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三面記事小説
三面記事小説
角田光代/文藝春秋
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総合評価

140件)
3.8
27
57
38
7
1
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    題名の通り三面記事になっていそうなネタが深掘りされて短編の小説になっていた。角田さん特有というかさすがに短編であっても読ませる内容になっているところがさすがという感じだった。新聞を日常的に読まなくなって久しいけれど小説になるようなネタは新聞は宝庫だろうなぁ。そこから小説にするのは凡人にはムリだけれど。

    6
    投稿日: 2025.01.22
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    角田光代さんの文章はすごい。 言語化できない様子や情景を見事に表現してくれる。 内容も良かったけど、文章が味わい深い。

    13
    投稿日: 2024.12.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私たちが何気なくみるニュースの裏側を なぜそこに至ったのかを覗きみた本だった。 そして確かに重いもので苦しいものだと 最初は恋仲 途中は友だち、同姓、姉妹 最後は親子 最後の光の川は苦しかった、同時に他人事ではないと思い余計に辛く暗くなって読むのが辛かった。 どの話もすごく現実的で角田さんのかく本が好きだなぁと痛感した一冊

    0
    投稿日: 2024.12.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    身勝手で幼稚な独占欲、思い込みの激しさからやがて訪れる破綻。そこにある思考も、行動も何処か現実感に乏しい。 ただ、『光の川』だけはどこまでも、現実。描かれなかった実際の事件のその後までも、明日は我が身、ひたすら身につまされる。 京都伏見介護殺人事件/Wikipedia ja.wikipedia.org/wiki…

    0
    投稿日: 2024.09.17
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    ゆうべの花火は面白い。 好きの気持ちの天秤が逆になっていく恋愛の話。 光の川は介護の孤独と闇。身につまされる。 私達の税金や社会保険料はどこに…

    2
    投稿日: 2024.07.21
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    短編小説だったので、ひとつひとつが読みやすかった。 この本を読んでから、普段何気なく知るニュースにもこんな裏側があるんだろうなと想像するようになった。

    4
    投稿日: 2024.05.01
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    実際に起きた事件を元に、フィクションで描かれた短編集。 人物設定や心理描写がとても細かくて丁寧で、やっぱり角田光代さんの作品好きだな。

    6
    投稿日: 2024.03.11
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    昔読んだものを再読。 これは本当におもしろい。 実際の事件をモチーフにした短編集。 普通の人だった人が気づいたら事件に巻き込まれてたり、起こしてたり。 大抵の事件ってこんな普通の人たちが何かのきっかけで闇に落ちていって起きてしまうことなんじゃないか?って考えてしまう。 こういう普通のひとたちの話が1番怖い。 角田光代さんの本の中で2番目に好き。

    2
    投稿日: 2024.02.15
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    実際の事件を元に描かれた短編集。 どの作品もそれぞれの人間関係を丁寧に描かれており、最後まで読むと切なくなった。

    2
    投稿日: 2024.02.08
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    怖かった。 そして、どうしようもなく哀しかった。 『人間が一番怖い』とよく聞くけれど、それは確かにそうだと思うけど。 それと同時にとてもとても『哀しい』と思いました。

    1
    投稿日: 2024.02.08
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    角田光代さんの、八日目の蝉もだけど、実際にあった事件を肉付けして小説化する物語が引き寄せられます。ニュースや新聞で事件をみて、なぜこんなことになってしまったのか、、、実際に犯罪を犯す人の気持ちなど分かりたくもないし、寄り添う気持ちも全くないが、背景があるなら知りたいと思ってしまう。折り合いをつけようとする自分がいるのかもしれない。

    2
    投稿日: 2023.10.16
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    街で見かける人達、 少し会話を聞いたりするだけで 実はこうなのかな?と 友達と一緒に勝手に想像したり 知らない人を主人公にして 短いお話を作ったりするのが好きだった。 だから 三面記事からヒントを得ての小説を ワクワクしながら読んだ。 読後はワクワクとは程遠く 辛くて落ち込んでしまったけれど。 どの話もそこらじゅうにありそうで でもどこかでとどまっていて 一線は越えていないだけ。 自分も隣り合わせにいるのかも と思わされた。

    26
    投稿日: 2023.08.08
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    人間の奥底にある闇が丁寧に描写されていて、 結末にかけて次第にスピード感を増して、深く、重く降りかかってくる感覚 もしかすると自分も同じ状況になったら、こんな気持ちを抱いてしまうのかもしれないと、一瞬でもそんな気持ちにさせれられる作品 絶対にいけないことだけど、事件には少なからず"そうしなければならなかった背景''が存在するのかもと不覚にも思ってしまう 『光の川』はひたすらに辛くて、状況を変えられる選択はあの結末しかなかったのか、社会はこうも冷酷なのかと考えさせられた

    4
    投稿日: 2023.04.06
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    どこまでが実話なのかわからないが、 新聞やニュースでは見出しと大まかな内容しか分からないが、ここまで登場人物の性格や言動を記載してくれたら本当のニュースも奥行きが出て興味を持つようになる。 事実は小説よりも奇なり、とは言いますが小説より悲しく切ない事件も数多くある。 このような事実を表現してくれたり、事実とは細かい部分は異なるが事件の全貌を知れるのはいいことなのでは。

    0
    投稿日: 2023.01.31
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    購入済み 2022.12.04.読了 つまらないわけではないけど、ビタっとくる!どういうわけでもなく。。。 まさに星3つ。 角田さん好きだけどねー。まあまあという感じ

    0
    投稿日: 2022.10.25
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    三面記事とは政治、経済以外の社会面のことらしい 本編に始まる前に簡潔にまとめられた三面記事が載ってるんだけど新聞ではほんの数行でまとめられた事件もストーリーとして読むといろんな事情や登場人物の感情が複雑に絡んで起こってるんだよな〜と 特に最後だったっていうのもあり介護の末殺した親子の話しが印象的だった 母親のアルツハイマーしんどいなぁ 介護しながら働くことは困難なのに生活保護は規定外で受けられず限界な息子の状況が読んでてしんどくなるほどリアルだった とにかくどの話も読みやすくて面白かった

    2
    投稿日: 2022.08.05
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    現実的で突き刺さるような悲劇ばかりで読み終わると辛い気持ちになるのに読むことをやめられない。聞き流してるニュースのむこう側にはそれぞれ人生があるということをわすれてはいけないと言われてるような。

