【感想】天文現象のきほん

塚田健 / 誠文堂新光社
(3件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 肋骨臀部

    肋骨臀部

    せっかく日本にいるなら、ダイヤモンド富士・パール富士あたりは見ておきたいが、キャンプはめんどくさい。家で天体観測出来るように双眼鏡くらいは買ってもいいかもとは思わされた。季節の一等星の観察程度ならハードルも低いので良い。続きを読む

    投稿日:2024.05.31

  • とあまる

    とあまる

    お空大好き人間にはたまらない一冊。写真も美しく,説明も分かりやすい。
    この本を読んで天体現象に理解が少し深まると、
    一生のうちでは一度も見ることができない現象もたくさんある中、日の出や日の入り・星座や月の満ち欠けなど日常で楽しめる天体の様子をなおさらワクワクさせてくれます。とても良い本。今、おすすめしたい一冊。続きを読む

    投稿日:2023.10.17

  • Go Extreme

    Go Extreme

    天文現象のきほん: 今夜はどの星をみる? 空を見上げたくなる天文ショーと観察方法の話 (やさしいイラストでしっかりわかる)

    1 太陽の見どころ

    毎日規則正しく太陽が昇り、また沈んでいくのは、地球が1日に1回、自転をしているからです。というより、地球の自転の周期を1日としたわけですね。地球は西から東へと自転しているため、地上にいる私たちには太陽は東から西へと動いていくように見えます。
    地球の自転軸は、地球の公転軌道面に対し約23.4。傾いています。その結果、四季のある地域が生まれ、太陽が昇る(沈む)方向や時刻が毎日少しずつ変化していくのです。もちろん昼夜の長さも変わります。

    グリーンフラッシュとは、太陽が沈む直前、または太陽が昇った直後に、太陽の上端が緑色に光って見える現象です。非常に稀な現象で、ハワイなどには、見た者は幸せになれるという言い伝えがあります。フランスの作家ジュール・ベルヌの小説『緑の光線』で主題として取り上げられ、よく知られるようになったと言われています。オレンジ色に染まる空の中に一瞬輝く緑色。一生に一度は見てみたい現象です。

    薄明光線とは、雲に隠された太陽の光が雲の隙間などから漏れ、その筋が明るく広がって見える現象です。薄明光線とは科学の専門用語ではなく、ほかにも「光芒」や「レンブラント光線」「天使の梯子」「ヤコブの梯子」などともよばれます。多くの場合は地上に向かって光が降り注ぐように見えますが、上空に向かって光が広がっていく場合もあります。たいへん美しく、神々しさが感じられる光景です。

    太陽の表面(光球)の温度は約6,000度ですが、黒点は約4,000度。黒点が黒く見えるのは、周囲より温度が低いからです。そのため、もし黒点だけを取り出すことができれば光り輝いて見えるはずです。

    オーロラのもとは、太陽風とよばれる太陽から噴き出す電気を帯びた粒です。地球は磁気の壁で太陽風から守られていますが、何らかのきっかけで太陽風が地球の大気圏に入り込み、大気をつくる分子と高速で衝突すると、分子が励起(エネルギーが高い状態になる)されて光ります。
    オーロラが光っている高さは90キロから600キロ です。オーロラには赤や緑、紫といったさまざまな色が見られまずが、これは太陽風が大気を作るどの分子とどの高さでどのくらいのエネルギーで衝突するかによって決まります。

    2 月の見どころ

    月が東から昇って西に沈むように見えるのは太陽と同様、地球が自転をしているからですが、月の出や月の入りの時刻がバリエーションに富むのは、月が地球の周りを回っているからです。月の出・月の入りの時刻は、平均して毎日およそ50分ずつ遅れていきます。その結果、月の出や月の入りがない日もあるのです。
    月の出・月の入りは、月の満ち欠けと密接な関係があります。このことは次項の「月の満ち欠け」で説明することにしましょう。

