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サーカスの夜に(新潮文庫)
サーカスの夜に(新潮文庫)
小川糸/新潮社
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総合評価

72件)
3.5
5
25
34
4
0
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    歩く感傷
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    暖かい話だった。刺激が少なくて、読みやすい一方、物足りなくも感じた。 しかし、この穏やかさが癒やしなのだろう。 サーカスのメンバーの日常に、自分の心が水をようやく浴びれたような感情になった。

    0
    投稿日: 2025.07.21
  • 水空のアイコン
    水空
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    2025/2/2 読了 サーカス団に入った少年の成長物語。 少年がサーカスで人の気持ちやサーカスでやる技などに悩みながら、自分の立ち位置を決めていく 穏やかな物語でとても良かった。 グランマとおじさんにサーカスデビューを見せられたことに少し感動した。

    0
    投稿日: 2025.07.03
  • よっしーのアイコン
    よっしー
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    休日に1日で読めました。1人の少年がサーカスに入団し、成長していきます。少年を応援したくなるほっこりした小説です。すらすら読めて、もっとこの先も少年を追っていきたいと思えるお話です。

    0
    投稿日: 2025.06.10
  • モモ太郎のアイコン
    モモ太郎
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    このレビューはネタバレを含みます。

    両親が離婚し、どちらも相手が引き取ると思って置いてけぼりになった少年が、一度祖母に引き取られ一緒に暮らすものの、幼い頃闘病していた際に服用していた薬の影響でこれ以上背が伸びないことが分かり、祖母の負担になりたくないという思いと幼い頃に両親と一緒に見たサーカスへの憧れからサーカスに入団するお話。 キャラクターはそれぞれ料理の名前が付いていて、性格もポップな感じなので絵本みたいなビジュアルを想像させられます。 結構重い家庭環境についてはサラッと書かれているのみで、サーカス団の内情みたいな話がメイン。主人公が技を練習し始めるのは最終盤、サーカス人生これから!てとこで終わるから、終わり方はちょっと物足りないかも。 物語の起伏はそこまでありませんが、そのおかげで逆に読み進めやすくはありました。

    0
    投稿日: 2025.04.11
  • もりのアイコン
    もり
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読んでいて映画のグレーティスト・ショーマンを思い出しました。 親子愛が描かれていてあったかい気持ちになりホロリとしました。 どんな自分であっても胸を張って輝く人生を生きることができる サーカス団員たちのニックネームが食べ物の名前っていうのが料理好きの小川さんらしくて素敵だなと思いました。

    1
    投稿日: 2025.03.19
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    いかちゃん|3行読書感想文
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    居場所は自分でつくれる。なりたい自分をイメージする。旅行先で偶然通りかかった古書店で何となく手にした文庫本に、すごく勇気づけられた。

    11
    投稿日: 2025.02.21
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    うたえなが
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    小川糸さん絶賛どハマり中。 今回はサーカスが舞台の物語。サーカスと聞くとどこかの国のようなワクワクする気持ちがします!なんと主人公と同い年でビックリ!でも、病気の後遺症で10歳ぐらいの見た目しかない男の子です。その男の子が仲間に囲まれて成長していく物語です。暗いシーンもありますがいい話だと思いました。

    104
    投稿日: 2025.01.22
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    あんゆり
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    舞台がどこの国なのかわからない、絵本のような世界観の物語でした。魅力的で個性的な登場人物たちの中で、色々な感情と出会いながら成長していく13歳の男の子。 キャンピングトレーラー、サーカステント、夕焼けの海、コックの作る食事…シンプルでくどくない文章なのに情景がありありと浮かびました。 優しい愛にあふれた世界観、読書に戻るたびに幸せな気持ちに浸りました。

    3
    投稿日: 2025.01.12
  • ああのアイコン
    ああ
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    このレビューはネタバレを含みます。

    両親が去り、グランマとおじさんに育てられた身体的成長が止まった少年がサーカスに入団する物語。自分の意思で、サーカスという場所を選び、未来の自分を追い越すために挑戦する。 生きる歓びを全身で詩にして届けることがサーカスである。ただし、生きることとは平坦ではない。酸いも甘いも噛み締めて、それでも生きていかなければならない。華々しい舞台の裏に潜む影と温かい優しさと、この目に見えない物語の断片達は、本人だけの持たない物語なのだ。 ズフラ。金星。宵の明星。 夜が明けて輝くのは、自分自信でなくてはならない。それを実現できるのもまた、「わたし」だけなのである。 以下、印象に残った言葉を抜粋 悲しいのにうれしい。切ないのに楽しい。白と黒が、心の中で複雑なマーブル模様になる。でも、決して混じりあって灰色にはならない。あくまでも、白は白、黒は黒だ。p214 ローズの言葉 人生の哀しみを知らなくちゃ、相手を笑わせることなんてできないもの。孤独を知っているからこそ、みんなでバカ笑いできる幸せをありがたく思えるものよp235

    1
    投稿日: 2024.12.31
  • ハルのアイコン
    ハル
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    このレビューはネタバレを含みます。

    病気で身長が10歳のままの13歳の少年が離婚した父母と最後に見たサーカスに育ててくれたグランマの反対を押し切り入団して、サーカスの暮らしの中で自分の仕事を見出し芸を身につけて成長していくお話。 最後にグランマが少年の晴れ舞台を見に来てくれて本当に良かった。

    3
    投稿日: 2024.07.08
  • 莉のアイコン
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    このレビューはネタバレを含みます。

    全体的にサクサク、ワクワク読めた。 食べ物との思い出が出てくる点も、小川先生の作品のあたたかさが出ていてとても良かった。 華やかで愉快そうなサーカスだが、少年がトイレ掃除に地道に取り組んだり、あっけなく生命が終わりを迎えたり、絵本のような本なんだけれども絵本ではあまり語られない部分が華やかさとは対照的で印象に残った。

    1
    投稿日: 2024.06.15
  • りんご花のアイコン
    りんご花
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公が病気の後遺症で10歳の姿のまま成長しない状態になる。お世話になっているおばあちゃんに迷惑をかけたくなくて、家を出て憧れのサーカスに入ることに。 はじめこそ主人公はどうなるのかと思ったけれど、サーカスのみんなは優しく、支え合いながら毎日を過ごしていて、自分も頑張ろうという気持ちになります。

