【感想】地銀と中小企業の運命

橋本卓典 / 文春新書
(14件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
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ブクログレビュー

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  • kuwataka

    kuwataka

    このレビューはネタバレを含みます

    都内の銀行窓口はどんどん閉鎖されている。零細企業を経営する身なので、システム(商品)開発や原材料を仕入れる業務などで銀行との付き合いが大事になってくるのを心得ている。資金調達の交渉カードを集めたい気持ちもあって、現在の地銀の内情を知ろうと手に取った。

    印象的だったのは、地元企業の経営支援に乗り出した銀行マンが「クライアントと共に競争力をつけて利益率向上を図るキーエンス」を参考にしていることや、中小企業診断士の財務会計の知識で経営分析をしていることだった。
    また、7章のファミリー企業の内情も興味深かった。支援先の分析事例の「特別付録」も良かった。 飲食店の収益分析は特に勉強になった。 こういう目線でお店に入ると食事に集中できなそうだけども。

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    投稿日:2023.11.26

  • PONTEN design

    PONTEN design

    ■ Before(本の選定理由)
    地方の優秀層が集まる地銀が、ビジネス支援しないのが元凶、みたいな話だろうか?タイトルが気になる。

    ■ 気づき
    地銀の及び腰にも喝を入れているが、元凶は金融危機のときに作った金融検査マニュアルが今でも根付いているからで、貸倒れを過剰に避け地方の経営者支援になっていない、という論旨。めちゃ説得力がある。

    ■ Todo
    丸政(山梨の弁当屋)など複数の実例が物語形式で、これこそ地銀の役割だろ!と示されている。きっとできる。まだまだ出来る。
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    投稿日:2023.11.19

  • 高岡  亮

    高岡 亮

    地方銀行と中小企業の運命

    A;購読動機
    地方銀行の現状と今後の動き方に対する情報収集のため。

    B;書籍の良いところ
    ・コロナ融資が具体的にどのようなものか? それがどの程度の社数、規模によるものか
    ・地方銀行(信用金庫含)が、どのように組織内部を効率化し、外/貸付先に対する助言時間を捻出しているか?
    このあたりについて、事例を引用しながら定量的に説明してくれていること。
    また、理解が難しい専門用語も少ないため、読みやすいこと。

    C;改めて理解できたこと
    地方に大企業はないに等しい。ゆえに、地方銀行の顧客・貸付先は中小企業であること。
    地方銀行の収益は、貸付先の業容拡大→資金需要の増加→貸付残高の増加というサイクルをつくることで成り立つということ。
    地方銀行側でこの体制を作ることができるか?がポイントとなること。

    D;地方銀行の時価総額を調べてみたら・・・。
    都市銀行、ゆうちょ銀行の時価総額についで、時価総額が高い地方銀行は以下のとおり。
    ・千葉銀行
    ・横浜銀行
    ・静岡銀行
    ・福岡フィナンシャル

    一方で、地方銀行で時価総額が1000億円を超えている会社は少ない。

    E;書籍から興味深い事例・内容
    ① マーズ・グロース・キャピタル
    三菱UFJ銀行とイスラエルのフィンテック企業50%ずつの合弁会社。
    スタートアップ向けの投資専門会社。
    面白いのは、融資の判断が過去実績(BS,PL)ベースではないこと。
    ・直近の残高試算表
    ・営業動向(受注、失注)
    ・経営者の失敗実績
    ② 北國フィナンシャル
    物いう株主との助言契約を締結し、中期経営計画を発表。
    ・余剰資産(政策保有株含む)売却、資産効率化
    ・ROE目標設定。(3年、5年、10年)
    ・ROE連動業績報酬制度。
    ・銀行業務以外の収益貢献割合50%を目指す。
    ③実験店舗の開設
    ある銀行の事例で業績目標を課さない支店を開設。目的は、貸付先の相談を聴くこと、助言すること。
    結果として、他視点と遜色ない業績をアウトプット。
    ④ 減り続ける行員。貸付先にどう対応する?
    ずばり、貸付先の選別が必要であること。銀行として、力を入れる貸付先とそれ以外の区別。選別することで、時間が生まれ、対応することができるから。
    ⑤上場企業HR大手広告に頼らない人材需要・供給ネットワーク
    媒体に依存しない、銀行自らが把握している貸付先の人的課題のデータベース化。また、それが支援できる地域圏内企業のデータベース化。
    これらがビジネスマッチングにつながっていく。
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    投稿日:2023.08.13

  • OKなり

    OKなり

    自分事として企業を支援することについて
    ここ30年程度の銀行の歴史と実際の事例で説明されていて、イメージ持ててよかった。

    投稿日:2023.08.06

  • mat take

    mat take

    難しい本でした。
    銀行、とりわけ地方銀行などが、地元中小企業とどのように関わっていくべきか、ものすごく豊富な具体的事例から説明してくれていて、調査力が半端ないなと感じました。

    投稿日:2023.07.28

  • えすろん

    えすろん

    「捨てられる銀行」を書いた人の最新著作ということで迷わず購読。今度は金融機関の立場ではなく(地銀ではなく公庫だったけど)、中小企業の立場として。何だか不思議な感覚。
    昔気質の名バンカーの事例に加えて、社会課題を自分事と捉えて本気で取り組んでいる人たちの事例を見て、同じような事例が加速するといいな、そうすると日本は一気に良い方向に傾くんじゃないかと心から思いました。
    ファミリービジネスの持続可能性を高めるために日銀の支店長を辞めたなんて事例凄すぎて。。しかし日本政府は中小企業の事業承継問題を後回しにし過ぎだと前々から強く思っていたので、これが起爆剤にもっとなっていくと良いんだけど。
    中小企業の立場では豊和銀行のVサポートや、北國ホールディングスの事例は、地元の銀行もこうだったら良いなと思わずにはいられない内容。「それぞれが本来やるべき仕事に集中するにはどうすれば良いのか」、色んな技術が進んだ昨今においては解決できることが多いはずで、自分も常にそういう視点は持っていきたい。銀行さん、いつまでメールを常用しないつもりですか……?と思わずにはいられない(笑)
    続きを読む

    投稿日:2023.07.08

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