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星々の舟
星々の舟
村山由佳/文藝春秋
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総合評価

336件)
3.8
77
125
90
20
3
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    人が生きるって、正しくばかりではいられない。それぞれに何かを抱えて、つながって、顧みて、生きている。

    23
    投稿日: 2026.01.10
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    久々に、寝る間も惜しんで読みきった。 どの章も良かったが、強いていうなら最終章が一番印象的かな。 慰安婦のことや、戦争中の訓練の詳細が生々しく、衝撃を受けた。 私の祖父は生前、兵役中のことを一切話したがらなかったが、理由がわかった気がする。 謝りたい人に謝れない、 ありがとうを伝えたくても伝えられる術がない、 喜ぶ顔が見たくても、思い出すのは悲しそうな顔ばかり… そんな後悔の中を生き続けていくということ。 これが、遺された者にとっての一番辛いことなんだろうな。 伝えたい言葉は、ちゃんと伝えていこう。 伝えられることは、当たり前では無いのだから。

    0
    投稿日: 2025.12.16
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     暴力をふるう父親であったり、許されない関係の恋であったり、あまり普通ではない一家のそれぞれに焦点を当てた連作短編。両親も子供も、一般論でいえば普通の幸せな人々ではないのかもしれない。ただそれぞれに自分の感情を大切にしていれば、幸せの形はいろいろあるんだ、ということを肯定してもらえる気がする小説。それぞれの章ごとに読みごたえがあって、そして手放しに幸せな話ばかりではないが、ちょっとほっとすることができるような物語だった。

    0
    投稿日: 2025.12.07
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    手についた墨汁の様な本 洗っても容易に取れず、目につくとこに居座り続ける。私がおこした事なのに、腑に落ちない。 痛々しく、心の底の方から揺れ動く心情に私自身が驚く。 叱られれば叱られるだけ、屈折した安堵を覚えた。 君が何ひとつ要求しようとしないことが怖い。似た様なことを言われた。なぜ何も求めてくれない、制限をしない、頼ってくれないのか。何も要求しないと言うことは、僕でなくともいいんだと捉えてしまうらしい。それまで考えたことなんてなかった。人は求められることで、安心を得るのか。頼られることも頼ることにも固執せず、人の感情を操ることなんて思考の隅にもなかった。急になめてた飴が弾けた様だったのは覚えてる。 人間、自由であることを突き詰めれば、孤独であることにも耐えなくてはならない 村山由佳が表す痛みに、のめり込み過ぎる。痛みに触れるのでなく、貫かれる。好きな本を読んでいるはずなのに、自ら浴びに行く痛み。予防注射の様に、耐性をつけるために混ぜてくれているのかもしれない。

    2
    投稿日: 2025.11.19
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    すごかった。最初は禁断の恋かあううんと思ったけど、早い段階で早計だったなと思った。重之のエピソードがだいぶ頭にズーンとくる。

    9
    投稿日: 2025.11.18
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    75歳父、65歳母、50歳長男、35歳次男、34歳長女、30歳次女。上二人は前妻の子。長女は母の連れ子で、父は違うと思っていたら、前妻が存命中に父とデキて、できた子。それを知らないまま次男と長女は愛し合ってしまったという過去があった。母が急死した、その後を描く連作短編。 『雪虫』愛し合った妹と血がつながっていたことを知り、勢いで家を出、北海道に住みついて15年の次男。アンティークショップを営み、妻と二人の子供がいるが、飲み屋の女の子と寝るような生活。母の死の連絡をもらい、帰って過去と対峙。母の秘密を知る。 『子どもの神様』もともと不倫関係だった父と母、隠れて愛し合っていた兄妹。そんな家族を見てきた次女は、普通の恋愛が出来ず、妻子ある男を愛するようになっている。割り切っていたつもりが、ある出来事により、男の頼る先が自分ではないということを突き付けられ、動揺する。 『ひとりしずか』兄の消えた喪失感を抱えて生きる長女は、幼馴染と婚約するも、結婚に踏み切れないでいる。。性的いたずらを受けていた過去を振り返る。 『青葉闇』公務員の長男は、息子よりも若い部下に言いよられ、定期的に抱くようになる。学生運動に参加していたという過去があり、かつての自分がなりたくなかった大人に、今なっていること、このまま定年まで勤め上げるしかないという未来に抗うかのように、家庭菜園に精を出す。 『雲の澪』高校三年生になる長男の娘。親友に紹介した幼馴染のことが本当は好きで、しかし親友も大好きで、そして、親が受験受験と口うるさく言ってくる中、漫画家になりたいという夢を温めている。小学校時代のいじめっ子と再会し、自分の身を守るため、親友を売ってしまい、傷つく。 『名の木散る』戦争中、中国へ送られていた父。死んでしまった忘れられない慰安婦に、許しを請う自分を、今も責めている。 ああー、やっぱ自分の年齢があれだからか、50歳長男のモノローグが一番刺さったし、光も見えた気がした。中年クライシスなんだろう。 「〈何のために〉ではないのだった。いまここに生きているという圧倒的なまでの実感――それだけでいいのだった。  もしも自分に若いころと同じような生命力がみなぎっていたなら、そんな境地にたとりつくことはなかっただろうと思う。光の中では見えず、日が陰って初めて見えるものもあるのだ。」

    0
    投稿日: 2025.10.04
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    家族がテーマの連作短篇集でした。 一つの家族について、それぞれの立場で語られます。 愛とは、家族とは、幸せとは。 色々考えさせられました。

    0
    投稿日: 2025.09.18
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    直木賞 PRIZEを読んで直木賞を獲った小説が気になり手に取りました。これが直木賞を獲る小説なんだなと思い入りました。余韻が有り、考えさせられる物語。でも私には本屋大賞作品があっているようです。好みの問題か器の問題なのかも知れませんが、今はその様です。 序盤は何を読まされているのか不満でしたが、繋がっている絡み合っていく物語は流石直木賞作家だと、読了して感じました。父の重み、戦争、男女、少し疲れました。

    1
    投稿日: 2025.06.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦争時代の心の傷を引きずり家族に怒鳴り散らす父、生真面目ながら流されて不倫する長兄、血がつながっていると知らず恋に落ちてしまった兄と妹、不倫でしか恋愛できない末妹、そして彼らを優しく見守り亡くなった母。彼ら一人一人の明るく寂しい日常を順に描いた短編集。 作者にしては珍しく青少年以外が主人公で、テーマも「叶わぬ恋」と少し重い。本筋以外にもどす黒く生々しい描写が多く、文体や作品の雰囲気からはかけ離れて暗い。読んでいてどうしても沈んだ気分になるが、なんとなく気になって最後まで読めてしまい、読後感はほんわかして意外に悪くない不思議な作品。

    0
    投稿日: 2025.06.01
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    家族一人一人の6つの短編集(?) 1話ごとに人も変われば時代背景が変わることもあって、内容がそれぞれに重い内容であるにも関わらずスラスラ読めたのは美しい文章であったり、短編集になっているからかもしれませんね。 1つの家族でそれぞれに違う世界で生きていることが当たり前だけど不思議で、でも納得したり。自分の場合は、自分の家族はどうなんだろう?と家族について考えさせらる作品でした。

    0
    投稿日: 2025.04.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    −幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない 全てはこの言葉に凝縮される物語 自分にはまだ理解が及ばない いつかわかる日が来るのだろうか

    6
    投稿日: 2025.02.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    雪虫 水島暁 産みの母は幼い頃に亡くなった。育ての母がくも膜下出血で亡くなる。小樽港に近い古い倉庫を利用した西洋骨董の店の経営を任されている。 涼子 志津子 暁の育ての母。後妻。 水島重之 暁の父。大工。 晴代 暁の産みの母。暁を産んだ翌々年に亡くなった。 貢 暁の兄。 沙恵 志津子の娘。 美希 重之と志津子の子。暁の妹。 奈緒子 暁の妻。 堂本 奈緒子の父。暁の義父。 和夫 昌子 西洋骨董店の学生アルバイト。 頼子 貢の妻。 政和 清太郎 暁と同い年。 清水 電気屋。 河村 酒屋。 寺沢 タイル屋。 加代子 寺沢の妻。 子どもの神様 美希 相原 美希と不倫関係。 岡田 営業。 沙恵 貢 ひとりしずか 沙恵 チョウさん 年輩の大工。沙恵に性的虐待をしていた。 重之 志津子 田辺孝一 沙恵が一日付き合った浪人生。 清太郎 聡美 青葉闇 貢 北村真奈美 貢が課長補佐を務める広報課に移ってきた。貢と不倫関係。 頼子 政和 聡美 貢の娘。高校生。 久保田 貢の部下。 重田 課長。 樋口 雲の澪 聡美 祖父・重之の家で沙恵と住んでいる。 深津健介 聡美の幼馴染。 頼子 中学校の教頭。 楡崎可奈子 高二の二学期に転入。三年にわたるアメリカ生活に加え、絵に描いたような美少女。 重之 政和 美希 横田珠代 小学生時代から聡美をいじめていた。 名の木散る 重之 沙恵 曾根原光夫 重之とは徴兵の同期の中で一番親しくなった男。 頼子 聡美 晴代 志津子 ヤエ子 慰安婦。姜美珠。

