
総合評価
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powered by ブクログ5つの話に登場する女性たち、全然好きなタイプではなく、かなり嫌悪感を覚えるタイプだった。ところがそのような女性たちを書き上げた作者がすごいと思った瞬間、大好きな一冊になってしまった。
0投稿日: 2026.01.18
powered by ブクログ短編集だが、ストーリーの中の主人公はそれぞれ葛藤の中にいて苦しみや悩みを抱えているという点で共通している。 登場人物には共感する事も多かったが、特に最初の主人公の態度には共感するものが多かった。 自分の過去の苦しみを盾にして言い訳をして逃げようとする姿勢やある日突然やる気をなくして無気力状態に入ってしまうところなど、自分も生活しててあるなぁというリアルな人物像が描写されている。 それぞれの短編はスッキリ終わる感じというよりも何かしこりのようなものが残る終わり方をする話の方が多く、その点も含めてリアルだと感じた。
0投稿日: 2025.12.03
powered by ブクログ歯切れの悪い終わり方、、でもそれがいい。 余韻に浸りながら、熱いお茶を飲んだ。 知らない人の人生を覗き込んでしまった、という感じ。 人の中で生きていくって難しい、
0投稿日: 2025.11.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
〜1周目〜 2025.11.08 人は他人から向けられた善意を嫌だと思うこともあって、きっと自分も他人に向けて同じようなことをしてしまっているのだと思う。 だけどそれでも言葉で話したり、見たり聞いたり感じたり一緒に時を過ごすことの大事さを感じた。
1投稿日: 2025.11.08
powered by ブクログみんな違ってみんないい、なんていう博愛充ちた素晴らしいハッピーワードがあるけど、みんな違ってみんなダメ、と言った方が実際には近いのだろう。 誰しもいい所も悪い所もある一方で、目が行きがちなのは悪い所。この本はそんな、人の悪い所に集中して目を向けたような本だった。 25年前の2000年前後では、牧歌的めしくは山谷あるサクセスストーリーが多く、こんな負のオーラを纏いきった本は珍しかったのかもしれない。しかし、価値観が多様化し、本のスタンスも幅広がった現代では、ストーリーというか設定はなんとなく陳腐に感じた
0投稿日: 2025.10.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
出てくる主人公が無職で、イヤな人、めんどくさい人ばかりなのにどこか親近感を覚える。やらないけど思ってることなんだろうな。いきなり終わる作品が多く読みやすい。何度も読んでるけど、やっぱり山本文緒最高だ。設定が古いのに今でも通じるいやらしさ。 最初のプラナリアが一番好き。乳がんで片切除、再建したが他人からいい加減元気になって働けという圧を感じ不満。だってその後も不調に苦しんでるのにどうして私だけ…という表現が本当にうまい。そりゃそうだ、他人から癌サバイバーを誇ってるように思われたって自分自身は辛いんだもんね。その気持ちの表し方は 自転しながら公転する でも感じた。目に見えない不調を抱える人には刺さるなあ。 ハッピーな結末でないのがリアルでいい。
1投稿日: 2025.10.19
powered by ブクログ恋愛小説というのを読みたいと思って、読んでみた。 蓋を開けてみると、自分自身も共感できるような社会での生きづらさやなんとなく感じている疎外感をすごく感じられる作品だった。 短編集ということもあり、作品によって考える事や口調が違って、自分としては少しイラッとする人もいたが面白かった。 読んでスッキリはしなかったが、少し自分の心の整理がついたような気もした。
0投稿日: 2025.09.29
powered by ブクログステレオタイプ的な生き方を強制されて、そう生きたら否定され、吹っ切れていくさまがよかった。 四十代深夜パートの短編が一番好き
0投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログ仕事テーマの短編集と聞いて私生活と仕事の両立についてのテーマを期待して読み始めたが、全然違う切り口の話ばっかりで自分の生きてる世界の狭さを感じる とともにやっぱこの時代は景気いいよなあという感じがする、羽ぶりがいいしすぐに誰とでも寝る 働かなくても生活に直結しない感じがあんまり親近感を持てなかった 自立して考えをまとめて話し合って仕事をできない、の背景には大体毒親が背景になって自分の子持ち願望にちょっと怯んでしまう
0投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログ淡々とした話の進み方ながら、最後は何かお腹にドッシリくるものがある感覚でした。 ハッピーな気持ちで終えることのない話ばかりでしたが、そりゃ色々あるわなぁと思ってしまう。生きてる限り、エンドはない。人生の一部を細かく言葉で紡がれたたものを読めば、私の人生の悲しいことも辛いことも、ここで終わりじゃないもんなって思えた。いい時も悪い時も、それは道半ばでしかないんだ。
0投稿日: 2025.09.15
powered by ブクログいろいろちょっと変わった価値観の人達の話だった。 ちょっと斜に構えて物事を見てる感じが面白いと思った。
0投稿日: 2025.09.13
powered by ブクログ山本さんの作品で1番今は共感できない、というか抽象的でふわふわしているなという感想。もう一度読んだらわかるかな 日常から逃げることと逃げないこと、自由と束縛、そんなイメージの短編
0投稿日: 2025.09.06
powered by ブクログ直木賞を受賞した短編集。リアルで生々しい心情描写は流石です。全体的に読みやすい文章で、救いのない話が多いながらも、読後には独特の余韻が残ります。 名作『恋愛中毒』の濃度を保ちつつ生活語の精度をさらに研ぎ澄まし、後年作へ連なる“生の鈍い光”を確立した転換点となる作品かと。定期的に読んでしまいます。
10投稿日: 2025.08.24
powered by ブクログばにらさまを読んで、山本文緒さんにはまり、こちらも読んでみました。 表題作の「プラナリア」は 主人公がびっくりするくらいひねくれもので、いや、もうちょっとやり方あるやんと思いながらも、所々に気持ちが分かる箇所もあって。 「人の御恩には感謝しないと」と思いながらも、「もういいのに」と思ってしまったり。 そういう事ってきっと誰にでもあるのかも。 人それぞれの心の動きをすごく繊細に、そして鮮明に描かれていて すごく引き込まれました。
1投稿日: 2025.08.14
powered by ブクログ色んな無職の女性を描いた直木賞受賞作。 5つの短篇集です。 働くことの意味、働かないことの意味を考えさせられました。
1投稿日: 2025.08.09
powered by ブクログ〝働くこと〟〝働かないこと〟をテーマにした五編の短編集。 〈プラナリア〉 乳がんを患い右胸を失った26歳の春香は四週間に一度の病院通いの他は仕事もせずブラブラして過ごしていた。自らの病を事あるごとに駆け引きのように持ち出す彼女に周りは辟易していた。 〈ネイキッド〉 二年前夫から一方的に離婚を言い渡され、夫の会社で働いていた34歳の涼子は自動的に職も失うことになった。無職になって二年。古びた1LDKにこもって編みぐるみを作ったり、持て余した時間を漫喫で過ごしたりしていた。 〈どこかではないここ〉 43歳の真穂は夫がリストラにあい、減ってしまった収入を補うべくパートに出たり節約したり家族の為に一生懸命頑張ってきたのに「お母さんみたいになりたくない」と娘の人生からリストラされてしまった。 〈囚われ人のジレンマ〉 25歳の誕生日に美都は長年付き合ってきた恋人に「そろそろ結婚してもいいよ」と切り出された。しかし働き始めていた美都はまだ学生で親からの仕送りで生活している彼との結婚に戸惑いを感じていた。 〈あいあるあした〉 36歳の真島誠は大企業と呼ばれる会社で営業をやっていたが仕事に忙殺され女房に浮気の末離婚をされ、当時6歳だった最愛の娘とも離れ離れになり、居酒屋のマスターとなった。そこに働かない女 すみ江が転がり込んできた。 個人的に好きだったのは〈ネイキッド〉と〈囚われ人のジレンマ〉。 〈ネイキッド〉 涼子はもともと仕事のできる人だ。夫婦でやっていた店を繁盛させようと先走ってしまい夫婦間に溝ができてしまった。利潤を追求する彼女の働き方を夫は〝さもしい生き方〟と言った。 確かに人それぞれの働き方があるとは思うけれどそれは ちょっとヒドイと思った。この話の終わり方はホッコリしていて好きだった。 〈囚われ人のジレンマ〉 美都と恋人の朝丘は大学の社会学部の心理学科で同級生だった。 心理学というのが面白かった。〝朝丘君と私は大きいケーキを相手に押しつけあっている卑屈な子供だ。彼と私はそっくりなのだ〟という文章には なるほどなぁ と思った。いつまでも 弱者のままでいたいというズルイ気持ちはわかる気がする。 良い短編集でした。
10投稿日: 2025.08.08
powered by ブクログまだ私には早かったかも… 5作を集録 プラナリア…乳がんになって乳房を切除した女性の話。はじめは、闘病のストレスから性格が歪んでいるのではないかと考えたが、彼氏や友人に八つ当たりし、勝手に親しみを覚えた女性に勝手に失望し、終いには悪びれず無断欠勤を行う。奔放に逃げていく姿は、人間の弱さを、まざまざと見せつけている気がした。 ネイキッド…職を無くし編みぐるみにハマった女性の話。かつてはバリバリと仕事を行う。キャリアウーマンだった。仕事をなくし、その暇をもて遊ぶかのように編みぐるみを始める。いろいろな人に奢られることによる情けなさを感じ、かつての部下と付き合い出すも、それさえ自分の心を慰めるとこうだと言うことに気づく。ラストの子供の無垢さに触れて泣き出してしまうシーンには心を締め付けられた。 どこかではないここ…息子娘は生意気になり夫とは常に表面だけの関係。母への訪問や夜中のバイトなど自分の存在がぼんやりと分からなくなってしまっているように感じた。ホテルに誘った人に容赦なく防犯ブザー鳴らしたのは笑ったけど。 囚われ人のジレンマ…博士課程の大学生と社会人の女性の話。男側が結婚を迫るが、女性側は浮気をしている。男側は母をも持ち出し、指輪を送るなどどんどん詰め寄ってくる。お互いに損得を考え合って噛み合わなくなっている。 あいあるあした…この5作品の中で一番好きかも。居酒屋の店主と勝手に占いを始める客。別にこの女性は特段美人に描かれているわけではない。だが、しかし、店主は女性の色気に惹かれていく。自由奔放な女性に悩まされ、突き放し、求める。ラスト店主の娘が登場しピースがハマった時は気持ちよかった。
0投稿日: 2025.07.13
powered by ブクログふと目に止まって、なんとなく買って、読み始めたら一瞬だった。 綺麗事とかじゃなく、人間の生々しい感じがとても好きでした。 軽く読書スランプだったけど、またいろいろな本を読みたいと思えました。
14投稿日: 2025.07.10
powered by ブクログ表題作の「プラナリア」が一番印象的だった。 小説として読むと主人公は若くして乳癌になった自分を拗らせてしまっている印象も受けるけど、現実で想像したらそりゃそうだよな、と納得。 子どもの頃は体の不調=治るもの、一時的なもの だった。 だけど年を重ねるにしたがって完全に治ることは無くうまく付き合っていくという不調に遭遇するようになって、自分の体との向き合い方が変わった。 幸い大病をしていない私でさえそうなんだから、健康な体に対する喪失感ややり切れなさは計り知れないだろう。 乳癌になった事は主人公の中ではまだ終わっていなくて、今もずっと続いていること、というのが心に残った。
11投稿日: 2025.07.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
最後のあいあるあしたは主人公の娘さんが結構印象的だったかも。小学生のときに離婚して、お父さんと離れ離れになってもこうして娘が会いにくるということは、娘自体はお父さんのこと嫌じゃなくむしろたぶん好きな方だと思うからこそ、娘のことを考えると男に浮気したお母さんの方に預けられたの結構しんどかったりしたんじゃないかなとか、娘自体はでもお母さんも良いところあるしとかなんとかは良い子そうだから思ってそうではあるとも思った。
0投稿日: 2025.07.04
powered by ブクログ社会人経験と無職経験がある自分には読むのが苦しかった。特に2作目のネイキッドと5作目のあいあるあしたは、共感し刺さる言葉が非常に多かった。 どの作品も「ここで終わりなの?」というような構成だったが、読後にも登場人物達のどうしようもない明日を想像してしまい面白い。それぞれの明日を想像する中で、本作のタイトルであるプラナリアという生物が「再生」を象徴するものだと思い出す。 何を持ってして再生と言えるのかは曖昧だが、5作目の終わり方はそれを感じることができた。
2投稿日: 2025.06.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
