
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2025/10/11読了(再読) 長編を交えた時系列なら、アリス入学から『月光ゲーム』事件を経てマリア入部までの、1988年4月~約1年間、まさに昭和から平成へ時代の移り変わる中での9エピソード。辛うじて昭和を知る程度ながら、時代背景に懐かしさを感じるし、学生生活を謳歌するアリス達の姿を読んで、自身の往時を思い出す。――歳取ったなぁ。 (以下、特に面白いと思ったエピソードについての雑感です) 『桜川のオフィーリア』――EMC“創造主”、石黒操登場。以前、『山伏地蔵坊の放浪』の感想で、地蔵坊の正体は江神さんかも、と書きかけたが、標準語話者の石黒氏の方が似合っているか。しかも、回想パートの入り方が、「石黒操の話――」と、地蔵坊のそれと一緒だ。 『四分間では短すぎる』――今回、一番のお気に入り。『月光ゲーム』の事件以来、元気の無いアリスのために先輩達が開いた無為の会。初読時は、信長さんが披露した『点と線』における〈空白の四分間〉の考察を記憶していたが、本題はH・ケメルマン『九マイルは遠すぎる』ばりの、ある文章に込められた意味の論理的考察の話であった。『砂男』収載の『推理研vsパズル研』然り、こういった“お話を作っていく”お話が、今の自分のツボなのだろうか。 『除夜を歩く』――のっけから、次の元号のイニシャルを考察。5段階でN、H、Kにまで絞って、過去の登場頻度から、本命K対抗Hで良いとこ行っていた。しかし、平成の次に関しては、第4段階で対応する音が少ないからと切り捨てたR音始まりの令和になる。まさか、新元号制定に携わった方々が、本篇を読んでいて裏を掻いて来た……訳ないよね?
19投稿日: 2025.10.11
powered by ブクログシリーズの長編を読んでいるとサラッと流してしまうが、よく考えるとあの事件があって平然とはしていられないよなあ。その過程がわかるのは面白かった。
0投稿日: 2025.10.08
powered by ブクログ昭和の終わり〜平成の始まりを京都で過ごした大学生達の青春が詰まったミステリー。自分が生まれる前の話だが、その時の空気が手に取るように感じられて、ミステリーだけど温かい。
2投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ江神シリーズあるいは学生アリスシリーズもしくはEMCの初めての短編集。 予定ではあと長編1冊と短編集1冊で終わるらしいこのシリーズ。 学生アリスたち読んでると火村とアリスの学生時代も気になってくるな。江神さんたちよりは平和な学生時代送ってそう。 「瑠璃荘事件」 アリス、江神さんと出会う。 私も高校生のときに『虚無への供物』読んだな。 学生らしいノート盗難事件。 「ハードロック・ラバーズ・オンリー」 登場人物みんな優しい掌編。 「やけた線路の上の死体」 有栖川有栖のデビュー短編。 振り子特急の出始めだったんだな。昭和末期という感じのトリック。 望月の実家にみんなでいく話。仲良し。 「桜川のオフィーリア」 EMC創設者の石黒が登場。 『女王国の城』にも係わってくる話。 わりとしんみりな内容。 「四分間では短すぎる」 みんなでアリスを励ます回。もしくは江神さんの握ったおにぎりを食べる回。 江神シリーズは事件のたびにみんなちゃんと傷ついてるのいいよね。あんまり本格ミステリで見ない。 「開かずの間の怪」 幽霊屋敷で一晩過ごす回。 お約束って感じでいい。学生時代を満喫してる感じもいい。 「二十世紀的誘拐」 教授の家から盗まれた絵画の話。 みんなで京都タワーに登る。 「除夜を歩く」 江神さんと年越しする話。 京都の大晦日の雰囲気がよい。 望月の書いたミステリを読むことになるとは。 江神さんの言うミステリのジレンマは色々読んでると思うことあるよね。 昭和生まれだけど、昭和最後の頃の空気は記憶にないが、元号当てに勤しむ推理研見てると水ダウ思いだしちゃう。改元となると毎回あるんだな。元号当て。 「蕩尽に関する一考察」 マリアが入部することになるきっかけの話。 部長が名探偵してる。 マリアとアリスは可愛いなあ。
0投稿日: 2025.06.14
