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B.A.D. 13 そして、繭墨は明日もチョコレートを食べる
B.A.D. 13 そして、繭墨は明日もチョコレートを食べる
綾里けいし、kona/KADOKAWA
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総合評価

4件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

     この巻は小田桐さんに今まで以上に向き合う内容となっていました。  小田桐さんと繭墨あさとは最初からお互いを意識し合ってはいたけれど、協力する事はあり得ない様な関係性でした。けれど、漸く2人で協力する様な普通の関係性へ変わる事が出来たと思います。  小田桐さんと繭墨あざかは反りが合わないと毎回の様に書かれていましたが、それを最後まで貫き通しましたね。繭墨あざかが運命に屈する事を認めない、とは滅茶苦茶な言でありながら、彼女を何が何でも救おうとする小田桐さんらしいとも思います。  小田桐さんと雨香に関しては最後の最後まで親子であろうとし、本来なら不可能な親子である事を貫き通した印象です。親ならば子を愛するという感情は正しくはありますが、子が鬼で自分を食べようとしている状況でも貫き通せるのは小田桐さんくらいなのだと思います。

    0
    投稿日: 2025.08.15
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    この最終巻は小田桐が認められなかっためでたしめでたしの物語をどうひっくり返すかが要点なのだけど、それは言ってしまえば小田桐が救われる可能性に背を向ける構造にもなっている あざかが居なくなってもあさとが腹を塞げる、紅い女の影響は徐々に消えるから小田桐は何とか日常に戻れる。そうした平穏を壊してあざかを取り戻そうとする 作中にて定下があざか救出に反対するスタンスを取るけれど、落ち着いて考えれば彼は何も間違っていないと判る 誰がどう見たって小田桐は破滅への道を突き進んでいる その端緒が描かれたのが七海や雄介との大食いかな ぱっと見であれば、日常生活の象徴である食事を通して自分が生きていると感じ直す行動と捉えられる でも、そのような行動が必要になった時点でこれから死と直面していくのだろうとも捉えられて 綾の事を朧気に覚えていた結奈が再登場したけど、そうした意味ではあそこで小田桐とも出会った事を結奈は記憶に残すのだろうと、そう思えたよ けれど、腹に鬼を飼っている以外は普通でしか無い小田桐が異界へ行くのは難しい。そうして協力を求める相手先となったのがあさとか かつては小田桐を騙して唆して罠に嵌めて幾つもの地獄に突き落とした張本人。小田桐が彼を助ける事は有っても、彼が小田桐を助けるなんて想像するのは難しい ならば、小田桐に求められるのは今度こそあさとを正しく救う事だったのかもしれない 繭墨の家からは解放されても何がしたいという訳でもない、あれほど憎んだあざかも異界に堕ちてしまった。彼が自己の存在を感じられるのは相変わらず他者の願いを叶える瞬間のみ。けど、彼があざかの次に執着した小田桐は彼に何も願わない だから小田桐が彼に促すのは彼自身の意志による行動となるわけか。その為にした小田桐の行動は本当に愉快痛快だったよ。「ここから出してみせろよ」と言われて家を破壊してしまうなんてね あそこまでされたら閉じ籠もった心地で世を斜めに見るのも馬鹿らしいというもの。遂に遂にあさとと小田桐の協力関係が成立したわけだ そして、描かれるはあさとと小田桐による最初で最後の事件。それは陰惨と云うよりもおぞましさばかりが詰まったエピソードでしたよ…… 巨大な花が支配する屋敷を右往左往して集めるは誰かが忘れた肉体…。それは異界とよりも死界を近く感じてしまう空間 そもそもこの巻で描かれるのは小田桐が少しずつ己の死に近づく物語だったとするならば、そのような死界を彷徨う事で小田桐は死に誘われていたとも言えるのかもしれない 出会うは雨香の出来損ないのような白い子供に己の命を諦めかけた繭墨あさとの姿 それはかつてあざかが死んでしまったと小田桐が勘違いして自身の命を投げ出そうとした場面を再現するかのよう。だからか、あさとを助ける為の行動は小田桐の死に直結するわけだ StoryⅢで描かれるのはまるで今生の別れのような逢瀬ばかり 必ずしも協力関係とは言い切れない定下と互いを認め合うのに始まり、次は小田桐と深く関係を築いた者達との再会。けれど本題は白雪への誠意であり告白であり別れとなるのだろうね 白雪に話す小田桐勤の顛末。それは普通に過ごしていた少年が鬼を孕んだ為に人間で無くなったお話。だから、彼が巡る場所で人間らしい何かに出会える事は無いし、一線を越えかけていた降霊会の少女を恐れさせるにも事足りる地獄も見せられる もはや小田桐勤は人間ではない。そうなった段になってやっと白雪に想いを告げられるなんてね… あまりに遅すぎる告白だけれど、これから小田桐勤という存在を閉じるにあたって整理しなければならない生きた意味。彼女を愛して、彼女に愛された事は小田桐勤が生きて得られた最も大きな意味と言えるのかもしれない… もう一つの面として印象的だったのはあさとが言うように小田桐こそ運命の中心だったという点かな。当初の小田桐はあざかの後ろをついて回る金魚のフンのような存在と認識されていた それが多数の人間と関わり、相手を助ける事を無茶な程に諦めなかった為に雄介等の運命も様変わりした。小田桐があざかやあさとに出会った事で運命が変わったなら、彼らも小田桐に出会って運命が変わったと言える その中にあさとまで含まれているのは何とも言えない話なのだけどさ あさとまで変えられたなら、きっともう一人変えられる。繭墨あざかの運命だって変えられる。というより、あざかが大嫌いだからこそ、紅い女程度で運命を閉じようとする彼女が気に入らない 運命の終着点が決まっていた繭墨あざかを諦めない心一つで動かしてみせた彼は本当にとんでもない事をしてみせたものですよ けれど、もっと凄い事をしてみせたのが雨香となるわけか 鬼として育ちきり食欲に負けそうになっていた彼女は最後の最後に小田桐を愛する心に拠って己の運命を変えてみせた。異界で一人生きるしか無かった運命を変えてみせた 雨香の決断は小田桐だけでなく、己を、そして紅い女すら救うものだね。小田桐の娘として育てられた鬼は小田桐と同じように近くにいる誰かを助けられる存在となっていたのだと思えたよ 春は戻ってきて、小田桐も元いた場所に戻れて その上で彼が選ぶのはあざかの元を離れた生き方か… 最後まで小田桐はあざかを理解しなかったし、あざかは小田桐の言葉を聞かなった。相方と呼ぶには色々と不十分な二人はそれでも運命に拠って結びつけられていた だとしたら、小田桐が自分の意志であざかと共に過ごさない別の生き方へと踏み出せた点はこの物語の中で得られた最も尊い価値の一つであるように思えたよ 最終巻として述べたい感慨は色々有るのだけど、そういった纏めは流石にチョコレートデイズ4を読んでからにしようかな