山本さんはどこか闇もあるし言いようのないままならない感情をいつも言語化してくれて直木賞受賞作の中でも好きだった。自分が無職に近いから余計に。一、二、四作目が特にすき。一作目の老人が「出口を教えて」というのを主人公が最後に言うのが上手い!主役以外もすごく効果がある。 角田光代さんとかの解説欲しかったなー! 『ナイフを持たされてケーキを半分に切りなさいと言われた子供のように、彼が必死に自分の欲と得を考える顔をした。きっと私も長い間こんな顔をしていたのだろうと思った。』 ・プラナリア 乳がんになってから働く気が起きない。生まれ変わったらプラナリアになりたい。病院で知り合い雇ってくれた美人が乳がんとプラナリアの本を送ってきて、無断欠勤の末辞める。プラナリアになりたいという人生の非生産な投げ出しを根本的に理解せず、じゃあ生態を知るべきだと言う美人の怖さ。 ・ネイキッド 離婚し夫の会社を出て無職。前の部下と出会い好かれるが結局疎遠に。友人の子供が「友達がいて楽しい」から学校へ行くと言われ泣いてしまう。 ・どこかではないここ 夫のリストラを機に夜パートに出て昼は母の相手をし義父の病院へ通う。娘から本気で家を出たいと告げられ、息子には自立しろと殴る。 ・囚われ人のジレンマ 博士の彼、社会人の私。父は過保護。プロポーズされるが気は進まないし浮気もする。囚人のジレンマの様に彼と私は大きなケーキ(責任)を譲り合う。 ・あいあるあした 離婚し脱サラして居酒屋を始める。定期的に娘の髪を切る。客の手相観の女に失踪され探すと、好きだけど結婚か仕事を押し付けるなと言われる。
1投稿日: 2025.06.12
powered by ブクログ山本文緒さん作品1作品目の読書。 短編集 短編に慣れてないので、読むのは少し時間がかかったけど、描写が上手で話に引き込まれた。 色んな設定、主人公の生い立ち、 これからも、山本文緒さんの書かれた小説をもっと読んでみたいと興味を持った。 ポストペットというキャラクターが懐かしく感じた。
0投稿日: 2025.04.24
powered by ブクログ直木賞作品ということで読んでみた。短編集で難しい文章もなく、読みやすい。けども、どのストーリーも先行きが不安なままプツッと終わる感じで、スッキリ終わらないというか、名残惜しい感じがある。山本文緒さんのストーリーは、そんな風に先を考える余韻を残したままであることが多いのかなあ。だからこそ色んな予想ができて、型にハマらないのが好き。
2投稿日: 2025.03.18
powered by ブクログ前向きにがむしゃらにしか働けない私には、無職の人の理解には、到底とどかない。どのカタチが人のしあわせなのかは、誰にもわからない。可哀想なんて思っても思われてる方は可哀想だなんて思ってない。人のことなんてやっぱりわかんないよね。って思う、
0投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログ「無職」をめぐる短編集 直木賞受賞作の帯に惹かれて購入 人生のままならなさや、解決策のない難しさ、人との関わりの煩わしさなどが詰まっているので、読後感はモヤモヤ。 無職でいることの後ろめたさや劣等感、焦燥感、寄るべのなさなどが表現されていて、読んでいて苦しくなる。でも人生とは、こういう苦しさや訳のわからなさがたくさんあるものだよね、とも思う。
2投稿日: 2025.02.06
powered by ブクログ全編モヤモヤしたしたまま終わった、けど上手くまとまらないのが生活で人生だよな〜と思った 自分を大切に思ってくれてる人を裏切りたくなってしまうのちょっとわかる
0投稿日: 2024.12.31
powered by ブクログ仕事も恋愛も宙ぶらりんなアラサーに刺さる小説。 。理屈じゃない。人間ってこういうもんだよね。人生もハッピーだけがエンドじゃない。
0投稿日: 2024.12.28
powered by ブクログ重い!!!!! 読むのしんどかった〜…ヒヤヒヤハラハラした… 癒しの時間にはならなかったけど、心が揺れたということは良書だということなのだろうか 全部で5つの短編で構成されてるけど、先頭の2つは主人公が無職 無職経験者としてはその時の不安だった気持ちや周りから働くことを促されることへの圧迫感をありありと思い出さされてしまうというか… 苦しい。 あとこの本を読んでいわゆるダメ男が出てくる物語無理だって思っちゃった 最近読んだ寺地はるなの『今日のはちみつ明日の私』も然り
1投稿日: 2024.12.14
powered by ブクログ“働かない”が出てくる分、“働く”描写も同じくらい出てくるのだな、と謎の感心をしながら読みました。 ほんとちょっとしたお話が多いけれど、時々ヒュッと切れ味よく刺さってくる文章もありました。出てくる人はみんな淡白ですね。。
10投稿日: 2024.12.10
powered by ブクログ誰でもうっすら感じてる「なんか足りないどっか違う」の中で過ごす女性たち+男性の短編集 それぞれなんとなく理由はあるけど、じゃあそれを解決したいのか解決するべきかというとそれもしっくりこない 今風に言うなら雰囲気で生きてる人たちのお話 でもそれは自分でもあり 所帯臭さや人情を感じさせる文体ではないのに、生きるのにはそれがやっぱり必要だなぁと思ってしまった一冊
0投稿日: 2024.12.08
powered by ブクログこの短編集の語り手はほとんどが女性だが、最後の作品だけは男性。それで思った事は、男性を語り手にすると山本作品にしては毒が抜けるということ。別にそれでつまらなくなってるわけではなく、よくできたいい話だと思うのだが、山本成分が薄くなっていることは否めない。
2投稿日: 2024.10.19
powered by ブクログ主人公自身または家族や恋人が無職である短編集。 あんなに引き込まれたのに、読んだ後内容を覚えてないのがすごく不思議… 多分、心理とか情景が身近、というか日常的で自然すぎて 自分の中に溶けてしまったからだと思う。 気軽におやつとか、軽食とかスナックを 何かしながら食べているような そんな感覚の本。
1投稿日: 2024.10.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
124回直木賞受賞作。乳がんの手術後に生きるのに面倒で社会復帰に興味が持てない春香。豹介はそんな春香を見守り寄り添い続ける。春香はホルモン療法によりめまい、ほてり、疲労感、倦怠感が続き性欲が湧いていない。そんな自分はプラナリアになりたい!と思う。そんなころ、入院中知り合った美人の永瀬と出会い仕事を持ち掛けられ了承する。永瀬は良かれと思って、乳がん体験記、プラナリアの写真を春香に送る。ここで春香の心のやさぐれは頂点に達する。1人の女性の術後の苦悩、働くことの苦痛、対人への倦怠感。なんだかリアルに伝わった。⑤ https://prizesworld.com/naoki/senpyo/senpyo124.htm 「書きかたも随分手慣れていて、チャランポランのようでありながら、すぐに読み手を引きこみ、触手のようなものがまとわりついてきて、はなしてくれない。」「とにかくおもしろかった。こういうのを、「天然の資質」というのだろうかと、ひそかに思った。」BY 津本陽
52投稿日: 2024.10.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
モヤっとするけど、なんか爽快。ほぼ全てがそんな終わり方で、不思議な気持ちに包まれた。個人的には最後の話が1番ハッキリとしたハッピーな終わり方なのかなと思った。好きなお話だった。長年の主婦がパートに出る話では、娘から色々言われるシーンで、自分も考えさせられるものがあった…
1投稿日: 2024.08.20
powered by ブクログ【出版日】: (単行本)2000年10月 (文庫本)2005年9月 【読書日】: 2001年某日、大学の本館図書館にて cf. 【購入日 / 読書日】: 高校~大学時代 『パイナップルの彼方(1992)』 『ブルーもしくはブルー(1992)』 『きっと、君は泣く(1993)』 『ブラック・ティー(1995)』 『絶対泣かない(1995)』 『群青の夜の羽毛布(1995)』 『シュガーレス・ラヴ(1997)』 『紙婚式(1998)』 『恋愛中毒(1998)』
0投稿日: 2024.08.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
親子だとしても赤の他人だということ 赤の他人だとしても親子だということ 自分に重ねてしまう話が多かった
0投稿日: 2024.07.29
powered by ブクログう、うわぁいいとこで終わらす!!!ずる!ラブリングの件が一番響いた、どうすればいいのここには結末はひとつもないんだよ〜〜
0投稿日: 2024.06.14
powered by ブクログ自分の卑しくて嫌いで見たくない、でも変えられない、いや相手のために変える必要なんてなくね!?と意固地になってるやっぱり弱いところを、さらけ出したカンジ。自分でもよくわからないモヤる感情を丁寧に表現していて、なるほどと思うところはあるが、読んでいて、気持ちのいいカンジはしない。どこか自分にもあてはまる感情だったりするからねぇ…。
0投稿日: 2024.05.25
powered by ブクログ短編プラナリアを含む5話直木賞受賞作品 乳がんの女性の話。離婚から立ち直れない話。介護子育てパート、いつまで働くんだろうと共感した話。損の種をまいてるのは自分なんじゃないかの落ちの話。手相居酒屋。 生きていくってほんとに大変
2投稿日: 2024.05.22
powered by ブクログさすが芥川賞作品。と、唸る気持ちと、読後少し経つと記憶に残ってない感じが不思議。他者から善意を文字通り受取拒否という人柄ってあるよね。という現代人にうっすらある共通認識を文章にした感じ。
0投稿日: 2024.05.07
powered by ブクログ自分の中にある醜い気持ちを さらけだされたみたいで なんとも言えない気持ちになった。 そんな気持ちを抱えても 日々生きていかなきゃなんだと すごくリアルな話だった。
1投稿日: 2024.04.08
powered by ブクログ自転しながら〜を読んで惹かれた山本文緒さん。 プラナリアは婚期や恋愛に苛まれるリアルな女性の一部を切り取った短編集。 全作がえっここで終わるのかーーって区切り方なのが気になったが、進めるたびにそれが後を引いてその後を想像したり幸福になれてればいいなーってひっそり応援したくなる読後感でした。 人生の分岐点って思い悩むよね。 大事なものが目の前にあるときって妙に寄り道したくなるの、盲目だなーってつくづく思うよ。
46投稿日: 2024.02.29
powered by ブクログ“直木賞受賞”に惹かれて手に取った1冊。 言葉を借りるなら 〈働かない〉5人の女性が描かれていた。 最後まで読む事はできた。 でも20代前半の 社会人数年目の私には 彼女たちの心情を想像することも 理解することも出来なかった。 〈働く〉とは、〈働かない〉とは、、、。 歳や社会人としての経験を重ねて 様々な体験をして ひとりの女性として 彼女たちの事を理解できるまで成長できたとき その時もう一度読みたいです。
12投稿日: 2024.02.29
powered by ブクログ山本文緒さんの作品は大好きなのでこれもすぐ読み終えた。ちなみに恋愛中毒と自転しながら公転するが個人的ベスト。 プラナリアはファーストプライオリティをもっと膨らませた感じ?なんというか地続きな日常の一部を描写していて、一番綺麗で幸せな時を過ぎた女性のいまがリアルに描かれている。 まだ自分が読むには早過ぎたのかそこまで感情移入はできなかったのが残念。
6投稿日: 2024.02.03
powered by ブクログ「無職」をテーマにした話だったので手に取った。中でも「ネイキッド」が私に刺さるフレーズが多かった。答えが用意されている訳ではないけど、なんとなく「分かる」ような短編集であった。
1投稿日: 2024.01.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とある日常の中に少し亀裂の走るような出来事を書いていると感じて、面白かった。 特に好きなのは「どこかではないここ」の章。やり切れなさや諦め、落胆、自分の置かれた立場、娘と息子の弛んだような甘さや反抗期、反発するに耐えない緩い夫。母として日々を過ごす中で、この母はずっとハイライトのない目をしていたような情景を感じていたが、息子を殴りつけたシーンでパッと明るくなったように思う。読んでて気持ちのいいシーンだった。
0投稿日: 2024.01.05
powered by ブクログ1/3山本文緒さんの本を読むのは2回目。読み手を裏切るテクニックがよく使われている印象。この短編集、一話のなかでたくさんの要素が絡み合って、要約が難しそうなお話ばかり。そういう複雑さが魅力的だ!一話につき一メッセージって構造じゃないから読む時期によって捉え方も変わるんだろうな。何度も読んでみたい本。「囚われ人のジレンマ」がお気に入り。主人公と歳が近いこともあって1番共感できた。それから主人公が自分に似ている。謙遜していそうで実は心の奥で相手のことバカにしてるところとか、関係持つ人みんな自分より優れた社会的地位を持つ人なところとか。全部似ている気がする。