    0
    投稿日: 2025.02.06
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    感想 家族それぞれに事情、人生、経験や思い出があるんだなぁ。 バラバラに見えても切っても切り離せない関係がある。 あらすじ 暁は後妻の母親が死にそうとのことで帰省する。後妻の母親が連れてきた妹の沙恵と父親と後妻の子供の美希、兄の貢という家族構成だった。 暁は家を飛び出して、久しぶりの帰省だったが、その飛び出した原因が沙恵との恋で、沙恵が実は父親と後妻の子供だったことが分かりショックを受けてのことだった。 末妹の美希は、パートナーがいる相手との恋しか出来なくなっていた。それは暁と沙恵がそのような関係になったことに起因していた自分のそのような性癖を嫌ってもいた。 沙恵は、レイプ同然で処女を失い、その後、暁との本気の恋をして、今の誠実な婚約者との営みも上手くいっていなかった。大勢の前に出ることも苦手になり、人生に苦しんでいた。暁との関係が婚約者に知られたこともあり、婚約を解消する。 貢は50代半ばの市役所勤め。家や妻に不満はないが、家に帰りたくない。30歳も下の部下と不倫をしている。そのうちどちらからも逃げるように農業にのめり込む。 貢の娘の聡美は幼馴染との関係やイジメられていた女との関係に悩む。 父親の重之は、戦争時のツラい体験を思い出す。

    11
    投稿日: 2025.01.25
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    身近な者に対する思いや、生きていく上で感じるちょっとした心の痛みなど、随所に共感できるところはあるのだか、なぜか登場するキャラクターの誰もにほろっと息を抜けるようなところがなくて、読後にスッキリしない感じが残る小説だった。 2024.10.19読了

    0
    投稿日: 2024.10.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    家族の一人ひとりに焦点をあてた連作。 義母兄妹の恋愛や部下との浮気や不倫、慰安婦への想い…叶わないのに焦がれる心情とか、それぞれ内に荒々しく激しい情動をもちながらも、刻々と過ぎていく時の流れにたゆたうような、深く静かな話だった。 胸に秘めた鮮やかな感情を、歳を重ねて静かに奥深く沈ませながら、送る日常。じれったくもどかしいような、でもそれがリアルで、読んでて苦しくなった。 一人の章だけでもいいくらい、どの章も恋愛部分だけではなく、何に葛藤を抱えて、その想いをどう昇華させるのか、変化の過程を丁寧に描いていて、読み応えがあった。

    0
    投稿日: 2024.10.13
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     ★4つと半分。限りなく5つ★に近い。圧倒的読後感。6章からなる短編がつながってゆく長編小説。  1章めを読んで村山さん流の不倫恋愛ものかと思ったけれども、確かにそういうキライはどの章にもある。けれど、どんどん深みを増し、6章はかなり重厚だった。あらためて日本と隣国との歴史観を見直したくなった。若い頃この本を読んだらどれほどの衝撃を受けただろうか。  すこし、どすんと暗くなる話もあるが、畑仕事の話などはほのぼのとしてしかも興味深かった。  それにしても読後感はどっしりとして暫らく余韻に浸っている。  あっ?!なんだ!直木賞受賞作だった。納得!

    6
    投稿日: 2024.09.28
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    さすが直木賞と言いたくなります。人それぞれがいわゆる星々と言う。ちょっと自分には辛い話もあったけど。読了が暖かくなる。

    0
    投稿日: 2024.08.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    美しい女性と恋焦がれる男性とどうしようもない運命による悲恋を書いたら天下一品 どの話もどろりとしているのに透明感があるのが作者の凄いところ 読ませる力があります。

    0
    投稿日: 2024.07.28
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    正しくても間違いでも人間には自分を奮い立たせてくれる思い出や体験があって、それはどれだけ時代が変わっても変わらないものなんだと戦争の体験を通して感じた。

    0
    投稿日: 2024.07.09
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    ある家族それぞれの視点で、過去や現在の心境を中心に描かれている。家族だから分かり合える事もあるけれど、やっぱり個の人間であって、家族でも理解し合えない事もある。ちょっとした言い争いでも人によって感じ方が違うというのは、家族内でもよくある事なのかも。それでも、過去のキラキラした想い出や辛かった事を共有することで、家族の絆って強くなるのかもしれない。家族という形を改めて考えさせられた。

    29
    投稿日: 2024.05.19
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    わかってはいるけれど。 振り返れば、何度そう思いながらもしてしまった、あるいはせずにやりすごしてしまったことか。 もどかしさや孤独感をふくめ、それでも過ぎてゆく日常。 家族それぞれの感情が、すうっと入ってきた。たとえば自分とは違った感じ方、受け止め方であったとしても、近くを流れるようななめらかさで。 これはどういうジャンルと説明すればいいのだろうと思っていたけれど、「あとがきにかえて」を読んで、ああなるほどと納得がいった。 もし、兄妹の恋という部分だけで刺激的でスキャンダラスな恋愛小説かと通り過ぎてる人があるなら「ちょっと」と呼び止めてみたい。 父の「名の木散る」でぐんと深みと重みが増す。

    5
    投稿日: 2024.05.10
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    感想 言葉と心。人は心がわからない。何を思って言っているのか。だから言葉を受け止めるしかない。一度出た言葉は引っ込められない。だから慎重に。

    1
    投稿日: 2024.04.30
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    主人公が変わっていくスタイル。 毎主人公に感情移入してしまい、まだまだ続きが読みたくなるくらい濃い。 でも終わり方が絶妙で、それぞれの幸せへの指針を見つけた終わり方。色々考える。 毎回そこ?っていう語り手になってくけど終盤にはそんな気持ちがひっくり返されていることが面白かった。

    0
    投稿日: 2024.03.23
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    これは凄い! 家族ひとりひとりが抱える何かしらの不幸、問題、しがらみ、トラウマ、わだかまりの中に見つけたほんのささやかな幸せ。 それを村山さんは、なぜこんなにすんなりと読ませる? 今のところ、村山さんのいちばん。

    9
    投稿日: 2024.03.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    死後5分後くらいに「生きるとは何か?」と聞かれている感じ。壮大な読後感。 あらすじを読んで、直木賞受賞作が兄妹愛だけで書き切れることある?と思ってたけど、とんでもなかった。言葉に溺れた。 恋愛を含む、人生。もはや恋愛を死と並ぶほど、大きなものとして捉えられていた。恋愛小説というか、人生本というか、歴史書。 村山さんは戦争小説ではないと言っていたけれど、どうしてもその印象は強い。自分が生まれるのが少しずれていたら、と考えさせられた。 この時代でできることできないこと、メリットデメリット、たくさん享受してたくさん味わって死にたいな。 ・言葉なんかにこだわるより心が大事だろうという者もいるが、言葉ってのは案外正確に、使う人間の内面を映し出すものだよ。いわば心の鏡みたいなものだ。

    2
    投稿日: 2024.03.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久々にこれ、と思える作家に出会えたかもしれない。1つの家族のメンバーそれぞれを主人公にして書かれた6つの短編は、どれも不幸に満ち満ちているようで、希望の光を感じずにはいられない。そんな雰囲気を感じた。文体も硬すぎず、柔らかすぎずの絶妙なバランス。人の世って基本的に不幸の割合が多めだけど、希望も確実に日常に転がっているよね、そんなふうに思わせてくれる一冊。

    0
    投稿日: 2024.01.28
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    叶わない恋、叶わなかった恋、人の倫から外れた恋…と、恋愛小説がメインテーマのアンソロジーでありつつ、最終話、父・重之の戦争の話が出てきたところで思わず涙してしまった。 恋愛模様だけではなく、家族愛や母親の無償の愛がそこかしこに感じられて、そしてどのストーリーにもさりげなく出てくる花々の描写が美しくて、あっという間に読み進められる内容だった。

    5
    投稿日: 2024.01.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    禁断の恋に悩む兄妹、他人の恋人ばかりを好きになってしまう末妹、自身の居場所に悩む長兄、幼馴染への恋慕、親友に対しての劣情を抱えていた孫、戦争の傷を抱える父、それぞれの視点から語られる彼らのこれまでの人生を通して星々を繋ぐように見えてくるひとつの家族の形、彼らの在り方。 「足を踏んだほうはすぐ忘れるけど、踏まれたほうはそう簡単に忘れられないもの」 家族間で互いに様々な感情を向けていたけど、彼ら、特に子供たちの劣情は作中のこの言葉に尽きるなと思った。 読み進めてそれぞれの見てきた世界を知れば知るほど、登場人物の見方が変わる。表面的な情報、断片的な状況で捉えられるものなんてない。わたし達は自分のことすら完全にわかることはできない。だからこそ語り合うこと、自分自身で触れ、確かめていくことが大切なのだと漠然と思った。 途中読み進めるのが辛くなってしまう描写もあったが筆者のあとがきにもあるように、一筋の光があるような構成ではあったのでそこは救いだったなと思う。 印象的だったというか良いなと思ったのは最後まで志津子の語りがなかったこと。後悔も思い出も、これまでの人生に意味を持たせるのも、抱えている気持ちを語るのもあくまで生者だなと思った。

    2
    投稿日: 2023.10.28
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    人の記憶というのは、楽しい事は断片的であまり残らないが、悲しいこと、辛いことは始終記憶に残る。過去の苦い思い出も「いいもの」に映る、身も心も過去には戻らないがその記憶だけはそのままそっとしておきたいのが人かもしれない。一方、人は寂しい、侘しい時、過去の思いにふけがちだが恋愛、愛で人は変わり、変わる必要がある、思い通りにいかないのが人生というものかもしれない。