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『学生アリスシリーズ』初の短編集。 『月光ゲーム』から『孤島パズル』までの間で、麻里亜がサークルに入部するまでのエピソードを集めたもの。わずか数ページで終わる日常の謎や、川に上がった遺体の謎、麻里亜の入部するきっかけとなったエピソードなど、多種多様なエピソードが書かれていてとても面白かったです。 望月と織田の軽妙なやりとりや江神のミステリーに対する価値観、そして『月光ゲーム』後の有栖の心情など細部が補完されていて、読んできたファンである私も嬉しかったです。また孤島パズルで登場し、レギュラーとして活躍する有栖がどうしてサークルに入ったのかのエピソードと先ほどの有栖の心情のエピソードが上手く絡み合っていて、二人の関係性がこれから深くなっていくことへのエピソードとしてとても素晴らしかったです。 これで『学生アリスシリーズ』は今のところここまでしか出されていないのでこれから出るであろう物語がとても楽しみです。 この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。 江神二郎:宮野真守 有栖川有栖:岡本信彦 望月周平:八代拓 織田光二郞:古川慎 有馬麻里亜:釘宮理恵
39投稿日: 2025.01.24
powered by ブクログシリーズ初の短編集。『四分間では短すぎる』と『除夜を歩く』が特に良かった。謎解きもミステリーと同じように、どこまでが観客を騙すために作られた罠で、どこまで考えを巡らせたらいいのかが判断できないというジレンマがあるよなと思った。
0投稿日: 2024.04.12
powered by ブクログ短編集。 一番好きな話は、除夜を歩く いつか江神さんの書いた赤死館殺人事件も読みたいな。 短編集だけど400ページを超えてて読みごたえあった。 アリスがEMCに入ったばかりの頃の話や、マリアが入るきっかけとなった話が入ってる。
3投稿日: 2023.05.27
powered by ブクログ江神さんとアリスの出会いから始まって、「月光ゲーム」へ繋がり、マリアが加わって、「孤島パズル」「双頭の悪魔」へとバトンが渡されようとする、という気の利いた短編集ですね。江神シリーズは、あと長編1作に短編集1冊で完結とのことですが、早く読みたい!と何人のファンが待っていることでしょう。有栖川先生、私が生きているうちにお書きください! お願いします!
0投稿日: 2022.10.14
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第5弾 「瑠璃荘事件」アリスとEMCとの出会い。江神の推理を目の当たりにする。 「ハードロック・ラバーズ・オンリー」 「やけた線路の上の死体」 「桜川のオフィーリア」 「四分間では短すぎる」謎のまま。しかし、こういうことを大真面目に話せる人がいて羨ましいな。 「開かずの間の怪」 「二十世紀的誘拐」好き。 「除夜を歩く」江神とふたり。謎は解けない 「蕩尽に関する一考察」探偵は未然に防げる。でも、思い知らせたい。短編もサクッとしていて好きだけど、ごつっとした長編もまた読みたい。
0投稿日: 2022.10.09
powered by ブクログ有栖が推理研に入部して麻里亜が入部する までの一年間を描いた短編集。 推理研の日常などが描かれており短編同士 が繋がっていたりして、有栖達の一年が 濃密に描かれていた
0投稿日: 2022.09.06
powered by ブクログ内容(「BOOK」データベースより) 英都大学に入学したばかりの一九八八年四月、すれ違いざまにぶつかって落ちた一冊―中井英夫『虚無への供物』。この本と、江神部長との出会いが僕、有栖川有栖の英都大学推理小説研究会(EMC)入部のきっかけだった。アリス最初の事件「瑠璃荘事件」など、昭和から平成へという時代の転換期である一年の出来事を描いた九編を収録。ファン必携の“江神二郎シリーズ”短編集。
0投稿日: 2022.08.23
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ミステリ短編という感じがしなかった。 学生アリスシリーズに肉付けをするための普通の短編小説といった感じ。 もちろん全編ミステリ要素満載なんだけど、なんというか、弱い。 数編を抜粋して雑感 ・瑠璃荘事件 自分のイメージする『有栖川有栖のミステリ』にぴったりな作品。 ネタこそこじんまりとしているけど、推理の道筋は長編のそれと一緒。 ・ハードロック・ラバーズ・オンリー とても短いけれど一番好き。 「除夜を歩く」内で推理の補完がされていたけど、それを蛇足ととるかどうか。 ・やけた線路の上の死体 「点と線」は未読なので一部とばしました。気になる…… 鉄道マニアとのこぎりのエピソード、2022年の今だと笑い話では済まないのだろうなとか考えてしまった。 ・蕩尽に関する一考察 これも今でいう『無敵の人』的なネタで、初出2003年でこれはすごいななどと思ったり。 学生アリスの長編はすべて読んでいるけれど、月光ゲームの記憶が脳内から消えているので再読したくなりました。
1投稿日: 2022.04.06
