
総合評価
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powered by ブクログ人のこころを最後まで描き切る、描写でストーリーを語るだけでない、深く、時にはこころを傷つけそうな文学。これが本当の文学かもしれないが。 啓造、陽子の内省が、浅はかであるときもあり心理に近い時もあり。しかし本当の善悪はどこでつけられるか。杓子定規らに見ると明らかな悪も、弥吉の戦時中の罪により咎められないものにもなる。 もしかしたら原罪というゆるしは、人間がどこかで持っている罪深さをお互いに許し合う、ということなのかもしれない。
0投稿日: 2025.11.15
powered by ブクログ氷点4冊一気に読み終わった! 続編もたるむことなく面白かった。 登場人物全員の気持ちに共感出来るところもあって 「原罪」について深く考えさせられた。
0投稿日: 2025.10.31
powered by ブクログ読んでいて不快感のある登場人物たちも、家庭環境や親からの影響によって、望まずしてそうなってしまったところが大きいのだと思うと、親が子にもたらす影響力の強さに恐ろしさを覚えるのと同時に、気の毒だとも思えた。
0投稿日: 2025.10.26
powered by ブクログ啓造が気持ち悪すぎる。夏枝は普通の女ですよ。続でも夏枝が不憫で、この夏枝の寂しさを啓造は想像することもできず聖書を読んでさらに今は改心した、今の自分は正しいと思い込もうとしているように感じる。 いかに自分の娘ではないとしても赤ん坊の頃から育てた陽子に性を感じるような男が、他者から人格者だと尊敬されるような描写には辟易します。 しかし氷点の面白さは損なわれない! というか、当時はこんなキモい男を読者は受け入れられたんですか?信じられない! 最後の選択肢、 陽子が幸せだったといえる 人生になることを願います!
0投稿日: 2025.10.25
powered by ブクログこの物語における「事件」は前作冒頭に起きた事件のみ。犯人も捕まっていて解決済みのひとつの事件が影響を与えていくという、不思議なミステリーだった。登場人物1人ひとりの細かい心理描写があり、「ゆるし」ということについて考えさせられる。 私のまわりにも軽薄で思考が浅いと感じる人はいてがっかりしたりイライラしたりはする。しかし、そのような人は決して思いやりがないとか優しくないわけでもなく、思考の軸がこちらとは違うだけで、優しい気持ちも思いやりも持っていて、ある意味では、深く読みし過ぎてしまう私たちよりも素直で、気持ちも強い部分があるのだと思う。そしてそれが深読みし、共感し過ぎて疲弊する人間にとっては救いであり、必要な存在であると思った。根本的な考え方の違いということを受け入れる=ゆるすことで生きやすくなるのかもしれないと感じた。
1投稿日: 2025.10.20
powered by ブクログ陽子の自殺未遂で終わった前編からの続編。ストーリーや登場人物の大枠が固まっているためか、前編に比べて内面に迫る場面や会話が多いように感じ、読み応えがあった。 祖父の教え「一生を終えてのちに残るのは、集めたものではなく与えたもの」や、聖書からの引用の「罪のないものだけが石を投げよ」が特に心に響いた。 読み進めるうちに、無意識の罪、自覚的な罪、妬みや狡さ、などなど、「自分の中にもあるある」と自らを振り返らずにはいられなくなる。 最後に陽子が実母である恵子に電話をするに至るまでの心の動きが、必然性をもって迫ってきて、この結末は「こうなるべくしてなったもの」という納得感があった。 場面設定などは現代とはかけ離れたものも多いが、それ以上に、人間の性(さが) に深く迫る大作&名作だと思う。
1投稿日: 2025.09.03
powered by ブクログ一気に読みました。氷点がかなり面白かったので、続編こわいな〜と思って二の足を踏んでいましたが、読み始めたらすぐ読んでしまった。おもしろかった。読んでてしんどかったりもどかしかったりする話だけど離さない引力のある話だな〜と氷点同様思った。 上巻、夏枝へのヘイト溜めすぎじゃない!?!?というほど執拗に書かれているような気がした。わたしは氷点のときから、夏枝という女がなんだかんだ嫌いではないというか、彼女はどうしようもなく箱入りのお嬢さんのままで、水と土が良ければ完璧な美しい花で、本当に素敵な女性で本当に素敵な母だったのだと思う。だからどちらかというと啓造のほうに苛立つというか、自分は正しいことしかしていないという風なところがかなり鼻についたような感じ。 そういうと辰子も村井もむかっとくるんだけど。 陽子の産みの母、その家族も登場して話が動いていくと「どうなっちゃうのー!」とハラハラしてしまってややつらかった。 今作は「ゆるし」がテーマとのことで、あらゆる登場人物が自身の罪に向き合い、あるいは他人の罪をいかにゆるしたか、というシーンが出てくる。陽子は自身の罪というより、不義を犯した母が何よりゆるせない。その果てに生まれた自分が祝福されなかった子供であることを憂う。という葛藤がたびたび出てきて、ラストの流氷のシーンがある。なんどもキリスト教のおしえが出てくるんだけど、人と人の間のゆるしてほしいという気持ちとゆるしは永久ではないのだなと思った。なんていうか言い方が難しいのだけど。だから人には神さまが必要なのかもしれない。
0投稿日: 2025.09.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
一気に読み終わりました。 まさか順子が佐石の娘だったとは! 順子の手紙と陽子の日記は、心に残りました。 三井弥吉の告白も、衝撃でした。 「罪と赦し」というテーマがまさに凝縮されています。 それにしても、夏枝はもはやこういう人とあきらめの境地に至ったところで、達哉という新たなイライラ人間の登場。 彼に「罪の自覚と赦し」はなかなかハードルが高そうだから、まだまだ騒動がありそうですね。 4巻通じて、ずっと辰子さんが一番好きです。
0投稿日: 2025.08.28
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「氷点」「続・氷点」と読みました。 「氷点」では、登場してくる人物達の傲慢さ、浅はかさ、幼さ、自分本意の行動など、驚きの連続で、単なるお騒がせ夫婦のとんでもない小説(←言い過ぎ…)と感じてしまった。 テーマは原罪…とのことだったが、思慮の浅い自分は過去に放送されていたような昼ドラのイメージで読んでしまっていた。 しかし、「続・氷点」では、もちろん浅はかな行動の徹、猪突猛進の達哉、相変わらずの夏枝、そんな夏枝を許せない啓造、空気の読めない村井の、自分達から敢えて辛い運命に寄せていってないか?と思うほどの思慮の浅い言動に驚きつつも、三浦綾子の訴える「赦し」というテーマにぐっと引きこまれた。 自分の周りにいる人達との関係性で思うところあり、胸に残る言葉が沢山ありました。
8投稿日: 2025.08.14
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資格試験の勉強に集中したかったのもあり、しばらくぶりに読書を。 氷点から続氷点単行本4冊、とても面白かったです。北海道の景色が目の前に広がるような、そんな清々しさと、人間のどうしようもない罪のコントラストが心に刺さる。ラストスパートは読む手が止まらず・・・深い感動に包まれました。しかし、三井(夫)の独白は辛かった。どこかに『戦争が発端となり、不義の子が生まれたのではないか。罪の根源は戦争にあるのではないか』というような文章があったと思うけど、本当にそうだと思う・・・。ただ、人間にはどうしようもない罪に向き合うチャンスが神様から与えられて、その時に自分を省みることができるのか、自分を謙り、他者の心を推しはかることができるのか。そこが分かれ目になるのではないかと、思った。好きと愛することの違いも頷ける。終始、読み手である自分自身にも突き刺さってくる言葉がたくさんあった。 ひとつ、敬造さん、あなた最終的に改心したような雰囲気になってるけど、序盤で出てきた10代の頃に犯した罪、あれとちゃんと向き合って欲しい。あれ以来語られず、無かったことのようになっていることがどうしても不快だった。 しばらく余韻を味わいます。
