
総合評価
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powered by ブクログある土豪の村の住民が一夜に全て消えてしまう。 っていう説明にミステリーかなって勘違いをして手に取った。 いや作者が飯嶋和一さんなので、ミステリーとかSFじゃなく歴史小説だよね、とわかっているんだけど。 序章から二章の途中まで一体どういう話なのかピンとこないまま読んでいて、 私ったらまた背伸びして難しい本に手を出したかな?と後悔し始めた頃、 急に話が動いて、 これはボケ〜っと読んでたらいかんヤツや!となって再び序章から読み返したw 長い間、隠蔽された出来事だったらしいです。生瀬の乱とかって検索したら出てくるんですが、wikiじゃなくこの小説をぜひぜひ読んでみてほしいと思います! 抗えば一村亡所、見せしめか粛正か 女子ども老人もすべて撫で斬りという 凄惨な事件。 興味深くて面白い。 読み応えたっぷりでした。
20投稿日: 2025.10.21
powered by ブクログ時は、慶長七年。 所は、常陸国小生瀬。 村人三百五十人余が忽然と姿を消した。 幕府による年貢増加と百姓による対立。 ここまで、根深いのかと愕然とした。 無いものは出せないでは済まされない。 それを、ただただ、受け入れるしかなかった時代に恐ろしさを感じた。
1投稿日: 2018.09.12
powered by ブクログどうにもこうにも、あわないの一言に尽きる。 文章が読み辛くて、繰り返し読んだり、 前に戻って読んだりと苦労して読んだけど 結局頭に入ってこなくて、途中で挫折。 事件は何故起こったのかと、すんごく気にはなるが なんとなく途中で分かっちゃったから、 読み終わったことにする。 相性ってあるのね。
0投稿日: 2016.08.12
powered by ブクログページ数の割に中身が濃く、読み応え十分、というより前半は読み進めるのに一苦労。悲劇に突き進む後半は一気読み。重く、切なく、やり切れない読後感。藤九郎の最期のメッセージが心に残る。
0投稿日: 2016.08.02
powered by ブクログ土地柄と、時代性と、若い愚かさが引き起こした悲劇だ。こういう悲劇が普通にいつの時代もあったのだろう。ひとつの集落の悲劇は歴史の中では派手な出来事ではないけれど、そういう弱い立場にある人たちに寄りそう姿勢がとても好きだった。とくに、戦いをさけるなら同じくらいの犠牲が必要になるのだという残酷な指摘に考えさせられた。時代は変わり、神は死ぬ。『ともかくも生きることだ』
0投稿日: 2016.06.18題材こそは江戸時代の一村亡所(小生瀬村)を扱っているが、現在にも通じるテーマ。それにしても重いストーリー。
飯島氏の小説は、いずれも読み応え十分。徳川幕府・黎明期の一村亡所(為政者の言いなりにならないところは、村中を無きものに)を描いたものだが、“従わざるもの”を従えようとする際に双方の少しずつのズレが積み重なり、大きな諍いに発展することは、現在の地域紛争にもそのまま通じる。全体のストーリーは相当に重たいものだが、所々に挿入されているエピソードに助けられて、重ぐるしさを相殺するように進んでいく。藤九郎があっけなく亡くなるのは残念だが、その後登場する直次郎のエピソードが秀逸。『雷電本紀』『出星前夜』を積み読しているが、これらはもう少したってから。
2投稿日: 2015.10.31
powered by ブクログ重い。 重厚と言うのともちょっと違う、ただひたすらに重い。 一村三百数十人の皆伐という背景の事件の重さもあるのですが、文体や一人一人の登場人物をじっくり描き込んでいく手法も重く。それが飯島さんらしさなのですが。 歴史の片隅の事件ですし、さほど資料が多いわけがないのですが、乏しい資料から矛盾無く。確かにそうだったんだろうなと読者が納得できるようなストーリーにまとめて行く力量は大したものです。 ただ、ひたすら重苦しい雰囲気には少々辟易してしまいましたが。
0投稿日: 2015.09.09