0投稿日: 2024.01.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初めて読んだ山本文緒さんの作品。 どの主人公もひねくれ、弱い部分があり、あまりにもリアルな心の澱をさらけだしている。 特に表題作である『プラナリア』のルンちゃんは、病気である自分にアイデンティティを感じてしまうほどのこじらせっぷりが印象的だった。 家族に乳がん患者がいるため、手術して治療が終わりでないこと、病院でめちゃくちゃ待たされる上に診察は秒で終わること、ホルモン治療がつらい(しかも見た目にはわからない不調がある)こと、周囲から「治ったなら普通に生活すべき」という目で見られることなど、繊細で解像度の高い描写に驚いた。 ルンちゃんの家庭・病気・人間関係ひとつひとつを掘り下げたら、それだけで長編が書けそうな情報量だ。 いつまでも『かわいそうな自分』でありたいという気持ちや、『みんながみんな立ち直れるわけではない』という現実。 もちろんふっ切れたら楽だ。前を向かなきゃ自分のためにならない。 とはいえ25歳の女性が片方の乳房切除を経験したら、ルンちゃんのようにひねくれてしまうのはある意味当然なのでは? 自分のせいでもない、他人のせいでもない事象のはけ口ってどこなのだろう。 周りに迷惑をかけて呆れられ、時間をかけて遠回りして、じんわりと受け入れていくしかないのかもしれない。 ルンちゃんはそんな遠回り中の、葛藤と鬱屈の渦でもがいている女性のように感じられた。 『あいあるあした』が人気のようだけれど、私はあまり好きになれなかった。 他の短編と違って予定調和感が否めないこと、大将が36歳!?態度や口調から考えると50がらみでは?という点が気になってしまった。 他4編はとてもよかったです。 山本文緒さんの他の作品も読んでみたいと思える、よい短編集でした。
2投稿日: 2023.12.27
powered by ブクログ自転しながら公転する がよかったので、山本さんいろいろ読んでみようと思い、まずは直木賞のこちらから。 女たちのやさぐれっぷりが気持ちいい。小説だからと言って、うまくいきました、と終わらない、終わり方も好きだ。振れ幅が少ない心情だけど、ジワーッと沁み入ってなんか泣けてくる。 レビューは、共感する、しないがはっきりハッキリ分かれるのが面白かった。それがのまま、その人の生活をあらわしてるんだろなあ。女性だと、年代によるかもしれないが、どうしようもなく不安にかられたり、何もかも無駄に思えたりすることはあるんじゃないかな。
1投稿日: 2023.12.17
powered by ブクログ山本さんの作品を読みたくて購入。 今回は各話の主人公にあまり共感はできなかったけど、いろいろな人生があるんだな、人間模様があるんだなと思いながら読んだ。 最後マジオさんがなんで言葉が出なかったかわからなかった、、知りたい
0投稿日: 2023.12.01
powered by ブクログ卑屈な女性ばかり出てくるのでなんだか読んでて気分が下がる。最後の章だけが救い。それにしても、この小説だけに限らずだけど、別れた妻や夫がお金持ちの人と再婚するというストーリーが多い気がするなー。
0投稿日: 2023.11.29
powered by ブクログ新幹線でちょっと時間つぶしのつもりがそれぞれ短編が面白くてわざと時間かけて読みました。だらしなくダメな女にいらいらしながらいつのまにか共感してしまう。わたしもこっち側のタイプだな。どの話も最後は明るく前を向いていく。無理に変わろうとしなくていいんだって思えます。
4投稿日: 2023.11.18
powered by ブクログおすすめされた作者様。 初めまして。よろしくお願いします。 前回に続き、これまた短編集。 長編読んでみたかったが、これも何かの縁。 女性じゃないと読みにくいかも…と聞いていたので、ちょっと構えてたが、全くそんなことはなくサクサク読めた。 あっさりとした内容で進みつつも、要所要所で濃い味が潜んでおり、不意打ちのように終わっていく。 まるで無化調ラーメンのよう…。 いや、何言ってるんだ俺? やはり感覚的なものは表現が難しい。 全体的に『無職』がテーマになってるのかな? 色んな角度からの『無職』のワンシーンを切り取って貼り付け合わせたような、日常から脱却しそうな、しなそうな… とにかく、いい意味でモヤモヤを感じる短編5作だった。 山本文緒さんの1冊目としてはいいチョイスだったのでは? 他の作品も早く読みたくなりました。 有意義な読書タイムをありがとうございました この読後感を噛み締めつつ どことなく、村田沙耶香さんのコンビニ人間を思い出した。
3投稿日: 2023.11.15
powered by ブクログ気持ちわからないでもないけど… それは違うやろーと思うお話ばかりで あまり共感は出来なかった。 当然、人によって考え方価値観が違い 「あーこういう人なんやね。」と認めることは 頑張ってするかもしれないけど、仲良くは できないかもなぁ。 と思いながら読んでいました。
17投稿日: 2023.10.28
powered by ブクログ何もかもいやになる、という部分で がんではなく別の病気 (例えばうつだったり精神的な病気) なのではないかなと思って読んでいたけど なんとなく、主人公は『がん』という 病気に甘えているのではないかとも思った。 がんだから恋人を傷つけちゃう がんだから友人の嫌がることをする がんだから親のいうことを聞かない がんだから何をしてもいいわけではない とも思った。 でも私はがんになったことはない。 がんだから何をしてもいいわけではない、 という考え方は酷いのだろうか。 25歳になっているのに、 この先の幸せが見つけられないような 暗いトンネルにいるような終わり方が 何とも言えなかった。
0投稿日: 2023.10.25
powered by ブクログ山本文緒さんの本は初だけど、面白かった! 少し前の本なのに、今と価値観がだいぶ違ってて、ここ10年で日本も変わったなあと思った。 最後の話、こう終わるのかと思って、あったかい気持ちで読了できて良かった。
1投稿日: 2023.10.15
powered by ブクログ主人公だけではなく、周りの人たちが何を思っていたのか知りたいと思いました。 ありがとうございました。
0投稿日: 2023.09.19
powered by ブクログ初山本文緒さん本。女性陣のキャラが立ちすぎですごかったです。女性の心理描写がとても得意とは聞いていましたが、ここまでとは思いませんでした。1番好きなのはやっぱり「あいあるあした」なのかなぁ。
3投稿日: 2023.09.14
powered by ブクログ1999(平成11)年から2000(平成12)年にかけて発表された短編5編を収録し、2000年に単行本として刊行された。 吉川英治文学新人賞を受賞した『恋愛中毒』(1998)のあとに直木賞を受賞したのだが、その受賞の対象が本書の表題作なのか、短編集全体なのかがよく分からない。 巻頭の表題作はあまり良くないと思った。乳がんという経験により複雑な心を抱えた女性主人公「私」は、あまりにも扱いにくそうな・面倒くさい人物像で、その心の在り方もあまり整理されていないように見えた。 むしろ、2番目の「ネイキッド」の方が良かった。それと、特に良いと思ったのが最後の「あいあるあした」。珍しく男性主人公の一人称体だが、男として読んでも不自然なところはなく、登場する女性「すみ江」の像も生き生きと魅力的だし、ほっこりとするようなウォームな物語で、終わりの辺りは感動的だった。 『再婚生活 私のうつ闘病日記』(2007ー2009)ですっかり身近に感じた山本文緒さん、あまり派手なところのない作家ながら、平凡な日常と心を描いてなかなか良い小説を書いている。本書は一般向き小説家としては初期の作品だが(その前にコバルト文庫みたいなジュニア小説を書いていた経歴がある)、後年の作品も読んでみたい。
1投稿日: 2023.08.11
powered by ブクログ短編が5篇入っている短編集。どの話も、起承転結がほぼなく、ある人の人生の一時期を切り取ってそこに置いたような話。 え、そこで終わるの?という話が多くて、さらさら読んでしまえば、読後に残るものが、若干の居心地の悪さくらいしかない。が、振り返って考えてみると、いろんなことを考えさせられる気もする。 病気と一生付き合うということ。働くということ。人はなぜ働くのか。女の人生とは。結婚とは。セックスとは。 『プラナリア』乳がんだった女の人の話 『ネイキッド』離婚して職を失い、暇つぶしに編みぐるみやHP制作をする元•雑貨店の女の人の話 『どこかではないここ』夫がリストラされ、減った給料を賄うために深夜パートに出る専業主婦の話 『囚われ人のジレンマ』心理学の院生の彼から、大手通信機器メーカーのユーザーインターフェイス部門に勤める彼女がプロポーズされるが、な話。セックスレスと浮気。 『あいあるあした』居酒屋を営むバツイチの男の子と、働かずに男の家に転がり込む、手相を見れる女の人の話。
0投稿日: 2023.05.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
プラナリア 著者:山本文緒 発行:2005年9月10日 文春文庫 初出:プラナリア(小説現代99年7月号)、ネイキッド(小説新潮00年3月号)、どこかではないここ(オール讀物00年2月号)、囚われ人のジレンマ(オール讀物00年8月号)、あいあるあした(オール讀物00年10月号) 山本文緒という作家は初めて読んだ。書名にもなっている短篇「プラナリア」は、2000年下期に直木賞を受賞した作品。読んでみると、これはエンターテインメントというより、純文学、芥川賞の対象ではないかと思える。デビューがエンターテインメントの雑誌だったとかで、ずっとその烙印を押されているのかも。 「あいあるあした」以外の4作品は女性が主人公で、なかなかに大変な人生を送っているが、書かれたのが四半世紀近く前だけに、現代とのタイムギャップはかなり感じる。やっぱり、ちょっと昔の男女像かも。 最後の「あいあるあした」が一番エンタメ的な小説だった。男と女、お互いの距離が分からないままだが、本当は両方とも思い合っている。離婚した妻との娘がそこに間に入り、ゲイのアルバイトもいい脇役で入り、最後はちょっとばかりのどんでん返しで、まあハッピーに終わる。 【プラナリア】 上原春香は24歳になる1月前に乳がんがわかり、右胸を取った。再建手術もしたが、まだ完全ではなく乳首はこれから手術。病気が見つかる2年ほど前から乳首から血が出ていたが、痛みがないため放置。クラミジアの検査のついでに医師に相談、発見。ステージ4だった。手術が終わって2年だが、いまも4週に1度の病院通い。問診のためだけに4時間待たされ、ホルモン注射のせいで吐き気などに悩まされる。 仕事は手術後1度復帰したものの辞めてしまった。以後、プーで時々バイト。小説の冒頭、以前のバイト先で知り合った若い子3人、年下の彼氏・豹介と、飲んでいる席でプラナリアの話が出る。綺麗な小川などの石の下にいる生物で、切ると分裂して2匹になる。尻尾だけ切ったとしても、尻尾から1個体にまで甦ってくるという。足のないような変な形の生き物。少しグロテスク? 豹介は大学生で1人暮らし。実家は運送会社経営で学生でありながら2DKに住む。週に何度かはそこで風呂に入ってからセックス。乳がん発見前、春香は人生で初めて二股をかけていた。本命の恋人がいたが、乳がんが分かったことを告げると口とは反対にさっさと逃げていった。豹介とは続いている。 春香は父親が会社員、母親が公務員。一人っ子でよく食べたために肥満児だった。それでいじめられた。15歳の時にダイエット。医師からは肥満も発病の原因の一つになった可能性をいわれ、腹が立つことがあると、甘やかして肥満にしやがってと両親を恨みに思う。 入院先の喫煙室で知り合った美人がいた。市内にできた新しいデパートに行くと、腰が曲がって杖をついたおばあさんに出口はどこかと聞かれる。腕を掴んで離さない。人混みの中で気分が悪くなり、吐きそうになってしゃがみこんでしまう。助けてくれたのは病院で知り合ったその美人だった。医務室で話すと、彼女(永瀬)はここに出店する甘納豆店の店長だった。30歳ぐらいだと思ったが、1歳だけ年上。家庭も持っていた。彼女に言われ、そこでバイトをすることに。 隣の店で働くおばちゃんにかつての入院のことを話し、乳がんだったことも話す。ある日、永瀬から誘われて居酒屋へいくと、乳がんのことが既におばちゃんたちの話の材料にされていることが分かった。「乳がんだったの?」と。知らなかったんですか?知らなかった、今回、おばちゃんたちから聞いた・・・ちなみに、店長は卵巣嚢胞だった。生まれ変わるならプラナリアになりたい、という話をすると、彼女はプラナリアを知っていた。知っている人は初めてだった。 何日かすると店長から荷物が届いた。そこには乳がんに関する本が入っていた。プラナリアに関するネット上の写真などもプリントされて入っていた。乳がんの本はエグい写真もあって閉じてしまった。こんなこと知りたくないし、プラナリアについても詳しく調べる気などなかった。手紙が入っていて、その中に、店番しながら携帯を使うのをやめてほしい、店の商品のつまみぐいはやめてほしい、と書かれていた。いいようのない感情がこみ上げてきた。怒りだった。 無断欠勤を何回かすると電話がかかってきた。辞めると言ったら、最後は「見損なった」と言われた。電話を切った。 【ネイキッド】 泉水涼子は2年前に夫から一方的に離婚を言われ、慰謝料で買った西新宿の築20年ほどの部屋に住んでいた。