    2
    投稿日: 2022.03.29
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    『元自宅床下から遺体 ー 二十六年前に東京都の小学校の女性教諭を殺害したとして、元同小勤務の無職の男(68)が、自首…男の供述に基づいて男の元自宅を捜索したところ、床下から、この女性とみられる遺体が見つかった。(平成16年8月23日付 読売新聞抜粋』 あなたは、新聞を読むでしょうか? 日本財団が18歳を対象に行った調査では、新聞を”読まない”と回答した人が七割にもなったそうです。実のところ私も自宅に新聞をとらなくなって10年以上の月日が流れました。テレビとネットの情報だけで生きてきたこの10年以上の日々の中で、少なくとも私にとって紙の新聞はすでに過去のものになりつつあります。一方で、職場でたまに目にする新聞には目を引く大きな記事の他にも夥しい事件の数々がびっしりと記されてもいることにも気付きます。テレビやネットの情報だけでは、私が知る由もなかった数行から構成された事件の数々。 そんな”日々の事件、風俗、ゴシップ、スキャンダルなど”、社会面に掲載される記事のことを”三面記事”と呼ぶのだそうです。私たちはその数行からこの国のどこかで確かに起こった現実に触れることができます。しかし、上記した引用記事を読んで分かるのはあくまでもその事件の結果でしかありません。『元同小勤務の無職の男(68)』とはどういった男だったのだろう、26年間も床下に遺体を隠し続けてきた日々とはどういうものだったんだろう。そして、ここまで発覚しなかった経緯には何があったんだろう、とさまざまな疑問が浮かび上がります。しかし、数行のみで記された記事はそのことに決して答えてはくれません。また、数多存在する事件の中でそんな一つの記事はあっという間に埋もれてしまい、それを読んだ読者の記憶からも消えてしまいます。 さて、ここにそんな”三面記事”に光を当てた物語があります。リアル社会に発生した六つの事件の”三面記事”を物語冒頭にまず提示するこの作品。消耗品のように読み捨てられるだけだった記事の背景に光を当てるこの作品。そしてそれは、数行のみで提示される”三面記事”の裏側に深い人間ドラマが隠されていたことに読者が戦慄することになる物語です。 『ちん、と短く鳴ったあと、じりりりりりん、と黒電話の鳴り響く音』に『アイロンのスイッチを切り、廊下へ向か』ったのは主人公の房枝。そんな電話は姉の美枝子からでした。『話したいことがあるの』という姉に『いいけど、正文さんはいるの』と訊く房枝は『姉の夫の正文が苦手』でした。『明日の約束をして電話を切』った房枝は過去を振り返ります。『結婚したのは三年前』という房枝は『未だ妊娠の兆し』なく、『七年前に結婚した姉の美枝子にも子どもがいない』こともあって『妊娠しにくい家系なのかと考え』ています。そして、『犬を飼おうか』と夫の大志が言い出したことで『この人は諦めたんだと』も感じています。そして翌日、約束通り姉と会った房枝は『あのねえ、あの人、よそで恋愛をしてるんじゃないかと思うの』という姉の話を聞いて『またその話か』とため息をつきます。『結婚して七年もたつのに、浮気をしているんじゃないかと始終気にしてびくびく』している美枝子をあきれて見る房枝は、自分との時間が『一種の憂さ晴らし』なんだろうとも思います。そんな姉と会ったあと、『一カ月に最低一度は電話をよこしてきた美枝子から、まったく連絡が』なくなりました。一方で『貯金ができたら引っ越さない』、『いつまでも団地暮らしっていうのもな』と夫婦で仲良く会話する房枝は大志との幸せを実感しています。『訛りの残る無愛想な、しかもずいぶん年の離れた男と見合いで結婚した姉』より『自分の方が幸せである』と優越感を感じる房枝。そして『念願の庭付き一戸建てに引っ越した』房枝は『課長へと昇進した大志』との暮らしを満足するも大志は忙しさから家に帰れない日も増えていきます。一方で房枝は『年末近くなって』、『美枝子に電話をかけ』るも『早く電話を切りたがって』いる気配がありありで早々に電話を置きました。そしてついに『ぱたりと連絡をよこさなくなった』美枝子が気になり、姉の家を訪れることにした房枝。『駅を下り、記憶を頼りに商店街を進む』も、どうしても記憶にある家を見つけられません。『目についた酒屋』で『あのう、小林さんてこの辺じゃなかったでしょうか』と訊く房枝に怪訝そうな顔をする店員は、『小林さんちは変わらないよ、あそこだよ。気味が悪いったらないよ…』と語り、もし訪ねるのなら『変な薬品を庭にまくの』をやめるよう伝えて欲しいと言います。そして店を出て目的地と思える場所へと着いた房枝は、そこに『ブロック塀にトタンが堆く積み足され、そのさらに上には有刺鉄線まで張り巡らされている』というまさかの光景を目にしました。まるで要塞のように思える『得体の知れない』光景に立ち尽くす房枝に『なんの用だっ』と『頭上から野太い声が降ってき』ました。『おにいさん…』と思わず口にした房枝の前に『無愛想を通り越して能面を思わせ』る表情をした正文の姿がありました。そして、『ふーちゃん』と顔を出した美枝子に驚愕する房枝。久しぶりに再会した二人に、この時点からは予想もできないまさかの結末が待つ物語が描かれていきます…という最初の短編〈愛の巣〉。平成16年8月23日付の「読売新聞」に掲載された記事を元にその事件の裏側を見事にフィクションとして書き上げた角田さんの上手さを感じる好編でした。  「三面記事小説」という六つの短編から構成されたこの作品。作品間に繋がりは全くありませんが、書名の通りそれぞれの短編が現実に存在する”三面記事”を元に書かれたという点が共通点となります。“ある編集者から永井龍男の作品で昭和の三面記事を題材にした短編集があると聞いていたんです。それがずっと頭に残っていて、文藝春秋から連載のお話をいただいた時に、その平成版というのはおこがましいですが、やってみようと思ったんです”と語る角田光代さん。そんな角田さんのこの作品はそれぞれの短編タイトルに新聞記事の切り抜きが貼られいて、その後にその記事の背景が物語として描かれていくという構成をとっています。では、そんな記事と物語について三つの短編をご紹介しましょう。 ・〈ゆうべの花火〉: 『不倫浮気相手の妻の殺害を依頼 ー 闇サイトで不倫相手の妻の殺害を依頼したとして、都職員の女が14日…逮捕された。殺人を請け負ったとして、自称探偵業の男も同容疑で逮捕。(平成17年9月15日付 新聞報道)』 → 『学校教材会社が私たちの職場だった』という主人公の千絵は、先輩の田口洋と不倫関係に陥ります。一方で『人との関わり』が苦手と職を転々とする安田孝幸は『復讐やいやがらせを代行する闇サイト』を運営する矢崎という男から『不倫相手の妻に嫌がらせをしてほしいっていう依頼』を引き受けたことから千絵とのやりとりが始まり記事の事件へと進んでいきます。 ・〈彼方の城〉: 『16歳男子高生にみだらな行為の38歳女逮捕 ー 無職女性(38)が…逮捕された。調べでは容疑者は九月十日、高校二年男子生徒(16)を自宅に誘い込み、みだらな行為をした疑い。(平成17年11月17日付 中日新聞)』 → 『未来がすばらしいもののはずであると信じていた』主人公の愛子に待っていたのは他の女の元へと出ていった夫が残した家でゴミに埋もれて生活する拓磨と香奈との三人の生活でした。夫からの養育費に頼る日々の中、日々通い詰める漫画喫茶で『真心の接客 隼人』と名札をつけた少年と関係を深めていく愛子は記事の事件へと進んでいきます。 ・〈光の川〉: 『介護疲れで母殺害容疑 ー …長男(54)を殺人容疑で逮捕した。長男は病気がちの母親と2人暮らしで、「介護に疲れて、発作的にやってしまった」と供述しているという。(平成18年2月3日付 朝日新聞』 → 『中度アルツハイマー型認知症』と診断された母親のことを心配し『母は輝男がだれだかおそらくわかっていない』という中で母親の介護と自らの仕事を切り回すギリギリの日々を送る主人公の輝男。行政にも見捨てられ、一人追い詰められていく輝男は記事の事件へと進んでいきます。 といったようにそれぞれの短編には、結果として、リアル社会に現実に起こった事件の内容がまず提示され、その事件に至る過程が描かれていきます。しかし、この内容自体はノンフィクションではなくあくまで角田さんの創作であるという点がポイントです。私たちは日々数多なされるニュース報道で、この国の中で、そして世界で日々発生している現実の事件の数々を知ります。しかし、そこに報道されるのはあくまで結果であってそれぞれの事件の裏側に何があったのかという詳細な事実、事件の舞台裏を知ることはなかなかに叶いません。この作品では、そんな事件の背後にあり得たかも知れない物語が角田さんの筆の力によってまるで事実であるかのように描かれていきます。私たちは犯罪とは悪である、そんな風に単純な立ち位置を基本的には取ると思います。”三面記事”の内容だけでは、その行為自体の悪の側面にしか気を回せないということもあります。しかし、この作品を読むことで、そんな事件の背景に、事件へと至る道筋に、そんな事件を起こした人物の心の内がどのようなものであったかに思いを馳せることが出来ました。もちろん、犯罪者の心の内、事件が事件として成立していく流れを見ても犯罪の事実、犯罪というものの重みが消えるわけでも薄まるわけでもありません。しかし、冒頭で提示されたリアル社会の事件に対して自分の感情に変化が生じるのを感じました。 そんな六つの短編に取り上げられた事件はいずれもショッキングな内容ばかりですが、中でも特に衝撃を受けたのは最後の短編〈光の川〉でした。『介護疲れで母殺害容疑』という記事の見出しが提示するその事件。昨今、似たような報道を数多目にすると感じられる方は決して少なくないと思います。特にそんな介護が認知症を原因とするものの場合、その舞台裏は凄惨を極めます。『生ゴミをなぜかあちこちにしまいこむ』、『意味不明の言葉、被害妄想的な幻覚』、そして『大便を漏らしたパンツのなかについ手を突っ込んで、その手で家具をさわってしまう』と生々しく記される認知症の症状が悪化する母親と、それに働きながらの対応を余儀なくされる息子の輝男。そんな輝男はやがて職を失い、『収入はたつ子の年金七万円だけになる』という生活不安の日々の中、一日一日をギリギリに生きていきていく様がリアルに描かれていきます。そんな孤独な日々の中、『こちらは何も意地悪をしているんじゃないんでね』、『高齢化社会ですからね。おたくだけじゃないんです』と行政にも見放される輝男。それでも介護を止めるわけにはいかない毎日が描かれていく物語は、今のこの国では決して他人事でない現実に、読んでいて目を伏せたくなるような思いに終始包まれました。そして、そんな物語を読み終えて『介護疲れで母殺害容疑』という三面記事の見出しを再度読んだ時、そこには最初に読んだ時とは違った感情が、なんとももどかしさに包まれる感情が自分の中に去来するのを感じました。 “三面記事を使って今の時代を切り取り、50、60年後の人たちが今の時代を知る手がかりにしたかった”とおっしゃる角田さん。そんな角田さんがこの作品の元にした六つの事件は、平成のこの国で現実に起こった、リアルな”三面記事”の内容を元にしたものでした。新聞には夥しい量の記事が掲載されています。そんな中に小さく数行だけ記された”三面記事”を読むと、まるでその事件が全体からすると大したことのないもののように錯覚もしてしまいます。しかし、そんな一つひとつの記事の裏側にも、それぞれに奥深い人間ドラマが隠されていることをこの作品を読んで実感しました。 新聞の”三面記事”という、消耗品のようにその場限りに消化されていく記事に光を当てたこの作品。それぞれ数行に過ぎない”三面記事”を元にここまで奥深い物語を創り上げることのできる角田さんの筆の力に改めて感じ入った、非常に興味深い試みの先にある作品だと思いました。