powered by ブクログ有栖が入学してからの1年で起きた出来事を時系列順に並べた短編集。 実際に作品が書かれた順ではなく、時系列順にしているのが良い。 作品内の時期的には長編1作目と2作目の間にあたる。 内容としては長編のように実際に殺人事件に遭遇して解決すると言うよりは、日常の謎であったり、殺人事件だとしても安楽椅子探偵的に推理していく内容なので、読者への挑戦状など長編作品のような内容はあまり期待しないほうがよい。
1投稿日: 2022.04.03
powered by ブクログ江神シリーズの短編。 アリスが英都大学に入学してからの一年間がとても色濃く描かれていた。こんなに謎に満ちた生活もなかなか大変そう。第一作の月光ゲームで相当な痛手を負っていたことに改めて心を締め付けられる。 アリスを励まそうとする先輩方の優しさが暖かい。江神さんのおにぎり食べたいなー EMCのメンバーを今まで以上に身近に感じられて、それぞれへの造詣が深まった。 また月光ゲームから読み直そうと思う。 長編に絡めた設定も面白く、「女王国の城」の神倉が出てきたり、「ハードロック・ラバーズ・オンリー」で投げかけられた謎が「除夜を歩く」で回収される構成など、伏線好きのミステリファンにはたまらない。彼らの話題に上がる本も海外国内問わず様々で、知ったものがあると嬉しくなるし知らないと読みたくなる。 (九マイルは遠すぎるを今更ながら購入した) ますます、最後を締めくくる長編一作と短編一作が楽しみなのと同時に心底終わってほしくないなと矛盾した気持ち。
0投稿日: 2022.02.15
powered by ブクログ若き学生時代の日常ミステリー、緻密な推理の凄さとフレッシュな仲間達が素敵すぎ! 学生アリス短編集、シリーズ第5弾。 本シリーズの主人公である新大学生となった主人公が、様々な事件や変わった出来事に巻き込まれる短編物語集。主人公のアリスが推理小説研究会に入ってから、マリアが参入するまでの約一年間のストーリー。 いやー、やっぱり学生アリスシリーズは最高っすね。また月光ゲームから読みなおしたくなりました。今はライト文芸と本格ミステリーを組み合わせた作品がたくさんありますが、起源はこのシリーズですよね。新本格第一世代の貢献ぶりったら、すさまじいと思いました。 どの話もどっぷり本格ミステリーで面白すぎ! ホームズの赤毛連盟ばりの推理が次々と体験できます。 作者のデビュー作である「やけた路線の上の死体」なんてもう最高、これ普通に長編で一冊できますよね。作中作、そしてミステリ議論がされる「除夜を歩く」も、すげー面白かった。これ以上言いようがない、まさに"ミステリーを楽しませてくれる"という作品です。 そしてなんといっても四人の登場人物ですよ、みんな真面目で可愛い。そして部長の切れ味が凄まじすぎ。最終話でマリアが登場しますが、ここから孤島パズルに繋がっていくんすね~ 若干の思い出補正もあって、ほめ倒しですが、学生アリスシリーズはマジ面白いので本格ミステリー好きにも関わらず、まさか読んでない人がいれば、今すぐに読みましょう。まずは月光ゲームからです、そして3作目の双頭の悪魔はもう芸術の域です。
14投稿日: 2022.01.26
powered by ブクログまるでシリーズファンのためにあるような作品。読みながら過去作を振り返って思いにふける。楽しい時間だった。
0投稿日: 2021.10.12
powered by ブクログ有栖川有栖といえば「学生アリス」と「作家アリス」のシリーズが二枚看板であり、互いが互いの小説を執筆しているというパラレル設定である(それにしたら学生アリスは多作すぎ作家アリスは寡作すぎるのだがそういうことを気にしてはいけない)。 「学生アリス」シリーズ初の短編集である「江神二郎の洞察」はもうタイトルそのまんま、謎の大学生名探偵江神二郎が深い洞察を披露してくれる短編集である。 連作短編ではなく、書かれた時期も相当バラバラだが、最初から通して読むと有栖川有栖くんがEMCに入部したところから始まり、1年を経て有馬麻里亜が入部するところで終わる。 短編はきちんと独立して謎を提示して解決しているものの「やけた線路の上の死体」(実質デビュー作)と「桜川のオフィーリア」の間に第一長編「月光ゲーム」の事件が挟まり、「桜川-」以降のアリスには常にその事件が影として差しているので、学生アリスの長編を全部制覇してからの方が多分面白いだろう(ちなみに「桜川のオフィーリア」は「女王国の城」と関連がある)。 有栖川有栖の名探偵は江神二郎にしろ火村英生にしろ背景に謎が多いのだが、江神二郎は、火村英生よりも情が濃い...人間愛が深い気がする。恐らく有栖川有栖という作家が若くして生み出した探偵というのも影響しているが、常に思索的であって、しかしそれをひけらかすでもなく、後輩たちを見守りいざというときは引っ張るという感じ。ああいう先輩が欲しい。 