」作品を予感させるような作品でしたね、、、 イチバン印象に残ったのは、エンディングが鮮やかで意外性のある『デルファイの神託』かな… ダイヤを盗もうとした犯人の片棒を担がされそうになっていたことを見破った『困りはてた婦人の事件』も面白かったですね… 心にぐっとくる結末は『大金持ちの婦人の事件』かな、本当の幸せ って、人それぞれなことを改めて感じました。

    0
    投稿日: 2022.11.12
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    2004年発行、早川書房のクリスティー文庫。12編。この主人公は全く知らなかったが、解説にもあるとおり「アガサの探偵の中で最も知名度が劣る」とのこと。しかし、特に前半の本人が動かず人生の難問を解決するところは、とても面白い。後半は旅情ミステリだが、できれば前半の筋を押し通してほしかったところ。後半が面白くないわけではないが、ほかの探偵、特にポアロで置き換えが利きそうなところが、この探偵が好ましく思う私からすると面白くないところである。 収録作:『中年夫人の事件』、『退屈している軍人の事件』、『困りはてた婦人の事件』、『不満な夫の事件』、『サラリーマンの事件』、『大金持ちの婦人の事件』、『あなたは欲しいものをすべて手に入れましたか?』、『バグダッドの門』、『シーラーズにある家』、『高価な真珠』、『ナイル河の殺人』、『デルァイの神託』、解説:「解説」小熊文彦(小説家)

    1
    投稿日: 2022.09.10
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    アガサ・クリスティの探偵キャラクタものの短編集。であるが、パーカーパイン自体は有名では無い印象。 最初の方、椅子に座っていながらにして他のキャストを通じて問題を見事に解決する様を描く、という試みは面白く感じた。しかし、そのネタが続かなかったのか、後半からは冒険者のミステリー風になってしまい、トミー&タペンスとあまり代わり映えしない者となってしまった印象。

    1
    投稿日: 2022.02.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編ながらストーリーも魅力があり、ラストはクリスティーお得意のどんでん返し満載。どの話も面白いけど、一番好きなのは退屈な軍人の話。ほんとに結婚するの?!大丈夫??と思ったところに相手も相談者だったと読者に知らされるオチは、シンプルだけれど、だからこそはっとさせられて爽快。シリーズものにならなかったのは残念すぎる。もっと読みたかった。

    2
    投稿日: 2022.02.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    幸せになりたい人は、パーカー・パインに相談を。 新聞広告を見て、パーカー・パインのところに相談者がやってくる。この事務所のメンバーが個性的で、また八方よしに収めたりしれっと失敗してたりするのが面白い。パーカー・パインの武器は統計というのも面白い。しかし後半はパーカー・パインが旅先で、休暇中なのに事件に巻き込まれる展開になり、ちょっと不満。面白くないとは言わないが、パーカー・パインのキャラ付けとは。

    2
    投稿日: 2021.07.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    星新一のショート・ショートのような読み口 ギリシャでは偽名を使う、で最後の話のフラグ建てとヒントになってるのすごすぎる 最初の方はロマンスがありさえすればめでたしめでたしでいいでしょみたいなのを感じたけど、大金持ちの未亡人が農民になる話と死との約束のような嫌われ者夫人が毒をもられる話が好き 貴族と農業の組み合わせ、今読んでる破滅フラグのカタリナ様じゃんってなった 計らずともメンタルと体の調子を整えるのに役に立ってるのね パイン氏のお話もっと続けてほしかったな〜

    3
    投稿日: 2021.04.06
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    アガサ・クリスティが生んだキャラクターの中でも、マイナーな存在かもしれないパーカー・パインが主人公の短編集。 読んで初めて知ったんですが、パーカー・パインさんはいわゆる「探偵」ではないんですね。 新聞に「あなたは幸せ? でないならパーカー・パイン氏に相談を」という不思議な広告を出し、事務所に訪れる人の悩みを解決するということをしている人です。 確かに、「悪い奴を推理で追い詰めてこらしめる」というよりも「困っている人を助ける」という面が前面に押し出されています。 そのためなのか、読み進めていくうちに、だんだんとくつろいだ気持ちに。。。 こちらの短編集には12作が収録されています。 前半6作はパーカー・パイン氏が主に事務所で依頼人を待つというスタイルで、後半6作はパーカー・パイン氏が旅先で事件に遭遇するスタイルになっています。 どちらのスタイルもとてもおもしろかったです。 興味深かったのは、前半6作の中に、ポアロシリーズに登場する人物が出てくるという点。 秘書のミス・レモンと作家のオリヴァ夫人です。 時系列的には、パーカー・パインシリーズへの登場のほうが先なのでしょうか? オリヴァ夫人はパーカー・パインシリーズが初登場らしいのですが、ミス・レモンは?? ちょっと調べてみたいところです。 パーカー・パイン氏自体がなんとなくポアロを彷彿とさせるのですが、こうした関連性を感じるとなんかうれしいですね。 さて、このパーカー・パインシリーズは全14編の短編のみです。 残り2編は「黄色いアイリス」という短編集に収録されています。 個人的にはかなりパーカー・パインシリーズが気に入ったので、今後も読み返していきたいと思います。 ◇おすすめポイント  ・パーカー・パイン氏のお悩み解決法が素敵  ・事務所スタッフも魅力的  ・トラベルミステリも楽しめる ◇こんな方におすすめ!  ・クリスティの短編を読みたい  ・ちょっとポアロやマープルじゃないものを読みたい  ・肩の力を抜いてミステリを楽しみたい