半分は事務所などに使われているビルで、人も住んでいるが住民同士の交流は一切ない。貯金は2千万円あるが、離婚と同時に働いていた夫の会社も辞めて無職。10代のころから勉強を頑張り、大卒後に就職した雑貨関係の職場でも頑張っていた。ある雑貨卸会社主催の展示で後の夫と知り合う。若いのに和装が似合う。浅草の上品な育ちで、死んだ祖母宅(古民家)を改装して和雑貨の店にしたい、と。アドバイスしているうちに意気投合し、結婚し、6年勤めた職場も辞めて一緒に店を作り上げた。しかし、和にこだわる夫に対して、涼子の決め事がことごとく客受けした。やがて夫に女ができ、離婚。 小学校から付き合っている明日香に誘われてランチに。フレンチをおごってもらい、離婚や失業のことを心配された。漫画喫茶で「めぞん一刻」を一気読みしていると深夜になったが、そこで前の職場で一時部下だった5つ年下の木原健太と出会う。健太は、涼子のことを勝ち組、自分を負け組といっている。新宿の部屋まで送られ、そこで3回セックス。健太は寝過ごして遅刻したが会社へ。 夫と知り合ったきっかけになった雑貨卸の兵藤から連絡があり、私鉄ターミナル駅に来年できる大型テナントビルに出す店舗でマーチャンダイザーとして働かないかと誘われた。暫く考えさせてくれといった。気乗りはあまりしない。お金もあるし・・・のはずだったが、普通預金の残高がなくなっていた。2千万円なんてこのままではなくなってしまう。働かなくてはいけないかも。 壊れたテレビと、エアコンのリモコンを、工学部出身の健太が直してくれた。2人は一歩前進。ある日、涼子が高熱を出して寝ていると、病院に連れていってくれて、私鉄で30分の木造アパートで寝かせてくれた。風呂が綺麗に掃除されていた。どこかで部屋を借りて一緒に住まないかと言われた。 明日香から電話があり、娘の夏休みの宿題を手伝ってくれないかと頼まれる。図画工作だった。2泊で一緒に図画工作。子供とのふれあい。一方、健太とはちょっとしたことで切れてしまっていた。 【どこかではないここ】 加藤真穂(43)は、夫と有名私立大学生の息子(20)・周一、高校3年生で就職も進学もしないと宣言している娘・日菜と暮らす。製薬会社に勤めていた夫は、リストラで下請け会社に出向となり給料は半減、ローンが払えず真穂が夜10時~午前2時まで、レジ打ちのパートに出ている。母親(72)は2年前、夫と旅行中に夫が運転ミスで事故死、自分も足を骨折。真穂は3日おきに自転車で30分弱の実家に住む母親のところへ、弁当を2つ作って持っていき、話し相手になって食べる。また、長いこと入院生活をしている義父のところにも定期的に見舞いに行っている。パートの日は3時間半しか眠れない。 日菜は最近、帰ってこない。友達のところを泊まり歩いているという。学校には一応行っているようだが、遅刻の常習者。学校もあと半年で卒業する就職も進学もしない生徒には関心がない。 毎月15万円のマンションのローン、夫の小遣い2万円、息子1万円、娘5000円、光熱費3万円、食費3万5000円、夫の生命保険2万円、義父の入院費少々。12月のローンの返済額は40万円近くでそれで貯金は全滅だろう。 夫が初めて夕食後に皿洗いをしておくと言った。雨の中、(パートの職場まで)自転車でいかなくていいんだぞ(交通費使ってもいいぞ)、と言う。終わったら帰りの足がないことまでは気が回っていない。その日、安物のカッパを着て自転車で職場へ。えらく濡れてしまった。そのお陰で30秒、タイムカードを押すのが遅れて皆勤賞1万円が消えてがっくり。3回遅れると1日分のパート代が罰金に。おまけに、自転車に鍵をかけ忘れ、傘と自転車の両方が盗まれている。歩いて帰るしかない。 30代で子持ちの浜崎という社員は、日頃からよく真穂に話しかけてくる。その日も声をかけてきて、一緒に自転車を探すふりをしつつ、車で送っていくと強引にすすめる。家の近くまで来ると、朝の5時半までドライブしようと誘われる。断るが直進してしまう。ホテルへ。車から降りて歩いている時、持参した防犯ブザーを鳴らす。ホテルのオーナーが出てきたので、「痴漢です」と叫ぶ。浜崎は土下座して詫び、警察への連絡だけは勘弁してくれ、仕事が首になったら家族を養えないと泣きつく。真穂もパートを首になりかねないのでこらえることにした。 結局、一睡もせずに夫を送りだす。やっとの思いで寝始めると、朝の10時に電話で起こされる。母からだった。来てくれるはずなのに来ないから。居眠りしてのんきなもんだなあと言われてしまう。電話を切り、コードを抜いて再び寝ていると、こんどは人に起こされる。娘が珍しく帰ってきた。しらない女性もいた。板倉という25歳の女性で、日菜が中学の時に盲腸で入院した際の新米看護婦だった人。仲良くなって遊びに行ったりしていたようだった。日菜が家を出るという。居心地が悪いという。高校出て独り立ちまで半年あるが、それまでは板倉のところに泊まるという。聞けば、板倉は日菜に対し、家を出たいがために好きでもない男と同棲するのはやめろと忠告したとのこと。日菜は少し前からアルバイトをしていてそれなりにお金もためていた。 真穂は、息子に大学入学祝いとして買い与えていたマウンテンバイクを取り上げ、それで職場へ。娘のおさがりの手袋と帽子のおかげで暖かい。板倉から誕生日祝いにもらったものだという。職場にいくと、自分と同い年の独身女性、井上佐織から意外なことを教えられる。2人は中2の時に同級生だった。 【囚われ人のジレンマ】 「囚人のジレンマ」とは、共犯2人が別々に尋問され、全部自白し相手が自白しないなら、お前は無罪にしてやるが相手は重罪に問う。相手が先に自白したら相手は無罪だがお前は重罪。2人とも自白すれば2人とも軽罪、2人とも自白すれば2人とも中罪。このような状況下で裏切らず喋らないか、自分が罪を逃れるために裏切って喋るか、ジレンマに陥る。「ゲーム理論」として社会心理学に導入された。小説ではこれを簡単に説明している箇所があり、これが本題と直結しているかのように書かれているが、少々疑問が残る小説だった。 美都(みと)は25歳の誕生日(12月)に、大学時代に同じ心理学科だった恋人の朝丘から「そろそろ結婚してもいいよ」と言われた。美都が19歳のころに25歳で結婚したいと軽く発言したことを、朝丘は覚えていたようだった。朝丘は「囚人のジレンマ」のことを知り、心理学を学びたいと思って法学部から入り直した1歳上で、大学院に進み博士課程。親からの仕送りで学生生活を送っている。美都は大手通信器機メーカーのユーザーインターフェイス部門で働く。ボタンや表示部分の研究と開発。直属上司・河合(30代半ば)は認知心理学専攻で博士課程を修了している。突然の朝丘のプロポーズに気乗りがしないというか、現実感のない美都。しかし、朝丘はその気になっている。 美都は1人娘で、朝丘は母親には会わせたことがある。母親は朝丘の上品さを気に入っているが、父親には紹介していない。ラグビーをしていた体育会系の父親は厳しく、外泊などしようものなら下手をすると殴られる。父親が出張の時だけ、朝丘の家に泊まる。しかし、朝丘は昼夜逆転した生活をしていて、朝、美都と交代でベッドに入る。 会社で40歳過ぎの外部デザイナー・大石とエレベーターに乗り合わせ。食事に誘われ、お尻を触られた。その夜、セックス。美都と朝丘は付き合い始めの頃(19歳)はセックスをしたが、2人ともあまりセックスが好きではないようで、もう長くしていない。朝丘は美都が初めて、美都は高校生のころに初体験をしたがその時も快感はなかった。ところが、大石など好きでもない相手だと気楽にセックスできる。ある日、会社の同僚で「合コンの女王」と言われている女性の設定で合コン。そこで知り合ったケンヤ。先に抜け出した美都を追いかけてきて、父親がいるので帰らなければいけないと言っているのに、しつこく誘ってくるためもう1軒。そして、結局、ホテルへ。 ある日、大石が会社でほとんど無視してくる。美都はその日、仕事でミス連発。その夜、上司の河合に誘われて話をする。大石とケンヤのことが噂になっているらしい。合コンの女王が言いふらしているようだった。仕事をちゃんとしないなら会社を辞めろと言われる。 朝丘は美都に指輪をプレゼント。そして、婚姻届けも自分のところだけ書いて手渡す。すっかり結婚する気でいる。朝丘は法学部から受け直したのではなく、高校に行っていなくて大検を受験したとの話を、彼と同じ研究室の男性から聞いていた。恋人である自分が知らないことがあった、いや、嘘をつかれていたことに、びっくりした。問いただそうと彼の部屋に行くと、母親が来ていて丁寧に挨拶された。朝丘と2人になった時、私が浮気していることもしっているんでしょ?と詰問した。結婚しない、と言い切った。 【あいあるあした】 真島誠(36)は、かつて建設会社の営業をしていて、猛烈に働いていた。24歳ごろに結婚し、娘が生まれたが、娘が4歳の時に別居、6歳の時に離婚。原因は妻の浮気で12枚の手紙を残して出て行った。彼女の親は平謝り。だが、間接的には自分が仕事ばかりで家族を顧みていなかったからだと思っていた。離婚することになり、睡眠時間と精神を削っているのが嫌になり、会社を辞めて居酒屋をすることにした。かっこいいバーではなく、なんてことのないほっとできる居酒屋。調理師免許を取るためにフランチャイズの焼き鳥屋で働く。そこで知り合ったアルバイトの太久郎を誘い、独立した。太久郎はバンドをしていて、バイト料は相場でいいが、時間通りに帰るし、正社員になるのもお断りだと言った。賄いをよく食べ、クールではあるが仕事はよくやる。 店を開けるといつも来る常連がいる。一人は近所に住んでいるらしい高齢者で、銭湯帰りに寄り、熱燗を2本飲む。他にも何人かいるが、常連客に話しかけない真島。彼らが我が物顔で話をする店の雰囲気が好きではなかった。そして、もう一人必ずくるのがすみ江だった。実は彼女とは半年前から同居していた。彼女は最初は男と来ていたが、ある日、顔を腫らした状態で一人来た。男に追い出されたようだった。少しすると、太久郎が、彼女が公園で寝ていることを知り、真島に知らせた。彼は彼女を探しあて、自分のアパートに誘った。彼女は、勝手に人の手相を見る。いつのまにか噂を聞きつけた客が来るようになった。料金はもらわず、自分の飲み代をおごらせるだけだった。1度、女性の2人連れが来て、一人が泣き出して彼女にビールを浴びせると出て行った。連れの女性は真島に謝ったが、すみ江には謝らず、料金を払い、有名出版社宛の領収書を要求して去った。 久しぶりに淀橋が現れた。彼はこの店の前オーナーで、突然、妻を亡くしたショックで店を手放した。破格の値段で引き継げることになった真島は、居抜き、店名そのままで営業すると約束した。淀橋はすみ江と話が弾み、彼女と消えた。すみ江は朝帰りだった。淀橋が途中で具合が悪くなってどうのこうの・・・言い訳がましいことを言った。 真島はなんの説明もなくすみ江に対して暫く外出していてくれと言った。女が来るのか?とすみ江に言われた。実は娘だった。11歳の彼女とは3ヶ月に1度会う。彼女は父に髪を切ってもらうのが楽しみだった。真島の母親は田舎で美容室を経営、父親はパチンコばかりしている髪結いの亭主だった。忙しそうにする母親の真似をして、妹の髪を切ったり、編んだりしてやった。母の髪も切った。それが案外楽しく、自分も理容師になると思っていた。今日は娘の髪を切る日。そうしていると、口実をつくってすみ江が入ってきた。娘は挨拶をし、すみ江もそうした。少しして出て行った。別れた妻は再婚するらしく、娘も中学になったらアメリカに行く予定らしい。英語を覚えるためにもそれはいいかもしれない、と思う。 すみ江は荷物をそのままにして帰ってこなかった。そして、ある日荷物も消えていた。店にも来ない。先日、来店した出版社から電話があり、まちの変わり種占い師の特集で取材したいと言ってきた。即座に断った。常連客が、すみ江が近くでティッシュ配りをしていると言っていた。即座に駆けつけ、連れ戻そうとしたが、断られた。淀橋のところに居るのかと聞いたら、頷いた。そして、「私の髪も切ってよ、お金ないから」と彼女は言った。 契約書をひっぱりだし、淀橋の住所を確認して電車に乗って訪ねた。すると、淀橋は下記に引っ越しましたとあり、見ると店の近くの住所が書かれていた。それをメモし、店の近くまで舞い戻って探した。香川と書かれている家。入って行くと、すみ江、淀橋、そして銭湯帰りに寄る常連客がいた。香川という名だと知った。淀橋とすみ江は、香川のすすめでここに住んでいた。真島は、持参したハサミを使ってすみ江の髪を切り始めた。2人は話をして、お互いの思いを確認した。すみ江は「また店に行っていい?」「好きにしろ」。淀橋は「寂しかったら真島さんのところに住めばいい」。 すみ江はまた店に来るようになった。そんな中、娘が突然店にやってきた。すみ江に手相を見てもらいたいからという。彼女は太久郎とも音楽のことで話があった。キング・クリムゾンが好きだという。太久郎は、娘さんは美人になりますね、と言った。真島はお前がゲイで良かったよ、と言うと、俺、本当はバイなんですよ、と返す。常連の香川も来た。いろんな世代、いろんな事情を抱えた人たちが集い、話をしている。
1投稿日: 2023.05.17
powered by ブクログ最近働くってなんなんだろうと考えています。 おいしいものを食べて楽しいこともいっぱいあるけど、ふと全部面倒くさくなることがあります。 山本文緒さんの描く文章は、 想像のもっと上を行く面倒くささ。 その面倒くささが好きです。 いまの私にぴったりの一冊でした!
