取り寄せ先：江東区立砂町図書館（受け入れ先:町田市立中央図書館） おそらく、作者の胸中には「警備員＝ガダいのいい男」という固定観念が前提にあってそれを攪乱する意図で「お子さま警備員」をお出しになったのだろうと思われる。 これ自体を否定する意図はないのだが、この攪乱が中途半端になっているのは、ひとえに攻め側（外務省づとめのキャリア組）のお定まりの配置であろう。ここも、「推薦組（国家公務員2種で入省後、上司などからの推薦を受ける形で階段を上がる）」や純粋なノンキャリアとして描くことも可能といえば可能であったと思われる。しかし、最後に受け役の警備員氏が「SP資格」のためのキャリアアップを志す動機付けとしての配置であることも考えるとこの点は痛し痒しなところではある。 続編が出ているようなので、それも見ないことにはなんとも言いづらいのだが、すくなくとも所属階層に雁字搦めになっているというわけではないことが、評者を安堵させてもいるのだが。