2投稿日: 2025.08.06
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佐石の娘、順子がここまで生きてきた理由が辛く悲しい。いい養父母のもとで育ってそれだけは幸せだ。 対して陽子は、裕福な家で育ったが順子の様な愛の中で育ったとは言えない。当たりのきつい夏枝、兄弟の愛情とは違う感情の徹、徹とはまた違う愛情を持つ啓造。さらに感情的すぎる実弟の達哉、穏やかなようでそうでもない北原、どこまで気の毒な… それなのに陽子は、常に罪と赦しを悩み続けている。何処かで自分を解放してほしいと読みながら思っているのに最後に北原を選ばざるを得なくなるのか。 登場人物の中で辰子が一番人間味あると思うが、ラストを辰子は何というのだろうか。陽子くんが決めたことなら、というのかな。 本の中で垣間見える生活は昭和そのものだけど、手紙を書く、夕刊を手渡す、などいい時代だったんだなと懐かしく思う。もちろん戻れないが、今の若い子が読んだらどう思うのかな。 何度読んでも、美しくいい本だと思う。この先も折に触れ読み返したい。
1投稿日: 2025.07.24
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よかった 登場人物に関しては 陽子が真面目というかまっすぐすぎる 夏枝と達哉はどうも好きになれない 辰子さんが1番好き と言った感じ ゆるしについては私もずっと考えてるけどわからない。正直多分ずっとそうだと思う
2投稿日: 2025.06.13
powered by ブクログ全4冊、深い物語を読んで多くの事を考えさせられた。 思いもかけぬ展開でしたが読み終えて満足。 物語の舞台に北海道の美しいスポットが多く、自然の偉大さを感じ、それと対比して人間の在り方、ちっぽけさも下巻ではしみじみと感じました。 対話の多い小説で、リアル感あって心情が伝わってきた。携帯も無く手紙が主流な時代、懐かしい雰囲気のある小説でした。
32投稿日: 2025.05.29
powered by ブクログ陽子の出生に関わる問題と、それにまつわる周囲の人々との関係。 結末は、あまりにも残酷な感じがしたがラスト数ページは陽子が長年悩み考え続けていた「許し」の答えを見つけた気がして少し救われた。 夫婦の在り方についても考えさせられたなぁ。 意外と、ドライというか割り切りも大事だなと。 ★ おかあさんの未知の世界に、おとうさんだけが入って行く、それに抵抗を感じているんじゃないのかな。自分とは遠い世界の人になるような不安と、ジェラシーに似た感情の入りまじった、複雑な抵抗をね。
1投稿日: 2025.05.12
powered by ブクログ読めば読むほど善し悪しが分からなくなってくる。結局、“ゆるす“とはなんなのか。ひとつ許せないと、芋づる式でそれに付随する人や出来事も許せないし、あの人が悪いならこの人も悪いような気もするし…… 物語自体は誰でも経験できる話ではないけど、心の迷いや葛藤は生きていれば誰でもあるような話。 この本のテーマについて考え続けるとモヤモヤするけど、物語としては楽しめた。
28投稿日: 2025.04.30
powered by ブクログ1年遅れで北大に入学した陽子。 夏枝と離れて兄の徹や北原さんと穏やかな大学生活を送れると思っていたら、生みの母親の家族との接点が出来てしまう。 不義の子を産んだ母も、不義の子として生まれた自分も許せず思い悩む陽子。罪と許しについて考えさせられました。こんな重い話、私の身には降りかからないけど。 育ての母である夏枝が浅はかで、わがままで、苦手。でも私も似たようなもんなんじゃないかと思ったりして、自分省みるためにもたまに読もう。氷点〈上・下〉、続・氷点〈上・下〉全4巻の中で夏枝が圧倒的にやばいキャラかと思いきや、もっとやばい奴が出てきます。面白かった。
11投稿日: 2025.02.08
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【ネタばれあり】 下巻。 大学生になった陽子は、キャンパスで実母恵子の次男、達哉と出会う。実の姉だと知らず母によく似た陽子へ異常な執着を見せる達哉がひたすら気持ち悪かった。それを実の弟だからと甘やかす陽子にもイライラさせられたし、夏枝も村井もここぞというところで余計な事ばかりしてくれて、腹が立った。 上下巻と長かった割には、終盤達哉の暴走で急に風呂敷を畳んで、陽子が謎に悟りを開いて終わったという印象でした。氷点は物語として面白かったけど、続の方は私には響かなかったみたいです。 不倫の上自分を生んで捨てた実の母親を憎む気持ちを持つことすら潔癖な陽子にとっては赦されない罪なのだろうか。陽子くらい高潔な人はそりゃもう神に赦しを請うくらいしか自分を赦す術はないのかな、と思った。 それにしても北原が可哀想すぎた…例え陽子を手に入れられたとしても代償が大きすぎる。達哉は神ではなく司法に裁かれてください。
2投稿日: 2024.12.11
powered by ブクログ自分が殺人犯の娘と知らされ自殺を図った陽子。一命を取り留めるも、殺人犯の娘ではなかったが不義の子であるという出生の真実を知り、実の母である恵子を責めるようになる。 陽子の潔癖具合にヒヤヒヤした。大なり小なり人は誰しも罪を犯しながら生きているものだが、陽子はそれがゆるせなくて悩んでいる。最後は罪を赦すことと北原の愛に気づくことが出来て良かったが、徹の陽子への想いも知っているだけに彼には同情してしまう。罪とはゆるしとは一体何なんだろうということを考えさせられた。ないだろうけど続きを読みたい。
0投稿日: 2024.11.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
前作「氷点」よりも興味深く読めた。前作はフィクションを読んでいるという感が大きく、テーマの「原罪」を意識することが難しかった気がするが、今作は「罪のゆるし」について漠然とだが考えながら読むことができた。 登場人物それぞれの視点で描かれており、とある事象が夏枝としては考えがあってのことでも啓造視点では全く別のように捉えられている。どの登場人物も身勝手に都合の良いように考えていて、人間はそういう生き物なんだろうなと感じた。 最終盤で陽子が「人間同士のゆるしには、恐らく完全を求めることはできないであろう」と考えているが、だから神という存在が生まれたのだと思う。神がゆるすとすれば人間の手の出しようがないところで落とし所がつく。 読んだ時の状況や年齢で感じ方が変わる気がするので、また何年後かに読んでみたい。 1960年代の生活や時代背景が垣間見えたのと、北海道のいろんな描写が書かれていて楽しかった。本編ではないが解説の「文学とは何か?それは人間を解明するものである、ということができよう」という言葉が心に残った。 陽子:本当によく頑張っている。高潔すぎて生きていくのは大変だと思うが幸せになってほしい。 夏枝:基本的に自分中心の考え方で(他の人のためと言っている部分も自分に都合の良いように考えている)全く共感できないが、女性の本質はこんな感じなんだろなと思った。陽子と正反対で世渡り上手というか、何があっても最後まで生き残るタイプだと思う。 啓造:流石に流されすぎでは。もう少し自分の考えを持った方が良いと思う。 村井:理解不能。普通に気持ち悪かった。 北原:辻口家の事情に直接関係ないのに足を失うことになり一番可哀想。陽子は北原と結婚する決意を固めて物語は終わるが、北原は断りそう。 達哉:最初はちょっとかわいいくらいに思っていたが流石に暴走しすぎ。恵子に同情さえする。 弥吉:出番はほぼないが赦しを一番体現していた人物。戦争に行った人にしかわからない気持ちがあるのだと思う。