4投稿日: 2023.05.10
powered by ブクログ山本文緒さんの本ってもしかして初めて読んだのかなぁ。最近読んでた本ととても違うので、新鮮かつ心がホクホクした。とても個人的な感想で他の方には参考にならないかもしれないのだけど、何かを学ぶとか知る、理解するとかって事ではなく、一言で言うと、憧れ、のようなものが読後に残った。 作品の(特に女性の)主人公達が、あれやこれやと現実に対処しながら、冷静に自分の心を追っているようで、実は気持ちに突き動かされていく様が、とても、羨ましいのだ。自分もこんなふうに、いろんな事情や責任(のように作中の本人らはどうも強く感じてない様に私は感じてしまうのだけど)を抱えながら、でも、心に突き動かされ流れてみたい。(つうと、どんだけ自分が殺伐と渇いた日常生活送ってんだと思ってしまうが、それ程でもない。むしろ満たされてるからそう感じるのか。) 主人公達が抱える痛みやら眠気やら無気力やらに読み手である自分の意識がとられ主観が重なる一方、彼らの身に起きてる現実的なあれこれがとおーくの出来事、(実際そうなんだけど)非現実的に感じる。虚構の中のトリップ体験(笑)が心地よい。彼らの感情が強く揺さぶられる場面になると、こちらも、はっ!とぼんやりの世界から意識はっきりの世界に戻ってきたりして。 最後の「あいあるあした」は少し違っていて、人生紆余曲折あった後、真面目で諦めの悪い男のやるせなさみたいのが、愛と入り混じっていて、なんとも言えない気持ちになり、ほろっとさせる。短編集の最後にもってくるのに相応しい作品。 山本文緒さんの新しい作品が読めないのがとても残念だけど、まだ読んでない作品を読める楽しみは残ってる事に感謝だ。
4投稿日: 2023.05.08
powered by ブクログ短編って勝手にハッピーな終わり方をするもんだと思っていたのですが、この作品はハッピーではないかもしれないけど、いい終わり方だなって思える作品ばかりでした。
1投稿日: 2023.05.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
山本文緒さんの作風、いいですね。独特な展開、気に入りました。「プラナリア」、2005.9発行、5話。「プラナリア」は親切が癪に障る春香が面白い。「ネイキッド」は泉水涼子の切なさ。「どこかではないここ」と「囚われ人のジレンマ」は尻切れトンボな感じ、これも山本文緒風か。「あるあるあした」は最高でした(^-^) 36歳のすみ江にエールを送ります。早逝されたこと、本当に残念です。
0投稿日: 2023.04.30
powered by ブクログ今現在、限定3か月間の無職である私に何か考えさせられる話かと思って読んでみた。だけど、うーん…すらすら読めたけど、どの登場人物にもあまり共感できなかったし、魅力を感じなかった。5つの短編集だけど、ハッピーエンド!って言いきれる話は一つもない。 この話に出てくる人たちは、どこか変わっている。ひねくれてたり、考え方が狭かったり、惰性で人生を生きてる感じ。私はそうはなりたくないなと強く思った。私も無職の今は家族に頼ってはいるけれど、ずっとこのままでいいなんて一ミリも思っていないし、うじうじしてダラダラと毎日を過ごしているわけでもない。 登場人物たちのように、目標や目的無く生きるのは嫌だ。それに、「自分はひねくれてる」と言ってあたかも自覚してますよ、というポーズをとって自身を正当化するような人間にもなりたくない。登場人物から反面教師にするくらいしかこの本から意味を見出せなかった。だけど、私はそう考える私自身を誇りに思う。
0投稿日: 2023.04.24
powered by ブクログずるいところとか、 なんとなく流されちゃう瞬間とか、 曖昧な感じとか、 誰にでも起こりうる、どこでもいそうな感じに仕立て上げるのがめちゃくちゃにうまい。 ずるずるずるーっと渦に引き込まれて、 気づいたら自分も本の中にいる。 人間って曖昧でずるいんだよなあ。 私はその狭間に立つと嫌悪してしまって、 白黒はっきりつけたくなってしまうので、 グラデーションに憧れたりもする。 渦中は苦しくなりそうだけど。
1投稿日: 2023.04.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
前に「自転しながら公転する」を読んで、世の常をいいところも悪いところも書くのがすごい上手だったので期待して読んだ。 内容は5編の短編。 全て、ハッピーな完結とは程遠く考えさせられる。 元々お勧めされた本ではあるけれど、その人の評通り囚われ人のジレンマがダントツで面白い。学生に求婚されて素直にYESと言えるほど無鉄砲さを持てないところに共感した。共感したと同時に、自分もこういう考え方をするところに「歳を重ねた」のだなあ、としみじみ思った。 「損の種をまいているのは、往々にして自分なんじゃないかな」
0投稿日: 2023.04.20
powered by ブクログ前回読んだ自転しながら~とブルーもしくはブルーがよすぎて期待しすぎてしまった。全体を通して現状に不満ある主人公が一方前に踏み出す短編5作品が読めます。 まだ山本ふみお先生の作品をまだ3作品しか読んでませんが、全体的にちょっと不満を抱えているな主人公なので、自転とブルーと比べると短編ということもあり、かすれてしましました。面白いことにはかわりなのですが、乳ガンの手術で片方ない。男性主人公だったのが珍しかった。以外どんなだっけ?となってしましました。
0投稿日: 2023.04.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
現代の無職を巡る短篇集。「あいあるあした」は面白くて一気に読めた。その中ですみ江が「あたしのこと、勝手に可愛そうだとか思わないでくれる?」といって語りだすシーンがある。ここはこの短篇集において特に象徴的な部分だと思う。
0投稿日: 2023.04.01
powered by ブクログプラナリア 美しい響きのするタイトルだと思った。 山本文緒が亡くなったことを、この本の帯で知った。直木賞も受賞している作品であることも初めて知った。 実際読んでみると、プラナリアは美しいものではないことがすぐにわかった。山本文緒らしい、人間の内面が、どろどろと描かれている小説。潜在的に思っていても、言葉にすることが難しいことを、様々なバックグラウンドを持つ主人公が言ってくれるのが痛快。 5つの短編小説が入っており、どれも読み応えがあった。 病人、離婚して引きこもっている女性、子育て・介護・お金に悩む母親、学生と付き合っている若い社会人、離婚して居酒屋を営む中年男性 どの主人公も感情移入がしやすく、登場人物に親しみを持てた。 遺作となってしまった名作、「自転しながら公転する」につながるような、世代やジェンダーに関する記述も多く見られ、山本文緒の世界観がよくわかる作品。
3投稿日: 2023.03.23
powered by ブクログ無職をめぐる短編5編。ふっつりと張り詰めた糸が切れて人生の途上で彷徨いつつ、幸福とも不幸とも呼べないモラトリアムな時間。
1投稿日: 2023.03.12
powered by ブクログ目標を持って、一生懸命働いて、誠実に真っ当に生きるというのが美徳とされている世の中。そんな生き方から少し外れた女性たちが主人公の短編集。 感情移入する場面も多かったし、それぞれの理想とそれに相反する感情がリアルでひねくれていてよかった。 少しの言葉で傷ついて傷つけられて色々なことが思い通りにいかなくて、生きるのってほんとめんどくさい。楽しいから学校に行っていたあの頃の気持ちを取り戻したい。
0投稿日: 2023.02.24
powered by ブクログ皆自分のことで一生懸命な中で、他の誰かのために時間を使って世の中生きているんだなーって思った。 そして全体的に虚無感がすごい。ここに至るまでの周囲の環境や当人の考えが過去から現在まで繋がってるのに、最後に残るのは無で、全てをなかったものとするような物語。 女性が主人公の短編小説は得意じゃないけど現実的で考えさせられる作品が多いので読むようにしてます。
2投稿日: 2023.02.09
powered by ブクログKindleにて読了。 短編集です。 ・プラナリア ・ネイキッド ・どこかではないここ ・囚われ人のジレンマ ・あいあるあした どの物語も何となく…『ネガティヴ』な感じを抱いてしまった。 きっと、私には合わなかったんだと思う。
1投稿日: 2023.01.30
powered by ブクログ直木賞受賞作品。 様々な年齢の女性が悩みを抱えながら、生きていく短編集。(最後の、あいあるあした、は男性が主人公ですが) 抑えていた感情を爆発させる主人公に、共感しました。どの話も心に残るエンディングでした。私が特に良かったと感じた作品は「どこかではないここ」と「あいあるあした」です。
3投稿日: 2023.01.15
powered by ブクログ2023年1冊目、 山本文緒さん3冊目。 男女の関係を書くのがとっても上手だな、、 ダメな男でも、ダメな女でも、なんか魅力的に見えちゃう。応援したくなる。 ネイキッド、あいあるあした が好きだった。
3投稿日: 2023.01.15
powered by ブクログ自転しながら公転するが好きで、次に手に取ったのがこの作品でした。 それぞれの話の主人公の、人生のたった一部を切り取って見せられただけ、と言うような小説でした。 何だろう、この、ブツっと切って終わる感覚。 え?これでおしまい?と思う気持ちと、登場人物について色々考えることができる余白があって嬉しい、という気持ちがなんとも新しくて、好きでした。
5投稿日: 2023.01.10
powered by ブクログどうして私はこんなにひねくれているんだろう──。あらすじの最初の文にドキッとして(ギクッとして)購入。「無職」をめぐる心模様を描いたとのこと。私事だけど自分も現在休職中なのでかなり興味津々で。 全てのお話がどこか疲れているような諦めているようなそんな人を中心にされているようで、特にオチというオチはない。こうなったか〜!とも、そうきたか〜!もない。だけど、物語はここで終わった、とちゃんと思えた。 《ネイキッド》 自分の価値みたいなものを自分で大切にしないと、大切にしてくれる人は離れていくのかなぁと思った。チビケンの最後の台詞がすごく悲しかった。 《どこかではないここ》 実は子供に関心ないんじゃないか、と息子に言われる母はどんな気持ちなんだろう。自分の高齢の母を見て自分も何れこうなるのだろうかとか、夜に自転車で働きに出かける時少し気持ちが開けている感じとかを見ると、きっと「ここではないどこか」に行きたいと思ってるのかもしれない。でも日常のサイクルに埋もれて結局は「どこかではないここ」に居続けてしまう話だったと思う。わたしはずっと窮屈だと思いながら地元にいたから、こういう話は他人事だと思えない…。 《あいあるあした》 主人公のぶっきらぼうさとか素直じゃないところを感じ取れるけど、なんですみ江が好きなんだろうって思った。目の前にたまたま現れた女性が家なき子で体の相性がよくてフラフラしてる姿が、自分の手に入らない感じで惹かれてるのかなーとまでしか思えなかった。読解力と想像力欲しい。まあ魅力的ではあるしな…と思う自分もまた捻くれ者。最後の娘と鉢合わせたシーンで気遣いをみせたすみ江は意外だったけど、それより前から好きだっただろうしなぁ。あと、娘が大人に気を使ってることに対して「不憫」というのはすごく共感。気を使えるってすごいことだけど、気遣いの人は自分が辛くなったりすると思うから。 全体を通して、ちょっとした登場人物でもキャラクター全員の表情とか喋り方が頭に浮かんで面白かった。
