【感想】リベラリズムへの不満

フランシス・フクヤマ, 会田弘継 / 新潮社
(5件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • しおり

    しおり

    リベラリズムの理想は叶えられていない部分もあり、
    そこを左右から攻撃されているのが今。
    攻撃によって分断が進むのだから、とにかく不毛……

    次の大統領選に関する報道を見ていて、アメリカどうなっちゃったんだと思っていたので、右派の行動原理について理解が深まったのはよかった。

    言論の自由を加速させる装置かのように思われたインターネット、SNSが、そうではない方向に進んでいるのが現代の大きな問題。
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    投稿日:2024.01.28

  • スマイルハート

    スマイルハート

    リベラルとは何か、に関する本は様々手にしたが、今日的な右派と左派の対立現実と双方の思想的特質が明瞭に結びつけられており、もやもやしていた分かりにくさが払拭された。
    普遍的真理の尊重ととアイデンティティ政治の確執が、世界の分断に大いに影響を与えている。また、そのベースにメディア、データの氾濫という要素があることも見逃せない。
    こうした複合的な大衆の危機に、バランスの取れた視野であるべき向き合い方を示してくれる名著。
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    投稿日:2023.10.06

  • reso100

    reso100

    200ページ強の大冊だが、リベラリズムの発展経緯を細かに述べている.新自由主義・ネオリベラリズムの登場による経済格差の顕在化を憂いているが、それ以上の現代のアメリカの状況を危惧していることに驚いた.数多くの著書や文献に目を通して、自説の補強に絶え間ない努力をされている姿勢に感心した.ロシアや中国、ハンガリーなどの権威主義体制も批判しているが、言論の自由の保護が世界的に危ういものになりつつあることへの警告も発している.p125にあった「トランプをはじめとする現代の保守派が彼らが忌み嫌うポストモダニズムの理論を一言でも読んでいることはありえないが..」のフレーズは我が国の自民党の輩にも与えたい語句だ.最後にでてきた「個人の自律性が充実感の源であるとしても、無制限の自由と制約の絶え間ない破壊が人をより充実させることにはならない.時には、制限を受け入れることで充実感が得られることもある.個人として、共同体として中庸を取り戻すことが、リベラリズムそのものの再生、いや、存続の鍵になるのである.」は至言だと感じた.続きを読む

    投稿日:2023.10.03

  • bqdqp016

    bqdqp016

    アメリカの政治学者フランス・フクヤマによる、古典的リベラリズムを擁護する本。リベラリズムを「人道的な自由主義」と呼び、「法の支配」による自由主義であり「寛容」が基本原則であると主張している。右派による新自由主義に基づく格差の拡大やポピュリズム、左派によるアイデンティティ政治や個人の自律の極端化を批判している。理解の難しい箇所もあるが、勉強になった。

    「新自由主義経済学の欠陥は、財産権や消費者利益を崇拝し、国家の活動や社会的連帯をあらゆる面で軽視したことであった」p67
    「近年、アメリカでは「批判的人種理論」をはじめ、エスニシティ、ジェンダー、性選好などに関する批判理論をめぐって、騒がしい争いが起きている。現代の批判理論家は、じっくりと議論する真面目な知識人であるというよりも、大衆受けを狙った政治主張をしているだけであり、批判理論に対する右翼の批判者(大多数は批判理論について一切読んだことがない)はさらにたちが悪い」p93
    「個人主義は、東アジアや南アジア、中東、サハラ以南のアフリカにおいては、ヨーロッパや北米と同じように根付くことはなかった」p96
    「福祉国家や社会保障の諸制度は19世紀後半から大きく発展し、多くの自由民主主義先進国では、GDPの半分近くを費やすまでになった」p103
    「リベラルな個人主義は西洋文明の偶然の歴史的副産物かもしれないが、いったんそれがもたらす自由に触れれば、さまざまな文化の人々にとって非常に魅力的であることが証明された」p105
    「チェック・アンド・バランスは、独裁的な権力の乱用を防ぐために存在する。中国では憲法上の制約がないため、鄧小平の改革だけでなく、毛沢東の大失敗である大躍進政策と文化大革命も可能になった。チェック・アンド・バランスの欠如は、今日の習近平の独裁中央集権化を促進させている」p110
    「極左は国家主義者ではなく、アナーキストであることが多い」p165
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    投稿日:2023.09.04

  • bookkeeper0

    bookkeeper0

    リベラリズムへの不満から、社会の分断が進んでおり、民主主義の破壊に向かいつつある。
    そのリベラリズムへの不満について分析されている。個人の自律が行き過ぎた結果、ネオリベラリズムによる富の極端な偏在をもたらし、リベラリズム自体を損なう結果となった。
    多様性を受け入れつつ、富の偏在を是正する政治が求められる。
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    投稿日:2023.07.19

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