powered by ブクログ読み始めは結構辛い。 ガチな文体の歴史小説で物語が どう進んでいくのかわからず 手探りな状態で序章を読み終わるまでが ある意味最大の山。 時系列を遡る形で進む第一章以降は、 序章で提示された謎の解明がされていく という意味でも、文体への慣れという意味でも 読み進めるスピードが加速していくし、 本作がなぜ評価をされている作品なのかを 実感する。
0投稿日: 2015.06.30
powered by ブクログ刊行直後に買ったのだが「読むのは後回し」と決めていた。もちろん怖かったからだ。江戸初頭に記された古文書の記録から飯嶋和一は真実を炙(あぶ)り出す。300人にも及ぶ老若男女が殺戮された事件である。 http://sessendo.blogspot.jp/2015/03/blog-post_26.html
0投稿日: 2015.03.26
powered by ブクログ転がり落ちる流れを止めることは一人の人間にはできない。 それでもただしいことを行うことは勇敢でもあり無謀でもある。
0投稿日: 2014.11.30
powered by ブクログなんとも読後感の悪い小説。今時の小説って勧善懲悪的なというか、水戸黄門的な終わり方のものは減った。ただ、なんらかの未来への希望がもてる結末であったり、たとえ主人公が死んでも、なんとなく読後感が爽やかだったりする。ところがこれは全く違う。史実から紐解き、飯島和一流の味付けがあったからこそ読めたが、でなければとても読めたもんじゃない。おもしろくないという事じゃなくて、人々にはなんの未来もなく、そしてただ死んでいく。どん詰まりに追い詰められて死んでいく。悪を蹴散らすスーパーヒーローなんて一切でてこない。お上に逆らう村の住民数百人が、老人・女・子供にかかわらず、みんな殺戮されていくという結末だ。年貢を納めない農民には死を。これがその当時の現実だったんですね。結局村は滅んでしまう。現代は人口減で滅んでしまう村が続出だけれど・・・
0投稿日: 2014.10.12
powered by ブクログまず結末が提示され、「どうしてこうなった?」を紐解く、ミステリーにもよくある手法。 そしてそこらのミステリーをはるかに凌駕する怒涛の展開。 時代小説を読みなれてない人は最初はとっつきにくいと思いますが、なんとか序章は読みきって下さい。その後止まらなくなります。
0投稿日: 2014.04.26超ド級に面白いけれど、重い
慶長七年、常陸国の小生瀬にて、村人約三百人が一斉に消えた。 この地へ派遣された大藤嘉衛門は、囲炉裏の灰やお供え餅の様子から数日前までは確かに村が機能していたことを確信する。 そして地元民から聞き出した山道にある「カノハタ」で、遂に夥しい数の死体を発見した。 果たしてこの村で一体何があったのか―――といった出だしです。 導入こそミステリー仕立てなものの、それ以降は完全な歴史小説です。 出だしで既に語られた通り、結末は文字通りの村民皆殺し。 これは一言で言うと、一揆の物語です。 ただ一揆の理由が税率の高い年貢に不満だから~というような、時代劇でよくあるタイプのパターンではなく、戦国時代の名残を色濃く残した半農半士の土豪蜂起による新体制(=江戸幕府)への反発的カラーも含んでいるところが異色。 一方、読み進めるほど、こちらの胸はどんどん重くなります。 全ての条件が悉く悪い方へ悪い方へ転がっていくので、まさに奈落へ落ちていくように小生瀬の運命が定まるのを見るのが辛いです。 でもストーリーテリングが絶妙で、先が気になって仕方ない展開であることも事実。 正史では語られない史実を掘り起こし、それにここまで迫真の肉付けを施した物語に呆然となった一冊です。
5投稿日: 2014.04.05悲劇のスパイラル
悲しいまでの悲劇のスパイラル 美しく気高い魂 ぜひ 読んでください
1投稿日: 2013.11.10
powered by ブクログまず、藤九郎と直次郎萌え。 歴史に興味のない私でも、ぐいぐい読めた。詳しい人なら倍以上おもしろいんだろう、と思う。 登場人物が、皆魅力的。 なのに、それぞれが己の想いで動いた結果、最悪の事態となっていく。 荻原規子さんの勾玉三部作で育って、もう良い大人になってしまった方にオススメしたい。
0投稿日: 2013.07.26
