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ブラム・ストーカー, 唐戸信嘉 / 光文社古典新訳文庫 (3件のレビュー)
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リン/タロー
吸血鬼ものの元祖が新訳で出版ということで、これを機に読了。 訳はとても読みやすく、スラスラ読めるので800頁も苦ではない(多分)。 ドラキュラの住むトランシルヴァニアへの旅行描写、そこに住む人々の詳…しい描写など細かくリアリティを積み重ねることでドラキュラの実存感が高まるのが素晴らしい。 また、中盤にかけてのドラキュラが船でイギリスに上陸し、いつの間にやら着々と地盤を固める様子や、ルーシーが吸血鬼にされてしまう所の普段通りの日常生活が崩れる展開などホラーとしての面白さを存分に発揮している。 ただ、後半のドラキュラを倒す部分は人間側があまりにも強すぎて面白みがない(金のパワーで大抵解決する)のと、ドラキュラ側の言い分が描かれないのでちょっと可哀そうに思える。 また、正直800頁超えはやっぱり長いし、三分の二くらいにページを減らしても特に問題ないのでは?と思う。 あと、半吸血鬼になってしまったミーナが逆にドラキュラを探知するところや、ドラキュラを不死たらしめている土の入った木枠を次々と破壊するところなど、ハリーポッターのヴォルデモートみたいだと思った。続きを読む
投稿日:2024.01.13
tom555
このレビューはネタバレを含みます
図書館新刊本棚より借り読了。解説にあったが、翻訳で読みやすくして下さった点と丁寧な説明により面白くスイスイ読めた。語りは登場人物の日記を読む形で日付の齟齬があるものの同じ事象でも人によりこんなに感じ方が違うのかと物語の奥行きを感じ面白かった。昨今吸血鬼の孤独が映画題材になっているようだが、ルーシー、ミーナの運命に対する同情のほうが強く感じる文体。悪に甘い顔は禁物! 解説含め837ページの分厚い本だけれど、いつかこの本を持ってルーマニアを巡ってみたいな。
投稿日:2023.12.13
重度積読症
平井呈一訳の『ドラキュラ』を読んだのは一昔前のことで、ストーリーをほとんど覚えておらず、まるで初読のように読み進んだ。映画の(どの映画だったかは覚えていないが)ドラキュラの印象が強かったので、「ああ…、こういう話だったのか」と思うところが多かった。 もちろんメインとなるのは、 ”ドラキュラ” vs. ”ドラキュラを倒し、その企てを防ごうとする人たち” の戦い振りということになるのだが、「解説」にもある通り、この小説が書かれた時代、19世紀末のイギリスの社会状況が小説の中にいろいろと反映されているところに興味を惹かれた。 例えば、迷信深いルーマニアの人々に対する、魔術や迷信を否定するプロテスタントのイギリス人との対比、心理学の黎明期であるこの時代を象徴する、脳を専門とする科学者と精神病院医師という主要登場人物の間の思考法の相違など。 主な舞台となる場所の地図や適宜の注釈が付いていて、理解を助けてくれるのも実にありがたい。続きを読む
投稿日:2023.10.15
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