    8
    投稿日: 2023.10.25
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    水島という家族、それぞれ6人の視点から描かれた連作。重いし辛い、最後まで読めるかなと。 内々のことは、なかなか他の人には伝わらないものだが、ある事情を除けばよくありがちな家族だと思う。ゆっくりと年月を隔て、父、母、息子たち、娘たち、息子の娘が内に抱え込んでいる悩み苦しみを主人公をかえながら綴られていく。 兎に角、ひとりひとり丁寧に描かれていて 一章読むごとにずしりと響く。目頭が熱くなった章もあった。生まれ育った環境のせいにしているとしても、時には道を反れることってあるのでは。特に、長男貢の章が気に入ってしまった。郊外での野菜作りに生き甲斐を見いだす。重い話の中、畑仕事の描写はほっとするひとときだった。 いま、ここに生きているという圧倒的なまでの実感それだけでいいのだった。貢の言葉から、正直な人間臭さを感じる。 親が有耶無耶にしてきたことで、我が子の幸せに影響を与えた。そこが気になった。最後は沙恵と寄り添ってるように見えるが、何があっても親子、ということだろうか。 戦争体験、慰安婦の話は辛く、ずしんときました。これを持ってこられた理由があとがきにかえて、でわかりました。ひとつの家族の在り方はそれぞれ違う。登場人物の生き方に自分自身を投影させたり、何があっても生きてる意味があると、そう感じた作品でした。

    38
    投稿日: 2023.09.06
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    大工の父親、病気で亡くなった先妻との長男と次男、後妻の連れ子の長女と夫婦の子の次女。6章からなり、それぞれを主人公としながら家族を描く連作短編集の形式をとった一作品です。 母親が亡くなった事で、家族が今までの気持ちを整理し始める。 「雪虫」連れ子の少女に恋をしてしまう次男。二人は、互いの気持ちを認め合う。しかし、父親が同じである事を知らされる。次男は家族から離れて生きる。 「子供の神様」次女は自分が家族の交差点となるように振る舞ってきた。姉も父も子と知った後の喪失感。彼女のその後の恋愛観に影を落とす。 「ひとりしずか」兄への気持ちが残る長女。善良な男との結婚にも踏み切れない。 「青葉闇」早くから父親の不倫を知り家を出ていた長男。公務員となりしっかりした家族があるが帰宅拒否気味。50にして初不倫。 「雲の澪」長男の娘の夏の厳しめの経験。 家族は、なんらかの諍いがあろうと、生き違う時間があろうと、一つの舟に乗ったり降りたりしながら生きていく。各章の主人公の性別や年齢が変わるので、共感できる章があるのではと思います。 「名の木散る」が最終章で父親の戦争体験から家族を得ていく章なのですが、作者さんここに力を入れています。ですが、書きたいことは読めたつもりですが、どんな経験をしたとしても、この父親の不倫隠蔽や暴力が認められる根拠に思えず。 幸福とは呼べない幸せ が村山さんのたどりついた感慨との事です。

    63
    投稿日: 2023.09.04
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    2007年09月20日 19:18 直木賞受賞作。 一つの家族のそれぞれの人物の視点が6つの章に分けて書いてある。 ただ、話が過去に行ったり現在に行ったり、過去の過去に行ったりして最初のうちは戸惑ったが括弧の工夫がなされていたので助かった。 有り触れた内容と言えば有り触れた内容かもしれないが、 文章力・表現力で読ませると思う。 最後の父親の章は、実際に話を聞いて書いただけあってリアルだと思う。 戦争体験について、あまり知らない人は読んだ方が良い。 しかしながら、帯にもある「こころふるえる感動の物語」とまではいかなかった。

    1
    投稿日: 2023.06.25
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    兄妹は禁じられた恋にはまり、末の妹は不倫にはまり、初登場の時は常識人と思っていた長兄も実は不倫にはまり、そんな兄弟達の父は妻がいるのにお手伝いさんとの不倫にはまり。 家族として成立しそうもない状況なのに、家族であることを取り繕っているように思えて、正直不快な作品だと思っていました。 しかし、最終章を読むうちに評価は反転。一人一人の事情や想いが掴めた途端に、一気に作品に色彩を感じました。 最終章までの鬱展開が辛かったので星4つですが、その不快感を綺麗に洗い流してくれるラストに感動させて貰いました。

    3
    投稿日: 2023.06.25
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    雪虫 子どもの神様 ひとりしずか 青葉闇 雲の澪 名の木散る の6章立て。 家族6人それぞれのお話になってます。 「幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない。」 両想いなのに決して報われぬ恋もある。 人から見たら、幸福ではないかもしれない、不毛な恋かもしれない。 その恋で自分は、苦しんで苦しんで苦しんだ。 でもどうしても、そこから進めない、そこからどこにもいけない、その恋から逃げられない… だから、せめて好きでいることだけは、自分で認めてあげたい。許してあげたい。 決して報われなくても。その恋を否定したら、その恋を適当に扱ってしまったら自分ではなくなってしまうのだから。 自分の宿命は自分で背負い、河を舟で流れていこう。 夜空に輝く星々のように。 第129回直木賞受賞作。 とても良い作品です。

    0
    投稿日: 2023.03.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「幸福とは呼べぬ幸せもあるのかもしれない」 衝撃。 人に幸せねって言ってもらえる人生でなくていいし だからって幸せじゃないわけじゃない。 言葉にすると強がって見えるし心もとないけど 読めばストンと落ちてくる。 好きで好きでやめられない、仕方ない人がいる。 その人が生きている同じ世界で自分も生きていて、 だからこそ心を通わせ合い、なんなら触れ合い、 添い遂げられなくてもいつも心を満たす。 その人にも自分だけ。そうお互いになんとなくわかっている。 それだけでそこに存在する価値がある。生きる価値がある。 片割れだからお互いに。生きないと。 そりゃそんな二人が一緒にいられるともっと幸せに違いない。 でも、一緒にいられなくても、触れられなくてもいい。 だから私を消さないで。私からその人を消さないで。 それ以上何も望まないから。 ところで、私は人生において結婚や子育ては情熱を、命を燃やすための必要アイテムなのではないかと思うときがある。 妬みやひがみなのかもしれないけど、「結婚」や「子育て」は、「暇な人生」への解決策、「人生を全うできないような手持無沙汰感」を紛らわすための手っ取り早い方法にすぎないのではないかと。 人は生まれたときからライフポイントを持っていて、生きることにともなう精力の使用量でそれは減り、使い切ることが使命なのだとすると、打ち込む仕事や趣味がない多くの一般的な人はなかなかそのライフポイントが減らない。だからどうしたって神経や精神力、体力をすり減らす結婚や子育てをしようとする。それはライフポイントの半分以上を稼ぐとこができるボーナスタイムだから。 恋愛においてひとりの人を愛すると決めて貫くことは、同じくらいのポイントになると私は思う。自らをひとり孤独に耐え、守り、大事にするということ、そして愛す一人をどんな形であれ守り抜くということがどれだけライフポイントを削るか。 そんな相手に出会えた幸運は奇跡で尊く、辛く、幸せだ。 どちらかと言えばむしろそういう唯一無二の人に出会うということはむしろ、「人生の全う」を約束された勝ち組の人生なのかもしれない。そうであればいいと思う。