    3
    投稿日: 2024.05.26
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    木花豆子
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    小川洋子の本を買ったつもりで 小川糸を買っていた…。 初小川糸さん作品です。 体が大きくならないという 運命を背負った少年の物語。 両親とも彼を引き取ることなく離婚。 グランマとおじさんのもと育つ。 あるときサーカスのチラシに心奪われ 自分はサーカスで生きていくと決心する。 サーカスに入り、 さまざまな境遇の仲間たちに出会う。 多種多様な仲間と思いの中で 少年は成長していく。 生きるということについて お説教がましくなく、心に届く メッセージが散りばめられている。 とくに私は、コックの台詞に惹かれた。 どんな人が読んでも何かしら 心に留まるメッセージが あるのではないかなと思う。

    17
    投稿日: 2024.05.05
  • なえまるのアイコン
    なえまる
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    このレビューはネタバレを含みます。

    238ページ 1400円 2月24日〜2月27日 離れ離れになった両親とかつて一緒に見たサーカス。忘れられないその不思議な世界の一員になることを目指して入団した少年の前に現れる自由で個性の強い人々。クラウン、ピエロ、ブランコ乗り、ジャグラー、そして美味しいお菓子やスープを作ってくれるコック。少年は少しずつ綱渡りを学んでいく。 家を飛び出した少年が、サーカス団でうまくやっていけるのか不安だったが、自分の力と周りの支えで居場所を築いていく様がよかった。最後、少年のデビューに合わせて、育ててくれたグランマとおじさんを招待してハッピーエンドで終わったのもよかった。

    1
    投稿日: 2024.03.20
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    ぴーまん
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    少年の挑戦。特異な環境下にある1人の少年が、どう生きるかをそばで見届けた感じ。「ありのままを受け入れる」が当たり前にできる。そんな大人たちも魅力的。

    0
    投稿日: 2024.03.13
  • のののアイコン
    のの
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    どこか懐かしくファンタジックな雰囲気のあるお話でした。移動式サーカスを最近見かけないからかな。 幼い頃の記憶の片隅にあるふわふわとした夢のような世界の裏側について少年の目を通して垣間見ることができた感じがする。たくさんの努力や悲しみ、不自由さを抱えながらも、少年が真っ直ぐで愛おしいです。大人たちも素敵だなぁ。 特に明け方ナットーとの2人の情景が美しかった。

    0
    投稿日: 2024.02.23
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    らいざ☺︎
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    体が大きくならないという病気を抱える孤独な少年が、サーカスに憧れて入団を決意。複雑な背景ばかりをもつ団員が集まったレインボーサーカス。 まるで家族のような繋がりを作り、成長していく少年の姿が微笑ましかったです。

    0
    投稿日: 2024.02.17
  • あずさのアイコン
    あずさ
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    13歳で全てを捨ててサーカスに飛び込む。すごく勇気のいることだと思う。この少年の奮闘する姿に勇気づけられた。でもまだまだ子供なところもあってほっこりした。

    2
    投稿日: 2024.01.05
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    bestbook1
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    小川糸さんとしてはまた違ったジャンルの作品のように感じる。この本を読んでいるときに、思わずサーカスを観たくなってしまい、検索をしてしまった。きっと、このレインボーサーカスに所属をしている人はみんな誇りを持っているし、怖さと戦いながらも生きていることが楽しいを表現しているのだろうなと感じた。このサーカス団の雰囲気を想像することができる作品である。2024.1.3

    1
    投稿日: 2024.01.03
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    koi
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    少年の真っ直ぐな心で挑戦し地道に続ける努力、正直な心で寄り添う優しさ、 様々な憶測をしてしまう世の中であるけど、自分が子供のころに感じていた当たり前の純粋な心を思い出せた。 それと同時に自分の純粋で無垢な真っ直ぐな心で何事にも取り組む、それが1番の目標への近道であることに気付かされた。 全てを受け入れる懐の深さ、13歳にしてできることであり、大人になった自分には足りないところであった。 どんな時に読みたいか 自分に正直になりたい時、目標がある際に挫折しそうになる時、少年の優しさ、豊かな心、受け止める心の広さを見返したい。 学び 自分自身にこそ必要であること。この少年の行動力真っ直ぐな心が。

    1
    投稿日: 2024.01.01
  • おかゆのアイコン
    おかゆ
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    おなかがいっぱいなら 人はそれだけで幸せになれる 好きな食べ物が自分の名前になるのだとしたら わたしは「エビフライ」と名乗ります

    0
    投稿日: 2023.11.06
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    m
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    サーカスの人たちとの暮らしで 自分の居場所を求めている、そんなお話。 なにか大きなことがあるわけでもないけど、 少年の心は毎日毎日、 サーカスのとりこになっていく。 サーカスの人たちもよい人ばかりで、 少年にとてもよくしてくれる。 小川糸さんらしい、ほっこりした文章が続き 美味しい料理も出てくる。 拾い忘れた話題がいくつかあるなとは思ったけど それはそれで気にしなくてもいいのかもしれない。

    1
    投稿日: 2023.10.25
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    アラエッサ
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    内容としては児童小説であり、とても読みやすくて一気に読み切れた。転落やドーナツ作りの呆気ない死も良かったし、綱渡りのナットーとの最後のやりとりも印象的だった。 ただ、話の終わりがあっさりし過ぎていて、余韻に浸るというよりは、落丁本ではないのか?と、存在しない続きのページを探していた。 本編は面白かっただけに、終わり方ももっと盛り上げて、余韻に浸りたかった。

    4
    投稿日: 2023.10.21
  • loststar19のアイコン
    loststar19
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    両親との思い出を胸にサーカスへ入った少年。 未知なる世界へ飛び込んだ少年を親心のように心配した序盤。 よくぞここまでと少年の成長に感心した終盤。 何かを抱えながらも笑ってる周りの人がとても暖かく。描く料理が旨そうで腹が鳴る。

    0
    投稿日: 2023.10.14
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    わんこそば
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    少年が前向きに頑張る姿がとても輝かしかった。 出会いと別れを繰り返し逞しくなったなと物語を通して感じられる。サーカスなんてみたのは何十年前だろうか。またいつかみたいな。

    2
    投稿日: 2023.09.11
  • かもめのアイコン
    かもめ
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    このレビューはネタバレを含みます。