    5
    投稿日: 2025.03.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    異界で紅い女の手中に入った繭墨、そんな繭墨を取り戻す決意を固めた小田桐。自力では異界に行くことは出来ないため、あさとに助力を求める。小田桐は目的を果たすことが出来るか。 最終巻でボローニャ負けした紅い女とどう決着をつけるかと思ったが、平和的な解決が出来てよかった。そして、異界に行くまでが長かった。そして行くためにあさとと怪異に挑むことになるとは思わなかった。小田桐と繭墨はもちろん、あさととの組み合わせも好きだ。繭墨以上にあさとと一緒の方が小田桐は素が出ていて容赦ないし、砕けている。なので2人で行動するのは個人的には楽しめた。ただ、異界に下りた後の描写が短い。紅い女に関しては恐ろしさはよく分かっているので、孤独感やどうしようもなさ、やるせなさを書いて読書に共感を促して欲しかった。

    0
    投稿日: 2021.12.22
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    シリーズ本編最終巻。「紅い女」とともに異界に姿を消した繭墨を取り戻すため、小田桐はあさとのもとを訪れ、彼の協力を得て、もう一度異界へと向かうことになります。 前巻のときにも感じていたのですが、あさと編の結末と展開が重なっているように感じました。そのせいか、やや間延びした締めくくりになってしまっているような印象で、ちょっと残念です。とはいえ、最後まで甘さと優柔不断さを貫き通した小田桐には、もやもやした気分を残しつつも、やはり天晴れと言うべきでしょうか。

    0
    投稿日: 2016.07.14