1投稿日: 2023.01.05
powered by ブクログ気持ちい〜〜〜〜、作者さんも自分と同じひねくれ者だ〜〜!と勝手に思って気持ちよくなっていました。 癖が強い作品を一番前に持ってきているような気がするところや、スッキリするオチを持ってこないあたり。 理論武装する感じながら結婚の話うまくできない院生彼氏、好きになってしまうし、取引先の男と気軽に寝たら仕事やりやすくなる女も好きになってしまう。結局結婚してもしなくても愛せすぎる。 無職が出てくることが共通している短編集。
1投稿日: 2022.12.31
powered by ブクログプラナリア。 働かないにまつわるエトセトラ… 短編のなかに それぞれの人生模様があり おかしみがある。
1投稿日: 2022.12.27
powered by ブクログ“無職”にまつわるいろんなお話。 仕事をしない登場人物に共感できたり、別の話ではできなかったり。考えさせられた。
1投稿日: 2022.12.19
powered by ブクログ向かい合う相手からの善意や好意。それらを踏みにじってしまう愚かな行為。優しさに慣れないとか、自分に自信が足りない時、善意に懐疑を抱いたりする。善意や好意に見返りを求めようとする期待を感じると逃げたくなったり。その心のバランスをとりながら、社会とか家庭の摩擦を減らそうと対応しようとする。それが、適応とされるのかな。でも、思うがままに行動することが、必要な時、必要な人があるのかもしれません。 「どこかでないここ」 年代的なこともあるのか、この作品が、一番応えた。選択に自信があったわけではないけど、自分の選択に責任を持って生きてきただろうと思う母親。何も言わないわけではないけれど、全てを言えるわけでもない。そして、逃げるところもない。最近は、毒親を扱う小説が多いので、普通寄りの母親のジレンマに共感した。みんな悩んでるのよって。
63投稿日: 2022.12.14
powered by ブクログ相手を思っているつもりでも、相手には別の感情がある。表情や態度、行動、そして何よりも言葉から、相手の感情を考える。でもそれは、自分の想像の範囲での相手の感情でしかない。分かり合えない中で、出口を探して歩き回る、そんな息苦しさを感じた。切っても切っても再生する「プラナリア」は、そんな息苦しさを、やすやすと超えるものの象徴のように思った。だから、主人公は、本当の生態を調べたいと思うわけではない。 大学院で「囚人のジレンマ」を研究している浅丘は、これを「登場人物が短絡的な行動をとっているときに限られる話なんだよ。」と言う。あれこれ考えて軽はずみな行動をとるより、相手を信頼することが良い結果をもたらすのだろうと思ったが、相手のことを考えず、結婚にこだわろうとするのは何故だろうと思った。 5編の中で、主人公が男性である『あいあるあした』は希望の感じられるラストだった。
28投稿日: 2022.11.20
powered by ブクログどうしようも出来ない、分かっているけれども動けない、変えられない。 女性の心模様をこんなにも描ける作者さんはやっぱりこの方だな、と思った。 それと同時に作者さんが亡くなられていた事を知った。 まだまだ読めてない作品は沢山あるけれども、、。 作者さん自身にも興味を持ったので他の昨日も読みます。
18投稿日: 2022.11.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『プラナリア』 自分に向けられた他人の無神経さは自分にしか分からないし、他人に向けてしまった自分の無神経さには自分しか分からない。お互いさまね、みたいな世界のなかで「次に生まれてくる時はプラナリアに」の希死念慮的発言が、次に生まれてくることを考える、今に絶望している気持ち、プラナリアという単細胞に近い生き物の自己増殖する自己完結さに憧れ、反面、誰か他人の支え無しには生きていけない自分への、またしても絶望が含まれていて、冒頭の一文の輝かしさを見た。 とにかく直球な筆致で、読む人によってはドキッとしてしまうほど(わたしもひやっとした)。けれど、決して他人には理解されない絶望と、それを持っている人間だけが持つことのできる言葉に、きっと他人に語られないだろう言葉が、詰まっていた。さらさらと読んでしまい、感想を書くためにもう一度読み直し見て、何気ないように喋ってる“私”の声をこんなに素通りしてしまっているのかと啞然とした。 読書でさえこうなのだから、実際、人と接している時には、どれほどその人の声とその裏にある絶望を聞き過ごしてしまっているのだろう。「聞いて!こんなにもわたしは傷ついているの」と声高に、起伏をつけて書き記すこともできるのだろうに、そうはせず、敢えて淡々と描く。なぜなら絶望している人もまた、何気ない顔をして、淡々と生きているのだから。 回想主体の組み立てが、段落のつなぎ目で上手くシフトされていて、自然に行ったり来たりできるようになっている点、勉強になる。特に、台詞回しで、段落を転換させたり、回想から脱出したり、回想に入ったりと、オーソドックスなだけに、読みやすく、主人公の語りがすんなり入ってくる。 PHSやガラケーを扱っていた世代の、ツールじみた言葉の使い方、~じゃん、~かよ。いつからか、学術用語をシニカルに改変する風潮に生れ出た、一卵性親子、社会不適応者。スポイル。なんだか平成だなぁと思いつつ、そこに時代固有の雰囲気もあるかしらとふと思った。 共感はあってもなくてもいいと思うけれど、もし共感したのなら、共感したことは黙っておくのが、プラナリア流なのかも。 『ネイキッド』 【あらすじ】 それまで自身のキャリアと売り上げとに執着し、それなりに成功してきた「私」は、三十四歳にして夫から離婚を言い渡され、同時に夫婦経営の職まで失った。以来二年間無職で二千万円の貯金と購入したマンションの一室で暇を持て余しながら生活していた。友人からの心配、知人からの仕事の誘い、元部下の男との日々を通じて、社会でポジションを得て前進していく自分と、現状に満足する等身大の自分との間で揺れる。 【感想】 嵐が通り過ぎ去った後に佇んでいる。そんな「私」の告白というほどには、自分を特別扱いせず、どちらかといえば、内省的にぼんやりと遠くから自分のことを見ているような一人称にふっと引き込まれていく。その口ぶりは、まるで自分自身の内側で繰り広げられているかのような錯覚を引き起こす。ヒーローでも、ヒロインでもない、どこか冷めた視線で中立する自分。 二年間の無職期間にある「私」が次第に自分の状況を悲観でも楽観でもなく俯瞰するようになっていった過程が少しずつ生活の断片描写で明かされていく。 “最近はもう洗濯機で洗えない服は着なくなった” “以前は聞くことがなかったAM放送。続けて聞くようになると、曜日によって同じ時間に同じ人が喋っていてそれが案外嬉しかったりするから不思議だ。” “テレビも壊れたままだし、キッチンの電球も切れている” “目的”に向かって流れていたはずの「私」の時間は、“電池の切れたエアコンのリモコン”のようにふっつりと消えてしまう。だけど「私」の電池は、リモコンの電池みたく、手軽にどこででも手に入るわけじゃない。 そうやって半ばスリープ状態になった「私」は“そしてこの、やる気があるんだかないんだか分からない今の生活を、わたしは自棄になるでも鬱になるでもなく続けている”状態にある。 この一文。なんて多くの人に当てはまる言葉だろうと驚いてしまった。「生きている」とは言うけれど「生きてしまえる」とは中々言葉にし難い。が、感覚的には後者がよりよく当てはまる。アクセルを踏んで前進していると思った自動車の運転席で、足を離しても尚、車がよろよろと進み続けていることに気づいて啞然としてしまうような感覚。 “私は自分がやがて立ち直って、また社会に出て働きはじめるであろうことは分かっていた。疑問を持ちつつもまた前へ前へと進んで行くのだ。それが何故だかわからないがとても悔しかったのだ。~いつの間にか体と心に備わっている回復力が訳もなく忌々しかった。” 「勝ち組」「負け組」「目的」「無意味」「有意義」と極端に、限定された意味合いのなかで、わき目もふらずに、もの凄い速度で生きてきたそれまでと「無職」「無目的」でも生きて行ける自分。どっちの生き方を選んでもちゃんとどちらもこなせる器用さと、その器用さに振り回される不器用さとが描写されていくのが、どきりとするくらい鋭く、ひとりの人間像を捉えているなと思う。 “そこまで親切にされる理由があわからなかったのだ”と「私」はもう手に握ってすらいた幸せを突っぱねてしまう。どうしてと思わず疑問を抱いてしまうような、もしくは、自業自得じゃないと、嫉妬からくる嘲笑を買わせる彼女の言動に、この話の最後に答えが用意されているような気がする。 “~けれど、成績表を見せる時にしか笑顔を見せてくれない両親のことで、本当は私の方が彼女の倍は泣いていたのだ。”こんな競争思考を植え付けたのが、幼い頃の家庭環境にあったということ。「勝ち組」「負け組」「目的」「無意味」「有意義」の標語で人生を縛り付け、競争を宿命付けられた「おとなになれなかったこどもたち」の生きづらさが滲ませられていると感じた。 “チビケンと私は五センチくらいしか背丈の差はななさそうだったが、その五センチの差で、私はどうしても電球の根本まで手が届かなかったのだ。” この何気ない、気どりもしない一文が、この物語の真髄のように感じた。呪縛から逃れられないまま生きていく「私」に、垂らされた蜘蛛の糸のようなひとつの救い。自分は見落としてはいないだろうかと、ふと立ち止まって考えたくなるような一編だった。 『どこかではないここ』 書き出し:娘がもう四日間家に帰ってこない。 書き終わり:中学生の時のわたしは毎日何をしていたのだろう。私は目の前の仕事をこなすことでいっぱいいっぱいで、全然思い出せなかった。卒業アルバムもどこへしまったのか、あるのかないのかすら定かではなかった。 【あらすじ】 四十三歳の私は、リストラされ減給になったサラリーマンの夫と、二十歳で大学生活を謳歌する息子、高校三年生の娘の主婦をしている。週三日でスーパーの準夜勤をし、三日に一度は一人暮らしの母の世話をしに行き、五日に一度は入院している義父の様子を見に行く。忙殺される日日で、帰ってこなくなった娘を中心に、現実に直面する私を描く。 【感想】 “電車の揺れに身を任せながら、私は平凡だなとつくづく思った。(略)悩みといえば子供と夫と親のことで、今欲しいものと言えば、お金と睡眠時間だなんて平凡もいいところだ。” 「私」の生きている現実は「平凡なのか」と考えてみれば、確かによくある話だよねと頷けてしまう。平均的で一般的なごくごくありふれた“主婦”を巡る環境。一方で、こんな日常を(傍目には)何食わぬ顔でこなしている人々が平凡なはずないと感じる。その逆で非凡だ。 現実という非現実。そんな読み方もできる。「私」の生活は生々しいまでに「数値化」されている。毎月の収支がほとんど固定されていて、その内訳の変動もほとんどない。ボーナス月のローン返済を控えて、瓦解しそうな貯金に、何とか足しになればとパートタイムで働く賃金も、固定されている。 そんな「動か(せ)ない現実」を成立させるための「私」の取り組みは涙ぐましいとも取れれば、滑稽にもとれる。