    外国の童話みたいなお話。両親の離婚でひとりぼっちになった少年は、13歳の誕生日に、レイボーサーカスに飛び込んだ。 病気の治療のためにつかった薬が原因で、10歳の体から成長しなくなってしまい、自分の居場所を探すために、育て親であるグランマのもとを飛び出した。 1年間のサーカスでの生活を通じて、少年も仲間たちとの絆を深め、成長していく。 個性豊かなサーカスの団員たちがそれぞれ魅力的で、華やかで明るく見える面々が、それぞれの過去を抱えていて、なんだかとってもよかった。 クリスマス公演で初公演の少年が、ソリャンカとして綱の上を歩き出すところで幕が降りるの、綺麗な終わり方でよかった。

    0
    投稿日: 2023.08.18
  • sainaaaのアイコン
    sainaaa
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    両親が離婚前に連れてってもらったサーカスに憧れて13歳の誕生日サーカスの世界に飛び込んだ少年。個性的な団員に囲まれて体の小さな少年は自分の居場所を見つけていく物語  登場人物たちは正式な名前は明かされない、芸名だったり、役職名でお互い呼び合うがキャラの印象はとても強い、行き倒れていたところを助けてくれた優しくて美しいローズ、初恋相手のマカロン、ジャグリングの天才キャビア、サーカスの看板スターでもあるナットー、主人公を支えてくれる同室のコック、情熱的な団長などどのキャラもとても好き。 いつもはユーモア溢れるサーカスだけどもちろん暗い部分もあってどん底まで沈むこともあり、現実の厳しさもこの小説では描かれている。ただ楽しいだけではない、なんとなくわかっていても読むことで深く知ることができてとても良かった。 サーカスのワクワク感を小説の中で味わえ読み終わったあとは、もう少しこのサーカス団と旅がしたい、終わるのが勿体無い、続きが読みたい、と思ってしまうほど夢中になれました。文体もスッキリしページ数も多くない読みやすいので読書初心者にもおすすめです。

    1
    投稿日: 2023.07.27
  • ヤンジュのアイコン
    ヤンジュ
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    サーカスを映像でしか観たことがない私だけれど、サーカスの華やかさや楽しさ、団員のパフォーマンス、つながりや絆、そして移動しながらの生活がイメージできて、不思議な感覚で読み進められた。 親が離婚し祖母と2人暮らしとなった13歳の少年が、サーカスの世界に飛び込み、成長していく姿が描かれている作品。体の生育に悩みを抱えた少年は、サーカスの世界で、個性溢れる人たちと出会い、それぞれの愛情を受けながら、自身の努力も加わり、サーカス団の一員としてたくましく成長していく。この少年みたいに好きなことは原動力にはなるけど、いざ挫折するとその衝撃も大きいものとなる。そして、難しいなと思うのは、好きだけでは自分に本当に合っているかは、わからないということ。だとしても、好きなことというのは自分を突き動かし続けるものなのかもしれない。観客の歓声や拍手が心に響き、その反応が伝わってくる。団員たちの命をかけての数々の技を、固唾をのんで見守る観客と仲間と一緒に観ているかのような錯覚を受けた。思わず笑ってしまう団員たちの掛け合いも楽しい。そんな気心が通じ合っている仲間とつくるショーだから、笑いや喝采が沸き起こるのだろう。華やかなショーと舞台裏での過酷な生活や弛まぬ努力の姿、そのギャップに魅了される。華やかなものには目に見えない影の部分もあるのだろうな。目立たない努力もあるのだろうな。自らの意志で飛び込んだ少年を受け入れる団長や団員たちの温かさが心地よい。ある意味、家族みたいなものなのだろう。入団当初、トイレ掃除やコックの手伝いを懸命にする少年の姿がかっこいい。自分の居場所をつくるために、与えられた仕事を楽しく懸命にする姿がかっこいい。 叶えたいことがある幸せとそれを応援してくれる人がいるありがたさを感じる作品だった。「ライオンのおやつ」以来の小川糸さんの作品を読了した。人の感情を丁寧に細かく描写する小川糸さんの作品の魅力を感じる作品に出会えて嬉しかった。生きることへの情熱やひたむきさを得た。私は、なかなかそこまで感じて生きてはいないけれど、そんな生き方はいいなとも思う。難しいけれど。これから手にする小川糸さんの作品も楽しみになった。

    279
    投稿日: 2023.07.01
  • はなちゃんのアイコン
    はなちゃん
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    両親が離婚しひとりぼっちになった少年が、不自由な体で自由に生きるために、サーカス団に入り自分の居場所を探しながら成長していく物語 小川糸さんの作品は今回で2作目でした。 心に優しくそれでいてストレートに響く表現がとても上手な作家さんだと思います。 貧しいサーカス団で一歩ずつ大切なことを学んで行きながらも、決して自分を見失わず前を向いて直向きに生きる姿に心が揺さぶられました。 読後は穏やかで優しい気持ちになれる作品でした。

    9
    投稿日: 2023.06.03
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    なつこ
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    自分の居場所を求めた少年がサーカス団の一員となり過ごした1年間の成長物語。 少年は成長することのない自身の身体にコンプレックスを抱えていた。だけど、サーカス団にはさまざまな人たちがいた。 少年は両親の離婚により孤独を感じていた。だけど、もっと深い孤独と闘っている人たちがいることを知る。 少年は働けることの難しさを知らずにいた。だけど、講演をひとつ開催するにも障壁が立ちはだかることがあることを知る。 少年は恋を知らなかった。だけど、人を愛することの苦しみや喜び、情けなさを知る。 少年は死は遠い場所のものだと思っていた。だけど、死は身近にあり大切な人を失う哀しみを知る。 少年は自分が何をしたいのか、何になりたいのかを知らなかった。だけど、それを見つけた時に本気になれた自分と出会う。 少年は自分の居場所を見つけたときに知る。 孤独なんかじゃない。 この身体で生きていく。 少年がサーカス団の中で出会う人々と織りなす人生の踵。 人生は思うより長い。 今年の9冊目

    18
    投稿日: 2023.05.30
  • mamekoのアイコン
    mameko
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    僕はかわいい。ピュアで、まっすぐ。 ローズ、ナットー、キャビア、シェフ… すてきなひとが、たくさん。 ひとりひとりのことばが、すーっとしみて、 私も、ほんものでいたいと思った。

    5
    投稿日: 2023.04.22
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    れれ
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    祖母と暮らす小柄な少年は、幼少期の両親との思い出のサークスに魅了され、レインボーサーカス団に飛び込む。サーカス団の個性豊かな人たちとの関わりを通して、生きる道を切り開く物語。 素敵な話だとは思うけど、少し物足りなかった。 自分にはあまり合わなかった。