    1
    投稿日: 2023.01.25
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    あなたは、『お兄ちゃんたちとはパパがおんなじだけどママがちがくて、お姉ちゃんとはママがおんなじだけどパパがちがうの』と語る小学生に何を思うでしょうか? “日本において夫婦と子供2人によって構成されている世帯の形態を意味する””標準世帯”という言葉。今やそんな世帯は、この国の5%にも満たないと聞くと、この国の家族のあり方の変化に驚きもします。しかもここでいう子ども2人とは当然にそんな夫婦と血のつながりを持つという前提でしょう。しかし、今の時代、そんな単純には語れない家族像が浮かび上がります。三組に一組が離婚するという現代において血のつながりということを前提に考えていくこと自体どんどん難しくもなっているのだと思います。 そんな中では、私たちは『四人兄妹』です、と紹介されても単純にその本当の関係性を言い当てることは難しい場合もあるのだと思います。四人のうち、誰と誰に血の繋がりがあって、ということなど外からはなかなかに伺いしれない現実がそこに隠されている可能性があるからです。 さて、ここに、『長兄の貢と、二十歳近くも離れて生まれた次兄の暁とが、先妻の子。そこへ志津子が、暁とは一つ違いの幼い沙恵を連れて嫁ぎ、そのさらに四つ下に末っ子の美希が生まれたのだ』という『四人兄妹』を描いた物語があります。母親の志津子の死を期に十五年ぶりに再開した家族を描くこの作品。まさかの”禁断の恋”の存在が匂わされもするこの作品。そしてそれは、主人公たちそれぞれがひたむきに今を生きていく姿を描く家族の物語です。  『受話器を置き』、『あれから何年になるのだろう。生まれた町を飛び出したのが大学二年の頃』と、それから『一度も家に戻ったこと』のない今を思うのは主人公の水島暁(みずしま あきら)。そんな時『どうしたの』『誰からだったの』と『寝たのはもちろんのこと、部屋に上げたのもゆうべが初めて』という涼子が問いかけます。『ああ、妹』と答える暁に『良くない知らせだったのね』と訊く涼子。そんな涼子に『おふくろが』『危ないんだと』と答える暁は、『クモ膜下出血』と説明します。『行くんでしょう?』と訊き返され『さあな』と答える暁に『行かないと、あとで後悔するわよ』と涼子は答えました。『産みの母親の顔を』覚えていないという暁にとって『自分を育ててくれた志津子が実の母でないなどとは想像したことも』ありませんでした。大工をしていた父親・『重之が無事復員して五年の後に貢が』生まれ、暁が生まれた翌々年に実母は亡くなります。そして『住み込みの家政婦』として暮らすことになったのが志津子でした。娘の沙恵を連れた志津子はやがて重之の後妻として迎えられます。そんな家族の暮らしを思い出す暁は、『誰のお陰で食えると思ってるんだ!ええ?誰のお陰だ、言ってみろ!』と時に激しい暴力におよぶ重之の『恐怖がありありとよみがえ』る一方で『父の肩車』の思い出、『くすぐったいような誇らしさ』を感じたことも思い出し、『父こそが拠り所だったのだ』と思います。『かつてのささやかな幸せがずっと続いていたなら、自分が家を飛び出すことはなかったのだろうか』と思う暁は、『遅かれ早かれその時は来たはずだ』、『そう ー 彼女がいる限り』と思います。そして、『今さら会ってどうする』という思いと『今会わなくてどうする』というせめぎ合いの思いにさいなまれながらも羽田に降り立ち病院へと向かった暁。『遅いじゃないのようっ』と妹の美希に睨まれる暁が到着する三時間前に母親は息を引き取っていました。『ったくこの馬鹿が。来るなら来るで、どうしてもっと早く』と兄の貢にやれやれとした口調で言われた暁。そして、母親の枕元に向かうとそこには妹の沙恵の姿がありました。『良かったねえ、母さん』、『お兄ちゃん、やっぱり帰ってきてくれたよ』と母親に語りかける沙恵。そんな沙恵のことを見て『きょう、あきらくんとさえちゃん、チューしてた』と『向かいの家に住む』清太郎が口にした一言で『凍りついた食卓』を思い出す暁。そんな暁の家族それぞれの過去と今に光が当てられていく中に、家族それぞれが抱える物語と、彼らの結び付きの先にある家族の姿が描かれていきます。 “平凡な家庭像を保ちながらも、突然訪れる残酷な破綻。性別、世代、価値観のちがう人間同士が、夜空の星々のようにそれぞれ瞬き、輝きながら「家」というひとつの舟に乗り、時の海を渡っていく”と内容紹介にうたわれるこの作品。2003年に第129回直木賞を受賞した村山由佳さんの代表作の一つでもあります。6つの短編が連作短編を構成するこの作品は各短編ごとに視点の主が交代していきます。では、そんな6つの物語についてご紹介していきましょう。 ・〈雪虫〉: 『小樽港にほど近い古い倉庫』を『店舗として利用した西洋骨董の店』を妻の奈緒子の父親から任される暁が主人公。『大学二年の頃』に家を飛び出した暁の元に母親が危ない旨の連絡を妹から受けた暁は躊躇の後、病院へと向かいます。そこには、久しぶりの家族の姿が、そして、十代の頃『最後の一線を越え』てしまった妹・沙恵の姿がありました。そんな過去の記憶を振り返る暁は…。 ・〈子どもの神様〉: 『誰かのものである男とつき合う以上、中身以外の要素はとくに大事』と思いつつ年上の相原と付き合う美希が主人公。『この家で、家族全員と血がつながっているのは私だけ』と思う美希は『ばらばらになりそうなみんなをこの家につなぎとめておく』役目を負っていると感じて生きてきました。『モデルハウス』に務める美希は、設計士の相原と付き合う中、一方で家族の中で一つの役割を果たしていきます。 ・〈ひとりしずか〉: 『お前が誘ったんだからな』と『十七になったばかり』の沙恵を犯した『浪人生』の言葉を思い出す沙恵が主人公。そんな沙恵は、『いちばん初めは、家に出入りしていた大工だった』という幼稚園の頃から幾度となく性的な嫌がらせを受けて育ちました。そして、浪人生に犯された後、『何されたんだお前!』、『ぶっ殺しててやる』と激しい怒りを見せた兄の暁。そんな暁と関係を持つことになる沙恵…。 ・〈青葉闇〉: 『この歳になって妻を裏切ることになろうとは』と真奈美の寝顔を見つつ思う貢が主人公。市役所の広報課で課長補佐を務める五十の貢は、大卒で就任して間もない二十四歳の真奈美とあることがきっかけで関係を持ちました。『まるで少女にいたずらしてでもいるかのような後ろめたさを覚』えながらも彼女のアパートへと通う貢は、一方で『土いじりにのめりこんでい』きます。一方で、『家に帰るのが苦痛になっ』ていく貢は…。 ・〈雲の澪〉: 『三階の窓際の席から』、サッカーで『司令塔気取り』をしている健介のことを見る聡美(貢の娘)が主人公。そんな聡美は『いつか投稿しようと』漫画を描きためています。『受験を五か月後に控え』、『この道のプロになる力などない』と思いつつも描くことをやめられない聡美。そして、教室を見回す聡美はアメリカ帰りの美少女・可奈子を見ます。『二人して同じ図書委員に選ばれ』たことから親密になった二人…。 ・〈名の木散る〉: 『曾根原さん。昨日、上京してみえたんですって』と電話がかかってきたことを沙恵に言われた重之が主人公。そんな重之は『いないと言ってくれ』と繰り返し伝えます。一方で『生徒たちに、お義父さんの戦争体験を話してやってくれませんか』と頼子(貢の妻)に頼まれた重之は『自分たちは、戦争を生きたのだ… 赤い紙きれ一枚で家族も恋人も引き裂かれた、それが戦争だったのだ』というあの時代を思い起こします。 以上の通り、6つの短編には、冒頭の短編で命を引き取った志津子以外の水島一家、父・重之、長男・貢、次男・暁、長女・沙恵、次女・美希という五人にプラスして、貢の娘である聡美にまで視点が回っていきます。実に親子三世代に渡る物語ですが、過去を振り返ることはあってもあくまで時間軸は現代にあるため、大河小説という作りではありません。しかし、『自分たちは、戦争を生きたのだ』という重之の物語と、『受験を五か月後に控えて』漫画を描く聡美の物語は当然ながら隔世の感があります。しかもそんな聡美の物語の次が重之の物語という順になっているため、重之の物語を読み始めた先の違和感、異物感がハンパなく読者を襲います。正直なところ、私も、えっ?という衝撃に襲われました。この作品は内容紹介的には家族を描いた物語という印象です。実際、暁から聡美までの五つの物語は、家族の構成員と、そんな彼らの集まりである水島家の光と影が描かれていきます。 物語は『あれから何年になるのだろう。生まれた町を飛び出したのが大学二年の頃』、『あれ以来、一度も家に戻ったことはなかった。戻りたいとも思わなかった』といういかにも訳ありの暁の物語からスタートします。そこには、父親の激しい気性と、暁の産みの親・晴代と、育ての親・志津子を巡る四人の兄妹の複雑な関係性が次第に明らかになっていきます。そこには、内容紹介に” 禁断の恋に悩む兄妹、他人の男ばかり好きになる末っ子、居場所を探す団塊世代の長兄”と記される四人兄妹それぞれの人生が描かれていきます。読者的には暁と沙恵という兄妹の間の”禁断の恋”は間違いなく衝撃的です。 『曲がりなりにも兄と妹として育った以上、罪の意識がなかったといえば噓になる。けれどそれは、最後の一線を越えたとたんにくるりと裏返って、互いを駆り立てる要素へと変わっていった』。 『いったん唇を重ねてしまうと、後は歯止めがきかなかった』という先の”禁断の恋”の物語はこの作品の中軸といって良いものです。こんな内容を持ち出してしまった以上、それをどう決着させるのか、間違いなくこの決着のさせ方はこの作品の成否を握ります。ネタバレはできませんのでこれ以上煽るような記述(笑)もやめておきますが、村山さんの選ぶ余韻を残すようなその絶妙な結末には是非ご期待ください。 次に注目したいのは聡美の物語です。一人だけ孫世代が登場するという異物感の中に描かれていくのは、『きっと、あの時が境目だったのだ、と聡美は思う。深津健介という存在が、自分にとって、ただの幼なじみから一人の男へと変わったのは』という青春を描く物語の側面を持ちます。しかし、読み味として後に残るのは、内容紹介に”いじめの過去から脱却できないその娘”と記される側面です。そうです。この物語には後味の極めて悪い いじめを取り上げた物語が描かれていきます。なんとも鬱屈とした読後感、これにはもう少しなんとかしていただきたかった思いが残りました。 そして作品のトリを務めるのが重之の物語ですが、上記した通り、いきなり先の大戦に舞台が移ります。もちろん上記した通り、それは重之の過去の振り返りではありますが、単なる振り返りの域を超えて極めて生々しい戦時下がそこに描かれていきます。 『歩兵操典や戦陣訓をようよう暗記し終え、せっかく寝入ったかと思えば突然叩き起こされて一列に並ばされ、〈ありがたく思えよ。これから貴様らの軍人精神を鍛えてやる。気をつけ!歯を食いしばれ!〉わけもわからず殴られる』。 そんな徴兵後の日々。 『殺さねば、殺される』、『手にした銃剣の切っ先が、柔らかくて固い肉に呑みこまれるあの感触。かっと見ひらかれた少年の目が、ほんの五寸ほどの近さから重之を凝視する』。 そんな戦場の緊迫感溢れる描写。そして、 『初めて人を殺した日は、怖ろしくて怖ろしくて眠れなかった。何日も飯がのどを通らなかった』。 そんな先にある『人の痛みを痛みと感じなくなっていく』という戦場の感覚の描写は、家族の物語を読んできた中で、不倫もあった、いじめもあった、という直前までの物語とは全く別世界、全く異世界の作品が誤って製本されてしまったのではないか!としか思えない内容の跳躍ぶりです。これには度肝を抜かされました。そんな物語に、『急に目の前にトラクが止まて、いいから黙て乗れと無理やり乗せられたです… 無理やり乱暴されたです』と語るまさかの『従軍慰安婦』に関する違和感のある記述を生々しく登場させてもいく村山さん。小説はさまざまな内容が包含されるものであり、読み始めと、読み終わりでは予想もしなかった展開に驚くことは多々あります。しかし、この作品はそんな次元を超えます。”もちろん、『星々の舟』は戦争小説などではない”、”これはあくまで、叶えられない幾つかの恋の物語であり、人と人とが形づくる星座、すなわち家族の物語であり、そしてまた、人々の来し方行く末をゆるやかにつないで流れる歴史の物語”と村山さんは語られます。いや、そうかもしれません。作者の村山さんがそうだとおっしゃるならそうなのかもしれませんが、一読者の私の読後に残ったのはこの作品は”戦争小説”だったという印象です。この感覚、これから読まれる方には実際どう感じられたかを是非お聞きしたいと思いました。 『幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない』。 村山さんらしく、美しい言葉の中に深い含みを持たせる言葉が印象的に物語を読者の心に刻み込んでいくこの作品。そこには、家族6人それぞれの生き様が描かれていました。家族それぞれの視点からお互いがどのように見えるかを描く中に、それぞれの繋がりの意味をも感じるこの作品。まさかのリアルな戦争の描写に度肝を抜かれるこの作品。 “どこかに一条の光が射すような終わり方を心がけたつもりでいる”とおっしゃる村山さんの主人公たちへの優しい眼差しを見る中に、”幸せ”とは何かを読者に問いかける、そんな作品でした。

