
告白(上)
ジャン・ジャック・ルソー、桑原武夫/グーテンベルク21
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総合評価
(1件)5.0
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夢を飛び越えた少年…。
あるところに心の綺麗な少年がいました。彼は小説的事大主義を好み、母性と愛情を求めて様々な街を漂い、貴婦人の庇護を受けながら教養を積み、経験で器を満たし、やがて華の都パリでの成功を勝ち取るのでした…。 …現実は小説より奇なり、です。 よく言えば、当時の貴族社会と貴婦人、芸術礼賛者にこれでもかというほど成功した芸術家の心情を暴露した私小説的芸術の死を宣告するルネサンス文化の総清算であり、太宰の人間失格や、大江の死者の奢りに類するものです。 悪く言えば、ルソーが言った"自然人"が不自然な社交界へ突き付けた自慢であり、驕慢でもあります。 フランス革命を待たずに社交界を遊泳しながら共和主義を礼賛したルソーならではの作品でしょう。 ただ、ルソーの遊泳術はあまりに上手すぎますが…。 星5つ。
6投稿日: 2016.08.27