交通費を浮かせるため、キセル乗車をする。息子、娘のお下がりを着る。母親の話し相手をしに(しないと母親からの電話が絶えない)行き、義父の見舞いに行く。現実を凌ぐための創意工夫が、何故だかとても「私」の幼稚さを引き立て、この無限に終わりの来なさそうな日々が続く。 「私」の境遇も瞬く間に変わっていく。“小さな子供のいない暇な専業主婦”だったが、“夫がリストラされてパートに精を出す兼業主婦”になり“娘からリストラされた兼業主婦”になり…。次々と押し流されるように「私」は適応を求められていく。 “けれど、そろそろここではないどこかを見るのはやめて、私が忙しい時くらいは何か作ろうとしてくれればいいのに。” わたしだけがここで踏ん張っていて、わたしがささえているはずのみんなはそれぞれ好き勝手どこかを見ている。そんな彼女の孤軍奮闘のなかで、娘と衝突する。娘は「私」を拒絶する。「私」からしてみれば、現実そのものの日常は、ローンや母親の世話や義父の見舞いやそれら全てを成り立たせるためのパート通いなんかが、傍から見れば、個を失くして夢遊するように舞いつづける非現実的なものなのかもしれない。見えていない現実部分では、息子はそれほど甘やかさなくても勝手にしているし、娘は自律を迫られるほどに「私」の現実に圧迫されてもいる。 それで、パート先では「おばさんだから」と思っていたところにセクハラが舞い込み、普段接していた人が、かつての同級生だったことにきづかずにいた。 タイトルのどこかではないここは、それが現実で全てと思い込んで生きている「私」を端的に表したタイトルだったのかもしれない。 「へえ、びっくり。私なんか何にも持ってないよ、同い年なのにね」の一言が刺さる。持ってないひとからしたら、その労苦さえ羨望の対象になるのか。持ってるひとからしたら、孤独さえ自由に感じられるのか。 どこにでもあると思われている日常が、どこにもない日常を奏でてふっとまた、どこからも消えていくのを感じた。こことよんでいる場所の脆さ、不確かさも。それは帰るところのないわたしたちに送られた物語だと思う。 『囚われ人のジレンマ』 ~逃げるわたしたちのジレンマ~ 書き出し:二五歳の誕生日、私は長年付き合ってきた恋人に「そろそろ結婚してもいいよ」と切り出された。 末尾:朝丘君は石畳の舗道に立ちすくんで、私が乗ったバスが遠ざかるのをずっと見ていた。 【あらすじ】 恋人(朝丘君)に結婚を切り出されたわたし(美都)は素直に喜べない。未だに娘のプライベートにきつく干渉する父親。学生で経済的に両親を頼っている恋人。彼に隠れて浮気していること。さらに結婚を迫る彼に対峙しながら、いつまでも庇護される弱者でいたい。それなのに、結婚によって次第にのしかかってくる責任から逃れようとしていた自分の幼稚さに少しずつ気づいていく。 【感想】 胸が詰まった。読みながら何度自分のことかと突きつけられるような思いに見舞われるのか。二読目なのにその棘は少しも擦り減ってはいなくて、ぎょっとした。 きっとそれは、自分の心の襞に包んで隠して忘れていた凶器を、言葉に透かされて露わにさせられるからなんだろうなぁと感じている。 『プラナリア』短編集の冒頭らしく、スパっと物語は始まる。(この始め方はとても参考になる。逃げも隠れもしない。言い訳も無し)「そろそろ結婚してもいいよ」なんて言われたら、それは「何様だ」と感じるし、ただでさえ違和感たっぷりの「結婚」の単語が持ついやらしさをよりいっそう引き立てて胸糞が悪い。でもすぐに「二五歳くらいで結婚したい」と言った十九歳の自分のセリフを思い出す。夢見心地で使っていた「結婚」の幻想がなくなった「わたし」に、まだその幻想のなかを生きる彼から「結婚」が飛び出してくる。恋と結婚があまりにも異質なものだということが、とっても恐ろしく感じるのはわたしだけなのだろうか。 堂々巡りのジレンマが一つ一つ丁寧に書き込まれていく。「結婚」を先に臨んだのは「わたし」。ただ「自分で稼いでもいないのによくプロポーズするな」と結婚の言葉が「わたし」のなかではすでに変わっている。「結婚」は考えられないが、彼との時間は居心地がいい。浮気をしながら、それでも「さらさら分かれるつもりもない」のは良いとこどりで、なんの責任も伴わない「恋人」のままでいたいと思う。そしてそう思うっているのは彼も同じ。この堂々巡りのジレンマがまるで「牢屋からでようとしない」囚人のようにも見えてくる。 引用される「囚人のジレンマ」「成功恐怖」を改めて考えてみる、幼分かりやすすぎる幼稚な言い訳を、自分だけは特別に甘やかして正当化していることが否応なしに突きつけられてしまう。 でも、そうやって逃げるわたしたちの弱さがどこからきているのかも何となく想像できる。 「母と私はとにかく父の機嫌だけを気にして暮らしてきた」この一文を見て、前の短編三作そのどれもに、薄っすらとこの「家庭、親と子」が触れられてきた。 『プラナリア』では「愛されすぎて甘やかされて、食べたいものを食べたいだけ与えられたので~愛の名の下に体も心も私をスポイルした両親への復讐なのかもしれない~」と言う「わたし」の家庭は「母親は若い時から役所務めをしていて、今では靴の卸し売り会社に勤める父親よりもずっと年収がいい。母は仕事で毎日帰宅が遅いし、それに対して拗ねっぱなしの父親は毎日浴びるほど酒を飲んでくるのでやはり帰宅は深夜だ」。男は収入の高さで妻子を支配するような、男の沽券的価値観で教育を受けて来たので、収入の逆転が起きると共にまるで自分の価値がないかのように振る舞わざるを得ない。そんな夫の苦しみはそのまま、妻の苦しみにも繋がる。価値観を共有する単一の共同体の苦しみ。幸せは争って貪り奪い合い、不幸は燃え上がるように増幅されていく。旧式の価値観(=理想)と現実とのギャップに苦しめられていく。 『ネイキッド』では「成績表を見せる時にしか笑顔を見せてくれない両親のことで、本当は私の方が彼女の倍は泣いていたのだ」「無意味と有意義。ずっと長い間、私にはその二種類の時間しかなかったし、それ以外の時間があるなんて考えたこともなかった」と「私」の成果至上主義が、追い詰められるように成果を追及し続けなければならず「今」を消しとばし、そのままの自分で受け入れられる余地と余裕をなくさせるようにしたのは両親の教育方針だったからじゃないか。その両親にそんな切りつめた教育を子供に強いるように差し向けたのは、椅子取りゲームのような社会システムのなかで勝者と敗者とに人を二分するような価値観の共有を迫った環境が背景にあったのではないか? 『どこかではないここ』では「お父さんは勝手なことばっかりやって勝手死んじゃって一人ぼっちにされちゃって、お父さんの世話があったからこの歳まで働いたことないから友達なんかいなくって、この先どうしたらいいか分からないと母は涙ながらにいつもの愚痴をこぼした」とわたしは自分の身を削って、母親の世話に奔走する。この母親が自主独立の道を取らなかったのがいけなかったのだろうか?専業主婦と終身雇用と核家族の構造がうみだした、孤立という歪が、神話崩壊後の人々に及んでいると見ることもできる。 ここまでくると、もう小説じゃなくて、社会学の教科書に思えてくる。周囲や環境のせいにしても仕方がない。でも『プラナリア』の出版された2000年。『逃げ恥じ』はなかったし、youtuberやティックトックなんかのプラットフォームも今ほど人口に膾炙したものじゃなかった。(多くの人にとって)ガラケーを持って、テレビだけが、別の世界(でもそれは現実の延長にあるような)だった。 「わたし」と朝丘君のジェンダーーのやり取りなんか本当に面白い。「男だとフルタイムで働いて、女房子供を養えなきゃ結婚する権利がないのか?」「男の人は偉いな、そして可哀想だなと私は~」もし、女性の給料や人事、雇用、評価、役員、などのマクロな差別から家庭生活、制服、言葉遣いや立ち居振る舞いなどのミクロな慣習までもが全てゼロベースになったとしたら。社会的な性差がなくなった、或いはなくなりつつあるとき、それは、広く女性の成功恐怖が表出するんじゃないか?もう「主人が」なんて言って、経済力を男性に頼ることはできない。「女房が、嫁が」も死語になって、家事、炊事、育児を女性に頼ることはできない。社会的性差のジレンマもいつかは消えてなくなるのか? ふたりの間にセックスがほとんど無かったのも気になった。(「恋愛感情のない男の人とだったら気楽にセックスすることができた」)「わたし」の恋愛感情のある人に求めたものは何だったのだろう。性の匂いが薄れていく社会のなかで、或いは、性の象徴でもあるセックスのない関係は、性が意味に含んでいる、社会が性に求める義務やプレッシャーを感じずにいられるのだとしたら。それはゆっくりゆっくりと真綿で首を締められていくような死だろう。でも、もしかすると、はじめて生殖から切り離されることになろう大多数の人々は案外幸せなのかもしれない。互いが、まるで望んでひとつの牢屋に入って、内側にしかない鍵をかけてしまうみたいに。そんな閉ざされて、もう外のどんな声も届かないところで、実現する平等もあるのかもしれない。 「わたし」が彼を拒否したのは何だったのか。「結婚」と体よく飾り立てた鎖で「わたし」にしがみつこうとする彼からの解放だったのか?もしくは「結婚」を切り札に綻び始めていた関係を繋ぎとめようと画策した彼との共依存からの決別だったのか?そうまでして「わたし」を必要とする彼への失望があったのか? みっともないふたりのみっともない幕切れがそこにあった。でも、この感想を書いていて、彼女はこれで前に進めるだろうなぁと思うとざっぱりとした感じが今は胸にある。セックスができるようになったとしても、こどもはこどもだし、年齢と幼稚さは比例しない。ただ、自分のなかにもある恥ずかしい幼稚さが、こんな風に誰かに拒絶されことを考えると身震いする。 わたしたちの誰もが、相手がいなければ、寄りかかることすらできないのだけれど。 『あいあるあした』 冒頭:居酒屋をやるのが夢だったわけではない。 末尾:いつの間にか隣に立っていたすみ江が、背伸びをして俺の頭を「よしよし」と言って撫でた。 きっかけ:小説執筆で女性の内部描写を参考にしたくて購入。二読目は、書きそびれた感想を書くために再読。 【あらすじ】 マジオこと真島誠は、自分の居酒屋の客で、ある日を境に性的関係を結び、そのまま居候をしている、彼女とも恋人とも付かないすみ江の自由奔放さに手を焼いている。 国民保険も加入してない無職の彼女は、彼と同棲はしていても、他の男と遊び朝帰りをする気ままさで、嫉妬を隠せない彼。 ある日、彼に店を売った老人・淀橋に付き添って行き、そのまま朝帰りした彼女に彼は激しく当たる。 翌日、元妻との娘が訪ねてくる。娘の来室中に帰ってきたすみ江だったが、気を利かせて出ていく。彼が娘と別れて帰室するとすみ江の荷物はきれいさっぱりなくなっており、合鍵も机の上に置かれていた。 常連から彼女の居場所を聞いた彼は店を飛び出し会いに行く。娘の髪を切っていた彼に彼女は今度髪を切ってくれるよう頼み別れる。 淀橋と寝起きしている彼女を尋ねにいくと、そこは常連の老人の家で、老人ふたりと彼女が暮らすその家で彼女の髪を切る。 それから彼は、すみ江に会いに、彼の店までやってきた娘のため、バイトの太久郎にすみ江を連れてこさせると、すみ江は娘の手相を見る。太久郎と親し気に話す娘の成長を見て、こみあげる思いで立ち尽くす。隣にいつの間にか立っていたすみ江が彼の頭をよしよしと撫でていた。 【感想】 あまり知られていないけど、ひとのサイズは大きくなったり、小さなくなったり、かなりいい加減に変わるらしい。 