江神とアリスが延々ミステリについて語り合う「除夜を歩く」は、ミステリ研究の入口のようなテイストがある(それにしても望月作の短編は凄まじかった...)。 望月、織田の両先輩も好もしい。あのふたりの掛け合いには味がある。そしてこのふたりが実は事件呼ぶ体質なんじゃないかと思わされる(でもまあ「孤島パズル」を考えるとEMC全員事件体質なんだろうなと思うが)。 そして学生アリスの作品群には一種の青春小説的テイストがどこかある(長編は大学内で事件は起きないのだが)。EMCの面々のやり取りを見ていると「こういう学生時代って良いな」と思わされるし、勿論有栖川有栖が意識したわけではないのだろうが、昭和から平成への世相感をどことなく写した作品でもある。尤もその時代に書かれた作品は少ないのだが。 学生アリスシリーズは長編1作と短編集1作で完結すると有栖川有栖は明言している。早く読みたいものである。
3投稿日: 2021.02.02
powered by ブクログ春のキャンパスで一年生のアリスは運命的な出会いをする。 ぽとりと落ちた「虚無への供物」の導きによって。 落とした男は江神二郎。推理小説研究会の部長である。 ということで学生アリスシリーズの短編を読みました! 内容は「日常の謎(といっても血なまぐさい話もあったりする)」とミステリーの哲学的な考察を織り交ぜた青春のエピソード。 名作ミステリーがたくさん登場し、ミステリー本案内としても価値あり。 江神さんがミステリアス。うわさに聞く彼の背景については何もわからなかった。 もう1冊短編集が出るらしいのでそれを待とうっと。 学生アリスのシリーズは、なんだか単なる虚構としては読めないんですよね。 アリスたちが巻き込まれて受ける傷が大きくてつらい。 そういう意味ではこの短編集は事件がわりと軽めでよかったです。
1投稿日: 2020.12.21
powered by ブクログ有栖川有栖作品の二大看板。「作家アリスシリーズ」の火村英生と「学生アリスシリーズ」の江神二郎。 共通点としては二人ともミステリアスで、意外と茶目っ気があるやり取りをする、というのが自分の中であります。 と言っても、火村は作品数も多いのでミステリアスながらもなんとなくキャラは掴めるのですが、江神さんは未だに謎が多い印象。 『女王国の城』で彼の家族なんかも少しだけ分かったものの、やはりどこか超越しているというか、まだまだ彼の本質を掴み切れてない印象があります。 そしてこの『江神二郎の洞察』は、シリーズ五作目にして、『月光ゲーム』事件前の英都大学推理小説研究会(EMC)の日常から、『孤島パズル』以降、活躍するマリアこと有馬麻利亜の出会いと入部までを時系列ごとに描いた短編集になります。 そしてこの短編集を読んで、江神さんも何だかんだ推理研を楽しんでるんだな、と実感。 廃病院で後輩を捕まえようと走り回る江神さんは、想像すると結構シュールだけど(笑) 最初に収録されている『瑠璃荘事件』では、EMCの先輩、モチこと望月の住む下宿で起こったノート盗難事件の推理が描かれます。 ノートが盗まれたと思われる時間、望月の下宿先である瑠璃荘では、望月しか犯行が可能と思われた人物がいないらしく…… 犯行時間をめぐる瑠璃荘の電球のロジックが見事だったのと、アリスの無垢な一言が望月と織田よろしく、ミステリに毒された自分にはまぶしい短編。 「ハードロックラバー」 顔なじみの女性にハンカチを返そうと声をかけたアリス。しかし、女性はアリスが大声で呼びかけたにも関わらず立ち去ってしまい…… ハードロックラバーとは、アリスの大学の近くにある音楽喫茶のこと。大音量でロックをかけるその店と、女性の謎が江神さんの一言でつながり、アリスが女性の動作に新たな意味を見つけ思い馳せるのが印象的。 「焼けた線路の上の死体」は夏休みを利用し望月の実家へ遊びに行った推理研が、近所でたまたま起こった殺人事件の真相を推理する話。 他のアンソロジーで既読だったけど、今回読み直すと推理研が電車に乗るまでのバタバタだったり、望月の町を散策してる様子もまた楽しかった。やっぱりこのわいわい感が好きなんだろうなあ。 「桜川のオフィーリア」は江神と推理研を立ち上げたOBの持ち込んだ相談の推理。友人はなぜ事故死した幼なじみの死体の写真を持っていたか、という謎。 美少女の美しい遺体、清らかに流るる桜川、そして舞い散る桜の花びら。 『月光ゲーム』事件後でセンチメンタルになっているアリスの心情と、ラスト二行の抒情がこれもたまらない 「四分間しかないので急いで。靴も忘れずに。……いや……Aから先です」 アリスが公衆電話から電話をかけているとき、隣の電話機から聞こえた奇妙な声。それをハリイ・ケメルマンの短編『九マイルは遠すぎる』よろしく、言葉の意味を推理する「四分間では短すぎる」 四分間の意味するものは、という推理から思考は広がっていく様子は読んでいてとても面白かった! そして江神さんと望月・織田の先輩コンビのバツグンのコンビネーションや、優しさが明らかになる短編でもあります。 