【感想】訂正する力

東 浩紀 / 朝日新書
(47件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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ブクログレビュー

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  • shimon

    shimon

    語りかけるような平易な言葉遣いの文章。なのでふんふん、なるほど、と読んでいくのだけど、中盤からあれ、という気分に。自分が「わかった気分」「自分はできてる」「自分は考えられてる」etc.と思ってしまってることに気づかされ、筆者の主張を自分の中に落とし込むのが難しい内容だった。
    雑に解釈すると、もっと柔軟に、もっと寛容に、他者の生き方を理解しなくても許容する、人々がそれぞれにツイートする、喧騒に満ちた社会になることで、思ってもみなかった未来の可能性が拓ける、という主張と受け取った。それを駆動するのは、過去の再解釈である、と。
    ただ「寛容」や「柔軟」な態度といっても、譲ってはいけない一線は引くべきだ、同志間のエコーチャンバーに閉じこもるな、過去の修正と訂正は違う、となると、なかなか危ういバランスを取る必要があるように思われる。
    このバランスを取るための仕組みが、訂正してくれる他者との組織・結社の構成することで、交換不可能な個を訂正し続けるようにすることだ、ということ。
    確かにそれはそうかも、と思いつつ、組織という実践は自分にはなかなかハードルが高い。

    日本社会の閉塞感打破を射程に入れてるためか、個の考え方に対する「大きな物語」を必要としてるようにも読めた(最後の方で政治の話題も出てくる)。この接続を適切に捉えられてる気もせず、難しかった。

    とはいえ、すぐに答えの出ないことを頭にフックさせて、折に触れて思い返しては考えるトリガーにさせる、という意味では、あとがきの狙い通りで、成功してるのかもしれない。
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    投稿日:2024.05.15

  • kentoriko

    kentoriko

    人は、他人を理解することはできない。だから「じつは…だった。」と訂正して受け入れるしかない。だから、訂正する力が必要なんだと理解。

    訂正する力とは、過去との一貫性を主張しながら、実際には過去の解釈を変え、現実に合わせて変化する力のことで、チェンジ=交換することは違う。

    負けを認め、現実を直視する力。
    老いることは訂正すること。

    昨今、嫌ならやめれば良いと言った交換の思想がひとを自由にしてくれるが、何もかもチェンジしても、自分はチェンジできない。だから、チェンジ=交換する力だけでは対応できないから、訂正する力が必要。

    自分も、人にレッテルを貼ってしまうことがあるが、それが違うと気づいたら訂正する力が必要で、それが老いる力だと認識した。

    (以下メモ)
    日本の政治家は謝らず、左派はかたくなさを「ぶれなさ」とされている。
    議論をするには、お互いが変わる用意が必要。

    訂正する力とは「リセットする」と「ぶれない」の間でバランスを取ること。

    日本で訂正する力が機能しないのは、「ぶれない」ことをアイデンティティとするリベラル派がいるから。

    一方、明治維新は、歴史の訂正。過去全肯定もせず、全否定もせず、王政復古という一種のフィクション。
    ヨーロッパの強さは、訂正する力の強さ。

    負けを認め、現実を直視する力
    レッテルでしか仕事ができなくなる。
    老いることは訂正すること。

    訂正する力とは、過去との一貫性を主張しながら、実際には過去の解釈を変え、現実に合わせて変化する力のこと。

    それは、持続する力であり、聞く力であり、老いる力であり、記憶する力であり、読み替える力。

    動画配信などの新しい伝達手段も生まれ、余剰の情報を提供することで、訂正する力を可惜に強める可能性も秘めている。

    民主主義とは、うるさい社会。

    自然科学は、反証可能性の原理に基づき、人文学は訂正可能性の原理に基づく。
    人工知能で作成可能になる時代には、むしろ作家性が重要。
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    投稿日:2024.05.12

  • RABI(ラビ)

    RABI(ラビ)

    考える力、考え方、現代の日本で必要な自分の持ち方を教えてくれる。私を持つには自分の頭で考えること。それは常に自身を訂正し更新していくこと。それでいいんだ、そう思える一冊。私にはめちゃくちゃ良かった。世の中を自分で見られる、それができるような気になれる。続きを読む

    投稿日:2024.05.04

  • すずのき

    すずのき

    内容は面白いところもあるのだが、構成や表現に推敲の形跡がまったくなく、論の"強度"がかなり低いと思いながら読んだ。
    あとがきには「語り下ろし」という形式をとったと書かれてあり、インタビュアーからの質問に対して著者が語ったものを書籍化したものとのこと。推敲されてない理由がよくわかった。
    しかし、それならいっそインタビューのQA形式で書籍化するか、いっそ対談動画としてYouTubeやPodcastにあげたほうがずっとよいと思う。
    メディアの選択肢がたくさんある中で、「書籍にすべきこと」と「書籍ではない別のメディアで発表すべきこと」を見極めるべき。この本のような内容の薄さであれば、明らかに後者。

    大して構成を練らなかった編集者と、こんなクオリティのものを発表した著者の両方にがっかりした。
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    投稿日:2024.04.30

  • syuulou

    syuulou

    訂正する力がないと、自分の話したことにこだわり動けなくなる。時が経てば考えかたも変わる。そういう時に、自ら訂正することは普通な雰囲気を作っておく。訂正は何か問題あるの、といった空気を作っておく。周りからは、朝令暮改かよ、と言われるかもしれないが、それが通常なのだ、と自分に思い込ませておく。続きを読む

    投稿日:2024.04.21

  • か

    優しい言葉で読みやすかった
    確かに訂正する力って必要だよな〜とは思えたけど、それをどうやって実生活に落とし込むのかがピンと来なかった
    訂正する力に関する当事者意識があんまりわかなかった

    投稿日:2024.04.18

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