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加納朋子 / 創元クライム・クラブ (26件のレビュー)
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総合評価:
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taketake98
このレビューはネタバレを含みます
駒子シリーズ4作目。 長い時間が過ぎているが、人物像のブレがなく、とても面白かった。イラストも素晴らしく、可愛い。 こういう犬が飼いたい、という理想像が描かれていると思う。 まずはワンの独白から始まる。 そして玲奈とゼロの語り、ゼロの先輩として登場するワン。 玲奈の辛い過去の話、母は美術部だった、というくだりから母が誰であるか、を読者は推察することが出来る。 ワンはゼロを自分の後継者として育てる。 そしてお兄さんのはやての独白の章。これも辛い描写から始まる。犬が飼いたいはやてだが、家庭の事情で飼えず(父の仕事の都合で引っ越しが多い)。隣家の犬が良い飼われ方をしていないことに気づく。その隣家の犬の飼い主であるケンちゃんと共に飼い犬のシロの世話をする。ケンちゃんとも打ち解けてくるのだが、シロはなかなかケンちゃんを飼い主である、と認めていないようである。ケンちゃんとはやてとシロは真っ黒な犬に山の中で逢う。 章の最後にはやてはシロの子ども、ワンを飼うことになる。 ワンの中編、後編は駒子の章である。 今までは子ども視点であったが、大人視点での考察になる。そうは言っても、駒子だから、ちょっと唐変木な方向もある。犬の話だからか「スイカジュースの涙」の愛ちゃんの飼い犬を思い出すシーンも出てくる。そして瀬尾さんの職業が明らかに。建築士と言っても、ただの建築士ではなく「天文台」を建てる建築士であった。 「そうして我が家では、末っ子の妹を大切に見守るお兄ちゃん二人(一人と一匹)、というこの上なくキュートで温かい関係が築かれていくのだった」もう、理想の家族だ。 ハイドロプレーニング、フェード現象への言及も健在である。 近くの別荘の住人が犬を山に捨てている、町の有力者のため、分かっていながら、誰もその行為を止められない、と駒子が知ったときに、いろいろな報復方法を考える。「ドクガ爆弾」を考案した駒子に「君が自爆する未来しか見えないからやめときな」は笑ってしまった。 「自爆はせずに、法に触れない範囲で何か…」「不穏なセリフが聞こえたよ?」 駒子と瀬尾の関係、変わらない。 そして犬捨て犯の芸術家(別荘の人)へ犬捨て行為をやめさせる方法として駒子が取った行動が笑える。スズメバチを呼び込むためにスズメバチのドリンクバーを作ることにしたのだ。未必の故意、蓋然性の問題である。 「君の特製ドリンクが入ってた弁当箱は回収してきたけど、あれはもう捨てていいんだよね?」「もちろん。曲げわっぱのお弁当箱だから、燃えるゴミよ。いずれ土に還る素材だからあれを選んだの」「あ、そこは証拠隠滅じゃなくて地球環境に配慮したんだね」このやりとりも好きだ。 「実はわたし、人の心が読めるんだ」と小学校低学年とおぼしき女の子が友人に話した言葉を当の話し相手の女の子が「へえ」の一言で済ましているのに、たまたまそれを聞いた大人の駒子が驚愕し、「ぜひとも後を追いかけて詳しく話を聞きたいと思ったけれど、泣く泣く自重した。下校中の女児に怪しい女が付きまとっていた、などと不審者情報が出かねないから。」のくだりは大笑いした。 瀬尾さんのプロポーズの言葉が素敵だ。「僕を君の一番にしてください。君はとっくに僕の唯一無二だから」 その続く文脈から「はやて」はいるのにどうして「玲奈」なのか、なぜ「あやめ」さんではないのか、が分かる。 エピローグは玲奈の視点。ワンの最期が語られる。 ワン、一番、という重要な数字、そしてゼロが1と並び立つ重要な数字、この言葉に回帰していく。