    117
    投稿日: 2022.02.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最後の「光の川」が、最も印象に残りました。一人で懸命に認知症の母の世話をしている主人公の輝男は、最後には母を手にかけることになるのですが、誰か一人でも救いの手を差し向ける人がいたのなら、違う未来があったのではと思うと悲しい気持ちになりました。

    2
    投稿日: 2021.10.26
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    実際の三面記事を肉付けしたフィクション。 最後の話はつらくて読むのがしんどかった。 母と暮らす私としては、考えさせられた。

    2
    投稿日: 2021.08.13
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    2021/6/15 読了 新聞に掲載されている、小さな記事の裏側を想像した話。 実際の事件の裏側は誰もわからない。

    5
    投稿日: 2021.06.15
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    実在の事件に肉付けされたストーリーという事実が重い。 事件の当事者の人生を大きく変える事件を小説という形で消費して良いのかと、読みながら背徳感を拭えなかった。 それほど生々しい迫力のある一冊だった。

    3
    投稿日: 2021.02.09
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    新聞の中の、注意をして見ていないと 見落としてしまう三面記事。 そこには数々の事件の、事象が書かれている。 その事象の裏には、 1つ1つの事件のストーリーがあること。 悪いことをした人間だけが悪い訳じゃないこと。 色々な背景があること。 この小説を読み、 物事の本質を考えないといけないなと 思った。 角田光代さん、さすがです。

    15
    投稿日: 2020.06.05
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    ★★★★ 今月1冊目。 これは良かったな、恋愛とか介護系の新聞の3面記事に出そうな物語がいくつか。 色々考えさせられた小説。角田光代さん、いいね

    2
    投稿日: 2020.02.01
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    66 三面記事って、よくある話・日常の話だから目新しくもないから取り上げられることもない話のイメージだったけど、そんな小さい記事の中にもこんな物語があるのかもしれない そしたらとっても胸糞悪いね 話は暗いし絶望的だし、もう見返すことはないけれど こういう三面記事もよくある話で片付けちゃだめだと思った わたしって幸せ者だなって再確認した 20190909

    2
    投稿日: 2019.09.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三面記事に載った事件を元に書かれたフィクション。その事件に至るまでを想像して書いた物語はリアルすぎてノンフィクションかのような錯覚をしてしまうほど。 中学生が教師の給食に薬を盛る、介護疲れから母を殺害、38歳女性が16歳男子を監禁淫らな行為など、たしかにどこかで聞いた記事。 角田作品は、読んでいるこちらが犯罪をしているような、片棒担いでいるようなゾクゾクした錯覚をさせてくれる。 今作も流石です。 短編集なので、気負わず読めた。

    2
    投稿日: 2019.08.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    メモ 愛の巣 女を殺して自宅の床下に埋め、その上で26年間暮らした事件を元ネタに、配偶者の裏切りで人生を26年間ゴミ箱に捨てられた女の話。 ゆうべの花火 不倫相手の妻殺害を闇サイトに依頼する女の話。 糞以下のサイコパス男登場。女についてはよくわからない。 彼方の城 自分の子供と同世代の高校生に、性的に執着する女の話。 こういう話は稀に純愛ということもありそうだけど、普通に気持ち悪い。 永遠の花園 女子中学生2人が、担任の給食に抗うつ剤を混ぜる話。 時が止まれば良いと願う女の子、願った形ではないけど時が止まってしまった現実。 赤い筆箱 明るい妹に嫉妬した姉が、妹を殺してしまう話。 姉は土佐女子の生徒だったらしい。 地元でびっくり。 光の川 じりじりと蓄えを切り崩しながら、痴呆の母親を介護する中年男性の話。 どうしようもなく悲しい。

    2
    投稿日: 2018.10.29
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    いろいろ考えさせられるなぁ。 特に最後の話。読んでいるだけで辛かった。 でもこういう風に三面記事を小説にするってすごいなと思います。

    4
    投稿日: 2018.10.15
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    自分のダークな部分に更に深く潜れば、私も三面記事に載ってしまう事をしでかすかもしれない。背筋が寒くなるような、だけど一気に読んでしまった作品であった。

    1
    投稿日: 2018.03.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    うむうむ、抜群に面白いですね。素晴らしいです。やっぱスゲエぜ角田光代。信じてよかった角田光代。そんな事を痛感する短編集、と言えたのです。自分にとっては。 日々、新聞の三面記事で目にする、ありとあらゆる事件。人間が引き起こす事件。それは、新聞の三面記事として、本当にビックリするくらいに、毎日あっさりと登場して、あっさりと忘れ去られていきます。日本国内でさえ、これほどに沢山の三面記事事件が起きている。そうすると、世界規模で考えたら、どれほどの、信じられないほどの三面記事事件が起きているんだ?と、途方に暮れてしまいますが、、、 こうした様々な三面記事の事件は、事件の直接の関係者以外にとっては、基本的には、全く関係が無い、ばかりでなく、ほとんど気にもかけない。或いは、へええ~そんな事件があったんだ~こわいねえ、と思ったとしても、ほんの一過性で心で思うだけの事件、というのが、正直な印象、という気がします。 だが、だが、その。ほぼ全ての人々が、一瞬で忘れ去れるであろう三面記事の様々な事件の背景には、当事者関係者にとっては、とんでもなく濃密な時間が流れていたのだ。剥き出しの人間性と、溢れかえる悲喜劇と、まさにそれが、彼ら彼女らの人生を一変させるほどの、とんでもない「何か」が、あったのだ。 ということを、これほどまでに濃密に暴き出した、角田さんの妄想力、というか想像力、というか作家魂の凄さよ。事実をもとにしたフィクションなのでしょうが、ここまで説得力あると、ある意味凄すぎて恐ろしいです。角田光代、ホンマにスゲエ。 収録された、どの短編も、それぞれ素晴らしいと思うのですが、いっちゃんグッと来たのはどれか?といいますと、、、「ゆうべの花火」でしょうか。 「千絵」が、何故にあれほどまでに壊れてしまったのか。何故あれほどまでに、後戻りができない地点まで行ってしまったのか。いやあ、怖い。人間は、怖い。 「田口洋」は、間違いなく、人間の悪性を象徴する人物ではあると思うのだが、そんな彼に、なんらかの惹かれるべき人間的魅力は間違いなくあったであろうし、彼も、自分の妻の前では、社内では、間違いなく「いい人」の面を持っており、妻の胎内に宿った「自分の子」に対しては、無償の愛を注ぎまくったのであろう。 「千絵」に対しては、あれほどに剥き出しの悪意を見せるにいたった「田口洋」は、だが、それ以外の面では、極めて普通の、まっとうな社会人であったはず、なのだ。 くう、怖い。そのことが、怖いですね。「千絵」の壊れっぷりも、でもそれほどに壊れていながらも、あくまでも普通に会社勤めを続けていたであろう面も、 「田口洋」の、普通の面は圧倒的に普通の社会人であったであろう面も。何故に人は、これほどまでに、両極端な自分を、同時に生きることができるのだろうなあ。 そんな、人間の不思議さを、これほどまでに書ききることのできる、角田光代という人物。ホンマにスゲエ。