    150
    投稿日: 2023.01.14
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    読み応えあり。 不器用な生き様が人間らしさやねんな。 戦時中の理不尽で悲惨な日々、終戦後もそれは連綿と続いて周りをも不幸にしてしまう。つらい。

    5
    投稿日: 2022.12.14
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    全体を通じて終わった出来事への物悲しさが漂っている。タイトルにある「舟」は最後に唐突に出てきた感が否めない。全体的に登場人物は不快。愛について書いているのだろうが、愛についての一体何を語りたかったのか自分にはよくわからなかった。暇つぶしにはいいかもしれないが、他に読みたいものがあればわざわざ読む必要はないと感じた。

    2
    投稿日: 2022.11.27
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    p258迄は、活字をひたすら追うだけに 終わった。他作品に多く見られる 家族、個人の描写に思えた。 あとがきにあったが いっそうのこと 戦争小説にしてしまった方がよかったかも知れない。

    1
    投稿日: 2022.10.10
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    どうにもならないことが世の中には数多くある。 人間関係も、仕事も。だが、そういったものを呑み込んで、人は今を、未来を生きていく。その結果がどうなろうと、それは意味のある人生だったのではないか。 少なくとも、当人にとっては。 憤りと癒やしを得られる一冊だと思う。

    1
    投稿日: 2022.09.09
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    『普通って、なんだろう? 幸せって、なんだろう?』 直木賞受賞作品。複雑な生い立ちを持つ家族を主人公にした連作短編集。近親相姦、不倫、性暴力、いじめ、戦争。暗闇の中から、自分らしい幸せを探し求め、苦しみながらも歩み続ける家族を描く。

    0
    投稿日: 2022.05.02
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    近親相姦、レイプ、いじめ…と過激な出来事ばかり起こるストーリーに90年代の野島伸司のドラマ(というか、ひとつ屋根の下)みたいだなーと思っていたけど、最後の戦争の話はちょっと良かった。 ただ、一番魅力的キャラクターである後妻の話がなくて残念。

    1
    投稿日: 2022.04.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    うむ。 よかったです。 先日この作者の作品を読んで、人からもらえたので続けて2作目。 なんとなく根底に流れる空気感は同じなんだけど、(なんというか暗い事象が「根のいい人」たちの中で繰り広げられる)そしてまた、性的な問題とか事象が中心となって語られていくところも結構似てるんだけど、でも、完全に違う物語だったなぁ。 最後に、戦争経験がガッツリ語られたのも、ちょっと意外だった。 長兄の物語が、終着を見ずに終わった感が若干あるのはちょっと残念だったけど、まぁ、メインじゃないから仕方ないね(結末は、別の章の第三者報告で触れられてたから想像できたけどね) 戦争な...ムツカシイね。 作者はどうやって心情を得たのか、取材したのか?!と思ったけど、ご両親のこととか、シベリア鉄道でのゆるり旅のことなど後書きに書いてあって、ちょっと納得です。

    1
    投稿日: 2022.03.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    家族それぞれの視点からなる小説。 序盤悪者として描かれる父親は後半になって人らしさが出てくる。 ある人にとっては悪い人であっても当人にも言い分がある。もちろん、ある面では許されざること、誤った行動という一般的な評価をつけることもできるけど、きっとこの世全てにおいて、当人からすれば大きな人生の中の一つのことであり、そこにその人の必然性が含まれることもあるだろう。 兄弟の恋は本当に切ない。世の中にこんなにも多くの人がいるのに、なぜ一人の人しか心を許さないのだろうと不思議に思うけど、それは彼等だけでなく誰もがそのような一面を持つだろう。人間そう多くはこれだと思える人には会えない。 最後に、何のために生きるか、ではなく、今生きているという実感が全てと悟った貢へ共感を申し上げたい。 

    0
    投稿日: 2022.02.27
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    それぞれの家族の視点からなる叶わない恋の話し。 だけれども、最後は戦争の話しにまで遡る。 幸福とは呼べぬ幸せもあるのかもしれない。 すべてはこの一節の為に。

    0
    投稿日: 2022.02.27
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    久々に村山由佳の本を手に取った。 直木賞受賞作の本作は、とても読み応えのある作品だった。 腑に落ちなかったのは、兄妹4人の話と父の話があり、母の話が無かったこと。孫の話じゃなくて、母の話がいるだろうと思った。 母こそがとても大変な人生を歩んだように思う。 愛人として生き、後妻となり、子の秘密をもち、その子が禁断の恋におち、身体に傷を負う。 彼女がどう思いながら生きたのか、それこそが気になるところで、最後を飾るにふさわしいのではないかと思った。 父の戦争の話も強烈で、大切なことを、後世に残す重要なお話だったと思う。 それまでの話のなかで、苛立ちさえ覚えた重之がどういう体験をしてしたのか、納得するような気もしたし、それはやはり、彼の性格がそうさせたのだろうとも思った。 どんな時代においても、子に手を挙げる父に、どうしても相容れないものを感じる。 そんな家に生まれたことは、やはり不幸だったんじゃないかって、全体的に思ってしまう。 暁が家を飛び出したのも、だからこそだと思う。 叶わぬ恋も、不倫も、いじめの問題も、戦争も、人間を描いた作品だと思う。 直木賞をとっただけある、深い作品だと思う。 でもなんだか、そこに感動は覚えることができず、なんだか心にわだかまりが残る作品だった。

    0
    投稿日: 2022.02.26
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    色々と事情を抱えた家族が紡ぐ短編集。 読後の感想は、すべてが最後の一編に帰結していくような気がする。 あと書きまで読み、なんとなく作者が書きたかったことがわかるような気がする。 さすが直木賞

    0
    投稿日: 2021.12.19
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    久しぶりに どっしりと心に響いた。 「星々の舟」の響きと表紙から恋愛ものかと思ったの全然違った。4人兄妹と先妻、後妻、孫娘、父親。各々精一杯生きたんだなと思う。 家族に大きな影響を与えた重之は戦争の傷痕を抱えていて、最終章、そうだったのかと納得しつつ、振り返れば、重之がこんな感じでなかったら4人兄妹は?とも思う。 やっぱり戦争はいけない。

    7
    投稿日: 2021.12.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    家族それぞれの、人に言えない恋愛の話。 たまに母親には元彼がいたのだろうかとか、どんな人だったのだろうかとかを考えることがある。でも、家族のそういう話はゾクゾクするから、考えることをすぐ放棄する。 この本は、そういうのの全容を明らかにしたような、人生覗き見感が強かった。 聡美パートのおじいちゃんとのシーンが涙を誘った。 私は、母親が命をかけて腹を痛めて産んでくれたことをすぐ忘れてしまうが、おじいちゃんの熱いセリフによって思い出され、ドワっと日頃の感謝が湧き出てきた。

    0
    投稿日: 2021.10.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    連作小説ということで、一気に読んでしまいました。家族それぞれの物語、それも、ダークな部分。 なかなか、重い小説でした。 兄妹の近親相姦、当初、実の兄妹って、知らなかった。これは、親が一番悪いって思ってる。そんなことにならないように、何でできなかったのか、親も後ろめたい気持ちがあったにせよ、妹(沙恵)の章は切なかった。 孫娘の章も、いじめのような、理不尽な描写は 辛かった。 そして、最後に、戦争での慰安婦の話は、初めて読んだので、かなり衝撃的でした。 家族がかかえるそれぞれの影、うまくつなげて、さすが直木賞作品、とは思いましたが、 あまりに重すぎて、2回は読まないな、と思った。

    0
    投稿日: 2021.09.17
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    フォローしているshintak5555さんが 教えてくれたので、読んでみました。 最初は、私自身が「恋愛小説かぁー」と思いながら ダラダラ読んでいたけど、だんだんと 「あれ?なにこれ?ヤバイ…泣ける」ってなっちゃったー。 雪虫 (妹の沙恵が好きな暁) 子どもの神様 (末っ子の美希は、不倫中) ひとりしずか (沙恵は兄の暁が好き) 青葉闇 (一番お兄ちゃんの貢は畑好き) 雲の澪 (貢の娘の聡美は友達を売ってしまった) 名の木散る (彼らの父の重之は戦争を生きた) の短編で話が進んでいく。 最初は重之じぃじのことが苦手で、あんまり 現実世界にいたら合わないタイプだぁーなんて 思っていたけど、 最後の章に近づくにつれて、 「じぃじー!!!!!!!!!!」と号泣してしまった…笑 この話は、恋愛とかそんなくくりではなく、 もっと大きなテーマだなって感じだよ。 一人ひとりが主人公で、同じ人でも、 見る人によっては、違う別人のように感じる。 (↑うまく言えないー。伝わって!!!!) ものすごく読みごたえを感じる本だったよー。 読んでよかったー(*´艸`*)