    4
    投稿日: 2023.02.25
  • ぱなのアイコン
    ぱな
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    サーカスって自分が思っていた以上に奥が深いんだなと思った。いつか生でサーカス見てみたいな。 それぞれのサーカスにかける思いが強く伝わってくる。体が成長しない少年が居場所を見つけ、自分の生きる道を探していく一生懸命な姿に心が洗われた。あと、コックが残り物を美味しい料理にまるで魔法のように変えるのが凄いし、美味しそう。

    2
    投稿日: 2023.02.20
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    シマクマ君
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     「食堂カタツムリ」(ポプラ文庫)で評判になったころ、働いていた高等学校の図書館で高校生たちに受けていたのがずっと気になっていて、初めて読んだ小川糸の作品です。  ここ10年、いや、もっとかな?本屋大賞という賞がもてはやされていますが、本屋大賞的な作品だと思いました。読み終わると読み手自身が「いい人」になった気がする、「いいお話」ですね。  最近の書き手の方たちが、どうも、そのあたりを狙って書いていらっしゃるのではないかというの疑いがふと浮かびます。最近の映画とか、歌謡曲の歌詞(あんまり知りませんが)だとかにも感じられる、そういう書き方で「小説」ができてしまうことを書き手の方はどうお考えになっていらっしゃるのか、そんな感想を持ちました。で、まあ、「食堂カタツムリ」で確かめてみようかなと思っています。  ブログには、もう少しひどい悪口を書いています。覗いてみてください(笑)  https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202301260000/

    10
    投稿日: 2023.02.08
  • dende_bookshelfのアイコン
    dende_bookshelf
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    13歳の少年が一大決心しサーカスに向かって自転車で走り出すところから、14歳の誕生日を迎えるまでの1年間の物語。⁡ 少年の見ている世界の表現がすごい。ピュアで無垢で果てしなく広い。情景が頭の中に絵本のように広がっていく。⁡ ⁡ 物語の舞台がどこなのか、日本のようでもあり、外国のようでもある。⁡ いつの時代の話なのか、ずっと昔のようでもあり、現代のようでもある。⁡ それさえも、この物語の中では自由で曖昧。でも、そんなことはどうでもよくて、それが多様性ということなのではないかと。⁡ 自由で曖昧なところがまた、少年の見ている夢のような世界と相まって、想像を掻き立てる。⁡ ⁡ サーカステントの骨組のてっぺんが、少年の特等席となる。少年は自分の病気を恨むけれど、もし少年の体が小さくなかったら、そこは特等席にできなかったかもしれない。少年だからこその役割があり、見えない世界がある。⁡ ⁡ 少年は悟る。体は変えられないが、心は自分の意思で変えられる。⁡ 「運命と和解する」⁡ 自分の心を自由にするには、運命と和解する必要があるのだ。レインボーサーカスのみんなが、そのことを教えてくれる。⁡

    1
    投稿日: 2023.01.18
  • chisaのアイコン
    chisa
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    小川糸さんの作品。かれこれ5作目?くらい。 大きくなれない少年が、サーカス団の一員になり、さまざまな人との触れ合い、愛情の中で成長していく。 人の生死の考え方は、食堂かたつむりやライオンのおやつからも一貫してるなと感じる。

    1
    投稿日: 2022.12.14
  • 軌跡のアイコン
    軌跡
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    サーカスに憧れた男の子の話。おもしろかった。 心は自由だ。どこにでも行ける。僕の心は、いつだって自由なんだ。 自分の体も自分の心も、所有権は自分自身なんだから!

    1
    投稿日: 2022.12.09
  • Lilas*のアイコン
    Lilas*
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    大人のメルヘンのような物語。サーカスの世界にどっぷり浸れて、気づいたら読み終わっていた。少年が憧れのサーカス団に入って奮闘・成長するストーリー。グランマはじめ周りの大人達が温かくてほっこりした気持ちになる。所々に心に残るフレーズが散りばめられている。

    2
    投稿日: 2022.09.04
  • まよいのアイコン
    まよい
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    主人公の少年はひとりぼっちでサーカスの世界に飛び込んだのに、不思議と不安を感じさせない。自分が手に入れられないものを分かっていて、だからこそできることを探して自分の居場所を作っている。 小川さんの著書「とわの庭」は目が見えないハンディキャップを持った少女が主人公ですが、作品の雰囲気は似ているかも。主人公が絶望したりしていない。それは自分の中で不自由さが当たり前だから。 サーカスの起源を辿ると、生きていくために道を切り拓いていく人々の姿が見えます。 どうせ自分なんかとか、他人と比べて羨んだりしてしまうことがあるかもしれないけど、自分にしかできないこと(これはフィジカル、ロジカル、メンタルの面で)ってどこかにあるんだよな、と思いました。 主人公が冷静なので、話としてはあまり緩急がなく、読み終わった直後は「ふーん」という感じでしたが、1ヶ月くらい経ってじわじわと感想が生まれました。

    2
    投稿日: 2022.08.21
  • Meeのアイコン
    Mee
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    自分探しの冒険 夢への第一歩ってものすごく勇気がいるし、誰も知らないところに飛び込む覚悟、地道に練習を積む熱 今の自分には、その全てが欠けていて。 なんだか、新しいこと、今取り組んでいること、諦めたこと、なにかをひたむきに続けたいって前向きな気持ちになれた

    1
    投稿日: 2022.07.14
  • Storiaのアイコン
    Storia
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    日本でもない、ヨーロッパでもない、無国籍な不思議な街の場末のサーカスで、十歳から成長しない身体の主人公が、個性的なサーカスの団員たちに見守られ、生きる道を見出す物語 不思議な舞台で登場人物は個性的だけれど、思春期の成長を描く普遍的なお話

    0
    投稿日: 2022.07.13
  • がっきーのアイコン
    がっきー
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    登場人物が魅力的で、みんな良い人。 主人公が、周りの人の支えで、少しずつ自分に自信をつけていく。何かに挑戦したくなるお話でした。

    0
    投稿日: 2022.06.26
  • みかんのアイコン
    みかん
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    p20 「星の輝き1個1個から、勇気という名の透明な糸が僕をめがけて降りてきて、何か大切なものを体や心に優しく注いでくれたような気がしてならなかった。」 p202「海を見るのは夕暮れ時が一番だ。光がまぶたを閉じようとするほんの少し前、世界ははかなげな優しい色に縁どられる。僕の心と同じ色に染まる。」