    1
    投稿日: 2017.09.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    三面記事に出てくるような「事件」を起こすまでに至った人間の心理を、想像をもとに書き起こした短編集。 どれもが真に迫っていて、読了後は、自分があたかもその犯罪に手を染めてしまったかのような臨場感。それほどまでに説得力がある。 どれもこれも、「ああ、これは自分だったかも」と思う。 角田光代すげえ。

    1
    投稿日: 2017.08.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    角田光代先生の著作だから読んだ本。内容のことを知らない状態で読んだ本。どの話も登場人物の心理が怖かった。この本に収録してある本の中で「赤い筆箱」と「光の川」の事件の背景の描写に共感した。読後感が重い小説が苦手な人には薦められない本だと思った。この小説のキャラクターの中で「秘密の花園」の「ビョーキちゃん」と、「光の川」の輝男の生活が読んでいて可哀想だと思った。

    0
    投稿日: 2017.08.02
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    もし、あなたの知人、また1度か2度会っただけの人。そんな人の名前が新聞の三面記事に載ったとしたら ・・・・。こんな簡単でわずかな文字数でなんて何もわからない!と思う事でしょう。 何故こんなことに(三面記事に載るような事)なってしまったんだろう?もっと詳しく知りたい。 そんな風に思う事はすごく自然な事でしょう。そんな1つ1つの三面記事を角田光代は自分なら、自分と家族なら、自分と彼となら、と自分に置き換えて物語を構成しているのではないのだろうか。 6つの短編は読み進めるごとに心に重くのしかかる。暗い闇が見えている方向に近づいていくのが苦しい。 しかしそこに出て来る家族達や家族であった人達、家族の様な人達が闇に向かうのを止める事がどこかでできるのではないのだろうかと一縷の望みを持ちつつ読むのだがそれも絶たれるのである。 読みつつ、胃の当たりとかがうっすら痛い様な気がするし、自分が今目をつぶってやり過ごしている事で誰かが辛いことになっているのではないかという思いが駆け抜ける。 言ってみれば読まないなら読まずに済ませたい本でした。 しかしながらこれだけの闇に行くにはこれだけの理由があったという物語を紡ぎ出す事が出来る筆力は素晴らしく、且つ説得力がありました。 この痛みを自分ならどう昇華していくか、考える事。 考えると言う事がいかに大切かと言う事を教えていただきました。 あ~~今回はかなりまじめに読んじゃいましたね~~。 さてさて!次は軽いやつにしよ~~~(;・∀・)

    1
    投稿日: 2017.05.08
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    三面記事小説という発想がいい。新聞の片隅に載っている殺人事件や傷害事件。なにがあったんだろう、と関心をひかれても、そのままするする過ぎていくのが普通だけれど、角田光代は想像力をはたらかせて、魅力的な短編集に仕立ててみせた。いわゆる「普通の幸福な家庭」がなぜか新聞沙汰になるような事件を生み出してしまうところに角田さんの関心はあるのだろう。中では、高校生の男子を監禁し性関係を強要する主婦を描いた「彼方の城」が特に面白かった。とはいえ短編集では物足りなく、もっともっと踏み込んだ長編が読みたくなってしまうのが難点と言えば難点か。

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    投稿日: 2017.03.11
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    角田光代。自分でもわからないが、いままでナゼか避けていた作家さん。ナゼか手にとった。うまかった。 数ある作品を読み漁ろう。 個人的には「光の川」。 救いのない話にすくいがある…。 しかも明日は我が身。 そんなストーリーだったからかもしれない。

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    投稿日: 2017.01.19
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    わかる気がすると思う部分もあったけど、他人から見たら、客観的に見たらおかしいことも、本人にはわからないときもあるなと思うけど… なんかあまりにも隣で起こってることのような感覚になってきて、悲しいような怖いような気持ちに。 気持ちが滅入ってるときには読めないな。 何も考えずに楽しく読める本で気持ちを切り替えたい。

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    投稿日: 2016.09.05
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    三面記事の向こう側 この記事から こんなドラマを思い付いたんだぁ~ 感心しながら読みました 「光の川」は読んでいてかなりつらかったです 区役所の奴!(#`皿´)

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    投稿日: 2016.05.07
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    実際の事件、"三面記事"の向こう側を描いた短編集。 なんと言ったらいいのかわからない話ばかり。 最後の「光の川」は読んでて辛かった。 (図書館)

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    投稿日: 2016.03.09
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    ♡story 「私は殺人を依頼しました。恋人の妻を殺してほしいと頼みました」 誰もが滑り落ちるかもしれない、三面記事の向こうの世界。 なぜ、姉夫婦の家はバリケードのようになってしまったのか? 妻の殺害をネットで依頼した愛人の心の軌跡とは。 直木賞作家が事件記事に触発されてうみだした、六つの短篇小説。

    0
    投稿日: 2016.02.22
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    実際に起きた犯罪を元にした小説。 別にドキュメンタリーとかノンフィクションじゃないので、事実とは完全に別。 どれもくらーい感じで(当たり前だけど)救いがない。

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    投稿日: 2016.02.13
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    ゆうべの花火 と、彼方の城 が良かった。角田光代の小説を読むと毎度、家庭とは子どもとは思春期とは大人とは、ということを振り返らせられる。もちろん人によって共感できる登場人物はいたりいなかったりするだろうが、彼方の城に出てくる母親の気持ちが今の私には痛切だった。息子いないけれど。

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    投稿日: 2016.01.30
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    新聞に載るような記事をもとに、なぜその事件が起きたのか内容を描く小説。短編です。 結局、事件なんて裏にいろいろな事情がある。殺人を犯すことに、毎日恨みながらタイミングを図るようなものもあれば、衝動的に犯すものもある。 色々な事情があるのはわかる。 結果は結果としてね。

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    投稿日: 2015.12.29
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    実際に起こった三面記事から角田さんがストーリーを作り上げるという手法が面白い。扉の記事を最初に読み、これをどう“料理”するのかな?とワクワク。 ありふれたよくあるような事件の裏には私達の思いもしなかった事が実はあるのかもしれないと思った。

    0
    投稿日: 2015.10.29
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    新聞の事件記事をモチーフにして描かれた短編集。 人の心理的な部分を鋭く見抜き、短編ながら奥が深い。 2015.8.23

    0
    投稿日: 2015.08.23
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    久しぶりに怖い物を読んだ。 しかもこれの前が家族のほのぼのとした本だっただけに差がありすぎて読む順番を間違えたな、と。 結末が無いものが多く、想像力をかきたてられるものがあったがそれがよりいっそう恐怖を招いた感じ。 普通の人達が、何かのきっかけで自分の欲望を剥き出しにする。 それに気づかず止める人がいないのは、本人たちが至って普通だからだ。 モヤモヤまではしないが、何か心に引っ掛かるものがあった。 H27.7.30~8.3読了。

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    投稿日: 2015.08.01
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    本当にあった事件から着想を得て描かれた小説が収められた短編集です。ほんのわずかな顛末しか読み手には知らされていないので、実際がどうだったかはわかりませんが、その着想の広げ方は凄いと感じるものばかりでした。 この結果が、そのような過程を経たものだとは、という意外性をたのしみ、そして時折残酷で悲劇的なストーリーに「もしかしたら事実かもしれない」(実際は違うとは理解しつつも)と空想してはらはらと胸を苦しくさせられました。 どれもがどこか救いがないものばかりだったので読み心地としてはけっして楽しい、とはいえません。けれど、現実と寄り添っている向こうがわを覗いてしまったような、自分もどこかでこのように道を外してしまうかもしれないというような、そんな心地にさせられるリアリティのある物語で、印象強い後を引く感覚を読み終えてなお残されたのでした。 最後の一編は、本当の事件のほうの顛末を知ってましたし、また、あるかもしれない未来だと思えてしまったので、ひたすら恐ろしくも哀しくてたまりませんでした。