    1
    投稿日: 2021.06.23
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    家族それぞれの視点から描いた話。クイズノックの記事で読もうと思った。 恋とは、人生とは、幸せとは、年を重ねるとは、色々考えさせられた

    0
    投稿日: 2021.05.23
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    短編集ですが一つの家族の物語なので全てが繋がっています。 苦しい恋愛をする兄妹たち。 救われない気持ちで読んでたけど、最終話でストンと落ち着いた。 男と女とは。 恋愛とは。 考えさせられた一冊。

    2
    投稿日: 2021.03.28
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    村山由佳さんの直木賞受賞作。6章からなり、それぞれ、戦争に行き激動の時代を潜り抜けてきた重之と、その4人の子供達(異母兄妹)+孫(長兄の娘)の視点から語られている(順不同)。 戦争、慰安婦、禁断の兄妹愛、血の繋がり、不倫、いじめ、女性消費、、、など沢山のことが盛り込まれていて考えさせられる物語だった。3世代の視点から描かれているからこそ、いろんな世代の読者が読んで共感する部分も、他の世代の立場に立って考えるきっかけにもなる部分もあると思う。戦争に対する認識の世代間の違いは読んでいて興味深かった。 沙恵が過去に名も知らぬ男性から受けた数々の行為の羅列を読んでいたら、自分も思い起こすことが多々あり、不快感と、今更ふつふつ怒りが湧いてきた。あまり思い出さないようにしていたけれど、こういう体験が女性にとってありふれているなんて、本当にこの国はおかしい。 慰安婦についてはこの本を読んで初めて知った知識もあった。 不勉強すぎて恥ずかしいので他の本でも読んでみたい。 「自由=孤独」というのは激しく同意。

    10
    投稿日: 2021.02.24
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    短編集でした。 が、ある一家のメンバーそれぞれのお話だったのて短編が苦手な私でも面白く読めました。 妹も姉もどちらにも共感ができて切なくなりました。 強がって我慢して一人で泣いてみたり、泣いていいと言われるのが羨ましかったり。 <幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない> なんとも言えない寂しさがありますが現実はそうなのかもしれません。

    0
    投稿日: 2021.02.05
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    積読を消化してると、昔読んだこと忘れて初読のつもりで読み進めてしまい、途中で「あーーこの話のオチ知ってるわーー」ってなることが頻発する。今回もそうだった。 初読後の読了感って一生に一回しかないのだなって痛感してる。 群像劇が好きだし、それぞれの心理描写も丁寧で繊細で、おそらく初めて読んだ時は結構好きだったと思う。 姉妹によって、性格が違って、お互いに相手の役回りにちょっとした羨望や嫉妬を感じてるって言うのは妙にリアルで心に残った。 花が咲きみだれる庭って憧れるなぁ。

    0
    投稿日: 2020.11.18
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    2003年直木三十五賞受賞作 短編形式で、家族のそれぞれが抱える恋愛、苦悩をそれぞれの目線で綴り、一つにつながっていく。あっという間に読めた。飽きさせない。

    0
    投稿日: 2020.10.28
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    時間を経ると家族で昔を懐かしんだり思い出話に花が咲いたり 共有の体験が何よりの宝となっている この家族はそれぞれの過去が痛く辛く お互いに触れることができない 時には優しくあるいは強く書き進める 作者の力に感心した

    1
    投稿日: 2020.10.22
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    父親 は生涯3人の妻を娶った その子ども4人と、3番目の妻、志津子の家族の話。 連れ子だから血が繋がっていないと思っていたのに。男女の関係になったあと本当のことを知る。 それから本当に好きな人には出会えない。 父親はどうして無口で頑固なのか 末っ子はどういう思いで、ここまで生きてきたのか 考えることの多い小説。 村山由佳、好きでずっと読んでるはずが、この作品を知らなかった。 初期の作品のようですが、今読んでも古くない。

    4
    投稿日: 2020.09.09
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    星々の船 Voyage Through Stars 著作者:村山由佳 発行者:文芸文庫 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

    0
    投稿日: 2020.08.31
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    どこにでもあるような家族でも、家族一人一人がそれぞれ何かを背負いながら生きている。そんなことを感じた。自分の家族と重ね合わせて。 みんながなにかを背負いながら、いい意味でも悪い意味でも繋がって、側から見ると一つのまとまった家族に見えるのだなぁ、と改めて思った。絵本の中の完全な家族ってきっと存在しない。でも、見た目だけでも理想の家族に見せるために、みんな何かを隠しながらその形を保っている。 さえも暁もお互いの存在によって人生が大きく動かされている。さえの人生は暁と出会っていなければ、もっと開けたものになったのかなぁ。でも、最後のインド行きを決めた暁のセリフは、長い長い夜を超えて、新しい朝がやってきたような気がした。 人生スムーズになんて行かないし、背負うものは突然軽くなることもない。時を重ねるごとに重くなる。でも、その重いものとの付き合い方は変化していくのかもしれない。この本を読んでいて、そんなことを考えていた。

    0
    投稿日: 2020.08.18
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    一気にその世界に入り込んでいく、ワープしている最中のような、集中しているのに浮遊している感覚が好きで本を読んでばかりいたのに、もう気力がないというか、辛すぎたり重すぎたりして精神が持たない。読書は若いうちにどっぷり浸る方がいい。歳をとると読書する気力体力がなくなるなんて思ってもみなかった。

    0
    投稿日: 2020.07.08
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    読み終わって、ぼーっとしてしまう。 恋愛小説と思いきや、家族、戦争、いじめ、友情と複雑な感情が書かれている。どれも自分が現実で経験したことではないのだけれど、その痛みや苦しみが伝わり、考えることができる。すらすら読めて、胸が苦しくなることもある。ハッピーエンドで終わるわけではないが、幸せは、幸福だけではない。でも、生きていく。人と交わりながら、愛して愛されながら、生きていくんだなあと、温かい気持ちにもなれる。

    0
    投稿日: 2020.05.06
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    日本文学専攻の僕が推してる人がこの本を好きだと言うので読んだ。じんわり染み渡る、人間と家族のお話。また読みたい。

    0
    投稿日: 2020.05.02
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    ある家族の、父、息子、娘、孫娘のそれぞれの人生と過去を描いたアンソロジー小説。 水島家の長女沙恵は、水島家で雇われていた家政婦志津子の連れ子であった。志津子が後妻に納まり長女となったが、以後も血の繋がりがないことを意識し、とある事件から義理の兄である曉に惹かれていく…。 最初は曉(あきら)から始まり、離婚と義理の母の死から、長年縁が切れていた家族と繋がって行くというストーリーになっている。連作なのを知らなかったので、2本目でまた同じ人が出てきて混乱した(あらすじは読まないタイプ)。 序盤は軽く、後半になるにつれ、出生の秘密や過去の話など、どんどん重くなっていく。しかし、言うほど個々の人生に接点や重なりがなく、長男の貢にいたっては、単にわがままな男の象徴的に描かれており、そもそもの家族での立ち位置が曖昧になっているのは残念である。 また、後半は色々と重い話が来るわけだが、全体に重くなりきらないというか、取材か文章のどちらかが上っ面だけな印象が否めない。むしろ最後2人の話は必要なかったのではなかったか。 この作者は初読だし、この人のキャラクターは知らないが、不倫して結婚できない女と、不倫して都合の良い男は、作者の置かれた立場や家族を反映しているのだろうとは思う。いずれも少しステレオタイプすぎるきらいがある。

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    投稿日: 2020.04.20
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    ひとりしずかを照らす月の蒼い光のような熱量をもった物語。 母、妻、後妻、義理の母である志津子を軸とする六編。 不倫、道ならぬ禁断の間柄、愛を交わしてはならない男女、過去の贖罪と寂寥とした想いと後悔。 いつも、こういった作品の読後は、嫉妬、羨望がないまぜになった座りの悪さが残るのだが。 後半二編は、気持ち良い話ではないが、これはこれで、読後に府に落ちるというかと、希な体験でした。 「幸福とは呼べぬ、幸せもあるのかもしれない~」ここにある家族は、決して不幸ではないのだろう、ありのままである幸せを感じ読了。 やはり、これはある意味で、官能小説なのですよ。 #村山由佳 #村山由佳さん #読書記録 #読書好きな人と繋がりたい #読書 #読書好き #読書倶楽部

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    投稿日: 2020.04.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    母の死から物語は始まる。4兄妹と残された父、長男の娘が各章で語る。 血が繋がらないと思っていて愛し合う次男と長女だが、実は父親が一緒と知り次男は家を飛び出す。流れ着いた北海道で仕事をし家庭を持つが離婚。一方、長女は幼馴染と婚約していたが最終的には婚約破棄。ふたりともお互いの未来はないと知っていてもお互い以外の相手は考えられない。 末の妹は不倫中。昔から人の彼氏や旦那ばかりと付き合う。時間を一時共有できるだけの相手で満足していたはずが、相手にとって自分は守るべき存在ではないことに気づく。 長男も妻子がいるにもかかわらずこれまた会社の若い子と不倫中。それは自分の家から逃げ出す口実。家に自分の場所がないわけではないが家に帰りたくない。そして自分のやりたいこと、つまり居場所を見つけようとする。 長男の娘は昔自分をいじめていた先輩と偶然出会ってしまう。その時に一緒にいた親友がタンカを切って追い払ってくれたが仕返しが待っていた。仕返しから逃れるために親友を売ってしまう。それに悩み祖父に相談してする。 出征経験がある父は未だに戦中に慰安所で出会った韓国人女性と親しくなったことを忘れられずにいる。そして最初の妻の死、2番目の妻の死。自分が生かされている意味を自分なりに見つける。 全体的に暗い。だれも幸せになっていない。読後感はあまり良くない。 あとがきで作者はそれぞれが希望を持った終わり方にしたと書いているが、どうにもその様には思えない。 しかし、近親相姦、不倫、いじめ、父と家政婦の情事とけっこうめちゃくちゃな家族。