投稿日:2024.04.30
ともりぶ
単作品として読んだ。家族思いのワンコだな。家族の話も良いけど、自分のワンコのおかげで人を素直に褒めれるようになったとこが好き。
投稿日:2024.04.27
はなむぐりん
当たり前の日常は時として儚くもろい。他に選択肢などないように押しつけがましくやってくる常識も、実はすぐに揺らぐ。 そんな寄る辺ない暮らしの中、何かを大切に思う気持ち、また大切に思われることが救いになっ…たりする。それが哀しみの種になる事さえあるが、思い自体は大事にできる。 時を経ても変わらないものがあれば変化する物事とも折り合いをつけて何とかやっていけるかも、と思わせてくれた作品だった。続きを読む
投稿日:2024.04.07
マルガリータ
犬の特徴やしぐさを細かに捉え、人との触れ合いを豊かに活写。玲奈の家族もワンとゼロも家族想い。命を懸けて家族を守るワンとゼロに胸が熱くなった。挿絵も愛らしく胸キュンだ。
投稿日:2024.03.30
robin1101
Amazonの紹介より 謎に彩られた日々の中で、 あなたは私の一番になった 『ななつのこ』から始まる〈駒子〉シリーズ、 20年ぶりの最新作! 大学生の玲奈は、全てを忘れて打ち込めるようなことも、抜きん…でて得意なことも、友達さえも持っていないことを寂しく思っていた。そんな折、仔犬を飼い始めたことで憂鬱な日常が一変する。ゼロと名付けた仔犬を溺愛するあまり、ゼロを主人公にした短編を小説投稿サイトにアップしたところ、読者から感想コメントが届く。玲奈はその読者とDMでやり取りするようになるが、同じ頃、玲奈の周りに不審人物が現れるようになり……。短大生の駒子が童話集『ななつのこ』と出会い、その作家との手紙のやり取りから始まった、謎に彩られた日々。作家と読者の繋がりから生まれた物語は、愛らしくも頼もしい犬が加わることで新たなステージを迎える。 シリーズ初参加でしたが、普通に楽しめました。 ちなみに第1作は「ななつのこ」で、第3回鮎川哲也賞を受賞した作品だそうです。 表紙や挿絵に使われるイラストが可愛く、児童書を読んでいる感覚でもありました。文章からも、犬の優しさや勇敢さがにじみ出ていて、ペットとして飼いたいなと思わされました。 その一方で、飼うことによる責任の重大さや喪うことによる切なさも背負わなければいけないという大切さも学びました。 前半では、飼い犬を擬人化した視点と飼い主の玲奈の視点の交互で展開します。ストーカーに悩みながらも、飼い主を守ろうと奔走します。先輩である犬・ワン(幽霊ですが)の助言をもらいながら、飼い犬・ゼロの活躍が描かれています。とにかく可愛いイラストなので、読んでいる自分も飼ってみたいなと思わずにはいられませんでした。 中盤からは、ワンの過去に遡ります。どのような人生ならぬ犬生を送ってきたのか。深堀りしていくと、飼い主の身勝手な育て方が垣間見れて、胸が痛かったです。育てるからには、責任もって育てなければいけないことを痛感させられました。 また、身勝手な飼い主に憤る両親の存在も大きかったです。ここまでするの⁉と思うくらい、色々行動していましたが、勇敢だなと思ってしまいました。 ストーカーや殺人といったミステリアスな要素はありつつも、そんなにどんよりとした雰囲気はなく、かわいい挿絵の力も相まって、気軽に楽しめた印象でした。続きを読む
投稿日:2024.03.28
yoshi1004
ななつの子の続編ぽい作品。ゼロと名付けられた子犬と飼い主の玲奈との物語。そこに先輩犬のワンと、事件や家族の歳月が柔らかで温かい描き方で綴られている。猫派だが犬も可愛いと思えた。
投稿日:2024.03.17
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