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    投稿日: 2015.07.19
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    三面記事から着想した短編を集めたもの。すべてフィクションで、事件を起こすに至る事情を想像して書いたものと思われます。心理描写が素晴しく、また緻密に組み立てられていて、たしかにそう考えたならそういう行動をとるかも、と思わされます。何かを変えるため(あるいは変えないため)事件を起こす人に共感はできませんが、小さな記事の背後に隠されたドラマはどれも読み応えがあり、ただの名前(記号)だった当事者たちが、圧倒的存在感で立ちあがってくることに感動しました。

    0
    投稿日: 2015.06.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    結構面白かった。短編小説ですが1篇1篇が読みごたえがあった。ってか怖い! 実在した事件をモチーフに描いたフィクションとのこと。うん、こんな小さな記事だと罪を犯した裏事情がまったくわからないもんね。罪に問われるのは加害者だけなのか。被害者に非はなかったのか。。

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    投稿日: 2015.04.01
  • 読後、家族と話し合った(おかしな方向に)

    執着と愛の狭間で揺れ動いていたものが、執着に大きく傾いてしまった時に、こんな事件が起こるのだろう。 途中までは理解も共感もできるのに、ある一瞬で大きく傾いていって、「ああ…それやっちゃ駄目だよ…」という気持ちになる。 ただ、最後の一編『光の川』。これは実際の事件としても記憶に新しい。認知症の母を一人で介護し、けれど本人は健康体だからという理由で生活保護なども受けられず、その果てに母を殺してしまったという50代の息子の話。 他の短編たちは愛が執着に変わってしまったが故の悲劇だし、明らかに犯罪だ。モラルとして許されるべきものではない。 けれど、『光の川』だけは、そう言い切れない自分がいる。 実際の事件の報道に接した時もそう思った。同じ状況だったら私もやるかもしれない。ただひとつ迷うとするなら、親を殺すのが先か、自分が死ぬのが先かというくらいか。 だとしたら、そこで親を先に殺すのは、それは愛ではないだろうか。 モラルだとかヒューマニズムだとかは置いておいて、もう絶対に駄目だと思った時に、先に相手を解放してやるのは、愛ではないだろうか。 いや、ひょっとしたらエゴイズムかもしれない。単なる自己満足でしかなくて、やっぱりそれは独善的で傲慢な殺人行為でしかないのかもしれない。 こんな状況なのだから思い詰めたとしても許されると、心のどこかで考えてしまったら、それは罪だ。 けれどそうじゃなかったら。 我が家にも年老いた母がいる。女同士というのはひどく現実的なものだから、何くれとなく話している折に、私と母がよくたどり着く結論がある。 「お金だけが幸せじゃないけれど、お金で買える幸せはある」 使い切れないほどのお金を持っていても、覆せない不幸はいくらでもあるし、貧しさだけが不幸の原因ではないことは二人とも知っている。 けれど、お金で買える幸せだって結構な割合で存在する。 もちろん、不治の病はお金があっても治らないし、死に瀕した人がお金で命を買えるわけではない。作中にあるような、進んだ認知症はいくらお金をかけたって治らない。 けれど、お金があれば充分な介護をすることができて、その介護は家族の負担にならずにお金で解決することができる。そうすれば家族にだって心のゆとりが生まれるし、介護にとられずに済んだ時間が生まれる。時間はお金で買えるのだ。 が、作中のような貧しさ(といっても、ごく普通に働いていて、ごく普通に貯蓄をしていた成年男性だ)の中では、毎日ヘルパーを頼むこともできず、介護に時間をとられて、仕事を辞めざるを得なくなる。そうして、貯蓄も精神力も摩滅していく。 「お金だけが幸せじゃない」そんなことを言えるのはお金に不自由しない人間だけだ。 お金で解決できない不幸はあるが、中流以下の人間がそれと同じ不幸に見舞われれば、その辛さは倍増するだろう。 私と母は、いつもそんな風に、身も蓋もない結論にたどり着く。 そして、この本を読んだ後、なんとなく母に電話をした。 こういう小説を読んだのだが、と話し出すと、母も読んだことがあるという。そして同じように、事件報道も記憶に新しいと。 「同じ状況だったら、私も殺すかもしれないけどいいかな」 と聞いたら、 「うん、いいよ」 と言った。 ただ、それに続けて 「殺されるほうはそれで別にいいけれど、殺した後、あなたが前科者になっちゃうのは困る」 と呟いた。 「困ると言っても、その頃にはあなたは殺されてるわけだから」 「それもそうだけど、でも刑務所に入ってしまったら、出所した後も仕事ないし、人生むだにしちゃうじゃない。だから、私が殺されるのはかまわないけど、あなたが殺すのはやめたほうがいい」 とりあえず、自分が殺されることになってさえ、子供の将来の心配をするのが親なのだなぁと妙に感慨深かったです。 だから、そうならないようにお互いに努力しようということになりました。 (後半、あまりレビューっぽくなかった)

    1
    投稿日: 2015.03.29
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    15行足らずの三面記事の事件。それぞれの当事者が犯罪に至った事情をフィクションとして描き出す6編の小説。 どの事件も、主人公が臨界点を越えて犯罪に至るまでの心の動きが細かく描かれ、その緊迫感の中で事件が起こる。三面記事でここまで書けるなんて、つくづく、作家ってすごい。 痴呆の母を手にかける息子を描いた光の川は切なかった。

    0
    投稿日: 2015.02.27
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    実際の事件記事をモチーフに書かれた短編小説。 過去に一度 読んだことがあったのですが 全く覚えていないので再読。全編読み応えありました。さすが角田さんですね。6話あって どれも人間模様がせつなく リアリティがあってぞっとする。最後の「光の川」は とにかくせつなかった。

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    投稿日: 2015.01.15
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    フィクションとノンフィクションの狭間。当事者の本当のことではないにせよ、記事においての数文字にしかならない人間模様が、彼等を生かしている。

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    投稿日: 2015.01.07
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    1014.11.30ー78 記事は見ないようにして読み始めても、うっすらと記憶のある事件を題材としているだけに、結末が分かってしまうものの、それぞれの事件にはひょっとするとこの小説通りの背景・理由があったのかと素直に思う重みが感じられる。

    1
    投稿日: 2014.11.30
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    人ってなんだか外から見てると小さいのに、それぞれが色んな色んな裏側を隠し持ってるんだなー。私も、あなたも。今日すれ違った顔も覚えぬあの人たちも。 日常がひとつ歯車が外れれば、犯罪となる。 誰にだってこの小説の登場人物になる可能性がある。

    0
    投稿日: 2014.11.22
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    なんておもしろくて読みやすいんだ...もともと三面記事はすきなのですが、あの数行からこんなストーリーを思いつくとはかくた先生すごすぎます。

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    投稿日: 2014.11.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    実際に起こった小さな三面記事を元に、作者がその事件の背景を創造するというちょっと変わった形の短編集です。個人的には一番最初の26年間、死体を隠した家で住んだ夫婦の話と、先生の給食に薬物を入れた中学生の話が印象的でした。どれも事件を元にした話なので、読後の気分はあまりよいものではありません。角田さんはいろんな形で文章を書くのがうまいなぁ・・・。

    1
    投稿日: 2014.10.01
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    実際に起こった事件を題材にした短編物語集。 どれも許されない犯罪なんだけど、悲しく、辛い現実、葛藤があって、誰しも陥ってしまいそうな闇が描かれていた。色々と考えさせられた… 角田さん作品には、どの登場人物にも必ず共感できる心情があるから、読んでいて登場人物の行動に納得してしまう! 読み応えのあった一冊でした!