0投稿日: 2024.10.12
powered by ブクログ引き続き昔の昼ドラっぽい感じだった。 最近の人気本は展開の早いものがほとんどだけど、話が遅々として進まない小説が苦手だったことを思い出した。 古い本なので、しゃべり方も価値観も違っててしっくりはこなかった。 内容に関しては一点だけ、マザコン弟が母親には何も聞かず、主人公にばかり絡んでくるのがイライラした。「親に聞けよ、他人の私に言うな!」と言ってやったらいいのにとずっと思いながら読んでた。 最後は著者がキリスト教徒と知らず、そんなオチかいと思ってしまった。 今はこういうの流行らないよね。もっと論理的にだったり自分ごととして考えるようになってきたように思う。キリスト教に限らず宗教って所詮他人事(他人の価値観)だから。 あと、今の時代こういうことをマジメに考え込んでるとそのうち新興宗教にハマりそうと思った。
0投稿日: 2024.09.25
powered by ブクログ陽子の弟、三井達哉の独走的な振舞いに腹立たしかった。北原が止めてるのに、何で達哉と話しする為に車に乗ったの〜!と陽子にも腹が立った。 順子が佐石の娘ということに、ひっくり返るくらい驚いた。 続編は往々にしてトーンダウンして面白味が無くなると思っていたが、最後まで惹きつけられる昨日でした。
0投稿日: 2024.09.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
続氷点、三浦綾子はすごい作家だと改めて思う。個性的だけど、どこかしら共感を覚える登場人物たち。それぞれの悩みに、私たちは、自分のことのように寄り添って考えずにはいられない。時折描かれる北海道の美しい自然とともに、彼らの様々な思いを共有することができた。だから、今も色褪せることのない素晴らしい小説なのだと思う。 特に、ラストに向かって陽子の様々な葛藤を、自然の情景に重ねて、彼女の深い悟りへと導くところは、圧巻だった。
2投稿日: 2024.08.11
powered by ブクログこの数年で読んだ中でも傑作中の傑作であり、勧めてくれた友人に感謝。 4冊の締めくくりに再度タイトルの意味に立ち返り、湧き起こる思いが、自分の日常に深く切り込み読み終えた後なおも影響を与える。 随に沁みる一冊
1投稿日: 2024.07.10
powered by ブクログかなりヤバイ性格の陽子ちゃんの実弟が他人の人生をダメにするまでに至り、陽子ちゃんが流氷を観ながら「原罪」や「許し」を「絶対的な存在」である「神」に啓示されるまでのお話。 最後は前面にキリスト教が押し出され、その点に関しては陽子ちゃんがそれで良いのならどうぞ…という感じ。 何に救いを見出すかは人それぞれなので…。 ただ、絶対的な「神」を信じること(「神」の存在を受け入れること)でこれまでの数々の苦悩が救われるというのは、ちょっと良い子ちゃん過ぎるお話かな。 人の心の安寧というのは、何かしら既に出来上がっているものに寄ったほうが楽であることは事実だと思う。 自由のなかで自己選択と自己責任の繰り返しで生きるよりかは指針があったほうが楽だからね。 キリスト教信者の著者が絶対的信仰に基づいて描いた人間模様と考えれば破綻もなく、飽きずに最後まで読める作品でした。 ただ、良くも悪くも人間の本質を考えるにあたっては「続」ではなく『氷点』のほうが良かったです。
1投稿日: 2024.03.17
powered by ブクログひとまずは読了。 “赦す”がテーマなんだろうが、やはり思想感の違いか、おっちゃんには難しいテーマだった。 続の二冊は、前作より少し間が空いた後の作品らしい。ならば、おっちゃん的には無理して世に放たなくとも…と思えた。 登場人物それぞれに思うところや、スネに傷が…みたいな話は承知だが、…無理に理解しようとするとなると、一筋縄では理解し難い。 時代背景が重苦しい時代なのだから…ってのは、言い訳なのかな? 自分の喉元に刃が突きつけられているのに、他を守ったり…ってのは、おっちゃんには出来ない相談ですね…。 だからといって上官の思う通りにしたらば、それはそれで非難される…。 本当に激動の時代を生きてきた、見てきた人にしかわかり得ないお話だと思う。 たとえ物語と言えど、おっちゃん風情若輩者がとやかく言うことは、憚られる気がしてなりません。 そしてシュークリーム様、閲覧ありがとうございますm(_ _)m またXにてもネタを出してます。 乞うご期待!w
4投稿日: 2023.11.29
powered by ブクログ学びや自己覚知のない母夏枝の存在が 自己愛性の強い女性の象徴に感じられてならない 人物それぞれの視界が広がり重なって変化し 万事を受け入れて生きる人間の強さに胸が熱くなる
14投稿日: 2023.11.24
powered by ブクログ上巻は、『氷点』の最終盤での騒動の直後という情況から物語が起こる。そして時間が少し経過し、『続 氷点』の鍵になる「三井家の人達」が登場するようになる。 下巻では、血の繋がらない兄の徹と、兄の友人ということで知り合って親しくなった北原との間で揺れていた陽子、そして「三井家の人達」を巡る挿話が多くなる。 『氷点』は陽子が成長する過程の子ども時代が相当に入るのに対し、『続 氷点』は陽子が既に高校生や高校卒業後、或いは大学生である。それ故に「陽子の目線」という部分が多い。 『氷点』の最終盤で陽子は高校2年であるが、『続 氷点』の中では大学生になっている。数年経っているということになる。そういった事情を踏まえ、<見本林>が在って、辻口邸が建っていることになっている神楽や旭川の街での挿話に加え、札幌での挿話も少し多くなり、加えて作中人物達が旅行に出るような場面も在る。 作中、作中人物達が色々と行動する中、東京方面への旅行に飛行機が登場する、蒸気機関車が牽引する客車が専らだった中にディーゼル機関車やディーゼルカーが散見している様子が登場する、更に自家用車を使う例も色々と出て来る。そういう辺りに、「昭和40年代前半頃」という「色々な意味で様子が変わっていた時代」を想った。 時代が如何変わろうと、結局「人間」は然程変わらないという一面も在るのかもしれない。故に、本作のような、発表されてから相当に年月を経ている小説が読み継がれているということなのかもしれない。 「秘めてしまっている悪意がもたらす何か」という人生模様、「悪意」たる「罪」というようなモノと向き合わざるを得なくなって行き、心が凍て付く思い(=氷点)を経験することになる陽子というのが『氷点』だった。これに対して「悪意」たる「罪」を「償う」とか「赦す」というような道筋を見出そうとする劇中人物達を描くのが、この『続 氷点』ということになるかもしれない。 やや旧い作品で、既に読了という方も多いとは思う。が、自身が極最近迄未読であったことから、未読の方も多いと想定する。そこで内容に踏み込み過ぎないように綴っている。 作品内容と直接的に関係は無いかもしれないことを加えておく。偶々、三浦綾子作品を何作か読んで興味深かったことから、『氷点』と『続 氷点』の「辻口邸」の辺りということになっている<見本林>、その辺りに在る<三浦綾子記念文学館>を訪ねる機会を設けることが叶うという出来事が在った。旭川を訪ねた折りに時間が在ったので、訪問機会を設けたという訳なのだが、作家の作品や人生を広く深く紹介する文学館も興味深く、晩秋の好天という中で散策した<見本林>も好かった。 『氷点』は独立して完結はしているが、『続 氷点』をも加えて、「昭和20年代の初めから昭和40年代半ば近く」の20年間程を描く“大河小説”という体裁に纏まっていると言えるのかもしれない。発表されて半世紀以上を経て読み継がれる「古典」である。自身は極最近迄読んでいなかった。が、読んでみて「広く御薦め!」と思った。
4投稿日: 2023.11.08