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    投稿日: 2020.01.31
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    1つの複雑な家族の短編集。 主人公は兄、妹、父とそれぞれが語り手になっている。 女子高校生・OLから、中年公務員・戦争体験者の祖父まで、1人の作者が書いたとは思えない細かい心理描写。 そこに描かれる家族は一貫して苦しく、難しい。 全ての短編がバシっと完結せず、切ない余韻の中に終わる。 絶望的というのではないが、かといって楽観的にもなれず、必死にもがいてちょこっとだけ上向きになった感じで終わる。 だけど家族の長い歴史が描かれている。 文庫本最後の作者あとがきまで読んでください。

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    投稿日: 2019.12.29
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    冒頭でこの連作短編の主人公とも言える「兄」とその彼女のドラマのようなシーン。 なんだ。。。陳腐な恋愛もの?と思ったら息苦しくなるほどにこの家族のそれぞれが抱えるせつなすぎる思い、苦悩、罪・・・。 そしてその発端ともいえる「父」の過去。 読み進めるわたしの顔は知らず知らずに眉間にしわが寄っていたであろう、苦しくて。辛くて。 兄妹の狂おしい思いに心を寄せいつかどんな形ででも彼らに幸せが訪れますようにと願って。

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    投稿日: 2019.10.14
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    もう一回きちんと読まんといかんやろうな~。どうも前半から、目が字面を追っても脳みそに入ってこない。はっきり言ってしまえば、あまり面白くない。しかし後半の2話が、ヒリヒリするような辛い話で、心が痛くなりながらも読み進めてしまった。家族一人ひとりが主役になる連作短編集なのだが、結局二人分しかまともに読んでいないことになる。もう一回きちんと読まんとなぁ......いつか。

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    投稿日: 2019.09.02
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    読破するには、多少のエネルギーを要します。そういう作品です。不倫、浮気、近親相姦......そのタブーを犯すとき、人というのはこんなにも美しい顔をするのですね。誰かが救われてしまったら、舟の均衡が崩れてしまう。彼らの幸せを、きっと私は願っていません。高校生ごときが知って良かったのでしょうか。痛くて美しい、家族の形です。

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    投稿日: 2019.08.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    夜明けの電話。受話器を置いて、物語が始まる。「母」が危ないとのこと。父は代々の大工である。近親相姦、いじめ、戦争体験などいろいろと贅沢に詰め込まれた話たち。最後は「母」たちの眠る墓で再会することとなった。インドへ旅立つあいさつに来た、と称して。朝と呼ぶには遅く、昼前と呼ぶには少し早いこの時間に物語は終わる。星々の舟という家族は血はどこでも繋がっている。

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    投稿日: 2019.07.09
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    それぞれが悩みを抱える家族の話。話が重い。小説として詰め込みすぎに思えます。この家族、なんだかんだと支えあうより各々己が為に…と言うようにも見える。あと戦争の話が自虐に過ぎる気もするが、著者の歴史観だろうか。聡美の話と重之の話で纏まりが悪くなったような気もする

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    投稿日: 2019.04.02
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    江國香織氏のと違い、複雑な家庭環境で父親が戦争を体験した亭主関白で、父親を中心に反抗から分かり合いまでの経緯が兄妹や孫が主人公になり和解し合っていく。 何故父親が頑なに家族を疎外するのかはみんな分からないけど、父親の戦争の慰安婦と知り合った事で幸せを拒絶してしまっていたのだが妻にも優しく接してあげれなかった後悔が胸を熱くする。 のほほんじゃない家庭だけど、みんなが自分の生き方を見つけ、他人からみると幸せじゃないけどそれでも、強く生きるそんな感じの印象。

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    投稿日: 2019.02.10
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    どうしても忘れたくない文章が沢山あるので、 感想ではなく本文より抜粋します。 p132~133にかけて美希の気持ち。 つかまるものなんか、もう、いらない… 誰と分かち合うこともできない、消せない痛み… p169暁の言葉 いいか。お前は、どっこも変わってない… p197 けれど、15年の歳月は互いの上を等しく流れ… p235貢の気持ち 唯一憎むべき相手がいるとすれば、ぬるい自分である… p337重之の言葉 謝ることで気が済んでしまって… p406 赦されるのを前提に謝ることを詫びとはいわない… p426 叶う恋ばかりが恋ではないように… あとがきより 幸せとは自由であること 幸福とは呼べぬ幸せもあるのかもしれない あとは、ヒトリシズカと言う花の名前を教えてくれた事。 春になったら探してみたいです。 そして、戦争とともに生きた方たちや慰安婦の事。 戦争のことを話したくない方の気持ち。 今まで聞き流してきたことを、自分の頭でちゃんと考えてみたいと思いました。 とても辛い内容でしたが、心に刺さる作品でした。

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    投稿日: 2018.12.19
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    ひとつの家族に起きる出来事を綴った短編集。 それぞれ無くもない話だけどそれが全部ひとつの家族に起きる?って思うほどだった。 それぞれの話は面白くてそれなりに引き込まれたし色々考えさせられるところもあった。 でも最後の締めの重之の物語はなんだかなぁ。 戦争という出来事を真実も明らかになっていない慰安婦を中心に語るのもどうかと思うけど重之自身の性格も昔ながらの父親を描いたのかもしれないけどあまりにも自己中で散々周りに迷惑かけてきたのに年取ってちょっと丸くなって重之自身も戦争を体験して色々あったんだからって勝手にいい話っぽくまとめちゃうのはなんか納得いかなかった。

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    投稿日: 2018.12.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どの話も重たいな。 お母さんの腰を痛めたエピソードがキツイ。それを皆黙っていたのとかも辛い。 重い雰囲気の中、最後の最後にまた出会った2人が少し明るく見えたのが救いです。

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    投稿日: 2018.11.24
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    それぞれに重みがある連作。読ませるのだが、どうしても星5個目を付けられない。なぜだろう。ほぼ全員、どうしようもない。そういう小説もあるが、これは何かキレイにまとまって、いや、何もなく雰囲気だけだったように終わってしまった印象であった。

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    投稿日: 2018.11.03
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    2003年(平成15年)の直木賞受賞作です。 1つの家族のそれぞれの立場からの短編連作で 当たり前ですがそれぞれの思いや人生が描かれています。 最後のお父さんの立場からのお話で、戦争に関する記述、描写に胸打たれました。 読み終わって、登場人物の誰もの心の中の多くを占めている『お母さん』の立場のお話がないことに気づき、そこは想像しろってことね、、、と納得。

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    投稿日: 2018.09.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白くて一晩で読み切った 機能不全とも言える家族は、時間の経過とともに表面上は収まるところに収まったかのように見える。けれども実際には、家族の構成員は満たされない想いや未解決の問題を抱えている。そんな各々の視点で描かれる短編集。 ありがちな家族モノの短編集かと思いきや、良い意味で期待を裏切られた。同じ過去を共有する家族のそれぞれのそれぞれに対する見方は、まるで自分が垣間見ているように没入できた。 この小説では、各々が孤独な傷を抱えているんだけど、過去や人生の意味を見出そうと悩みもがく様は共感したし、とても力をもらえたような気がする。そんなポジティブなメッセージがこの小説の根底には流れている。だから、引き込まれるし、読めてしまう。 だけど、凄惨なDVを受けて息子にも出ていかれた母が早死したことが、まるで美談のように語られるのが腑に落ちなかった。短編集の中に母視点の話は無くて、まるで一人だけ聖人化されてしまって、心の内は知る由もなかったんだけども。 作者のあとがきも良かった。幸せについて自由が大切であると作者は語る。そして同時に、孤独と向き合う必要性も説く。もっとこの人の本を読んでみたいと思わされた。

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    投稿日: 2018.08.27
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    胸が締め付けられて残酷で痛々しい家族の愛の物語。 色んな家族を通して自分の人としての弱さをまざまざと見せつけられて消化していく度に吐きそうになる。 兄と妹の関係。両親との関係。祖父母。孫。 この重過ぎる内容から自分と家族の過去の傷だけがほじくりかえされるようで読んでてとても辛い。 呼吸が痛く感じるよく出来た作品。キツイけど。

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    投稿日: 2018.08.06
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    随分前のものですが、直木賞受賞作品です。 やっぱりこの人の表現力はすごいです。 心の葛藤も、季節の流れも、美しくて切ない。 いくら文章が上手でも、情景描写過多でうっとおしくなる作家さんもいるのに、そうはならない。私の好みなんだろうなあ。。 さて内容ですが、うっとりする文章とは裏腹に、各章ごとに、次男・次女・長女・長男・長男の娘・父親目線で描かれた連作短編集で、かなりヘビーです。 近親相姦、不倫、レイプ、いじめ、幼児虐待、戦争体験など・・・辛い話ばかりでちょっと読むのがしんどいほど。 しかもそれが(家族であっても)人によって微妙に違って受け止められ、その捉え方の違いが憎みあったり諦めたりに繋がってゆくという…なんとも切ない気持ちになりました。 そして、お互いが知り得ない事情を密かに抱えあいながら、最終的には皆ひとりで生きていかなければならない、という当たり前の事実に戻っていきます・・・ 生き続けていくには忘れていくしかないのかなあ、なんて思ったりして。皆忘れられないから苦しんでいるのです。。 それにしても、母の死がきっかけで物語が始まるのですが、一番知りたい母目線の章がないのは作者の意図、でしょうねえ。