    月は太陽の光をはね返して光って見えます。ということは、太陽光が当たっていない月の"夜”の部分は見えないはずです。地球照は、その名の通り、地球に反射した太陽光が月に届き、さらに月ではね返されて私たちの目に届いたものなのでず。

    日本や中国などでは、8月15日の月を名月と称し、お月見を楽しむ風習があります。太陰太陽暦では7月、8月、9月が秋。つまり8月15日は秋の中日。なので"中秋"の名月なのです。「十五夜」ともいいますね。なお、日本には9月13日の月を愛でる風習もあり、これを「後の月」や「十三夜」といいます。

    なぜ秋の月が名月とされるようになったのでしょう?これはまず、満月の"高さ”と関係があります。春と秋の満月は低すぎず高すぎず、見て楽しむのにちょうどいい高さに昇ります。ただ、春は黄砂や花粉などの影響で空が霞みがちです。"天高く馬肥のる秋"と言われるように、空が澄み渡る秋こそ月がもっとも美しく見える季節なのです。

    月は太陽の光をはね返すことで光って見えています。そのため、月が太陽から見て地球の废へと回り地球の影に入ると、月が見えなくなっていきます。これが月食です。太陽、地球、月がこの順で一直線になるとき…、つまり月食は必ず満月の日に起こるのです。月食のときの月の欠け際は、地球の影の輪郭になるわけですね。

    月の公転軌道は楕円で、大陽の重力の影響も加わって地球と月までの距離は約35万7,000キロから約40万6,000キロの間で変化します。月が地球に近づいたときに満月となれば"大きい満月”に、月が地球から遠ざかったタイミングで満月となれば"小さい満月”となるわけです

    地球では、小天体の衝突は流星として観察されますが、月には大気がないため流星にはなりません。小天体は燃え尽きることなく高速で月面へと衝突します。そのエネルギーが解放されて光って見えるのが月面衝突閃光なのです。いわば、クレーターが作られる瞬間の光と言えます。

    クレーターはその名の通り凹地状の地形です(語源はギリシャ語でボウルや皿という意味の語です)。クレーターの大部分は、小天体の衝突によって作られた地形です。ところが、1960年代ごろまではクレーターが火山の火口であるという説(火山説)も有力でした。ほとんどが小天体の衝突によって作られたとみなされるようになったのは、アポロ計画などの月探査や地上での衝突実験が進んだ1970年代以降のこと。クレーター自体は1609年にガリレオが望遠鏡で月を観察して“発見’’していますが、その正体が明らかにされたのは、実はつい最近なのです。

    3 惑星の見どころ

    地球での見え方という点で、太陽系の惑星は外惑星と内惑星の2つに分けることができます。地球より外側の軌道を公転している火星〜海王星が外惑星、地球より内側の軌道を公転している水星と金星が内惑星です。

    天王星や海王星が暗いのは、ひとえに地球からの距離が遠いからです。もっとも地球に近づいたときでも、天王星は25億キロ以上、海王星に至っては43億キロ以上離れています。"太陽の光をはね返して光っている’’天体としては、双眼鏡で見ることができるのは海王星が最遠でしょう。挑戦のしがいがありますね。

    太陽系内には直径が1,000 キロを超える衛星は7つ、月より大きい衛星は4つあります。とはいえ、それらは月を除いて地球から数億キロ以上彼方にあるため、残念ながら地球以外の衛星を肉眼で見ることはできません。
    双眼鏡を使うと木星の四大衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリス卜。ガリレオ衛星)と土星の衛星ティタン(タイタン)を惑星に寄り添う光の点として見ることができますよ

    木星の縞模様は茶色に見える「縞」と白色に見える「帯」とに分けられます。木星の縞模様の正体は“雲”で、その高さや含まれる成分の変化が色の違いを生み出し、木星上空に吹く強い風が縞模様を作っていると考えられています。南赤道縞付近に見られる大赤斑は高気圧性の雲の渦。少なくとも百数十年前から存在し続けています。