ロジックと合わせて推理研の絆も感じられ、この短編集でも特に好きな短編です。 「開かずの間の怪」は廃病院に肝試しに訪れた一行に襲いかかる、怪現象を推理する話。 上述したテンションの高い江神さんや、ビビるアリスとモチさん、信長こと織田の奮闘が読んでいて楽しい短編。 「ザ・モラトリアム」というべきか、推理研はある意味子どもより全力で子どもしているかもしれない(笑)大学生って多かれ少なかれ、そんなものなのかもしれないけれど。 「二十世紀的誘拐」はモチさん・信長のゼミの教授の家から誘拐された、絵の真相の推理。 謎めいたタイトルの意味が、芸術論につながり犯人の動機につながる。ある意味時代を切り取った短編でもあるのかもしれない。 「除夜を歩く」はモチさんが書いた短編の推理小説の謎を解きつつ、江神さんとアリスが推理小説談義をする話。 モチさんの推理小説がけちょんけちょんに言われているのが可笑しいけれど、それが問題作(?)とも言うべきか、江神さん曰く「本格ミステリが抱える根源的な問題について考えるにはうってつけ」とのことらしく…… モチさんの小説については、犯人当てはアリスに任せたけど、トリックはアリスよりも先にたどり着けました(笑) そして作中のミステリ論も面白かった。推理小説の祖であるエドガー・アラン・ポーは、一方ですべて理屈で説明しようとする推理小説とは真逆の怪奇やゴシック小説も書いていました。 そんな矛盾の作家から生まれたミステリに込められたもの。有栖川さんの他の著作でもこのあたりは言及があったけど、「除夜を歩く」ではそれはさらに大きな話になって、ある意味ミステリの根幹を揺るがす問題にまでぶち当たります。 そこまで疑いだしたら……と思う反面、ミステリの根源を揺るがしつつも(?)江神さんが限界に挑んだミステリを「最高やないか。素晴らしく人間的で詩的や」と評するあたり、本当に有栖川さんはミステリを愛しているのだな、と感じます。 特に学生アリスシリーズの長編はこだわり抜いた犯人当ての印象が強いので、メタ的な意味でも、有栖川さんの目指しているミステリ像というのが垣間見れるように思います。 あと作中でちらりと言及されたけど、江神さんが書いていると噂される幻のミステリ『赤死館殺人事件』への期待が高まる話でもありました。有栖川さん、作中のモチーフで一冊書いてくれないかなあ。 そしてここでも、江神さんの優しさが顔を覗かせます。この短編の雰囲気もバツグンに良かった。 「蕩尽に関する一考察」 この回でマリアが登場。謎は急に羽振りがよくなった古本屋店主の目的を推理する話。 この短編集の後半からは時系列で言うと、夏休みでの『月光ゲーム』事件以後を描いています。 そして、その事件で傷ついたアリスの回復の話でもあると思うのだけど、それが完了したのがこの短編かも。 殺人事件が起こった後に事件を解決する名探偵のことを、一時「屍肉喰らい」と思うまで墜ちていたアリスが、その名探偵である江神さんの優しさと、推理によって救われていく様子。それと共にマリアのつぶやいた一言も、余韻となって残ります。 シリーズの長編とは趣が違って、日常の謎であったり、あるいはアリスのセンチなところがクローズアップされたりと、そのタイプの違いが面白かった。 また『月光ゲーム』と『孤島パズル』の間の時間を埋める、アリスの再生の物語としてもシリーズ読者としては楽しく読めました。 ミステリアスだった江神さんの優しさが身近に感じられるのも良かった。シリーズ最後の長編と、最終作となる予定の短編集。それを読むときの見方も少し変わってきそうで、早く読みたいと思う反面、シリーズが終わってほしくない、という想いも改めて抱きました。 これは永遠のジレンマだわ……
13投稿日: 2020.07.25
powered by ブクログLINEノベルにて読了。アンソロジー所収の「船長が死んだ夜」以来、まとまった作品としては初読みの有栖川有栖作品がこの短編集というのはどうなんだろうという気もするが、LINEノベルのラインナップがこれだけなのだからしゃーない。所謂日常の謎系だが、大学在学中に書いたという実質的なデビュー短編も含まれ、学生アリスシリーズの骨子が最初から完成されていたことが判る。未読の長編について触れている箇所も少なくないので、まあそちらから読むのが本筋なんだろう。 昭和~平成に移り変わる辺りでは笠井潔御大の『青銅の悲劇』を思い出し、「除夜を歩く」の作中作には麻耶雄嵩の「ノスタルジア」に思いを馳せてしまう偏ったミステリ読みとしては、「桜川のオフィーリア」のはっとするような美しさが逆に新鮮だった。いかに普段攻撃的なイヤミスに毒されているかが判る。
3投稿日: 2020.03.10