    1
    投稿日: 2019.10.13
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    クリスティが生み出した探偵の中でもかなりマイナーなパーカー・パインもの短編集。前半は独自の視点で結構面白いけど、後半は後にポアロものになる話の土台っぽい感じで、まあマイナーに留まったのもやむなしか。

    0
    投稿日: 2019.03.07
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    「あなたは幸せ? でないならパーカー・パイン氏に相談を」そんな広告を頼りにやってくる依頼者の問題を解決していくパーカー・パインの活躍を描く連作短編。  前半に収録されている短編と後半に収録されている短編で大きく趣向が変わっています。前半は様々な不幸せな依頼人がやってきてパーカー・パインはそれを、コンゲーム的な趣向で解決していきます。この趣向の中では「大金持ちの夫人の事件」と「不満な夫の事件」がお気に入り。「不満な夫の事件」は夫にいろんな意味で同情してしまう短編ですね(笑)  後半からはパーカー・パインが旅行先での事件に巻き込まれるというもの。この中では「デルフォイの神託」が意外などんでん返しがあり、お気に入りの一編です。  解説にあったように前半の短編の趣向を定着させることができなかったのが残念だったなあ、という印象はどうしても受けてしまうかなあ。やっぱり後半と前半の作品群では前半の方が印象が強いです。

    1
    投稿日: 2015.10.10
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    前半の依頼人が訪ねに来るパターンのほうが好きかな。 しれっとオリヴァ夫人が登場していたりするので、 ポアロを読んでいるとニヤっとできる。

    1
    投稿日: 2015.08.26
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    探偵ではなく心の専門医というパーカー・パイン。優れた分類能力で人々の悩みを解決。 全部で12編の短編集。オフィスで引き受けた6話と休暇中の旅先で関わることになった6話。 ポアロでも登場するミス・レモンとオリヴァ夫人も登場していてびっくり。 たまに失敗もあったりしてそこも面白かった。

    0
    投稿日: 2015.01.31
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    新潮文庫版の短編集で昔読んだことのあるパーカー・パインもの。クリスティー文庫で再読しました。幸せを求めてパイン氏のもとを訪れる客たちの問題は、少し皮肉で温かい終幕を迎えます。こちらの文庫は訳がちょっと現代語すぎるかなと思ったけれども。

    0
    投稿日: 2012.06.17
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    短編アンソロジーで、興味を持ったので読んでみた。 時間に余裕のあった、良い時代。 事件のない日常が退屈で、危険を欲する人。 夫に不満のある、婦人。 自分勝手に浮気(未満だけど)して、妻が同じ行動をとると面食らう男性、 などなど。 パーカー・パインは探偵ではないけれど、観察力がすごい。 前半は、広告を出して請け負った仕事。 後半は、旅行中に起きた問題を扱った話。 困っている人を無下にできない、優しい人。 クリスティーは、やっぱり上品で読みやすい。

    0
    投稿日: 2011.10.19
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    短編集。 パーカー・パイン氏は、名前も、全く知らなかったです。 探偵でも何でもない、香具師みたいな人ですが、善人で、不幸な人を見るとほっとけないようです。得意技は、統計と自作自演(笑) 短編と言いつつ、前の作品が次の作品のトリックの伏線になってたりするところが良かったです。 最終話は、うまく騙された感じで良かったです。

    0
    投稿日: 2011.09.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    犯罪ではなく、悩みを解決するパーカーパイン。 犯罪に相当する事案もあるが、中心は人の悩み。 本書には、ポアロは登場しないが、パーカーパインとポアロの共通点が分かる。 人の心理を中心に、物事が起こるかどうかを推察する手法。 お得意の中近東の話題、鉄道の話題もある。 残念なのは、ポアロのような大量のシリーズ物でない点だ。 投稿者は、ご自身が投稿したレビューには投票できません。

    0
    投稿日: 2011.08.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「あなたは幸せ?でないならパーカー・パイン氏に相談を」 という新聞広告に引き寄せられていろいろな不幸を抱えた人々がパーカー・パイン氏の元を訪れる短編集。 日常的な問題が多くて身近な感じがよい。 ただ、後半パイン氏が旅行に出てしまい、魅力的なスタッフが登場しなくなったのが残念。

    0
    投稿日: 2011.04.23
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    【library222所蔵】 日本語ではたったこれ一作のマイナーなパーカーパインシリーズ。 「推理」が主ではなく、人の心の機微を描いた「ミステリ」と言えるかもしれない。 依頼人の希望をかなえるためにたくさんの仕掛けをするパーカーパインはまるであしながおじさんのよう。 一片一片が洒脱なショートショートのような仕上がり。