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    投稿日: 2014.09.15
  • 本当の事件をモチーフにした、リアルな小説

    日本で起きた事件をモチーフにした短編小説です。 当時新聞やテレビで見た記憶に残っている事件も描かれていて 大変興味深かったです。 そして、一つ一つの事件の背景をうまくとり入れながら 読みごたえのある作品になっており、引き込まれて半日で読み終えました。 特に、自分の恋人の妻を殺して欲しいと代理殺人を依頼した女性の事件は、 女性の心情の移り変わりが見事に表現されており、圧巻でした。 何故彼女があそこまで追い詰められたか… 何故恋人があそこまで変貌してしまったのか… それは環境だけではなく、彼女の性格がそうさせてしまったのかもしれません。 角田さんの小説は冒頭の文章から読者を引き込む力を持っています。 こちらは短編小説ですが、どれをとっても重く考えさせられる内容でした。

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    投稿日: 2014.09.15
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    おもしろかったです。 たった数行の記事の中にもファンタジーがありました。 赤い筆箱と光の川が特に印象に残ります。

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    投稿日: 2014.06.21
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    事実は怖いという典型でしょうか。 これらの事件の根底には「淋しさ」という共通点があるような気がするのですがいかがでしょう?

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    投稿日: 2014.05.18
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    実際の事件のベタ記事から着想を得て書き上げたという、フィクションの短編小説集。時代小説みたいに事実をもとにしたのではなく、記事をもとにあることないこと想像して、枝葉をつけるようなスタイルで書かれている。 小説としては面白いのだけれど。架空の記事を使うのなら良いと思うけれど。実在の記事には、実在の当事者が実在する。 当事者がこの本を読んだら、一体どう思うんだろう。 私は新聞記者のはしくれとして、この小説にあるような小さい事件記事をほぼ毎日出稿している。なるべく被害者を苦しめないように、かつ同じように苦しむ人が出ないように、もし加害者が冤罪だったとき人権を侵害しないように、などと毎日毎日神経使って工夫して記事にしている。双子の姉を包丁で刺した中年女性の気持ちとか、駅のホームから電車に飛び込んだ大学院生の気持ちとか、書くたびに想像するけれど、想像でカバーできるはずがなくて、ただ胸を痛めながらノートパソコンのキーを叩いて、半ば無理矢理淡白な文字を紡ぎだすしかない。 娯楽小説の題材にするようなものでは無いと思うのだけれどなあ。 新聞の事件記事はみんな、読み物じゃなくて事実。結果としてはこんな数行の淡白な記事になるけれど、そのひとつひとつで、実在の人間が泣いたり怒ったり悔しがったりしている。ということを、どんなに仕事に慣れたとしても私は忘れたくないし、新聞の読者にも、角田さんにも忘れてほしくない。

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    投稿日: 2014.05.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    文中のこの言葉につきる。 <たぶんこれからいくつ年をとっても、父や母やクラスメイトがあの事件を忘れそっと大事にかくしてある新聞の切り抜きが変色しこの街をでてこの街のことなど忘れだれかに恋をし誰かと結婚したとしても私は一日のうち数分だけ目を閉じてきっとあのころに戻るだろう。色あせることのない記憶とたわむれるだろう>

    0
    投稿日: 2014.04.26
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    実際にあった事件を元にした短編集。 濃かった。最初の、床したから25年前に殺した遺体が出てきた事件はよく覚えている。インタビューで犯人の男がしれっとした態度だったなぁ。 この短編集は、事情を推理して行くような中途半端なものではなく、事件の渦中にいた人物たちの物語を作り出している。角田さんのすごいところは、絶対に上からの目線を入れないこと。その人物のアングルで思考も生活も編んでしまえること。故に露悪的な書き方ではなく、フラットな描写なのに自然と人物や物事の歪が浮かび上がってくる。ここまで徹底できる人はなかなか少ない。最後の「光の川」という介護疲れの殺人事件の物語はしんどすぎて泣いた。

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    投稿日: 2014.04.08
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    新聞に小さく出ている犯罪や事件等の三面記事。その裏側に何があるのか。誰もが最初から罪を犯そうとするわけではない。どこかで何かが壊れていく。こわっ!でもわかるような気もする。

    0
    投稿日: 2014.02.09
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    新聞の三面記事だけ見ていると、あらまァ とかバカだねとか 大変ねとかこんなになるまえになんとかならなかったのとか……… でも、事件の中の人々には、その人なりの事情があるんだって そういうことに目をつけた小説 単純に面白かったです でも共感はしないね

    0
    投稿日: 2014.02.06
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    最初にもととなった新聞記事が載っているので、結末が予測できてしまうのが残念なところ。しかし堕ちていく様子を描くのがどうしてこの人はこんなにうまいのだろうか。特に「赤い筆箱」がリアルで恐ろしい。

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    投稿日: 2014.01.23
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    こういっちゃあれだけど、社会面に小さく掲載される地味な事件。そこまでの過程を、角田光代の想像力だけで読み物にする企画。まさに適任。松本清張のような社会悪でははく、ただただ一般の人におこりえる‘魔が差した’。ドライな語り口もよかった。

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    投稿日: 2013.11.07
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     短編6作品。全て三面記事に触発された物語である。事件はいかにもありそうで怖い、狂気の本質は日常に隠されている。わたしたちが目にするトンデモ事件もごく普通からスタートするのである。今は普通の状況にいるわたし達も、ほんのちょっと歯車が狂えば三面記事の主役になるのかもしれない。危険は常に隣合わせなのだ。実に上手い。

    1
    投稿日: 2013.11.07
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    普段目にしてるベタ記事だって、人の人生。 他人には「また殺人かー」でも本人にはそれが全て。 全編通したねっとり感はなかなかのもの。 角田光代うまいなあ。

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    投稿日: 2013.11.02
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    新聞の「三面記事」に載るような実際の事件から小説家がどこまで想像を膨らませられるかという企画で、この企画を角田光代に持ちかけた編集者は天才かもしれない。扱う事件はありがちなものから当時話題になったものまでさまざまだが(教師の給食のなかに抗鬱剤を混入した女子高生の事件など)、著者の手にかかるとどれもがまったく新しい様相を見せ、その予想もつかない変換のされ方にカタルシスさえ覚える。女性の視点から語られるケースが多く、これが強いて言えば著者の限界かと思っていると、最後の「光の川」(認知症の母親を自宅介護する中年の息子の話)で度肝を抜かれる。ラストの親と子の関係が反転する光景で思わず涙が出た。

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    投稿日: 2013.11.02
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    いいですね~。角田さんは、内へ内へと向かう狂気を書くのが、ホントに上手いなぁ~・・・!実際にあった事件の三面記事を元にしたフィクションとのことだけど、その想像力たるや凄まじいものがありますよね。。。面白い試みだと思うし、どれも短編ながら、周りの喧騒が聞こえなくなるくらい、ひとつひとつの話に引き込まれてしまいました~!!!好みはあるかもですが、おススメですっ♪

    0
    投稿日: 2013.10.06
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     いくつか聞き覚えのある三面記事を題材に、小説にしたもの。誰もがちょっとしたきっかけで負のスパイラルに入った時、おこしてしまいそうな事件。絶対自分は傷害事件や殺人事件を起こさないと本当に言えるのだろうか・・・と考えさせられる本。

    0
    投稿日: 2013.08.29
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    ちょっとした気の緩みで、誰しも陥る可能性を秘めている。そんな事件の数々。 読んでいてすごく胸が苦しくなった。でも読んで良かったと心から思う。

    0
    投稿日: 2013.08.06
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    当たり前のことなんだけれども…。 TVや新聞で報道される事件の数々は、天災のように自然と起きているのではない。 そこには何人もの人々や複雑な事情と感情が絡み合い、人為的に起きているのだ。 それを我々は普段忘れがちだ。 報道を目にしても、「へぇーこんなことあったんだぁ」「なんでこんなことするんだろうねぇ」「うわーこれは同情するなぁ」などと一瞬思うことはあっても、数秒後には忘れてしまうほどの無責任な感想。 まぁ、いちいち気にしていたら生きていられないけど…。 そんな、他人である私たちにはそれこそ「三面記事」程度の出来事でも、当事者にとってはそこに至るまでの壮絶な右往左往があるのだという当たり前のことに気付かされる作品。 面白い試みだと思った。 特に「光の川」は切ない。切な過ぎる。 読んでいて苦しくなった。

