【感想】大江健三郎自選短篇

大江健三郎 / 岩波文庫
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
4
5
1
0
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ブクログレビュー

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  • ひーら

    ひーら

    高齢となった大江が、最後の長編小説の後に、作家の仕事の締めくくりとして初期・中期・後期それぞれの代表的な短編作品を選び出し、改稿した一冊。既読の作品が多いのはわかっていたが、年代順に読み進めることで、戦後の価値の転換と混乱、障害を持った子どもの誕生など、自らに起きた事態に愚直に誠実に向き合い考え続けてきたことに、あらためて得心した。
    癖のある文体で語られる大江の短編は、生じた面倒な状況を思いもかけないユーモラスなできごとでひっくり返す構造も楽しいのだが、突然、他人によって持ち込まれた奇妙な案件が何らかの解決に導かれるパターンは、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ物のようでもあると、ふと思った。
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    投稿日:2023.05.05

  • シマクマ君

    シマクマ君

     読みでありまっせえ!
    「飼育」からポツポツ読み継いで、二つ目に読んだのが「雨の木を聴く女たち」の連作、三つ目が「新しい人よ眼ざめよ」、大江健三郎の中期の二つがこころに残りました。それぞれあれこれ書きました。
     覗いていただければ嬉しい(笑)
    「飼育」の感想
     https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202211280000/
    「雨の木を聴く女たち」の感想
     https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202212030000/
    「新しい人よ眼ざめよ」の感想
     https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202301020000/
    「静かな生活」の感想
     https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202301100000/
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    投稿日:2022.10.25

  • いゔどっと

    いゔどっと

    初期
    「奇妙な仕事」5
    「死者の奢り」5
    「他人の足」5
    「飼育」5
    「人間の羊」5
    「不意の唖」4
    「セヴンティーン」
    「空の怪物アグイー」3

    中期
    「頭のいい「雨の木」」3
    「「雨の木」を聴く女たち」3
    「さかさまに立つ「雨の木」」3

    「無垢の歌、経験の歌」3
    「怒りの大気に冷たい嬰児が立ちあがって」5
    バタイユ?
    「落ちる、落ちる、叫びながら」4
    「新しい人よ眼ざめよ」4

    「静かな生活」3
    「案内人ストーカー」3

    「河馬に噛まれる」3
    「「河馬の勇士」と愛らしいラベオ」4

    後期
    「「涙を流す人」の楡」3
    「ベラックヮの十年」3
    「マルゴ公妃のかくしつきスカート」3
    「火をめぐらす鳥」3

    「生きることの習慣ハビット・オブ・ビーイング あとがきとして」4
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    投稿日:2022.07.04

  • ふみ子

    ふみ子

    初めての大江健三郎でした。
    短篇集にしては分厚いし、初期短篇はかなり暗い。
    自伝的小説。
    暗喩の表現、散文詩的文章が心地よい。
    ご子息との会話が和やかですが、他にも大変なことはいくらでもあっただろう著者は、ご子息を大変大切に想っているのが手に取るように伝わり少し優しい気持ちになりました。
    実は二度挫折した本書、理由は初期短篇が暗すぎるから。
    それは著者が経験のもとに書かれているのだが、あとがきの話のほうが生々しく強烈な印象を受けた。
    苦手意識があったけれど、読後感は最高に良いです。
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    投稿日:2021.07.30

  • hokkaido

    hokkaido

    大江健三郎という作家は、自らの作品を改稿する癖で知られているが、2014年に出版された本書は、1957年のデビュー当時から60年代までの初期作品、80年代の中期作品、90年代前半の後期作品という3つの時代の短編を、自らの改稿に基づき編集し直された自作短編アンソロジーである。

    長きに渡って活躍している作家であるが故に、決して執筆ペースが早い作家ではないものの、トータルでの作品数もそれなりに多くなる。それなりに彼の作品を読んでいる自身であっても未読(特に短編は)のものが多いため、改めて大江健三郎という作家の面白さを実感することができた。比較的初期作品は昔に読んでいたが、生々しいグロテスクさを詩的な言語というオブラートで微妙に包み込んだかのような世界観はやはり読んでいて感嘆させられる。端的にいって、とても面白い。

    また、自身の息子、大江光との家族との関係性をテーマにした中期の連作短編『新しい人よ眼ざめよ』は未読の作品であり、静かな感動があった。

    大江健三郎の作品は、集中して読み進める必要があるので、また時間ができたタイミングでゆっくり読み進めたい。
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    投稿日:2020.09.05

  • 本屋のおっさん

    本屋のおっさん

    厚さに尻込みせずに読んだ方がいい。
    初期から中期の暗く鬱々とした作品群、中期から後期にかけての抽象画のような美しい、同時に深い思索がある作品群。
    時代を色濃く写した作品群を読み進める面白さもある。

    投稿日:2019.06.20

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