powered by ブクログ大学生となった陽子は、ある日次男の達哉と出会う。 達哉は異父姉と知らず陽子に近づいてくる。 陽子を中心とした複雑な人間関係が徐々に明白になっていくという完結編。 続・氷点(上)の後半から積極的に陽子に会いに来る実弟の達哉。 今まで以上に自分の身の周りで気になることがあり、 それによって陽子に執拗に会いに来て母に会って欲しいと言う。 これだけでも今まで冷静にしていた陽子であっても 徐々に心の動揺を隠すのが難しくなり、実母に対しての思いも揺らいでいるなというのが伺われました。 その間には必ず厄介者の村井の存在もあって、 今回も余計な一言が多くあって、これだけ邪魔になる存在というのもなかなか強烈だなと思いました。 北原の件が無かったならば、 徹と幸せな人生を歩いても良いかと思いました。 けれど陽子の立場となってしまったならば、北原を選ぶかもしれないです。 どちらと一緒になったら幸せになるのだろうかというのは分からないですが、この作品のテーマであるキリスト教の許しを考えるとこうなるべきなのかと納得させられたように思いました。 陽子が実母に対する憎しみしか涌かないという気持ちも分かりますが、 それよりも実母の夫である三井弥吉の戦場で行われた出来事が印象深かったです。 文中にもあったように 戦争の恐ろしさは、食糧が乏しくなること、空襲で家が焼け、 女子供や老人さえも焼き殺されること、ただそれだけではありません。 それよりも何よりも恐ろしいのは、人間が人間でなくなることということでした。 だからといってこの作品のような事柄が許されるとは思えないし、 誰が悪いのかというのも責められず、なかなか難しい問題だと思いました。 最終的にはキリストに倣って許しを得ることとなる陽子ですが、 その他の家族たちはどうやって許しを得ているのかなと考えてしまいました。 一生を終えてのちに残るのは、 われわれが集めたものではなくて、 われわれが与えたものである。 この言葉にこそ真の人間の生き方が示されているような気がする。 という言葉も印象的なので覚えておくと共に、 集めるだけでなく、与えられる人になるように これからは努めていかなければいけないとも思いました。 登場人物のそれぞれの生き方を見ながら、 嫉妬、憎しみ、妬み、愛、赦しなどを様々な視点から 知ることとなり今後の人生への学びとなる作品でした。 時代が違っていても壮大なスケール感でリアリティーのある 人間模様が描かれていて読み応えのある作品でした。 まだ読んでいない三浦さんの作品もこれからも読み続けたいと思いました。
1投稿日: 2023.10.23
powered by ブクログ陽子のその後の話 小説の名を借りたキリスト教入門書ともとれる 等身大の陽子の疑問や葛藤は私たちの普遍的な問題とも共通しているから、読んでいて飽きない ただ終わり方については納得いかない部分はある それはたぶん私の宗教観も関わってると思う 色んな人の感想が聞いてみたくなる作品
1投稿日: 2023.10.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
上下、続上下と夢中になって読了。 読む前は4巻は長い道のり、と思ったが内容が気になりすぎてネットフリックスのドラマを次々観るかのようにページを捲る手が止まらない。 登場人物のほぼ全員が多かれ少なかれ、心の中で罪を犯したり、実際に罪を犯したりしている中で、それぞれがその罪の数々に対してどのように向き合っているのかが印象的だった。 陽子が出した答えは陽子に対しての解であり、実際他の人々には適用されないであろう部分は現実的であった。 人を裁く立場にいる人は、自分が正しいと思いこんでいる人。これは真であるとは思うが、要するに自分がどれだけ相手を敬い、自分を謙ることができるかという部分に帰結すると思う。 本の主旨とは変わるが、人を責め続けることは何事も生み出さず、自分自身を苦しめ、大事な人をも苦しめる結果になり得ないと感じた。 自分の罪をも認め、相手を赦し、生きることこそが自分の力で「幸せ」を掴むことに繋がると思う。 「罪」と一言に言っても、下か何処かで記されていたキリスト教の話の通り、大小様々、そして自分が認識していないものまで無数にあり、罪を犯さずに生きていくことは不可能に思える。 そんな中で如何に自分の罪を認め、相手の罪を赦して、そして人々に何を与えるか。 人生の中で赦したくない人は思い返せばたくさんいるが、私も気を改め、自分の今までの罪を認めて、赦すことを覚える人間になりたいと思わせてくれる一冊(四冊)だった。 夏枝の行先が気になるので、星4つとした。(夏枝、上下で憎くて仕方なかったが、続編になると割と大人しく、可愛らしく可哀想な部分も多かった。特に桜の部分。辻口夫婦は一からやり直して欲しい。やり直せるポテンシャルのある2人だと思う。 総じて一番受け付けないのは、村井と達哉。 辰子さんは唯々善人。)
2投稿日: 2023.10.01
powered by ブクログ氷点がとてもよくて、続・氷点(上)もハラハラしながら読み続け、楽しみだった最終巻の「続・氷点(下)」でずっこけ。辰子の人格が大好きだったので、滅多に登場しなくなってつまらなくなった。南京大虐殺が真実だったかの様な嘘が書かれた箇所で一挙に覚めた。日本軍はそんな野蛮な事はしておりません。最後まで陽子に振り回されて、ハッピーエンドを期待してたのに、納得いかない締めくくりだった。最後の章はキリスト教信仰バイブルですな。
1投稿日: 2023.09.14
powered by ブクログ『氷点』に続いて『続 氷点』まで読んでみた。『氷点』は正直なところこれでもかこれでもかとエンタメ要素的なものがてんこ盛りで読む前に想像していたのとは違ったんだけど、この続編のほうはわりと納得して読了。しかし相変わらず、男たちの描き方に比べ、陽子と順子(と辰子さん)以外の女性の描かれ方がひどいなあ。 時代の空気感もあるだろうけど陽子が聖すぎて、これでは生きていくのが大変じゃなかろうかと思ってしまう。いやいや、そうした自分に科されたものを引き受けていく覚悟があることが大切ということなのかもしれない。
0投稿日: 2023.08.13
powered by ブクログ達哉が自分勝手過ぎてイライラしてしまった笑 達哉にもまた原罪が生まれたのであろうと思います。 さて、上記の点は抜きにして続編もみるみるうちに氷点の世界に引き込まれた。 本当の陽子の人生はここから始まるのだと思います。 結局、どういう道を選ぶのかは読者の想像にお任せということでしょうか。 全ての罪が晴れるわけではありませんが彼女の本当の人生を歩んでいってほしいと願うばかりです。
1投稿日: 2023.08.05
powered by ブクログ陽子…清原果耶 徹…神木隆之介 夏枝…宮沢りえ 啓造…中村トオル 達哉…鈴鹿央士 村井…岡田将生 北原…宮沢氷魚 由香子…高畑充希 高木…戸次重幸 辰子…井川遥 #脳内配役
0投稿日: 2023.04.20
powered by ブクログ古さを感じる事なく、それぞれに感情が付いていきながら完読した。 正しいと思う事自体が、裁きになっている。 「罪」を深く考えさせられます。。。
3投稿日: 2023.03.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
テーマが原罪 らしいが、許す という点に重きを置くと、夏枝の言動も達哉も許せるのか?と考えさせられる話だった。 全体(続 じゃないほうの氷点も含め)を通して 陽子の人柄は恵子の娘だなと思うし、きっと北原と陽子はこれから何があっても明るく前向きに生きていくのだろうと思う。 三浦先生がもうお亡くなりになっているので、続の続はないが、思いを馳せてしまう。
1投稿日: 2023.01.19
powered by ブクログ全員が自分に対し、何らかの罪を持っている、もしくは罪の意識にかられている。 湊かなえさんのNのためにみたいな後味だった。何気ない一文でさえ、情景でさえ、全てに意味がある展開であると思います。