    火星は地球のすぐ外側を公転する惑星です。そのため、地球との位置関係は木星や土星にくらべ日々大きく変わっていきます。地球と火星が近づくのは、遅い火星に地球が近づき追い越すとき。その周期はおよそ2年2力月ごとで、地球から火星を見るチャンスも2年2力月ごとにやってきます。さらに、火星の公転軌道はほかの惑星とくらべ大きくつぶれているため、15〜17年に一度、地球と火星はとくに大きく近づきます。これが「火星大接近」です。

    4 太陽系小天体の見どころ

    2023年6月1日現在、3万2,000を超える数の地球近傍小惑星が発見されています。地球近傍小惑星のうち、とくに地球に接近し、かつある程度の大きさを持つ小惑星は「潜在的に危険な小惑星(PHA)」とよばれます。

    アースグレージング流星とは、地球の大気をかすめ、光りながらも燃え尽きず、再び宇宙へと飛び出していく流星のことなのです。
    アースグレージング流星が見られるのは、地球が丸いからです。丸い地球の大気の縁を接線方向に通過した流星は、大気密度が濃くならずバラバラに燃え尽きずに済むのです。しばしば石の水切りを例に大気に跳ね返えされると説明されることがありますが、それは誤りです。

    5 恒星と星雲・星団の見どころ

    恒星の色が表しているもの、それはその恒星の表面温度です。青っぽい星の方は表面温度が高く(1万度以上)、赤っぽい星は温度が低い(3,000度程度)です。太陽の表面温度は約6,000度で黄色い星の仲間です。ただし、温度が高い星が青い光しか出していないわけではありませんし、温度が低い星が赤い光のみを放っているわけではありません。

    "〇等星"というのは星の明るさを表します。数字が小さいほど明るく、厳密には1等星よりも明るい〇等星やー1等星もあるのですが、ここでは1等星より明るい星もまとめて1等星として扱います。太陽を除く恒星で地球からもっとも明るく見えるのはおおいぬ座のシリウス(一1.5等星)。私たちが肉眼で見られるのは6等星までと言われています。

    1等星は6等星の100倍の明るさです。星の明るさ(光度)は、5等級差が100倍(100分の1)となるように決められているのです。つまり、1等星は2等星の約2.5倍明るいということになります。夜空には暗い星ほど数が多いです。1等星は全天で21しかありませんが、2等星は67、3等星は190、6等星ともなるとその数は5600にもなります。

    太陽の光をプリズムに通すと虹の7色に分かれるように、恒星はどの色の光も放射しています。ただ、温度が高い星は青い光を多く、温度が低い星は赤い光を多く出している、ということなのです。恒星(や天体)からの光を色ごとに分け、それぞれの光の強さ(明るさ)を測ったものをスペクトルといいます

    太陽は黄色の星の仲間(スペクトル型が(3型)で表面温度が約6000度、約46億歳の一人前の星(主系列星)。つまり、同じくらいの表面温度や年齢の主系列星を探せば、それが太陽に似た星です。
    どのくらい太陽と各数値が近いか、その程度から太陽に似た星は「ソーラータイプ」「ソーラーアナログ」「ソーラーツイン」に分類できます。

    むっとも太陽に似ているのが「ソーラーツイン」(ツインは英語で双子という意味)で、太陽との表面温度の差が± 50度以内、太陽との年齢差が10億歳以内など厳しい条件を満たした星です。「ソーラーアナログ」は質量や金属虽などの条件が緩み、「ソーラータイプ」はスペクトル型がG型である必要はないほど条件が広がります。

    21ある1等星のうち、とくに天文ファンに人気なのがカノープスです。日本では南の空に低いですが南十字星ほど南へ行かなくても見られますし、中国では南極老人星とよばれ長寿と幸福を司る星とされてきました。そもそも、カノープスは天下泰平のときにしか見られないという信仰があり、古代中国では秋分の日に皇帝が観察する慣わしがあったようです。

    星団は大きく「散開星団」と「球状星団」に分けられます。散開星団は比較的若い星の集まりで、同じガス雲から生まれた、言わば兄弟の星たちです。星の数は数十~数百個で、星がまばらに集まっている天体です。一方、球状星団は年老いた星の集まりで、その成り立ちはよくわかっていません。星の数は数万〜数百万個で、その名のとおり星がボール状に集まっている天体です。

