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いまこそアダム・スミスの話をしよう
いまこそアダム・スミスの話をしよう
木暮太一/マトマ出版
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総合評価

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    このレビューはネタバレを含みます。

    皆さんこんにちは。今回は、社会科学には興味がある人にはぜひ、一読してもらいたい本について紹介します。 「今こそアダムス・スミスの話をしよう 目指すべき幸腹と道徳と経済学」 木暮太一 著                                             (本について)  経済学の父とも言われるアダム・スミスについては、「神の見えざる手」に表現される、市場の自由に任せれば需要と供給が自然に一致するとする理論で有名です。実は、彼はこの理論には前提条件があることを示していました。この本は、その条件と、アダム・スミスが抱いていた哲学について、経済学者の木暮太一さんが解説した本です。 (内容) アダム・スミスは「神の見えざる手」の理論を記した、「国富論」が有名です。しかし、これには前提がありました。それは、「道徳心」と「信仰心」の2つでした。この2つは「国富論」の前に記された「道徳感情論」に記されています。実は、アダム・スミスは、人々が思いやりの心である「道徳心」を持って競争すれば、「神の見えざる手」によって、自然と需要と供給が一致すると提唱していたのであり、何でも自由にすればよいと述べていたのではなかったのです。その「道徳心」もたらすのが「信仰心」でした。ちなみに、木暮さんはこれを「何かを大切にする心」もしくは「後の世代にも恥じない行為」と解釈しています。 アダム・スミスがこの考えに至った背景は、「道徳感情論」・「国富論」が記された18世紀のヨーロッパが、「道徳心」を無視し、利益を追求することだけに固執し、国民の生活を考えない行為をしていたことが影響していました。彼はこの様子を見て、人々が「道徳心」や「信仰心」を持ち、経済活動をすれば、皆が安心して暮らせるのではないかと考えたのでした。 アダム・スミスは、経済を人々が豊かになる「手段」と考えていました。その「手段」に必要なものを「道徳感情論」・「国富論」で示したのでした (感想)  「国富論」に注目が行きがちなアダム・スミスですが、この本を通して、私は彼の人々のことを思う人間的な一面を感じられました。経済学の経済は「経世済民」と言いますが、この意味は「世を正して民を救う」との意味合いがあるそうです。まさしく、アダム・スミスはこのことを常に考えていたのではないかと思いました。  これまではアダム・スミスを利益の追求しか考えない利己的な人物だと私は思っていましたが、この本を通して、アダム・スミスの印象が変わりました。興味があれば、ぜひ一読してもらいたいと思います。ありがとうございました。

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    投稿日: 2021.12.06
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    アダム・スミスの道徳論から経済論を読み解く本。古い理論だと思っていたけど、現代にもじゅうぶん通じるのだと思った。

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    投稿日: 2015.01.10
  • アダム・スミスが考えた道徳観から経済理論の理解に迫った本

    経済学の父と呼ばれ、「神の見えざる手」で有名なアダム・スミス。 本書は、彼の重要な2つの著作「道徳感情論」と「国富論」を通じ、アダム・スミスが考えた道徳観から経済理論の理解に迫った本です。 アダム・スミスは、「道徳感情論」では他者への共感を必要とする人間像を描く一方、「国富論」では、利己的な行動をする人間像を描いています。 この一見矛盾した人間像をどう理解すればよいのか。 『まずは人間同士が問題なく社会生活を営むことができる「理由」を考え、また人間としてあるべき姿、持つべき道徳観を説いています。そしてその「ヒトとしてあるべき姿」を前提として、経済を発展させる方法を考えているのです』 著者は、「道徳感情論」と「国富論」の原文を丁寧に読み解きながら、アダム・スミスの経済理論は道徳観をベースにしたものであることを、我々一般読者にもわかりやすい形で説明されています。 経済は、「経世済民」の略であり、意味は「世をおさめ、人をすくう」ことです。英語のEconomyもほぼ同義です。 アダム・スミスは、一貫して、「世をおさめ人をすくう」ための人間像と経済理論を考えていたことが、本書を読むとあらためて理解できます。

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    投稿日: 2014.09.27
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    入門書の役割は、難しいがためになる「本物」を読む前の前振りとして、その分野に興味を持たせてくれることにあるのではないかと思います。 本書も、アダム・スミスの専門家からみたらいろいろツッコミどころ満載なのかもしれませんが、私には面白く読めました。 道徳感情論と国富論の原著に進んでみたいと思わせる内容でした。

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    投稿日: 2013.05.31
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    『今までで一番やさしい経済の教科書』など、 数々のわかりやすい経済学の著書を出されてきた、 木暮太一さんが、経済学の父と言われる アダム・スミスについて書かれた本です。 アダム・スミスは、多くの人にとって彼の名前と 「神の見えざる手」 というフレーズはは知っているけどそれ以上は、、、 という存在ではないかと思います。 つづき ⇒ http://ameblo.jp/nakahisashi/entry-11123917687.html

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    投稿日: 2013.02.25
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    同じ内容の繰り返しでページがもったいない。 読者がアダムスミスを誤解していることを前提に、その誤解を解いてやろうという立場で書かれているのでいちいち押し付けがましい。

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    投稿日: 2012.10.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・心の平静 :義務の感覚を強く持ち、自分の中の裁判官に従って生きれば心の平静が得られなくなる。 ・軽薄な人:自分の中の正義が下す判断よりも、世間からの評価を気にしてしまう人。自分の心に背いて安易に正しくない道に進んでしまう人。 ・経済発展に意味はあるかではなく、自分は経済発展にどのような意味を見出せるか。 ・裕福と長期的な幸福感は連動しない。幸福感は一定の水準で横ばいに。 ・富を求めても、不幸が降りかかっても、やがては同じ場所に戻ってくる。それを理解して、本当に大事なものを追求すべき。 スミスの幸福論の結論。

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    投稿日: 2012.07.21