【感想】こどもホスピスの奇跡(新潮文庫)

石井光太 / 新潮文庫
(19件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
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ブクログレビュー

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  • オオヤマメ

    オオヤマメ

    重い病の子供たちにたとえ短くとも、深く生きてもらえる場を作った方々が「白い巨塔」の舞台である阪大医学部をルーツとしていることが驚きだ。
    幸い私の子供たちは、今のところ健康に過ごしているが、この本を読んで年老いた両親に優しくしたいと思った。続きを読む

    投稿日:2024.05.14

  • Level42

    Level42

    子供の不治の病は子供の未来はもちろん
    いままでの努力までも奪い理不尽である
    また子供も幼くて病気が理解できなかったり
    両親の希望で病名告知されずに
    なんで辛い治療をしないといけないか
    家族や医療従事者に不満をぶつける

    少しでもこのような施設が増え
    子供、ご家族の心のケアができる事を祈ります
    続きを読む

    投稿日:2024.04.28

  • そう

    そう

    このレビューはネタバレを含みます

    非常に良かった!生きるとは何かを考えさせられる良書。

    難病の子供たちの困難から、さまざまな家族の姿や海外の先進事例に学び、小児ホスピス創設に至る医療・保育関係者たち。

    盲目的に苦痛をもたらす治療を強いるのではなく、患者の人生によりそい、短くとも人生をよりよく生きることに向き合うためにどうするかを考える。その奮闘の姿はすばらしく、日本初の小児ホスピスの草創譚としても読みごたえがある。

    海外に専門知識を学びに行った関係者たちも、また、シンポジウムで共鳴して仲間が増えていく様子も素晴らしい。が、さらに印象的なのは、エピソードに出てくる短い生涯を生きた子供たちだ。それぞれ個性があり、魅力的・印象的である。

    (誰しも長く生きたいのはもちろんではあるが)必ずしも生の長さだけに価値があるわけではなく、短くとも精一杯素晴らしい思い出を作り、満足することが、本人や周囲の幸福感のある生につながってゆく。18歳までの短い生涯であっても、社会を変え、周囲にも多くを与えながら精一杯生き、周囲に何かを残し、今も皆の中に生きている青年もいる。わずか4歳でもたくさんの思い出を持って旅立っていった子がいる。幸福とは、人生とは、ということを何度も考えずにはいられない。

    本書を読み、まったく世界は異なるが、以前読んだ『夜と霧』の世界観に共通するものを感じた。「今いる場所は本来の場所ではなく、ここから出たら本当の自分の人生が始まる」のではなく、「今、ここ」なのだ。病を得ていても、不本意な場所で今日明日の生がどうなるかもわからない中でも、私たちは今、ここに生きる。苦しい病との闘いや、短い生のなかでも、人間らしく幸福に生きることができた事例が本書には記されており、長生き=幸せという一面的な価値観を転換してくれる。(もちろん長生きできればそれに越したことはない。ただ、たとえそうではなかったとしても、幸せでなかったとは言い切れないのだ。)

    そして、その幸福を周囲が手助けすることもできるのだ。ささやかなアルバム、大好きなキャラクターからのメッセージ。ピクニック。ささいなことでも、大きな幸せを生み出す。抗えない短い生に対して何もできないと無力感を持つのではなく、小さなことでも力になれるエピソードが紹介されている点にも、勇気づけられる。

    本書では幾多の子供たちの短い生涯が記されるが、その生は関係者にも影響を与え、その後の子どもたちの療養に生かされ、親族の記憶にも残り続ける。生は個人のものであるが、かつ、リレーのように社会に継がれていくものでもあることも感じた。

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    投稿日:2024.03.28

  • こはく

    こはく

    こんなふうに死を前にして懸命に生きている、私と同じくらいの子や、それよりも下の子供たちがいることは理解しているつもりでしたが、まったくもって分かっていなかったんだとこの本を読んで思いました。
    辛い日々を過ごしながら生きる子供たちのその姿が、鮮明に描かれる度に泣いてしまいました。
    定まってしまった死の前にその子ども達をできる限り幸せにしようと、そのために動く大人がこんなにも沢山いたんだと、そのために努力をしているひとびとがいるんだと、本当にありがたいような気持ちになりました。
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    投稿日:2024.03.12

  • 魚雷屋阿須倫

    魚雷屋阿須倫

     タイトルに「奇跡」とあるが、「軌跡」としたほうがふさわしいと思われる。本書は日本で初めてのこどもホスピスの設立に携わった医師、看護師、保育士、患者家族らの記録である。

     通常の成人用のホスピスは、終末期の患者を看取る場である。子どものホスピスの場合は、難病の子どもたちが短い期間であっても治療の場から離れ、家族や友人たちと笑い合い、障害忘れえぬ思い出をつくるための「家」としての場である。

     話の展開上、治療の甲斐なく亡くなった子どもたちのエピソードが出てくる。読んでいて涙が止まらなくなってしまった。

     特に、冒頭で登場する中学生の女の子と、その初恋の相手の高校生の少年の話は胸が詰まる。二人とも阪大病院に入院していたので、ちょっと「愛と死を見つめて」を思い起こしたりした。(古いですが)

     高校生の少年は、成績優勝で剣道をやっていて明るくて気配りができ、リーダーシップもあり皆に慕われていた。病棟で中高生の会を作ったり、入院中の高校生への学習支援を訴え、市長に手紙を出したりもした。医学部進学を目指し、勉学に励んでいた。センター試験は、文字通り最後の力を振り絞って挑んだ
    。しかし10日後帰らぬ人となる。通夜だけでも千人の弔問客が訪れたという。
     
     少女は少年の制服の第2ボタンを約束をしていた。彼の母親はボタンを渡すときに言った。「これで、うちは姑やわ。… 頑張って生きてな」
     そしてまもなく、ポスピス設立のプロジェクトが始動した。

     百年生きても人生。十年生きても人生。「人生」に変わりなしだ
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    投稿日:2024.03.01

  • まなさ

    まなさ

    何年か前に40日間入院した時、中庭で3〜4人の幼児がカートの乗せられ、楽しそうに散歩してる姿を何度も見た。大人でも我慢できない辛さがあるのに、あんなに小さな子達も闘病してるんだなと思うと涙が出た。この本に登場する子供達の強い意志には驚かされる。私にも何か出来る事はないか、改めて考えさせられる1冊。続きを読む

    投稿日:2024.02.23

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