    星雲はその作られ方などから「故光星雲」「暗黒星雲」「惑星状星雲」「超新星残骸」などに分けることができます。いずれもガスの塊で、大雑把には輝線星雲と暗黒星雲が星が“生まれる場”、惑星状星雲と超新星残骸が星が“死にゆく場“と言えるでしょう。

    天の川を望遠鏡で観察し、星の集まりであることを初めて突き止めたのはガリレオです。そして、その正体は1000億個もの星の大集団、「天の川銀河(銀河系)」です。天の川銀河は、中心部(バルジ)が膨らんだ円盤のような形をしています。円盤部にはバルジから"腕”が伸び、渦巻構造を作っています。バルジは細長い棒のような形をしていて、天の川銀河は棒渦巻銀河とよばれるタイプに分類されます。直径は10万光年ほど、円盤部の厚みは太陽近傍で約2000光年です。

    太陽系は銀河中心から約2万6,000光年の距離に位置しています。そのため、地球から見ると、円盤部やバルジの方向には星が多く、そうでない方向には星が少なく見え、星が多い領域が帯状にぐるっと空を取り囲んでいるように見えます。これが天の川。天の川は私たちが銀河の‘‘中’’にいるからこそ見ることができる光景なのです。

    銀河は数千億個の恒星に星間ガスなどを加えた宇宙で最大規模の天体です。宇宙には無数の銀河がありますが、まんべんなく広がっているわけではなく、銀河が密集している領域と、ほとんど銀河が存在しない領域とがあります。銀河の集団は規模に応じて銀河群や銀河団、超銀河団に分類され、天の川銀河はいくつかの銀河とともに局部銀河群というグループを作っています。
    個々の銀河はその形状から渦巻銀河、棒渦巻銀河、レンズ状銀河、楕円銀河などに分類されます。また、性質や特徴をもとにした相互作用銀河やスターバースト銀河、活動銀河といった分類法もあります。

    星空と聞くと星座を思い浮かべる人は多いかもしれません。このような、星と星をつないで何かしら形を描いたものを「アステリズム」と言います。アステリズムのうちいくつかは目印として活用できます。まずアステリズムを探し、それを用いて季節の星や星座を探すことができるのです。
    星空観察の入口とも言えるかもしれません。

    6 人工的なイベント

    「スターリンク」とは、アメリカの企業が運用している通信衛星群です。約12,000基(最大42,000基)もの衛星を打ち上げ、世界中に衛星インターネット通信を提供することを目的としています。列をなして動いていく様子はさながら銀河鉄道のよう。
    スターリンク衛星が列をなして見えるのは、多いときは60基もの衛星を一気に打ち上げるためです。最終的に運用軌道へと落ち着くため衛星同士の間隔は離れていきますが、打ち上げ直後は数十の衛星が一群となって動くのです。これだけであればスターリンク衛星は“きれい”で済むかもしれませんが、最終的な数になると夜空に常時数百の衛星が見えることになり、天体観測への影響も懸念されています。新たな時代の「光害」といったところでしょうか。

    1分は60秒、1時間は60分、1日は24時間、1年は365日(366日)というのは世の常識です。ところが、数年に一度、8時59分60秒という瞬間が訪れることがあります。その日は1日が1秒だけ長いのです。この追加(挿入)された1秒のことを「うるう秒」と言います(なお、現行のシステムでは1秒"削除”することもあり得ますが、これまでに例はありません)。1972年以来、計27回のうるう秒揷入が行われてきました(直近は2017年7月1日)

    技術の進歩によって原子時計で正確な時間が測れるようになると、地球の自転の速度が一定ではないことがわかってきました。すると、地球の自転と原子時計の時刻の間には差が生じてしまうことになります。その調整のために揷入もしくは削除されるのがうるう秒なのです。
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    投稿日:2023.09.14

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