【感想】ビジネス教養としての最新科学トピックス(インターナショナル新書)

茜灯里 / 集英社インターナショナル
(7件のレビュー)

総合評価:

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  • japapizza

    japapizza

    「最悪シナリオ」を検討
    太陽フレア対策に日本政府も本腰
    ・大規模な太陽フレアは、通信障害や電力トラブルを引き起こす可能性がある
    ・太陽活動が活発になると、大規模な太陽フレアも起きやすくなる
    ・2025年の太陽活動ピークに備えて、日本政府も「最悪シナリオ」の検討を始めた

    アポロ計画に果たせず、アルテミス計画に期待されること
    ・アポロ計画以来、約50年ぶりとなる有人月面探査プロジェクトが2022年に開始した
    ・アルテミス1は成功したが、搭載された日本の小型探査機の一部のミッションは失敗した
    ・アルテミス計画の目標は月面に探査拠点を作ることで、人類の太陽系進出にも寄与する

    中国が月の新鉱物「嫦娥石」を発見
    ・月から石を持ち帰った国は、2023年8月現在、アメリカ、旧ソ連、中国だけである
    ・月の石は数十億年前の状態がよく保存されており、科学的な意義がある
    ・日本も参画している「アルテミス計画」は、月の石の持ち帰りも期待されている

    発見された太陽系外惑星は5000個超
    ・太陽系外惑星は、過去30年間で5000個以上が確認されている
    ・2019年に発見されたティーガーデン星bは、地球類似指数が0・95である
    ・観測後、確認待ちの状態にある太陽系外惑星も、5000個以上ある

    5類引き下げになった新型コロナウイルス感染症のこれまでとこれから
    ・流行から3年が経過し、新型コロナは季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられた
    ・新型コロナウイルスが広まった原因は、アメリカの情報機関の中でも諸説ある
    ・コロナ後遺症やワクチンの副反応の疑いについては、さらなる議論が必要である

    コロナワクチンと同じmRNA技術を用いたインフルエンザワクチンが開発される
    ・従来型のインフルエンザワクチンは、流行する型の予想がはずれて効果がない場合もある
    ・日本で製造するワクチンは、WHO(世界保健機関)の推奨株をもとに感染研が検討する
    ・インフルエンザのmRNAワクチンは、「はずれがない」ことが期待できる

    「子供の頃から寝不足」「女子のほうが休日に寝溜め」日本人の睡眠傾向とリスク
    ・日本人の睡眠不足や寝溜めの習慣は、子供時代に定着している
    ・女性は睡眠不足が精神状態に影響しやすいため、男性よりも長い睡眠時間が必要である
    ・睡眠不足は生活習慣病や肥満のリスクがあるが、長すぎても悪影響がある

    がん細胞だけ攻撃する免疫細胞をオーダーメイドで作ることに成功
    ・ノーベル賞受賞技術「CRISPR-Cas9」で、がん治療に新たな可能性が示される
    ・CRISPR-Cas9は時間やコストを減らせ、すでに品種改良や創薬に使われている
    ・技術の簡便さの弊害で、実際に中国で「デザインベビー」が誕生した

    世界で進む「糞便移植」が日本で普及していない理由
    ・健康な人の腸内細菌叢を移植する糞便移植では、近年、便バンクの整備も進んでいる
    ・腸内細菌叢の乱れは、消化器疾患だけでなく、肥満、糖尿病、うつ等にも関係している
    ・他人の糞便に対する嫌悪感やリスクから、健康時の自己糞便の保存が注目されている

    ブタからヒトへの心臓移植に見る「異種臓器移植」の可能性
    ・世界初のブタからヒトへの心臓移植で、患者は約2カ月間、生存した
    ・日本は臓器提供者がアメリカの8分の1、韓国の14分の1しかいない
    ・動物臓器の移植はドナー不足の解決手段として期待されているが、課題は多い

    「ガイア理論」のラブロック博士が死去
    改めて功績を振り返る
    ・地球を1つの生命体とする「ガイア理論」は、新学問やアートに影響を与えた
    ・提唱したラブロック博士は、NASA勤務中に「地球の自己統制システム」を着想した
    ・後年は地球温暖化への警鐘に力を注ぐようになり、「広い視野を持つこと」を訴えた

    地球内核の回転スピードが落ちている?自転と「うるう秒」の謎にも関連
    ・うるう秒が起こる原因は、地球の自転速度にムラがあるからである
    ・1日の長さは、内核の不規則な回転速度に影響されていると考えられている
    ・地球深部の状態は、地震波の観測でしか推定できないため、解明が難しい

    世界最大「謎」のカットダイヤモンドが競売にかけられる
    ・世界最大のカットダイヤモンド「エニグマ」が316万ポンドで落札された
    ・エニグマのカットは中東の護符にちなんで「5」にこだわって行われた
    ・エニグマはカーボナード(黒ダイヤ)で、地球外鉱物が含まれている可能性が高い