    2
    投稿日: 2022.05.08
  • かりょうのアイコン
    かりょう
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    身長が伸びなくなる病に侵された少年がもっと小さな頃に見たサーカスに思いを馳せ ひとり家を出て街から離れたサーカス小屋にやってくる。 そこで働き始め 世の中の事情というものを学びながら そこの一員になっていく。 シンプルに楽しく読めた。

    0
    投稿日: 2022.05.07
  • 雑食のアイコン
    雑食
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    文芸書版を購入。 現実離れしているのに登場人物達の性格や生い立ちの解像度が高く、リアリティがあった。 ご飯の描写が特に好きです

    0
    投稿日: 2022.05.01
  • みゆうのアイコン
    みゆう
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    「世界で一番大事なおへそにいるかのようだった」 「ハングリーとアングリーというのは、根っこの部分では繋がっているんだ」 物語自体はどこの国かもわからない、ファンタジーのような印象を受けるけれど、そんな中でも主人公や周りの人たちのセリフはどこか今の自分にも響くセリフが多くて良かった。

    0
    投稿日: 2022.04.27
  • あんこのアイコン
    あんこ
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    「心は自由だ。どこにでも行ける。僕の心は、いつだって自由なんだ。」 少年が目標を見つけ、そこを目指す熱意に何度も涙腺がくすぐられた。サーカス団員たちの暖かさにも救われる。 小川糸さんの紡ぐサーカスの描写に、読んでいるだけで心躍った。

    0
    投稿日: 2022.01.28
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    sono0621
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    両親の離婚で13歳までグランマに育てられた少年が両親と最後に見に行ったキラキラした思い出のサーカスの世界に飛び込み、自分の生きる道を探していく。 どこの国のいつの時代の話し…?よくわからないまま童話のような世界観で読み進めていく中で、生と死、食べる事の大切さ、心の傷や生きづらさを抱えた人たちが、どんなに願っても否定しても変える事が出来ない事実と向き合いながら強く優しく生きていく。 「人を笑わせるって事は、人を傷つけたり哀しませたりすることより、百倍も千倍も難しいわ。人生の哀しみを知らなきちゃ、相手を笑わせることなんてできないもの。孤独を知っているからこそ、みんなでバカ笑いできる幸せをありがたく思えるのよ。」 ローズの言葉が印象的

    0
    投稿日: 2022.01.08
  • ayuko.のアイコン
    ayuko.
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    異国の童話を読んでいるような感覚になった。 少年がサーカス団に入って、何の技を習得するのか最後の最後まで分からなくて気になりながら読んだ。 料理の描写がとてもうまい作家さんですね。

    7
    投稿日: 2021.12.17
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    ヒュナ
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    凄くすっごくワクワクして楽しかった! サーカスの輝きや観客の熱気、演者の息づかい 近くに感じる、音が聞こえてくる 楽しさの余韻から抜け出せなくて、読み終わったあとも幸せな気分に浸っている 世界観がとても不思議 スマホがあるなら現代なのかな?と思うのだけれど、不思議と随分と昔の時代なのかなとも感じられる そして最初は日本かと思いきや、読み進めるうちに日本では無さそうだと気がつく! ではどこ?ってなるけれど、そんなの大した問題ではないのだろう だってサーカスは自由気ままに、そして赴くままに楽しいを見てもらうのだから! だからこそ、読み手次第でいつの時代へ行っても良いのかなって 私は少し古い時代、古い街並みを思い浮かべる ローズやキャビア、トロ、ナットー…皆名前可愛すぎか! そして少年、名前とても似合っているよ 楽しいと美味しいと素敵と幸せと…沢山ありすぎて私は凄くこの物語を気に入ったのです!!

    3
    投稿日: 2021.12.02
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    羽鳥三鳥
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    幼い頃の鮮明な記憶をもとにサーカス団へ入団を目指す障害をもつ男の子のストーリー。 想いを大切に勇気を出して一歩踏み出すこと、価値観とか行動規範を持つこと、信念を持って活動を続けていると味方が増え、道が開けるとういことを教えてくれる。

    0
    投稿日: 2021.12.01
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    黒い☆安息日
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大病を治した薬の影響で10歳から身長が伸びなくなった少年が、場末のサーカスで生きていく物語。 時代(タブレットがあるのにタンク式トイレ)、地域(日本ではないどこかだとはわかる)…物語の背景となる設定が読者からは良く見えず、モヤッとした世界観が独特。それは決して欠点ではなく、霧がかかったような世界で、舞台のサーカスだけに目線が集中できる効果を生んでいるのは作者の計算の上?だとしたら、興味深い演出だと思う、こういうの好きだなぁ。 世界観は独特だが、物語の根幹は少年の自立独立の物語、主人公は身長や風体こそ子供の用だが、学年で言ったら中学生。思春期(中二病にかかる時代)の彼がまっすぐに取り組み、悩み、生きていく姿を直球勝負で描く。 ストーリーが直球でも世界観が独特なので、安直感はない。その感覚も仕組んだものだとしたら…。小川糸、油断ならない小説家だなぁと思う。

    0
    投稿日: 2021.04.07
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    Yurico
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    両親の離婚でひとりぼっちになった少年は、13歳の誕生日を迎え、憧れのサーカス団・レインボーサーカスに飛び込んだ。ハイヒールで綱の上を歩く元男性の美人綱渡り師、残り物をとびきり美味しい料理に変える名コック、空中ブランコで空を飛ぶ古参ペンギンと、個性豊かな団員達に囲まれて、体の小さな少年は自分の居場所を見つけていく。不自由な世界で自由に生きるための、道標となる物語。