powered by ブクログ江神シリーズの5作目で短編です。作品を重ねるごとに主要メンバーの人間像がくっきりとしてきて、物語に深みが増しているように思います。長編作より青春小説の味わいが強く、推理の切れ味を楽しむだけではもったいない作品です。彼らの成長をもっと読んでみたいという気になります。
1投稿日: 2020.02.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
学生アリスの短編集。 アリスの大学入学から月光ゲームの事件を通し、マリアがEMCに入部して、後藤パズルの事件が始まる直前までの短編集。 「ハードロック・ラバーズ・オンリー」みたいなキレの良い短編も好きなんだけど、やっぱりシリーズの読者としては、「桜川のオフィーリア」や「四分間では短すぎる」みたいな、夏の事件で塞ぎこむ後輩への温かい先輩たちの心配りが見えるものにじんときてしまった。 EMC、ほんとに素敵。 「四分間では短すぎる」は、先輩3人が実に格好良くて、アリスじゃないけど「お見それしました」って感じに脱帽。すごく優しくて、これが一番好きかも。 「除夜を歩く」の中の「あまりにもいろいろなことがあった年を、同じ体験をした先輩とともに送りたかったから。そんな気持ちを、両親ぼんやりと察してくれたようだ。」という文章には本当にじんときた。登場人物たちには当然作者が多少は投影されるものだけれど、繊細なアリスと、彼への暖かく優しい眼差しが作者から生み出されていることに感動してしまう。シニカルで都会的でシュッとしてるけど、その中に若者への温かさ、人間讃歌みたいなものを感じさせてくれるから、私は有栖川作品が好きなんだよね。 特に学生シリーズにはそれが顕著だと思う。 「蕩尽に関する一考察」は初出が2003年ということで、近年よく聞く「無敵の人」の犯罪にいて考えてしまった。「孤島パズル」のとき、マリアは去年の事件について知ってるのかなと気になっていたので、答え合わせをしてもらった気分。 それから、この短編集を通してアリスやマリアが呟くちょっとした言葉がとても好きだった。 「名探偵も他人を信じることができる」 「音楽は、いや、どんなものでも、僕が考えているよりもずっと広く、愛されることに向かって開けているのかもしれない。」 「名探偵は、屍肉喰らいではない。」 「名探偵がいても、やっぱり悲しい出来事は止められないんだ」 「……名探偵が、悲劇を未然に防いだのね」 ここから孤島パズルへシリーズが進むのだと思うと、胸が締め付けられるし、ここまできたのだと思うと月光ゲームで傷付いたアリスの心がここまで癒えたのかとホッとするしで、余韻がほんとに素敵な短編集だった。シリーズ読者が読むことを想定してる作品だから、そうじゃない人が読んだらちんぷんかんぷんかもしれないな。
3投稿日: 2019.12.25
powered by ブクログ学生アリスの短編集。とりわけ最後の3作が面白い。「二十世紀的誘拐」はトリックと動機がリンクする良作。「除夜を歩く」は後期クイーン問題を江神とアリスで熱く語る。「蕩尽に関する一考察」は設定にやや難があるものの、狂人の論理は好きだ。
1投稿日: 2019.11.24
powered by ブクログ英都大学推理小説研究会・EMC、いわゆる学生アリスシリーズの短篇集。 春から春へと収録作品も時系列に進んでいる。途中で月光ゲームに遭遇し、アリスも落ち込んだり江神さんの探偵としての姿に救われたりと波乱にして有意義な大学生活を送っている。 事件もロジカルなものばかりで江神さんの着眼点と閃きに恐れ入る。何回か読み直さないと分からない部分もあった。 巻末の寄稿が皆川博子先生なのも嬉しい贅沢。
1投稿日: 2019.09.01
powered by ブクログ良かった! 基本的には長編が好きなんだけど、このシリーズに関しては短編の方が好きかも!! 望月と信長の会話が良いし、気負わず楽しく読める。 どの短編も良かったし時系列なのがいい!!
2投稿日: 2019.02.21
powered by ブクログ平成最後の年越しに、昭和最後の日々の話を読んだ偶然にちょっとノスタルジーを感じた 大好きだった江神部長に四半世紀ぶりに出会えて良かった 30年前の大学生は、こんな風に言葉を交わしあって関係を築いていたのかと思うと羨ましく感じた 教養とか、文化とか見につけていたら、人生変わっていたかしらなんて思ったりした年の瀬です
1投稿日: 2019.01.03
powered by ブクログ江神二郎シリーズは孤島のパズル以来。カッコ良いよね、江神さん。好きだな。アリスも好きだけどね。 今回は短編集。推理研の4人が日常の謎に挑む。マリアが推理研に入るキッカケになった出来事も語られている。 1冊目からしっかり読んでおかなければ!