    知床海難事故、宮古島陸自ヘリ墜落事故で注目
    「飽和潜水法」とは何か?
    ・飽和潜水は深海に適した潜水法で、知床海難事故、陸自ヘリ墜落事故の捜索でも使われた
    ・潜水の歴史は、素潜りによる魚介類や真珠やサンゴの採集に始まる
    ・スクーバダイビングでは、深く潜るほど窒素中毒や酸素中毒、減圧症のリスクが高まる

    花見に迫る危機
    60年寿命説、地球温暖化
    ・かつては花見と言えば「梅花を観賞する宴」で、桜の花見は平安時代に始まった
    ・現在、日本中で見られる『染井吉野”は、「寿命60年説」が根強く唱えられている
    ・地球温暖化の影響で、2100年には全国一斉開花というシミュレーションもある

    国内唯一の地質時代名「チバニアン」の成り立ちと意義
    ・「チバニアン」は地質時代の名称で、日本の地名で初めて採用された
    ・チバニアンはマンモスがいた時代で、その後半にはホモ・サピエンスが誕生した
    ・直近の地球磁場の反転が起きた時期で、磁場反転の過程や生物の適応の解明が期待される

    両親がオスの赤ちゃんマウス誕生
    幅広い応用と研究の意義、問題点を整理する
    ・マウスのオスのiPS細胞から世界初の卵子が作成され、オス同士から子供が誕生した
    ・研究成果は、ヒトの不妊症や染色体異常の治療、絶滅動物の保存にも役立つ可能性がある
    ・受精卵の生育には子宮が必要なので、代理母や人工子宮の問題も解決する必要がある

    オスだけ殺すタンパク質「Oscar(オス狩る)」のメカニズムが解明される
    ・共生細菌ボルバキアは、宿主(昆虫)に性・生殖操作を行う
    ・「オス殺し」が起こると、ボルバキアに感染した母親が生んだ卵ではメスのみが生まれる
    ・細菌による宿主生物の性・生殖操作は、農業やヒトの疾病予防にも役に立っている

    生魚の寄生虫アニサキスと、古今東西の日本に見る対策法
    ・日本人の食中毒の原因は、生魚の寄生虫「アニサキス」によるものが最も多い
    ・アニサキスは酢や塩漬けでは死なず、十分な加熱や冷凍が必要である
    ・世界のアニサキス症のうち9割は日本で起きているため、研究も盛んである

    サイボーグ・ゴキブリが災害救助の救世主になる?
    ・サイボーグ昆虫は、生物とロボットの「良いとこ取り」をした性能を持つ
    ・瓦礫の下や化学汚染された環境下での被災者の捜索に期待されている
    ・燃費が良く、危険を自力で避けることがロボットに比べて優れている

    ヒトを襲い、弱い個体をいじめる
    「優等生」イルカの知られざる一面
    ・イルカの活用目的は、歴史とともに食用、観賞用、軍用と変化した
    ・20世紀以降はイルカの賢さが注目され、芸や軍事訓練を施されている
    ・イルカには、退屈しのぎに集団でいじめをする残忍な面もある

    『鬼滅の刃』でも現実でも「青い彼岸花」が見つからない科学的理由
    ・彼岸花は毒を持つが、弥生時代から食用や薬用にも使われていた
    ・日本の彼岸花は三倍体のため種が作れず、突然変異で青色ができたとしても定着しにくい
    ・花の色には理由があるが、近年は遺伝子操作でかつてなかった色が作られている

    誤情報も流暢に作成する対話型AI「ChatGPT」の科学への応用と危険性
    ・ChatGPTは「流暢に嘘をつく」こともあるので、利用者は注意が必要である
    ・アメリカの医師免許試験を解かせると、ChatGPTは合格圏内に入った
    ・今後は「ネットで検索」から「ChatGPTのようなムーに相談」する時代に変わりそうだ

    人類滅亡まであと90秒!
    「世界終末時計」の歴史と問題点
    ・毎年1月に発表される「世界終末時計」は、原爆開発に寄与した科学者らが始めた
    ・1947年の開始以来、2023年は人類滅亡までの残り時間が最も短く設定された
    ・世界終末時計には「科学的根拠がない」「手を広げすぎて不明瞭」などの批判もある

    AI鑑定はアート界の救世主か?
    ルーベンス作品の真贋論争から考える
    ・英ナショナル・ギャラリー所有の「サムソンとデリラ」が、AI鑑定で偽物と判定された
    ・この作品は、約10億円の価値があると信じられていた
    ・本物のルーベンス絵画であっても本人のみが描いた作品は少なく、真贋判定は難しい

    歌詞AI分析や1/fゆらぎに見る音楽と科学の深い関係
    ・楽曲の歌詞を分析すると、作成された時代やアーティストごとの特徴が如実に現れる
    ・1/fゆらぎは、大きすぎも小さすぎもしないゆらぎなので、心地よさを感じさせる
    ・緊急地震速報のチャイムは、似たものがないことや聞きやすさを考慮して作られた

    核融合エネルギー、世界新達成も
    2050年の実用化は無理?
    ・核融合発電は、原料を国産で賄え安全性も高く、温室効果ガスが発生しない利点がある
    ・2021年に欧州施設で、核融合エネルギーの生成量が24年ぶりに大幅に更新された
    ・核融合発電の研究によって、日本の科学技術力の底上げが期待できる