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    投稿日: 2013.07.05
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    事件を起こす人の気持ちに共感できない人は居ない、と思わされる。平穏な世界と事件の起きる世界は薄い壁だけで隔てられているんだなぁ。

    0
    投稿日: 2013.05.25
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    新聞の三面記事に端を発した物語。 角田光代はどうしてこんな感情群を書き出すことができるんだろう。誰もが本来持っているけど気づかないようにしている感情。この本を読む事で在ることに気づいて不安を誘う。 そう彼女はこの世界に既にある物語を紡いでいるんだ。 もう久しく新聞を読むという日々から遠ざかっているけれど、毎日三面記事にて短く感情なく報道される事件一つ一つに感情がある。 そこまで読み取っていたら動けなくなってしまうけれど、だから簡潔ではないということを改めて教えてくれるこの物語は必要だなーと。

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    投稿日: 2013.04.28
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    あくまでフィクションだが事件自体は本当にあった事実だ。もしここで取り上げられた6つの事件に、この小説のような背景があったらと思うと胸が痛くなる。一つ一つの話が重い。小説家の想像力の凄さを感じた。

    0
    投稿日: 2013.04.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一見、何事も無く、平穏無事に過ごしているように見える人々も、何かしら大きな問題を抱えていて、ふとしたきっかけで大事件を起こしてしまう。 姉が妹をナイフで刺してしまう話や、介護疲れから息子が母親の首を絞め殺すという話は、いつ身近なところで起きてもおかしくない気がした。 つい先ごろ、44歳の無職の男がバレンタインデーのチョコレートを盗むという事件があったが、角田光代だったらこの三面記事からどんなストーリーを組み立てるだろう?

    1
    投稿日: 2013.02.17
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    最近、本を読めない。読ませてもらえない。本を読むことが悪いことのように、あの人は溜め息をつき、僕のことを冷たい目で見る。 本を読むことって楽しいことだったのに、わくわくすることだったのに、今は肩身が狭く、あの人の目を気にしながら、ちょこちょこ読む。でも読むことはやめない。だって僕は本を読むことが大好きだからね。 物事には必ず、理由があって人はそれに従って生活をしていますよね。この小説は新聞の三面記事に至る経緯を物語としています。 読んでいると、普段の自分たちの生活と何も変わらない平凡な毎日から、ふとしたことがきっかけで、犯罪にむかっていく恐ろしさが醸し出されています。 人間も車のハンドルと一緒で「遊び」がないと自分で自分を追い詰めてしまって、正しい判断が出来なくなって間違った方向へ進んでいくんでしょうね。 怖いこわい。

    3
    投稿日: 2013.01.13
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    これでプロ?って作品はたくさんあるけれど、さすがプロ!ってうなったこの作品。この人、本当にストーリーテラーですね。おすすめ!

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    投稿日: 2012.12.25
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    怖い。 新聞の三面記事には書かれない事件の背景がすごい迫力で描かれている。 タイトルページには小説になった事件の三面記事が引用されている。 小説を読んでから記事を読み返すと、フィクションだと分かっていても、そうだったのかと納得してしまう。 それ程真に迫っているのだ、事件を起こしてしまう心境の描写が。 それが自分とは無関係の世界の話ではないことが分かるから、ただただ怖い。 人と人の関係はびっくりするくらい些細なきっかけで簡単に変わってしまう。 いきなり目の前で相手のシャッターが閉まる。ガラガラピシャリ。 そうなったらどうするか。 閉まったことに気付かないふりをして今まで通りのように振る舞う、なぜ?と問い質しすがりつく、自分を否定する相手の存在を消去する‥。 どうやっても元通りにはならないのだと知っていて、でも何かしないといけないところまで追いつめられてしまった人達。 「光の川」の輝男さんの「帰りたい帰りたい帰りたい」という切実なつぶやきが頭をぐるぐると回っている。

    5
    投稿日: 2012.12.05
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    ◆愛の巣・・・お互い結婚してからも仲良く交流を続けていたのに、最近の姉はどうも様子がおかしい。原因は義兄の浮気? ◆ゆうべの花火・・・好きな人には妻がいた。でも彼はお金を出せば私と過ごしてくれるし、愛してくれる。 ◆彼方の城・・・自分の子供達は理想とはだいぶ違う風に育ってしまった。私には見向きもしない。でも、隼人は違う。息子と同じくらいの歳の隼人の前では、女でいられる。 ◆永遠の花園・・・私と菜摘の間には誰も入る隙間なんてないと思っていたのに、最近の菜摘は教師のタマちゃんに夢中。菜摘が変わってしまう。そんなのは許せない。 ◆赤い筆箱・・・いつから私と妹の関係はこうなったのだろう。そしてなぜ、今妹は私の前で血だらけで倒れているのだろう。 ◆光の川・・・認知症がすすんだ母をたった一人で介護する日々。姉は全く助けてくれないが、それは幼き日に母が姉にしたことを思えば当然のことなのだ。 以上6編の短編集。すべてが本当にあった事件を発想の発端にしてかかれてはいるが、フィクションで事実ではない、と記載がある。それぞれの話の扉ページにはその時の新聞記事の一部が掲載されている。 実際にあった事件が元になっているということで、どの話もかなり重い話・暗い結末になっている。実際の事件とはもちろん違うのだろうが、実際そういうことだったんだろうかと思ってしまうほど、どの話もリアル。 ◆赤い筆箱・・・自分が実際姉妹という関係でない人には理解しにくいのかもしれないが、ここに書かれている状況や心情には、恐ろしいくらいに心当たりがある。親がモノを色分けするとか、キャラクターを決めてしまうとか。妹との関係も、似た部分が多々あって、読んでいて怖くなった(^^;私は実智程の思い込みはないと思うけれど、妹に対する認識はどこか間違っているのかもしれない。 ◆光の川・・・この事件に関してだけは、加害者に同情してしまい、泣きそうになってしまった。この状況までよく一人でがんばったと思うし、悪いの国の制度だとも思う。実際、「介護疲れ」故の事件というのは多々おきているわけだが、この類は本当に福祉の制度でもうちょっとなんとかならないのかとやるせなくてしょうがない。

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    投稿日: 2012.11.29
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    (2012/11/23再読) 6つの短篇が収められているのですが、そのどれもが「ああ、こういう背景があったのかもなぁ」と思わせる感じでした。 こんな風に、1つの新聞記事から想像をふくらませて小説を書く、というのは楽しいものかもしれないなあ。 最後の、「光の川」は切なかったです。でもこれ、よくある事件なんだよね……。

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    投稿日: 2012.11.25
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    切ない女性の人生を味いたいなら角田光代! と思っていたのですが 今回は男性の切なさもしっかり味合わせて頂きました。 先に内容を読んでから題名ページの記事を読むのがオススメです。

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    投稿日: 2012.10.08
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    実際の三面記事から発想を得て書かれたというのだから、 確かにその創作力はすごい。 でも、お話自体が面白いかというと・・・ビミョウ 思い込みの激しい女たちの悲劇・・・という感じ。 (あ、「光の川」は男性でしたね。)

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    投稿日: 2012.09.14
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    実際の事件を発想の発端にしているという短編集だが、それぞれに出てくる私の狂ったような意識が薄気味悪いくらいだ。この生々しい感じがこの作者の魅力と思いつつ、恐ろしい感じがあったり身につまされる感じがあったり。最後の介護の話は全く他人事ではない。