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    投稿日: 2018.04.02
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    ひとつの家族のなかでこれだけの物語が書けるってすごいなと改めて思います。 頭の中だけで仕上げられる物語ではないからきっと取材も相当されただろうし、短編集とは思えない厚みのある作品です。 ひとつの方向から見ただけではわからないことが世の中にはたくさんある。っていうテーマを受け取った気がします。

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    投稿日: 2018.02.10
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    表紙とタイトルからしてまず綺麗な夜みたいな美しい印象だったが、内容はそれとは対照的だった。禁断の恋や不倫、戦争など登場人物たちはなにか不幸を背負っている。ただ、著者があとがきで述べているように、どの話にも一条の光が差しているような終わり方をしている。読了後は煮え切らない思いより、むしろキレイな終わり方をしたと思う。

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    投稿日: 2017.11.27
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    村山由佳さんの直木賞受賞作。 とあるひとつの家族、それぞれの視点からそれぞれの想いが語られていく連作短編。 兄妹の禁断愛や、主人と家政婦の不倫なんかもでてくるのですが、そこまで重苦しい雰囲気ではなく、どれも燃え尽くした後もわずかにくすぶっている火種をみているような感じでした。 最後の章「名の気散る」がいちばん良かった。一家の長、父であり祖父である重之の戦争体験と家族への懺悔。 〈幸福とは呼べぬ幸せも、あるかもしれない〉という彼の深い感慨には嘆息せざるを得ない。本当にそうだ。

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    投稿日: 2017.11.23
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    ある家族の一人ひとりが主人公となる短編連作小説。 とはいえ、出てくる話題は、近親相姦、自殺未遂、不倫、堕胎、性的虐待、レイプ、いじめ、そしてなぜか従軍慰安婦、と多種多様の出来事が語られています。 ストーリとしては全6作  雪虫ー次男、暁の視点で書かれた物語 後妻の娘である長女、沙恵との近親相姦の話が出てきます。実は血のつながりがあり、禁断の恋となってしまう物語  子供の神様ー次女、美希の視点で書かれた物語 家族全員と血のつながっているのは自分だけという思い込みを持ちながら、不倫をし、堕胎し、そして別れてしまう物語  ひとりしずかー長女、沙恵の視点で書かれた物語 美人がゆえに性的虐待をうけたり、レイプされたり、自殺未遂までしたり、そして、禁断の恋に悩んだりと一人ですべての不幸を背負っているような物語 これはつらい...  青葉闇ー長男、貢の視点で書かれた物語 堅実な人かと思いきや、やはり部下と不倫してしまう。しかし土いじりが好きで田舎暮らしにあこがれる物語。 うーん、土いじりは癒されますからね。  雲の澪ー貢の娘、聡美の視点で書かれた物語 中学時代のいじめの相手に捕まってしまい、今の友達を売ってしまう、そんなつらいことをしてしまう物語。 これは、読んでいて、つらい。 祖父にあたる重之のフォローがよい。  名の木散るー父、重之の視点で書かれた物語 戦争体験者で、朝鮮人慰安婦に愛情をもってしまい、かつ、その慰安婦が殺されてしまう物語。 なぜ、戦争体験で語るのが慰安婦との関係? ひとつの家族ながらも、いろいろ悩みを持ち、生きているそんな物語となっています。連作ということで、話もつながっています。 しかし、この家族、異性関係にだらしないのでは?(笑) また、ちょっと納得がいかないのが、なぜか最終章で出てくる従軍慰安婦周りの話。なぜ、そんな話がここで出てくるのか理解に苦しみます。 結局、強制連行の従軍慰安婦の話にもって行きたかったの?それとも反戦の話にもって行きたかったの?それまでの家族の話は何だったの? と戦争体験の話がかなり違和感を感じてしまう構成です。 全体のテーマそのものが暗めということで、気分的にもすっきりしない物語でした。

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    投稿日: 2017.11.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最後の「名の木散る」のストーリーに衝撃を受けてしまい、それまでの話の余韻が全てぶっ飛んでしまった。 どの登場人物も一見すると何処にでもいそうな人たちであるが、一人一人心の痛みややりきれない思いを抱えて生きている。けれども最後の家長の壮絶な体験は想像を絶するものであった。

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    投稿日: 2017.11.07
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    近親相姦から慰安婦問題まで幅広かったが、織り込みすぎ感はなく、それぞれの人生と経験がありつつ、一つの家族としてのつながりも感じられた。

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    投稿日: 2017.09.30
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    盛りだくさんの小説。近親相姦あり、不倫あり、いじめありで、どの章も一つの長編になりうる素材。 はじめはドロドロの愛憎劇かと思ったが、一番影が薄い貢の話にすごい共感がもて、それからどんどん話に引き込まれていった。それぞれの家族の話というより、現代社会の問題を取り上げ作者の優しさでオブラートをかけたセピア色の小説と感じた。 あとがきにある「自由」がすべての話を貫いている。満足!

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    投稿日: 2017.08.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何故か私の心に残っている一冊です。 家長、亡くなった母、長男、次男、長女、次女、姪っこ・・・それぞれの物語に、見えない絆で関わりあう互いの存在。短編が続きながら、少しづつ彼らの人生も変化していく。 近親相姦の関係に気づき、苦渋の思いで家を飛び出した次男。残された長女。特にこの二人の行く末が気になり、あっという間に読んでしまいました。 燃え上がるような恋が理不尽に終わった後に残る鋭い苦しみを、これからも抱えながら二人は生きていくのかな。

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    投稿日: 2017.07.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ひと家族のそれぞれの人生とか恋愛とかを書いたもの。重之がずっと嫌な役で出ていたけど、重之も重之でそうなった理由があるのが最後に描かれていた。とはいて許せないよね。 さえちゃんとかは美人だからこその辛さなんだろうなあ。噛み合わない家族だなぁ。

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    投稿日: 2017.07.16
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    わたしはあまり好きではなかった。村山由佳初めてだったんですけど、難しく感じてしまった。自分自身がいい歳の大人になってきたのもあるけど、グサグサ刺さる感じのストーリーでした。これ、もっと子供の頃に読んでたら違ったろうし、更に歳を重ねてから読んでたら更に違ったと思う。「自由であるということ」を突き詰めれば「孤独であること」にも耐えなければならない、という解説にとてもしっくりきました。 お話としては「雲の澪」が好き。まだわたしは大人になりたくないんだなって心底思った。

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    投稿日: 2017.06.07
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    息もつかず一気に読んだ 面白かったなどと言えないかも 引き込まれて 読んでしまわなければ、 兄妹 なのに愛し愛されるてしまった。 許す?赦される?

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    投稿日: 2017.01.09
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    最後の章まで面白かったのに、最後で真偽が疑わしい慰安婦左翼イデオロギー小説に変貌。 騙された感がして残念

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    投稿日: 2016.10.19
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    6つに分けた短編小説と思いきや、すべてが繋がっている。家族一人一人が主人公になり切なく、それでいて、たくましくも感じる。戦争体験のない私に、衝撃的な部分があり、読んでよかったと思う。直木賞受賞作で手元に寝かせてしまっていた一冊。もっと早く読むべきだった。

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    投稿日: 2016.10.03
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    愛してないわけじゃないけれど屈託なく接することができるわけでもない家族。その機微な感情が波のように押し寄せてきて、途中で気分が悪くなるほどだった。しかしこの物語が多くの人の心を揺さぶったというのだから、案外そういう想いを共有できる人は多いのかもしれない。それとも、あくまで自分とは関係のない、虚構として楽しんでいるのだろうか?わからないなぁ。最後に重幸の戦争体験を持ってきたのはすべての責任を戦争になすりつけようとした印象も受ける。筆者の狙いがどうだったかに関係なく。タイトルを船ではなくて船としたところが秀逸

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    投稿日: 2016.08.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    秀麗な文章で淡々と、重い。 苦しくて、辛くて、気がつくと涙がぼろぼろ零れてる。感動したのか、可哀想なのか、訳のわからない涙にまみれて、やがてただ泣きたかっただけなんじゃないかと思えてくる。 人は、孤独。誰とも完璧には解り合えない。 でも。ひとり、でもない。 切なくて、愚かな、煌めくような人生。

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    投稿日: 2016.05.13
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    家族一人一人の過去を 心の傷も含めて回想する。 全体からするとメインといえる章は、 異母兄妹の一言で言えば禁忌の愛だが、 村山由佳さんらしく一切もやらしくなく 清らかで水々しく描写されている。 厳格な父、重之の戦争中の回想 この最終章がすごく心に刺さる。 現代の私たちが到底理解できない、 しかし確かに存在した 慰安婦との心の交流。 故郷に帰れず、辱めを受ける女性。 そんな彼女を心で大切に思う重之。 この時代に許されなかった交流。。。 目を背けたくなる兵隊たちの言動。 こんなに残酷な描写も見事。 涙なしには 読み進められません!

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    投稿日: 2016.03.26
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    昔馴染んだ作家だけに、読みやすく、するすると読み進めた。思い出したくなかった過去の記憶が湧いてきた時に、そんな本は読むなと言われた時に、やめるべきだった。最後の幾つかは読んだことがあった内容で、しかも、忘れたくても忘れられない心がえぐられるような恐ろしさで。あぁ。この本は、確実に手放すべきだ。

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    投稿日: 2016.03.10
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    禁忌と戦争をテーマにしたストーリー。愛してはいけない人を愛してしまった女性と、戦争での体験を頑なに口にすることを拒む祖父。それぞれが乗る船は、どこへ行きつくのか?

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    投稿日: 2016.02.23