2投稿日: 2022.12.23
powered by ブクログ氷点苦手な人ランキングを作れと言われたら、達哉が一位になるかも...と感じながら、どんどん読み進めました。 一番印象に残っているのが三井弥吉の手紙のシーン。うまく言えませんが、氷点シリーズの中でもここは読んでいて違う感情の動きになりました。私にとっての燃える流氷、赦しに触れる何かだったのかなと思います。 本当に面白かった。読んでいて全く楽しくないのに読んでよかったと思える本です。
2投稿日: 2022.12.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
終盤、どんどん読み進めた。 私も、陽子の立場なら、北原を選ぶかも。 一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである。 この言葉にこそ、真の人間の生き方が示されているような気がする。 与えられる、人になりたい…。
10投稿日: 2022.04.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
氷点上から引き込まれ、あっという間に読んでしまった。 人間というのは欲深く、醜くくて、人の心も自分の思い通りにしたい生き物。「赦す」とはなんなのか、マリアに石を投げれる人がどれだけいるのか、自分は投げれるのか。 自分の持ってるものがどれだけたくさんあるのか、人と比べちゃいけないのを再認識した。
0投稿日: 2022.04.17
powered by ブクログ許すことに焦点を当てている。 誰もが持っている人間の様々な感情を巧みに表現されており、自分の今までの行動、考えを振り返ざるを得ない。
2投稿日: 2022.02.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
結核闘病中にキリスト教と出会って以降、クリスチャンとして信仰を基盤に書き続けた三浦綾子氏。 個人的には、『泥流地帯』『続 泥流地帯』に続く2作目だ。 『氷点』『続 氷点』は計4冊から成る大作であるが、目を離せない展開に、稀な速度で読み切ってしまった。 『氷点』は作者らしく、「人間の原罪」がテーマとして採用されている。 妻の不貞と不注意の隙に子供を殺された父親が、彼女へ対する復讐として犯人の実子を貰い受ける。 成長した娘は継母の執拗な虐めも耐え抜くが、自身の出自を知らされた時… と、言うお話。 昼ドラさながらの展開である。 「面白い」と言う感想は感想にもならないと思っていたが、否! どうしたって面白過ぎる…! (似た小説があったなぁと思い返せば、桐野夏生『やわらかな頬』だった。 そう言えばこれも面白かったな…。) 続く『続 氷点』のテーマは、「赦し」に変わる。 続編がこう言った変化を見せる小説も特殊であろう。 自身が正しいと信じている事に他者の同意を求める事こそ、人間最大の罪であろうか。 誰一人として私を共感させてくれなかった登場人物達。 彼等は最大の罪を犯しながら、その罪に向き合う者と、罪に潰される者に分かれていく。 そして結論、愛は感情ではなく意志と言う。 私はまだ、意志と同義の愛を知らない。
0投稿日: 2022.01.16
powered by ブクログあまりに夢中になって読んだので、細かいディティールを読み飛ばしてしまっている気がして、またいつかきちんと読み直したい。 続編は「ゆるすこと」に焦点を当てている。 東京のホテルでの夏枝の謝罪には、なんとなく言い訳がましく悪い意味で彼女らしさがあるものの、もし飛行機が墜落したら陽子にきちんと謝っていないことを後悔するという言うところに夏枝なりの良心が表れていて目が潤んだ。 その後のシーンで、夏枝の父が彼女を甘やかしすぎたと話すところからも、これが彼女にできる精一杯の謝罪の仕方なんだろうと思った。 達哉はちょっと勝手すぎて、こんなやつをいちいち相手にする陽子や北原は優しいなあと思って読んでいた。わたしが陽子だったら絶対相手にしないけどな〜と浅はかなわたしは思うけど、育ての親に憎しみを向けられていた過去を持つ陽子が、初めて肉親に会ったときに感じる愛情の深さなんて到底分かりっこない。 三井弥吉は全てを知ったうえで恵子を許していた。むしろ救われたような気持ちさえ持っていた。このシーンでは涙が出た。経済成長期の日本では、もはや戦後ではないと、明るいムードが漂っているイメージだった。その中にも戦争で生き延びた人たちが当然いたわけで、三井弥吉の手紙によって、その人たちがどんな思いで過ごしていたかを垣間見た。 人生は何を集めたかではなく何を与えたか。 陽子は結局、自らに足を与えてくれた北原の恩に報いるために、足を無くした彼の生活を支えるべく、彼を選ぶということなのかな。確信が持てない。 最近ちょうどベン・ハーを観たけど、やはり宗教とはなんなのかよくわからない。 自分の罪を他の誰が許してくれなくても、神というそれを許してくれる存在がいるということ、そしてその事実に支えられている自分は、同じように他者を許す存在であろう、さらには、その良い輪が広がるように、自分の罪を許してくれる存在を教えよう、そういうことなんだろうか。(他者に教えなくても、自分ひとりの心で信じていればいいのかもしれない。) 祖母はキリスト教徒だったけど、どんなきっかけがあったんだろう。 いまわたしは自分の将来が不安で、この世界の行く末が不安で、子供を持つことに前向きな感情を持てない。「何かを与える」ことは子供を持たなくてもできる。頭ではわかっていても、わたしが今まで関わってきた人から受けた愛情を、最大限で他者に与える方法は、自分の子供を持つということなんじゃないかなあとも思う。
1投稿日: 2021.12.26
powered by ブクログ越谷支店 井芹さんお勧め本 あらすじ 昭和21年(1946年)、旭川市在住の医師辻口啓造は、妻の夏枝が村井靖夫と密会中に、佐石土雄によって3歳の娘ルリ子を殺される不幸に遭う。 ... ルリ子の代わりに女の子が欲しいとねだる夏枝に対し、啓造はそれとは知らせずに殺人犯佐石の娘とされる幼い女の子を引き取る。 感想 素晴らしい小説でした。
1投稿日: 2021.12.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
フィクションに言ってはいけないことだけれど あんなに広い北海道で…そんなに遭遇する???!! と思いながら読んでしまった 自動車を持っていたり、ホテルに泊まったり飛行機代が苦にならない お互い生活水準レベルが一緒故の 同ランクホテルでの遭遇とか?? 陽子の学生時代、友人との行動があまりないと思っていたが、敢えてだったのか。。 教会の説教が若い信者や若い指導者で最初不安や不満を覚えるという感覚に目から鱗。 医者という職業ゆえか、大人な男性ゆえか。。 ラスト、自分的にはこの後どういう選択や立ち回りになるかなぁと思ってしまったが、相手は確定なのだろうか?? 小樽男性の手紙で 小学生の時読んだ赤木由子氏の『柳のわたとぶ国』を思い出した。 その後「二つの国の物語 第1~3部」刊行されたらしいので結末未読にて読んでみたいけれど 満州国題材って辛さしか無いなぁ、とずっと先延ばしにしている。。 当時読んだ本は 戦後刊行されたせいか、子供が病気にかかるとすぐ亡くなったり貧しさを感じられる作品が多かったので 本作昭和57年刊行で登場人物には樺太出身者や恋人が獄死していたりするのに 暮らしが本当に豊かなんだよなぁ。。と不思議。 オリンピック前までは東京中心地も土埃が凄くて、とかt高速道路建設に地方からの出稼ぎで地方の生活は変わらないまま、とか 戦後復興は大変だったイメージなので。 北海道という土地柄なのか、歴史を調べてみたい。 ストーリーは把握したけれど、色々と面白い見解や心情シーンやセリフがあるので きっと読んだ時の年齢や立場や心境によって また気になる箇所が変わってくる作品だろうなぁと思った。