    未来予想図の答え合わせ
    100年前、50年前、そして50年後はどんな世界に?
    ・1920年の雑誌に掲載された「百年後の日本」特集は、女性の活躍や動画視聴を当てた
    ・EXPO70では、2020年代の情報化社会とグローバリゼーションを予言していた
    ・50年後の世界は、地球温暖化の懸念はあるが、医療や災害対策の向上が期待されている
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    投稿日:2024.06.07

  • headshrink

    headshrink

    このレビューはネタバレを含みます

    ニューズウィーク日本語版Webの連載をまとめたもの
    宇宙やバイオ、地球科学など様々なトピックが数ページにまとまって読める。
    一話完結式なのでスキマ時間にはちょうどよいかも。

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    投稿日:2024.02.14

  • コナン.O.

    コナン.O.

    茜灯里(1971年~)氏は、東大理学部地球惑星物理学科卒、朝日新聞勤務後、東大大学院理学系研究科博士課程修了、東大教員として勤務後、東大農学部獣医学課程で獣医師免許取得。国際馬術連盟登録獣医師、東工大特別研究員、東大大学院農学生命科学研究科付属牧場特任教授、鹿児島大学共同獣医学部附属動物病院特任助教、立命館大学総合科学技術研究機構助教等を経て、フリーの作家、科学ジャーナリスト。2020年に日本ミステリー文学大賞新人賞受賞。
    本書は、2021年9月に始まった「ニューズウィーク日本版ウェブ」の連載コラム「サイエンス・ナビゲーター」に、最新の状況を加筆修正してまとめたもの。
    宇宙、医療、地球・環境、生物、アートとテクノロジーの5つの分野から、最先端の29のトピックが選ばれているが、それぞれの分量が6~8ページで、かつ、ポイントが列挙されているため、とても読み易く、また、関心のあるところ(知らなかったところ)から読むのにも便利である。
    一通りページをめくってみて、備忘のために、興味を持ったトピック、ポイントをいくつか挙げると以下である。
    ◆発見された太陽系外惑星は5000個超・・・2019年に発見されたティーガーデン星bは、地球類似指数が0.95である
    ◆5類引き下げになった新型コロナウイルス感染症のこれまでとこれから・・・コロナ後遺症やワクチンの副反応の疑いについては、さらなる議論が必要である
    ◆コロナワクチンと同じmRNA技術を用いたインフルエンザワクチンが開発される・・・インフルエンザのmRNAワクチンは、「はずれがない」ことが期待できる
    ◆がん細胞だけ攻撃する免疫細胞をオーダーメイドで作ることに成功・・・ノーベル賞受賞技術「CRISPR-Cas9」で、がん治療に新たな可能性が示される/技術の簡便さの弊害で、実際に中国で「デザインベビー」が誕生した
    ◆ブタからヒトへの心臓移植に見る「異種臓器移植」の可能性・・・世界初のブタからヒトへの心臓移植で、患者は約2カ月間、生存した
    ◆「ガイア理論」のラブロック博士が死去 改めて功績を振り返る・・・地球を1つの生命体とする「ガイア理論」は、新学問やアートに影響を与えた
    ◆両親がオスの赤ちゃんマウス誕生 幅広い応用と研究の意義、問題点を整理する・・・マウスのオスのiPS細胞から世界初の卵子が作成され、オス同士から子供が誕生した
    ◆誤情報も流暢に作成する対話型AI「ChatGPT」の科学への応用と危険性・・・アメリカの医師免許試験を解かせると、ChatGPTは合格圏に入った
    ◆AI鑑定はアート界の救世主か?ルーベンス作品の真贋論争から考える・・・英ナショナル・ギャラリー所有の「サムソンとデリラ」が、AI鑑定で偽物と判定された
    この種の本は、情報のアップデートがポイントなので、3~5年間隔で続編が出ることを期待したい。
    (2024年2月了)
    続きを読む

    投稿日:2024.02.06

  • ginkan2

    ginkan2

    最新の科学技術情勢のエッセンスをコンパクトにまとめ。もともと短いコラムを集めたものだそうで、コンパクトにまとまっていますが、もう少し「遊び」部分があると、新書としては読みやすくなるのになぁ、と思いました。「なるほど〜!」はたくさん。続きを読む

    投稿日:2024.01.10

  • まつを

    まつを

    暇つぶしにパラパラ読んで、へぇーとなる。前提知識も特に不要でとっつきやすい、面白い科学関連の雑学本、という感じでした。

    投稿日:2023.12.24

  • hirona82

    hirona82

    三省堂の平置きコーナーで見つけ、読んでみた。

    宇宙、医療、地球環境など5つのテーマから様々なトピックを採り上げた一冊。医療や生物は個人的に日々触れることが多いが、宇宙の話(最初の若田さんの話がまず興味深い)や、終末時計など普段あまり触れていないテーマも多く、読んでいて勉強になり今後知っていく上での導線になったと思う。

    なお冒頭の欧米の優れたビジネスパーソンは、文系でも科学に関する話題が分かるという件は、周りにいないのもあり正直懐疑的。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.16

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