【感想】雇足軽 八州御用

辻堂魁 / 祥伝社
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • housekeeperz

    housekeeperz

    関東の農村を巡回するお役目を臨時雇い、今でいう派遣みたいな感じで働く侍のお話。

    人情噺、みたいな感じでしょうか。ほんのりとのんびりとした書き口。悪くはないんだけど、話の起伏を感じにくくてちょっと退屈にも思えてしまいました。
    話の焦点みたいなものも、雇足軽というあんまり聞かない身分のお話なのか、主人公である竹本の妻子を思うあれこれなのか、関八州取締出役の旅の話なのかいまいちのめり込みづらいかな。。
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    投稿日:2024.02.16

  • てつ

    てつ

    上役の藩札乱発の罪に連座し失職した越後宇潟藩の竹本長吉は文政12年(1829年)、故郷に妻子を残し、仕事を求めて江戸に出てきた。請人宿で斡旋された勤務先に溶け込めなかった長吉は、翌年から、新たに紹介された「雇足軽」の職に就く。
    「雇足軽」は、関八州取締出役・蕪木鉄之助の元、数名で一年をかけて関東八州(上総、下総、安房、常陸、下野、上野、武蔵、相模)の農村を巡回し治安を維持する幕府勘定所の臨時雇である。
    わずかな日当だが、旅費などは勘定所持ち、仕事の内容としては、無宿者の改め、博奕や喧嘩、風俗の取り締まり、農間渡世の実情調査や指導など地道なものだった。
    物語では、八州を回る鉄之助一行の旅先での取り締まりの様子が土地土地の風景、季節の移ろいなどを取り入れたロードムービーのような形式で描かれている。
    ストーリーとしては、タイトルから長吉を主人公に据えた話かなと思いきや途中から鉄之助の存在感が際立ってくる。   ときに鬼神と化し、ときに仏の慈悲を施す鉄之助がまるで「遠山の金さん」に見えたり、八州廻りの一行が「水戸黄門」主従のように思えた。
    だが、ラストに、以前に捕り逃した残忍非道な押込み強盗一味を命がけで追い詰めるスペクタクルな場面が用意され、そこで、また長吉に焦点が当てられるという展開。
    幕藩体制や農村の治安維持を強化する仕組み、旅装束、関八州の地勢などが詳細に描写され、著者の歴史リサーチの深さを思い知った。
    印象的だったのは、江戸を中心にした莫大な貨幣の流通が関東の農村にも止めどなく広まり、その暮らしが変貌、貨幣を得るため、農民が農業より余業に走る「農間渡世」が物語の重要な背景に据えられていたこと。 農業の危機を察した幕府が「農間渡世」の実態調査と抑制に乗り出した実情がよくわかり勉強になった。経済的に安定した仕事を求め、農家を継がない層が増えるという危惧すべき実態が江戸期から始まっていたことを改めて実感した。
    さらに、長吉の父親が藩札乱発で身の丈をわきまえず膨張する藩財政を憂えたことに関しても、国債に頼る現在の日本に対し皮肉を込めて警鐘を鳴らしているのではと感じた。


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    投稿日:2024.01.28

  • 梅乃

    梅乃

    このレビューはネタバレを含みます

    昔の地名が分からなくて、どことだろうと思いないながら読んでました。
    後で調べました。あと水戸?とどこかだけ幕府の干渉受けたくないと巡回に応じないのが面白かったです。OKなんですね。
    杉作の件については、叔父さんのところに返さなくてもというか読んでる時はそのままお店で働くんだろうなと思ったんですが、連れ帰られてしまってえ!と思いました。でも幕府の方針的には農家が農業以外の仕事すんなってことだったので、そうか…と理解。
    鉄之助が死んだのは悲しかったですが、最後に杉作に会いに行ってくれたてよかったです。ただ、ちゃんと理解できてないのか杉作がなぜ泣いていたのかちょっと分からなかったです。ただ長吉と別れるのが寂しかったのか、鉄之助が死んだのが悲しかったのか…。

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    投稿日:2023.12.01

  • ボマルツォ

    ボマルツォ

    関東八州の農村を巡回観察する役目、いわゆる八州様一行の行く先々で起こる大小の出来事が描かれる。内容はリアルというか、情景描写もわざと(なのか)堅苦しい文体で書いていて、その淡々とした表現が、江戸時代の物語を違和感なく受け入れさせてくれるのにひと役買っているように思われる。ただその分漢字が多くて、読むペースは乱れがち(難読ではなくただ単に漢字が多い)。
    最後までそうそう派手な事件は起きずにそれが世界観とは合っているが、さすがに最後の方は読み飽きてしまった。
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    投稿日:2023.10.16

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