    0
    投稿日: 2021.01.27
  • 夜のアイコン
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    2020年最後の読書は、温かい雰囲気の小川糸さんの小説で締めました。(レビューだけ年を跨ぎました) 両親を離婚がきっかけでグランマと2人貧しい暮らしをしていた13歳の少年。幼い頃にした病気の治療の影響で成長が止まり、10歳ほどの容姿にしか見えない彼は、ある日これまでの暮らしに決別し憧れのサーカス団・レインボーサーカスに飛び込んだ。 個性豊かな団員たちに囲まれて、体の小さな少年は自分の居場所を見つけていく。 10歳で体の成長が止まり、将来の苦難が見えた少年の「サーカス団に入って自分の道を見つける」という切ない決意から始まる物語。 いわゆる移動式のサーカスを私も昔何度か観に行ったことがあるけれど、サーカスというのは華やかな影にとても物悲しいものが見え隠れするのを感じる。 純粋に芸を志し、心から楽しんで演じる団員も中にはいるだろうけど、マイノリティ的な事情からそれを志すしかなかった団員もいる。 物語に登場するレインボーサーカスは貧しいサーカス団で、華やかで大きなサーカス団であるスーパーサーカスとの対比も何だか寂しい。 だけどその中で働く者たちはとても温かく、少年はそこで働くことで居場所を見つけていく。 ナットー、キャビア、トロなど、団員たちは食べ物の名前をサーカスネームにしている。 その中でも少年に最も影響を与えたのはナットーで、元男性の美人綱渡り師である彼女は天才型の演者だ。 そして少年をいつも近くで見守る、姉御肌のダンサーのローズの存在がとても優しい。 死ぬ覚悟ではなく絶対に死なないと決意することが極意だと少年に教える、プロフェッショナルを育て、そしてたくさんの事故も見てきた団長の厳しさと優しさ。 何でも物事を極めるのは一朝一夕にはいかないということ。 少年は最初は毎日トイレを綺麗にするという仕事を命じられたのだけど、それを必死にやって極めることで団員たちの意識が変わっていく(なるべく汚さないようにしようと)ところにもそれは表されていた。 小さなことでも極めるというのは素晴らしい。 優しくファンタジックな世界観で、緊張感や哀しさがありながらもやはり温かな雰囲気が漂っていた。 がんばれ少年!なんて自然と思ってしまう。(最後に少年についたサーカスネームがまた良いのだ) 移動式サーカス、最近見なくなった。最後に見たの、10年くらい前かもしれない。 だけど一度でも観たことがある人ならば、この刹那的な華やかさを湛えた世界が、目の前に見えるはず。

    1
    投稿日: 2021.01.05
  • さてさてのアイコン
    さてさて
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    『レーディース、アーンド、ジェントルメン! 麗しき、紳士、淑女の皆々様、ようこそ、わがレインボーサーカスへ! 今宵、夢のひととき、思う存分、味わってください!』 “サーカス”というものを全く知らないという方は恐らくいないと思います。しかし、”サーカス小屋”に行ったことがある方となると、グッと数が減るような気もします。かく言う私には、一つ記憶があります。あれは小学校低学年の頃だったと思います。父と母に連れて行ってもらった”サーカス小屋”。たくさんの人が取り囲む中央の舞台。そして、見上げる頭上に張られた一本の細いロープ。そんなロープの上を、バランスを取りながら颯爽と渡る白い服を着た男の人。生まれて初めて目にしたそんなアクロバティックなパフォーマンスを見て子供心にハラハラした、そんなシーンがそのハラハラの感覚とともに今も残っています。『古代ローマ時代にはもう、サーカスの原型みたいなのが成立していた』とされる”サーカス”。派手なパフォーマンスにばかり目が向きがちですが、よくよく考えると、そこでパフォーマンスを演じる人たちにもそれぞれの生活があります。同じ場所に留まることなく、全国を旅して回る”サーカスの人たち”。この作品は、一人の少年が、そんな”サーカス”の檜舞台に立つまでの裏舞台を小川糸さんが描いていく、優しく心あたたまる物語です。 『僕は今、道なき道を走っている』と陽が陰ってきた道を自転車に乗って突き進む『僕』。そんな『僕』は、『前に進むしかない』と朦朧とした意識の中で思い、『グランマが迎えに来てくれた日のこと』を振り返ります。『両親がふたり揃っていなくなったあの家で、僕はひとりぼっちだった』という辛い日々。それは『どちらも僕を引き取らず、お互い、新しい恋人と他の町に移り住んだ』ことによりもたらされました。『深刻な病気を抱えて生まれた僕を、二人は精いっぱいの愛情で看病してくれた』幼き日々。しかし『病気が治ったとたん、二人は共通の敵を見失ったかのように、途方に暮れ、手持ち無沙汰に』なってしまい、『結果として別々に生きる道を選んだ』という結果論。しかし、『ずっと前にもう両親とは離れてしまった』こともあって、すでに『あまり記憶に残っていない』という現在の『僕』。『グランマがいつもそばにいてくれたおかげで、僕は人が想像するよりも幸せ』だと感じる生活を送っています。『僕とグランマとの間に、血のつながりはない』という不思議な関係。『ひとり家に取り残されジグソーパズルで遊んでいた僕を』連れて帰ってくれたグランマ。そして、そんなグランマのアパートの一階に住む大家を『おじさん』と呼び『僕にとって家族とは、グランマとおじさん、このふたり』と思って生きてきました。そして『十三歳には決して見えない。見た目は多分、十歳くらいだ』という『僕の身長は、ある時期を境にほとんど変わらなくなった』という『病気』が発覚します。そんな『僕』はおじさんからもらった黒砂糖の包み紙の広告に『RAINBOW CIRCUS』の文字を見つけました。『両親に連れられ、最後に家族そろって一緒に見に行った』あの日のことを思い出す『僕』。そして、十三歳の誕生日のお祝いの場で『僕、サーカスに入ろうと思ってるんだ』と二人に告げます。『私は断じて反対だよ』と言うグランマ。『僕は、小さいからサーカスに入りたいんだ。こんな体でも、ちゃんと生きていきたい。だから、自分にできる仕事がしたいんだ』と『泣きじゃくる僕』。そして、そんな『僕』はグランマの家を後にし、自転車に乗って目的地を目指します。『その時、遠くにゲートのようなものを見つけた。「レインボーサーカスへ、ようこそ!」僕は最後の力をふりしぼり、全速力でゲートの下をくぐり抜けた』という『僕』。そんな『僕』が”サーカス”の檜舞台に立つ、そんな未来のその日までが描かれていきます。 両親から捨てられ、『僕の身長は、ある時期を境にほとんど変わらなくなった』という十三歳の少年が自らの人生を、その両親との最後の想い出となる”サーカス”の舞台に見出していくこの作品。”サーカス”というと、『一輪車を自在に乗り回したり、火のついた棒をぐるぐるとバトンのように回したり、自転車の上で逆立ちをしたり、軟体人間が登場したり、いろんな芸が披露』されるとても華やかな場です。一方で、そんな華やかな舞台を支える人たちには、観客からは見えないとても地味な舞台裏が対として存在します。そんな舞台裏を描いたこの作品。読んでいてとても不思議に感じたのはこの物語の舞台・時代設定のことでした。勝手に日本の話だと思ってしまった私は『ナットー?それって、どんな食べ物なの?』、『僕は再び、マイナス三十度の世界へ飛び出した』という記述に、あっ、そうかと日本が舞台と勝手に理解していた感覚を修正しました。また、時代設定も一見かなり昔の話のように感じていたところ『便器からシャワーみたいなのが出て、おしりを洗ってくれた』という異物感を感じる記述に”?”が5個くらい並びそうになって、えっ?そうなの、と感じたり、とにかくその舞台・時代がぼんやりとしたとても不思議な作品だと思います。そんな不思議感が独特な雰囲気を醸し出すこの作品では、小川さんらしく、世界中のいろんな”食”が”サーカス”の舞台裏を支える人たちの胃袋を満たしていく光景が全面に渡って描かれます。それは、オニオングラタンスープであり、サムゲタンであり、ウィンナーシュニッツェルでありと多岐に渡ります。そんな中でも『ミソシル』の登場は印象的でした。『海でとってきたムール貝』を具にしたという『ミソシル』。『東洋の外れにある、ちっぽけな島国に、昔から伝わる伝統食だ。母乳の出を良くするっていうからな』とコックが説明する『ミソシル』は、『母乳』が重要な意味を持つ場面にさりげなく登場します。『大きなカフェオレボウルに熱々のミソシルをたっぷりよそって、僕に手渡す』という、たったこれだけでマイナス三十度の世界を一瞬にして、あったかく幸せな食事風景に変えてしまう、とても小川さんらしさを感じる好シーンでした。 そんな主人公の『僕』は、団長から『得意なことは何だ』と面接で聞かれます。『小さいことです。僕は、もうこれ以上大きくはなりません』という自らの病気を入団のバネとしていく『僕』。そんな『僕』は当初、『まるで、不思議な住人達の暮らす夢の世界に迷い込んでしまった気分だ』と感じます。両親との想い出の舞台で夢を見せてくれた人たちに囲まれる日々。そんな人たちの生活を間近に見て、その息遣いを感じる中で『僕』の心も日々揺れ動きます。それぞれの人に役割があり、みんなが力を合わせて作り上げていく、それがあの華やかな舞台だということに気づいていく『僕』。そんな『僕』に『少年、あなたが想像できることは、実現できることよ。道は、自分で切り開くものなんだから!』と声をかけてくれるローズ。小川さんの描く作品世界には決定的な悪い人が登場しません。それは、この作品も同様です。いろんな形で『僕』を見守り、応援してくれる人たちに囲まれる日々。もちろん現実世界はそんなに甘くないとは思います。しかし、これは小説です。その与えられた前提の中で、その作品世界に入っていく、現実がどうのなどとはいちいち考えない、いつも小説を読むときに大切にしている私の中でのルールですが、そんな悪い人が出てこない作品が見せてくれたものは、『サーカスはすべてが呼吸であり、リズムである』という世界の中で生きる人たちの相手への思いやりの気持ちでした。『サーカス人間が一番恐れることは、なんだと思う?』という質問への答えが示すその気持ち。『もちろん、怪我をしたり、命を落とすことは、怖いわ。サーカスは、命がけだもの』というその世界の厳しい現実。そこには『もっともっと怖いことがあるの。それは、自分のミスで、誰かの命を奪うこと。相手を、殺してしまうことなのよ』という仲間たちをまず思いやる、そんな気持ちでした。『だから、毎日毎日、必死に練習を重ねるの』というその頑張りを目にした『僕』。そんな『僕』は『消去法の選択肢ではなくて、僕は自分で積極的に人生を開拓したい。自分の生きる道は、たくさんの選択肢の中から自分で決めたい』と思い至ります。そして、迷いの消えたそんな『僕』はいよいよ結末の舞台へと向けて突き進んでいきます。 『人生の哀しみを知らなくちゃ、相手を笑わせることなんてできない』という言葉の通り、”サーカス”の華やかな舞台の裏には、深い孤独や悲しみを乗り越えて生きる人々の暮らしがありました。そんな思いを幼い頃から人一倍経験してきた『僕』。そんな『僕』がこれから生きていく未来は、きっと人々の笑顔に囲まれる、そんな舞台に生きる人生になっていくんだろうな、そう思いました。 『悲しみを忘れて笑っていられるようにするための、ちょっとしたかわいい魔法なのかもしれない』という”サーカス”の舞台裏を描いたこの作品。小川さんらしさに満ち溢れたとても優しい、そしてあたたかい物語でした。