0投稿日: 2021.11.23
powered by ブクログふとした出来事から歯車が狂って、取り返しのつかない状態に陥っていく。 後悔しても、後悔してもしきれないところではあるのだけれど、それも人生と割り切るしかないのだろう。 最近読んだ「さくら」もそう、きっかけは時計の電池切れ、だった。ほんと些細なこと。 全然関係ないけれど、「ダーウィンがきた」でやっていた「巨大なまずの鳩のみ」を思い出した。ほんの一瞬の気のゆるみ、それが鳩の人生を変える。鳩は水を飲んでいただけだ。 根底にあるのは、皆さんのレビューにある、「一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなく、われわれが与えたものである」。これは強烈に心に残る。 (コレクションした音楽も、録画した映画も、本も、もうすべて読む/観る/聴く時間はまったく残されていません。集めても仕方がない。そんなことする時間が人生の貴重な時間を捨てていることに気づくべきだ。いつか見る、いつか使う、そんなときはもう来ない。断捨離して、家族との時間を大事にして、外の空気を感じた方が、人生豊かに終われるだろうな、とわかってはいるのだが。。。) 陽子ちゃんの人生はこれでよかったのだろうか、大事なのは家族で、それはしみじみ感じるけれど、この家族は幸せだったのだろうか。ちょっと悲しい。 クラ館、黒百合会、古川講堂、中央ローンなど、卒業生であれば馴染みのある風景が散りばめられている。
17投稿日: 2021.10.18
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読んで良かったとすごく思う本。キリスト教を少しかじっていたから響いたのかもしれない 人を責めるって弱い人間がすることなのかな、と思った。そして自分も例外なく当てはまるのでグサグサと刺さった 好きな言葉をいくつか。 「だから、人間は大過なく生きていても、威張ることはないし、過失を犯した人を、そう責めることもできないんだよ」 「相手より自分が正しいとする時、果して人間はあたたかな思いやりを持てるものだろうか。自分を正しいと思うことによって、いつしか人を見下げる冷たさが、心の中に育ってきたのではないか。」
2投稿日: 2021.10.16
powered by ブクログ前編に比べて、という評価があるのはわかるけど、物語を貫くテーマが一環していて、最後まで楽しめました。続編があってよかった!
0投稿日: 2021.09.06
powered by ブクログゆるぎない信念がつらぬいているから、懸賞小説で通俗性が濃くても、何版も重ねるほどのベストセラーであり続けるのだろう。 物語の筋を面白いと思い、展開を追うも良し、奥に秘められているものを知るのも良しであった。 ヒロイン陽子をめぐる物語はわが子を殺した犯人の娘を養子に迎える異常性、継子いじめ、数奇な運命、波乱万丈、急展開があって厭きさせない。何もこんなにこねくり返さなくてもと思いながらも引きずられて読む。 そのわけは単に変化に富むあらすじのみの興味ではなく、キリスト教の教示する「原罪」の意味をやさしくわかり易く表しているから、おおよその理解ができるということである。 欧米の書物は古今キリスト教に裏打ちされている、いまいち理解に苦しむわたしはこのようにわかり易くしてもらうと有難い。 その証拠に流行っている『カラマーゾフの兄弟』の新訳を読み始めたが、前よりよく理解出来るようでちょっと感激してしまった。3年前に(旧来の訳)読んだ時はミステリ風の殺人事件に興味がいって、宗教的部分は飛ばして読んでたのではないかと思える。 また、作家三浦綾子は『カラマーゾフの兄弟』を意識して『氷点』を構想したのではないかとひらめいてしまった。もちろん大古典名作の『カラマーゾフの兄弟』はその後の文学に影響を与えたのは当然、他にもたくさん触発された作品があるのだろう。 『氷点』を読むなら、正続あわせてがよいと思う。 ところで、100年間のベストセラーをおもしろく切りまくっている岡野宏文・豊崎由美の共著『百年の誤読』には『氷点』がぼろっかすにやっつけてあって、「何も今読まなくていい」とまで言い切っているのを思い出した。 でも、わたしの経験では『光あるうちに』三部作→『氷点』正続→『カラマーゾフの兄弟』はキリスト教の一端がわかるお薦めのコース。もちろんわかりたい人にだけど。
2投稿日: 2021.08.17
powered by ブクログ素晴らしい!最後まで黙々と読むことが出来た。こんな小説こそ、芥川賞、直木賞を受賞すべき。久し振りに純文学を堪能した気持ち。有賀さん、ありがとう!前編があまりに衝撃的だったので、この続編は物足りなかった。「相手より自分が正しいとすつ時、自分を正しいと思うことによって、いつしか人を見下げる冷たさが心の中に育つ」は陽子だけではなく自分にも当てはまると感じた。
0投稿日: 2021.06.28
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どういう帰結になるかなと思っていたら、こういう終わり方か〜、、なんとも言えないな。本当はすっきりハッピーエンドで終わって欲しかったけど、つくづく辛い身の上の陽子、、、 「続・氷点」は、人への「赦し」や「裁き」について考えさせられるものだった。たまに聖書から引用や牧師さんの言葉が出てきて、なるほど聖書を読んだり教会に通ったりするとこういうことが分かるんだなと思った。 「人のことを責めたり裁いたりしていいのは、罪のない人間だけ」というようなことや、「人は皆自分のことが正しいと思っていて、考えが違う人間のことは見下している」など、なるほど確かに、私も人のことをどうこう言える資格はないなと思ったり。 「愛とは感情的なものではなく、意思的なもの」といった啓造の言葉や、「たとい、わたしが自分の全財産を人に施しても、また自分のからだを焼かれるために渡しても、もし愛がなければ、いっさいは無益である」という聖書の引用も、とても印象的だった。
9投稿日: 2021.05.27
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大学で陽子は三井恵子の息子、達哉と遭遇する。 達哉は自分の母親と陽子がそっくりであることに 疑問を抱く。 北原と徹と陽子の友人である順子が 実はルリ子を殺害した佐石の娘だった。 啓造も夏枝もその事実を知ったが 順子のことを恨むよりむしろ哀れに思っていた。 達哉は執拗に陽子に近づく。 ある日、車に陽子を乗せ自分の母親と陽子が 実の親子ではないかと陽子に問いただす。 陽子が白を切るので、無理やり母親に合わせに行く。 北原は2人の車を追いかけて自分の車を走らせる。 達哉の車に追いつき陽子を下すよう促すが 達哉が急発進したため、足を引かれてしまい、 切断することになってしまった。 陽子は自殺未遂がきっかけで徹のことが 好きだということに気づき始めていたのだが、 この事件がきっかけで北原と結婚することを 決める。 ---------------------------------------------- 陽子は何も悪くないのに、不運が重なって重なって 本当にかわいそう。。 達哉がしつこすぎて本当に気持ち悪い。 実の弟だとしても、決して許されることではない。 最後の三井弥吉からの手紙はぐっときた。
1投稿日: 2021.05.16
powered by ブクログ上下巻と続上からのラスト。 ハッピーエンドとはいえないあたり 現実に近くて良かったのかも。 偶然の出会いが多いけど… 北海道の描写や、古き日本人の美しい所作とかで 良い意味でうやむやにできてた感があった
1投稿日: 2021.03.27
powered by ブクログ順子が好きな言葉 全てのこと相働きて益となる ルリ子のことを知ったのもよかったと。 知らなければ幸せだったことを、知ってよかったと言えるのは、罪を理解して生きることの大切さを言っているのか。 ラストで北原を選ぶに至った思いをもう少し描いて欲しかった。何度読み返しても、まだよくわからない。 愛がよくわかっていないのだろうな。 愛は意志…。