1投稿日: 2018.09.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『月光ゲーム』を読み終わって、すぐ二作目読もう!と思ったのに、まさかの買い忘れで消沈してならばと手に取ったのが、これ。私は有栖川さんの短編も好き。 結論から言えば、月光ゲームの少し前から二年生になり、あの山での惨劇からの立ち直りに光が差し始め、有馬麻里亜と推理研との出会いとそこに転がり込む事件のはじまり、まで。 ある時はモチさんにかけられた窃盗容疑(というのは大きく言いすぎなのだけれど、、、)を解決し、ある時はアリスの出会ったハードロック喫茶の君(私が勝手に呼んでます)の事情を推理し、信長さんの実家に遊びに行けば線路で寝転がりすぎた男の事件を解決し、推理研の創設者のひとりが持ち込んだ桜川に浮かんだ美しい少女の死の謎をみんなが諭し、夏休みの事件を挟んで落ち込むアリスを気遣う宴での4分間の謎を協奏し、大学の教授の叔父の絵を誘拐した犯人への身代金を受け渡し役を仰せつかり、除夜の鐘の響く京都でミステリについての論議が繰り返される。そして、江神さんはそのどれもで素晴らしい名探偵で、そしてやさしい先輩だった。 最後のマリアが入部するきっかけになった古本屋さんのいきなりの放蕩の謎は、私の胸に重く深く刺さるものがあった。 もしかしたら江神さん自身も、探偵という役をかなぐり捨ててる荒々しさで誰かを救いたかったのかもしれない。 1年を、彼らとともに歩んだような、負った傷を少しだけ分けてもらったような、そんな短編集だった。 人が人を殺すとき、その周りにいた誰にも平等にその刃は振り下ろされている。そんな当たり前のことを江神さんたちはそっと胸に置いていってくれた。
5投稿日: 2018.02.22
powered by ブクログ英都大学推理小説研究会の面々が活躍する短編集。ずっと読んだものだと思っていたが、まだ読んでいなかった。別の本に収録されている『桜川のオフィーリア』が収録されていたから勘違いしたらしい。9本が収録。時系列に並んでいて、『月光ゲーム』の前後のエピソードが入っている。 私が気に入ったのは、ちょっとオカルト入った『開かずの間の怪』とマリアが入部するエピソードの『蕩尽に関する一考察』。 1988年の自分はどうだったかなと思いつつ読んだ。今度シリーズ最初から読み直そうかな。
1投稿日: 2018.02.17
powered by ブクログあまりの懐かしさに涙した。 いわゆる学生アリスシリーズなのだけど、ひと昔前にその長編を読んでいた。そして、この短編集。 ドラマ化された『双頭の悪魔』の記憶も朧気だが、マリア役の渡辺満里奈のことがこの本の最後で、思い出された。 それにても、悲しむべきか喜ぶべきか、再読したくなった学生アリスシリーズは手元にないので(実家にはまだあるはず)、電子書籍で購入してしまいそう。 あ、そうそう、昭和から平成に変わる時に、次の元号は何かを推理する話がある、ある意味、これはグッドタイミングな話だと思った次第です。
2投稿日: 2018.01.19
powered by ブクログ時系列的に、長編の抜けてる穴を埋めてくれる感じの短編集でした。と言いつつ、長編4作のうち、2冊はまだ未読で、かつ1冊は時系列間違えて途中が抜けてしまってますが。 望月と織田と言うナイスキャラもいて、こっちのシリーズも結構好きです。でもなんとなく感じる江神さんとの特別感はなんなんでしょうね…。二人で大晦日の夜に京都の街を散策する話、最高に良いです。 それにしても江神さんの得体の知れなさときたら…笑
1投稿日: 2017.10.26
powered by ブクログ星5つにしない理由。所収短編「4分間では短すぎる」の中で、名作「点と線」のトリックの一部と犯人を明かされてしまったから。 あれあれ? 有栖川有栖ともあろう人が、こんなルール違反をしでかすだろうか。 真相:ページがくっついていて、肝心の注意書き〈『点と線』のトリックの一部と犯人を明かされたくない方は、次の節まで飛ばしてお読みください〉を見落としてしまった。また、195頁の望月先輩の台詞と198頁のアリスの心の声が自然に繋がっているのもいけなかった。 まあ、この齢まで「点と線」を読まなかった自分にも責任あり。 昭和から平成に移り変る時代の空気がスケッチされていて、ミステリ部分以外にも味わい深い短編集。
1投稿日: 2017.10.02
powered by ブクログ学生アリスは長編ばっかりだったからなんとなく重い印象だったんだけど、短編集だとそれがなくて読みやすかった。
0投稿日: 2017.09.23
powered by ブクログ有栖川有栖さんの推理小説(短編集)。久しぶりの学生アリスシリーズだし、オイラにとって久しぶりの推理小説でもある。どの話も水準を超えていて面白かったけど、何より登場人物達の掛け合いが楽しかった。学生アリスシリーズは長編が4つあるんだけど、個人的には「双頭の悪魔」が今の所のシリーズベストかな、と思ってます。学生アリスシリーズも残りは長編と短編が1冊づつとの事ですが、残りも首を長くして待ちたいと思う。このシリーズの最大のテーマである江神さんの件が、どのような結末を迎えるのか、が今から楽しみでもあるし、怖くもある。