powered by ブクログ江戸時代が舞台の歴史小説って普段あまり馴染みないから苦労した・・・。正確な背景知識がないとなかなか難しい。隠田検地のシーンなんかはシリアスで良いね。
0投稿日: 2013.07.07
powered by ブクログ久々に面白い歴史小説を読んだなぁ。 悲劇的な結末に物事が収束していく様子を描いていて、読後感は「救いの無いもののけ姫」のような感じ。物語自体は、徳川家康の治世がまさに始まろうとしている時代の史実にある事件をあつかったものなのであるから、劇的というよりは淡々とした悲しい話である。しかし、人と自然の生活がまだ切り離されていない時代を異常なまでの細かな描写で描いていく筆力でグイグイ引き込まれて最後まで一気に読んでしまった。
0投稿日: 2012.12.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
始まりは、つい先程まで人がいた気配がありながら、人っ子一人消えてしまった村というミステリー風でありながら、読み進めて行くと一つの村を襲った惨劇となり、さらに読み進めていくと、戦国から江戸へと変わっていく社会や、文化の狭間にある人々の葛藤が悲劇へと至る過程が身に迫る筆致で描かれていて、目が離せなくなりました。 弥三郎は逃げ切れたのかが気になるなぁ。
0投稿日: 2012.10.19
powered by ブクログ史実を基にしてこれを書いたなら相当この作者、つわものだと思う。 最初は人物も状況もよくわからないままだけど、 途中から流れがつかめてくると、全容が一気に駆け抜ける。 そして最初のシーンに戻るという驚愕の小説。 人の欲の尽きるところなし。 どの時代もそこは一緒なんだなと実感させられる。
0投稿日: 2012.07.15
powered by ブクログ太平の世を築き上げようとする江戸初期の裏歴史。徹底した封建制度のなかで、消えていったのは誇り高い百姓たちだけではなく、神もまたその一人だった。 とにかくやるせない読書だった。誰かが大切にしているものが踏みにじられていくのを読むのがこんなに辛いものだとは。途中でもう何度もやめようと思ったが、最後までなんとか読み終えた。HPが大幅に減った気がする。
0投稿日: 2012.03.24
powered by ブクログその時代に迷い込んだような臨場感。土台が揺るがないからこその重厚さは圧巻。これだけの物語が、初版のまま書店に並んでいた事実が何より勿体ない。
0投稿日: 2012.03.12
powered by ブクログ戦国末期、ヒエラルキー下部に位置づけられてしまった農民たちの、その溢れる生命力ゆえの戦いと弾圧の軌跡を描いた力作。倒叙的に結末が見えているせいか、ただただ読み進むのがつらい(決して読みにくい文章だという意味ではありません。念のため)。口伝も記録もほとんどない日本の片隅の小さな史実から、よくここまでの物語をつむげるものだと驚嘆します。
0投稿日: 2011.12.15
powered by ブクログ途中まで何が起きるのかワクワクしながら読んでただけに、どーしても「あぁん?」っていう疑問はぬぐえない…。 役職とかその辺の設定を頭に叩き込んでもっかい読み直したらば、印象も変わるかもしんない。 とかって言うけれど、黄金旅風よりは読みやすかった。
0投稿日: 2011.12.03
powered by ブクログ恩田陸先生が絶賛しておられたのだけど、結末のすごさが今一つよくわからなかった。 またじっくり読み返したい。
0投稿日: 2010.09.06
powered by ブクログ網野善彦さんの本を読んでたら、この小説のことに触れていた。 冒頭から、山のなかの特殊な地帯、網野さんの言葉でいうところの「アジール」が出てくるからだ。 定住性の平地人たちによる土地支配、民衆支配の論理の外にあった中世の村が国家統一の流れのなかで、葬り去られる物語。 これと同じ哀しい物語が、実際にはどれだけあったのだろう。 たぶん、日本中で起きたことだったのだろう。 支配者側の書き残す歴史から抹殺された、数々の悲劇を思い、なんともいえない重みを感じる小説。
0投稿日: 2010.08.16