1投稿日: 2021.02.14
powered by ブクログゆるし 読みやすかったけど難しい内容だった。 正しいこと、ってなんでしょう。 生い立ち、が人生に影響を与えている登場人物の気持ちはわからない。しょうがないか。
5投稿日: 2021.02.11
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一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである 心に響くことばが多かった。 氷点も良かったが、続氷点も予想外に良かった(どちらかというと記録しておきたいことばが多かった。)
0投稿日: 2020.05.04
powered by ブクログ“罪”から“ゆるし”へ。 人はそれぞれが考えを持ち、感じ、言葉を発し、行動する。生きていく上で、人と人との関わり合いを持つことになる。それが尊い絆をつくり出すかと思えば、一方では恐ろしい確執を生むことにもなり得る。 けれどもそれは、人が生きていく上で、誰もが避けられないこと。 考えるべきことは壮大かつ深淵。終わりは見えない。 なにが正解かも分からない。 この小説を読むことは、物語の行方を見届けると同時に、啓造や夏枝や陽子、徹をはじめ登場人物たち全てを通して、常に自分にも問われている、問いかけることにもなった。 本シリーズはギュッと濃縮されているけれど、 生きていく限り、人は模索し続け、またそうあるべきなんだろうと思う。
4投稿日: 2020.03.12
powered by ブクログ陽子が昏睡から回復した後の展開。 自分は殺人犯の娘ではなかったが、不義の間に生まれた子どもだと知った陽子が、産みの母親をいかに赦すことができるかという点が主題。 兄徹の勝手な行動と、義弟の達也の直情的な性格に振り回された感じ。 街中での偶然の出会いや、殺人犯の実の娘順子が陽子の友達だったなど、都合に合わせた展開が多すぎた。 人物の心情に焦点を当てた丁寧な筆致はよかった。
0投稿日: 2020.03.02
powered by ブクログ自分の罪を知った時、人は人を許すのか… 罪なき者なんか、存在しない… 存在するのは、自分の罪に気付かない者… そして、自然のみが作り上げる情景を見た時、人は自分の罪を知るのかもしれない。
1投稿日: 2020.02.07
powered by ブクログ内容(「BOOK」データベースより) 心晴れぬまま大学生となった陽子は、ある日キャンパスで実母・恵子の次男・達哉と出会う。達哉は異父姉と知らぬまま、以後、陽子に直情的に近づいてくる。それをきっかけに、陽子を中心とした複雑な人間関係が白日のもとにさらされ、それぞれの罪と秘密が明らかになっていく。そして陽子が恵子と顔を合わせる日がやってくる―。人間の愛と罪と赦しをテーマに繰り広げられた壮大なストーリー、いよいよ感動の結末。
0投稿日: 2019.10.29
powered by ブクログわたしは出自まで遡って罪を感じたりはしないな 知るまでは無実、知ってからは罪となるのは矛盾しているように思うから 神でない我々はどうせすべてを知り得ないのだから、罪であるかどうかは基本的に自分がコントロールし得た事象に関して自分の良心との対話のみで判断すべきだと思う。ただ、自分でコントロールし得た事象に関しても、あの時はああするしかなかったと自分を慰めてしまいがちだけど、罪の意識がないから他者を責めるのだと一貫して説いている。目の中の丸太オチはナチュラルだけど全編通して説得力があってさすがだったな
0投稿日: 2018.02.26
powered by ブクログ前編はひらすら「罪」、「罪」とすべての登場人物が罪という言葉を自らに問いかけていたけど、続編はひたすら「ゆるし」を問いかけ続けていた。 キリスト教という薄いベールに包まれつつ、ゆるし、ということを問い続けていた。それぞれの立場で許し、という言葉の意味も感じ方も度合いも違うけど、それらを超越した陽子の心情が最後の流氷のシーンに表れていた。とても美しい光景。大好きな貫井徳郎の「神のふたつの顔」のラストシーンとなんとなくかぶる。「神の二つの顔」牧師の父と子のラストシーンも「ゆるし」がテーマだったのではないか、と今になって理解できたような気がする。
0投稿日: 2017.12.23
powered by ブクログ上巻を読んでいた間は(続編は蛇足では)と思っていたが下巻を読んで色々納得できた.自分の罪の大きさを実感するからこそ,他人を裁くことから離れて,許せるようになるというのは深いと思った.
1投稿日: 2017.11.21
powered by ブクログ氷点に続く続氷点。こちらは初めて読む。陽子が助かってほっとしたけれど、その先も悩めること山積みの陽子の人生。登場人物も産みの親の三井恵子一家が加わり、さらに人間関係が複雑に。 殺人犯の子ではないとわかったけれど、不義の子を産んだ恵子に対しての許せない気持ち。自分が望まれて生まれてこなかったことに対する悲しみ。自殺後は母夏枝の態度は軟化、父啓造は過去を悔いて徐々に陽子の理解者になる。そして愛を持って陽子を見守り続ける徹と北原。 このまま静かな生活が続くかと思いきや、異父姉弟の達哉の出現で陽子の生活も引っ掻き回され、思わぬ結末になる。この達哉、自分勝手で衝動的な行動ばかりでイライラする。そしてこんな結末とは。 でも最後の最後、どうなるのかはっきり書かないのはもやもやする。さすがにもう続はないだろうし。 氷点での嫌な人ランキング:夏枝、村井、達哉。好きだったのは高木先生、北原、それから辰子。もちろん陽子もだけどいい子過ぎて。順子も同じく。啓造、徹、恵子は良かったり悪かったりだけど、罪深いと感じることも。罪のない人間はいないってことらしいけど。テーマは原罪と赦しなんだそう。結局最後は宗教に救いを求めるしかないのか。
0投稿日: 2017.06.06
powered by ブクログデビュー作’’氷点’’の昼ドラマとしての傑作ぶりに感嘆して、続編を手にとったのですが、登場人物がやたらと増えすぎて(あいかわらず自分勝手な人たちも健在)、しかも、かかわりが表層的で、韓流ドラマばりにご都合主義が多すぎて、とっちらかっちゃった印象。キリスト教っぽいにおいも苦手。それでもラストだけは気に入りましたが
0投稿日: 2017.05.01
powered by ブクログはあー救われない… この本を、ドロドロだったねで終わらせられる人はまだ人間の醜さみたいなものに気付いてないか鈍感でいられる人なんじゃないかなあ。徹の好奇心が全てを引き起こしてしまったわけだけど、元を辿ると啓造だって夏枝だって諸悪の根源になる。つまりは沢山の人間の醜い思いが積もり積もってこんな結末になってしまった。そして最後に怪我を負うのはなんの落ち度もない北原というのもやりきれないよ。なんという現実、という感じだ。 夏枝のように自分の痛みにしか結局は目が向かない人もいるし、人の痛みを自分の痛みのように背負ってしまう人もいる。だからこそ悲劇は起こる。全4冊を通して、どうにもならない世の中のむなしさを伝えられたようだった。最近は忘れがちになるけど、すっきり終わらない物語こそが本当は現実なのだ。 三浦綾子はすごい。人間の無常をこんなにも淡々と分かりやすく書いてしまう空恐ろしさ。ほうたいを巻いてやれないのなら、他人の傷にふれてはならない。そのとおりである。 人間の病状の診断はあっても、ではどのように生きてゆくべきかという処方箋はない。あとがきも響きました。
1投稿日: 2017.04.29
powered by ブクログ罪をゆるす、がテーマなんだけども。お互いにだいぶやっちまった感のあるドロッドロな人間関係をおおむね笑顔で続けていけている時点で、登場人物のみなさんはその域じゃないよなぁ。とずっと思いながら読んでた。哲学的でおもしろかった。