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    投稿日: 2012.08.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タイトル通り、三面記事的な人間の悲喜劇を描いた短編小説。 実在の事件をモチーフにしている。 しかもそれなりに下世話な方向にアンテナが向いている人はぴんと来る程度に有名な事件。 『愛の巣』 子供のいない専業主婦。 親しくしていた姉が、ある日突然夫と共に外との交流を絶つようになる。 立ち退きで取り壊された家から十数年前に殺された若い女性の遺体が出てきた事件が元ネタ。 ただしこれは主人公である子なし専業主婦の人生の物語が軸となっている。 『ゆうべの花火』 相手から誘われたはずなのに、いつの間にか自分がはまってしまった不倫。 不倫相手の妻を殺そうと闇サイトに依頼した愛人と、その依頼を受ける男双方の視点で語られる。 物語としては面白かったけど、キモ過ぎた。 登場人物全員最悪。 『彼方の城』 バツイチ、2人の子供がいる30代後半の女が、高校生の少年にのめりこみ、監禁する事件。 これまたキモイ。 『永遠の花園』 大好きで、唯一無二の親友が、自分から離れていく様子におびえ、 親友が好意を寄せる教師の給食に毒を盛る話。 主人公が実行するだけでなく、親友にその片棒を担がせる展開が怖い。 なんだかわかるなあと思う女子同士の距離感だった。 『赤い筆箱』 まじめな姉と明るく奔放な妹。 ある夜妹が、押し入ってきた男に殺害され、それを姉が目撃する。 姉妹と家族の関係が丁寧に書かれているものの、 このオチはいいのか?と思ってしまった。 『光の川』 有名な京都で起きた無理心中事件の物語。 レビューをさらうとこれが好きという人も多かったけど、 私としては実在の事件のほうがあまりに重いからそれを他人がこうやって小説にしていることに違和感を感じた。 それぞれの作品に面白みはあったものの、 実在の事件をあえてフィクションで描くならそれ相応の物語とメッセージが必要なのではないかと思うから、どうもワイドショーの再現ドラマ的下世話さを感じてしまう。 まったく事件のことを知らなかったら心象も変わったかも。 面白い、けど読んでて楽しい作品ではないかなあ。

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    投稿日: 2012.08.06
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    短編集で読みやすいけれど、救いがない。記事の裏側に隠された人間模様ということなのかな。最後のお話だけは、心にずしんとくるものがあった。

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    投稿日: 2012.07.24
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    実際に起きた事件を元に作者が想像を広げて書いているのだけれど、本当にそうであったのではないかと思うほど鬼気迫る物語になっている。短編が6本の構成で、それぞれの話が怖く、そして、哀しい。

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    投稿日: 2012.07.03
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    大好きな角田光代の小説なので、ワクワクしながら読み始めたのだけど。 最近の作品なのに、なんだか、ちょっと暗め。 しかも、あまり後味がよくない。 というより、気持ち悪い。という方が合ってるかも。 三面記事というからには、そういう事件の背景があるわけで。 にしても、小説として、アタマの中で立体化して思い描くには たとえネガティブなものでも、そこに、感心したーという思いがいつもなら あるのに、ない。 内容的に、私は受け付けないのだと思うーー;

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    投稿日: 2012.07.01
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    短編集。 ・愛の巣 ここ数年で、なぜかひたすら周囲への警戒心が強迫的に強くなった姉夫婦と、私たち夫婦のいびつな関係。 ・ゆうべの花火 花火に誘われて良いムードになった彼と、付き合ってみたらなんと奥さんがいた。 近いうちに別れるよ、とはいうが、状況は私にとってなにひとつ好転しない。 ・彼方の城 金はあまりないものの、欲しいものは何でも手にしている。 ただ、物足りない。子どもも別れた夫には渡さなかったし、はじめは満たされていたが、今は会話もできない程距離がある。 人との距離が取れない者の、転落する情景。 ・永遠の花園 女同士の友情は、片方が学校の先生を好きになってから変容する。 ルールオブローズを思い出す。 ・赤い筆箱 優等生な姉が主役で、挫折したが新しい環境で生き生きとする妹に嫉妬する話。 ・光の川 母が家族である自分を認識しなくなった。 介護で会社を辞めねばならず、どんどん転落して行く主人公。 母が、一瞬正気に戻ったときに唯一願った事を叶えることはできるのか 角田光代は、狂った女の目線を精密に書いてくれるので、僕はかなり好き。 人間は狂った所が多々あるんだけど(こだわり方がハンパないなど偏愛的なところ)、 この短編は登場人物がみんな ここまで極にたどり着いてると自覚があって、 さらに暴走の一途を貫く様は、参考にしたくない先輩的なものとして、僕に多くの感動を与えてくれました。 見境無く、自分のしてることは正しく・曲げてはならないという信念すら学べるような気もしないでもない。 ただ、教訓としては。。。ちゃんと話しようぜ 僕も性格は聞く耳もたず、正しいと思ったものは押し付けがましく実行してしまうケが強いので、(父親に似て) やろうとしてることは、組み立てたあとでもいいから、必ず冷静に話をして同意を得た上でやるべしだと思った。 僕が自分スタイルを貫こうとしてる時は、すみませんが止めてください

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    投稿日: 2012.06.03
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    いつも新聞で三面記事は必ずチェックする私なので、この作品はヒットでした。ある意味ホラーです。身につまされる話もあるし。

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    投稿日: 2012.05.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    新聞に出た三面記事を題材にして書かれた短編集。 あくまでも作者の想像だけど、どこかリアルで、「あぁ私もこうなるのかもしれない」と思わされる。 たとえ家族であろうと、他者との関わりほど難しいものはない。

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    投稿日: 2012.05.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    よく考えたらこれって実在の事件を題材に描かれてるのか、かなりえぐいな。 でも不思議と嫌悪感を抱かせない文章はさすがだと思う。 「赤い筆箱」以外の話がどれも現在進行形で終わるのがなんか…やだ! どの話も後味のいいものではないし、読んでいると家を飛び出したくなるか、早く家に帰って休みたくなる短編集だった…

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    投稿日: 2012.04.29
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    犯罪者の心理描写を短篇でというのは難しいのだろう。逆鱗に触れられ犯罪に至るその一瞬に違和感を感じてしまう。最後の一遍「光の川」だけは私自身にとってもその環境はすぐそばにあると思った。

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    投稿日: 2012.03.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    実際にあった事件を基に 作者が「この事件にはこんな背景があったのでは」 と書いた短編小説。 人間の本質が描かれていているようで読んでいてとても怖い。 けれど実は近場でも起こり得る話だ。 なかでも なんでもできる妹と、人間関係に悩まされる姉の話が 一番印象に残った。 最後は狂乱する姉、無意識の行動が ~をする・~したことを忘れる。 と続くのだがそこがとてつもなく恐ろしい。 自分にも有り得そうで恐ろしい。

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    投稿日: 2012.02.16
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    フィクションながら、実際の新聞の三面記事を題材にしているので生々しく怖い。今にも堕ちそうな人にはこの怖さがストッパーになるかもしれないが、ちょっと不満がある程度の人だと逆に引き込まれて三面記事に載ることになるかもとおもわせる。事件なんて大抵、ごく普通の人が起こしているのだから。

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    投稿日: 2012.01.31
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    新聞の三面記事に載った事件をベースに創作された短編集。 日常に潜む狂気とか毒素をしつこすぎない程度に表現している、薄暗い感じが堪らない。

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    投稿日: 2012.01.04
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    この小説は実際の事件を発想の発端にしているが、フィクションであり事実とは異なる。 の一文からはじまります やっぱほんとにあった記事から書いてたんだー‼ 愛の巣(26年前に殺害 男自主) ゆうべの花火(不倫相手の妻の殺害を依頼警察に相談) 彼方の城(16才男子高校生にみだらな行為) 永遠の花園(担任の給食に薬物まぜる) 赤い筆箱(中1女子殺害 自室で勉強中男が押し入り) 光の川(介護疲れで母親殺害容疑) ニュースでこんな事件をみるたび、どーしてこうなるわけーっておもってた たしかにどの事件も、事件が起きたときの加害者はおかしいし狂ってるけど、そこに至るまでは人間としてごく当たり前の感情をもっている それが怖い 最初からおかしいひとなんていないんだ‼

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    投稿日: 2011.12.26
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    「私は殺人を依頼しました。恋人の妻を殺してほしいと頼みました」誰もが滑り落ちるかもしれない、三面記事の向こうの世界。なぜ、姉夫婦の家はバリケードのようになってしまったのか?妻の殺害をネットで依頼した愛人の心の軌跡とは。直木賞作家が事件記事に触発されてうみだした、六つの短編小説。 角田光代さんだったので期待をして読みましたが、どれもこれもなんだか物足りない感じでした。 事実は小説より奇なりっていうのは本当なのかもしれない。 小説よりも、実際の事件の方が奥が深いのかもしれない。 そう思わせる小説でした。

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    投稿日: 2011.12.01