powered by ブクログ誇りを守るために死ぬべきか 苦しい暮らしとなっても生き残るべきか。 戦を経験したことがある者とない者とでは 命に対する捉え方が全く異なっている。 これは現代でも言えること。 最初は辰吉の愚かさに全く気がつかなかった。
0投稿日: 2010.08.16
powered by ブクログキャラクターがあまり前面に出て無くて、淡々とした感じだけど、すんごく面白い。 史実に基づいてる点も興味深かった。
0投稿日: 2010.06.11
powered by ブクログ冒頭の強烈な血生臭さに圧倒され、手が震えた。 衝撃的な作品は「歴史小説」に非ず、「記録」であろう。 言葉が不慣れなのもあるが、これほど一語ずつ噛み締めて読んだ作品はない。 ああ、本読みでよかった。
1投稿日: 2010.06.11
powered by ブクログ戦国が終わってまもなく起きた小生瀬の一種のクーデターを描く。村民と土俗的な宗教、そしてそれを抑える権力の構図の中で物語りは悲惨なラストを目指して一気に展開する。面白い小説ではあったが、重くて暗い。
0投稿日: 2010.06.05
powered by ブクログ私は読後に唸ってました。なんなのだ!あの見事に突き放されたような終わり方は!坂口安吾は、物語が人を突き放すことについて書いているが、まさにこの本はそれにふさわしい。暗い。とことん暗い。そしてすさまじい重量。こんなの二度と読みたくない!でもこれもひとつの読書との出会いであり、あり方なんだろうねぇ。 正直、かなり良い体験させてもらいました。
0投稿日: 2009.12.08
powered by ブクログ飯嶋氏の著作全て読んだが今までの最高傑作だ。有名でない史実を取り上げ緻密に書きあげる力量には感嘆を覚える。淡々とした文章ながら熱きものを感じてしまう。
0投稿日: 2009.09.07
powered by ブクログこの作家の作品にはずれは無いんじゃないだろうか。 まだ2作品しか読んでいませんが、どちらとも満点です。 内容は大勢に飲み込まれる小さなコミュニティの無力さを散々味合わされる物語で、一方的に搾取されるということの理不尽さが読んでいてつらかったです。
0投稿日: 2009.05.31
powered by ブクログついさっきまで生活していた痕跡を残して、突然住人達が消えてしまった隠れ里をめぐるお話。 はじめはバラバラだった謎が グイイイイイイっと一つに収束して しかも最悪の格好で完成するという鬱ストーリーなのに 「どうだ!読んだった!」という達成感いっぱいです。 誇り高い隠れ里の住人たちがカッコイイ!
0投稿日: 2009.04.20
powered by ブクログ2007/7 図書館から借りて読んだ。 今のままであらしめたい、というのは皆々おなじはずなのだが、過程で各人の正当化がまじり、できあがったものは悲しいかないびつなものでしかなかったという話。 あえて言うなら主人公は藤九郎になるのだろうが、 『己を灯とし 己を拠とせよ 他のものを拠とするな 真理を灯とし 真理を拠とせよ 他のものを拠とするな』 が、第三章(p.304)で差し挟まれるのは、皮肉に思えた。村のものは皆、もとよりそのつもりで動いていただろう。ただただ、くいちがっていたにせよ。司馬遼太郎の小説は、リーダーたれ、と声高に言い立てているようなごりっぱな小説なのだろうけれど、圧倒的に数が多いのは無常に死んでいく名もないもので、それが書かれている山田風太郎には好感がもてる。と、連れが言っていたことばを思い出す。 ひき比べてしまうと、やはり山田風太郎のほうがおもしろい。
0投稿日: 2007.07.06
powered by ブクログ徳川300年の平安の影にこういうこともあったわけだ。 誰もが良いことだと信じてやっているのに、事態は悪い方へ流れていくのが切ないです。
0投稿日: 2006.09.11
powered by ブクログ重厚で緻密な、石造りの建物のような小説。丹念に削りぬいて積み上げられ、その隙間には紙一枚も入らない。 血なまぐさいあらすじに惹かれて読み始めたが、本を閉じると、物悲しく静かな余韻が残る。
0投稿日: 2006.08.05