やがて我が身を離れていってしまう娘への愛情に身もだえしながら、平然と父親らしく振る舞うとき。めらめらと嫉妬に燃えながら、格好が悪いのでそうとは悟られないように、好きなひとと接するとき。狭い厨房を挟んで客に接するとき。魔法みたいにさまざまなキャラクターを細かな取り決めに従って演じ分けているわたしたちって、自覚のないマジシャンか俳優なんかなのだろうか? ほんとにわたしたちは不思議ないきものなのだなぁと本作を読むとしみじみと感じる。 真島誠ことマジオなんて、ほんと泣けてくる。ステレオタイプ(?)なんて言ったら、いまでは立派なヘイトかもしれないけれど、悲しいくらいに繊細で嫉妬深い内面を隠すため、ぶっきらぼうな亭主淡泊ぶりを(下手くそに)演技する、か弱くて不器用な男性像そのものの彼。実際、母性とおなじように父性だって身に余る。ほんとに。そんなマジオの辛いところが、何とはなしに書かれてるのがすごい……。 地に根を張って堅実に生きるマジオとは対照的に、彼から見たらそれこそ奇跡のような、インチキのような世渡りで生きているすみ江が、ほんとうにぶっ飛んでいて好きだ。大多数の人は、年金を払っていないだけでそわそわと落ち着かないし、目の前の人間が国民保険に加入してないと聞いた日には、関わらないほうが……と警戒するだろう。 無職で公園で寝起きする36歳の女性。多くのひとの常識の範疇をあまりにも軽々と越えていく彼女に、堅物のマジオはもちろん、よんでいるこちらまでどぎまぎしてしまう。 でも、悲嘆に暮れるでもなく、同情的でもなく、底抜けに明るい彼女は、まるで猫の化身。誰かに、迷惑をかけているのかと問われるとそんなことはない。自分の生き方に後ろめたさを感じてもいなければ、後悔もない。ホワイトなアウトロー(?)の彼女のことが、だんだん、だんだん羨ましく感じられて来る。 “「あたしのこと、勝手に可哀想だとか思わないでくれる?働くか結婚するかどっちかしないと怒るなんて、あたしの親父と同じだよ」” この一文にはっとした。わたしが憐れんでる人たちはほんとに憐れなのだろうか?他人のことを、どれだけ判断してるのだろう?他人を自分の物差しで図っているひとは、返す刀で、自分を他人の物差しで図っている。働いてもいない、結婚してもいない。この両者に共通する通底観念は「何も生産してない」ことへの批判だろう。これに漏れるなと「空気」は常にわたしたちを脅してくるし、脅されてるわたしたちは同じように周囲を見渡して、脅しに加担している。 マジオはすみ江のこの一言で、実はすっと楽になったのではないかと思う。彼女はきっとほんとうに誰のものにもならないだろう。だって、誰をも自分のものにしようとしないのだから。猫と一緒だ。餌を求めて立ち寄ったり、居心地がいいからその場所に居座ったりする。けどどこかに家があるわけじゃない。何かを奪うために与えて、望みのものを手にしたら去っていくようないきものじゃない。 それから、この堅物マジオを取り巻く人々が暖かいのがいい。毎日顔を出して静かに熱燗を吞んでいく香川さん、勢いを失った商店街のほんわりのんびりと生きる店主たち、女癖は悪いし別段いい人でもないけど、もう悪さもできそうにないおじさんの淀橋。バイでプロ志向のバンド活動に打ち込む、無口で良く働き、やせ細っていても大量の賄いを食らう太久郎。猫みたいに自由気ままに生きて、その日の出会いを腹から楽しんで後腐れのないすみ江。 マジオの店は、厨房以外、店の名前すら変えず、メニューもわざと工夫をしないごくごく平凡ない居酒屋なのだけれど、そこは、チェーン店のような慌ただしさとか、言い値の個人経営店のような食のけばけばしさとかからは離れている。実は激しく個性の消費が血を流して傷つけあう社会に疲れた個性たちが憩う場所。ぶっきらぼうな彼の醸す素朴さの周りには、人が寄り添ってくる。
10投稿日: 2022.10.13
powered by ブクログ2022.10.13 読了。 異なる「無職」の立場の登場人物が描かれる5つの短編小説。 「無職」を題材に描いているけれど、語り手の心理や心境は無職でなくても誰がいつでも同じような心理状態になるのではないかなぁと思った。 山本文緒作品は初めて読んだが主人公の時々すごく言葉使いが悪くなり悪態を心の中でだけつく描写やひねくれていると自覚しながらひねくれ続ける登場人物が好きだった。 5編の中で一番共感したのは「囚われ人のジレンマ」で恋愛中ってプライドとか上位の立場に立つことを押し付け合ったりしてしまうのはあるあるかもなぁ〜と思い、「あいあるあした」の計算しつつも情に絆されがちな主人公の不器用さが切なく感じて一番読後感が好みだった。
2投稿日: 2022.10.13
powered by ブクログこんなに感想の持てない本は初めてかもしれません。 リアルではあるけど、リアル故に、そこはかたとなく退屈な一冊でした。
3投稿日: 2022.10.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『自転しながら公転する』が面白かったので、代表作の『プラナリア』も読んでみた。出てくる登場人物は年代は違えど、何かしらの影を持っており、それをカギに吹っ切れるというか、「ぶちギレる」ところが読んでいて痛快である。(そこが山本文緒作品の醍醐味なような気がする)人をキレさせるトリガーはふとした行動や発言だが、それが突然、かつちょっとした言い方の機微でキレに発展するというのも個人的には好きなところである。親しい間柄の炎上はこういうのが多いのではないだろうか。大人になると人間関係が比較的冷めたものになってくることもあり、だんだん感情が爆発するシーンを見なくなってくるので、心のどこかで本書にあるようなストーリーを望んでしまう自分がいる。 全て「無職」と「女性」をテーマとしているためか、一気に読むより作品ごとに時間を空けて読むとよいかもしれない。
10投稿日: 2022.09.03
powered by ブクログプラナリア ルンちゃんみたいな気持ちになることはある。 自分のこと病気になった時はみんなが助けてくれるし、お見舞いに来てくれる。 それが退院した途端、病気は完治した様に扱われ病院にいた時しか病気ではないのか。 ホルモン注射での副作用がきついこと誰もわかってくれない。 周りも周りで乳がんになった人なんて他にはいないし知ることはないだろうから、周りの対応が悪いとも思えない。なんとも言えない。 ルンちゃんの副作用がきつくて働けなかったこと、 プラナリアのことあまりしらないが一部の事実が好きなだけで全部を調べようとはしないこと、 6割までしか頑張れない人間の姿描くのとっても上手だなぁ。 ネイキット 主人公、バリバリキャリヤウーマンで離婚するまでは向上心しかなかったが、離婚を機に仕事を辞めお家でダラダラ生活。 ほぼ放心状態で生活してるのが伝わるが、どこかそれを求めている様な。 そこから抜け出す時、人間関係もスパって整理。今付き合いがある人との関わりも見直すって感じ? リアル。
1投稿日: 2022.08.28
powered by ブクログ想像してたのとは違ってて、すごーく良かった。内容としては明るくないし暗めエンド作品がほとんどなんだけど、なんだろう、書き方?山本文緒の、言葉の使い方とか登場人物の心情の拾い方とか表現とかがとにかく好きだ。読みやすくて、なんかトゥルトゥルしてて、共感できるような、でもできないような…。 テーマが「無職」なのでそもそも共感は難しいんだけど、登場人物たちが抱える、心の奥の何か、をなんとなく感じることができた。 プラナリア 乳がんになった主人公ルンちゃん、無職、大学生の彼氏がいる、社会不適合。自分と相手の確実に違うところを見せられて、バイトも行かなくなってしまう。現実に向き合うのが怖い、前に「進まない」という選択をした女性の話だな、と思った。 ネイキッド これけっこう好きだった。変に純愛とかじゃない。離婚をきっかけに仕事辞めた女の人が、ひょんなことから昔の会社の部下に会ってワンナイトとかして…。働く働かないという以前に、人生うまく行かないときもあるよねーって力抜けた。チビケンに連絡していいと思うよ私は。 どこかではないここ 親目線になるとつらい。お腹を痛めて産んだ子供の気持ちが全くわからない。心配するのが当たり前なのにその心配が子供の重荷になる。親とは。お母さんは懸命に生きてると思うけどね。その感じが、ヒナちゃんは嫌だったのかな。ただの家出じゃなくて本当に出て行くぐらい嫌だったのか。子育てってむずすぎん? 囚われ人のジレンマ そろそろ結婚してもいいよ、とかいう男は絶対嫌だけど、主人公と朝丘くんの間には絶妙なバランスがあったのね。最後はめっちゃバッドエンドでわらったけど、関係をずるずる続けるよりはいいと思う。なんかうまくいかないなあ。 あいあるあした 娘が良かった。とても。
2投稿日: 2022.07.22
powered by ブクログ直木賞を受賞したその当時に確か読んだことがあった作品。ブクログで読んでる方のレビューを目にし、もう一度読みたいと思っていた矢先に古本屋で見つけて即購入。 正直、表題でもある一話目の「プラナリア」しか覚えていなかったので、新鮮に再読できた。 「プラナリア」は懐かしかったし、なんとなく、なかなかよかったかな。
12投稿日: 2022.06.18
powered by ブクログやさぐれていて、飾り気のない自然体な感情描写や飲み込むセリフがいいアクセントになっている気がして、楽しく読めた。
10投稿日: 2022.06.17
powered by ブクログ2022/5/31 読了 短編集。 「プラナリア」で少し暗い気持ちになり、読了できるか不安だったが、読み進めていくと同じ「無職」でもそれぞれ環境や心情はバラバラで興味深い内容だった。 「あいあるあした」であたたかな気持ちになれた。
2投稿日: 2022.06.01
powered by ブクログそういえば、私、来春には無職になるんだっけ。43年間仕事し続けだったけど、大丈夫かな。もう一度読み直そう。
0投稿日: 2022.05.28
powered by ブクログ短編集 それぞれの主人公がどういう人生を送っていくのか長編で読みたくなる どうしようもないような女性たちだなと思うけど、同じようにどうしよもないパートナーがいる だけど、とても人間味がある 山本さんの新しい本が読めなくなるのは、寂しい
0投稿日: 2022.05.22
powered by ブクログ「働けない」「働きたくない」「働きたいけど」と理由も歳も性別も境遇も性格もみんなバラバラの主人公達×5編の短編集~!テーマは「無職」5、6回目の再読で内容もぜんぜん忘れてないのに何度も読んでしまう素晴らしい作品( '֊' )
1投稿日: 2022.05.21
powered by ブクログ初めて山本文緒さんの本を読みました。 5話目の「あいあるあした」を除き、あとの4話は読了後なんだか気持ちが暗くなってしまいました。 どの話も前向きに進んでいこうとするのではなくモヤモヤと停滞している空気感が満載で、そんな所が読んでいて疲れてしまったのかもしれません。 ただ、他の著書もなんだか気になります。
0投稿日: 2022.04.13
powered by ブクログこの作者の作品を読むのは3冊目ですが、幸の薄い女性が多く、読み終わると疲れてしまいます笑 けれど、現実の女性はこういう人も多いのかなとも思い、微妙な感情なんかもうまく表現されているんだろうと思います。
0投稿日: 2022.04.03