    55
    投稿日: 2020.12.09
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    ふじの
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    ノスタルジー薫る、ここではないどこかの空気が良い。 誰もが優しくていい。 いしいしんじさんの「プラネタリウムのふたご」を読んでしまっていたので、同じサーカスものとして物足りなさを感じてしまったのは否めない

    2
    投稿日: 2020.09.23
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    723
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    周りの大人がとても良い人。13歳で夢のサーカスに入団を決めた僕が楽しい、嬉しい感覚だけでなくいろいろな心情を経験し、最後には憧れの舞台に経つ話。 心はどこにでも行ける。 身体が変えられないなら心を変えていくしかない。 素敵なフレーズ。また読もう。

    3
    投稿日: 2020.09.19
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    まっしろ
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    絵本を読んでいるかのようなファンタジックな感覚と、時折、迫られる自分自身。サラッと一気に心地よく読める作品でした。小川糸さんの美しい表現がたまらなく楽しい。「いくら舐めても永遠に小さくならない魔法のキャンディ」

    0
    投稿日: 2020.06.28
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    いるか
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    最近 ずっと小川 糸さんの本を続けて読んでいます。 今回は「サーカスの夜に」。 両親の離婚でひとりぼっちになった少年。 病気を治療するために使用した薬のせいで、身長は10ぐらいのまま。 グランマとおじさんに見守られて13歳の誕生日を迎えた時に、両親との思い出のサーカスで働くことを決断。 団員たちに囲まれて一人の少年が成長していく。 小川さんの小説は、周りの人たちがとても素敵です 「結局、いくら願っても否定してもじたばたしても、事実は事実として変わらない。自分の意思で買えることができるのは、心だけだ。身体が変わらないのなら、心を変えていくしかない。」 「心は自由だ。どこにでも行ける。」 よい作品は読み終えるのが惜しいと思ってしまいます。 もう少し小川さんの作品を読みたいと思います。