2投稿日: 2017.08.22
powered by ブクログ学生アリスシリーズ初の短編集。 名探偵・江神二郎のファンにはたまらない。 タイトルからしてしびれるよね。 アリスと江神部長の出会いから、マリアの入部までが時系列になっているのもありがたい。 学生アリスシリーズはどれも長編大作なのだけど、その合間にもちゃんと推理研のみんなは学生してるんだなぁ、推理研らしい活動もしてるんだなぁ、というある種のリアリティを感じられました。 特に好きなのは『除夜を歩く』。 アリスと江神さんの会話がめちゃくちゃお洒落です。 あぁ、月光ゲームから読み直したい。
3投稿日: 2017.08.20
powered by ブクログ学生アリス、初短編集。アリスと江神部長との出会いから、マリア入部まで。順に読んでいくと自分もEMCに入部し、アリスたちと一緒に過ごしてきたかのように感じる素敵な一冊でした^^ う〜 また一作目から読みたくなってきた!!個人的に『除夜を歩く』が一番好き。
2投稿日: 2017.08.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
学生アリスの短編集。 作家アリスよりもこっちの方が好きなんだけど、全然出るのが遅いのですぐ忘れちゃうんだよね。 とは言え、あと短編と長編が1冊くらいで完結とか言う話だから待ち遠しくも、終わっちゃうのかあと言う喪失感もあったり。 今回は昔のネタもてんこ盛りで、昔の本格だったり新本格だったりな感じたっぷりでありました。 マリアとの出会いも、短編があるとは聞いていたので、それが入ってた事は嬉しかったです。 しかし、江神さんは最後どうなっちゃうのか、実はシリーズ完結後には火村との共演もあるのかとか、色々考えちゃう部分ですが、楽しみに次作を待ちたいと思います。
2投稿日: 2017.07.08
powered by ブクログ* _________________________________ 『江神二郎の洞察』有栖川有栖 _________________________________ 学生アリスシリーズの短編集。 27年越しでまとめられた短編集です! * アリスが江神さんとぶつかって、英都大学のEMCに入部することになったシーンから始まるなんて…もうファンにはたまらない‼︎‼︎ どれも面白かったんだけど、「四分間では短すぎる」がニヤリとしちゃう
1投稿日: 2017.06.25
powered by ブクログ待ちに待った学生アリスシリーズの短編集の文庫版! ということで、買って2日で読了。 長編のシリーズありきの、アリスの入部からマリアとの出会いまでを書いた1冊。 これぞ本格ミステリ! という感じで、とても論理的で面白かった。書き下ろしの「除夜を歩く」は、有栖川有栖(作者)らしいミステリ談義が繰り広げられていてとても興味深い。 ミステリ好きはぜひ。というか定番か。
2投稿日: 2017.06.21
powered by ブクログ久しぶりの学生アリスシリーズ。シリーズ初の短編集。 長編と違い、深刻な事件を扱う話は少ないものの、主人公達の掛け合いが面白い。 自分の大学時代を思い出させる。シリーズの完結も近いようだが、本当に完結するのだろうか?
0投稿日: 2017.06.18
powered by ブクログ単行本の方も持ってますが文庫版も。文庫化にあたってさらに文章に細かな修正を入れてるらしく、詳しく比較してないのでどこだかは確認してませんがおぼろげな記憶では確かに記憶に無い表現などがあるような。 で、前から他作のレビューなどでも主張してますが、有栖川先生はホント、ロマンチストだなぁと。ロジカルに事件の謎を解くだけでなく、そこに必ず情緒的な何かを織り込んでくる。それが、この1986年発表の短編から始まったこのシリーズを追いかける「萌え」の原動力に繋がるんだなぁと、今回しみじみと感じましたよ。(何せ20年以上ファンなんだ) 皆川先生のキュンキュン萌えてる解説も「うん、判る判る」と共感することしきり。(あの名台詞・名表現の数々はロマンチストだからこそ書ける技だと思ってるので)オススメ。
1投稿日: 2017.06.17
powered by ブクログ久々に有栖川有栖。変わらないこの雰囲気がいい。夏の事件を、読んだのが相当前なのでどんな話だったかの記憶が。。。読み直したいところ。
0投稿日: 2017.06.15
powered by ブクログ「怪奇と幻想の権化たる怪談に名探偵の出番はない。死者が現れて恨み言をしゃべったり、死者の想いがこの世に残存して何かを伝えようとしたりしてくれる。そうであればいいのに、という人間の想いが怪談には込められてるんやろう。現実には、人の想いが死後も物理的に遺ることはない。ないからこそ、そうであればと希う。」
1投稿日: 2017.06.11