0投稿日: 2017.01.11
powered by ブクログゆるすことは難しい、しかしゆるすことにのみ罪を犯した者は救われる。 物語は、誰も幸せにならずに終わった…
0投稿日: 2016.07.18
powered by ブクログなぜなのだろうと疑問を持ち、自分なりの答えを導き出せる人と、その場の感情でのみ動いてしまう人とでは、長い人生を終える時に大きな差になっていくのだろう。常に相手に過失を見出してしまう習性の人は、その思いに囚われ、冷静に自分を見ることができなくなってしまう。 宗教観が随所に光るが、それがなければ深みのない作品になってしまっただろうし、キリスト教の事はよく知らないが、それでもその哲学が味わい深い。 この本を通して、心に残るは啓造・夏枝夫妻。この二人は実に人間らしく、愚かであり、また純粋でもある。
0投稿日: 2015.12.05
powered by ブクログ学生であった10年以上前に読んだときにも影響を受けた本だったが、今回はさらに心が揺さぶらた。 自分を正しいと思いたい思いが、人を見下げたり、人を責めたりする。 愛のない正義ー まさに、今の自分だと思った。 自分の罪に目を向けずに、自分を正当化しようとしてきた自分。 そのことにきちんと向き合って生きていこうと、心から思った。
0投稿日: 2015.08.04
powered by ブクログ罪をゆるす。 自分に対しては逃げ、人に対しては気にするのがめんどくさい。私はそんな考えしか持っていなかった。 陽子や啓造はもちろん、その他心情の中まで詳細に描かれない人物たち全てがそれぞれに悩み、模索し、変われない自分を嘆く。 陽子はなぜ結末のような心持ちになったのだろう。啓造のカラスと蛇しかり、陽子の流氷しかり。何事からも学び感じることなのか。 聖書からのヒント(命令?)も一因か。 とにかく色々なことを考え、考えさせられた本書に感謝しています。 解説にもあった、人間の分析のみならず、分析の結果からどう生きていけばいいのかまで、踏み込んだ内容に、負けてられない、自分もそんなものを創り出したい、と感じた。
0投稿日: 2015.04.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
達哉の自分勝手さにびっくり。そろそろ物語として終結を迎えてよかったと思う。でも、三浦綾子さんの物語の終わり方って、何か、すっきりしない感じがする。
0投稿日: 2015.01.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
■ストーリーについて 不義によって生まれたことにより、生まれながらにして罪を背負った陽子。父親の殺人によって、子どもながら二罪を背負った順子。それぞれ親に対する憎しみを抱きながらも、様々な人と関わり、最後には「赦し」を選択する。そこまでの起伏に富んだストーリーを「嫉妬」や「復讐」に苦しむ啓造の存在が引き立てていて、ぐいぐい引き込まれていた。 ■テーマについて 「復讐するは我にあり」 聖書にあるこの言葉が求める姿をきちんと描ききった作品だと思った。 人は皆、大小を問わずに罪を負っている。ならば、罪を負っている人間が他人を罰する(他人へ復讐する)権利はあるのだろうか?そのような根源的な疑問に対する聖書としての回答が「復讐するは我にあり」なのだと思った。 ならば、私たちにできることは何か。それが「赦し」なのだろうな。世の中全てがこのような考え方をできれば、現存する問題の多くが解決されそうだが、決してそんなことは起こりえない。だからこそどうすれば「赦し」をできるのか、考えさせられてしまった。
0投稿日: 2015.01.04
powered by ブクログ2014.10.11 続氷点上巻から続く、辻石家と三井家の複雑な人間関係。そして陽子と順子、徹、北原の関係にもドキドキハラハラとしながら読み進めました。 順子の衝撃的な手紙での告白、そして見本林での夏枝の言動、北原の事故…全ての出来事が当人たちに動いて欲しくない方に動いてゆきます。でもそれが人生の辛さであり、また生きる希望にもなり得るのだと思います。 人間とは何か、罪と赦しとは…。 とても重く壮大なストーリーで、最後は希望を感じられる終わり方でした。陽子、徹、北原、順子には幸せになれるはずです。 読後には不思議と爽快な気持ちと、なんとはなしにもやもやとした思いが残りました。でもそれはこの本に対しての思いではなく、自分に対しての思いです。 久々に心が揺さぶられる小説を読みました。とにかくこの本に出会えたことに感謝。こういう出会いがあるから読書はやめられないですね。 何年か後に読み返したとしたら、その時自分はどんな感想を持つか楽しみです。
2投稿日: 2014.10.11
powered by ブクログそれが罪であると意識出来ない罪、原罪について考えさせられた。 自分が正しいと思う時、相手を見下す心がそこにはある。...のように、幾度と自分はどうかと問いたくなる言葉がでてきた。 自分の思想の一つとして聖書に目を通してみたいと思った。
0投稿日: 2014.07.28
powered by ブクログ先が気になって一気に読んだ。 罪を赦すのは簡単なことではないが、囚われて生きるよりは楽な気がする。
0投稿日: 2014.01.20
powered by ブクログ久しぶりに登場人物に近づいて一緒に煩悶するような読書をした気がする。 素晴らしい。何と細やかで行き届いた描写で、息を飲むような展開があるのだろう。しばらくしてから立ち戻らざるをえない。2013年ベスト。
0投稿日: 2013.10.28
powered by ブクログとても読みやすく、日本語の扱いも美しい。本筋ではないが「戦争の本当の恐ろしさは、人を人で無くしてしまうところ」という表現が深く刺さった。
0投稿日: 2013.10.05
powered by ブクログ好きとは感情であり、愛とは意志である 自分が人の命を奪っている間に命を生んでくれて感謝している あなたたちの中で、罪のないものだけがこの女に石を投げなさい 氷点の中でも一番感動した。
0投稿日: 2013.08.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
上巻から一転、下巻は展開が早くなる。氷点で感じたあのスリルをもう一度味わうことができる。 運命は確実に、ある時の1つの決断に左右され、1つの罪は必ず自分に返って来る。氷点を読んで、その想いは私の中でより一層強くなった。 キリスト教でいう罪が頭で理解できている今、この歳だからこそ、原罪だとか物語の意味がよくわかる。それぞれの年代で、それぞれの理解で読むことのできる本だと思った。
0投稿日: 2013.03.25
powered by ブクログ弥吉の話や北原のことも含めて、全体的にすごく重い話でした。 四冊目ともなると、さすがに陽子と啓造の心の葛藤というか哲学が重すぎて途中から疲れる。徹も陽子しか眼中になくて怖いし、夏枝も相変わらず救いようのないほど大人げなくて、読んでいて痛々しい。けど、辻口家で一番人間らしく(悪い意味で)生きているのは夏枝じゃないかと思った。 弥吉の戦争の話も、不意打ちだったので辛い。戦争で亡くなった方の命を無駄にしない為にも、どんな手段を使ってでも侵略は防いでほしいなと思っていたけど、それは戦争を見ていないから言えることなのかもしれない。実際に戦争には行っていなくても、戦争の時代を見てきた人だからこそ書ける話なのかなと思った。
0投稿日: 2013.02.08
powered by ブクログ原罪とは、「生きるうちに知らず知らず背負ってしまう罪」、「罪をそれと自覚できない罪」なのだろう。 そして罪とは、たとえ相手が赦すと言ったとしても、消えることのないものなのだとしたら。 それを「ゆるす」ことのできる存在とはなんなのか。 陽子がその存在に気づいた終幕は、静かでいて劇的。 網走の流氷が燃えるところを、私もぜひ見てみたい。
0投稿日: 2012.09.09