    45
    投稿日: 2020.03.10
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    emiko
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    まるで海外の童話を読んでいるような不思議な感覚になった。 物語の設定が日本ではないからかもしれないが、国も時代がいつなのかもわからない(スマホが出てきたのでそこまで昔ではないのは確か) ただ、どんな国でも時代でも、 人々が、子供達が、 魅了されるもの、感動するもの、忘れられないものはそんなに変わらないんだろうな。

    3
    投稿日: 2020.02.02
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    tkkl
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    少し昔の、または異世界のように思いながら読んでいたけれど、トイレの状況や、ネット動画などのデマ、スマホを愛用する団員など、すごく現代の現実的な世界でした。どの国の人も、障害を持つ人もLGBTも輝ける場所。レインボーサーカスは社会の縮図なのかもしれないなと思いました。

    2
    投稿日: 2020.01.22
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    kasumi-sou
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    いくら年齢を重ねても10才より大きくなれない男の子がサーカス団員として生きていくお話。入団してから初舞台までのお話。 丁寧に描かれていて、誰もが誇りを持っていることが伝わってくる。男の子も団員として少しずつ成長していく姿が健気でもあり、たくましくも感じる。

    3
    投稿日: 2019.11.11
  • ビブリオラボとくしまのアイコン
    ビブリオラボとくしま
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    タイトルや絵から想像できるように、どこかノスタルジーを感じるお話です。月にまつわる二つのエピソードは、それぞれ過去と未来につながるものとして描かれています。(こりん)

    3
    投稿日: 2019.09.24
  • 春川のアイコン
    春川
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    小、中学生の教科書を読んでいるようなやさしい気持ちになる一方、そういう柔らかさの中に際立つ悲しさ鋭さのようなものにぎくりとすることも多かった。具体的なことはきちんと書かれていない抽象的な話だったが不思議とまた読みたくなる。

    4
    投稿日: 2019.04.01
  • yuのアイコン
    yu
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    優しい物語。あまり多くが語られないのも想像の余地があって良かったです。 国籍不明の物語はどうしてこうもワクワクしてしまうのだろう。何でもない描写の一つ一つに、まだ見たことのない世界へと誘われてしまいました。サーカスを見てみたい。

    4
    投稿日: 2019.02.16
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    ありんこゆういち
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    内容(「BOOK」データベースより) 離ればなれになった両親とかつて一緒に見たサーカス。忘れられないその不思議な世界の一員になることを目指して入団した少年の前に現れる、自由で個性の強い人々。クラウン、ピエロ、ブランコ乗り、ジャグラー、そして美味しいお菓子やスープを作ってくれるコック。少年は少しずつ綱渡りを学んでゆく。心躍る物語。 小川糸さんなのに、読んでいて小川洋子さん読んでるのか?と思う感じの寓話めいたお話です。お話というにふさわしい可愛らしさと、切ないほの暗さが漂っています。 必要とされていない場所から、必要としてもらおうと努力できる場所へ旅立っていく。自分の体という抜け出せないものから、精神的な脱皮を遂げようとする若者の話です。 見た目は10才ですがそれ以上大きくなれない彼は、コンプレックスから抜け出せない自分を歯がゆく思いますが、他の同僚が性別という檻から自分を解放する姿を見て、自分もいつか・・・と足掻いていく姿が美しいです。

    0
    投稿日: 2018.10.09
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    ぐう聖ペンギン
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    場末のサーカスを舞台にした優しい物語。 読者に刺激を与えるような起伏がある内容では無いので、疲れた時に読む一服の清涼剤としてお勧めです。 余談ですが、読了後に表紙のペンギンさんを見るとせつない気持ちに…。 あと、巻末のミムラさんの解説は、解説というよりは自身の仕事に照らし合わせた感想文でしたね。これはこれで面白かったですが。

    0
    投稿日: 2017.12.20
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    reader93
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    このレビューはネタバレを含みます。

    サーカス団に入った少年が、そこで出会う団員たちとの交流を通して自分の出来ることを見つけていく。団員たちは個性豊かで、それぞれが少年にいろいろなことを教えてくれた。 いい余韻の残る小説でした。

    0
    投稿日: 2017.11.18
  • spaspicaのアイコン
    spaspica
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    国籍不明で、独特の世界観。少年のサーカスでの日々や人間模様、淡い恋心が飾らない言葉で綴られていた。ナットーと少年の夜明けの描写は胸に迫るものがあった。未来を示唆する終わり方も良い。

    0
    投稿日: 2017.11.11
  • mono__qroのアイコン
    mono__qro
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    これが噂の「希望」という代物だろうか。星の輝きの一個一個から、勇気という名の透明な糸が僕をめがけて降りてきて、何かとても大切なものを、体や心に優しく注いでくれたようか気がしてならなかった。

    1
    投稿日: 2017.10.01
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    べそかきアルルカン
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    サーカスという言葉の響きには、夢と浪漫、そしてなぜかしら哀愁を感じます。サーカスの一座が、旅回りの公演をしていることに、起因するのかもしれません。定住しない生き方に憧れを感じたりもします。 この物語はハイライトを浴びるサーカスのスターの姿を語るものではなく、その舞台裏、団員たちの日常が綴られています。 主人公は幼いころに大病を患い、10歳で体の成長が止まってしまった13歳の少年です。両親に見捨てられ、祖母に育てられた少年が、サーカスの世界へ飛び込み、成長していく過程が描かれています。 どこの国の、いつの時代の出来事なのか、舞台設定は明確にされていないのですが、食事を作る場面が頻繁に出てきます。どこにいても、いつの時代も、生きていくためには、食べることが欠かせないということでしょうネ。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

    0
    投稿日: 2017.09.21
  • greenflashのアイコン
    greenflash
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    自分の心と体が求めるままに…ありのままに生きることを当然のこととして自他共に受け容れる。 それがメインテーマなのかと思います。 しかし、「にじいろガーデン」を読んだ時と同じく 強く共感できるほどには没入できませんでした。 作者ご自身にも未消化なところが おありなのではないかと感じてしまいます。 描かれているものたちの描かれ方の散漫さ…それが 物語への没入を妨げているのかも知れません。 大好きな作家さんなのですが、長い間 エッセイ集のようなものしか出版されませんでしたね。 作品の構想を練られているのだろうと 楽しみにしていましたが、文庫化された最近の小説は 小川糸さんらしくもあり、らしくもなし、と いった感じです。

    0
    投稿日: 2017.08.01