    0
    投稿日: 2010.05.01
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    人の不幸は5つに分類できるという。 『あなたは幸せですか? そうでないならパーカーパインにご相談を』 パーカーパイン氏の元には実に様々な不幸を抱えた人々がやってきます。 彼はそれを統計という名の武器で見通し、曰く治療していく。 と言っても彼自身は何もしません。全ては、彼の細かな指令を受けたエージェント達の手によるものです。 短編集なのですが、どれもどれもオチが非常にいいです。 パーカーパイン氏は統計と言っていますが、それはまさにある種の霊能や千里眼にも思えるくらい的確で。解決策もお見事! さすが、ミステリーの女王、アガサ・クリスティーです♪ 惜しむらくは、途中から少し形式が変わってしまうことですかね。 オフィス型だったパーカーパイン氏が旅行に出てしまうことですかね。 最初のままで続けて欲しかったな、と思いました。

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    投稿日: 2010.03.29
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    私の読書傾向を知る友人に薦められて読んだ。ムダに人が死なないのがマル。日々のちょっとしたところにある秘密だって充分に事件なのだ。

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    投稿日: 2010.02.28
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    あなたは今幸せですか? こういう新聞広告が本当にあったら絶対飛びついてしまいそう!笑 この広告を出し、依頼人を幸福にしているのが主人公のパーカー・パイン氏。 その活躍はどれも面白くてはまります! ただ、最後のほうの話はただの探偵に成り下がっていたのが残念だったかな。

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    投稿日: 2009.12.09
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    パーカー・パイン登場読んだ。クロードとマドレーヌたちのスパイ的活躍が魅力的で仕方がないのですが、ほんと中盤からパインが単なるポアロ化したのが惜しまれる。もっとクロードとマドレーヌが見たいよー

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    投稿日: 2009.09.12
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    人間性を知り尽くしたパーカー・パイン氏が、不幸な依頼人を幸福に導く。依頼人が抱えるトラブルは、家庭の不和・犯罪との関わり・満たされぬ心などさまざま。ミステリもそうでないものもあるが、どれもクリスティらしい、楽しく読める作品たち。

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    投稿日: 2009.07.10
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    ポアロとキャラがかぶる。オリヴァ夫人がちらっと出てきて、「おお」と思ったが…、前半の本業の話は「んなウマいこといくかい」、後半は「??探偵なの?」で、楽しく読んだわりにイマイチでした。だからこれだけだったんだね。(2009-03-15L)

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    投稿日: 2009.03.29
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    1934年発表の短編集。それでも古臭さを感じないのは、さすが「ミステリーの女王」! 残念ながらパイン氏の活躍はごくわずかですが、他のクリスティの探偵たちと同じくらい深く心に残っています。 クリスティの描く人物は、型にはまっていると言われますが、この作品はその「型」を上手く利用していると思います。 長く役所に勤めた経験から、人間の型を「統計的に」まとめて、人の不幸を取り除く(この形の推理法を高めたのが、ミス・マープルですよね)。 人間の本質を鋭く突いたこの短編集は、またクリスティーの観察眼の鋭さをも表しているように思います。 短編の中では「リスタデール卿の謎」「ねずみとり」とともに一押しの作品です!

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    投稿日: 2009.01.09
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    「あなたは幸せ?でないならパーカー・パイン氏に相談を」こんな奇妙な新聞広告に誘われて、依頼人が次々とパイン氏の事務所を訪れる。夫の浮気に悩む人妻、人生に退屈した退役軍人、平凡な生活を送るサラリーマン、大金を使いたがる大金持ちの婦人―人々の悩みに答える、パイン氏の奇想天外なサービスとは。

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    投稿日: 2007.05.22
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    さすがアガサ・クリスティーの一言に尽きると思います。こういう雰囲気が好きだからかなぁ・・・?一遍一遍が読み終わったあとに「あぁ〜!」みたいな・・・!

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    投稿日: 2006.04.19
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    アガサはミステリーの女王ですが、ミステリー以外の作品も面白いです。個人的に人物描写が素晴らしいと思っているのですが、この作品はそのよさがよく出ています。

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    投稿日: 2006.04.06
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    クリスティーの作ったキャラクターの中でも特に好きなパーカー・パイン氏の短編集。でも殺人は起こりません。さまざまな人間模様が面白い。

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    投稿日: 2006.02.25
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    お名前だけは存じておりましたが、やっと読めました。もはや古典であり、いろんなバリエーションがここから出てるんだなあ、と思わせる作品。しかし、オチのドキドキ感はやや物足りないか。ちょっと辛め。

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    投稿日: 2005.10.20
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    アガサ・クリスティーというとポアロやミス・マープルが有名だが、難解な殺人事件ではなく、悩み事解決に大活躍するパーカー・パインも相当面白い。

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    投稿日: 2005.05.14