
総合評価
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powered by ブクログ★古びない★1972年の連載の漫画ながら、舞台設定が戦後間もなくということを差し引いても、いま読んでも構成も展開も生き生きしている。下山事件を下敷きに、戦後の混乱を混沌とした一族から描き出す。 子どもと比べて大人の絵が冴えなかったり、蔵の狭く暗い地下で普通に育ったりと突っ込みどころはあるが、一族の面々がそれぞれ異なる事情でおかしくなっていき、最後はやはり暗い穴倉で終わるところは映画的だ。
0投稿日: 2023.10.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
黒手塚作品の白眉、『奇子』を読了しました。狂えし天外家の顛末は、はたして!? 1巻を読んだ時からは想像もつかないくらい、話も大きくなっていって、やはり手塚先生らしさが感じられますね。1、2巻を凌ぐ圧倒的ボリュームと構成に感嘆のため息が出てしまうくらいです。巧緻な伏線や後半の激動な展開、奇子の魅力も相まって、やはり傑作というしかありません。 確かに突拍子のない終わり方だとは思うけれど、それでもここまで夢中になって読めた漫画もそうそうありません。(あとがきで手塚先生が『カラマゾフの兄弟』を言及していて、なるほどなとも思いました。)奇子が閉じ込められてもなお笑って「私、怖くないわ」と言った時の衝撃ったらもう……!! 確かに奇子がこの物語の中なら一番の被害者なのですが、どうしてでしょうか、一番狂っているのは奇子のようにもまた、感じてしまうのです……。 (何回か読んだ後改めて感想を書く予定)
0投稿日: 2021.12.22
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面白かった。最終巻は、波奈夫が父親に、同情からくる愛情は恋愛として邪道か相談するところが印象的だった。あとがきで、続編への意欲を書かれているが、是非読みたかった。
0投稿日: 2020.03.23
powered by ブクログ1〜3巻 やっぱりおもしろい。戦後の昭和という時代の暗部を田舎村を舞台に炙り出すというストーリー設定が秀逸。奇子を中心として絡み合う複数の愛欲(っていうと土曜サスペンス劇場みたいだが)のドロドロさも読んでいて唸らせられる。 20040131
0投稿日: 2018.10.15
powered by ブクログ圧巻なラスト、な最終巻。本当に最後のシーンは面白かった。誰もが奇子を愛していたし、疎ましくも思っていた。そして誰も罪のないものはいなかった。死んだ者が正しかったのか?それもまた違うなぁ……
0投稿日: 2016.10.22
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閉じ込められていた土蔵が壊され、行き場を失った奇子は、自分に金を送り続けていた祐天寺富夫を探して東京に出てくるのだが……。 江野正の轢死事件から既に20年以上過ぎたものの、その影はふたたび仁朗の周囲にまとわりつくのだった。
0投稿日: 2014.09.28
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図 ラストは途中まではドロドロのグチュグチュだったので思いのほかあっさりとしていた。 奇子の今後を追った作品は結局描かなかったのかな? 仁朗と下田波奈夫が奇子を奪い合い殴り合うシーン、いきなり絵が変わったので、『明日のジョー』の一部をコラージュしたようにしか読めなかった。 でもこれ絶対に意識している。 ジョーを、たいして読んでいない自分でもわかる。 線が太いし、効果線もソレににしか思えない。
0投稿日: 2012.04.20
powered by ブクログ手塚治虫がヒューマニストだなんて 誰が言ったのだろう。 この人の作品を読めば読むほど 実は結構なへそまがりだったのではないか、 という気がしてくる。 昭和20年8月15日に終結した戦争は 日本という国家と国民の概念を根底から 変えてしまった。 それに追随するもの、反発するもの、様々な思想が 渦巻く中で人々は生きていかねばならなかった。 『奇子』はそんな混乱と葛藤のまっただ中に生まれ、 とある理由から22年監禁されてしまった女の話である。 戦後に実際に起こった事件を絡め、 天外家という歪み呪われた一族を通して 物語は展開する。 田舎の権力者の一家という設定が巧い。 田舎独特の人間関係の嫌な空気が全体を覆い、 物語に深みを与えている。 読んだ後、その後の奇子の人生に思いを巡らせた。 どのような形にせよ、きっとあまり幸福とは 程遠い人生を送ったのではないか、 ふとそう思った。
0投稿日: 2010.10.08
powered by ブクログ塔に閉じこめられたお姫さま萌えというのは誰にでもあります。 こちらは独りぼっちで土蔵に閉じこめられた少女、その年月なんと二十三年。 日の当たらない地下の部屋で日に日に美しく真っ白に育っていく少女の肉体という感じの非常に耽美のかおり漂うお話で、手塚先生も奇子萌えはすべからくあったのではないかと思われますが、戦後傾いていく地方地主一家のゆがみと悲惨というのがメインテーマでなので、あまり萌え萌え言ってはいけない。こっそり言いましょう。白痴萌えというものもありますが、土蔵の中に忍び込んでくる実兄との愛を貪る奇子、蔵を抜け出た後、蒸発していた実兄、またそれを追う刑事の息子のどちらも愛し、寝ようとする奇子。この奇子のものすごいまでの慈愛と空虚となまめかしさはストライクであるはずなので、暗くて、陰惨で、耽美、エロティック、おとぎ話に出てこない塔のお姫さまが見たい方には一読の価値あり。 確か自分はコンビニ版で初めて知ったはずなのですが、昼ドラなどにしたら間違いなく面白かろう、少なくとも私は見ますよというかなりスキャンダラスな内容。史実の事件も元にされていたはずです。 これ3巻なのですが、作品の雰囲気的にはやはりこの表紙。
0投稿日: 2009.07.31
powered by ブクログて・・・手塚なのになんかエロい! でも中身の濃さは相変わらず。 手塚治虫すげぇ、なんでも描けるんだなぁ。
0投稿日: 2009.07.18
powered by ブクログこれは前から読みたかった一品。 悪を行いながらも罪悪感を感じる人間。 自分は正義だと思いながらも、結局自分の身を守ることに精一杯な人間。 愛をはきちがる人間。 いろんな不器用な人間が登場してた。
1投稿日: 2008.06.15
powered by ブクログ霜川事件、三鷹事件、松川事件をうまく織り交ぜつつ、戦後史の裏面を鮮やかに綴った手塚治虫の裏代表作のひとつ。どこまでもどこまでも暗い話に関わらず読者をまったく離さないのは、確実に漫画の神様・手塚治虫の力の成せる技です。文庫本に収録されている橋本治の解説「少年だった大人はグロテスクを獲得することが出来るか?」も必見(『奇子』に触れられているのはごく一部ですが)。
0投稿日: 2008.04.24
powered by ブクログ大戦後の閉鎖的な村を舞台として、テーマとしてはかなり陰湿で異様なものなのだけれども、手塚治虫が扱うと見事に芸術的な作品に昇華してしまう感じがする。 変質的な人はいつの時代にもいたし、猟奇的な事件も昔からあった。むしろムラ社会のほうがそういったことは日常的にあったのかも知れない。
0投稿日: 2004.03.01
