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陽だまりの樹(1)
陽だまりの樹(1)
手塚治虫/手塚プロダクション
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総合評価

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  • 手塚治虫のルーツを元にしたオリジナル幕末史

    幕末を扱った物語は枚挙に暇がなく、新撰組、坂本竜馬、西郷隆盛、最近だと新島八重(八重の桜)などを扱った作品が多いが、本作は手塚治虫の実在の先祖「手塚良庵」を主人公の一人に置いた、史実をベースにしたオリジナルの幕末史だ。 坂本竜馬、西郷隆盛、勝海舟、タウンゼント・ハリス、福沢諭吉、橋本佐内、堀田正睦など、時代を動かした人物はでてくるが、主人公は、一介の江戸の町医者、手塚良庵と下級武士の伊武谷万二郎の2人。初期は時代のうねりと大きくかかわることもなく、江戸の町内での人情もの、というくらいの話の規模である。 ところがそこはさすがは手塚治虫、巻を重ねるにつき、、庶民の日常描写が「庶民ですら大きな時代のうねりに飲み込まれた激動の時代」のダイナミズムを生むための前段階であったことに気づかされる。自分の力ではいかんともしがたい運命に翻弄される様は、時代を超えて、年齢を重ねると誰しも思い知らされる予期できない理不尽な出来事を思い起こさせ、ページをめくる手が止まらなくなる。 戦争、友情、愛情、といったテーマに加え、自分が一番惹かれるのが「異なる考えや思想を持った人たちとどうやって折り合うか」という点だ。とりわけ、異人をことさら拒んでいた万次郎が、ハリスと通訳ヒュースケンの護衛に抜擢され、ヒュースケンと打ち解けていく描写が好きだ。 こういった誤解や思い込みと融和、そして対立が、重層的に複雑に絡み合っているのが本作の一番の魅力だと思う。 手塚治虫後期作にハズレなしです。

    4
    投稿日: 2014.04.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    図 手塚境遇の感情的に突っ走るところや境遇なんかは坂本龍馬に近いのかもしれない。 幕末って舞台設定はなんとなくドキドキするよなー。

    0
    投稿日: 2012.09.09
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    <全11巻通してのレビュー> 面白く一気に読める。 無骨で真面目な下級藩士である万二郎と遊び人の蘭方医である良庵の二人が主人公。幕末という時代で、開国、徳川崩壊という変局に直面した武士と、漢方医が主流の中で西洋医学の有意性を説く医師、という性格も置かれた立場も異なる二人がこの時代ならではの、己の生き方に葛藤し成長して行くストーリー。 西郷隆盛や勝海舟の様な強運でドラマチックな展開もなく、盛り上がりに欠ける為、手塚治虫作品にしてはメジャーにならなかったのも理解できる。 しかし、実在の人物を題材にしているだけあって、都合良く思い通りに進まないのが返って良い。想い人とは添え遂げられす、望まぬ結婚をしたり、気の進まない軍医になったりと、ちっとも上手くいかず散々だ。だからこそ、とても現実的で、志を幾ら高く持っても英雄になれなかったこの時代の多くの志士達の人生が伺える。それだけに余計に奥深く心に残る。

    0
    投稿日: 2012.05.11
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    1981年から5年半に渡って連載された歴史長編。幕末好きの僕にとってはそれだけでも愛すべき作品なのですが、見事すぎる物語の巧みな構成と登場人物それぞれの魅力(義理に生きる伊武谷万次郎と人情に生きる手塚良庵の対比をはじめとして)を通して、最も好きな手塚治虫作品のひとつです。 終盤、おせきさんに最期の別れを告げに行ったあとの万次郎の無言の2ページがいかに雄弁に万次郎の心境を物語っているか。これからも、この作品を読み返すたびに手塚治虫の偉大さを思うことでしょう。

    0
    投稿日: 2008.04.28
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    このシリーズも途中から購入しだして、単行本の出るのが楽しみだった記憶。手塚先生のルーツを探るのと、幕末の人間ドラマがダブる。思えば、どんな人にもルーツがあって、教科書の歴史の時代にも、自分の親の親のそのまた親の…人たちが名も無く、生きていたわけだ…

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    投稿日: 2008.04.12