【感想】穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って

村岡俊也 / 新潮社
(11件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • jerico

    jerico

    まるで自分も知り合いだったかのような、そしてその場にいたようなありふれたエピソードの数々は、遠い存在であった作家を身近な存在へと近寄らせ、けどやはりもういないんだという現実を突きつけ、さらに深い喪失感を感じさせる。続きを読む

    投稿日:2024.04.04

  • turbotank

    turbotank

    画家の評伝を読んだのは初めてだ。それも同時代を生きた、どころか、はるかに年下の画家であればなおさら。いっぽう筆者は同世代なので、画家を見る筆者の視線に沿うのはたやすかった。もちろん筆者の誠実な取材と筆致あってのことだが。
    高橋源一郎が「小説家の仕事は、わかりようもない他者について、まるでわかったかのような納得感を錯覚させること」というような意味のことを言っていたが、評伝も同じかもしれない。読み終わったいまではこの画家のことをとても近しく感じる。
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    投稿日:2024.03.23

  • サ

    死者の個人的なノートや友人からの聞き取りを読むという禁断の体験。うしろめたさを感じつつも一気に読み切ってしまった。自分が20代に書いたノートや友人の思い出が本に書かれると思うとぞっとする。
    中園孔二は天才なのかもしれないが、いい意味?で「10代の終わりから20代って皆こんな感じだよな」と思いながら読んでいた。僕にとっても20代という期間は何かを表現したり、音楽や映画やアート、ソウルメイトと出合いながら、ぼんやりとしてまだ輪郭のない自分の領域の「外縁」を作っていく時間だった。その内容は一人一人違っても、皆も大体そんな感じだと思うのだけど、どうなのだろう。
    坂口恭平の名前が出てきたが、中園孔二にも何とか生き残ってその生命活動をもっと見せて欲しかったという気持ちになった。彼の活動は色々な人の人生に寄り添うものになっていたはずだ。
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    投稿日:2024.03.07

  • am

    am

    なぜ彼の絵画に惹かれるのか、その切実さの一端に触れることができた。周りの人たちの彼への捉え方に身体性と瑞々しさがあってすごくよかった。



    ①あなたにとって絵画とは何ですか
    相槌のようなものでした
    今は、よくわかりません。
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    投稿日:2023.12.26

  • saphire

    saphire

    このレビューはネタバレを含みます

    日曜美術館で存在を知り、丸亀の美術館まで行って作品を観た。ソウルメイトをずっと探していた、というようなことだったので、孤独感を感じていたのかと思っていた。
    ソウルメイトだ、と腑に落ちる人と出会えたと思ったのかわからないけど、たくさんの人とふれあい、支えられていた、短いかもしれないけど濃い人生だと感じられた。

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    投稿日:2023.12.09

  • tetsuya44

    tetsuya44

    丸亀市で開かれていた「中園孔二展」の記事から見つけた本だったと思う。25歳の若さで事故で亡くなるまでに600点もの作品を残した方。創作に行き詰まって自死ではなく、夜の海にでかけて事故にあったと言われている。高校生の時に、突然バスケットボールを辞めて芸大を目指し、現役合格。卒業作品展で注目され、卒業後の初個展で名前が知られたという。作品にはポップなものも多いが、複雑なレイヤー構成になっているものもあり、興味を惹かれることは間違いない。

    中園孔二の一生を関係者からのヒアリングでまとめられた一冊。創作にストイックな面は当然としても、理解できない変わり者、とっつきにくい人、というような話は無く、多くの人が中園を支え、助けられ、今でも彼のことを大切にしている人ばかり。次に展覧会があったら、ぜひ足を運びたい。

    著者はノンフィクションライターで、東京藝大卒業作品展で中園晃二(後に作品は孔二で描かれる)の絵画に、「今年は天才がいるよ」と言った藝大教授を通して、彼のことを知った。その後、彼の作品に「わからなさ」を感じ興味を持ち、関係者をあたって中園の生前の姿を知ることで、作品を理解できるかも、と取材を始めたらしい。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.03

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